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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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臆病者のための裁判入門

臆病者のための裁判入門 (文春新書)臆病者のための裁判入門 (文春新書)
(2012/10/19)
橘 玲

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満足度★★★★★
付箋数:24

私が、ずっと待ち望んでいたのは、この本でした。

それは、橘玲さんに裁判の本を書いて欲しかった
という意味ではありません。

本書は、司法制度や裁判について素人である橘さんが、
ひょんなことから「司法のブラックホール」に巻き込まれ、
その体験談を元に、民事訴訟での合理的な解決法を示す本です。

大事なのは、橘さんが法律の専門家ではないという点です。

橘さんが多くの本を執筆してるのは投資・金融の分野です。

橘さんは、はじめはこの分野の素人でした。
その当時書かれた本が「ゴミ投資家」シリーズ。

プロには当たり前でも、素人からすると魑魅魍魎が跋扈する世界。

そんな世界に足を踏み入れ、一歩ずつ先に進む。

足を前に進めるのは、未知の世界を見たいという好奇心です。

著者も読者も素人の段階から始まり、
その世界で常識とされている非常識に唖然とし、
失敗を重ねながらもその世界で成長を遂げる。

そんな知らない世界を冒険するようなワクワク感がありました。

まるで、ロールプレイングゲームで先に進むような感覚です。

しかし、投資・金融の本を何冊も執筆するうちに、
橘さんは完全にその分野の専門家になってしまいました。

依然、その筆力やシニカルな視点には驚かされるものの、
完成されてしまったので、未知の世界を一緒に進むという
興奮は味わえなくなってしまいました。

今回、新しい「裁判」という分野に足を踏み入れることで、
私が、橘さんの著書に当初感じていた、あの興奮が帰ってきました。

本書は大きく2部に分かれています。

PART1は「裁判所という迷宮をさまよって」という民事訴訟体験談。
PART2は「少額民事紛争に巻き込まれたら」という指南書。

  「ほとんど知られていないが、少額の紛争を中心に、
  日本の民事訴訟の多くは弁護士などの代理人を立てない
  本人訴訟で争われている。」

私たちは、ドラマや小説で弁護士の活躍するする姿を見るので、
裁判といえば弁護士が必要と思っていますが、
簡易裁判所や地方裁判所で争われる民事訴訟は、
そのほとんどが弁護士を立てずに裁判が進むようです。

本書のPART1では、友人の自動車保険金支払いトラブルの
相談に乗ったことから、橘さんが代理人(補佐人)として、
司法のラビリンスに入ってしまう体験が描かれています。

ある損保の担当者の身勝手なウソが原因で、
わずか12万円の保険金の交渉が、
何度も簡裁と地裁の間をいったりきたりして、
最後には争いの舞台が高等裁判所に移ります。

このPART1のレポートが、圧倒的に面白い。
今年読んだ本の中で、一番と言ってもいいでしょう。

私も橘さん同様、簡裁の裁判官が「一級市民」ではなく、
「二級市民」だった事実にも驚きました。

また、PART2は弁護士にとってはビジネスにならない少額訴訟で、
泣き寝入りをしないための合理的な解決法が示されます。

私たちも、いつ当事者になってもおかしくないので、
ADR(裁判外紛争解決手続)について知っておいて、
損はないと思います。

この本から何を活かすか?

本書はタイトルからすると2006年に刊行され、
べストセラーになった「臆病者のための株入門」の第2弾です。

こちらは、株取引に十分な知識を持った橘さんの本で、
面白いのはもちろんですが、読んでいて安心感があります。

一方、本書は様々な偶然や特殊ケースが重なって、
それをうまく企画にのせた傑作。

個人的には「臆病者のための」をシリーズ化して欲しいところですが、
それは叶わぬ夢なのかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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