活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2018年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2018年05月

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地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり

満足度★★★
付箋数:21

本書は、日経BP総研マーケティング戦略研究所
上席研究員の渡辺和博さんが、ものづくりから
地域に儲かるビジネスを持続的に作ることを
目的に書いた本です。

渡辺さんが、全国各地で商品開発の場や
事業相談で事業者の方と話していると、
「このあたりの人は宣伝が下手で・・・」
といった言葉をよく聞くそうです。

しかし、実際にはこういった発言をする方の
大半は、「ダメなもの」を作っています。

なぜなら、「宣伝が下手だ」という言葉の裏には
「自分たちは良いものを作っている。
売れないのは買う側がその良さをきちんと
認識していないから」という意識があるから。

こういう言葉を口にする人がダメな理由は、
商品の「良し悪し」や「売れる・売れない」を
どこまでいっても「作りて目線」で判断して
いるからです。

自分が考える良いものが作れているという
認識自体が間違っているとは考えないので、
渡辺さんが事業者の方にアドバイスしても
会話が噛み合わないことがあるそうです。

地方発のものづくりに限らず、売れる商品や
サービスを作ろうとすると、考え方をまったく
変える必要があります。

「良いか悪いか」を決めるのは、
作り手ではなく、買う側・利用する側であること。

更に「良いもの」であってもそれを「買う」か
どうかを判断するのは消費者であること。

当たり前のことですが、「消費者起点」で
考えなければ、売れるものづくりは
できないのです。

また、地方発でものづくりをする場合、
どうしても「作りて目線」になりがちです。

その理由は、地方発の商品は、多くの場合、
地域に根付いた特産品や伝統技術、
伝統的な素材を使っているから。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

問題なのは、そういった特産品には歴史と
伝統があり、過去にはそれで地域が潤った経験が
あったとしても、今現在、市場に求められている
ものではないことです。

時代の変化について行けず、消費者から見て、
価値が感じられない商品になっているのです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

地方発のヒット商品を生み出すには、
最初に「何を」作るかだけを考えてはいけません。

「誰に、どんなシーンで、何を売るか」を
セットで考えることが必要です。

最終的なゴールである消費者が求めるものや
生活スタイルから逆算して、何を作るかを決め、
そこに地域資源を活用することを考えるのが、
「逆算発想のものづくり」です。

ターゲットを明確にして、利用シーンを想定する。

そして消費者の課題解決型の商品を開発するのが、
売れるものづくりの王道です。

 島根県出雲市
  出雲ハーブ入りマクロビオティック
  「米粉のクッキー」「大豆と米粉のシリアルバー」

 高知県安芸市
  「ごく旨地鶏の満ちてくスープ」

 新潟県燕市
  「アルミ素材のアイス用スプーン」

 高知県土佐郡土佐町
  大吟醸の日本酒「Sake Nature」

本書では、こういった成功事例を紹介しながら
「逆算発想のものづくり」の秘訣を解説します。

また、後半では全国各地の商工会議所が
会員事業者向けに発行している会報に掲載する
「トレンド通信」をベースにした、商品開発の
ヒントとなるコラムをまとめています。

カスタマードリブンの発想は、地方でなくても
必要ですから、企業の商品・サービスの開発
担当者が読んでも役に立つヒントがある本です。

この本から何を活かすか?

独創的でオンリーワンの商品だったとしても、
売れるとは限りません。

  「ある事例ですが、とてもユニークな食品を
  開発されたところがありました。
  これまでにないものであることは確かなのですが、
   “誰に売るか”  “何を訴求するか” 、
  それを伝えるためには、 “どのような
  パッケージデザイン” がよいか、
  どんな “販売チャネルに扱ってもらうか” 
  といったことについての考察がまだまだ
  きちんとされていませんでした。」

成功するカギは、現状の不備を認識したうえで、
どう変化していくかにあるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| マーケティング・営業 | 04:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法

満足度★★★
付箋数:23

本書は、初めて読むのに、一度読んだことが
あるようなデジャヴ感がありました。

よくよく考えると、つい最近、同じような
内容の本を読んだばかりでした。

それは、森博嗣さんの『集中力はいらない』。

本書の内容と森さんが書いていたことが、
見事なくらい一致していました。

  「集中力には明らかなメリットがあるものの、
  私はあまりに多くの人が(知らず知らずの
  うちに)集中力崇拝に陥ってしまっていると思う。
  集中力こそ、なんとしても手に入れるべき
  最重要能力だと思いこんでいるのだ。
  実際には、集中力だけではあなたにとって
  むしろマイナスになる。あなたの能力を奪って
  しまうのだ。」

本書は、「非集中」によって思考力を磨く本。

著者は、ハーバード・メディカル・スクール
精神医学臨床准教授のスリニ・ピレイさんです。

ピレイさんが、本書で展開するのは、
「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」
という最新理論です。

DMNとは、脳がいざというときに、
すぐさまフル回転し、創造力を発揮できるよう、
脳をリラックスさせるプロセス。

この状態になると、扁桃体の活性化が
抑えられ、心がリラックスします。

そして、前頭極が活性化して、
創造力が高まるようです。

DMNをわかりやすく言うと、非集中の状態です。

ただし、ピレイさんが言っているのは、
集中がダメで、非集中がイイということでは
ありません。

本書では、この両方を意識的に切り替える
ことを目指します。

  「集中と非集中のスイッチを切り替える
  すべを学べば、ストレスやリスクへの対処法、
  人生との向き合い方などにおける、
  大きな変化が待っているだろう。
  きっと、あなた自身も知らないあなたの
  すばらしい一面が見つかる。
  そして、気移りやすい自分の性格が
  嫌いでなくなるだろう。」

ピレイさんは、集中と非集中の状態を
懐中電灯の比喩を使って説明します。

集中とは、見たい部分に懐中電灯を向けた状態。

目の前の一点を明るく照らし出す光線は、
とてつもなく役に立ちますが、その分、
周辺視野や、暗がり全体を照らし出す光を
犠牲にします。

これに対して、非集中は、遠くまで届いて、
辺りを広く照らし出す光。

ぼやっとではあるものの、全体像がつかめ、
そこには多くのものがあることがわかります。

集中と非集中を懐中電灯の2種類のスイッチ
と考えてください。

どちらの光も単体では使い道に限界がありますが、
2つをうまく使い分ければ、電池が長持ちし、
暗闇でもずっと効率的に道が探せます。

ちなみに、非集中のスイッチを入れるのに
有効な手段は、瞑想やマインドフルネスです。

また、本書の非集中思考の一環として
推奨されているのが「かじる」ことでした。

何かを「かじる」という言葉には、
あまりいいイメージがありません。

表面的、浅い、中途半端、ひとつの物事に
本気で取り組まないのは時間のムダなどなど。

しかし、これも程度の問題で、何かをかじるのも、
ある程度までなら創造性や人生にとって
明らかなプラスになると説明されています。

本書は独特の言い回し(翻訳)が多い本ですが、
それに慣れてさえしまえば、納得感のある
内容だと思います。

この本から何を活かすか?

本書では、非集中の状態をつくるために
心を整える6つの習慣が紹介されていました。

  1. 「言い訳する脳」を黙らせる
  2. 1日に「ストレスフリーの時間」を組みこむ
  3. 信念を人生の「羅針盤」にする
  4. 地平線に向かって進む
  5. 「空想の扉」を開く
  6. 何があっても「心」に寄り添う

私たちは、集中力崇拝に偏りがちなので、
意識して非集中のマインドセットへ切り替える
必要があるようです。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ゆるいつながり

満足度★★★
付箋数:21

本田直之さんが、『レバレッジ人脈術』を
書いてから10年、世の中は大きく変わりました。

特に変わったのは、人間関係のあり方、
つまり、人と人との「つながり方」です。

つながり方が変わった最大の理由は、
フェイスブック、ツイッター、インスタグラム
といったSNSの普及です。

SNSの登場によって、プライベートはもちろん、
ビジネスにおけるコミュニケーションも
ずいぶん変わりました。

10年前にあった、「人脈を広げる」という
考え方は、もう古いのです。

本書は、本田さんがSNS時代を生きるうえで、
必要な「ゆるいつながり方」を示した本です。

それは、ゆるくても、深いつながり。

共感をベースにした、一緒に成長していける
マインドの高い仲間との結びつきです。

「ゆるいつながり方」は、それぞれの道の
プロフェッショナルが集まって、
プロジェクトに取り組む関係に似ています。

各自が自分のスキルや知識に立脚した
高いプロ意識がある。

そして、相互に依存する関係ではなく、
独立した自由な関係で、そこには互いを
認め合う、強い仲間意識がある関係です。

本田さんは、「ゆるいつながり」の特徴を
示すために、あえて「昭和的強制のつながり」と
比較しています。

 <昭和的強制のつながり>
  1. 人間関係が濃密なようで、希薄
  2. 人と知り合うためのハードルが高い
  3. 知り合える人の幅が狭く、画一
  4. 出る杭は打たれる

 <ゆるいつながり>
  1. 人間関係が希薄なようで、濃密
  2. 人と知り合うためのハードルが低い
  3. 知り合える人の幅が広く、多様
  4. 出る杭は伸ばされる

日本人が強制的なつながりに疲れてきた
ところでSNSが登場し、「ゆるいつながり」へ
大きくシフトして行きました。

それは「タテ社会」から「ヨコ社会」への
変化とも言えます。

では、「ゆるいつながり」には、従来の
人間関係と比べ、どのようなメリットが
あるのでしょうか?

