活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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金融排除 地銀・信金信組が口を閉ざす不都合な真実

満足度★★★
付箋数:22

  「森信親長官率いる金融庁は、銀行や信金金組が
  担保・保証に依存した取引に偏った結果、
  融資後の資金の出入状況をモニターしていく
   “途上与信(貸し出し)管理” さえも
  しなくなってしまい、必要以上に顧客との
  取引をしなくなったのではないかという問題意識
  を持った。この状況を “日本型金融排除” と
  定義し、2016事務年度金融行政方針に盛り込んだ。
  金融機関が顧客を必要以上に排除しすぎたために、
  金融仲介機能が正常に発揮されていないという
  見解だ。」

金融排除とは、収益事業を営む金融機関の
立場から見たとき、採算が合わないと
評価されてしまう顧客層に対して、
金融機能が提供されない状況のことです。

金融機関も完全なボランティアでやっている
わけではないので、ある程度顧客を選ぶことは
必要です。

問題は、その顧客を選ぶ度合いです。

金融庁は、それが行き過ぎているとの判断から、
「日本型金融排除」という言葉を用いました。

銀行を始めとする各金融機関は、高い信用力の
企業には優先的に貸出を行っているものの、
信用力はまだ低いが事業の将来性が高い企業
には融資しない傾向が強いのです。

  「多くの金融機関が顧客を見捨てる金融排除を
  極大化し、事業に寄り添い、成長を後押し
  しながら取引する金融包摂を狭くしてきた。
  その結果、利ざやさえ確保できないという
  袋小路に入り込み、ついには自らの経営自体が
  成り立たなくなってしまっている。
  金融排除という悪循環の歯車を止め、
  持続可能な循環に回転方向を変えることは
  できないだろうか。」

金融包摂とは、Financial Inclusionを
翻訳した言葉です。

通常の金融サービスを受けられない人々が、
融資などの金融サービスにアクセスできる
ようにすることとで、FinTechブームで注目
されています。

本書は、金融排除について考える本です。

金融排除を生み出すメカニズムは一体
どういうもので、なぜ拡大するのか。

歴史的な経緯はどうなっているのか。

事業者から見た金融排除の風景はどう映るのか。

本書では、金融排除と向き合い、包摂しようと
奮闘する事例を紹介しながら、特に地方金融が
活性化する方策を考えます。

著者は、共同通信社経済部記者の橋本卓典さん。

著書『捨てられる銀行』『捨てられる銀行2』が
いずれもベストセラーになった方です。

本書の最初の事例として紹介されているのは、
奇跡のリンゴ』で知られている木村秋則さん
への排除と包摂の物語です。

木村さんは、世界で初めて無農薬・無施肥での
リンゴ栽培に成功した方です。

私たちが食べているリンゴは、元々自然界には
なく、人の手で改良を重ねてきたもの。

それ故、無農薬でリンゴを自然栽培することは
不可能と言われていました。

木村さんが、リンゴの自然栽培に
挑戦し始めた頃は、収入ゼロ。

失敗を重ね何の見通しもない状態が続きました。

付き合いのあった、みちのく銀行に
事業資金の融資をいくら必死に申し込んでも、
全く話にならないと、窓口担当者から
一蹴されていました。

すると、その木村さんの様子を担当者の
後ろからじっと見て、話に耳を傾けていた、
柳谷誠係長(当時)が、何かに背中を押された
ように突然、話に割って入ったそうです。

  「私が代わろう」

そう声を掛け、柳谷さんは担当者に代わって、
木村さんの正面に座り、じっと目を見て言いました。

  「頑張ってください。奥さんの印鑑証明が
  あれば、私がなんとかします」

これをきっかけに、木村さんは何度も資金の
借り入れを行い、約10年間の苦心の結果、
ついにリンゴの自然栽培に成功したのです。

かい摘んで紹介しましたが、『奇跡のリンゴ』の
もう1つの物語として、なかなか感動的な話でした。

本書では、多くの事例で金融排除の実体を
明らかにしつつ、排除をなくす道を探ります。

この本から何を活かすか?

  「共同組織金融と称される信金信組とは
  そもそも何なのか。信金信組と銀行は同じ
  預金取扱金融機関だ。多くのメディアでも
  銀行と同一視されて認識され、報じられている。
  しかし、根拠となる業法がまるで異なる。
  つまり、預金取扱金融機関でも、本来の使命は
  まったく異なるのだ。」

本書では、いわき信用組合や塩沢信用組合など、
独自のビジネスモデルを実践する事例も紹介し、
金融包摂のあるべき姿を示します。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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