福岡ハカセの本棚
![]() | 福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書) (2012/12/28) 福岡伸一 商品詳細を見る |
満足度★★★
付箋数:22
私は、人の家を訪れると、インテリアよりもなによりも、
その人の本棚を探してしまいます。
その人が、どんな本を読んでいるのかが、とても気になるのです。
特にその人のことを尊敬していたり、その人に興味があると、
本棚を見たいという欲求は、もっと高くなります。
そして本棚を見ると、「新しい発見」があり、
同時に「共感」も生まれます。
私は、福岡伸一さんの本棚をすごく見たかったので、
本書はそんな欲求を満たしてくれる本でした。
ジュンク堂書店は、作家が自分の愛読書や推薦書を集めて作る
「作家書店」というコーナーを店舗に設けています。
福岡さんは、15代目店長として「動的書房」というネーミングで、
2011年5月14日~2012年3月18日までの期間、
このコーナーを担当し、約400冊の推薦書を店頭に並べました。
本書は、その時に選んだ本の中から厳選し、新たな本を40冊加え、
計100冊の本について福岡さんが語るエッセイです。
紹介されている本の分野は、図鑑、芸術・美術、建築、
ドリトル先生、進化論、科学書、SFなど。
福岡さんは生物学者ですから、生物関連の本が多いのは当然として、
それ以外では、小説や文学作品、歴史書の紹介はあまり多くなく、
その代わり、美しい世界を描く芸術や建築関係の本が多いのが特徴。
また、私はまだ読んでいませんが
成毛眞さんの著書「面白い本」と比べてみたいところ。
そうすることで、福岡さんの立ち位置が、より鮮明になると思います。
本書は、福岡さんの好きな本をただ解説しているのではなく、
読み物としても十分に成立しています。
「図鑑から始まった本を巡る旅は、思わぬ方向へ私を導いてきて
くれたようです。マップラバーとして世界を整理することに
夢中だった自分が、いつしか地図を離れ、よりにもよって
マップヘイターとして歩き出そうとは、かつては想像もできない
ことでした。」
ちなみに、「マップラバー」と「マップヘイター」とは、
『世界は分けてもわからない』でも紹介されていた
人の行動や性向を、大きく2つにタイプ分けしたもの。
マップラバー(map lover)は、地図をこよなく愛し、
目的地に向かうときに必ずそれを頼りにし、
世界を鳥瞰的に見ようとします。
一方、マップヘイター(map hater)は、自分の感と嗅覚で
目指す場所にたどり着けるタイプです。
「たとえばデパートに入ったとき、 “売り場案内板” に
直行するのがマップラバー。まわりの様子を一瞥して、
いきなり歩き出すのがマップヘイター。」
本の読み方で言うと、目次をじっくり見る人がマップラバーで、
いきなり読みだす人がマップヘイターというところでしょうか。
私は基本的にマップラバーですが、
たまにマップヘイターになることもあります。
福岡さんもマップラバーから、マップヘイターに変わったというより、
美しさや知を巡る旅の中で、自分の想いや考えを語っているうちに、
いつもは隠れていた一面が、顔を出したということなのでしょう。

本書の中で解説、または「動的書房」で取り上げられていた本で、
当ブログで紹介済みの本は以下の4冊です。
『働かないアリに意義がある』
『完全なる証明』
『ハチはなぜ大量死したのか』
『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』
いずれも、私の満足度が★4つ以上の良書。
福岡さんのファンである私にとっては、
私の好きな本を福岡さんも推薦しているのはウレシイことです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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