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資産フライト

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)
資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)

(2011/10/19)
山田 順 商品詳細を見る

満足度★
付箋数:13

  「ここ数年、この国では大きな変化が起こっている。
  それは、普通に暮らす人々には目に見えないため、
  ほとんど意識されていない。しかし、場合によっては、
  この国のあり方を変えてしまうかもしれない大きな変化である。」

著者の山田順さんが、言う大きな変化とは、
富裕層から一般の人までが、海外に資産を移す、
キャピタルフライトならぬ、「資産(アセット)フライト」。

2011年の東日本大震災以降、この動きは加速しているとのこと。

過去のレートと比較しても、現在は歴史的な円高ですから、
海外投資をする人が多くなっても不思議ではありません。

山田さんによると、富裕層や小金持ちに限らず、
一般のサラリーマンからOLまで、海外の銀行に口座を開き、
資産を移す人が増えているそうです。

そして本書の第1章は、香港の銀行HSBCに不法に
現金を持ち込む夫婦のルポで始まります。

夫婦でそれぞれ500万円ずつ機内に持ち込む様子から、
現地で入金するまでの様子が詳細にレポートされています。

実際に、海外の口座に現金持ち込みを考えている人にとっては、
参考になる内容だと思います。

また、偏りはあるものの、多くの取材をした上で、
山田さんが本書を執筆していることもよくわかります。

しかし、資産フライトが日本にとって大問題であると指摘しながらも、
山田さん自身は資産フライトを推奨しています。

これは、本書のサブタイトルを「増税日本から脱出する方法」と
していることからも分かるでしょう。

日本の税制や金融制度には問題がある。
だから、日本にとってはダメージになるけれど、
あなたも早く資産フライトしないと危ないですよ、という論調です。

そして、何より問題なのが、山田さんが考えている
経済の前提が間違っていること。

山田さんは、為替レートは国力やGDPを反映したもなので、
下り坂の日本の通貨は、安くなると考えているようです。

山田さんは経済の専門家でもありませんし、
実際にマーケットに参加しているわけでもありません。

すべて取材や人から聞いた話をもとに本書をまとめているので、
こういった誤解が生じてしまったのでしょう。

本書はけっこう売れているようなので、
これから手にとる方も多いかもしれません。

しかし、そういった点を踏まえて、
本書にあまり踊らされてはいけないと思います。

この本から何を活かすか?

本書でも、海外投資の分野で誰よりも信頼できると
紹介されていた橘玲さん。

かつて橘さんが「海外投資を楽しむ会」で、
ゴミ投資家シリーズを執筆していた頃、
海外の口座を開設することは、未知の世界に踏み出すような
ワクワク感がありました。

まだ、20世紀だった頃の話です。

しかし、現在の橘さんは、トーンダウンして
一般の人にまで海外口座の開設をすすめていません。

それは、日本にいながらも海外のETFが
手軽に買えるようになったからです。

本書でも、一応、ETFについて触れていますが、
これは橘さんの「古い本」の受け売りのようです。

どうせ、受け売りするなら、橘さんの新しい本
大震災の後で人生について語るということ」を参照して、
誤った情報を伝えないようにして欲しかったすね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 本読みの記録 | 2011/12/29 16:22 |

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