本田さんは、以下のメリットを挙げています。

  ・生き方の選択肢が増える
  ・柔軟な発想につながる
  ・クリエイティブになれる
  ・チャレンジ精神を維持できる
  ・自由になれる
  ・人間関係のストレスが減る

ただし、SNSの時代にも、フェイスブック疲れ、
インスタ疲れといった表現がある通り、
つながり方を間違えると、デメリットの方が
大きくなってしまうことがあります。

目指すのは、ゆるいけれど、深いつながり。

それは、SNSで知り合った人たちと、
無理をして関係を深めるものではありません。

あくまで、無理のないシンプルなつき合い方の
先にできていくものなのです。

特に、昭和の強制的な感覚が残っている人は、
SNSにおいても強制力を持ち込みがちなので、
気をつけなくてはいけないようです。

では、どうしたら、「ゆるいつながり」を
作ることができるのでしょうか?

その方法は、自分を高めること。
個人のブランディングをしっかり行うことです。

  「自分の価値さえ高めていれば、自然に人が
  オリジナリティのある自分のほうへ集まって
  くる時代。ブランディングという自分自身の
  努力がかなり報われやすい時代になって
  きているのです。」

この本から何を活かすか?

本書の本田さんの説明で、私が腹落ちしたのは、
インスタグラムに関する説明です。

  「インスタはコミュニケーションツールと
  いうよりも、自分の投稿の断片から世界観を
  つくっていくツールなのです。
  そして投稿者は、他のアカウントの投稿を
  目にすることで多様なセンスやライフスタイル
  に触れて、ますますセンスを高めていくことが
  できるのです。」

本書では、女優の石田ゆり子さんのインスタ
世界観のある「インスタらしいあり方」として
紹介されていました。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 05:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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AI vs. 教科書が読めない子どもたち

満足度★★★★
付箋数:26

  「私の未来予想図はこうです。
  企業は人不足で頭を抱えているのに、
  社会には失業者が溢れている――。
  折角、新しい産業が興っても、その担い手と
  なる、AIにはできない仕事ができる人材が
  不足するため、新しい産業は経済成長の
  エンジンとはならない。一方、AIで仕事を
  失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に
  再就職するか、失業するかの二者択一を
  迫られる――。私には、そんな社会の姿が
  ありありと目に浮かびます。」

このような未来を想像するのは、
国立情報学研究所教授、同社会共有知研究
センター長の新井紀子さんです。

新井さんは、数理論理学が専門で、
人工知能プロジェクト「東ロボくん」を
主導する方です。

「東ロボくん」とは、ロボットは東大に
入れるかに挑戦する人工知能プロジェクトです。

このプロジェクトでは、人工知能はまだ東大に
入れるレベルには達していないものの、
MARCHレベルの有名私立大には合格できる
偏差値には達しています。

そんな研究をする数学者が本書で明かすのは、
驚愕する2つの事実です。

1つ目は、シンギュラリティは来ないということ。

シンギュラリティとは、レイ・カーツワイル博士
により提唱された概念で、技術的特異点のこと。

シンギュラリティに達すると、人工知能が
人間の知性を超え、自分自身より高い能力の
AIを作り出すことができます。

人工知能の研究開発が加速し、2045年頃には、
シンギュラリティが到来するとも言われています。

しかし、新井さんは数学の常識として、
シンギュラリティは起こりえないと完全に
否定します。

なぜなら、人工知能は「意味」を理解しないから。

コンピュータは数学の言葉だけを使っているので、
私たちが認識していることを、すべて解明して、
数式に翻訳しない限りは、人工知能が人間の
知性レベルに達することはないのです。

2つ目は、日本の中高生の多くは、教科書程度の
文章を正確に理解する読解力がないということ。

これは新井さんが、全国2万5千人の中高生を
対象に行なった、基礎的読解力の調査から
判明したことです。

たかが読解力と侮ってはいけません。

入試において、読解力がなければ、試験問題を
早く正確に読めませんから、読解力は必須です。

入試以外においても、文を読んで理解することは、
非常に大切な力で、人生を左右する能力と
言っても過言ではありません。

そして、何より、人間が人工知能に負けない、
人間としての存在価値を示す能力でもあります。

この読解力がなければ、たとえ人工知能が
人間の知性のレベルに達していなくても、
簡単に人間の仕事が人工知能に代替されて
しまうのです。

この人間の読解力の低下が、冒頭で紹介した、
新井さんの未来予想図につながります。

将来、多くの仕事がAIに代替されると同時に、
AIにはできない新たな仕事が生まれる。

しかし、AIに仕事を奪われた勤労者は、
読解力がないと、新たに生まれた仕事もできず、
仕事に就くことができないという図式です。

これは、チャップアップさんの時代にも
起こったこと同じと、新井さんは指摘します。

工場がオートメーション化されたことで、
単純作業が減る一方、事務仕事が増え、
新たにホワイトカラーと呼ばれる労働階級が
生まれました。

しかし、工場で労働していたブルーワーカーは、
ホワイトカラーとしての教育を受けておらず、
新しく生まれた仕事に就くことはできなかった。

AIによってもたらされる未来も、これと同じ
構図になると、新井さんは考えているのです。

巷には、多くのAI関連書籍が刊行され、
バラ色とまでは言わないまでも、
シンギュラリティが到来することが、
当たり前のように語られています。

本書で新井さんは、世間で喧伝されている
AIの現状や未来図が、現実とかけ離れている
ことを指摘し、AIの限界を示します。

それと同時に、現在の人間側の教育にも
大きな問題があることを指摘しています。

この本から何を活かすか?

基礎的読解力を測る「係り受け」の問題

次の問題をやってみてください。

  アミラーゼという酵素はグルコースが
  つながってできたデンプンを分解するが、
  同じグルコースからできていても、
  形が違うセルロースは分解できない。

  この文脈において、以下の文中の空欄に
  あてはまる最も適当なものを選択肢の
  うちから1つ選びなさい。

  セルロースは(   )と形が違う

  1.デンプン 2.アミラーゼ
  3.グルコース 4.酵素

あなたの、基礎的読解力は大丈夫でしたか?

間違える人の多くは「3」を選ぶようですが、
正解は「1」のデンプンです。

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| IT・ネット | 06:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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博報堂スピーチライターが教える短くても伝わる文章力のコツ

満足度★★★★
付箋数:25

とにかく、凄く役に立った。

これで、短くても面白い、つい読んで
みたくなる、文章が書けるようになる。

  「学生時代のような悠長なレポートは
  読んでもらえない。
  LINEやツイッターのように、
  つぶやくだけではすまされない。
  見知らぬ否特定多数に、短い言葉で、
  わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか。
  あふれるばかりの情報と、限定された時間の
  中で伝えたいことを相手の記憶にとどめ、
  行動を促すには、何をどう書けばいいのか。」

本書は、博報堂でスピーチライター
およびコピーライターとして活躍する、
ひきた よしあきさんが、短くても伝わる
文章を書くコツをまとめた本。

まず、根幹となるのは「要約力」。

言いたいことから逃げ、要点をぼかすと、
文章は長くなります。

自分が不遜に見えるか、見えないかは二の次。

大切なのは、相手にストレスを与えずに、
「どう動くべきか」を伝えること。

察してもらう文章は必要ありません。

無駄のない文章が書けるようになるには、
普段から自分が読む文章を使って、
要点をまとめる練習をする必要があります。

本や書類の「1ページに1ヶ所」だけ、
アンダーラインを引きます。

1回目の粗読みでは、ラインを入れません。

パラパラと全体を読み通したうえで、
もう一度はじめから読んでいきます。

そのときに、「ここだ!」と思った単語、
または文章に「短く」ラインを入れます。

大事な部分が「いくつもあるな」と思った
場合でも、1ページで1ヶ所に絞ります。

そのページに核心がないと判断した場合は、
ラインを引きません。

こうして見つけた要点をさらに3つに絞り、
その中からベストワンを探すと、
それが本や書類で最も伝えたいことです。

残り2つの要点は、ベストワンの理由を
肉づけする材料になります。

ただし、これだけでは不十分。

なぜなら、文章には人間の心理が
隠されているから。

例えば、オバマ前アメリカ大統領が、
2016年に広島を訪れたときのスピーチ。

こんな冒頭の一節から始まります。

  「71年前の明るく晴れ渡った朝、
  空から死神が舞い降り、世界は一変した」

これは、天才スピーチライターと呼ばれる、
ベン・ローズ前大統領副補佐官が書いた
美しい叙事詩のような一節です。

実はここには、オバマさんが、
語りたくなかった本音が隠されています。

それは、原爆を落とした国が
アメリカであること。

ひきたさんはこれを、言いたくないこと、
言えないことを語らず、世界の人々を感動させる
見事な「ハイド文」だと指摘します。

文章には、相手が「こう伝えたい」と思っている
建前の「ジキル文」と、行間に滲み出てくる
本音の「ハイド文」があるのです。

このような「ハイド文」に隠された本音が
わかるようになると、コミュニケーションを
効率よく有利に進めることができるのです。

本書では、短くても伝わり、かつ、
面白いと思わせる、文章力をつける
練習方法が、豊富に紹介されています。

  第1章 文章力は「要約力」で決まる!
  第2章 わかりやすい文章の “骨格" をつくる
  第3章 ちょっとした工夫で読み手の印象は
     劇的に変わる
  第4章 スピーチライター流
     文章力を磨くトレーニング
  第5章 ケース別 相手の心を動かす文章の書き方

この本から何を活かすか?

