ホリエモンの宇宙論

ホリエモンの宇宙論
(2011/04/19)
堀江 貴文 商品詳細を見る
満足度★★★★
付箋数:27
ジェフ・ベゾスさん(アマゾン創業者兼CEO)
ジョン・カーマックさん(id Softwareの共同設立者)
イーロン・マスクさん(PayPal社の前身X.comの共同設立者)
サーゲイ・ブリンさん(Googleの創業者、技術部門担当社長)
そして堀江貴文さん(元ライブドアCEO)
こららのIT長者に共通することは何か?
年齢は、ベゾスさんが少し上で、他の4人はほぼ同世代。
実はこの5人、宇宙に投資しているという共通点を持ちます。
堀江さんは、共通する理由はよく分からないとしながらも、
次のように推察しています。
アポロ計画が終わって、国が主導する宇宙開発に
夢がなくなった時期に子供時代を過ごしたため、
国なんかに任せていては、自分は宇宙に行けないという思いが、
ITで成功して十分なお金を手に入れた後に、
宇宙への投資を駆り立てたのではないかと。
本書は、民間人の手による民間人のための宇宙開発論。
「私たちは、宇宙開発は国がやるものだと漠然と思い込んでいる。
確かに今までの目立つ宇宙計画はほとんどが国の予算で実行されてきた。
だから私たちは忘れてしまったのだ。
宇宙開発ができるのは国だけじゃないということを。」
堀江さんは、非常にマジメに宇宙ビジネスについての
想いを語っています。
他の著書がマジメに語っていないという訳ではありませんが、
本書は明らかに違います。
その意味では、いつもの堀江さんを期待して読むと、
ちょっと拍子抜けするかもしれません。
しかし、私にとっては、新たな一面を見たように感じ新鮮でした。
本書で堀江さんは、宇宙開発の歴史を振り返り、
民間の役割と政府の役割を真剣に論じたうえで、
未来の宇宙ビジネスについての夢を語っています。
確かに、専門家からすると、何をバカな、
と思われるようなことも書かれています。
しかし、そこに熱い想いがあり、明確なビジョンが示されているので、
いつものような軽さは感じられません。
「私たちは知っているものの延長線上に未来を考えがちだ。
でも実際には、今は存在しないものが未来を作っていく。」
単なる金持ちの道楽じゃないの
といった偏見を一蹴する渾身の一冊。
私が読んだ堀江さんの著作の中では、
本書が一番可能性を感じました。

「必要なのは固定観念を変えることだ。
人間一般の想像力は意外なくらいに乏しい。(中略)
だから私たちは、どんなバカげたように聞こえる話でも、
一応の筋が通っているならば、まずは受け止めてきっちりと考え、
前に進んでいく必要がある。
大切なのは、『今はこうだ』という現状ではなく、
『これからどうしたいか』という希望・野望だ。」
これは本書の中で、私に刺さった言葉です。
刑期を終えた後も、堀江さんの宇宙への想いが
変わらないことを望みます。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
- 関連記事
-
- 金の空想科学読本 (2011/05/28)
- ホリエモンの宇宙論 (2011/05/25)
- ノーベル賞でたどる アインシュタインの贈物 (2011/05/16)