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脳の中の経済学

脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)
(2012/12/29)
大竹 文雄、田中 沙織 他

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満足度★★★
付箋数:20

あなたは、夏休みの宿題をいつやっていましたか?

私は、一応計画はするものの、ズルズル先延ばしして、
結局、最後の数日間で慌ててやるタイプでした。

これは、経済学で「双曲割引」による先延ばし、
と呼ばれるタイプ。

私と同じタイプの人も、結構多いと思いますが、
そんな人は要注意です。

例えば、今ケーキを1個もらうのと、1年後にケーキ1個を
もらうのでは、今もらった方が得に感じます。

一般的に人は、利得はもらえるのが後になるほど、
そのうれしさを割り引いて感じます。

これはファイナンスで計算する、将来受け取る金額から、
期間に応じて金利分を割り引いて、今の価値に引き直す
「割引現在価値」の考えです。

従来の経済学では、時間割引のモデルをこの計算に従い
「指数関数」で考えてきました。

しかし、実際多くの人は、指数関数で価値が減るのではなく、
双曲割引で価値が減るように感じます。

つまり、今日から明日にかけてガクッと価値が減り、
同じ1日の違いでも、7日後から8日後にかけては
それほど大きく割り引かれないと感じるようです。

指数関数で、時間割割引を考えられる人は、
目先のことにとらわれず、計画的に夏休みの宿題ができる。

一方、双曲割引の人は、楽しみが先延ばしされると、
急激にその価値が減ってしまうので、常に目先のことを優先する。

結果、宿題は追い込まれるまで手付かずの状態になります。

ちなみに、双曲割引の人は、計画的な実行ができませんから、
ダイエットや禁煙もなかなか成功しません。

更に、消費者金融で多重債務になった人のほとんどは、
子供の頃、夏休みの宿題を最後にやるタイプだったようです。

ここまでは、行動経済学の話し。

では、この時間割引では、脳はどのような活動をしているのか?

脳の外側のシワシワの部分を大脳皮質といいます。
また、脳の中心に近いところに線条体という部位があります。

  「どうもこの大脳皮質と線条体の間の往復の回路で、
  いろいろな割引率での価値の計算を行なっているらしい、
  という結果が得られています。」

本書は、脳の中に経済学的な意思決定を行なっている仕組みが
あると仮定して、脳神経活動や私たちの行動を説明しようとする
「神経経済学」の本です。

2011年11月に行われた「サイエンスアゴラ」で行われた鼎談、
『経済学×脳科学 質問から読み解く「あなたの好み」?』を
書籍化したもの。

脳神経学者の田中沙織さん、経済学者の大竹文雄さん、
科学技術社会論研究者の佐倉統さんの専門の異なる3人が議論し、
神経経済学で何が分かってきたのかを伝えます。

また、田中さんと大竹さんお二人で行った対談、
『そのとき、脳の中では何が起こっているのか-感情と神経経済学』
も第2部として掲載しています。

最近私が読んだ本では、池谷 裕二さんと中村うさぎさんの
対談本『脳はこんなに悩ましい』や、ジョン・コーツさんの
トレーダーの生理学』に通じるところがありました。

この本から何を活かすか?

時間割引にかかわる物質、「セロトニン」。
これは「トリプトファン」から生産される必須アミノ酸です。

田中さんは、12人の被験者を使い、セロトニンの量が変わると、
行動に変化が出るかを調べました。

その結果わかったのは、トリプトファン不足になると、
すぐにもらえる小さな報酬を選んでしまいがちになること。

つまり、目先のことだけを考えて、判断しがちな人は、
トリプトファンが入っているバナナを食べると良いようです。

ただし、実験で差異が出たのは、不足の場合だけで、
トリプトファンを必要以上に多く摂取しても、
長期的な判断を下せるようになるわけではないようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 11:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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