活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2018年04月 | ARCHIVE-SELECT | 2018年06月

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素人力 エンタメビジネスのトリック?!

満足度★★★
付箋数:20

あなたは、TV番組のプロデューサーというと、
どのような人を想像しますか?

肩にカーディガンを引っ掛けて、
風を切って偉そうに歩く人。

こんなステレオタイプなイメージを持っているなら、
すぐに改めたほうがいいかもしれません。

実際のプロデューサーは、責任だけを負わされ、
日々板挟みで、胃の痛い職業のようです。

本書の著者、長坂信人さんは、秋元康さんと
知り合いだったことから、業界経験ゼロ、
まったく素人だった状態からプロデューサーに
なった方です。

  「本書は、たいした志もなく成り行きで
  映像業界に足を突っ込み、素人プロデューサーを
  経て素人社長となった私が、その仕事人生の
  なかで、素人なりに見つけた仕事術や、
  偉大な先輩・恩師から学んだことをまとめた
  ものです。」

長坂さんが代表取締役を務める映像制作会社、
オフィスクレッシェンドは、監督、演出家、
プロデューサー、作家など70名を抱える
クリエーター集団です。

「金田一少年の事件簿」や「トリック」、
「20世紀少年」、「JINー仁ー」などの
ヒット作を多数生み出している制作会社です。

監督では、堤幸彦さんなどが所属していますね。

長坂さんは、初めは素人だったと言っても、
20年以上も会社を率いていますから、
そこには何かしらのノウハウがあるはずです。

その素人なりの強みを活かすノウハウを
長坂さんは、「素人力」と表現しています。

素人力は、次の十か条にまとめられています。

 1.「まさぐりの砂」であれ
  偉い人にイジられることが存在意義という
  こともある。

 2.「偶然は必然」と知る
  ある誰かと知り合えたり関われるのは、
  その人と関わるべき準備ができていたから。

 3.「きっかけ」を大切に
  人との出会い、仕事のとの出会いも
  すべて「きっかけ」。

 4. 最後まで人の話を聞く、言い訳を聞く
  ヘタに問題解決法をあれこれ考えるより、
  まずは相手の話を遮らずに聞く。

 5. 相手の顔を見て、そこで何かに
  気づくくらいの心配りを
  メンバーを一瞥しただけで異変に気づける
  くらい、普段から観察しておくべき。

 6.「物事の正解はひとつではない」と知る
  ある業界でダメでも別の業界で成功する
  こともある。

 7. スタートが遅れても焦るな
  外野の声に惑わされることなく、
  自分の適材適所を見つけて鍛錬する。

 8. 失敗も肥やしになる
  「負け」は必ず経験しておくべき。

 9. マーケティングなくして利益はない
  プロダクトアウトからマーケットインへ。

 10. 知識なくして知恵は生まれない
  なんでもやってみようという経験が
  知識を蓄え、豊富な知識が知恵を生む。

この十か条は、映像制作業界だけの
ノウハウではないと思います。

新しいことを始めるときは誰でも
最初は素人なので、長坂さんのノウハウは
どんな業界の人でも、活用することが
できるでしょう。

この本から何を活かすか?

仲間由紀恵さんと阿部寛さんの主演で
大ヒットしたテレビドラマ「トリック」。

シリーズ化され、映画化もされた作品ですが、
その第1シリーズは「大赤字」だったそうです。

なぜなら、「トリック」は、やたらと
「屋外ロケ」が多い作品だったから。

実写ドラマでは、スタジオで撮影するよりも、
屋外ロケの方が、比べ物にならないくらい
圧倒的に費用がかかるようです。

本書では、映像制作業界の裏話も豊富に
紹介されていて、読者を飽きさせません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 09:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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働く大人のための「学び」の教科書

満足度★★★
付箋数:25

私たちは、なぜ、学び続けなければならないのか?

以前の世界は、安定的で変化のスピードは、
あまり速くありませんでした。

そのため、人が一生のうちに過ごす社会は、
せいぜい1つでした。

その社会で、一度しっかり学んで、子どもから
大人になってしまえば、私たちはそのまま、
大人でいることができました。

しかし、現在の進歩する世界では、人が一生に
おいて過ごす社会は1つではありません。

時間と共に世界は変わるので、大人になってから
時代が変わってしまうと、新しいルールを
一から学び直さなくてはならないのです。

つまり、大人になっても、何も学ばなければ、
次の時代の子どもに抜かれてしまいます。

今や学び続けなければ、大人が大人のままで
いられない世界になっているのです。

しかし、ここで重大な落とし穴があります。

それは、私たちは「大人の学び方」を誰からも
教わっていないということです。

  「大人が、新世代の子どもレベルに堕して
  しまわないためには、来し方を振り返り、
  未来を構想し、次のステージに自らを
  振り向ける。つまり、学び続けていくことが
  必要になるのです。
  かくして本書は、学校では教えてくれなかった
  効果的な “大人の学び” を取り扱って
  いきます。」

著者は、東京大学 大学総合研究センター准教授
の中原淳さんです。

本書は、中原さんがこれまで行ってきた
人材研究のアカデミックな知見に基づいて
書かれた「大人の学び方」を指南する本です。

まず、示されているのは学びの「OS」に当たる
3つの原理原則です。

1. 背伸びの原則

 実現は難しいけれど、なんとか頑張れば、
 やれそうなことに挑戦する。

 その中でも、楽しみを感じ、誰かに感謝される
 ことを見つけてチャレンジします。

2. 振り返りの原則

 「振り返り」は経験を学びに変えます。

 定期的に次の3つの問にで振り返ります。

  What?「過去に何が起こったのか?」、
  So What?「どのような意味があったのか?」
      「何がよくて何が悪かったのか?」
  Now What?「これからどうするのか?」

3. つながりの原則

 人は、一人で変わっていくには限界があります。

 他者とのつながりには学びがあるので、
 成長には他者からの支援は不可欠なのです。

学ぶためのOSを実装したら、アプリケーション
に相当する「7つの行動」を身に付けます。

 行動1  タフアサインメント=タフな仕事から学ぶ
 行動2  本を1トン読む
 行動3  人から教えられて学び
 行動4  越境する
 行動5  フィードバックをとりに行く
 行動6  場をつくる
 行動7  教えてみる

私たちは、行動しなければ、今後の可能性や
今後の変化の方向性がわかりません。

ですから、失敗しても成功しても、
行動することなしに、学べないのです。

ただし、これら7つの行動は「すべてやるべき」
というものではないようです。

自分に足りていないものや、手の届きやすい
ものから実践すればいいと説明されています。

人生100年の時代と言われていますから、
これからますます、「大人の学び方」は
必要になってきます。

本書は、そんな時代でも生き残っていくための、
大人の学びの教科書です。

この本から何を活かすか?

中原さんは、大人の学びには「本を読む」ことが
欠かせないとして、その利点を2つ挙げています。

1つ目の利点は、本を読むと、自分のなかに
「地図」が持てるようになります。

本を読めば読むほど、広い地図を持てるのです。

2つ目の利点は、他者の経験や思考を代理学習
することができること。

もちろん直接経験することの方が学びの効果は
大きいですが、時間とお金のコストがかかります。

その点、本を読むと、学びの効果は直接経験より
少ないものの、圧倒的コストがかからず、
効率よく学ぶことができるのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 勉強法 | 05:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ムダゼロ会議術

満足度★★★★
付箋数:27

日経BP社の日野さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

なぜ、SMAPは打ち上げに木村拓哉さんを
呼ばなかったのか?

2016年12月、誰もが国民的アイドルと認めた、
SMAPが解散しました。

その年の大晦日。

毎年のように出場していたNHK紅白歌合戦に、
彼らの姿はありませんでした。

そのとき、彼らはどこにいたのか?

各メディアでも報道があった通り、彼らは都内の
高級焼肉店で打ち上げパーティーを開いていました。

集まったのは、リーダーの中居正広さん、
稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さん、
それに元メンバーの森且行さんの5人でした。

その宴には、木村拓哉さんはいませんでした。

本書の著者、横田伊佐男さんは、木村さんが
いなかった理由に、次のような仮説を立てました。

  「グループ解散の節目に打ち上げを企画したのは
  リーダーの中居正広氏。中居氏は、元メンバーの
  森氏には声を掛けたが、木村氏には声を
  掛けなかった。なぜななら、木村氏を呼んで
   “数” を揃えるより、1人欠けてでも雰囲気を
  守る “和” を重視したのではないだろうか。
  (中略)大晦日に集まる目的が “形式上の集合” 
  ではなく、 “最後に笑いあって終わること” だと
  すれば、中居氏の判断は適切ではないだろうか。」

本書は、ムダにあふれた「メタボ会議」を
なくすための本です。

なぜ、会議本なのにSMAPの打ち上げの話を
したかと言うと、ここに学ぶべきことが
あるからです。

ダメな会議の1つの特徴は、「なぜ、あの人が?」
と思える、不要な人が集まっていることです。

会議を招集する役目の人は、
明確な意志を持って木村さんを呼ばなかった、
中居さんから学ぶ必要があるのです。

しかし、SMAPの場合は、これから木村さんと
一緒に仕事をしなければ問題ありませんが、
会社の会議では、不要な人でも呼ばないと、
軋轢が生じてしまう可能性があります。

会議のことを全く知らせず、後から、
「それ、聞いてないよ」となるのが最もマズイ。

では、呼びたくない人に、どのようにして、
「仲間はずれ感」を感じさせずに、
会議への参加を断ったらいいのでしょうか?

すれ違いの立ち話でもいいので、たった10秒、
口頭で次のように伝えます。

  「あ、あの件ですが、関係当事者だけで
  打ち合わせしておきます。ご多忙かと思います
  ので結果だけ共有させていただきますね。
  何かありましたご意見いただけますか」

そして、会議が終わった後は議事録を
メールで送っておけばいいのです。

本書は、すべてのビジネスパーソンが抱える
会議の悩みを解決します。

会議の悩みとは、次の4つに集約されます。

  ・会議の時間が長い
  ・会議の中身が薄い
  ・会議で何も決まらない
  ・会議で発言がない

これらの悩みを解決して、あなたの職場の
「長くて薄い会議」を「短くて濃い会議」へ
変貌させます。

実は、そのノウハウは極めてシンプルです。

本書の会議術の幹となるエッセンスは、
たった「紙1枚」に集約できます。

  「 “紙1枚” だから、朝、通勤電車の中で
  読んだら、午後から使える “即効性” がある。
  ぜひ、さくっと読んで、その日の会議から
  早速試してほしい。すぐに試してもらいたい
  のは、筆者の経験からくる想いだ。
  経験上、1つ言えることがある。
   “会議” が変われば、 “人生” が変わる。」

私は、最初は横田さんのこの発言に
「ちょっと、オーバーじゃないか」と懐疑的
でしたが、読んでみると考えが変わりました。

本書のノウハウは本当に即効性があると
感じました。

僅か、1400円の投資と2時間を割くだけで、
すぐにでもダメダメ会議が改善します。

本書は、すべてのビジネスパーソン必読の書。

私は幸運なことに献本でいただきましたが、
この本の中身を知っていれば、間違いなく、
お金を出して買っていました。

この本から何を活かすか?

  会議の議題に「?」をつけているか?

短く濃い会議にするためのポイントの1つは、
「議題」の設定の仕方です。

会議とは、議題(問い)に対し、答えを出すもの。

つまり、答えを出すためには、議題自体は、
「問い」になっていなければなりません。

議題を疑問文にして「?」をつけるだけで、
答えを出すための議論ができるようになるのです。

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| 会議術・ファシリテーション | 05:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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合成生物学の衝撃

満足度★★★
付箋数:24

  「コンピュータ上で “生命の設計図” である
  ゲノムを設計し、その情報に基づいて合成した
  DNAや、改変したDNAを持つ新たな生物を作る。
  作ることによって生命の仕組みを解き明かす。
  あるいは得た知識と技術を駆使して人類に
  とって有用な生物を作る。合成生物学は
  そうした試みだ。まだ新しい分野だが、
  それもそのはず。ゲノムを解読し、デジタル
  情報として扱えるようになったからこそ、
  こうした工学的発想が生まれ、実験も可能に
  なった。」

ゲノムを「読む」ことを終えたら、
「書く」こと移行するのは必然の流れでした。

それがSynthetic Biology:合成生物学という
学問です。

合成生物学は、今、もっとも勢いのある
科学分野の一つです。

産業界の投資熱も高まっていて、合成生物学に
関連する米国企業50社が2017年に調達した
資金の合計額は、17億ドル以上にもなった
といいます。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさんも
「もし私がティーンエイジャーだったら、
生物学をハッキングするだろう」と語っています。

本書の著者は、『捏造の科学者 STAP細胞事件
で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した
毎日新聞科学環境部記者の須田桃子さんです。

本書は、合成生物学の歴史から最新情報までを
綴ったノンフィクションです。

須田さんは、この本の執筆のために2016年9月
から1年間、米ノースカロライナ州立大学
遺伝子工学・社会センターに客員研究員として
滞在しました。

そこで自らも合成生物学を研究すると共に、
この分野のグル達に取材を行いました。

米国での合成生物学の歴史には、
2つの大きな流れがあります。

1つは、孤高の科学者クレイグ・ベンターさん
が率いる研究チームによる人工生物
「ミニマル・セル」の20年に及ぶプロジェクト。

ベンターさんは、『ヒトゲノムを解読した男
として知られている米国の分子生物学者です。

孤高の科学者と呼ばれるのは、DNAの二重螺旋
構造を発表したジェームズ・ワトソンさんと
対立し、米国立衛生研究所を飛び出したから。

たった1人で、自らのアイディアを実現する
研究所を設立し、ミニマル・セルの研究を
続けたのです。

ベンターさんは、あらゆる既知の独立した
生物の中で最小のゲノムを持つ人工細胞を
作り出しました。

それが人工生命体ミニマル・セルです。

本書には、多くの科学者が登場しますが、
主役を1人だけ挙げるとするならば、
それは間違いなくベンターさんです。

波乱に富んだ人生を歩み、型破りで毀誉褒貶が
激しく、かつ科学者としての実績もあるので、
まさに主役に相応しい人物です。

もう1つの流れは、多くのコンピュータ学者や
工学者が集い、「生物学を工学化する」という
コンセプトで行われた試み。

2000年初頭、マサチューセッツ工科大学に
集まった科学者たちが思いついた発想です。

それは、コンピュータ上でDNAを設計し、
その生物を実際に作ってみるというものでした。

トム・ナイトさん、ドリュー・エンディさん
らの工学者がMITで合成生物学の講座を作り、
研究を始めます。

ここでは「生物学を工学化」のコンセプトを
検証し、後にそれは「iGEM」と呼ばれる、
合成生物学の世界大会へ発展しました。

この大会には、世界中から若い才能と
アイディアが集まり、技術と課題を共有
できる場となっています。

iGEMは、MITで毎年11月ごろ開催されます。

本書は、さすがに1年かけて研究・取材した
だけあって、非常に緻密に書かれています。

合成生物学の裏も表も知ることができる
優れたノンフィクションです。

この本から何を活かすか?

  「ヒトゲノムの合成は現実的なプロジェクト
  ではない。なぜなら、それについて話している
  人々は、私たちの研究所がやったような、
  小さな細胞を作る能力すら持ち合わせて
  いないからだ。もし小さな細胞を作ることが
  できないとしたら、どうやってその数百万倍も
  複雑な細胞を作ろうというのだろう?
  10年以内に成し遂げるなど、絶対に不可能だと
  確信している。」

遺伝子数はわずか473個で人工生命体、
「ミニマル・セル」を作ったベンターさんは、
ヒトゲノム合成計画を嗤います。

ちなみに、本書の表紙の写真は、
親を持たない生命体として誕生した
ミニマル・セルです。

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| 科学・生活 | 05:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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小保方晴子日記

満足度★★★
付箋数:20

 2014年12月29日
  STAP現象の検証結果について理化学研究所が
  記者会見

 2014年12月29日
  理研の調査委員会が報告書について記者会見

 ――STAP細胞騒動は、これをもって一応の
   幕を閉じた

本書の小保方晴子さんの日記は、その翌々日、
2014年の大晦日から始まります。

 2014年12月31日
  「理研を退職してから10日が経った。家族とも
  弁護士とも連絡を取っていない。誰にも会わず
  一人で過ごしている。自宅前のマスコミの
  張り込みが続いている。先日マンションの前で
  フジテレビのテレビカメラに追われたことが
  怖くて、それ以来マンションの部屋から一歩も
  出ていない。夜に部屋の電気をつけると必ず
  記者さんにインターホンを鳴らされる。
  インターホンの音が恐い。怖くて、マスコミに
  見張られている限り夜になっても部屋の電気が
  つけられない。何もしていないのに疲れていて
  眠る体力もない。噛まずに溶けていくものしか
  飲み込めない。」

本書は、大ベストセラーになった『あの日』の
続編です。

理研退職からの650日間を綴った小保方さんの手記。

婦人公論2017年1月24日号~2018年3月27日号に
掲載された「小保方晴子日記―『あの日』
からの記録」に加筆・修正をして、
書き下ろしを加えて刊行されたものです。

私の中では、ついこの前の出来事のように思えた
STAP細胞の騒動ですが、あれからもう4年以上も
経過していて、時の流れの速さに驚きました。

本書を読んでもSTAP細胞の真実はわかりません。

日々遭遇する出来事やその時の心情を綴った
リアルな日記のように見えて、実はよく練られて
書かれているような気がするのは、勘ぐり過ぎ
でしょうか。

あの日』同様、小保方さんに文才があることが
よくわかります。

騒動の発端の原因が本人にあるにせよ、
マスコミに蹂躙される一人の女性の様子が
よく描かれています。

精神的に追い込まれていくと、人はどうなるのか。

人間の脆さがわかると同時に、それでも何とか
生きていこうとする人間の強さが伝わります。

読んでいても精神的にツライ内容が並びます。

大きな力を持つ組織と一個人の戦いですから、
結果は最初から見えていますが、それでも
つい引き込まれて読んでしまいました。

小保方さんを守ってあげたいと思うファンが
いるのも十分に納得できます。

 2015年1月24日
  「一日に何度も死にたいと思って、気が付けば
  真剣に方法を考えてしまう日々が続いている。
  旅先にいた時のほうが考える頻度が低かった
  ような気がして、明け方に神戸の部屋を出た。
  雪がないところに行こうと思った。
  途中からは車を降りて電車で移動。
  足がガクガク震えた。
  駅のキオスクで『フライデー』を見かけた。
  表紙の “小保方晴子” の文字が目に突き刺さった。
   “小保方晴子さんを窃盗で刑事告発する!” 
  と書かれていた。頭は混乱が渦巻いて、
  胴体の隅々まで重苦しい不快感が充満した。
  哀しいを通り越して泣くこともできなかった。」

現在はアメリカに住んでいる小保方さんですが、
2018年5月の週刊文春でグラビアが掲載され、
話題になりました。

生きていることの証明なのか、チヤホヤされる
ことが好きなのか、正直よくわかりません。

本当にマスコミに辛い思いをさせられたなら、
二度と公の場に出てこないのが普通の感覚だと
思いますが、それでも出てしまうところが
小保方さんなのかもしれません。

この本から何を活かすか?

本書の巻末には、瀬戸内寂聴さんとの特別対談、
「必ずまた、花は咲く」が掲載されています。

こちらも、婦人公論に載ったものの再掲載です。

小保方さんにとっては、寂聴さんと話をして、
救われた思いがしたことでしょう。

寂聴さんの懐の深さがよくわかります。

また、今後、小保方さんが作家としての道を
歩むかどうかわかりませんが、先輩作家の
寂聴さんから学ぶことも多かったと思います。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 04:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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先にしくじる 絶対に失敗できない仕事で成果を出す最強の仕事術

満足度★★★★
付箋数:25

日経BP社の日野さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、仕事で失敗したことはありませんか?

失敗しないように、徹底的に準備しても、
あるいは、全てのリソースをつぎ込み、
限界まで努力しても、失敗することはあります。

失敗は、誰でも経験すること。

それでは、なぜ、私たちは失敗するのか?

一言で言うと、それは「人間だから」。

コンピュータやロボットなら陥らずに、
人間だけが嵌ってしまう罠があるからです。

それが人間が生来持つ「7つのバイアスの罠」。

知らないうちに、人間特有のバイアスに
陥ってしまい、気づいたら手遅れになっている
ことが多いのです。

本書で解説される「7つのバイアスの罠」は、
以下の通りです。

 1.「現在バイアス」の罠
  ずるずると課題を先延ばしにしてしまう
 2.「オプション選好性」の罠
  どっちがいいか決められない
 3.「非合理的な信念」の罠
  勝手な思い込みで人間関係をこじらせる
 4.「コンコルド効果」の罠
  もはや、引くに引けない
 5.「自己中心性バイアス」の罠
  俺たちのやり方なら必ず成功すると思い込む
 6.「完璧主義」の罠
  すべてがそろわないと動けない
 7.「計画の錯誤」の罠
  必ず想定外のことが起こる

これらは、誰もが1つや2つ思い当たる
バイアスだと思います。

なぜなら、もともと人間の本能に
刷り込まれているものだからです。

しかし、世の中には、1つの判断ミスが、
即、人命に関わる職業があります。

例えば、軍隊や病院、そして消防など。

失敗は絶対に許されない職業です。

これらの仕事に従事する人は、一体、
どのようにして、困難かつ非日常な状況で、
正しい意思決定をしているのでしょうか?

