ひらめく人の思考術
2013年05月28日
![]() | ひらめく人の思考術: 物語で身につくラテラル・シンキング (ハヤカワ・ノンフィクション) (2013/05/24) 木村 尚義 商品詳細を見る |
満足度★★★★
付箋数:24
早川書房編集部、岩崎さんから献本いただきました。
ありがとうございます。
あなたは、ある老舗ホテルからイベント告知用の
30万通のダイレクトメールを発送する業務を受注しました。
DMはホテルの得意先顧客へ送るもので、本日、発送済み。
しかし、その発送したDMに誤りがあることが発覚。
しかも、間違った箇所は肝心のホテルの受付電話番号でした。
DMは明日か明後日には、全国の顧客の元に着いてしまいます。
あなたは、この事態にどのように対応しますか?
本書は、ラテラル・シンキングをストーリーで学ぶ本。
著者は、全国でラテラル・シンキングのワークショップを
開催する、創客営業研究所代表取締役の木村尚義さん。
ラテラル・シンキングは、もともと1960年代に英国人の
エドワード・デボノ博士が考案した思考法です。
ロジカル・シンキングを垂直思考を呼ぶのに対し、
ラテラル・シンキングは水平思考と呼ばれます。
ロジカル・シンキングは、道筋立てて論理的に
1つの解答へ掘り下げていく思考法。
一方、ラテラル・シンキングは、行き詰まった時に、
考える枠を取っ払い、違う手段を見出す思考法です。
私ぐらいの年代の人には、「一休さん」の思考法と
言ったほうが通じるかもしれませんね。
このロジカル・シンキングとラテラル・シンキングは、
思考の両輪で、問題解決にはどちらも必要です。
しかし、ビジネス書でロジカル・シンキングの本は多いのに、
ラテラル・シンキングの本はあまり多く刊行されていません。
それはフレームワークの使いやすさの差なのかもしれませんね。
本書では、ラテラル・シンキングのフレームワークとして、
「オズボーンのチェックリスト」を利用します。
ただし、 オリジナルの9つのチェックリストを
木村さんは、使いやすくするために5つに集約。
説明が難しくなりそうなものは割愛し、
似たようなものはまとめて、次の5つに絞っています。
「1.代替」、「2.大小」、「3.再利用」、「4.結合」、「5.逆転」
本書では、弱小総合商社、キャナル商会に務める
26歳のダメ営業社員、安良木アキラを主人公に据え、
ストーリー形式でラテラル・シンキングを学びます。
営業成績が上がらないと、契約社員に降格。
そんな追い詰められた状況のアキラは、たまたま入った
ベトナム料理の店ランタンで、オーナーの叶マミに
気にられ、ラテラル・シンキングの教えを受けます。
アキラはラテラル・シンキングを身につけ、
仕事でもアフター5でも少しずつ良い結果を出し、
成長していく物語。
読者は、ストーリーの中で直面する問題を
アキラとともに考え、ラテラル・シンキングの
5つの発想パターンを実際にどのように使えばよいかを
学ぶことができます。

冒頭のDMの電話番号ミスも、本書の中に出てくるエピソード。
謝罪のDMを送ったり、新聞広告を出すのは、
ロジカル・シンキングの解決方法。
終盤のエピソードなので、このころにはアキラも成長し、
即座にこの問題をラテラル・シンキングで解決しています。
アキラの示した解決策は、ネタバレになってしまうので、
ぜひ、本書を手にとってご確認ください。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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