  「あくまで経験則ですが、指定された文字数の
  倍の長さを書いてから削った文章は面白い。」

書くときは、倍の長さを一気に書きます。

そして、心を鬼にして、
削って、削って、削って、
一気に半分の長さまで短くします。

それが面白い文章を書くコツ。

削るときは、なくても通じる接続詞や、
無意識のうちにつけている主語を排除し、
要点の詰まった文章に仕上げます。

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| 文章術 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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教養としてのテクノロジー

満足度★★★
付箋数:24

  「本書は、メディアラボ所長として世界を
  飛び回り、日々いろいろな人々と触れ合うなかで
  思った僕の “実感” をなるべく言葉にしています。
  前著『9プリンシプルズ』は本をつくのに
  数年を費やしましたが、本書は日本の方々に
  向けて書いています。僕が日頃で思っている
  ことをまとめた本になっていると信じています。」

著者の伊藤穰一さんは、マサチューセッツ工科大学
(MIT)メディアラボの所長を務める方。

MITは88人のノーベル賞受賞者を輩出している、
世界でも屈指の研究大学です。

そこに所属するメディアラボは、1985年に創設され、
以来「人間とコンピュータの協調」を大きな
テーマとして世界最先端の研究を行っている機関です。

本書は、そのメディアアボで所長を務める
伊藤さんが、テクノロジーの可能性と未来について
語った本。

話しているテーマは多岐にわたり、「実感」を
語ったと言う通り、深く探求するのではなく、
思いつくままに語った「未来エッセイ」です。

それぞれのテーマは非常に興味深いのですが、
若干、散漫な印象ありました。

本書の中で、私の関心を引いたテーマは
2つあります。

1つ目は、新たな資金調達の方法「ICO」。

ICOとは、IPOに似た言葉ですが、イニシャル・
「コイン」・オファリングの略です。

これはテクノロジー系のスタートアップ企業が、
仮想通貨を介して資金を集める新たな手法。

起業家や開発者が、自分たちの提供する
新しいサービスで使える「トークン(コイン)」
を投資家に買ってもらい、その購入代金で
資金調達する手法です。

購入したトークンが取引所に上場されて、
売買が可能になると、一気に値上がりする
可能性があるため投資家の人気を集めました。

その一方、新しい手法であるために
基本的なルールが未整備であったり、
インチキなICOがたくさんあるなど、
さまざまな問題もあるようです。

もう1つ私の関心を引いたのは「身体拡張」です。

  「科学技術の進歩により、人間が持つ足よりも
  能力が高い “義足” が登場しました。
  高い推進力を持つカーボン製の義足を付けた
  選手は、すでに人間の足で走るスピードを
  上回ることができるようになりました。
  僕は “パラリンピックがいつの日か、
  オリンピックを超える競技会になる” ことを
  いつも想像しています。」

この背景にあるのは、トランスヒューマニズム
の思想です。

これは科学技術を使って人間の身体や
認知能力を進化させ、人間を前例のない
状態まで向上させようという思想です。

伊藤さんはトランスヒューマニストではない
ようですが、拡張身体が一般的になる未来を
想像しています。

個人的には『あしたのジョー』を下敷きにした
ボクシングアニメ『メガロボクス』をちょうど
見始めたところだったので、身体拡張は
タイムリーな話題でした。

この身体拡張は、日本とアメリカで向かっている
方向が違うそうです。

日本人は『サイボーグ009』などの影響もあって、
そもそも身体を拡張するのが好きで、
テクノロジーを楽しむ傾向があります。

一方、アメリカでは身体を拡張というより、
不滅の肉体を持ちたいという方向に関心が
集まっています。

日本はファンタジー寄りで、アメリカはシリアス
寄りといった「空気と場」の違いがあるようです。

テクノロジーの未来を考えると、いろいろな
「そもそも論」を考える必要が出てきます。

そういった意味で、本書を読むと、
もう少し突っ込んで議論をしたいという
不完全燃焼の感じが残る本でした。

この本から何を活かすか?

伊藤さんは「ワールド・オブ・ウォークラフト
(WoW)」という、オンライン・ゲームに
ハマったそうです。

WoWは、登録ユーザーが1000万人を超える
オンライン・ロールプレイング・ゲームです。

メディアラボの所長がハマってしまうゲームが
どんなものか興味がありますね。

日本版がない、チャットは英語のようなので、
英語学習の一環として参加するのもいいかも
しれません。

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| IT・ネット | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術

満足度★★★
付箋数:23

著者の前田めぐるさんから献本いただきました。
ありがとうございます。

採用選考のときに企業が最も重要視するのは、
「コミュニケーション能力」です。

ある調査では、9割近くもの企業が、
コミュニケーション力を最重視する能力として
挙げたそうです。

コミュニケーション力は、ビジネスに限らず、
プライベートも含め、現代社会を生きていく
うえで、最も大切な能力と言っても過言では
ありません。

そのコミュニケーション力のなかで、
今後、ますます重要になっていくのが、
「書く」コミュニケーション力です。

なぜなら、ソーシャルメディアが発達した
現代においては、話すことよりも、
書くことで伝える機会が圧倒的に増えたから。

以前は、書くことで伝えられる範囲は限られて
いましたが、ソーシャルメディアを使って、
今では誰もが多くの人に発信できます。

話すコミュニケーションで一度に伝えられるのは、
多くでも数十人から数百人ですが、
書くコミュニケーションでは、数千人、数万人に
瞬時に伝えることが可能になりました。

本書は、ソーシャルメディアで、あなたが
「伝えたいことを伝わるように」書くための
秘訣をまとめた本です。

ソーシャルメディアで誰でもいいから
フォロワーを増やしたり、裏技を使って
アクセスアップをするための本ではありません。

本書では、最初に「読まれる文章」の書き方を
説明し、次のステップで「共感される文章」を
書くポイントを解説します。

まず、「読まれる文章」を書くための
7つのコツを紹介します。

  1. 読まれる文章は、わかりやすい文章
  2. 万人受けを狙わず、「伝えたい人」向けに書く
  3. むずかしい言葉は、やさしい言葉に変換
  4. 一文一義! ポイントを絞ってすっきり
  5. 混乱を避け「分ける化」する
  6. つないで省く「接続詞」で文章を交通整理
  7. 重複を避けると「大人文」になる

個人的に文章を書くときに、気をつけたいと
思っているのは、7番目のコツに挙げられている
同じ言葉の重複を避けることです。

類語で代用したり、代名詞や接続詞を使って
重複を避ける方法などが解説されていて
参考になりました。

そして、本書のキモとなるのは、
「共感される文章」の書き方です。

どんな文章を書けば、心に刺さるのか?
思わず「いいね!」したくなる文章とは?
3秒でつかむには、どう書き出せばいいのか?

本書を手に取るほとんどの方が知りたいのが
このパートでしょう。

全部で11個のコツが紹介されていますが、
このパートには、コピーライターとしての
前田さんのノウハウが詰め込まれています。

本書全体を通してわかりやすのが、
ビフォー&アフターの改造例が満載されて
いることです。

実例で示されるので、こう直せば良くなる
ということが、非常によくわかりました。

一度読んで終わりにするのではなく、
都度チェックするために、
手の届く場所に置いておきたい本です。

私にとっては、「発信する人が楽しんで書く」
という大前提を思いだすことができたのも、
本書を読んで得た、大きな収穫でした。

ちなみに本書は、前田さんが2013年に刊行した
ソーシャルメディアで伝わる文章術』を
改題し、文庫化したもの。

ただし、SNS事情もここ5年ぐらいで大きく
変わっていますから、そういった点を踏まえ、
大幅に修正しているようです。

この本から何を活かすか?

本書の最終章には、ソーシャルメディアへの
「投稿前の9つのチェックリスト」が掲載されて
いました。

  1. 意図や内容が伝わるか
  2. 読みやすいか
  3. 一文の長さは適切か
  4. 素通りされないか
  5. 誇示していないか
  6. 名指しで非難していないか
  7. ネガティブな印象を与えないか
  8. 不快感を与えないか
  9. 間違いはないか

今後、私のブログ記事もこのチェックリストで
確認してから投稿したいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 文章術 | 06:15 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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弁護士だけが知っている モメない33の方法

満足度★★★
付箋数:21

「モメごと」は誰にとっても嫌なものです。

モメた結果、最後は自分の思い通りに
なったとしても、神経をすり減らし、
多くのエネルギーを使うことになります。

モメた結果、自分の思った通りの結果に
ならなかった場合は、もっと最悪。

モメることで精神的に疲弊し、
しかも自分では納得できない結果しか
得られないわけですから。

どちらの結果になるにせよ、
できるだけモメごとは避けたいものです。

では、なぜ、モメごとは、生まれるのか?

  「モメごとというのは、最初からモメごとで
  あったわけではありません。そこには数多くの
  要因があり、それが積もりに積もって、
  大きな問題へと変わってしまうのです。
  深い悩みを抱えている相談者の方々と
  話を続けているとわかるのですが、
  決定的な争いに発展する前の段階で、
   “小さなモメごと” が数多く積み重なって
  いる場合が大変多いのです。」

モメごとが起きたときに、最後に頼るのは、
弁護士です。

本書の著者、弁護士の佐藤大和さんの
事務所には、これまで様々なトラブルの相談が、
持ち込まれてきました。

佐藤さんは、その解決の手伝いをする中で、
9割のトラブルは、大きなモメごとになる前に、
簡単になくすチャンスがあったことに
気づきました。

  「もちろん、問題が大きくなってしまったら、
  それを解決するのは法律事務所の仕事です。
  しかし、モメごとが小さいうちは、
  コミュニケーションを少し変えるだけで、
  驚くほどたやすく解決してしまうものなのです。」

本書は、佐藤さんが弁護士として、
依頼人から受けた数多くの相談の経験から、
モメごとを起こさないコミュニケーションの
ノウハウをまとめたものです。

まず、人間関係が円滑な人は、次の8つのことを
知っていると言います。

 1. 人間は偏見のかたまりであることを知っている
 2. 自分がワガママな人間であると知っている
 3. 自分のストレスの正体を知っている
 4. 自分が何に喜びを感じるのかを知っている
 5. 人間関係のルールには正解がないことを
  知っている
 6. 夜は考えごとに向かないことを知っている
 7. 人は無視してもいいということを知っている
 8. 最後は逃げ出していいということを知っている

これらのことを知っておくだけで、
他人とモメることがグッと減ります。

この中で私が気になったのは、8番目の知恵です。

佐藤さんが、相談者の話を聞いていると、
「相手の感情にそこまで付き合う必要はない」
と思うことがしばしばあるようです。

踏み込みすぎたり、近づきすぎたりして、
必要以上に他人との関係で傷ついている人が
多いようです。

他人の感情に振り回されないよう、ときには
相手の感情を無視することも必要なのです。

また本書では、「無駄にトラブルを起こさない
ための15の技術」と「起こってしまった
モメごとを解決する10のトラブル対応術」
が紹介されています。

これらはいずれもコミュニケーションの
知識と技術です。

コミュニケーションにおいては、実際にどう
対応するかも大切ですが、相手にどのように
見えているかの「演出」も大切です。

相手を変えることは簡単ではないので、
自分の行動をどうかえるかが、
アドバイスの中心となっています。

弁護士ならではのテクニックというより、
人として必要な本質的なコミュニケーション術
といった内容の本です。

この本から何を活かすか?