実は、絶対に失敗が許されない職場を
研究をして、ノウハウ化した手法があります。

それが本書で紹介される「プレモータム」
という手法です。

これは米心理学者のゲーリー・クラインさんが
提唱した、行動経済学の知見に基づいた
革新的なプロジェクト・マネジメントの手法です。

本書の著者、山崎裕二さんは、20年近く前、
あるベンチャー企業の副社長として経営に
携わっていました。

その会社は創業から1年半経った頃、
非常に厳しい経営状況に陥り、山崎さんは、
見切りをつけて、会社を離れました。

その後、会社はすぐに倒産。

山崎さんは逃げるようにして、
アメリカに渡りました。

そこで出会ったのが、「プレモータム」の手法。

副社長をやっていた時に、この手法に
出会っていたらと、深く後悔したそうです。

  「ある立場以上のビジネスパーソンは失敗を
  防ぐ方法論を絶対に会得すべきである――。
  本書を書き進めながら、そんな思いがどんどん
  強くなっていった。僭越かもしれないが、
  プレモータム・シンキングを紹介することは、
  かつての失敗者である私に、神が託した仕事
  なのではないだろうか。そうすることでしか、
  修羅場から逃げた私の罪は許されない。
  勝手にそう自負して、遅い筆を進めてきた。」

本書では、プレモータム・シンキングを
日本のビジネスシーンに合うように、
ケーススタディを交え、わかりやすく解説します。

この手法は、個人で取り組む仕事よりも、
複数の人数で取り組むプロジェクトやチームで
進める仕事などで、より効果を発揮します。

関わる人が多くなり、仕事が複雑になるほど、
失敗が入り込む余地が高くなるので、
プレモータム・シンキングが生きてきます。

この本から何を活かすか?

では、プレモータムとは、どんな手法なのか?

  「プレモータムでは、最初に失敗を想定する
  ところからスタートする。
  それによって、顕在化していない様々な問題点を
  あぶり出し、それが起こらないよう事前に
  手を打ち、成功に導く。」

プレモータム・シンキングは6つのステップで
進められますが、詳しくは本書をご覧ください。

悲観的傾向が強い日本人には、なじみやすい
手法として紹介されています。

先に失敗の芽を潰して、確実に成功に辿り着く
方法論として有効だと思います。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

満足度★★★
付箋数:23

「編集者」としての、最大の楽しみは何か?

こう聞かれると、編集を生業とする、
株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役
菅付雅信さんは、「人に会って、話を聞くこと」
と答えます。

  「 “人に会って、話を聞く” 。これが僕の仕事の
  基本だ。自分が知らない領域、もしくは自分より
  ももっと深い領域や最新の領域を極めている
  人たちに会い、なるべく丁寧に話してもらい、
  それを “彼らの日本語 ”から “僕らの日本語” 
  へ翻訳する。(中略)
  自分が知らない領域を極めている人の話を
  聞くのは、人生で最も楽しい行為のひとつで
  あるし、そういう人々と出会えることは、
  編集者の最大の役得でもある。」

菅付さんは、代官山蔦屋書店から依頼を受け、
人生で最も楽しい行為である、自分が知らない
領域を極めた人から話を聞くことを始めます。

それが2016年9月から2017年9月まで行われた
「菅付雅信 連続トーク:これからのライフ」
です。

これは、菅付さんが1年間で毎月1回、
12名の第一線で活躍する方たちと、
変わりゆく世界の「これから」をテーマに
行った対談です。

本書は、その対談を書籍化したもの。

各対談のテーマとゲストは以下の通りです。

  1. これからの思想――東浩紀さん
  2. これからの生命――池上高志さん
  3. これからの健康――石川善樹さん
  4. これからの建築――伊東豊雄さん
  5. これからの経済――水野和夫さん
  6. これからのメディア――佐々木紀彦さん
  7. これからのデザイン――原研哉さん
  8. これからのプロダクト――深澤直人さん
  9. これからの文学――平野啓一郎さん
  10. これからのアート――松井みどりさん
  11. これからの人類――山極寿一さん

この中から、複雑系と人工生命を専門とする
東京大学大学院情報学環教授の池上高志さん
との対談内容を一部紹介します。

池上さんは、「生命とはなにか」を突き詰めて
考えるために、生物学ではないアプローチを
取りました。

「生命の本質は物質に還元されるのではなく、
数学の一部なんじゃないか」と考えたのです。

その結果、行き着いたのが「人工生命」の
研究でした。

人工生命とは、生命が宿っているものに
備わっている「自律性」を人工的に生じさせた
もののことです。

自律性は、外部から動機づけされなくても
自分で決められることを意味します。

これはロボットがやる自動化とは、
全く次元の異なることです。

つまり、今の盛んに研究されている
ロボットや人工知能は自律性を持っていない
ことになります。

そして、池上さんは、自律しているものは、
「予測することができない」と考えました。

ただし、何度もそれを感じているうちに、
「意味が見えてくる」ことはあるようです。

このことから、生命をデザインすること
について、次のような結論を導いています。

  「人が生命をつくろうとするとき、
  通常ものをつくるときのような手順で
   “生きているもの” をデザインしようとして、
   “意味ありき” で始めようとします。
  だから、予測できてしまうものしか
  できあがらないんです。そうではなくて、
  予測できないような条件にしておいて、
  だんだんと意味が見えてくるようになる、
  といった手順を考えないと、生命を本当に
  デザインしたとはいえないんですね。」

池上さんが行う人工生命のデザインは、
はじめから「意味ありき」では始めません。

役に立つものを目指してしまうと、
人工生命の研究は崩壊してしまうようです。

個人的には、生命は機械を志向して、
機械には生命を志向させると考えると、
人間も機械も「人工生命化」していく
という考え方が非常に新鮮でした。

この本から何を活かすか?

私が注目したもう1つの対談は、
石川善樹さんとの「これからの健康」です。

これからの医学の主流が、治療から予防へと
変化しようとしているというもの。

予防医学は、限られた予算の中で、
誰を救い、誰を殺すかを決断しているのです。

「最新」でも「正義」でもなく、「最善」を
目指すのが、予防医学の基本的な考え方。

人生100年の長寿化の時代の鍵となるのが、
予防医学であることがよくわかりました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 05:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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世界で一番やさしい会議の教科書 実践編

満足度★★★★
付箋数:26

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの
上赤坂さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、生涯でどれだけの時間を
「会議」に費やしているか、ご存知ですか?

人によって、あるいは、会社によって、
違いはあるものの、押しなべて「3万時間」が
会議によって費やされているといいます。

これは1日10時間働いたとすると、
「約8年分」に相当します。

これだけ長い時間を費やす会議は、
やり方の良し悪しが、ビジネスでの成果に
大きな影響を及ぼしているのです。

あなたも会議に参加した後、次のような後味の
悪さを感じたことはありませんか?

 「グダグダで、時間のムダだった」
 「紛糾して、結局、なにも決まらなかった」
 「この後、何をすればいいのかわからない」

本書は、こんな非生産的な会議とオサラバする
ために書かれました。

著者は、企業の変革プロジェクトを支援する
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの
ディレクター、榊巻亮さんです。

榊巻さんは、2015年12月に日経BP社から
世界で一番やさしい会議の教科書』を
刊行しています。

この本は、入社2年目の若手女子社員が、
自分の部署のグダグダな会議を改革する様子を
ストーリー仕立て学ぶ本でした。

本書は、その会議ファシリテーションの技術を
体系的に整理して学ぶ「実践編」です。

時間がなくてピンポイント学びたいなら、
本書がオススメで、実際の会議のやり方を
リアルに知りたいなら、前著がオススメ。

この2冊はセットにして読むのがベストで、
先にストーリー編を読んで、後から実践編を
読んでもいいし、その逆でもいいと思います。

本書では、会議ファシリテーションの技術を
「8つの基本動作」に分けて解説します。

 <確認するファシリテーション>
  基本動作1. 終了時に、決まったこととやるべき
      ことを確認する
  基本動作2. 開始時に、会議の終了条件を確認する
  基本動作3. 開始時に、時間配分を確認する

 <書くファシリテーション>
  基本動作4. 会議中に、議論を可視化する

 <準備するファシリテーション>
  基本動作5. 会議前に、準備する

 <矢面に立つファシリテーション>
  基本動作6. 会議中に、全員から主張を引き出す
  基本動作7. 会議中に、対話を促し合意形成する
  基本動作8. 会議後に、振返りをする

この8つの基本動作は、いずれも会議を
グダグダにしないための要となるポイント。

この8つを完璧にできなくても、意識してやるか
どうかが大きな違いになります。

  「会議ファシリテーションの一つひとつの
  基本動作は決して難しくない。
  私はファシリテーションに特別な才能は要らない
  と思っている。押さえるべきことを知っているか、
  知らないか。やるべきことをきっちりと
  やっているか、やらずにサボっているか。
  それだけの違いだ。
  会議ファシリテーションは特別なスキルではなく、
  習慣であり、文化であるといってもいい。
  これまで脈々と続いてきた会議の悪しき習慣を
  断ち切り、新しい会議文化を築き上げてほしい。」

また、本書は読んで終わりにしないために、
会議ファシリテーションの始め方・定着のさせ方
にもページを割いています。

ここで紹介されている「定着の4段サイクル」
を回すと、あなたの会社の会議文化を
本当に変えることができると思います。

本書は、かなり実用性の高い本なので、
是非、会社に置いておきたい1冊です。

この本から何を活かすか?

あなたの会社では、以下のような会議になって
いませんか?

