本当の答えを見抜く力
![]() | スタンフォードが最初に教える 本当の答えを見抜く力 (2013/05/21) キース・デブリン 商品詳細を見る |
満足度★★★
付箋数:25
4枚のカードがテーブルの上に並べられています。
各カードには片面にアルファベットが、もう1面に1桁の数字が
印刷されています。4枚のカードの表は次のようになっています。
[B] [E] [4] [7]
次に、カードが「片面が母音ならば、その裏側は奇数」
というルールに従って選ばれたことを知らされました。
このルールが本当かどうかを検証するには、
最低何枚のカードをめくる必要があるでしょうか?
実際に、めくる必要があるのはどのカードですか?
これは、心理学者のピーター・ウェイソンさんが考案した
有名な推論心理学のテストです。
この問題、難しく感じましたか?
実際に、かなりの確率で間違える問題のようです。
この問題を難しいと感じた人は、次の問題を考えてみてください。
1つのテーブルで4人の若者が、各自の身分証を
テーブルの上に置いて、ドリンクを飲んでいます。
1人はビール、もう1人はコーラを飲んでいましたが、
その2人の身分証は裏返してあったので、年齢を確認できません。
残り2人の身分証は表だったので、年齢を確認できました。
1人は未成年、もう1人は20歳以上でした。
しかし、この2人がビールとコーラのどちらを
飲んでいるのかはわかりません。
さて、誰も法を犯していないことを確認するには、
誰の身分証とドリンクを確認する必要があるでしょうか?
こちらの問題は、それほど難しく感じないはずです。
まず、身分証が裏返しの2人では、コーラを飲んでいる人は
何歳でも問題ないので、ビールを飲んでいる人の身分証を
確認する必要があります。
次に、ドリンクがわからない2人では、20歳以上の人は
何を飲んでいても問題ないので、未成年のドリンクだけを
確認すれば良い。
特に、難しいと感じない問題ですよね。
実は最初の「母音と奇数の問題」と「身分証とドリンクの問題」
は同じ論理構造なのです。
ちょっと抽象度の高い問題でも、身近な社会性を含む問題に
置き換えただけで、ずいぶんわかりやすくなるものですね。
さて、本書はスタンフォード大学の「数学移行講座」の教科書。
もちろん、一般向けにアレンジされていますが、
数学の教科書であることは間違いありません。
なぜ、数学には「移行講座」の授業が必要なのでしょうか?
それは、高校まで求められてきた数学と、
大学以降で求められる数学がかなり違うからです。
高校までは、数学的な「手順」に重きが置かれます。
それは「箱の中で考える」数学。
一方、大学以降で求められるのは、「数学的思考力」で、
世の中の様々な物事に対する具体的な考え方です。
こちらは「箱の外で考える」ことができなくてはなりません。
それは社会に出てからも、問題解決の場で必要とされる力です。
ですから、本書は分析的な思考力を習得したい、
もしくは向上させたいビジネスパーソンも対象に
執筆されています。
5~7週間かけて、論理学を中心とした「数学的思考力」を
学ぶことができる本です。
練習問題は豊富に掲載されていますが、
答えが載っていないのが玉に瑕。

最初の「母音と奇数の問題」を「対偶」を使って考えると、
このように解きます。
「母音⇒偶数」が真なら、その対偶である「偶数⇒子音」も
真でなくてはなりません。
従って、母音が表の[E]のカードと、偶数が表の[4]のカードの
2枚の裏面を確かめる必要があるのです。
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