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武器としての交渉思考

武器としての交渉思考 (星海社新書)武器としての交渉思考 (星海社新書)
(2012/06/26)
瀧本 哲史

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満足度★★★★★
付箋数:30

  「環境を変えるために定期的に引越しをする人がいます。

  引越し先を決めるときに、最も重要な要素は、
  一度決まると、毎月その金額を支払わなければならない家賃です。

  では、新居を探す場合、1年のうちどのタイミングで引っ越せば、
  家賃交渉が有利になるでしょうか?」
  (本書の練習問題を要約)

引越し時期のピークになるのが3月~4月。
少なくとも、その時期の1ヶ月前ぐらいが最も売り手市場になって、
交渉しにくい時期だということはわかります。

では、引越しのオフシーズンである真冬の
12月あたりに引っ越すのが、最も有利になるのでしょうか?

私は、最初にこの問題を見たときに、このように考えました。

しかし、その考えは、「バトナ」の視点が欠けていました。

バトナとは、Best Alternative to a Negotiated Agreementの
頭文字をとって略したもの。

「相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、一番良いもの」
という意味で、ハーバード流交渉術の本では、よく紹介されています。

目の前の条件と自分のバトナ(それ以外の最良の選択肢)を
比較しながら話をすすめるのが、交渉の鉄則。

そして、交渉で最も重要なポイントとなるのが、
「相手のバトナ」が何なのかを考えることです。

この練習問題の交渉相手は家主です。

それでは、家賃交渉が決裂したときに家主が取ることができる
最良の選択肢(家主のバトナ)は何なのでしょうか?

よほど特殊なことをしない限り、家主のバトナは、
「次の入居者を待つ」ことです。
そして、家主はそれまでの期間、家賃収入を得られません。

ですから、家賃交渉決裂が12月の時期だったら、
家主側から考えると、たとえ今安い家賃で入居してもらわなくても、
あと3~4ヶ月もすれば、また引越しシーズンになるので、
空室を埋められると判断するわけです。

この家主のバトナから考えると、次の引越しシーズンまで、
最も空室期間が長くなるリスクがあるのが、
「5月から6月」の交渉です。

この時期の交渉が決裂すると、
最悪、1年近く空室になるかもしれない。

つまり、借り手が家賃交渉を最も有利にすすめられるのは、
「5月から6月」にかけての時期になるようです。

さて、本書は瀧本哲史さんの「武器としての決断思考」の続編です。

いくらディベート思考(決断思考)ができて、
その時点の自分にとっての最善解を導き出せても、
現実の世の中では、それを実行できるとは限りません。

なぜなら、多くの意思決定には「相手の同意」が必要だからです。

その相手の同意を得るために、
本書で解説されるのが「交渉思考」です。

バトナ、ゾーパ、アンカリングなどを使った交渉技術が、
練習問題を使って、非常にわかりやすく説明されています。

本書が他のハーバード流交渉術の本と違うのは、
ノウハウだけでなく、その技術を使って世の中を動かそうとする
「ロマン」が語られているところです。

その煽動的な部分が、受け入れられない人もいるかもしれませんが、
瀧本さんの「ロマン」に共感できる人にとっては、
非常に刺さるメッセージが散りばめられている本です。

個人的には、過去に読んだ交渉術の本の中でもベストの一冊。

この本から何を活かすか?

もう一つ、本書の良い点は、「合理的な相手」と交渉する場合と、
「非合理な相手」と交渉する場合を分けて解説しているところです。

現実の交渉では、普段合理的に判断できる人でも、
些細なきっかけで、非合理な人に豹変してしまう場合がありますよね。

本書では、「アンデスの職人」の例題を用い、
非合理な人と、どう交渉するかを見事に説明しています。

  「合理的でない相手と交渉するときには
  相手の価値観に合わせなければならない」

よく覚えておきたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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防御力が上がるのが本書の一番のメリット:武器としての交渉思考

武器としての交渉思考 (星海社新書)作者: 瀧本 哲史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/06/26メディア: 新書 このエントリで取り上げた「武器としての決断思考 (星海社新書)」のシリーズ。 相変わらず簡単な内容なのだが、社会人にとっては当たり前すぎる内容だった前作よりも読み応えは有る。

| 本読みの記録 | 2014/01/12 23:15 |

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