  ・誰も発言しない
  ・独演会が止まらない
  ・会議がまどろっこしく、スムーズに進まない
  ・意思決定に時間がかかる
  ・時間通りに始まらない

本書では、会議の「よくある18の困り事」を
ピックアップして、その対処方法を解説しています。

会議ファシリテーション学ぶ時間がない人でも、
この対処法に目を通すだけで、即効性があるので、
本書を読む価値は十分あると思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 会議術・ファシリテーション | 05:51 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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科学のミカタ

満足度★★★★
付箋数:25

毎日新聞東京本社科学環境部長で科学記者の
元村有希子さん。

まったく、なぜかはわかりませんが、
2017年秋の明け方に、ある人物が元村さんの
夢枕に立ちました。

その人物とは、清少納言さん。

それをきっかけに、元村さんは『枕草子』を
読み返してみたそうです。

この作品は、「春はあけぼの。やうやう白く
なりゆく山ぎは・・・」から始まる、
日本最古のエッセイ集です。

この作品には、宮中のきらびやかな日々、
そして、若き皇后にかしづいたエリート女性が
何を美しいと思い、何を好み、どんな会話を
楽しんでいたかが思うままに綴られています。

  「こうなったからには、彼女のエッセイ集
  『枕草子』にならって、科学のあれこれを
  見つめてみるのも悪くないと思い始めた。」

本書は、科学記者として20年近く科学技術や
環境問題をウォッチしてきた元村さんが、
心に引っかかった科学に関するトピックを
清少納言風に綴ったエッセイです。

元村さんの作品の中では、2012年12月に刊行した、
気になる科学』の続編になります。

さて、今から77年前~12万6000年前の時代を
地質年代では「千葉時代(チバニアン)」と
名付けようとしています。

これは千葉県市原市に実在する地層にちなんだ
ネーミングで、ここには地磁気が逆転した痕跡
(N極とS極が入れ替わった)が残っています。

最近のニュースでは、国内の別の団体から
国際学会に対して「申請された研究データは
捏造された」などとしたメールが送られ、
国際学会の審査が中断して話題になりました。

その疑義はさておき、本書では地質年代の中の、
スケール感をつかむために、地球が誕生して
からの46億年を1年に縮めて説明しています。

まず、地球誕生を1月1日午前0時だとします。

生命の誕生は3月29日。

古生物界のアイドル、三葉虫が登場するのは
11月に入ってから。

11月27日に魚類、12月4日に両生類、
12月15日に恐竜が出現します。

恐竜絶滅に登場する哺乳類は、もう仕事納めで
大掃除をしなきゃならない年末の12月28日。

そして、我々ホモ・サピエンスが登場するのは、
大みそかの午前11時37分ごろ。

キリストが誕生するのは、年が改まる14秒前。

  「なんてこった、地球の支配者よろしく
  大きな顔をしている人間も、地球の歴史では
  圧倒的に “新入り” ではないか。
  もっとも、紅白歌合戦で11時37分といえば、
  紅組・和田アキ子、白組・北島三郎クラス
  ですけどね。あ、お二人とも “紅白” は
  引退でしたね、すみません。」

本書では、このようにライトな感覚で、
様々な科学のトピックについて紹介します。

しかし、語り口は軽くても、各トピックを
まとめて眺めたときに、どう受け止めるかを
考えるヒントになるように書かれています。

タイトルの「ミカタ」は、「味方」の意味も
あると同時に、「見方」という意味も込めて
つけられました。

個人的には、読んでいて非常に楽しくなる
科学エッセイでした。

ちなみに、目次も枕草子風になっています。

 Ⅰ こころときめきするもの
  平安京とオーロラ/チバニアンなど19編

 Ⅱ すさまじきもの
  トランプ・ハリケーン/生物多様性など12編

 Ⅲ おぼつかなきもの
  「ガタカ」が描く未来/ゲノム編集など8編

 Ⅳ とくゆかしきもの
  体内コンパス/絶滅動物と私たちなど13編

 Ⅴ 近うて遠きもの、遠くて近きもの
  がん100万人時代/尊厳死と安楽死など9編

この本から何を活かすか?

本書の中で、紹介されていた映画『ガタカ』。

遺伝子情報が人間の価値を決める未来を描いた
イーサン・ホークさん主演の1998年のSF映画。

ディストピアの名作と言われていて、
私も好きな映画で、懐かしく思い出しました。

また、元村さんは本書の執筆の合間に、
オルダス・ハクスリーさんのディストピア小説
すばらしい新世界』を読んだそうです。

この作品は、ジョージ・オーウェルさんの
一九八四年』とよく対比される
ディストピア小説の名作のようです。

私は『すばらしい新世界』は未読なので、
早速読んでみたいと思います。

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| 科学・生活 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アマゾンのすごいルール

満足度★★★★
付箋数:26

以前の記事で紹介した林部健二さんの
なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか
もアマゾンの強さの秘密がわかる良い本でしたが、
本書もそれに匹敵する内容の本でした。

どちらの本もアマゾンジャパンの立ち上げ時から
参画していた元社員の方が書いた本です。

林部さんはアマゾンの元マネジャーでしたが、
本書の著者、佐藤将之さんはそれより上の
ポジションの元ディレクター。

どちらかと言うと、「アマゾンのルール」に
着目して書かれた本書の方が、アマゾンの凄さが
より伝わってくると思います。

ただし、私にとっては、先に林部さんの本を
読んでいたためか、少しだけ新鮮味に欠けました。

佐藤さんは、「アマゾンをアマゾンたらしめる」
シンプルな1つのルールがあると説明します。

それは、アマゾン内で最も価値のある社内表彰、
「Door Desk Award」を受賞すると、創業者の
ジェフ・ベゾスさんから贈られる一文です。

 「Customers Rule!(お客様が決めるんだ!)」

アマゾン内には、様々な独自の「基本ルール」が
存在しますが、すべては「Customers Rule!」
からブレイクダウンしたもののようです。

本書では、基本理念、ビジネスモデル、
リーダーシップ、採用、人事評価、目標管理、
アイディア、スピード、コミュニケーションなど
あらゆる分野に存在するアマゾンの「基本ルール」
を詳細に解説します。

本書は、アマゾンへの入社を考えている人、
アマゾンの強みを自社に取り入れたい人、
アマゾンと取引のある人、アマゾンに脅威を
感じている人、アマゾンへの投資を考えている人
などに向けて書かれています。

個人的には、アマゾンの強みを取り入れたい人
が読むと一番有効だと感じました。

なぜなら、本書はアマゾンはどうするか
という具体的なオペレーションよりも、
抽象的なルールや考え方を中心に解説するので、
他の会社へも移植しやすいからです。

私が本書で初めて知ったのは、
アマゾンを象徴する革新的な発明、
「シングルディテールページ」についてです。

この機能はアマゾンを使っていると当たり前すぎて、
何が革新的なのかに、全く気づいてませんでした。

「シングルディテールページ」はアマゾン以外の
販売者が商品を出品するマーケットプレイス上で、
「1商品1ページ」で表示するフォーマット。

他のオンラインショッピングサイトでは、
たとえ同じ商品であっても、販売者が異なると、
別のページに表示されます。

なぜなら、普通は、他の販売業者の商品が
安く売っていることがわかると、自社の商品が
売れなくなることを懸念するからです。

しかし、アマゾンの「Customers Rule!」では、
お客にとって一番有益な販売者から選んでもらう
ことを優先します。

ショッピングカートの付いたページに掲載される
のは、最も安い販売者だけで、その他の販売者は
1つ下の階層のページに表示されます。

凄いのは、アマゾンを優先、その他の販売者を
2番手以下と優先順位付けしなかったことです。

だからアマゾンの販売を差し置いて、
他の最も安い販売者がショッピングカートの
ページに表示されることがしばしばあるのです。

アマゾンは、自分たちの商品を売ることよりも、
お客にとって一番有益な商品を買ってもらうことを
大切にしているのです。

また、本書ではジェフ・ベゾスさん直伝の
仕事術も数多く紹介されています。

これはなかなか貴重で、外部からベゾスさんを
見たものでなく、実際に社内でそのスピリットを
受け継いだからこそ伝えられる内容だと思います。

この本から何を活かすか?

アマゾンの文化を語る上で決して外すことが
できないのが、「Our Leadership Principles
=OLP(リーダーシップ理念)」です。

OLPは次の14か条からなっています。

 1.Customer Obsession(顧客へのこだわり)
 2.Ownership(オーナーシップ)
 3.Invent and Simplify(創造と単純化)
 4.Are Right, A Lot(多くの場合正しい)
 5.Learn and Be Curious(学びそして興味を持つ)
 6.Hire and Develop the Best
  (ベストな人材を確保して育てる)
 7.Insist on the Highest Standards
  (常に高い目標を掲げる)
 8.Think Big(広い視野で考える)
 9.Bias for Action(とにかく行動する)
 10.Frugality(質素倹約)
 11.Earn Trust(人々から信頼を得る)
 12.Dive Deep(より深く考える)
 13.Have Backbone; Disagree and Commit
  (意見を持ち、議論を交わし、
   納得したら力を注ぐ)
 14.Deliver Results(結果を出す)

この14か条は、採用でも評価でもアマゾンの
大きな指針になっているようです。

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| 経営・戦略 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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超 筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超科学的な理由

満足度★★★
付箋数:24

  Q. ドラッグぐらい中毒性があって気持ちよくて、
   うつ病対策、健康管理、アンチエイジング、
   ストレス解消にもなって、続けていると
   自信がついてモテる、体型が変わって性格も
   変わり仕事も向上するモノってなーなだ?

  A. 筋トレ

  Q. なぜそんなに素晴らしい筋トレをしていない
   人がいるの?

  A. なぜだ!

これが、筋トレを巡る最大最強の疑問のようです。

Twitterで45万人のフォロアーがいる
Testosteroneさんは、筋トレの伝道師として、
これまで何冊もの筋トレ本を執筆してきました。

中でも2016年1月にユーキャンから出版された
筋トレが最強のソリューションである
マッチョ社長が教える究極の悩み解決法
』は
累計13万部を超えるベストセラーになっています。

Testosteroneさんがこれまでに書いた本は、
筋トレの数ある効能を面白く、わかりやすく
伝えることを主眼としてきました。

しかし、本書ではこれまでとは趣向を変え、
筋トレの効能を証明する科学的エビデンスを
用いて論理的に説明することを目指しました。

今回、執筆に協力してもらったのは、
早稲田大学大学院のスポーツ科学研究科で
最新のスポーツ科学を研究している
久保孝史さんです。

Testosteroneさんと久保の対談というか、
漫才の掛け合い的な対話形式で書かれています。

  「今回、久保君にはトレーニング理論や
  スポーツ科学、運動生理学などについて
  世界各国で日々進んでいる研究論文の
  リサーチを依頼し、筋トレが僕らに与えて
  くれる恩恵についての科学的根拠や
  メカニズムに関して、わかりやすい言葉で
  解説してもらった。久保君は曖昧な情報や
  研究方法自体に問題がありそうな文献には
  片っ端からNGを出すバリバリの研究者なので、
  この本に載っているエビデンスは信頼して
  もらっていい。」

