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ikadoku

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金融緩和はなぜ過大評価されるのか

2013年07月10日
経済・行動経済学 0
金融緩和はなぜ過大評価されるのか金融緩和はなぜ過大評価されるのか
(2013/03/29)
藤田 勉

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満足度★★★
付箋数:23

第2次安倍内閣が掲げた一連の経済政策「アベノミクス」は、
発足時には注目を集め、一時円安・株高傾向となり、
このままデフレ脱却及び、景気回復が期待されました。

しかし、当初の期待効果も一段落すると、
アベノミクスの三本の矢は、期待外れに終わったという声も
聞くようになりました。

そんな中で国内外から関心を集めるのは、日銀の金融緩和です。

果たして、日本銀行の金融政策は真の特効薬となり得るのか?

シティグループ証券株式会社取締役副会長の藤田勉さんは、
本書で、日銀や金融政策の在り方を問います。

  「本書は、日銀の金融政策の効果をはじめ、
  インフレ・ターゲティング導入の是非、日銀の独立性とは何か、
  あるいは株式相場や為替相場への影響に関する定説の誤解
  などについて、わかりやすく解説することを目指している。
  そのうえで、 “リフレVS反リフレ” 論争に終止符を打ち、
  日本経済の病根と治療法を示したい。」

藤田さん自体は、現在の金融政策の効果は限定的・短期的と
考える、いわゆる非リフレ派です。

しかし、嘉悦大学教授の高橋洋一さんはじめ、
何人かのリフレ論者と議論を重ね、本書の執筆にあたっています。

また、藤田さんは証券会社の経営者という立場なので、
本来は円安・株高になることには大歓迎。

心配しているのは、アベノミクスや日銀の金融緩和が
過度に評価され、偏った見方になってしまうことです。

藤田さんは、金融政策の効果を客観的に分析し、
それだけで山積する課題を解決できるという風潮に一石を投じます。

また、本書で力を入れて執筆されているのは日銀人事について。

総裁選びの歴史をたどり、海外の中央銀行のボードメンバー
専任プロセスと比較も行います。

  「世界の常識とは裏腹に、日銀のボードメンバーの人選は独特だ。
  まず、歴史的に日銀総裁の多くが法学部出身の学士である。
  戦後の日銀総裁14名のうち、経済学専攻はたったの4名。
  残る10名が法学部出身なのである。白川総裁(シカゴ大学経済学修士)
  の前職は日銀理事、京都大学公共政策大学院教授であり、
  実は経済学修士を持つ初の総裁である。」

本書では、日銀の独立性や役割、人事についてかなり詳細に
解説されています。

ただし、本書の執筆時期が、現総裁の黒田東彦さん就任前だったため、
黒田さんと副総裁の岩田規久男さんのコンビについては、
あまり触れられていません。

この本から何を活かすか?

かつてFRBバーナンキ議長は、FRB理事時代に、
「日銀はケチャップでも何でもいいから買って、
マネーを増やすべきだ。そうすればデフレから脱却できる。」
と日銀を批判したそうです。

これを「バーナンキのケチャップ」と言うそうです。

しかし、藤田さんは、どうせ買うならケチャップではなく、
「テレビ」を買うべきだと言います。

日本の消費者物価下落は、数字だけを見ると、
テレビ消費下落の影響が最も大きいようです。

2011年の消費者物価指数ではテレビが前年から31%下落し、
指数を押し下げ、これが指数全体の下落分と一致。

  「日本における “デフレの正体” は、主にテレビということになる。
  日銀がケチャップや国債を購入してマネーを大量に供給したとしても、
  デフレの最大の原因であるテレビやパソコンが値上がりするとは
  思えない。それよりも、日銀が “テレビを無制限に買う” と宣言し、
  テレビ価格が下落しなくなるところまで実際に買えばいい。
  テレビ価格の下落率がゼロになれば、見事にデフレ脱却に成功である。」

もちろんこれは、冗談として書かれているものです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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