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大震災後の日本経済

大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント
大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント

(2011/05/13)
野口 悠紀雄 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:27

震災後の日本経済が直面する問題の基本。
それが「クラウディングアウト」。

本書では、経済学になじみのない方のために、
次のような喩え話で説明されています。(所々省略して引用)

  100室の部屋があるホテルを想像していただきたい。
  客が70組しかいなければ、30室は使われないままだ。(不完全雇用)

  こうした状態で必要なのは、客を勧誘することである。(有効需要の創出)
  空き部屋がある状態では、客が増えれば、ホテルの収入は増える。

  ここ数年、それまでの常連客だった「輸出」という名の客が
  来なくなってしまったので、ホテル支配人は新規客の開拓に必死だった。

  さらに、「国債」という名の客が増えてきた。
  それでも、ホテルが満杯になることはなかった。
  なぜなら、「貸出」という客が減り続けていたからである。

  ところが、ある日地震が発生し、20部屋がつぶれてしまった。

  全壊した他のホテルから客(復興投資)が押し寄せてくると、溢れてしまう。

  ホテルにとっての問題は、いまや「空部屋があって困る」ことではなく、
  「客がつめかけて、部屋が足りない」ことになってしまったのだ。

  これまで減り続けていた「貸出客」が戻ってきた。
  それだけではない。「国債客」も増えた。
  さらに、このところ姿を見せていなかった「住宅客」まで押し寄せてきた。

  ホテルの部屋数は地震で減ってしまったので、
  増加した客をすべて収容することはできない。
  つまり、混乱現象が生じたのだ。

これが、混雑によって押し出されてしまう「クライディングアウト」。

本書で野口悠紀雄さんは、頭を180度切替えるように迫ります。

今までの、「需要不足」から、これからの「供給制約」へと。

今回の震災によって受けたダメージにより、
国内生産はある程度縮小せざるを得ない状況になります。

しかし一方で、復興のための投資を増大しなければならない。

つまり、「電力制約」というボトルネックが生じ、
国内生産を増やせない条件の中で復興投資を増やすには、
他の需要項目を減らす必要があるということ。

先ほどのホテルの喩え話で、押しかけてくる客を処理するための
合理的な方法として野口さんが提案するのは、部屋代を引き上げることです。

具体的に言うと、電気料金の引き上げ、またはそれへの課税。
そして、金利上昇と、それによる円高です。

円高を容認して輸入を増やせば、
間接的に海外の電力を買うこと同じ意味を持つとの主張です。

本書では、マスコミで盛んに煽られる感情論を排し、
マクロ経済の視点で日本の復興方法を論じています。

ただし、本書での主張があまりにも冷静すぎて、
被災者である日本人が、野口さんの提案を受け入れるには、
もう少し時間を要するようにも感じました。

この本から何を活かすか?

  「1ドル=50円台でも揺るがない経済を作る」

野口さんは、日米のインフレ率を考えると、1ドル=57円。
耐久財価格、あるいは金利平価で考えても、
1ドル=80円では、4割ほど円安であるという結論を導いています。

よって、日本に求められるのは産業構造を変え、
1ドル=50円台でもびくともしない経済を作ること。

個人的に考えなくてはならないのは、
1ドル=50円台になったとしても、マーケットから退場しない
ポジションサイジングです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 06:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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