活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT


≫ EDIT

現代素粒子物語

現代素粒子物語 (ブルーバックス)現代素粒子物語 (ブルーバックス)
(2012/06/21)
中嶋 彰、KEK(高エネルギー加速器研究機構) 他

商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:24

2012年7月4日、スイス・レマン湖畔にある欧州共同原子核研究機構
(CERN:セルン)は、「ヒッグス粒子」を発見したと発表しました。

本書は、その世紀の発見の1ヶ月前に刊行された
「素粒子にまつわる物語」を綴った本です。

ずいぶんタイミングよく出された本のように思えますが、
これは単なる偶然ではありません。

著者の中島彰さんは、CERNが2012年中に「ヒッグス粒子」を
発見するであろうと予想と期待のもと、
このタイミングにあわせて本書を執筆したと思われます。

さて、発見された「ヒッグス粒子」は、
万物に質量を与えた「神の粒子」とも呼ばれた物質です。

「ヒッグス粒子」がないと、いかなる粒子も光速で飛び回り、
その場にとどまることはできません。

「ヒッグス粒子」の存在が予言されたのは1964年。

しかし、この時から50年以上も発見することができませんでした。

英国の宇宙物理学者、スティーヴン・ホーキングさんが、
「ヒッグス粒子が見つからないほうに100ドル賭ける」と
発言したことも、話題になっていましたね。

空間のあらゆるところに存在すると考えられる「ヒッグス粒子」。

なぜ、今まで発見できなかったのか?

端的に言うと、実験で使う加速器のパワーの問題でした。

空間にぎっしりと詰まっている「ヒッグス粒子」をはじき出すには、
宇宙が誕生したビックバン直後に匹敵する、
高いエネルギーが必要とされたわけです。

さて、本書はミステリアスな素粒子の世紀の捕り物劇。
その「予言」と「発見」の物語を、魅力的な人物と共に紹介します。

  第1章 神の粒子に挑むLHC
  第2章 素粒子物理ことはじめ
  第3章 ヒッグス粒子ことはじめ
  第4章 ヒッグス粒子を捕まえろ
  第5章 預言者、南部の物語
  第6章 宇宙を創った暗黒物質
  第7章 暗黒物質を捕まえろ

ところで、さまざまな粒子に質量を与えるメカニズムを考案し、
「ヒッグス粒子」の存在を初めて予言したのは誰でしょうか?

一般には、その名前の由来となった、英エディンバラ大学名誉教授の
ピーター・ヒッグスさんだと認識されています。

しかし、実際は、ヒッグスさんが一番乗りではなく、
2ヶ月ほど早く、そのライバルのR・ブラウトさんと
F・アングレールさんが論文を発表していたそうです。

更に、ヒックスさんの論文が発表された2ヶ月後にも、
「ヒッグス粒子」の存在を予言する論文が、
別のグループ(3人)によって発表されています。

実のところ、この6人の研究者の仕事ぶりには差がないため、
素粒子理論で優れた成果を上げた研究者に授与される
米J・J・サクライ賞は、6人が揃って受賞しています。

ただし、ノーベル賞となると話は別。

ノーベル賞の自然科学部門で1度に受賞できるのは、
3名までなので、選考委員会が紛糾するのは必至のようです。

本書は、かなり分かりやすく、素粒子物理学の最前線が
解説されていますが、それでも難しい部分があります。

それでも、この世紀の発見をめぐる背景を理解するには、
非常によく書かれた本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「本書の節目節目で必ずといっていいほど顔を出す
  南部陽一郎という科学者にもぜひ注目していただきたい。

  2008年に益川敏英と小林誠とともにノーベル物理学賞を
  受賞した南部の異名は “素粒子物理学の預言者” 。

  彼は実は、益川と小林であっても、畏怖し仰ぎ見るほどの
  偉業をなしとげた偉大な研究者なのである。」

本書は、「自発的対称性の破れ」理論で知られる
米シカゴ大学名誉教授、南部陽一郎さんを
主役にした章を設けているのが特筆。

先見性と難解さを併せ持つ南部さん。

現代の素粒子の物語は、南部さんのアイディアから始まった。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 科学・生活 | 07:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://ikadoku.blog76.fc2.com/tb.php/1572-87f6d44d

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT