活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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AI時代の新・ベーシックインカム論

満足度★★★★
付箋数:24

  「現在、世界ではベーシックインカム(BI)に
  関する議論がかつてないほど盛り上がっている。
  その背景には、人工知能(AI)やロボットが
  多くの人々の雇用を奪うようになるのでは
  ないかという予想がある。
  日本でもこうした議論がなされるように
  なってきたので、いずれBIが導入されるだろう
  と私は楽観的に考えている。
  だが、できる限り早くBIを導入するには、
  この制度を多くの人々に知ってもらう必要が
  ある。本書は、まずはそのために書かれている。」

これまでに、『人工知能と経済の未来』や
ヘリコプターマネー』などの著書がある、
駒澤大学経済学部准教授の井上智洋さん。

本書は、AI時代におけるBIのあり方につて、
井上さんが多角的に考察した本です。

最近は、BIに関する本も多く出ていますが、
まずはBIの基本的な制度について、
念のために確認しておきましょう。

  「私はしばしば、BIを “子ども手当+大人手当、
  つまりみんな手当” と表現している。
  例えば、毎月7万円のお金が老若男女を問わず
  国民全員に給付される。世帯ごとではなく
  個人を単位として給付されるというのも重要な
  特徴だ。」

無論、B財源の確保が必要となりますが、
BIは生活保護に比べてもコストは安上がりで、
優れているといいます。

なぜなら、生活保護は、申請者の収入や財産を
調べなければならず、この救済に値する者と
そうでない者を選別するコストが、
馬鹿にならないほどかかっているからです。

一方、BIは受給者を選別しないので、
その分のコストはかかりません。

そして、今言われているのが、
2030年頃に汎用AIが出現し、2045年頃までに
普及すると、多くの人の雇用が奪われる
可能性があることです。

その時に残っているのは、クリエイティビティ、
マネージメント、ホスピタリティ(CHM)に
関する仕事だけ。

そういった仕事ですら、半分はAIに奪われて
いてもおかしくありません。

CHMに関わる仕事の半分しか働いていないと
すると、それは全人口の1割ほどにしか
なりません。

井上さんは、そのような状態になった社会を
「脱労働社会」と呼んでいます。

脱労働社会においては、収入源を絶たれた
9割の人を救うために、BIのような普遍的な
社会保障制度が必要になるのです。

BIの導入において、財源の確保以外でもう1つ
問題になってくるのは、私たちの勤労美徳です。

それは「働かざる者食うべからず」という考え。

この勤労美徳に関して、井上さんは次のように
述べています。

  「そもそも労働意欲がないこと、怠惰である
  ことはそんなに罪深いことであろうか?
  AIが高度に発達し、BIが普及した未来の社会
  である “脱労働社会” では、むしろ勤勉で
  あることは今ほど美徳ではなくなるだろう。
   “脱労働社会” は、今日の “社畜” などと
  呼ばれ猛烈に会社に奉仕する人たちに
  とっては、大変残念は社会となる。
  労働に生きがいを感じるそうした人々は、
  早晩価値観の転換を迫られるだろう。」

では、労働がなくなった未来の社会では、
人々は何をして過ごすのでしょうか?

そのヒントは古代ギリシアの社会にあります。

アテネのようなポリスの市民は、労働を
忌み嫌い奴隷に任せて、自分たちは政治や
芸術、学術、スポーツに勤しんでいました。

脱労働社会が、古代ギリシアのような
活気に満ちた社会になることが予想されます。

しかし、そうならないシナリオを井上さんは、
1つだけ挙げています。

それは、発達したヴァーチャルリアリティ
(VR)にハマる人が多数でること。

VRにハマり続ける人が続出すると、
活力がない退廃した社会になってしまう
リスクがあると指摘されています。

この本から何を活かすか?

本当にBIは実現できるのでしょうか?

井上さんは、次のようなロードマップを
描いています。

  「日本が今すぐにでも導入すべきなのは、
  国債を財源にしたお金の給付である。
  既存の制度をそのままにして、
  1年目には国民全員に毎月1万円の給付、
  2年目には毎月2万円の給付という形で、
  給付額を年々増大させていくような
  ロードマップが考えられる。
  目標額は例えば7万円である。
  もちろん、その国債は日銀が買い入れる
  ことになる。」

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