佐藤さんは、「賢い反論と自分の首をしめる反論」
があると言います。

いくら効果的な解決策を提示したとしても、
相手が怒っている状態では、まともに聞き入れて
もらえません。

そこで相手への反論は、喧嘩をするためではなく、
お互いの怒りを鎮めるために行います。

まずは、相手を責め立てないように注意して、
冷静に話せる状況をつくります。

その上で、双方にメリットのあるWin-Winな
解決策を提案するのです。

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| コミュニケーション | 05:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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シリコンバレー式最高のイノベーション

満足度★★★
付箋数:24

ダイヤモンド社の平城さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「あなたが経営者であっても、誰かの下で働いて
  いるとしても、イノベーションを起こさなければ、
  この世界で競争に勝ち続けることはかなわない。」

過去のやり方が、通用しなくなっています。

テクノロジーが進化し、ビジネス環境が急激な
速さで変化する時代においては、今までやってきた
ことの延長線上に、未来はありません。

ありとあらゆる企業が生き残りのために、
「イノベーション」を最優先課題としています。

しかし、イノベーションは簡単には生まれません。

多くの企業が、イノベーションを起こせず、
苦しみ、もがき、失敗を重ねています。

ところが、イノベーションを次々と生み出して
いる地域があります。

言わずとしれたシリコンバレーです。

古くは、インテル、ヒューレット・パッカード 、
少し前だと、アップル、Google、Facebook、
最近だと、Uber、Airbnbなどがシリコンバレー
から誕生しました。

なぜ、シリコンバレーでは多くのイノベーション
が生まれるのでしょうか?

その答えは、本書の中にあります。

著者は、ファウンダーズ・スペース社代表で、
シリコンバレー業界団体組合議長を務める
スティーブン・S・ホフマンさん。

ホフマンさんは、シリコンバレーで自ら数社の
スタートアップを成功させた後、現在では
世界22ヶ国でスタートアップを支援する
アクセラレーターとして活躍される方です。

イノベーションを語る本が、書店に行くと何冊も
並んでいますが、本書は既存の本と違います。

  「世の中にはイノベーションの本がごまんと
  あるけれど、シリコンバレーのインキュベーター
  の中にいる人たちが使っているプロセスや手法を
  公開して、こうしたテクニックをどんな会社でも
  使えることを示した本が、これまでになかった。」

本書は、シリコンバレーで起きている
イノベーション成功の秘密を解説した本です。

ちなみに、インキュベーターはアイディアを
ビジネスとして成功させるためにチームを集め、
資金とリソースを募り、人脈構築などの支援を
行います。

アクセラレーターは、すでに存在する初期段階の
スタートアップ企業を引き入れて、その成長を
加速するために指導を行い、リソースや人脈や
研修や資金を提供します。

ホフマンさんは、このインキュベーターも
アクセラレーターも両方を行っているので、
イノベーションを起こすための秘訣を知って
いるのです。

では、イノベーションを起こすには、
画期的なアイディアや、最先端のテクノロジー
が必要なのでしょうか?

実は、そんなことはありません。

すべてのイノベーションは過去の何かの
「パクリ」から始まったと、ホフマンさんは
指摘します。

ただし、偉大な起業家はパクるだけでなく、
それを自分のものにするのです。

Facebookのマーク・ザッカーバーグさんや、
テスラのイーロン・マスクさんも最初は
パクったところから始めました。

また、華々しい成功を収めてたスタートアップが
利用したテクノロジーは、たいてい既存のものか、
オープンソースです。

イノベーションを起こすために、必ずしも
独自のテクノロジーが必要なわけではありません。

実際にテクノロジーの恩恵を受けるのは、
それを生み出した会社や個人ではなく、
そこにビジネスチャンスを見出し、
飛びつく起業家だけが、利益を得るのです。

本書には、イノベーションを起こすために、
必要なポイントが網羅されています。

豊富な事例を用いて解説されているので、
ビジネスに応用できるヒントが満載されています。

  第1章 イノベーションのカギは多様性と模倣
  第2章 小さく、少なく始める
  第3章 イノベーションのコツを知る
  第4章 コアの強みを活かし、価値を提供する
  第5章 不安要素を取り去る
  第6章 大きなリスクを取って大胆に挑戦する

この本から何を活かすか?

  「大きなイノベーションはいずれも、
  人々が既にやっていることや考えていることが
  元になっている。」

必要なのは、ある分野のアイディアを
借りてきて、別の分野に当てはめること。

そのためにホフマンさん自身は、
自分にほとんど馴染みのない分野の新しい本を
探すことを習慣としているようです。

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| アイディア・発想法・企画 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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AIとBIはいかに人間を変えるのか

満足度★★★★
付箋数:25

人工知能(AI:artificial intelligence)の
発展は目覚ましく、2016年にはアルファ碁が
世界チャンピオンのイ・セルドさんに完勝して、
大きな話題となりました。

このままAIが発達していくと、経済活動のうち、
現在人間が担っている知的作業、知的労働が
AIに代替されていくと予想されます。

現時点でも、税理士業務やパラリーガル業務、
人材の履歴書の評価・分類や医療の画像診断
などを、AIが代わりを務めつつあります。

AIの行き着く先は、ユートピアではなく、
資本家による社会の完全支配と所得・消費の
減退による経済の崩壊というディストピア
だとも、言われています。

そうならないために必要なのが、AIによって
生み出された富を再分配する仕組みです。

それがBI(ベーシック・インカム)です。

BIは国民全員に生活できるだの現金を
無条件で給付する制度のこと。

2016年にスイスが導入の国民投票を行ったり、
2017年にフィンランドが社会実験を行うなど、
こちらも話題になりました。

AIとBIはどちらも現状の世の中を根底から
覆してしまう可能性を持っています。

AIによってもたらされる労働からの解放が、
BIと結びつくのは必然なのです。

本書は、タイトルにある通り、AIとBIが、
世の中をどう変えるかについて分析し、
予測し、メッセージを提起する本です。

著者は、経営コンサルタントの波頭亮さんです。

では、BIについてもう少し詳しく見ていきます。

BIには次の5つの制度的な長所があります。

  1. シンプルである
  2. 運用コストが小さい
  3. 恣意性と裁量が入らない
  4. 働くインセンティブが失われない
  5. 個人の尊厳を傷つけない

現在の生活保護制度では、働いて収入が
得られるようになると給付が減額されたり
打ち切られるので、働くインセンティブが
失われてしまいます。

しかし、BIは無条件に一律給付されるので、
働いて収入を得ても減額や停止がありません。

つまり、頑張ればそれに応じたメリットがあり、
頑張ることのデメリットは存在しないのです。

BIの導入の最大の課題は「財源の確保」ですが、
それ以外にも、3つの側面の課題があります。

1つ目の側面は、経済学的イシュー。

働かない者が増えるのではないかという
フリーライダー問題と、巨額の財政負担が
不可能ではないかという財政面の問題です。

2つ目の側面は、政治学的イシュー。

これは官僚が、裁量と差配に固執する
のではないかという抵抗です。

3つ目の側面は、文化的イシュー。

「働かざる者、食うべからず」という
社会通念・社会規範の問題です。

この考えは歴史的にも古く、洋の東西を問わない
普遍的に人類に染み込んでいる規範で、
3つのイシューの中で最も根深い問題です。

「働かざる者、食うべからず」という考えから、
「働かなくても、食ってよし」という新しい
社会通念に切り替える必要があるのです。

BIに関しては、政府・公的機関だけでなく、
民間企業・団体による導入実験が、
世界各地で近年行われており、
それらは、概ね良好な結果が出ています。

そして、高度にAIとBIが結びついた世界では、
生きるための労働がなくなります。

では、そうなった時に、人間は働かなくなる
のでしょうか?

  「私は、そうは考えない。 “働く必要が無い” 
  というのは “働くべきではない” という意味
  とは全く異なる。ただし、 “新しいステージ” 
  においては “働く” という言葉の意味合いや、
  人生における “仕事” の位置づけが、
  これまでとは大きく転換することになると
  考えられる。」

本書は、AIとBIのもたらすインパクトを伝え、
私たちが未来をどう生きるべきかを指南する
先見性のある一冊だと思います。

この本から何を活かすか?

ロンドンで行われた社会実験の結果は?

