活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

宇宙は生命でいっぱい?

2012年02月24日
科学・生活 0
宇宙は生命でいっぱい?―惑星探査が明らかにする新しい宇宙
宇宙は生命でいっぱい?―惑星探査が明らかにする新しい宇宙

(2012/01/16)
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満足度★★★
付箋数:20

  「新たな宇宙戦争が勃発している。と言っても、競いあっているのは
  アメリカとロシアでもなく、アメリカと新参者中国や日本とでもない。
  アメリカ対ヨーロッパである。
  しかも、ヨーロッパが2年以上も先行しているのだ。
  どちらが勝つにしても、銀河系の近くにどれくらいの地球型惑星が
  あるかが突き止められようとしている。」

欧州宇宙機関(ESA)は、2006年に宇宙望遠鏡「コロー衛星(COROT)」
を打ち上げました。

それから約2年遅れて、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、
宇宙望遠鏡の「ケプラー衛星(Kepler)」を打ち上げました。

共に目的とするのは、太陽系外の惑星の観測です。

この2つの望遠鏡は、系外に地球に似た惑星を
見つけることができるのでしょうか?

本書は、系外惑星を探す宇宙科学ドキュメント。

1995年から2009年までの惑星探査をめぐるESAとNASAの、
新たな宇宙戦争の様子が、時系列の日記形式でつづられています。

予算では、ESAはNASAの3分の1しかありませんが、
望遠鏡の打ち上げでは先行しています。

そして、その争いに参加しているのは、一人ひとりの天文学者。

彼らは、何を考え、どう行動したのか。

そこには、惑星探査という崇高な目的以外にも、
人間としてのエゴや欲も見て取れます。

科学者達のリアルな姿がドキュメンタリーとして描かれています。

  「本書で描写されているアメリカとヨーロッパの“地球探し”の
  熾烈な競争は、大航海時代を彷彿とさせる。
  西洋の人々は、今度は、最後のフロンティアを求めて、
  大宇宙に船出しようとしているのかもしれない。」

こう語るのは、本書の翻訳を担当した竹内薫さん。

「訳者あとがき」では、原書「The Crowded Universe
刊行後に発見された実績までフォローされています。

2011年12月5日、NASAはケプラー衛星が、
水が液体で存在し得る惑星を観測したと発表しました。

付けられた名前は「ケプラー22b」。

地表付近の推定平均気温は22℃、大きさは地球の2.4倍の惑星で、
恒星を周回する公転周期は290日とされています。

本当に、「宇宙は生命でいっぱい」という証拠が、
見つかる寸前まで迫っている感じですね。

  「銀河系のどこかに知的生命が存在するならば、
  なぜ、私たちは、いまだに、彼らから連絡をもらっていないのか?」

この物理学者エンリコ・フェルミさんのパラドックスに
今まさに答えが出ようとしています。

この本から何を活かすか?

コロー衛星もケプラー衛星も2012年2月現在、まだ運用中なので、
これからも、新たな観測や発見がまだまだ報告されるでしょう。

公式ページへのリンクを張っておきます。
興味のある方は、こちらからどうぞ。

  ・COROT overview(EAS)
  ・Kepler A Search for habitable Planets(NASA)

ホームページを見ても、予算の違いが伝わってくる感じがしますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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