ニッポンの書評

ニッポンの書評 (光文社新書)
(2011/04/15)
豊崎 由美 商品詳細を見る
満足度★★★
付箋数:21
光文社のPR誌「本が好き!」で、
2008年7月号から2009年11月号まで連載された
「ガター&スタンプ屋ですが、なにか? わたしの書評術」を
加筆訂正してまとめた本。
「プロの書評家」としての豊崎由美さんの、
書評への熱き想いが語られています。
豊崎さんは、池袋コミュニティ・カレッジで7年間、
書評講座を開講しているそうです。
その講座を担当するうちに生じた、自らの書評観の揺らぎ。
そして、世間に溢れる素人書評ブロガーや、
アマゾンレビュアーへの憤りなどが綴られています。
「批判は返り血を浴びる覚悟があって初めて成立するんです。
的外れなけなし書評を書けば、プロなら“読めないヤツ”という
致命的な大恥をかきます。でも、匿名のブロガーは?
言っておきますが、作家はそんな卑怯な“感想文”を今後の執筆活動や
姿勢の参考になんて絶対にしませんよ。
そういう人がやっていることは、だから単なる営業妨害です。」
プロ書評家としての意地が、少し前面に出すぎていますが、
それは書評に対する熱い想いがある証し。
いろんな意味で豊崎さんの危機感も伝わってきますね。
また、豊崎さんはプロアマ問わず、
ネタバレ書評を書く人へも攻撃的に批判を行っています。
この点については、私も本についてのブログを書くうえで、
気をつけなければならないと、あらためて感じました。
また、「新聞書評を採点する」とう面白い企画もあります。
豊崎さんは、2009年4月26日に大手新聞6誌に掲載された、
署名入り書評43本を、ズバリ評価しています。
個人的には、豊崎さんからD評価の烙印を押された方より、
特A評価された作家の小野正嗣さんに注目したいところです。
小野さんの書評は、自分が100回生まれ変わっても
書くことのできない傑作書評と、豊崎さんから評されています。
本書には、その書評の全文が引用されていますが、
もっと小野さんの書評を読んでみたくなりました。

「トヨザキ流書評の書き方」
1.カバーをはずす。
2.小さく切った付箋を見返し左上部分に貼っておく。
3.三色ボールペンで気になったところをカギカッコで囲んだり、
線を引きながら読み、その行の頭に付箋を貼る。
4.最後まで本を読み終えたら、付箋のところだけ読み返し、
書評を書くために必要なページに小さな白い紙をはさんでいく。
この作業の過程で、豊崎さんの頭には、
書評の見取り図ができ、あとはパソコンに向かえば、
すぐに書き始めることができるそうです。
あとは、指定文字数の倍以上の分量を書き、
削っていくのがポイント。
このブログは正確には書評ブログではありませんが、
多めに書いて削るという工程は、ぜひ参考にしたいところです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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