「システム思考」教本

もっと使いこなす!「システム思考」教本
(2010/09/23)
枝廣 淳子 小田 理一郎 商品詳細を見る
満足度★★★
付箋数:27
2007年に刊行された、「システム思考」の入門編である
「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」の続編。
といっても、私は前著を読んでいないので、
この本で初めて「システム思考」を知りました。
システム思考とは、見えている部分だけでなく、
要素のつながりをたどって全体の構造を見ることで、
真の解決策を見つけるための考え方。
そのために、最も重要なことが視点を変えること。
自分の固定された視点から抜け出し、
全体像を把握することで、問題の原因を探ります。
驚くべきことに、本書ではプライベートな個人の問題から始まり、
組織の問題、事業戦略の問題、そして社会の問題まで、
30以上のシステム思考の事例が紹介されています。
これは、その問題がどういう範囲で起きているかに係わらず、
解決の根本は一緒ということです。
本書では、扱う範囲が広いので、
個々の問題の具体的な解決方法までは踏み込まず、
あくまでも思考法を取り入れるということで、
解決のヒントを提示するに留めています。
ですから、たまたま採り上げられてたケースが、
自分の抱える悩みと一致した場合は、
もっと詳しく聞きたいと思うかも知れません。
また、システム思考では、視点を変えるためにツールを使います。
氷山モデル、時系列変化パターングラフ、ループ図、
ストック/フロー図、システム原型、推論のはしご、左側の台詞、
関係性マップ、ダイアログ、U理論、学習する組織
本書で紹介されているのは以上の11ツール。
端的に言って、これらのツールは
問題の因果関係を読み解くために図解するものです。
シンプルで分かりやすい図なので、
これだけをプレゼン資料などで活用することもできそうです。
本書でちょっと残念なのは、表紙のデザイン。
意味不明な表紙のおかげで、何か違う分野の本だと思い
手にしない方も多いのではないでしょうか。

本書の事例から1つ紹介。
1980年代、タイのバンコクでは増え続ける「野良犬」の
一掃を図るため、大量に捕獲しては避妊手術を施す政策を実施しました。
この避妊大作戦により、繁殖率は死亡率より低く抑えられましたが、
野良犬の数は一向に減りませんでした。
一体、それはどうしてか?
実は、野良犬の増加は、繁殖率以外にも原因がありました。
それは、バンコクの周辺地域からの流入。
そもそも、野良犬が増えた原因は、
バンコクでは食堂の食べ残しを野良犬に振る舞う習慣があったから。
それゆえバンコクは、野良犬にとっては絶好の生息地となり、
避妊手術によっていくら自然増加数を抑えても、
それ以上に他の地区からの流入があったようです。
本書では、システム思考で潜在的な構造にメスを入れる事例として、
テロ組織の撲滅の事例と共に解説されています。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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