ホームレスへの対応と社会的コストの増大に
悩まされていたロンドンの行政は、2009年に
ある社会実験を行いました。

それは男性ホームレス13人に対して、
1人月45万円という破格の金額を無条件で与え、
それ以外のサポートは一切行わないという
社会実験でした。

1年半後、給付額は約7000万円になりましたが、
行政コストは約5250万円削減されました。

そして、13人全員が自発的な社会的リハビリや
将来の計画を立案するなど、良い方向へ
動き出したそうです。

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| 経済・行動経済学 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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集中力はいらない

満足度★★★
付箋数:23

私たちは、子どもの頃から「集中」することが、
大事であると、ずっと言われ続けてきました。

集中とは、数ある対象の中から、1つに絞れ
という意味と、長い時間をかけてだらだら
やるなという意味で使われます。

それは、スポーツでも、勉強でも、仕事でも。

集中することが、良いパフォーマンスに
つながる鍵であると考えられています。

集中することは、非常に素晴らしいもので、
集中力があるほど有利であると。

果たして、集中とはそんなに良いもので、
それによる弊害はないのでしょうか?

  「この本で僕が書こうと思っているのは、
  実は、 “集中力” に否定的な考え方である。
  だから、あえて言えば “アンチ集中力” 
  みたいなものの効能について語ろうと思う。」

本書は、『すべてがFになる』などの小説を
量産する理系ミステリ作家、森博嗣さんが、
「集中力」について考察したエッセイです。

森さんは、これまでにも小説以外の
「思考力」に関する本を書いてきましたが、
本書もそういった系統の一冊。

  「そもそも、僕は “集中力” を全否定する
  つもりは毛頭ない。それどころか、集中力は
  大事だと思っている。ただ、説明が難しい
  のだが、全面的にそれを押し通すのはいかがか、
  という問題を提起したい。集中力は、みんなが
  持っている印象ほど素晴らしいものではない、
  少しずれているのでは、と気づいてもらい
  たいのだ。」

森さんが、アンチ集中力を唱える1つ目の根拠は、
集中力の行き着く先が「機械化」であること。

私たち人間は、必ずミスをします。

そして、ミスをした原因は、集中しておらず、
注意力散漫だったからと考えられます。

つまり、集中によってもたらされるのは、
ミスのない完璧な仕事。

それを実現できるのは、機械やコンピュータ
だから、集中が目指す先には機械化があると
森さんは考えます。

もう1つのアンチ集中力の根拠となるのは、
人間らしい「発想」は、集中からは生まれない
ということです。

発想は、集中とは逆の「分散」から生まれます。

  「ここで大事なことは、その “発想” には、
  いわゆる一つのことしか考えない “集中” が
  逆効果である、という点である。
  むしろ、別のことを考えていたり、
  あれもこれもと目移りしていたりするときの
  方が発想しやすいことを、僕は経験的に知った。
  あえて言葉にすれば、 “ヒントはいつも、
  ちょっと離れたところにある” からだ。
  一点を集中して見つめていては、その離れた
  ものに気づくことができない。」

個人的に森さんの考えで面白かったのは、
「集中と分散」を「具体と抽象」と
関連付けて考察していた点です。

正確に集中=具体、分散=抽象ではありませんが、
なんとなくイメージは伝わります。

抽象は、焦点が絞られていないので、
すぐに行動を起こしにくいかもしれませんが、
適用範囲が広く、応用しやすい考えです。

分散することは、抽象的な視点や考えに
結びつき、偶然に現れる発想が芽生えやすい
土壌を作っていると森さんは感じています。

森さんは、本書でも「では、どうする」という
具体的な答えを書いていません。

あくまで、考えるヒントを与えることに
とどめています。

それは、お手軽で簡単な答えを与えるより、
自分の頭で考えることの方が大切であり、
それが思考力を身につける方法と
考えるからです。

本書は、集中力至上主義に陥りがちな
私たちに、別の角度からのものの見方が
あることを気づかせてくれます。

ちなみに、速筆で知られる森さんですが、
本書も、1日1時間の執筆×14日間=14時間で
書かれた本です。

この本から何を活かすか?

発想を生む分散思考は、どうしたらできるのか?

  「分散思考は、明らかにリラックスしている
  方が適しているようだ。これには、創造的な
  仕事をする多くの人が証言していることからも
  わかる。海に行かないと書けないという作家が
  いたり、酔っ払わないと曲が浮かばないという
  作曲家がいたりする。創作の仕事場というのは、
  だいたい室内で、限られた場所であるから、
  多くのクリエイタは、旅行を好む。
  頭をリラックスさせ、集中させないことが、
  いかに大事な条件であるかを知っている
  のだろう。」

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 05:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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こじらせママ 子育てしながらココナッツオイルで年商7億円。

満足度★★★
付箋数:23

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

ダイエットや美容への効果が注目され、
2015年頃から「ココナッツオイル」が
ブームとなっています。

美容食材としては、息の長いブームですね。

ダイエット効果、美容効果、アンチエイジング、
アルツハイマー予防、動脈硬化予防など、
様々な効用があると言われています。

日本でも人気のあるのファッションモデル、
ミランダ・カーさんが愛用していることで、
さらにブームに拍車がかかりました。

もともと、珍しい輸入食材という程度でしか
認知されていなかったココナッツオイルを、
日本で流行らせたのは誰か?

  「はじめまして。株式会社ブラウンシュガー
  ファースト代表、荻野みどりです。
   “ブラウンシュガーファースト” といっても、
  知らない方もいるかもしれませんね。
   “ココナッツオイルブームの火付け役” とよく
  呼んでいただきますので、もしかすると、
  オーガニックのココナッツオイルを販売して
  いる会社と言ったほうが、ピンと来るかも
  しれません。」

本書は、一大ココナッツオイルブームを
巻き起こした女性起業家が「働き方・生き方」
について綴った本です。

女性起業家と聞くと、スマートな女性という
イメージですが、荻野さんは、女性としても
母親としても、ずいぶん苦しみ、葛藤しながら、
事業を成功させました。

4つも大学に行って、そのすべてを1年で中退。

21歳で家出同然で福岡から上京してからは、
履歴書に書ききれないくらい職を転々とします。

結婚して専業主婦になると、何もしていない
自分に落ち込み、仕事を再開しても、
それが本当にやりたい仕事か悶々としました。

娘さんを生み、ブラウンシュガーファーストを
始めてからも仕事と育児の両立に悩みます。

そして離婚も経験し、シングルマザーに。

タイトルに「こじらせママ」とありますが、
いつも自分に自信がなく、迷い続けた人生です。

  「全然スマートじゃないわたし。
  この本ではそんなわたしが、どうやって
  会社を作り、成長させていったのか。
  こじらせていた自分とどう向き合ったのか。
  そして子育てと仕事をどう両立しているのかを
  お伝えするものです。」

荻野さんが、ココナッツオイルに注目したのは、
まだ小さかった娘さんに湿疹が出たり、
便秘になって、食の大切さを痛感したことが
きっかけでした。

ココナッツオイルが健康に良いことを知り、
最初は通販でアメリカから取り寄せて、
お菓子作りで使うことから始めました。

ここからが、荻野さんの行動力のすごい
ところです。

輸入ではお菓子に使うには高すぎると考え、
ココナッツオイルの産地に行って、
仕入れさせてもらうように直談判しました。

フィリピンの製造現場に来た荻野さんは、
「ココナッツオイルを商品化しよう」という
事業への思いと、8ヶ月の娘さんを日本に
残してきた後悔の念が湧き上がり、
自己嫌悪に苛まれます。

  「母親としての自分、働く女性としての自分。
  どちらも半人前。
  この葛藤から抜け出すには、そうしたらいいの?
  いくら考えても、答えは見つかりませんでした。」

しかし、荻野さんは自分をシンプルにすることで、
悩みの解決策が見えてくるよになります。

そして、子育てをしなからでも、
ワクワクして働くポイントを見つけていきます。

結果として、資本金20万円でスタートした
ブラウンシュガーファーストは4年間で、
年商7億円の企業に成長しました。

最初は、自分の娘のために始めた商売が、
いつしか高い志を持つようになりました。

女性であれば、共感することは必至で、
荻野さんの成長の過程が追体験できます。

また、男性の私が読んでも、
参考になる行動や考え方がある本でした。

この本から何を活かすか?

  人生の指針として、「おばあちゃんの自分」
  を想像してみよう

荻野さんは、自分が本当にやりたいことを
見つけるための方法として、70歳になった
自分を想像することをススメています。

なぜ、70歳かというと、今の年齢に近いと、
今あるしがらみの延長で考えてしまうから。

何の制約もないところで、何をしていたら
幸せなのかを考えることがポイントです。

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| 心に効く本 | 06:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法

満足度★★★★
付箋数:25

日本人は、帰国子女でもない限り、
どんなレベルの人でも、「英語が苦手」と
思っている人がほとんです。

実際には、それほど苦手でない人まで、
そう思うのには理由があります。

それは、「英語ができる=ペラペラ話す」
を目標にしてしまっているから。

しかし、本書の著者、戸塚隆将さんは、
それは日本人が「目指すべき英語」として、
間違っていると指摘します。

戸塚さんは、ゴールドマン・サックスや
マッキンゼーで働き、グローバルで活躍する
日本人を多く見てきました。

実際にそこで活躍する人たちは、
私たちが一般的に想像するイメージと姿と
ちょっと違うようです。

  「もしかすると、ネイティブスピーカー
  のような綺麗な発音で、難しい英単語や
  表現を随所に散りばめ、よどみなく
  ペラペラと話をする―。
  そんな姿を想像するかもしれません。
  しかし、彼らの英語はそうではありません。
  むしろ、日本語アクセントの残る英語で、
  聞き慣れた単語や表現のみを用い、
  ゆっくりと手短に話をする。
  そういう人が多かったのです。」