例えば、筋トレがメンタルヘルス向上に
効くことに関して。

一般的にメンタルヘルスに不調をきたすと、
焦燥感や不安感に襲われたり、自己肯定感が
低下するなどの症状が現れます。

このメンタルヘルスの不調に対し、
多くの研究で、筋トレで症状が改善する
ことが証明されています。

2010年に米国で発表された論文によると、
筋トレをすることで、寝不足や不健康から
誘発される焦燥感が改善されるとの報告が
ありました。

筋トレをすると分泌するテストステロン、
セロトニン、ドーパミン、αエンドルフィン、
ノルアドレナリンなどのホルモンが
ポジティブに働いていると考えられています。

また、心理学の研究では、113本もの論文で
「筋トレは、自尊心を保つ、もしくは高める」
ことが報告されているようです。

Testosteroneさんは、自身の経験から、
「自分を好きになれる」ことが筋トレの
一番大きな効果であると付け加えています。

本書を読むと、感情で動くタイプの方も、
理論で動くタイプの方も、筋トレの絶大な
効果がわかり、すぐに自分も筋トレを
始めたくなることでしょう。

少し「洗脳状態」になると言っても
いいかもしれません。

かく言う私も、筋トレを始めて、
2年以上経ちますが、体調は常に良い状態で、
肉体が変わって自尊心も高まりました。

そのため、Testosteroneさんの、
若干オーバーな発言も納得感を持って
読むことができました。

  第1章 「死にたくなかったら筋トレ」が
     真実である理由
  第2章 筋トレは最強のアンチエイジングである
  第3章 モテたかったら筋トレしかない
  第4章 仕事ができる人はなぜ筋トレしているのか
  第5章 ダイエッターこそ筋トレすべき本当の理由
  第6章 長生きしたけりゃ筋トレをしなさい
  第7章 筋トレに関する誤解と偏見を解消する
  第8章 自信がない人は筋トレをしろ

この本から何を活かすか?

Testosteroneさんは、筋トレこそが、
最も効果的なダイエット方法だと説きます。

なぜなら、ダイエットの本来の目的は、
痩せることではなく、「理想の体を手に入れる」
ことだからです。

筋トレほど効率的に理想のボディシェイプを
作り上げる行為はありません。

そして、「理想の体を手に入れる」ことが
できれは、体重は気にならなくなるのです。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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WAIT、 WHAT?(ウェイト、ホワット?) ハーバード発、成功を導く「5つの質問」

満足度★★★★
付箋数:24

フロンティア・エンタープライズの黒田さんから
献本いただきました。ありがとうございます。

  「ご存知かどうかわからないが、
  生きていくうえで大切な問は五つしかない。
  ぜひとも折りに触れ、あなた自身にも人にも、
  この五つを問いかけてみてほしい。
  その習慣が身につけば、人生はより楽しくなり、
  より実り多いものになるだろう。
  そうして最終的には、究極の問いにも望ましい
  答えを返せるようになるだろう。
  究極の問いというのは、誰もがいつか
  必ず向き合うことになる、非常に重い問いの
  ことである。」

本書は、2016年にハーバード大学教育大学院で
行われた卒業式のスピーチを書籍化したもの。

スピーチしたのは、第11代学院長で本書の著者の
ジェイムズ・E・ライアンさんです。

このスピーチの動画は、インターネットに
アップされると、大きな共感を呼び、
たちまち世界中に拡散しました。

スピーチでは、ライアンさん自身の経験を元に、
「究極の五つの問い」が、どのように私たちの
人生に有効なのかを語りかけました。

私たちは、適切な問いが与えられれば、
自然とその問いに答えるように考えます。

問題解決は、正しい問いさえ設定できれば、
8割は解決したも同然とも言われます。

また、あのアインシュタインさんも
問いの重要性に関して次のような言葉を
残しています。

  「もし私がある問題を解決するのに1時間を
  与えられ、しかもそれが解けるか解けないかで
  人生が変わるような大問題だとすると、
  そのうちの55分は自分が正しい問いに
  答えようとしているかどうかを確認することに
  費やすだろう。」

これほどまでに、問いの影響力は大きく、
ライアンさんも、その重要性については、
次のように語っています。

  「答えのほうはどうでもいいと言っている
  わけではない。答えと同じくらい問いが大切
  であり、答え以上に大切な場合もしばしばある
  という意味だ。単純な真実だが、答えの質は、
  問題の質を超えられない。適切でない問には、
  適切でない答えしか返ってこない。」

それでは、ライアンさんが挙げる「究極の問い」
とは、どのような質問なのでしょうか?

以下が、その「究極の五つの質問」です。

1. Wait, what?(待って、何それ?)
 これは、対象を明確にし、理解を促す質問。

 この質問をすると、人間関係において、
 互いに理解し合うことができ、無意味な衝突を
 避けることができます。

2. I wonder…?(どうして~なんだろう?)
 好奇心を掻き立て、可能性を引き出す質問。

 この質問をしている限り、常に探究心を失う
 ことはなく、自分のいる世界に能動的に
 関わることができます。

3. Couldn't we at least…?
 (少なくとも~はできるんじゃないか?)
 状況を打開し、前進させる質問。

 行き詰まったときに、この質問をすると、
 ものごとは動き出します。
 人をスタートラインに立たせてくれる質問です。

4. How can I help?(何かできることはある?)
 これは、敬意のこもった関係を築く質問。

 あらゆる良き関係の大もとになる質問で、
 力になろうとする意志、相手への敬意、
 更にこちらも同じように助けられことになる
 かもしれないという謙虚な気持ちも伝わります。

5. What truly matters?(何が本当に大事?)
 人生の本質が見えてくる質問。

 この質問を特に自分自身にすることで、
 ものごとの要点や本質が見えてくるだけでなく、
 自分の人生の核心も見えるようになります。

これらの五つの問いは、生きていくうえで
大切にしたい領域を広くカバーしています。

さすがに卒業式のスピーチだけあって、
ライアンさんの語りは、思わず引き込まれる
ところがあります。

150ページほどの本ですが、おすすめです。

1時間ほどで読め、これらの問いを使いこなせる
ようになると、大きく人生が変わると思います。

この本から何を活かすか?

HarvardEducationが提供するライアンさんの
スピーチは以下の動画です。



6:49の動画で、字幕は英語のみで、日本語字幕はありません。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 06:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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世界を変えた50人の女性科学者たち

満足度★★★
付箋数:22

本書は電子書籍版(Kindle版)も出ていますが、
購入するなら、紙の本を買いましょう。

なぜなら、本書は素敵なイラストを見て楽しむ
ビジュアルブックであり、所有することに
喜びを感じる本だからです。

電子書籍版だと、その喜びは感じられません。

  「その昔、女性が教育を受ける機会が制限
  されるのは決して珍しいことではありません
  でした。女だという理由で科学論文を発表
  するのが許されないこともよくありました。
  女たちは夫に養われる良い妻として良い母
  になることしか期待されていなかったのです。
  多くの人々は、女性は男性ほど賢くないと
  思っていました。この本の女性たちは
  自分のやりたい仕事をするためにこうした
  固定観念と闘わなければならなかったのです。
  彼女たちは規則を破り、偽名で論文を発表し、
  すすんで独学で研究を続けました。
  周りの人々にその能力を疑われていた彼女
  たちは、自分自身を信じる必要があったのです。」

本書は、古代から現代まで、世界を変える
ような偉業をなしとげた女性科学者50人を
紹介した本です。

著者のレイチェル・イグノトフスキーさんは、
歴史や科学、また教育、ジェンダーなどを
テーマに描くことが得意なイラストレーター。

女性科学者の紹介文とイラストの両方を
ひとりで書いています。

左ページが女性科学者のチャーミングな
イラストで、右ページが紹介文という、
2ページで1人を書くシンプルな構成です。

ドラマチックな生涯が、僅か1ページだけに
凝縮されているので、文章としては少し
物足りなさを感じます。

しかし、イラストでその足りない分を
別の角度から、十分に補っています。

さて、本書の中から、女性科学を2人ほど
紹介しましょう。

1人目は、アインシュタインさんが、
「女性の高等教育がはじまって以来最高の、
偉大な数学の天才」と称賛した女性。

その女性は、1882年生まれのドイツの数学者、
エミー・ネーターさんです。

彼女は群と環についての新しい概念を証明し、
抽象代数学の分野を発展させました。

ネーターさんが学生時代のドイツでは、
女性が高等教育を受けることが違法でした。

そのため、彼女は大学の教室の後ろの席に座り、
正式に単位を取れなくても学ぼうとしました。

また、ゲッティンゲン大学に招かれて数学の
研究を行っていた際も、女性であったため、
7年間無給で働くことになりました。

それでも研究を続け、1918年に
「現代物理学の発展を先導したこれまでに
証明された最も重要な数学な定理の1つ」
とまで評される「ネーターの定理」を
発表しました。

2人目は、栄光を盗まれた孤高の化学者の
ロザリンド・フランクリンさん。

彼女は、1953年にDNAの二重らせん構造の
解明につながる、X線回折写真の撮影に
成功しました。

DNAの二重らせん構造を解析したことで
有名なのは、ジェームズ・ワトソンさんと
フランシス・クリックさんです。

彼らは、フランクリンさんの写真を
許可なく使い、研究の一部として発表しました。

更に、ワトソンさんはフランクリンさんを、
「気難しく、ヒステリックなダークレディ」
と批判しました。

それでも研究を続けたフランクリンさんは、
実験でX線を用い、大量の放射線を浴びたため、
ガンで亡くなったと言われています。

本書では、ネーターさんやフランクリンさん
のように、世間では知られていないけれど、
本当は凄い業績を残した女性科学者を
数多く紹介しています。

この本から何を活かすか?

