グラミンフォンという奇跡
グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]
(2007/07/12)
ニコラス サリバン 商品詳細を見る
満足度★★★★
付箋数:24
目の前に、食べ物に困っている人たちが大勢います。
あなたは、この人たちに何を与えるべきでしょうか?
食べ物を与えることもできるでしょう。
それで彼らは少し生きのびることができます。
しかし、与えた食料を食べ尽くしてしまったら、
また新たな食料を与えなくてはなりません。
次に、食料ではなく「牛」を与えたらどうなるでしょうか?
牛はミルクをつくります。
つくったミルクを売ってお金に換える。
これは一時的な施しではなく、仕事を与えたことになり、
この仕組みで生活ができるようになります。
それでは、「牛」を「携帯電話」に代えてみたら?
「ここはバングラデシュだ。みな食べるものにも不自由している。
電話を使って何をするのだ」
これはイクバル・カディーアさんが、
バングラデシュで携帯会社を起業する準備のため、
統計局長官にデータ提供を求めたときに言われた言葉。
世界で最も貧しい国のひとつ、バングラデシュ。
その国では多くの人々が1日2ドル未満で暮らします。
しかし、カディーアさんは次のように考えました。
「私は、<つながること>はすなわち生産性なのだと気付いた。
それが最新のオフィスであろうと、発展途上国の村であろうと」
カディーアさんが考えた、貧困の国で電話を普及させる
ビジネスモデルは、次のようなものでした。
まず、グラミン銀行からマイクロクレジットで融資を受けた
各農村の女性起業家(テレフォン・レディ)が、携帯電話を保有する。
次に、彼女達は村人たちに携帯電話を使ってもらい、
その利用料金でローンを返済し、収入を得る。
こうすることで、25万台のビレッジフォンが、
1億人の通信手段として普及しました。
これが、「牛の代わりに携帯電話」というビジネスモデルです。
本書は、イクバル・カディーアさんがバングラデシュで
携帯電話会社グラミフォンを成功させた物語。
しかし、単に起業のストーリーではなく、
その作り上げたビジネスモデルが経済を活性化し、
貧困問題を解決する仕組みとして紹介されています。
また、グラミンフォン以外の事例も取り上げ、
BOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)の
ダイナミズムが世界を変える可能性があることを伝えます。
本書は2007年7月刊行の本。
私は、読む時期を逸していて、ずっと気になる本だったんですが、
やっと読むことができました。この本から何を活かすか?
「カディーアは、人々が黒と見るときに白と見るような
才能を持っていた。彼は、魅力的でないもの
-困窮しているお粗末なビジネス-
こそが、実は魅力的な投資対象となることを知った。」
本書はBOPの成功したケースですが、
発想の転換として刺激的でした。
バングラデシュだからできたのではなく、
バングラデシュでもできたと考えると、
日本の今の閉塞感を打ち破るアイディアや
ビジネスモデルが発想できるかもしれません。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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