「先延ばし」にしない技術
2012年02月13日

「先延ばし」にしない技術
(2012/01/09)
イ・ミンギュ 商品詳細を見る
満足度★★★★
付箋数:24
あるネイティブアメリカンのレインメーカー(雨乞い師)は、
雨乞いの祈りを始めると、必ず雨が降ったといいます。
なぜ、そんなことが、できたのでしょうか?
彼の祈りが、天に通じたのでしょうか。
それとも、一般の人にはない霊力があったのでしょうか。
いいえ、そのどちらでもありません。
実は、彼は失敗しない雨乞いの方法を知っていたのです。
それは、雨乞いをやめないこと。
彼は、一度、雨乞いの儀式を始めたら、
いつも本当に雨が降るまで祈りをやめなかったから、
必ず雨を降らせることができたのです。
これは、本書に紹介されていた、簡単にあきらめいないことの
大切さを伝えるエピソードです。
本書は、韓国の心理学者イ・ミンギュさんによる
「実行力」を身につけるための本です。
イさんは、幸せな人生を手に入れるためには1%だけ変えればいい
という「1%行動心理学」を提唱する韓国では著名な心理学者。
本書では、偉大な人と平凡な人の差は、
知識やアイディアではなく、「実行力」にあるとして、
その実行力を身につける方法を解説します。
実行力は「決心-実行-維持」の3段階からなります。
本書でもこのステップに沿った3つの章で、
それぞれ具体的なケースを紹介し、心理的な問題を分析した後、
解決策を提示します。
紹介される事例は、当然、日本や欧米の著者の本では、
見かけない韓国のものがあり新鮮です。
かといって、韓国一辺倒ではなく、欧米や中国、日本の本からの
引用もあり、非常にバランスがよく読みやすく感じます。
「小さなことを、ひとつ選ぼう。そして、今日すぐに実行に移そう。
明日も、あさっても、しあさっても、毎日ひとつだけ実行しよう。」
イさんは、走り出しさえすれば、半分終わったも同然とし、
本書では一貫して、行動への移しやすさを重視しています。
それは、人間の脳は体がいったん動き始めると、
止まるにもエネルギーを消耗するため、していることを続けるのが
合理的だと判断する「作業興奮」と呼ばれる精神現象があるからです。
つまり、意欲がないから先延ばしにしてしまうのではなく、
始めないから意欲がわかないというわけです。
そのためにも、目標を簡単な「小さな単位」に分割して、
まず行動を起こし、それができてから次の単位に移すことが
本書では、徹底して説かれています。

本書で紹介されていた、元グーグル中国地区総裁の
李開復(リーカイフー)さんのエピソード。
李さんは、かつてアップルで働いていた時代がありました。
ある日、李さんは当時のCEOジョン・スカリーさんと一緒に、
アメリカの人気テレビ番組に出演し、
新しく開発された音声認識システムを紹介することになりました。
収録の前日、スカリーさんは李さんに尋ねました。
「成功確率はどのくらいだい?」
それに対する李さんの答えは、「約90%」。
するとスカリーさんは、さらにこう言いました。
「成功確率を99%まで上げてくれ」
翌日、李さんはスカリーさんに実演成功確率は99%だと言い、
実際に実演は成功しました。
スカリーさんは、「ごくろうだった。昨日はシステム変更で
大変だったろう?」と言って李さんをねぎらったそうです。
ところが、李さんはスカリーさんが驚くような返答をします。
「昨日のシステムと今日のシステムは同じです」
それでは、李さんが成功確率99%と言ったのはウソだったのでしょうか?
実は李さんが行ったのは、非常に簡単なこと。
それは、コンピューターを1台追加しただけのことでした。
1台がエラーを起こす確率は10%。
2台が同時にエラーを起こすのは、10%×10%=1%。
つまり李さんは、ただコンピューターを1台追加するだけで、
成功確率を90%から99%へ引き上げたのでした。
「言い訳する暇があったら、突発的な事態へ備える
“プランB”を考えなさい」
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