心をつかみ人を動かす 説明の技術
![]() | 心をつかみ人を動かす 説明の技術 (2013/02/28) 木田 知廣 商品詳細を見る |
満足度★★★
付箋数:24
著者の木田知廣さんに献本いただきました。
ありがとうございます。
当ブログでは、以前、木田さんの
『ほんとうに使える論理思考の技術』
を紹介したことがあります。
この本は、「イタい」論理思考に陥らないための、
論理でつかみ、心理で動かす技術がまとめられていました。
今回の著書のテーマは、相手に「説明する技術」。
心をつかみ人を動かす方法が、
「伝え方」を切り口にまとめられています。
「モノゴトを相手にちゃんとわかってもらおうという
“説明の技術” の本質は、相手の立場になって
一番知りたい項目を教えてあげることです。」
これは、木田さんが本書の読者に伝える場合も同じこと。
本書の読者は、当然、説明力をアップさせたいと
思っている人が多いはず。
そこで、本書では、なぜその方法が効くかの詳しい解説は
後回しにして、冒頭で「明日から使える特効薬」として、
即効性のある3つの方法を紹介しています。
1. 相手の既知情報をもとにした「たとえ話」を使った説明
2. 「東京ドーム○個分」といったモノサシを提供する方法
3. 専門用語が必要な場合の、「専門用語のあと出し法」
いずれも簡単な割に効果抜群の方法のようです。
相手に説明する場合、実際に「たとえ話」を使う人も
多いかもしれませんが、逆にそれでわかりにくくなってしまう
場合もあります。
ポイントは、聞き手の既に知っている情報を推し量り、
こちらの伝えたい情報にヒモづけていくこと。
本書では、スマホを使ったマーケティングプランを
部長に説明する例が紹介されていました。
「町中の “ティッシュ配り” がありますが、
今回のサービスはそれと同じと考えてもらえばけっこうです。」
部長としては、集客や売上アップにつながる話を聞きたいわけで、
ネットやスマホの技術的な話を聞きたいわけではありません。
そんな時は、部長が知っているティッシュ配りという
既存のマーケティング手法にたとえ、
更にスマホを使うことで、どんなメリットがあるかを説明すると、
ブリッジング効果で、部長にわかってもらえるというわけです。
また、本書では表面的な技術にとどまらず、
聞き手の「脳内マップを書きかえる」といった、
心理面の一歩深いところまで踏み込んで説明しているのが、
既存のコミュニケーション本とは違うところ。
これはテクニックというより、説明の技術の背後にある理論です。
・「分ける」と「わかる」~セグメンティング
・未知の情報を既知の情報とヒモづける ~ ペアリング
・ものごとの裏の共通項を見つける ~ ソーティング
・情報の位置づけを整理する ~ グレーディング
・知らないことに気づかせる ~ クリアリング
これらの「相手の脳内マップを書きかえる」5つの理論が
ベースにあるからこそ、様々なテクニックが生きてくるのでしょう。

「やらないほうがましなパワポでピラミッド」
ロジカル・シンキングで定番として使われる
「ピラミッド・ストラクチャ」。
木田さんは、ピラミッド・ストラクチャを作る時に、
パワーポイントを使ってはいけないと言います。
ピラミッド・ストラクチャで大切なのは、
何度も修正しながら精度の高い論理構成を作ること。
パワポでピラミッド・ストラクチャを作ると、
何度もテキストボックスを描いて、
線をつなぎなおす面倒な作業が発生します。
ですから、木田さんはワードなどの「インデント機能」の
簡易的なストラクチャ構造を使って、
論理構成を練り上げることを推奨しています。
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