人生をやめたいと思ったとき読む本
![]() | 人生をやめたいと思ったとき読む本: マンションから飛び降りたぼくがあなたに贈る 生きる力がわいてくる30のメッセージ (2013/01/11) 澤登 和夫 商品詳細を見る |
満足度★★★
付箋数:18
東洋経済新報社、中村さんより献本いただきました。
ありがとうございます。
本来、この本は私が読むべき本ではありません。
なぜなら、著者の澤登和夫さんは、
「人生をやめたい」と思っている人のことだけを考えて、
この本を書いているからです。
でも正直、読んでよかった。
「2005年8月のある朝、ぼくはボーッとしながら家の近くを
歩いていました。元気になりたいための散歩ではなく、
どのマンションから飛び降りるか決めるために歩いていました。
そして、その日の夜、ついにスイッチが入りました。」
澤登さんは、大学卒業後、大手物流会社に勤務し、
仕事では着実に実績を残し栄転、
更にプライベートでは4年間付き合っていた彼女と結婚し、
人が羨む順風満帆な人生を歩んでいました。
しかし、栄転と結婚のわずか4ヶ月後、「うつ病」と診断されます。
そして、今から7年前の夏の日、澤登さんは、
マンションの最上階から、何の躊躇もなくポンっと飛び降りました。
澤登さんが、うつ病で苦しんでいた頃、
藁にもすがる思いで、いろいろな本を読みましたが、
その対処法は頭では理解できるものの、
「今の自分には無理」と感じていたそうです。
この本は、澤登さんが「人生をやめたい」と
思っていたときに、感じていたことを綴ることで、
今現在、行き場がないと感じている人に
静かに寄り添って、支えとなります。
澤登さんが本当に苦しんでいた当時の心情がリアルに
書かれていますから、心が健康な人が読むと、
少し辛いかもしれません。
また澤登さんは、うつで自殺未遂を起こした後、
今度は潰瘍性大腸炎を患い、大腸を「全摘出」してしまいます。
しかし、そんな状況でも、うつ友や家族に支えられ、
澤登さんは「死にたい」という気持ちが、
本当は「生きたい」の裏返しの気持ちであることに
気づくようになります。
そして、今では「うつ」が自分の命を守ってくれたと
思えるようになり、うつ専門のカウンセラーとして、
かつての澤登さんのように「人生をやめたい」と思っている人の
手助けをしています。
本書は本当に助けを必要としている人には、
ぜひ、手にとって欲しい本です。

今から十数年前、私のサラリーマン時代にも
「うつ病」を患う同僚がいました。
あるとき会社で大規模なリストラを敢行することになり、
彼と私は、リストラする側にまわってします。
楽天的な私と違い、まじめ過ぎる同僚は、
他の従業員を解雇することに、苦しんでいました。
そして、突然の首吊り自殺。
残念なことに、澤登さんの場合とは違い、
私の同僚の自殺は成功してしまいます。
昨日まで、一緒に仕事をしていた同僚が死を選択したことで、
私ははじめて彼の苦悩の深さを知りました。
彼が悩んでいたときに、もっと自分にできたことが
あったはずだったと、私は悔やみました。
当時の私には、うつの人には「頑張れ」が禁句だという
程度の認識しかなく、彼とどう接していいのかわからない
というのが正直なところでした。
あの時、この本のことを私が知っていたら、
何も言わず、彼にこの本を渡していたでしょう。
二度と同じ後悔をしないために、
この本のことは、心に留めておきます。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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