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動的平衡2

動的平衡2 生命は自由になれるのか
動的平衡2 生命は自由になれるのか

(2011/12/10)
福岡伸一 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:28

ヒトとチンパンジーのゲノムを比較すると、
98%以上が相同で、ほとんど差がありません。

この2%足らずの遺伝子情報の違いも、
質を決める決定的なものではなく、
「てにをは」レベルの微細な差です。

仮に遺伝子操作によって、2%の差をヒトの遺伝子に書き換えても、
チンパンジーはヒトにはならないそうです。

それでは、いったい何が、ヒトとチンパンジーの
差になっているのでしょうか?

  「それはおそらく遺伝子のスイッチがオン・オフされる
  タイミングの差ではないか」

本書の著者、福岡伸一さんはこのように予想します。

遺伝子は確かにタンパク質の設計図だけれど、
オン・オフのスイッチとボリュームのつまみも付いている。

  「たぶん、遺伝子は音楽における楽譜と同じ役割を
  果たしているにすぎない。記された音符の一つ一つは同じでも、
  誰がどのように演奏するかで違う音楽になる。」

今から30年前に英国の動物行動学者、リチャード・ドーキンスさんは、
著書「利己的な遺伝子The Selfish Gene)」の中で言いました。

生物の唯一無二の目的は、子孫を残すために自己複製することであり、
私たち生物は遺伝子が自己複製するための乗り物に過ぎないと。

これが、現代まで主流となっている遺伝子原理主義です。

福岡さんは、利己的な遺伝子をあまり美しくないと感じています。

そして、生命を動かしている遺伝子以外の何かがあると考え
遺伝子原理主義に異論を唱えます。

そこで注目したのが、「エピジェネティクス」という考え。

「エピ」は外側、「ジェネティクス」は遺伝子の意味。

つまり、エピジェネティクスは遺伝子の外側で起きていることを指します。

これが、福岡さんが生命の本質は、絶え間ない流れと考える、
「動的平衡」と非常にマッチします。

本書は、生命が遺伝子から自由になれるのかを求める壮大な旅。

日本経済新聞や、ソトコトなどいくつかの雑誌に
連載したエッセイを集めて、加筆しているので、
部分によっては若干トーンが違い、不自然さを感じるところもあります。

しかし、そこは福岡さんの筆力によって十分にカバーされていますし、
あたかも本書自体が多様性を保全するための、
「動的平衡」によって上手くバランスしているようでもあります。

本書は、芸術色の濃い出だしでしたが、
福岡さんファンの期待を裏切らない一冊でした。

この本から何を活かすか?

  日本全国で咲く桜、「ソメイヨシノ」はクローン?

春になると美しく咲くソメイヨシノは、一代雑種。

これは異なる系統をかけ合わせた交配種で、
子孫を残す能力がほとんどないそうです。

ソメイヨシノは、天然の交配か発見されたか、
人為的に作り出されてかは定かではありませんが、
起源は江戸時代後期まで遡ります。

その後、明治期に入り、染井村の造園業者によって育成され、
全国に広がったそうです。

ソメイヨシノは子孫を残せないのに、
どのようにして、日本中に広がったのか?

それは、クローン技術。

ただし、そんな高度なものではなく、
昔から行われていた「挿し木」とう技術です。

なんと、日本中で咲くソメイヨシノは、
もともとたった1本のソメイヨシノを挿し木して増やしたもの。

ですから、北海道のソメイヨシノも九州のソメイヨシノも、
また、江戸時代のソメイヨシノもみな同じDNA指紋を持つそうです。

春になり、桜を見たときには、この話を思い出し、
江戸時代からの脈々とした生命の流れに思いを馳せたいものです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 
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