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さっさと不況を終わらせろ

さっさと不況を終わらせろさっさと不況を終わらせろ
(2012/07/20)
ポール・クルーグマン、Paul Krugman 他

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満足度★★★
付箋数:21

本書はノーベル賞受賞の経済学者、ポール・クルーグマンさんの
End This Depression Now!」の邦訳本。

本当に、さっさと不況を終わらせて欲しいと、私は強く思います。

本書でのクルーグマンさんの主張は極めてシンプルです。

昔ながらの「財政出動」をしっかりとやれば、
不況を終わらせられるというものです。

では、なぜ、公共工事を増やし、赤字国債を発行してきた日本は、
いつまでたっても不況を脱することができないのか?

それは、規模と回数の問題。

要するに今まで日本がやってきた景気刺激策は
あまりにも小さすぎて、効果が限定的でした。

だから、財政出動は金融緩和と共に、
徹底してやらなければならない。

この財政出動が必要な時期に、増税をするなど愚の骨頂。

緊縮をすべきは、好況時であって、不況時ではないと。

本書はアメリカのことが中心に言及されていて、
具体的に日本に対して発言されているわけではありませんが、
これがクルーグマンさんの考えです。

では、ただでさえ借金が多い日本が、このまま財政出動を続けると、
国債が暴落し、ハイパーインフレが起きてしまわないのか?

  「日本の場合、負債は1990年代から急上昇していて、特筆に値する。

  今のアメリカと同じく、日本は過去10年以上にわたり、
  すぐにでも債務危機に直面すると言われてきた。

  でも危機はいつまでたってもこないし、日本の10年国債金利は
  1%ほどだ。日本の金利上昇に賭けた投資家たちは
  大損ばかりしていて日本国債を空売りするのは “死の取引”
  とまで言われるようになった。」

つまりマーケットは誰もハイパーインフレを
予想していないと言うのです。

それは、「流動性の罠」にはまっていて、
短期金利がゼロに近いところに張り付いたままだから。

ただし、クルーグマンさんの主張が、
いくら教科書的なマクロ経済政策だからと言って、
実際にそれを行うのは難しいようです。

かつてプリンストン大学教授時代に、
日本銀行が自縄自縛の麻痺状態に陥っていると指摘し、
日銀が取るべき行動を示したベン・バーナンキさん。

しかし、今はバーナンキさん自身がFRBにおいて、
自縄自縛の麻痺状態に苦しんでいるように見えると、
クルーグマンさんは皮肉ります。

 「残念ながら、バーナンキ議長は
 バーナンキ教授の助言に従わなかった」

クルーグマンさんの主張は、日本では「バランスシート不況」を
提唱した、野村総合研究所主席研究員のリチャード・クーさんの
考えとかなりの部分で共通しています。

独特の言い回しで、少し冗長感のある本ですが、
民主党政府も、消費税増税を決める前に
この本を読んで欲しかったっですね。

この本から何を活かすか?

本書の翻訳は山形浩生さん。

ヨラム・バウマンさんの「この世で一番おもしろいミクロ経済学
も山形さんの翻訳で、私には馴染みのある翻訳者です。

山形さんにとって、クルーグマンさんの本の翻訳は
クルーグマン教授の経済入門」以来とのこと。

  「重厚な学者文とはほど遠いユーモアと怒りの共存した文を、
  この訳書が再現していることを祈りたい。」

こう聞くと、原書でクルーグマンさんがどのように書き、
それを山形さんがどのように翻訳したのか確認したくなりますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 06:54 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

エコノミストの資質

私の過去30年以上の市場観測の実経験から、経済学者やエコノミストの評価は彼らの言動とその後の結果をずっと追っかけていくことで評価するのが一番正しいと思われます。その点で、クルーグマンさんも、ベンバーナンキさんも失格と思います。彼らの拠って立つ論理はあまりに市場迎合的過ぎます。市場の失敗を説いておきながら、あるときはその市場がいかにも正しいという前提で自説を擁護します。つまり、あまりに我田引水的過ぎるのです。とにかく今のエコノミストにはこのような解説者が多すぎます。日本の国債がこれまで一度も暴落をしないからといって、だからアメリカも(日本よりかまだ余裕があるのだからーこれは私の勝手な憶測)もっと大胆に国債を発行して公共事業をやっても大丈夫だなどと、とてもまじめな経済学者とは思えない発言をするのは驚きです。それは株がずっと上がるときに、もう天井かもしれないと恐れている人に対し、市場は株が下がると思っていないから株はあがるのだ、と言っているのとなんら変わらない。日本に対してはVoice2月号で日本は最後の財政出動をし、完全雇用に近い状態に持っていった上で、更なる金融緩和をすればよいと提言しています。日本の場合、財政出動の余裕がアメリカと比べると殆どないということは見ているが、何故一回でよいのかの説明はありません。一回でダメだったら彼はなんと開き直るつもりなのでしょうか。或いはまたすみませんと謝罪でもすれば済むとでも思っているのでしょうか。情けないことです。

| 金山正男 | 2012/08/17 06:40 | URL |















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