本書は、小学5年生以上で習う漢字にルビ付で
書かれていますから、未来の女性化学者には
ぜひ読んで欲しい本です。

正直、小学生が読んで理解できるとは思えない
内容もありますが、綺麗なイラスト見ながら、
お気に入りの科学者を見つけて欲しいものです。

興味が湧けば、ちょっと難しくても知りたい
という好奇心が出てきますから、それが将来
科学の研究を続ける原動力になるでしょう。

本書は、小学生女子のいる家庭には、
置いておきたいと思える本です。

知り合いの家庭に一冊贈りたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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10年後の仕事図鑑

満足度★★★
付箋数:21

  「あなたが落ち込んでいるならば、
  あなたは過去に生きている。
  不安でいるならば、未来に生きている。
  でも心が穏やかならば、今を生きている。」

これは中国の賢人・老子の言葉です。

本書の冒頭で、堀江貴文さんは同じような
ことを言っています。

  「僕は、未来のことを考えるのが嫌いだ。
  未来を想像したところで、その通りに実現
  することなんてありえない。
  未来を想像して怯えるなんて暇人の
  やることだし、今を懸命に生きることが
  大事だと思っている。」

なぜ、こんなことを堀江さんが言っている
のかというと、AI(人工知能)の発達で
「AIに仕事が奪われる」という不安の声が
聞こえてくるからです。

本書は、新たに始まる時代でどう生きるか
について、堀江貴文さんと落合陽一さんが
交互に語った本です。

朋友であるお二人が何度も対談を重ねて
作られた本ですが、対談形式ではありません。

堀江さんがいつものように、周りを気にせず、
ぶっちゃけているので、それに触発された
落合さんも、ずいぶん本音を言ってしまった
印象があります。

いい意味で「本音の本音」が語られてる
本だと言えます。

お二人は次のように言います。

AIに仕事を奪われると思っている時点で、
「搾取される側」になっていると。

仕事を奪われて、価値を失うことを
恐れる前に、AIを使いこなし、
「価値を生み出す側」の視点を持てと。

お二人は「搾取する側になれ」とまでは
言わないまでも、AIの時代は「古代ローマ」
に似ているとも言います。

古代ローマには奴隷制度がありました。

ローマの市民クラスは、その奴隷に労働させ、
自分たちは豊かな暮らしをしていました。

生きるために働く必要がなく、学問や芸術など、
自分が興味を持つことに、存分に自分の時間を
使うことができたのです。

AIが、古代ローマの奴隷の役割を果たします。

つまり、私たちはAIを使いこなしさえすれば、
ローマ市民のように豊かに暮らすことが
できるようになるのです。

また、堀江さんは「なくなる仕事リスト」
なんて、血液型占いくらいの精度しかない
とも言っています。

1年後だってどうなるかわからないのに、
10年後の未来を想像することは、
まったく何の意味もないことなのです。

そんなことは「暇人のやること」とまで、
言っていますが、なぜか本書では、
10年後の職業の未来をイラスト入りで、
解説しています。

10年後に「なくなる仕事」、「変わる仕事」、
「生まれる仕事」、「伸びる仕事」を
かなりのページを割いて紹介しています。

発言内容と矛盾する部分がありますが、
そこは口述筆記の「ノリと勢い」で、
本書を作ったからでしょう。

個人的には、逆に、あまり深く考えて、
言葉を選んで語られていない点が
本書の一番の魅力だと思います。

  Chapter0 激動の時代を生きるあなたへ
  Chapter1 すべてが逆転するこれからの働き方
  Chapter2 なくなる仕事・変わる仕事
  Chapter3 生まれる仕事・伸びる仕事
  Chapter4 お金の未来
  Chapter5 日本の幸福と社会について
  Chapter6 ピュアな情熱に導かれた
      “自分の人生”を生きよ

この本から何を活かすか?

私が本書で注目したのは、中国の信用評価の
システム、芝麻信用(セサミ・クレジット)が
紹介されていたことです。

これは、中国のIT企業・阿里巴巴(アリババ)が
運営する電子マネー「支付宝(アリペイ)」を
利用する上で活用する、使用者の信用度を
数値で算出するサービスです。

信用度を表すスコアが高いと、融資の審査が
すぐに通ったり、部屋を借りる時の敷金が
「なし」になったりするようです。

この評価システムで信用度が可視化され、
社会全体が最適化できると、堀江さんは言います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 社会・国家・国際情勢 | 12:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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理科系の読書術

満足度★★★★
付箋数:25

あなたは、本を読むことを「苦行」と
感じたことはありませんか?

そもそも、このブログ記事を読んでいる方は、
読書を苦行と感じない人が多いはずなので、
こんな質問は愚問と思えるかもしれません。

しかし、世の中には思った以上に、
本を読むことが苦手な人が多いようです。

かく言う私も、今でこそ年に300冊以上の
本を読むようになりましたが、思い返してみると、
以前はあまり読書が得意ではありませんでした。

本書は、「読書があまり得意ではない人」
向けに読書術を指南した本です。

著者は、京都大学大学院人間・環境学研究科
教授の鎌田浩毅さん。

異色の火山学者として知られる名物教授で、
このブログでも過去に『一生モノの勉強法』や
一生モノの時間術』などの著書を
紹介したことがあります。

私は長い年月をかけて、毎日、生活の一部
として読書ができるようになりましたが、
その経験によって得た読書法に近いことが
本書で説明されていました。

  「本を読む前に、いくつか重要なコツがある。
  ここで無防備に読書を開始してはならないのだ。
  多くの人はここを通過してしまい、あとで
  躓くことになる。本を読みはじめる前に
  やっておくと、その後の読書が楽に行える。」

ここで鎌田さんが挙げるコツは、「目次を読む」
ことと「帯・タイトル・サブタイトル」に
目を向けることです。

この数分もかからない簡単な作業をやるか
やらないかで、読書の効率は大きく違って
くるのです。

また、本を読むことが苦行と感じている人は、
心理的なハードルが高くなっていますから、
「割り切って」読むことが大切です。

まず、誰でも自分に合わない本はあるので、
「途中で読むのをやめていい」と思うこと。

次に、なかなか本を読む時間を作れない人は、
「15分だけ」集中して読むようにすること。

買った本はすべて読まなければならない
わけではないので、読書にも「2:7:1の法則」
があるとわきまえること。

この法則では、世の中にある本が自分にとって、
次のような割合で存在すると考えます。

  2割は一生の伴侶になるような貴重な本
  7割が丁寧に取り組めば得るものがある本
  残り1割はどうやっても縁のない本

こう考えると、苦痛に感じる本を無理に
読まなければならないという呪縛から
解放されます。

最後の心理的ハードルを下げる割り切り方は、
その本から手に入れる情報を「3つに限定」して、
それが達成できたら、読むのをやめてよいと
決める読書法です。

これらの割り切り方をマスターすると、
読書が苦手だと思っていたの多くの人の悩みが、
解消されるはずです。

本書の第Ⅰ部では、この記事で紹介したような
「読書が苦手な人向けの読書術」が解説され、
第Ⅱ部では、「仕事や勉強を効率よく進める
ための読書術」が紹介されています。

本書はタイトルに「理科系」とありますが、
理系、文系、あるいはどちらでもない方を問わず、
あらゆる読書が苦手な方の助けになります。

これは同じ中公新書から刊行されている
木下是雄さんの35年超のロングベストセラー
理科系の作文技術』にあやかってつけた
タイトルなのでしょう。

私もこのタイトルで、本書を手にした一人です。

また、読書が苦手な人は、本書を手にしない
という避けがたいパラドックスを抱えます。

しかし、そこは読書好きの人が、
本書のノウハウを読書嫌いの人に教える
ことで回避できると思います。

この本から何を活かすか?

本書の補講では、うって変わって、
本好きの人に対するアドバイスが書かれています。

「読書に溺れる人生」から引き返す法。

それは、本を減らすための割り切り方で、
「ストック型の読書人生」からの解放です。

本は容易に再入手できると考え、
「フロー型の読書人生」を手に入れるのです。

これは「今、ここで(here and now)」を生きる
過去に囚われない読書術とも言えます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 読書法・速読術 | 06:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術

満足度★★★
付箋数:24

「あの人は、舌が肥えている」といった表現を
使いますが、私たちが、「おいしい」と感じるのは
舌や口の中ではありません。

私たちは、脳で「おいしい」と感じます。

私たちが、食べ物を食べるとき、
まずにおいを感じ、食べ物の色や形を認識して、
口の中に入れます。

口の中で、味を感じ、同時にやわらかいなどの
食感を感じ、耳では食べ物の音を聞いています。

このように、臭覚、視覚、味覚、触覚、聴覚の
五感を使って、食べ物のあらゆる情報を受け取り、
脳はそれを食べてよいか悪いかを判断します。

そして、私たちは生命を維持するために、
人体に必要なものをおいしいと感じ、
人体に害のあるものをおいしく感じない
ようになっているのです。

では、コーヒーやビール、梅干しなどのように
苦味や酸味のある食べ物を、なぜおいしいと
感じるのでしょうか?

実は、おいしさは、本能的に感じるものと、
経験的に感じるものの2種類があります。

疲れたときに、甘いものをおいしく感じ、
汗をかいたときに塩分を含むものがおいしく
感じるのが本能的なおいしさです。

一方、子供のときは苦手だった食べ物が、
大人になったらおいしく感じるのが、
経験的なおいしさです。

味覚には、甘味、塩味、うま味、酸味、苦味の
5種類があります。

この内、甘味、塩味、うま味の3つは、
食経験のない赤ちゃんでもおいしく感じる、
本能的なおいしさの味覚です。

なぜなら、甘味はエネルギー源の糖、
塩味は生体調整などに必要なミネラル、
うま味はタンパク質源のアミノ酸や核酸に
由来しているからです。

この3つの味覚は、人体に必要な栄養素の
存在を知らせるシグナルになっていて、
誰もが生まれながらに持っているものです。

これに対し、酸味は腐敗を、苦味は毒素の
存在を知らせる味で、避けるべき危険の
シグナルです。

しかし、食経験を積んで、安全な食べ物だと
認識されれば、酸味や苦味のある食べ物も
おいしく感じるのです。

これが経験的なおいしさで、その感じ方は
人それぞれによって基準が異なります。

さて、本書は「おいしさ」の秘密を科学的に
探る本です。

私たちの脳は、どのような仕組みで
おいしさを感じるのか?

食材のおいしさはどこからやって来るのか?

食材は、その成分や、調理や熟成によって、
どのような化学変化が起こり、おいしくなるのか?

著者は、サイエンスライターで、明治学院大学や
東洋大学でも非常勤講師を務める佐藤成美さん。

本書では、「おいしさ」に関して、
多角的にアプローチして、その秘密に迫ります。

「食」に関する研究の最前線もリポートします。

私たちが毎日食べる食品は、奥が深く、
そこにはいろいろな科学や技術があります。

おいしさとは、食べ物を食べた時の快感。

この仕組みを知ることで、おいしいものを
もっとおいしく食べられるようになり、
逆に止められない食欲にも歯止めをかけることが
できるようなります。

食にこだわる人にとっては、本書を読むと、
おいしさの根拠を科学的に知ることができるので、
必読の書だと思います。

本書は、ブルーバックスらしい科学への興味と
科学的な視点を培うことができる良書です。

  第1章 おいしさとはなにか
  第2章 おいしさを生む化学変化
  第3章 おいしさの素を探る
  第4章 食材のおいしさを探る
  第5章 調理から生じるおいしさ
  第6章 おいしさを作るテクノロジー
  第7章 おいしさを感じる脳と味細胞のしくみ

この本から何を活かすか?

調味料は、おいしさを引き出す働きがあります。

では、最高の調味料は何か?

