なぜ数学は人を幸せな気持ちにさせるのか

なぜ数学は人を幸せな気持ちにさせるのか
(2012/03/12)
クリスティアン・ヘッセ 商品詳細を見る
満足度★★★★
付箋数:24
1つのケーキを2人で平和的に分ける方法は、よく知られています。
それは、「1人が切り、もう1人が先に選ぶ」という方法です。
では、A、B、Cの3人で平和的に分けることはできるのでしょうか?
2人で分けるときのように、簡単にはいきませんが、
「分けて・選ぶ」ことだけで、3人でも平和的に分割できるようです。
手順は次の通り。
1. Aが自分の目から見て同じ大きさになるように、
ケーキを3つに分け、Bに渡す。
2. Bはその必要があれば、一番大きく見える一切れを、
2番目に大きい一切れと同じ大きさになるように切る。
そのときに出来たケーキの切れ端はひとまず脇へ置き、
3つのケーキをCに渡す。
3. Cは自分が一番大きいと思う一切れを取る。
4. 次にBが選んでよいが、ステップ2でいくらか切り落とした場合には、
その一切れを取るというのが条件。
もちろん、既にCがその一切れを取っている場合は別。
5. Aは最後に残った一切れを取る。
この分割方法を聞いて、本当に公平に分割できるのだろうか?
と考え、更に自分でいろいろと思考をめぐらせる人なら、
本書を十分に楽しむことができます。
ステップ2で、切った切れ端はどうするんだろう?
とか、ステップ1でAが切ったケーキが、1つだけ大きいのではなく、
1つだけ小さく見えた場合、Bはどうすべきか? などなど。
残念ながら、この5ステップの手順を見て、
「うわぁ、面倒くさい」と思った方は本書を手にしない方が無難です。
本書はドイツのシュツゥットガルト大学の数学教授、
クリスティアン・ヘッセさんの数学エッセイ。
「この本には、さまざまな分野から、さまざまな形で、
数学および数学的なものを詰め込みました。
重点テーマを決めたりせずに、手っ取り早く、
あちこちに分散するテーマの間をさまよう思考を
コレクションするように、数学と人生から手当たり次第に寄せ集めて。」
ヘッセさんは、ユーモアたっぷりに、
数学とそれ以外の世界の橋渡しをしています。
特に数学の専門的な知識は必要ありません。
あえて言うなら、思考することさえ億劫でなければ、
あなたの知的好奇心を刺激し、
「幸せな気持ち」にしてくれる本です。

「アインシュタインの論理クイズ」
本書には、アルベルト・アインシュタインさんによる
論理クイズが紹介されていました。
アインシュタインさんは、人類の98%はこの問題を解けないと
言っているそうです。
ちょっと長いですが、引用します。
それぞれ色の違う5軒の家が隣りあって建っている。それそれの家に
人が住み、住人の国籍はすべて異なる。住人のそれぞれがある飲み物を好み、
ある銘柄の煙草を吸い、あるペットを飼っている。
飲み物の種類、煙草の銘柄、ペットの種類はすべて異なる。
イギリス人は赤い家に住んでいる。
スウェーデン人は犬を飼っている。
デンマーク人は紅茶を好む。
緑の家は白い家の左に建っている。
緑の家の住人はコーヒーを好む。
ポールモールを吸う人は鳥を飼っている。
黄色の家ではダンヒルを吸っている。
真ん中の家の住人は牛乳を飲む。
ノルウェー人は1番目の家に住んでいる。
ブレンドを吸う人は猫を飼っている家の隣に住んでいる。
馬を飼っている人はダンヒルを吸う人の隣に住んでいる。
ブルーマスターを吸う人はビールを飲む。
ドイツ人はプリムを吸う。
ノルウェー人は青い家の隣に住んでいる。
ブレンドを吸う人は水を飲む人の隣に住んでいる。
問い:住人の1人はペットとして熱帯魚を飼っている。それは誰か?
本書にはこの論理クイズの解答がついていないのが、
ウレシイところですね。
5×5のマトリックスを描いて、1つ1つ潰していくのが王道です。
98%の解けない多数はになるか、2%の解ける少数派になるか、
ぜひチャレンジしてみてください。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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