グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
(2011/12/08)
デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン 他 商品詳細を見る
満足度★★★
付箋数:21
変わり者の変わり者による変わり者のためのマーケティング本。
伝説的ロックバンド、「グレイトフル・デッド」。
1965年にサンフランシスコで結成し、
リーダーのジェリー・ガルシアさんが亡くなる1995年まで活動。
カウンターカルチャーを象徴するようなバンドです。
「ヒット曲もないし、ジョン・レノンやポール・マッカートニーや
ミック・ジャガーやキース・リチャーズみたいなスターも在籍していない。
そんなバンドなのですが、アメリカでとても人気があったのです。」
これは本書を日本に紹介した、監修の糸井重里さんの言葉。
確かに、グレイトフル・デッドはビルボードのヒットチャートを
賑わすことはありませんでしたが、「デッドヘッズ」と呼ばれる、
熱狂的なファンがいることでも有名なバンドです。
ビル・クリントンさんやアル・ゴアさん、ビル・ウォルトンさん
なども、デッドヘッズとして知られています。
もちろん、本書の著者であるデイヴィッド・ミーアマン・スコットさんと
ブライアン・ハリガンさんもデッドヘッズです。
お2人は、グレイトフル・デッドを今最も注目を浴びている
フリーやシェアなどの「ソーシャル・メディア」を使った
マーケティングと同じ手法を、1960年代から活用していたとして
本書で紹介します。
・レコードを売るためにライブをするのではなく、
ライブ自体で設けるビジネスモデルをつくり上げた。
・観客がライブ録音するのを許可するどころか、
良い音で録音できるテーパー・セクションを設けた。
そのため録音テープを交換し合うネットワークができあがった。
・熱心なファンにいち早くツアー情報を知らせるために、
1960年代からデータベースマーケティングを行った。
・ライブのチケット販売は外部に委託せず、直接販売し、
プロセスを管理した。
「グレイトフル・デッドはよそとは正反対のことをやる
“コントラリアン・マーケティング”の壮大なケーススタディなのだ。
彼らが行った革新的なマーケティングの数々は、
同時代のロックバンドがやっていることの、まさに正反対だった。」
本書は、デッドヘッズによるグレイトフル・デッドの礼賛本に
留まることなく、そのマーケティング手法を解説し、
現在同じような戦略を使っている企業の最新事例を紹介しています。
マーケティング手法としては、少し後づけ的な感じが
しなくもないですが、ビジネス書としては異質な
「ラブ&ピース」感が漂う、興味深い本になっています。この本から何を活かすか?
「○○にマーケティングを学ぶ」
この本が売れると、2匹目のドジョウを狙った本が、
どんどん出てくるのでしょうね。
グレイトフル・デッド以外にも、○○の部分に
当てはめることができる著名人や著名な集団は
まだまだ考えらそうです。
学ぶのも、別にマーケティングでなくてもいい。
その業界で、特異なことをやって人気を得たり
頂点を極めた著名人をビジネスモデルとして本を書く。
できれば、大衆化しすぎていないけれど、
それなりに知られている人をモデルにするのがいいでしょう。
学ぶべき教材は、いくらでもありそうです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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