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わたしたちの体は寄生虫を欲している

わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラーサイエンス)わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラーサイエンス)
(2013/07/25)
ロブ・ダン

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満足度★★★★
付箋数:25

  「虫垂は腸の下部からぶらぶらと垂れ下がる肉の塊だ。
  小指ほどの大きさで、他の器官に比べると小さいが、
  その存在は十分、説明に値する。
  しかし、虫垂が何をしているかという問の答えは、
  長年にわたってあいまいなままだった。
  心臓は血液を送り出している。肝臓は血をきれいにし、
  血圧の維持を助けている。肺は血液に酸素を供給し、
  二酸化炭素を除去している。
  そして虫垂は、そう、ただ垂れ下がっている。」

昔は、盲腸になると切除する治療が普通でしたが、
最近は破裂するなどの緊急性がなければ、投薬療法が一般的。

虫垂は、長きにわたって「何もしていない」器官と
考えられてきました。

その証拠は、盲腸の手術で切除しても何も起きなかったから。

だから、男性の乳首やクジラの後脚の骨のように、
目立つけれども不要な、進化の遺物だと説明されてきました。

それでは、なぜ、炎症を起こすことで人を死にいたらしめる
何もしない器官が、進化の過程で残ったのでしょうか?

更に、もし虫垂が痕跡器官であるならば、
人間の祖先に近いチンパンジーたちの虫垂は、
サルたちの虫垂より退化しているはずです。

しかし、実際はその逆でチンパンジーの虫垂は、他の霊長類の
虫垂より大きさも構造もはるかに発達しているそうです。

虫垂の役目を初めて発見したのが、デューク大学名誉教授の
ランドル・ボリンガーさんと、同僚のビル・パーカーさん。

  「虫垂は、細菌の家なのだ―ポリンガーとパーカーは、
  それが正解だと信じた。虫垂は細菌が腸内の流れから逃れて
  繁殖するための場所、言うなれば、平和の路地だったのだ。
  その路地があればこそ、何らかの疾患のせいで腸内の細菌が
  一掃されても、そこに逃げ込んでいた細菌によって
  腸内には再び細菌のコロニーが形成されるのだ。」

まだ仮説の段階のようですが、何も役に立たない器官と
考えられていた虫垂も免疫機能に大きな関わりを持っている
可能性があるようです。

さて、本書はノースカロライナ州立大学、生物学部教授、
ロブ・ダンさんによるサイエンス・ノンフィクション。

寄生虫は人類に欠かせない最高のパートナー。

タイトルの通り、私たちの体に寄生虫がいなくなったことで、
新しい病気が発症しているというもの。

寄生虫をあえて体内に入れて病気を治療する女性の話や、
冒頭で紹介した虫垂の役目、腸内細菌の働き、人間の体毛、
人間が大人になっても牛乳を飲む話など、多方面から広く
人間と自然の相互作用について語られています。

最終章では、ビルの壁面を農地にするニューヨーク市での
構想が紹介されています。

ダンさんは本書で、健康になろうとして、清潔にすればするほど、
実は不健康になっている現代人の清潔主義に警鐘を鳴らします。

日本版の序文を担当した『パラサイト・イヴ』の作者、
瀬名秀明さんも絶賛していますが、
読んでいて興奮させてくれるポピュラーサイエンスの本です。

この本から何を活かすか?

私たちは病気の治療で、抗生物質を使うことがあります。

抗生物質を投与することで、病気が治りますから、
体内で「悪い」細菌が減り、「善い」細菌は変わらないか、
むしろ増えると想像しているかもしれません。

しかし、実際に抗生物質は「悪い」細菌だけを選んで
殺すようなことはないようです。

私たちにとって必要な「善い」細菌を含め、
腸内の細菌の大半を殺してしまうのです。

だからこそ、細菌の避難場所として虫垂が必要なのですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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