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ikadoku

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経済学で読み解く これからの日本と世界

2013年05月07日
経済・行動経済学 0
経済学で読み解く これからの日本と世界 (PHPビジネス新書)経済学で読み解く これからの日本と世界 (PHPビジネス新書)
(2013/03/20)
伊藤 元重

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満足度★★★
付箋数:18

本書は日経MJに連載の「伊藤元重のニュースの見方」および
静岡新聞に連載の「論壇」の2012年3月~2013年1月までの
記事をまとめたもの。

過去に伊藤元重さんが刊行している次の2冊の
続編のような位置づけです。

  ・『日本と世界の「流れ」を読む経済学』(2012/4/19)
  ・『時代の“先”を読む経済学』(2011/3/19)

定点観測することで、時代の変化や流れを読むことができます。

本書を含めこれら3冊で、伊藤さんの視点を通じて、
日本と世界のこれからを読み解くことができます。

本書での大きな流れは、執筆期間中にアベノミクス前後が
含まれていること。

民主党政権時代は、例えばインフレターゲットは、
単なる待望論でしかありませんでしたが、
第二次安倍政権になってからは、それが現実の政策として
オペレーションが評価されるように変わっています。

  第1章 「強い日本」復活に欠かせない景気回復の処方箋
  第2章 転機を迎えつつある世界経済
  第3章 「世界の中での日本」を考える
  第4章 生き残るのは「変化」できる会社のみ
  第5章 ようやく重い腰を上げた日本の“家計”改革
  第6章 意識改革が求められる日本の電力行政
  第7章 先延ばしは許されない数々の問題

本書で示される伊藤さんのニュースを読み解く視点は、
非常にバランスがとれています。

伊藤さんのこのような高いバランス感覚があるからこそ、
政府の経済財政諮問委員会の委員に選ばれているのでしょう。

ただし、見方によっては、あらゆることに対して、
正論を述べているとも受け取れますから、
読み物としては少々面白みに欠けるのも事実です。

煽るような危うい表現や極論など一切ありません。

そのため、安心して読める反面、
読んでいて掻き立てられることも少ないと思います。

また、新聞への連載記事がベースですから、
1つ1つのテーマについて、あまり深く斬り込んでいません。

起こった出来事に対して、その背景や影響を説明する
「ニュース解説」程度の内容の部分も多くなっています。

本書は、日本や世界の経済状況を、まんべんなく押さえ、
短時間で把握するという目的には適しています。

ただし、解説されているニュース自体は風化しますから、
本書で身につけたいのは、伊藤さんの情報の見方や考え方です。

伊藤さんの視点さえ身につけられれば、
今後起こることに対しても、リアルタイムで世の中の流れを
感じ取っていくことができますから。

この本から何を活かすか?

  老後の費用はいくら残しておけばいい?

  「老後の生活にどれだけお金を準備しておいたらよいだろうか。
  (中略)65歳から85歳までの20年間、毎月20万円、
  1年間で240万円の生活費とすれば、20年で4800万円という
  計算になる。」

伊藤さんは、ここでは65歳~85歳までの生活費を計算し、
85歳以上の生活費については、政府が保障することを
真剣に考えるべきと提案しています。

しかし、85歳までと、それ以上に分けて考えているのは、
「ストック」を切り崩していくことがベースになっているから。

65歳までにストックし、85歳までに使い切り、
それ以降は政府に面倒をみてもらうというプランです。

それならば、リタイヤしても「フロー」を生む投資の仕組みを
構築すべきでしょう。

その仕組さえできてしまえば、65歳以降と言わず、何歳まででも、
使い尽くす心配なしに生活することができますから。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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