  「近年の研究によれば、食欲を促すホルモンは、
  甘味や香りに対する感受性を高めていると
  示唆されています。つまり空腹であればより
  おいしさを感じるということ。」

実は、「空腹」こそが最高の調味料なのです。

当たり前のことかもしれませんが、
ご飯をおいしく食べたければ、
しっかりお腹を減らしてから食べるのが、
一番おいしく感じるのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 05:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。

満足度★★★
付箋数:21

あなたは、リーダーに向いていますか?

こう聞かれると、自信を持って「向いている」
と答えられる人は少ないでしょう。

それは、「リーダーは優秀な人」という
固定観念が強いからです。

また、実際にリーダーという立場の人でも、
「自分はリーダーになるタイプじゃない」と
思っている人も多いかもしれません。

でも、安心してください。

リーダーは、完璧である必要はありませんし、
優秀である必要もありません。

なぜなら、リーダーをリーダーたらしめる
ものはただ1つ。

それは、「リーダーシップ」を発揮すること
だけだからです。

リーダーシップは、「持っているか、いないか」
の素養を問うものではありません。

「発揮するか、しないか」の意志こそが、
リーダーシップとして現れる差なのです。

  「率先垂範・不動不惑のリーダーは
  通用しなくなりつつあり、 “総リーダー時代” 
  に突入しているのです。(中略)
  まずはこの “リーダー=優秀で選ばれた人” 
  というイメージを頭の中から取り払って
  しまいましょう!」

本書は、マンガ『宇宙兄弟』のエピソードから、
次世代のリーダー像を学ぶ本です。

等身大のあなたらしいリーダーシップを
活かしたチーム作りを目指します。

  「僕が、小山宙哉さんの描くマンガ
  『宇宙兄弟』を本書の題材に使わせてもらった
  のも、宇宙飛行士たちが日々行っている訓練は、
  まさにリーダーシップを活かした究極の
  チーム作りだと感じたからです。
  特に主人公の南波六太は、リーダーとして、
  とても魅力的なキャラクターと言えるでしょう。」

著者の長尾彰さんは組織開発ファシリテーター。

企業や団体、教育、スポーツなど、
様々な分野で約20年にわたって、3000回を超える
チームビルディングを支援してきた方です。

長尾さんは、リーダーシップは大きく分けて
2つのタイプがあると説明します。

それは、「賢者風」と「愚者風」です。

賢者風リーダーとは、いわゆる優等生タイプです。

先頭に立って、みんなを引っ張りながら
チームをまとめていきます。

賢者風には、大きなプレッシャーがあるので、
常に「しんどい」状態で、精神的負担を伴います。

一方、愚者風リーダーとは、一見すると
優秀な人物には見えません。

こちらは、人の上に立たず、自分の出番を待ちます。

「どうすればいいと思う?」とチームや相手の
意見を聞きたがり、協調して物事を進めようと
します。

愚者風とは、「愚者のようにふるまう」のではなく、
「賢者であろうとする必要がない」という自然体で
リーダーシップを発揮します。

これが、『宇宙兄弟』の南波六太の姿であり、
本書が目指すリーダー像なのです。

 ・賢者風は「自分が正しく相手が間違え」と批判し、
  愚者風は「全員が正しい」と考える。

 ・賢者風は問題を「解決」しようとし、
  愚者風は問題を「解消」しようとする。

 ・賢者風は「結果」を重視し、
  愚者風は「プロセス」を重視する。

賢者風と愚者風にはこのような違いがあります。

また、この2タイプはそれぞれフィットする
組織の形があります。

賢者風リーダーシップは、「ヒエラルキー型」の
組織と相性がよく、愚者風リーダーシップは、
「ネットワーク型」の組織で力を発揮します。

こらからの時代は、ヒエラルキー型の組織より、
ネットワーク型の組織が多くなってきますから、
そういった意味でも愚者風リーダーシップの
方がうまくいくのです。

本書は、『宇宙兄弟』の絵をふんだんに挿入
しているので、普段、あまり本を読まない人でも
非常に読みやすい本だと思います。

この本から何を活かすか?

本書では、「心がくじけそうなとき」に、
浮上できる、魔法の言葉が紹介されていました。

その言葉とは、「それはちょうどいい」。

どんなに厳しく、つらい状況に直面しても、
「それはちょうどいい」と、その状況を
一度ポジティブに受け入れ、そのあとに、
「じゃあ、◯◯しよう」と付け加えます。

例えば、仕事でミスをした場合。

「それはちょうどいい。この機会に、
自分の仕事のやり方を見直してみよう」
といった具合に魔法の言葉を使います。

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| リーダーシップ | 05:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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分断した世界 逆転するグローバリズムの行方

満足度★★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

高城剛さんと言えば、世間一般では、
まだまだ「沢尻エリカさんの元夫」という
イメージが強いと思います。

高城さんって、「一体、何をしている人?」と
思っている人も少なくないはずです。

本書は、高城さんに対してそんな印象しか
持っていない人には、是非、読んで欲しい本です。

きっと、見る目が変わることでしょう。

また、過去に高城さんの著書を読んだことの
ある人は、その突き抜けた発想に、
荒唐無稽な印象を抱いたかもしれません。

しかし、やはり本書を読むと、良い意味で、
期待を裏切られると思います。

高城さんのファンである私も、正直、
「こんな緻密なルポルタージュを書くのか?!」
と驚きました。

本書は、高城さんが立てた「ある仮説」を
検証するために書かれた本です。

高城さんは、その仮説の検証のために、
歴史を振返りながら、およそ1年半かけて
世界中を回りました。

そして、市井の人たちから、
政治家まで話を聞き、今何が起きていて、
これから何が起こるのかを考察しました。

では、高城さんは、どんな仮説を検証しようと
したのでしょうか?

それは、次のような仮説です。

  「世界最古の金融バブルと言われるオランダの
  チューリップバブルから最近の仮想通貨まで、
  人類史におけるバブルとその破綻は
   “情報の爆発” によって引き起こされると、
  僕は考えている。
  あるとき、 “魔法の機械” を手にした日から、
  人々はまったく知らない世界の情報を簡単に
  手にするようになり、どこからともなく
  欲が湧き、悪巧みを考える。
  どうにか、ひと儲けできないか。
  こうして、バブルが巻き起こり、
  いずれそれが崩壊するのは、歴史の教えだ。」

直近では、2000年に崩壊したインターネット
バブルや、その後に起こったサブプライム問題
が記憶に新しいところです。

そして、高城さんは、今後起こるであろう
バブルの崩壊について警告します。

  「現在、まだわれわれは、スマートフォンと
  高速ワイヤレス回線によるバブル崩壊を
  迎えていない。」

高城さんは、新しい「魔法の機械」である
スマホを手に入れ、欲に駆られた人類は、
「情報の爆発」によって、再びバブル崩壊を
迎えると予想します。

その仮説が、本当に起ころうとしているのか、
あるいはどこまで状況は進んでいるのかを
自分の目で確かめるために、高城さんは
世界の端から端まで時間をかけて回りました。

そこで実感したのは、グローバリゼーションの
逆転現象であり、世界は「分断」の方向に
進んでいるという事実でした。

その象徴的な出来事が、米トランプ大統領の
就任や、イギリスのEU離脱です。

 ・レーガンは「統一」だったが、トランプは
 「分断」した “強いアメリカ” 復活を目指す
 ・トランプ旋風は21世紀の “百姓一揆” なのか
 ・イギリスはEUと無事に “離婚” できるのか?
 ・低迷が続くイタリアは、日本に酷似している
 ・メルケル失墜。ドイツは極右政党AfDが第三党に

グローバリゼーションの反動で世界中で起こる
「分断」の兆候を、実際に現地に行って取材し、
1つ1つ事実を積み上げ、その本質に迫ります。

世界が今後どこに向かていくのか、
データを見て理論で考えられる学者はいても、
高城さんのように、自分の目で見た実感を込めて
レポートできる人は滅多にいません。

そういった意味で、本書は世界の流れを掴む
ための貴重な一冊だと思います。

ちなみに、高城さんは、前編と後編の2冊に
分けて執筆しており、本書は前編に当たります。

前編では、世界がひとつになった1989年から、
2019年までを「分断」という視点で検証します。

今後、刊行される予定の後編は、2020年から
2049年までの世界が、今起こっている分断から
「再びひとつとなる」予測を書いているようです。

後編の刊行にも期待が高まります。

この本から何を活かすか?

高城さんは、この20年ほどアフリカの
エチオピアを定期的に訪れているそうです。

そこで、どのような変化が起こっているのか?

かつては、写真を撮影しているだけで、
大人も子供も珍しがって寄ってきたそうです。

しかし、2017年10月の訪問では、
水も電気もない村の多くの人たちが、
スマホや携帯を持っていたそうです。

ちなみに、充電は近隣の電気がある村まで
出向くとか。

そして、高城さんが撮影しようとすると、
「ひとりにつき5ブル(25円)払え」と請求し、
子供を写すなら、更にその倍払えと迫って
きたそうです。

こんなことから、ITとグローバリゼーション、
そして資本主義が世界の隅々まで行き渡ったと
高城さんは実感しました。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち

満足度★★★
付箋数:23

YouTubeの台頭で、ここ10年くらいの間に、
メディアを取り巻く環境は大きく変わりました。

YouTubeは世界標準のプラットフォームとなり、
毎月、15億人の人々が訪れています。

  「私たちが観るもの、読むもの、聴くものを
  決めるのは誰か。かつては国や企業だけが
  決めていたが、一世代もたたないうちに、
  私たち自身が決めるところまで来たのだ。
  YouTubeの出現で、人間は初めて、無料で即座に
  世界中の映像にアクセスできるようになった。
  Netflix、Hulu、Spotifyといった
  ストリーミング・サービスは、昔ながらの
  コンテンツを新しい方法で配信するという、
  とてつもないことを実現したが、YouTubeの
  ようなオープンプラットフォームは、メディアを
  プロデュースできる人、配信できる人、
  消費できる人を変えた。あるときから突然、
  世界中の誰もが、世界中のすべての人と映像を
  共有できるようになったのだ。」

本書は、これまでのYouTubeの経緯を振返りつつ、
YouTubeの未来を語る本です。

著者は、YouTube副社長のロバート・キンセルさん。

キンセルさんは、以前はNetflix社でネットへ
ストリーミングするコンテンツの獲得業務を
率いていた方です。

現在は、YouTubeでビジネスと広告、
そしてクリエイティブ・リレーションシップを
統括しています。

YouTubeから見出されたアーティストと言えば、
ジャスティン・ビーバーさんが有名です。

カナダの12歳の少年は、いかにして見出され、
世界的なスターになったのでしょうか?