ただし、ペラペラ話す必要はありませんが、
相手の話すスピードで言っていることを
聴き取るリスニング力は必要です。

つまり、聴くときは相手のペースで、
話すときは自分のペースに切り替えます。

本書は、世界のエリートが使う
シンプルな英語を身につける方法を
解説した本です。

スティーブ・ジョブズさんや、
カルロス・ゴーンさんのスピーチを聞くと、
意外なほどシンプルな英語を使っている
ことがよくわかります。

本書が目指すシンプルな英語は、
次の3つの特徴を持ちます。

  1. 結論が明確で、短く、わかりやすい
  2. 論理が明確で、ストレート
  3. 簡単でわかりやすい語彙

戸塚さんは、日本人の英語に対する
「誤解」を解くことから本書を始めます。

その1つが、「英語学習はスキマ時間に
やればいい」という誤解。

やらないより、やった方がいいかも
しれませんが、それだけで英語を
学ぼうとするのは土台無理な話。

英語は「だらだら3年」続けるより、
「集中して3ヶ月」勉強する方がいいのです。

短期集中の方が、習得の手応えが感じられ、
英語学習の好循環が生まれやすいからです。

英語学習は短期集中的に基礎力を身につける
アプローチをとるべきなのです。

さて、本書ではシンプルに伝える英語を
身につける方法を6ステップで解説します。

 STEP1 「ブロークン」でもいいからとにかく話す
 STEP2 正しい発音を「まず頭で」理解する
 STEP3 英文を「前から」解釈しながら読む
 STEP4 「音読とセットで」ひたすら聴く
 STEP5 結論と根拠を明確にして「ロジカル」に書く
 STEP6 かならず「フルセンテンスで」話す

これらの方法は、決して特別なものもなく、
目新しい方法でもありません。

しかし、これこそが非ネイティブが、
本格的な海外生活なしに英語を身につける
一番の近道だと戸塚さんは説明します。

私自身は、これまで試行錯誤しながら、
英語を勉強してきましたが、
「本書の勉強法は正解」だと思います。

もし、ビジネスで英語を身につける必要があり、
勉強方法で迷いがあるなら、本書を読むことを
お勧めします。

個人的には、もっと若い頃にこの本に
出会いたかったと思いました。

この本から何を活かすか?

本書では、英語力以外に「伝える」うえで
大切なポイントが挙げられています。

  1. 大きな声で話す
  2. 「結論」と「根拠」を示す
  3. メッセージの中身をハッキリさせる
  4. 簡単な言葉を使う

これらは、コミュニケーションするうえで
大切なことですから、日本語で話すときでも
意識すべきことだと思います。

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| 勉強法 | 06:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論

満足度★★★★
付箋数:25

次の各国の数字は、何を表したものか
わかりますか?

ドイツ1052万人、イタリア504万人、
スペイン323万人、日本は4101万人。

実はこれ、2060年までに「人口減少」する
予測値です。

他の先進国に比べて日本の数値が、
突出していることがわかります。

人口減少は、日本に劇的な変化をもたらします。

その変化を何もせずに受け入れてしまっては、
日本に残る道は衰退しかありません。

なぜなら、人口が減っても、高齢者の数は
あまり減らないので、1人当りの医療費の負担が
重くのしかかってくるからです。

また、日本はGDPの2倍以上の借金があるので、
人口減少によって、経済が縮小してしまうと、
首が回らなくなってしまうのです。

では、日本は人口減少を、座して死を待つ
ことしかできないのでしょうか?

本書の著者、デービッド・アトキンソンさんは、
人口減少を補う唯一方法は、「生産性」の向上
だと説きます。

ちなみに、ここで言う生産性とは、
「1人あたりのGDP」のことを指します。

  「今までの働き方、すなわち1人あたりの生産性、
  1時間あたりの生産性を変えずに経済を維持
  しようとすると、桁外れの移民を受け入れないと
  いけません。日本人労働者だけでなんとか
  しようとすると、現実的ではない長時間労働が
  必要になります。生産性を固定する以上、
  どうやっても計算が合わないのです。
  やはり人口減少の規模が大きすぎて、生産性を
  向上させる以外の解決策は考えられません。」

本書は、日本の生産性を、いかに向上させるか
について論じた本です。

アトキンソンさんにとっては9冊目の著書で、
17万部超のベストセラーになっている、
「新・◯◯論」シリーズの第3弾です。

  第1弾:『新・観光立国論
  第2弾:『新・所得倍増論

日本の生産性の低さは、以前から指摘されて
いるところです。

一般的にその理由は、日本では質の高い商品や
きめ細やかなサービスを提供している割に、
価格が抑えられているからと認識されています。

つまり「高品質・低価格」であり、
それは日本人の「美徳」であるとする考えです。

しかし、アトキンソンさんは、
「高品質・低価格」は単に生産性の低さを
ごまかすための「屁理屈」と一刀両断。

「高品質・低価格」は、人口増加社会でしか
通用せず、これを続けていると労働者の
「地獄」を生み出す。

そして、日本の生産性が低いのは、
労働者ではなく、経営者に原因があると
指摘します。

  「世界に誇れる優秀な労働者がいるにも
  かかわらず、この体たらくはいったい
  どういうことなのでしょう。
  この体たらくを招いた責任は、ひとえに
  日本の経営者にあります。彼らの無能っぷりは、
  もはや奇跡的としか言いようがありません。」

本書でも、歯に衣着せぬアトキンソンさん
らしい痛快な言い回しが、炸裂しています。

では、日本が生き残っていくために、
どのようにして生産性を上げていけば
いいのでしょうか?

アトキンソンさんは、まず国がすべきこと
として、3つの政策を挙げます。

  1. 企業数の削減
  2. 最低賃金の段階的な引き上げ
  3. 女性の活躍

次に、企業の生産性を上げるためには、
あらためて言うまでもない常識としながらも、
次の5つを挙げています。

  1. 設備投資を含めた資本の増強
  2. 技術革新
  3. 労働者のスキルアップ
  4. 新規参入
  5. 競争

そして、アトキンソンさんは、
日本人は、世界でもっともお金にうるさく
ならなければいけないと、つけ加えます。

今回も、日本人が持っている誤解を
次々と指摘し、論理的に畳み掛けてきます。

読後は、もう本書で言われている通りに
やるしか道はない、と思ってしまうほどの
勢いがあります。

この本から何を活かすか?

よくある誤解が、生産性と効率性の混同です。

誰も求めていない商品を「効率よく」つくる
ことは可能です。

しかし、売れない以上、売上がないので、
付加価値はゼロ、つまり生産性はありません。

生産性のないものを、アトキンソンさんは、
「無駄」と呼んでいます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ

満足度★★★
付箋数:23

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

思ったことをすぐ口にする、米トランプ大統領。

彼の怒りに触れ、罵詈雑言を浴びせられた人は、
米国内、国外を問わず、数えられないほどいます。

そんなトランプさんが、外国の指導者の中で、
唯一「非常に聡明」と称賛し、
罵倒しなかったのは誰でしょうか?

それは、ロシア大統領のプーチンさんです。

  「トランプがあれほどまで、あるいは、
  あれほど頻繁に称賛した外国の指導者は
  ほかにいない。そして、彼のプーチンに対する
  恭順の姿勢は大統領就任後も続くことになる。」

本書は、今アメリカを揺るがしている、
ロシア疑惑、所謂「ロシアゲート」の
真相に迫る本です。

これは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に
おけるロシアの干渉問題のことです。

ロシアは、米大統領選挙でトランプさんを
勝利させるために、サイバー攻撃やSNSを使って、
世論工作や選挙干渉をしたのではないか
という疑惑です。

トランプさんには、政権内部にも敵が多いので、
リークされることを最も警戒していますね。

ロシアゲートの争点は、ロシアの選挙介入は、
トランプ陣営が関与していたかどうか。

そして、この件の調査を行っていた、
FBI前長官ジェームズ・コミーさんの解任は、
操作妨害にあたるか否かです。

  「2016年の騒がしい日々、スティールが依頼
  されていた秘密の調査は、まさにマトリョーシカ
  のようだった。このロシア人形のように、
  最後に真実が現れるまで隠れた秘密を1つ1つ
  引っ張り出し、ドナルド・J・トランプに関わる
  ロシア政府の機密中の機密を暴くという
  危険な仕事である。調査結果はアメリカの
  諜報コミッティーを揺るがし、リチャード・
  ニクソン大統領とウォーターゲート事件の
  暗黒時代以降、類を見ない政治的な激震を
  引き起こすことになる。」

ここで登場するスティールさんとは、
トランプさんとロシアの関係について
情報を入手し、文書を作成したとされる、
英国情報機関MI6の元職員です。

本書は、このスティールさんとの接触から始め、
ロシアとアメリカで細かい取材を重ね、
疑惑の真相を解明していきます。

著者は、英ガーディアン紙海外特派員で、
作家のルーク・ハーディングさんです。

ガーディアン紙では、モスクワ支局長を
務めていたので、ロシアに独自の
ネットワークを持っている方です。

地道に取材を重ねたハーディングさんは、
ロシアがトランプに目をつけたのは、
2016年の米大統領選挙のかなり前から
であったことを知ります。

それは、なんと冷戦のさなか、
1980年代だったといいますから驚きです。

私たちにとってみると、トランプさんの
大統領就任は、降って湧いた出来事でしたが、
実は、ロシアが何十年も時間をかけて、
用意周到に準備したことだったのです。

そして本書では、ロシアからの資金の流れを
追いながら、癒着と共謀の実態を一歩ずつ
明らかにしていきます。

ロシアゲートの今後の展開は、まだ目が離せない
ところですが、本書は、ジャーナリスト魂で、
丹念に足を使って書いた400ページ超の力作。

複雑な人間関係がありますが、冒頭で本書に
登場する人物の写真付き解説が6ページ渡って
掲載されているので、理解を助けてくれます。

ちなみに、スティールさんの35ページの
報告書は、ネットで公開されています。

この本から何を活かすか?

