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働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

(2010/12/21)
長谷川英祐 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:22

アリといえば、働き者の代名詞。

私も娘も観察セットで、アリを飼育したことがありますが、
いつ見ても一生懸命に働いているので、
その働きぶりに感動していました。

しかし、本書の著者、長谷川英祐さんらの研究によると、
実は働いているアリは、たったの2割。

7割のアリは、ただうろちょろしていたり、ボーっとしていて、
残り1割のアリは一生働かないことがわかりました。

やはり、アリの社会においてもパレートの法則は
当てはまっているようです。

その事実が広く知られていれば、
イソップの「アリとキリギリス」という
名作童話も生まれなかったかも知れませんね。

一見、何もせず、コロニーの役に立っていない働かないアリ。

しかし、その働かないアリがいるからこそ、
コロニーの生存確率が上がっているそうです。

  ・いったい、働かないアリにどんな存在意義があるのか?
  ・なぜ、上司のいないアリの社会はうまくいくのか?
  ・アリは、どうやってエサの場所までの効率的ルートを見つけるのか?
  ・働きアリは、どうして子を生まないのか?

本書では、こういった疑問への回答を示すと同時に、
ムシの社会と人間社会との共通点を映し出し、
思わずニヤリとさせてくれます。

ただし、本書のスタンスは、あくまで「科学書」。

アリの社会がこうだから、人間社会もこうするべきといった、
押し付けがましい意見は書かれていません。

研究によって分かった真社会性生物に関する事実や、
考えられる仮説を一般の人にも分かりやすく伝える
好奇心を刺激する一冊です。

ちなみに、真社会性生物とは、集団をつくる生き物の中でも、
特に階層や役割分担など高度な社会性を持つ生物です。

以前は、ハチ、アリ、シロアリくらいしか
知られていませんでしたが、現在では、アブラムシ、
ネズミ、エビ、カブトムシ、カビなどの中にも
真社会性を持つ生き物がいることが分かっているようです。

この本から何を活かすか?

生物の組織の存続に、「多様性」は欠かせません。

多様性がないと、伝性病に弱く、
分業もスムーズにいかないからです。

ここに移民国家であるアメリカの強さと、
国民の指向性が似かよった日本の弱さが
出ているのかもしれません。

金融危機という伝性病からも比較的早く立ち直った
アメリカ経済の強さは、その多様性にあったと
考えることもできそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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