ビーバーさんを発掘したのは、後にマネジャー
となるスクーター・ブラウンさんです。

ブラウンさんは、2007年に並外れた歌唱力を
持つ12歳の名もない少年が、YouTubeで歌っている
映像を偶然見つけます。

八方手を尽くして、その少年が誰かを探し当て、
YouTubeを使ってジャスティスさんを歌手として
売り出す仕事に取り掛かりました。

初期の頃はジャスティンさんがカバー曲を歌う
動画をひたすら投稿していきました。

この動画では、「決して名前を名乗らず、
ただ歌えばいい。カメラを見る必要もない。」
とジャスティンさんに教えました。

このとき、ブラウンさんが考えたプロモートの
戦略は「Netflix方式」だったと言います。

  「1シーズン無料、一気に観るためのカタログも
  ある。世間の人たちは、そうやって動画を見て
  いたからね。」

こうしてジャスティンさんの動画の視聴回数が
6千万回に登り、R&B歌手アッシャーさんとの
面会を経て、アイランド・レコードとの契約へ
こぎつけました。

その後のジャスティンさんの世界的なブレイクは、
世間で知られている通りです。

これでアーティストの成功の仕方が逆転し、
デビューする前にYouTubeで先行してプロモート
する方法が一般的となりました。

これはYouTubeが世界を変えた一例に過ぎません。

本書では、アメリカのユーチューバーたちの
豊富な事例も交え、YouTubeが作る未来を語ります。

YouTube副社長が語る、新しいメディアの
教科書として参考になるでしょう。

「成功するユーチューバーになる条件」や
「ストリーミングのマネタイズ方法」についても
YouTube内部からの視点で解説されているので、
ユーチューバーになりたい人も必見です。

ちなみに、巻末の解説は落合陽一さんが
担当しています。

また、小中学生が将来なりたい職業として
ユーチューバーを挙げるような時代に
なりましたから、子を持つ親としても
本書は読んでおいた方がいいかもしれません。

この本から何を活かすか?

音楽業界で懸念されているのは、
YouTubeによる無料配信や定額配信サービス
による影響です。

しかし、キンセルさんは音楽業界の未来を
楽観視しています。

なぜなら、人々は音楽を愛していて、
そのコンテンツを持っているのは音楽業界
だからです。

YouTubeと定額配信サービスの相乗効果で、
音楽業界はまだまだ成長余力があると
キンセルさんは考えています。

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| IT・ネット | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと

満足度★★★
付箋数:24

以前は、「Webマーケティング」という
言葉が使われていましたが、最近では
「デジタルマーケティング」という表現を
耳にする機会が多くなりました。

Webマーケティングとデジタルマーケティングは、
一体、どのように違うのでしょうか?

2つの違いは、扱うチャネルと
活用するデータの種類にあります。

Webマーケティングは、Webサイトを軸に考える
マーケティングのことで、サイトのアクセス履歴
をデータとして活用していました。


一方、最近使われるデジタルマーケティングは、
チャネルはWebサイトだけに留まりません。

活用するデータは、Webアクセス履歴はもちろん、
他にもスマホやタブレットのアプリ、
IoTから収集されるデータなども活用します。

マーケティングの対象として扱う範囲が、
格段に広がったことで、デジタルマーケティング
という表現が使われるようになりました。

  「本書は、環境が変化する中で、
  私がデジタルマーケターにとって特に大切だと
  考えていることを、デジタルマーケターと
  しての視点で記述しています。
  扱うトピックの範囲も多岐にわたりますが、
  根底にある全体を貫く考え方を示しつつ、
  それぞれにどう対峙すべきか、そのヒントを
  まとめました。」

著者は、リクルートでデジタルマーケティングを
担当し、AIボット「パン田一郎」を生み出した
板澤一樹さんです。

テレビCMでは「バイトするならタウンワーク」
シリーズを手掛けた、有名なマーケターの方です。

デジタルマーケティングの世界は常に変化し、
止まることがありません。

その変化にどのようなスタンスで向き合うかが、
デジタルマーケティングのポイントとなります。

そこで変化に対応するために、
板澤さんが一番の基本として挙げているのが、
「検証可能性を高める」ことと「実験を通して
改善を重ねる」ことです。

効果測定にこだわり、A/Bテストを繰り返し、
改善を重ねるのが基本中の基本。

では、それを実行するデジタルマーケターには、
どうのような資質が必要なのでしょうか?

板澤さんは、デジタル領域で本質的に必要な
2つの資質を本書で挙げています。

1つ目は「計数感覚」。

一般的には、財務諸表や事業で発生する数値の
変化から、経営への影響を推測できる能力の
ことを指します。

しかし、本書では数値の変化から実際に
サイトで起きていること、広告運用に
影響することなど、「何が起きているのか」、
「何が要因なのか」を推測できる能力のこと
として定義されています。

2つ目は「ファクト志向」。

これは憶測や勘ではなく、常に何が起きているか
を把握し、ファクトベースで思考する姿勢を
指します。

この2つの感覚を使って、絶対的な正解が存在
しないデジタルマーケティングの世界で、
期待値をコントロールするようにPDCAの
サイクルを回していきます。

このように常にデータを見ながら改善して
いくのが、本書のタイトルにもなっている、
「Work in Progress(進行中)」の考え方です。

本書では、これまで板澤さんが経験してきた
ことから、デジタルマーケティングで大切なこと
が非常にうまくまとめられています。

 第1章 デジタルマーケターが持つべきスタンス
 第2章 顧客を知るための調査のキホン
 第3章 ユーザーの声を聴き、すばやく変化する
 第4章 KPIの設計とモニタリング
 第5章 リスクとリターンをコントロールする
 第6章 計数感覚とファクト志向
 第7章 テレビCMとPDCA
 第8章 データを組織の共通言語にする
 第9章 雑談できるボット「パン田一郎」
    プロジェクト
 第10章 ソフトウェア開発を「強み」とする
 第11章 今すぐAIを使いたいマーケターのために

この本から何を活かすか?

デジタルマーケティングの基本の1つは、
KPI(key performance indicator)の
マネジメントです。

本書では、KPIの設定手順について、
以下の3ステップで説明されていました。

  手順1. 要素を洗い出す
  手順2. 指標の選定
  手順3. 指標の相互作用を見極める

個人的には、意外とやられていないのが、
3番目の「KPIごとの相互作用の見極め」
だと思います。

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| マーケティング・営業 | 05:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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残酷すぎる成功法則

満足度★★★
付箋数:23

  「巷には、成功の一面だけを取りあげた本、
  あるいは実践的アドバイスなしに昨今の
  成功理論だけ紹介した本が溢れている。
  本書では、まず実際に使える理論を見きわめ、
  次に、あなたが目指すところに行くための
  具体的な方策を学ぶ。」

日本でも、アメリカでも成功法則の本が
溢れている状況は同じです。

いや、むしろアメリカの方が、その手の本は
数多く出版されていて、どれを信じていいのか、
混乱をきわめています。

そんな状況を解決しようと、数ある成功法則の
どれが正しいかを、科学的根拠(エビデンス)を
もとに検証したのが本書です。

  「過去8年にわたり、私は自分のブログ
   “Barking Up The Wrong Tree” で、
  人生で成功する秘訣に関するさまざまな調査や
  研究結果を分析し、専門家へのインタビューを
  重ねてきた。そして数々の答えを見いだしてきた。
  その多くは驚くべきもので、なかには世間の
  常識を真っ向から覆すものもあった。
  だがそのすべてが、仕事や個人的目標で
  抜きんでるためにすべきことについて、
  貴重な洞察を与えてくれた。」

著者のエリック・バーカーさんは30万人の
登録者を持つアメリカの人気ブロガー。

ブログ「Barking Up The Wrong Tree」は、
「ウォール・ストリート・ジャーナル」や
「ニューヨーク・タイムズ」でも紹介されて
いるようです。

売れている成功法則の本は、読んだ直後は、
「そうだったのか」と納得してしまうことが
よくあります。

説得力があるからこそ、売れているのでしょう。

しかし、冷静に見てみると、真逆のことを
言っている成功法則も少なくありません。

 ・「いい人は勝てない」のか、それとも
  「最後にはいい人が勝つ」のか?

 ・諦めたら勝者になれないのか、それとも
  頑固さが仇になるのか?

 ・自信こそが勝利を引き寄せるのか?
  自信が妄想に過ぎないのはどんなときか?

 ・仕事量がすべてなのか?
  ワーク・ライフ・バランスを考えたほうが
  いいのか?

本書では、こういった成功にまつわる神話に
エビデンスを求めて検証します。

その結果、「対人関係」の成功法則では、
次の6つのルールが有効であると判明しました。

 1. 自分に合った池を選ぶ
  不正やごまかしの横行する悪い職場環境は
  あなたを悪い人間にし、逆に互恵主義の人々が
  多い職場環境は、あなたを良い人間にする。

 2. まず協調する
  最初に手を差し伸べることこそ、互恵主義を
  育む鍵であり、相手に好かれることのベースに
  なり、交渉でも良い結果を出すことができる。

 3. 無私無欲は聖人ではなく愚人である
  最初に協調することが大事であっても、
  それを常に行う聖人になってしまうと、
  実社会では、相手に搾取されてしまう。

 4. 懸命に働き、そのことを周囲に知ってもらう
  優れた商品でもマーケティングなしでは、
  売れないのと同様、自分の成果を知ってもらわ
  なければ報われない。

 5. 長期的視点で考え、相手にも長期的視点で
  考えさせる
  短期的には利己的な行いが利益を上げるが、
  最終的には良心的な行いが勝利をおさめる。
  一回限りの関係ではなく、将来にわたって
  良い関係を築くことが重要。

 6. 許す
  あなたも、ほかの人々も決して完璧ではない。
  人は誰でも、ときどき混乱するもの。
  自分を許すように、相手ににも二度目の
  チャンスを与え許すことが良い人間関係を作る。

結論だけを見てしまうと、本書も他の成功法則の
本と見分けがつかなくなってしまいますが、
本書の醍醐味は、どれが正しいかを探っていく
「過程」にあります。

ですから、結論だけ知りたい方にとっては、
本書は冗長に感じるかもしれません。

この本から何を活かすか?

本書の監訳を『言ってはいけない 』で、
2017の新書大賞を受賞した橘玲さんが
担当しています。

本書を読む限り、バーカーさんが書いている
ことは、橘さんがこれまで主張してきたことと
共通している印象があります。

2人は同じ考えなのか?
それとも監訳の段階で橘さんの色がついたのか?

確認のためには、バーカーさんのブログ、
Barking Up The Wrong Tree」を
読む必要がありそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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