活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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AIとBIはいかに人間を変えるのか

満足度★★★★
付箋数:25

人工知能(AI:artificial intelligence)の
発展は目覚ましく、2016年にはアルファ碁が
世界チャンピオンのイ・セルドさんに完勝して、
大きな話題となりました。

このままAIが発達していくと、経済活動のうち、
現在人間が担っている知的作業、知的労働が
AIに代替されていくと予想されます。

現時点でも、税理士業務やパラリーガル業務、
人材の履歴書の評価・分類や医療の画像診断
などを、AIが代わりを務めつつあります。

AIの行き着く先は、ユートピアではなく、
資本家による社会の完全支配と所得・消費の
減退による経済の崩壊というディストピア
だとも、言われています。

そうならないために必要なのが、AIによって
生み出された富を再分配する仕組みです。

それがBI(ベーシック・インカム)です。

BIは国民全員に生活できるだの現金を
無条件で給付する制度のこと。

2016年にスイスが導入の国民投票を行ったり、
2017年にフィンランドが社会実験を行うなど、
こちらも話題になりました。

AIとBIはどちらも現状の世の中を根底から
覆してしまう可能性を持っています。

AIによってもたらされる労働からの解放が、
BIと結びつくのは必然なのです。

本書は、タイトルにある通り、AIとBIが、
世の中をどう変えるかについて分析し、
予測し、メッセージを提起する本です。

著者は、経営コンサルタントの波頭亮さんです。

では、BIについてもう少し詳しく見ていきます。

BIには次の5つの制度的な長所があります。

  1. シンプルである
  2. 運用コストが小さい
  3. 恣意性と裁量が入らない
  4. 働くインセンティブが失われない
  5. 個人の尊厳を傷つけない

現在の生活保護制度では、働いて収入が
得られるようになると給付が減額されたり
打ち切られるので、働くインセンティブが
失われてしまいます。

しかし、BIは無条件に一律給付されるので、
働いて収入を得ても減額や停止がありません。

つまり、頑張ればそれに応じたメリットがあり、
頑張ることのデメリットは存在しないのです。

BIの導入の最大の課題は「財源の確保」ですが、
それ以外にも、3つの側面の課題があります。

1つ目の側面は、経済学的イシュー。

働かない者が増えるのではないかという
フリーライダー問題と、巨額の財政負担が
不可能ではないかという財政面の問題です。

2つ目の側面は、政治学的イシュー。

これは官僚が、裁量と差配に固執する
のではないかという抵抗です。

3つ目の側面は、文化的イシュー。

「働かざる者、食うべからず」という
社会通念・社会規範の問題です。

この考えは歴史的にも古く、洋の東西を問わない
普遍的に人類に染み込んでいる規範で、
3つのイシューの中で最も根深い問題です。

「働かざる者、食うべからず」という考えから、
「働かなくても、食ってよし」という新しい
社会通念に切り替える必要があるのです。

BIに関しては、政府・公的機関だけでなく、
民間企業・団体による導入実験が、
世界各地で近年行われており、
それらは、概ね良好な結果が出ています。

そして、高度にAIとBIが結びついた世界では、
生きるための労働がなくなります。

では、そうなった時に、人間は働かなくなる
のでしょうか?

  「私は、そうは考えない。 “働く必要が無い” 
  というのは “働くべきではない” という意味
  とは全く異なる。ただし、 “新しいステージ” 
  においては “働く” という言葉の意味合いや、
  人生における “仕事” の位置づけが、
  これまでとは大きく転換することになると
  考えられる。」

本書は、AIとBIのもたらすインパクトを伝え、
私たちが未来をどう生きるべきかを指南する
先見性のある一冊だと思います。

この本から何を活かすか?

ロンドンで行われた社会実験の結果は?

ホームレスへの対応と社会的コストの増大に
悩まされていたロンドンの行政は、2009年に
ある社会実験を行いました。

それは男性ホームレス13人に対して、
1人月45万円という破格の金額を無条件で与え、
それ以外のサポートは一切行わないという
社会実験でした。

1年半後、給付額は約7000万円になりましたが、
行政コストは約5250万円削減されました。

そして、13人全員が自発的な社会的リハビリや
将来の計画を立案するなど、良い方向へ
動き出したそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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