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世界経済を破綻させる23の嘘

世界経済を破綻させる23の嘘
世界経済を破綻させる23の嘘

(2010/11/19)
ハジュン・チャン 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:30

原題「23 Things They Don\'t Tell You About Capitalism
(資本主義について語られない23の事)

本書は、まことしやかに語られる自由市場主義の常識を否定し、
資本主義には本当に何が必要なのかを語ります。

扇動的ではありませんが、かなり刺激的。

著者は、韓国出身で現在は英ケンブリッジ大学で
開発経済学を教えるハジュン・チャンさん。

チャンさんは、ノーベル賞を受賞した
経済学者の主張であっても、冷静に、
そして、説得力ある数値を示し、反論を行います。

チャンさんが嘘だとする23の事項の内、
私が気になったものを5つほど挙げてみます。

 ・第1の嘘 
   よく言われること-市場は自由でないといけない
      だが真実は-自由市場なんて存在しない
 ・第4の嘘 
   よく言われること-インターネットは世界を根本的に変えた
      だが真実は-洗濯機はインターネットより世界を変えた
 ・第13の嘘 
   よく言われること-富者をさらに富ませれば他の者たちも潤う
      だが真実は-富は貧者にまでしたたり落ちない
 ・第17の嘘 
   よく言われること-教育こそが繁栄の鍵だ
      だが真実は-教育の向上そのものが国を富ませることはない
 ・第22の嘘 
   よく言われること-金融市場の効率化こそが国に繁栄をもたらす
      だが真実は-金融市場の効率は良くするのではなく
               悪くしないといけない

私は、第17の嘘「教育こそが繁栄の鍵だ」を
固く信じていることがあります。

トニー・ブレア元英首相の「一に教育、二にも三にも教育」
という主張にも激しく同意していました。

しかし、それを裏付ける事実があるかと問われると
ちょっと言葉に詰まってしまいますね。

  「“教育の向上が国を富ませる“という当たり前のように思える主張を
  裏付ける証拠がほとんどないのはどういうわけか?

  それは端的に言えば
  “生産性の向上にとって教育はわたしたちが思っているほど
  重要ではないから”である。」

更に、チャンさんは「スイス・パラドックス」の例を示し、
高等教育の向上が国の繁栄に関係していないことを示します。

最初はそんなことはないだろうと思って読んでいても、
チャンさんは淡々と事実を挙げて反証してきます。

次第に逃げ場がなくなり、
最後に残るのは、将棋で詰まれたような感覚。

目から鱗というよりは、本当にそうかな?
と疑問も残る点もあります。

しかし、これからの世界経済を考える上で、
複眼的な視点を与えれくれる良書だと言えます。

この本から何を活かすか?

疑うことの大切さ。

本書で語られる23の真実は、いずれも興味深いものですが、
これらもすべて鵜呑みにすべきではないと思います。

私も、一旦は、チャンさんに詰まれましたが、
理論の飛躍はないか、その事実で反証したと言えるのかなど、
もう一度、批判的な目を持って、読む必要がありそうです。

個人的には竹中平蔵さんとチャンさんの
対談を見てみたいですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 06:43 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして、つい最近おなじ本を読んでから色々考えてみたかったので、検索をかけて辿りつきました。
たしかに第十七章の「教育が国を富ませる」については違和感を覚えないではありません。まず何をもって教育の充実ととらえるのか(大学進学率か中等教育のカリキュラムの難易度か)、そして国の繁栄はGDPでとらえればよいのか、ジニー係数なども考慮するのか、しんけんに議論しはじめると本の一チャプターではスパッと片付けられる問題じゃないですよね。ただ私が思うには、仮にハジュン・チャン氏の述べていることが正しかったとしても、それなら教育には金を使う必要がないと考える必要はない、と感じました。教養や知識は富を得る手段であると同時に、人が豊かになろうとする目的でもあると思うからです。
スウェーデンのバス運転手さんがインドのバス運転手さんより稼いでいるのは移民を規制しているからですが、だからといって移民の規制を撤廃するべきかどうかは別なのと同じだと思います。実際この辺りでは著者も移民の規制を止めろとか教育が無駄だとまでは言っていませんから。それに著者の考えはともかくとして国が国民に最大限良質の教育を提供するのは国の義務であって、それを国を富ませるかどうかの手段としてばかり捉えるのも良くないと思いました。

| sparkling_tea | 2011/02/08 03:21 | URL | ≫ EDIT

sparkling_teaさん

個人的にはすべての意見に賛同できなくても、
本書のように考えるきっかけを与えてくれる本は、
私にとっては良い本です。

教育とはどうあるべきか?
それは国を富ませる手段だけなのか?

私も色々と考えさせられました。

| ikadoku | 2011/02/17 06:35 | URL |















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