私が本書を読んで思ったのは、やはり政治家は、
迂闊にツィートしてはいけないということ。

トランプさんは、何かにつけてツィートします。

ハーディングさんは、トランプさんのツィートを
手掛かりして、取材に当たりをつけています。

ツイッターは、その瞬間の出来事や感情を
切り取って投稿するもの。

しかし、それを後からつなぎ合わせると、
意外な事実が浮かび上がることもあるので、
政治家は注意しなければなりませんね。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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一流の頭脳

満足度★★★★
付箋数:26

私たちは、「運動」はしないより、
したほうがイイことを知っています。

しかし、それは認識の誤りだったようです。

運動しないほうがイイということではありません。

運動による効用を、あまりに低く見積もっている
という意味での認識誤りです。

運動をするのと、しないのでは、
実は、天と地ほどの差があるようです。

  「脳のなかでは絶えず新しい細胞が生まれ、
  互いにつながったり、離れたりしている。
  あなたが何かをするたびに、それどころか
  何かを考えるだけでも、脳は少しだけ変わる。
  たとえるなら、それは固まらない粘土の
  ようなものだろう。
  では、どうすればこの “粘土” を、
  あなたにとってベストな形に
  変えられるのだとうか。
  じつは身体を動かすほど、脳に影響をおよぼす
  ものはない。これが本書のテーマであり、
  とりわけ効果の高い身体の動かし方と
  そのメカニズムをお伝えすることが、
  この本のねらいだ。」

本書は、ウェーデンで大ベストセラーに
なった本の邦訳本。

著者は、スウェーデンのストックホルム出身の
精神科医、アンダース・ハンセンさんです。

ハンセンさんは、ノーベル生理学・医学賞を
選定する世界最高峰の研究機関、
カロリンスカ研究所でリサーチャーとして
活動し、脳研究の最前線に身を置く方。

本書では、カロリンスカ研究所の最新知見を
脳をアップグレードするための実践情報
として紹介します。

ハンセンさんは、科学的根拠のない話は、
できるだけ書かない方針をとっているため、
本書では、圧倒的な数のエビデンスが
示されています。

そのほとんどが、「運動」がもたらす
良い効果を示すものばかりです。

  ・集中力が増す
  ・老化を抑制する
  ・気持ちが晴れやかになる
  ・不安やストレスが減る
  ・やる気を起こす
  ・記憶力が向上する
  ・創造性が増す
  ・知能が高まる
  ・疲労が少ない身体にする
  ・認知症の発症率を減らす
  ・高血圧、高血糖を改善する

これらはすべて、科学的根拠で示されている
運動することによる効用です。

なぜ、こんなに多くのことが可能になるか
というと、その根底には脳の神経可塑性が
あるからです。

脳の構造と機能は変えることができます。

  「脳の可塑性の研究においては、
  身体を活発に動かすことほどに脳を
  変えられる、つまり神経回路に変化を
  与えられるものはないことがわかっている。」

多くの面で、運動以上の特効薬はないのです。

また、日本の読者にとっては、
運動に関する科学的根拠以外の記述として、
村上春樹さんの例が紹介されているのが、
嬉しいところでしょうか。

村上さんを世界に広く知られる日本人作家
として紹介し、2007年に出版された回顧録
走ることについて語るときに僕の語ること
に書かれている内容に触れています。

村上さんの創造力の源泉は、走ることを
中心とした、身体を動かすことであると。

本書は、寺山修司さんの本のタイトル、
書を捨てよ、町へ出よう』ありませんが、
「書を捨てよ、運動しよう」といった
気分にさせられます。

ただし、書を捨てる前に、この本だけは
読んでからにしたほうがいいと思います。

この本から何を活かすか?

では、どれだけ、何の運動するのがいいのか?

実際には、その人のコンディションによって、
適切な運動量は異なると思いますが、
本書では以下のような運動が推奨されています。

  「より高い効果を望むなら、最低30分の
  ウォーキングをしよう。
  脳のための最高のコンディションを保つ
  ためには、ランニングを週に3回、
  45分以上行うことが望ましい。
  重要なポイントは心拍数を増やすことだ。
  そして、有酸素運動を中心に行おう。」

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| | 04:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人工知能時代に生き残る会社は、ここが違う!

満足度★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

企業がリピーターの顧客を増やしたり、
顧客の忠誠心を高め囲い込むための施策を
ロイヤリティ・プログラムと言います。

課題となるのは、顧客のなかにいかにして、
ロイヤリティ(忠誠心や愛着)を芽生えさせるか。

あるいは、いかにしてロイヤリティを
さらなる売上につなげるかです。

しかし、これまでは、どんな企業でも
均一的な手法に頼らざる得ませんでした。

わずかな変数で顧客をセグメントに分類し、
統一化された計画で商品を売り込む方法です。

この方法では、同じセグメント内の顧客を
すべて同類とみなしてプロモーションするので、
顧客1人1人の好みや行動に基づくものでは
ありませんでした。

それでは、最新のテクノロジーを使って、
顧客をまとまりとしてではなく、
個人ごとに特徴づけたプロモーションは
できないのでしょうか?

あるいは、より多くの変数を用いて、
顧客1人1人の行動を把握できないのでようか?

実際にそんなことをやっているホテルグループ
があります。

それは、イギリスに本部を置く、
インターコンチネンタルホテルズグループ
(以下、IHG)です。

IHGは世界100カ国以上で、インターコンチネンタル、
ホリデイ・イン、キャンドルウッド・スイーツ
など12ブランド、5000件近いホテルを所有する
世界最大級のホテルチェーンです。

IHGが1000万人の顧客のうち、10万人の顧客を選び、
「1万」のセグメントに分類しました。

さすがに、これだけ細かなセグメントに分けると、
完全に1人1人とは言わないまでも、
かなり顧客の好みに合ったマーケティングが
できるようになりました。

どのようにして、IHGでは、ここまで細かい
レベルでの分析ができるようになったのか?

それは、従来の手法に代わりに、
「マシンインテリジェンス」を利用したから。

マシンインテリジェンス(機械知能:MI)とは、
AI、深層学習、機械学習など、これまで個別で
発展してきた技術を統合的に活かしたもの。

本書では、このMIを活用する組織のことを
「マセマティカル・コーポレーション」と呼びます。

IHGは、マセマティカル・コーポレーションの
実例として紹介されています。

  「過去が分析論とビッグデータの時代であるならば、
  未来はマセマティカル・コーポレーションの
  巨大なる知性(ビッグマインド)の時代である。
  ビッグマインドは人工知能の数理に基づく知性と、
  人間の想像力豊かな知性とを組み合わせることで
  生まれるものであり、それは組織の業績をさらに
  飛躍させる要因となる。」

本書は、マセマティカル・コーポレーションを
築くための条件を考察し、その実例を多く紹介した
本です。

著者のジョシュ・サリヴァンさんと、
アンジェラ・ズタヴァーンさんは、
2人とも世界屈指のコンサルティングファーム、
ブーズ・アレン・ハミルトンのバイスプレジデント。

同社で500人以上のデータサイエンティスト集団を
育て上げたリーダーです。

本書では、人工知能とデータが持つ可能性と、
人間が持つ想像力や探求心、使命感を融合させ、
企業をマセマティカル・コーポレーションへ
進化させる方法を解説します。

ポイントとなるのは、データの活用技術ではなく、
それを使う人間側のリーダーシップです。

それが、まさに邦題にもなっている、
人工知能時代に生き残るためのリーダーシップ。

私はこの分野には疎かったので、本書で紹介される
海外の事例を見ると、「そこまでやっているのか」
と驚愕するケースもありました。

最先端の事例では、これまで不可能だったことが、
本当に実現していることがわかりました。

この本から何を活かすか?

これからの時代に必要なリーダーシップとして、
直感に逆らうアイディアが必要とされています。

以下、本書の「おわりに」にまとめられていた
ポイントとなるメッセージです。

  ・複雑さは重荷ではなく恩恵である
  ・マシンは直感より信頼できる
  ・マシンモデルはメンタルモデルより優れている
  ・解決策に理屈はいらない
  ・与えることで価値を創造する
  ・経験なしで飛躍する
  ・完璧なスタートはそうでないものに勝てない

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| IT・ネット | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術

満足度★★★
付箋数:23

あなたは、「なんとなくつまらない」と
思うことはありませんか?

あるいは、人生に対して「漠然とした不安」を
感じることはありませんか?

