日産 驚異の会議
2012年02月16日

日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ
(2011/12/23)
漆原 次郎 商品詳細を見る
満足度★★★★
付箋数:25
日産自動車と言えば、2010年12月の発売開始以来、
話題となっているのが、100%電気自動車の「リーフ」。
あまり知られていませんが、電気自動車自体は、
世に出てから180年以上の歴史があります。
しかし、これまでの電気自動車は傍流的存在に過ぎず、
現れては消えることが、何度も繰り返されてきました。
それでは、なぜ、日産リーフが、
新しいタイプの車として注目されているのでしょうか?
私たちは、今まで利用したことのない電気自動車に対して、
さまざまな不安を抱きます。
・渋滞しても電気切れの心配はないのか?
・エアコンを使ったら走れる距離は短くなるのか?
・充電インフラは整うのか?
・ガソリン車よりも修理や整備の費用はかかるのか?
日産リーフが、電気自動車の歴史上、
はじめて傍流から抜け出そうとしているのは、
これらのユーザーの電気自動車に対する不安を
完全に取り除くことに注力したからです。
個人的には、特に、充電インフラを徹底して整備している
日産の姿勢が、リーフに興味を持つ人を
後押ししているように感じます。
この日産が社運をかけて開発した電気自動車「リーフ」は、
実は、「会議」によって起こされたイノベーションでした。
本書は、入念な取材のもとに、「日産の会議」を紹介する本です。
1999年にカルロス・ゴーンさんが日産のトップに就任して以来、
リバイバル・プランの象徴的な存在として取り上げられたのが、
部門横断的な集団である「クロスファンクショナルチーム」でした。
しかし、日産にはそれと双璧をなすもう一つの
企業改革のツールがありました。
それが、「V-up」と呼ばれる課題解決ツールです。
この「V-up」も、ゴーンさんの命によって開発された、
新たな課題解決の手法でした。
本書は、「V-up」をもとにした日産の2つの会議、
「V-FAST」と「DECIDE」を詳細にレポートします。
「V-FAST」は、すぐに対処できる問題に対して、
すばやく解決策を決めるプロセス。
「DECIDE」は、大きな問題に対して、
じっくりと解決策をつくっていくプロセスです。
ちなみに、「リーフ」の開発には、「DECIDE」が使われました。
本書は、日産COOの志賀俊之さんはじめ、
「V-up」推進・改善支援チームの全面協力を得て、
会議の詳細から使用する思考ツールまでが紹介されています。
会議の方法と言うより、イノベーションの手法とも言うべき、
企業にとってはかなりコアとなるノウハウを、
ここまで公開していることは、ちょっと驚きです。

「系統図」、「親和図」、「ペイオフ・マトリックス」
この3つが日産の会議における三種の神器です。
本書で紹介される、会議の実況中継を見る限り、
思考ツールが有機的に会議の中に取り入れられているような
印象を受けます。
世に溢れる様々な思考ツール。
個人として使うだけではなく、組織として活用できるようになると、
本当に強力な武器になりますね。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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