日本人には何が欠けているのか

日本人には何が欠けているのか タダより高いものはない
(2012/04/04)
山本七平 商品詳細を見る
満足度★★★
付箋数:15
さくら舎さんから献本いただきました。ありがとうございます。
「企業も、また他の組織も、老化していずれは倒壊する。
倒壊するものを無理やり存続させる必要なない。(中略)
倒産は会社の危機ではなく、老化組織を無理やり存続させることが
社会の危機なのである。いまの日本に必要なのは
産業保護法ではなく、“老化企業倒産促進法”であろう。
その対象にはもちろん、“親方日の丸企業”も入る。」
ここで言われている「いまの日本」とは、昭和50年頃の日本を指します。
本書は山本七平さんが、「週刊文春」に1974年8月5日号から
1976年9月30日号まで連載した時評の中から32編をまとめたもの。
時は、日本がバブル経済になる10年以上も前。
デフレではなく、インフレが心配されていた時代です。
田中角栄さんが、ロッキード事件で首相を退陣した当時のコラムです。
土光臨調で親方日の丸企業の、三公社(国鉄・専売公社・電電公社)
の民営化が提言されたのが1981年のことですから、
それに5年以上先んじて、山本さんは言及していてことになりますね。
そして、山本さんの指摘とは逆のことを日本は行ってきました。
競争に晒されないように特定の産業を保護し、
老化企業がゾンビになっても存続させ、新陳代謝を拒んできました。
そういった根本的な問題を何十年も、蔑ろにしてきたことが、
現在の日本の閉塞感につながっているのかもしれません。
・いま日本社会に何が必要か? → 「民力の休養」「社会の養生」
・企業のあり方は? → 「老化企業倒産促進法」を!
・教育の根本問題は? → 教育とは「切り捨て」なり!?
・税金問題は? → 間接税的収奪を洗い出して排除する!
・エネルギー問題は? → 「ノーモア・石油ポツダム宣言」
・大組織の行方は? → 都庁「閉鎖解体」論
山本さんの、こういった言及は、あまりにも先を見通しすぎて、
当時の人には理解できなかった可能性もあります。
しかし、私たちが今後の日本再生の方法を探るなら、
問題の根本までさかのぼり、知の巨人と呼ばれた山本さんが、
昭和50年頃の当時、何を感じ、世の中をどのように変える
提言をしていたのかを知ることが、ヒントになるかもしれません。
40年近くたって、日本の何が改善されて、何が悪化したのか。
今一度、日本社会と日本人のあり方を考えさせられる本です。

さくら舎さんが、山本七平さんの本を刊行するのは本書が2冊目。
最初は、なぜ今頃、山本さんなの? という疑問もありましたが、
実際に読んでみると、大局的な視点でものごとを見る大切さを実感。
前作を読んだときに、山本さんの代表作「日本人とユダヤ人」を
読もうと思いましたが、ころっと忘れていました。
今週末、図書館で読んでみます。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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