もし、こういった感情を抱くことがあるなら、
本書は、あなたの救いになるでしょう。

「なんとなくつまらない」や「漠然とした不安」
を感じている人でも、それを忘れている瞬間が
あるはずです。

それは、何かに「没頭」している瞬間です。

没頭とは、時間を忘れてしまうくらいの
強烈な集中状態にあること。

あっという間に時間が過ぎていて、
終わった後にスッキリしている状態です。

これは、「フロー」とか「ゾーン」と呼ばれる
心理状態と同じです。

  「人生におけるラスボス的な “なんとなく
  つまらない” や “うっすらとした不安” に
  対応するために、 “没頭する技=没頭力を
  身につけよう!” というのがこの本の
  テーマです。」

著者は、ニッポン放送アナウンサーの
「よっぴー」こと吉田尚記さんです。

吉田さんは、2015年に太田出版から刊行した
なぜ、この人と話をすると楽になるのか
が13万部を超えるベストセラーになった方。

今回は、「なんかつまらない」と感じている
切実な思いに応えるために、没頭する方法を
様々な専門家にインタビューしながら
まとめました。

没頭するめの条件は、アメリカの心理学者、
ミハエル・チクセントミハイさんが提唱した
フロー状態の条件をベースにしています。

  1. ゴールとルールがはっきりしていて、
   フィードバックが早いこと。
  2. 目の前のことに100%集中していること。
  3. 無意識に体を動かしていること。
  4. 自分というものをなくしていること。
  5. 時間の感覚がなくなっていること。
  6. その場の状況を自分でコントロール
   できていること。
  7. その行動自体が目的になっていること。
  8. 自分の持っているスキルと
   課題のバランスが取れていること。

この中で特に重要なのは、1、6、8番です。

では、没頭(フロー)の条件がわかったところで、
実際にはどのようにして没頭に入るのか。

本書では「不安→開き直り→没頭」という
3つのステップで没頭に入ります。

まずは、交感神経を働かせるために、
ストレスをかけます。

そのための入口として「不安」な気持ちを
活用します。

次に、副交感神経を働かせるために、
一気にリラックスした状態に切り替えます。

このときに必要なのが「開き直り」。

「もうダメだ」と絶望を感じた後に、
「やるしかない」と腹をくくって開き直ると、
次の段階に進めます。

その次にやってくるのが、目の前のやるべき
行為に集中した没頭の状態です。

  「自分にとって価値があるものに対して
  不安が生まれる。そして、そこに立ち向かわ
  ないと没頭は訪れない、ということです。」

つまり、没頭するために最初にすべきことは、
自分にとって本当に大切なことを見つける
ことです。

しかし実際には、自分にとって大切なことが
見つからなくて困っている方も多いはずです。

そんな方には、「当たり前」という常識から
離れて、自分の中の違和感を明らかにする
ことがアドバイスされています。

本書は、語りかけるように書かれているため、
非常に読みやすく、気軽にスッと入っていける
本になっています。

まずは、軽い気持ちでパラパラとページを
めくって見ると、自分に必要かどうかが
判断できると思います。


この本から何を活かすか?

吉田さんは、「足るを知る」や「分不相応」は
没頭するためには不必要と説明しています。

自分のことが、あまり客観的に見えすぎていると、
没頭はし難いのだと思います。

没頭するには、少しはた迷惑なくらいが丁度いい。

空気が読め過ぎてしまう人は、没頭するのが
苦手なのかも知れません。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:03 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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人生を変える断捨離

満足度★★★
付箋数:21

ダイヤモンド社の平城さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

やましたひでこさんが『新・片づけ術「断捨離」
を刊行したのは2009年のことでした。

もともとは、「執着」を手放すためのヨガの
行法哲学、「断行」、「捨行」、「離行」から
着想を得て、日常生活に応用したものでした。

「断捨離」という音の響きも心地よく、
2010年には流行語大賞にもノミネートされ、
広く認知されるようになりました。

ところで、あなたは「断捨離」という言葉に
どのようなイメージを持っていますか?

世間的には、「断捨離=モノの片づけ」という
印象を持っている人が多いことでしょう。

あるいは、「捨てる」に忍びないモノを
思い切って手放し、スッキリすること
というイメージの方も少なくありません。

もちろん、これらの考えは間違いではありません。

しかし、断捨離の提唱者のやましたさんは、
このような状況を少し「残念」に思っています。

なぜなら、モノの片付けは、あくまで断捨離の
入口にしか過ぎないからです。

断捨離は、「もったいない」という固定観念に
凝り固まってしまった「心」を解放するもの。

  「単なるモノの片づけでも、捨てることでも
  なく、閉塞感いっぱいの人生に “流れ” を
  蘇らせるもの」

断捨離によって、執着がなくなると、
余裕が生まれるのは、家や部屋だけでなく、
あなたの「心」の状態が変わるのです。

その結果変わるのは、あなたの「人生」です。

断捨離では、自らコントロールすることを
手に入れるので、何かに固執せず、
主体的に生きられるように変わります。

  「 “高い視点・広い視野・深い洞察” 、
  つまり俯瞰的な思考を獲得することが
  できます。本当の意味で “自在=あるがまま
  でいられて自然” な状態で生きられるのです。
  そして、そこには “ごきげん” なあなたが
  きっといるはずです。」

正直、私も本書を読む前は断捨離について、
けっこう侮っていました。

片づけができない主婦向けの「整理術」、
ぐらいにしか思っていませんでした。

しかし、断捨離で最も解放されるのは
「心」であることを考えると、
人生の愉しさが実感できるようになる
というのも納得感があります。

片づけは、きっかけに過ぎないのです。

また、本書で面白かったのは、
断捨離で「空間」を作れるようになると、
コミュニケーションが改善するということ。

「間」に対する感覚が良くなるので、
他者とのコミュニケーション力が
格段に向上するようです。

確かに、人間関係には、
時間と空間の密度が大きく影響します。

お互いの距離が近すぎても離れすぎても、
接触の頻度が高すぎても低すぎても、
機能不全を起こしてしまいます。

断捨離で、「間」をコントロールできる
ようになれば、自然と人間関係も良好に
なるようです。

  「断捨離とは、 “間” の創出でもあります。
  その積み重ねが、時間の “間” となり、
  言葉の “間” となり、ふれあいの “間”
  となり、その時、その場で人間関係に
  最適な “間をもたせる” ことになるのです。
  人生の達人とは “間” の達人です。
  そんな “間” の術を、日常生活で
  楽しみながら手に入れよう、
  というのが断捨離の提案です。」

本書は、断捨離の持っている本当の力が
よくわかる本でした。

  第1章 だから、あなたは捨てられない
  第2章 これが断捨離のメカニズム
  第3章 断捨離が人生を変える
  第4章 断捨離で「ごきげん」に生きる

この本から何を活かすか?

やましたさんは、「成功」をテーマにした
多くのビジネス書や自己啓発書には、
共通する3つの原則があることに気づきました。

  ・今に生きる
  ・結局は自分
  ・与える

これら3つの原則は、執着し過ぎていると、
できないことなので、断捨離にも通じます。

特に、断捨離の「捨」は、本来は「施す」
という意味も持つので、「与える」ことに
つながるようです。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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評価の経済学

満足度★★★
付箋数:23

  「本書の重要な主張は、他人からどう評価
  されるかはカネよりも価値があるということだ。

  これから、評価がマーケティング、PR、
  ブランディング、地位やメッセージと異なる
  ことを明らかにし、評価とは何か定義しよう。

  なぜそうした定義が重要なのかを示し、
  個人、企業、組織、国にとって評価に価値が
  ある理由を明確に説明する。

  評価を確立するための取り組みとして、
  評価がいかにつくられ、維持され、壊され、
  再構築されるか、
  さらに、企業、軍、政治のリーダーたちが、
  目標を達成するためにいかに評価を用いているか、
  有名人や犯罪者がいかに自分に有利になるように
  評価や信頼を築き利用しているか、
  インターネットやソーシャルネットワーク上で
  評価がいかにわたしたちにつきまとうかも示す。」

本書は、「評価」の仕組みを明らかにし、
それを築く戦略について解説した本です。

著者の1人、デビッド・ウォーラーさんは、
元フィナンシャル・タイムズの記者で
現在はFTIコンサルティング社のパートナー。

戦略コミュニケーション・プログラムの
開発と実践を専門とする方です。

著者のもう1人、ルパート・ヤンガーさんは、
オックスフォード大学コーポレート・
レピュテーション・センターを創設し、
所長を務める方。

このセンターは、企業や組織の評価に関する
研究では世界でトップの機関です。

本書では、評価を「評価ゲーム」と表現し、
そのゲームに勝つ方法を示します。

評価ゲームに勝つための要素は3つあります。

1つ目は、「行動」。

行動は他者の期待に応えられるかどうかを
示すメッセージとなります。

例えば、企業が納入業者につねに30日など、
決まった期間内に支払いをすれば、
きちんと支払能力があるというメッセージ
になります。

2つ目は、「ネットワーク」。

評価とは、実際にどうであるかではなく、
どうだと他人から考えられているかです。

それを伝えるのが、口コミとなるSNSや
ブログ、ウェブサイト、企業の年次報告書です。

3つ目は、「物語(ナラティブ)」。

ネットワークを通じて、自分をどう語るかは、
評価にとって重要な要素です。

それよりも更に重要なのは、他人にどう語って
もらうかです。

そのときに必要になるのが、物語です。

また本書では、評価は「性質」に対する
ものと、「能力」に対するものの
2種類があると考えています。

性質と能力に基づく評価には、相互作用が
ありますが、より長期間の評価に影響するのは、
「能力」であるようです。

本書の特徴は、事例が豊富であること。

フォルクスワーゲン社、英BP社、トランプ大統領、
クリントン大統領、タイガー・ウッズさん、
シャラポワさんなど、日本でもその評判が
よく知られる事例を用いて解説されています。

また、本書が非常に読みやすく感じるのは、
月沢李歌子さんの翻訳の良さも影響している
と思います。

果たして、本書自体は、評価戦略に基いて、
他人からネットワーク上で物語として
うまく語られたのでしょうか?

 第1部 評価をつくる最強戦略
  第1章 「評価ゲーム」に勝つためのルール
  第2章 評価を決定する3つの要素1―行動
  第3章 評価を決定する3つの要素2―ネットワーク
  第4章 評価を決定する3つの要素3―物語
 第2部 最高の評価をつくる実践法
  第5章 危機的状況のなかで評価ゲームを勝ち抜く
  第6章 評価を「貸し借り」する上級テクニック
  第7章 評価ゲームで伝説を残す
  第8章 評価ゲームの達人がすべきこと

この本から何を活かすか?

評価の「貸し借り」は、スポンサー契約や
コマーシャル契約で、行われていることです。

ここで紹介されている事例は、アディダスと
ヒップホップ・グループRun-DMCの関係です。

1980年代当時、ブランドがスポンサー契約
するのは一部のアスリートやスター選手だけ
でした。

アディダスはアメリカでのシェアを拡大
するため、スニーカーの宣伝契約を
初めてヒップホップ・グループと結びました。

結果として、アディダスもRun-DMCも
大成功を収めたことはよく知られています。

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