活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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江副浩正

満足度★★★★★
付箋数:28

一般に江副浩正さんの名前を聞くと、
「リクルート事件」の贈賄側人物として、
思い出す人が多いでしょう。

リクルート事件は、戦後の日本における
最大の疑獄事件で、ロッキード事件と比肩する
一大事件でした。

政界、財界などを巻き込んで、
大スキャンダルになった事件の主人公として、
江副さんは世間に記憶されているので、
その点では仕方がありません。

しかし、あの辛口で有名な大前研一さんは、
江副さんとリクルートについて、
次のように評しています。

  「リクルートは例の事件で企業イメージが
  ずいぶん傷ついたが、いまでは日本で最も
  注目される人材養成所となっています。
  (中略)日本で最もダイナミックな人材を
  育てているリクルートの人事システムは
  偶然ではなく、企業の『染色体』とも呼んで
  良いほどの創業の時以来の思想、理念などが
  ここに色濃く反映していることがわかりました。
  若い社員にインタビューすると、江副さんの
  ことを悪く言う人はいませんでした。
  なぜなら、創業の精神は今の会社にも
  行き続け、そして、今や若者が最も入りたい
  と思う将来性豊かな、かつ大企業病に
  ならないその社風、体質が全て江副さん以来の
  伝統であると、はっきりわかっているからです」

ダメなものには容赦なく批判をする大前さんが、
これほど賞賛する江副浩正さんとは、
一体、どのような人物だったのでしょうか?

本書は、かつて「東大が生んだ戦後最大の起業家」
と呼ばれた、江副浩正さんの人物像に迫る正伝。

著者は、リクルート出身の馬場マコトさんと
土屋洋さんのお二人です。

かなり入念に関係者に取材を重ねて、
本書を執筆していることがよくわかります。

  「江副浩正の実像を明らかにすることが
  本書の目的である。彼だけが見ていた世界、
  目指したもの、そこに挑む彼の思考と行動。
  その中に、私たちを鼓舞し、思考と行動に
  駆り立てる何かが準備されていると信じる
  からである。」

本書には最初に「死体検案書」が掲載され、
江副さんの亡くなったときの描写から
はじまります。

以降その人生を、少年時代まで巻き戻し、
順を追って再生します。

江副さんらしさが徐々に出てくるのは、
東京大学新聞の広告取りをするところ
辺りからでしょうか。

その後読み進めるに連れ、江副さんの
人間力の凄さに圧倒され、気がついたら
完全に江副さんの虜になっていました。

江副さんは、リクルート事件のため、
表舞台からは姿を消しますが、
起業家としては、その凄まじいエネルギーで
最後まで走り続けます。

江副さんの経営者として側面だけでなく、
人間としてもその生き方にも感銘を受ける
ことは必至です。

現在、各界で活躍する多くのトップランナーに
江副さんの信奉者が多いのも頷けます。

本は好みの問題があるので、私は読むことを
強く勧めることは、多くありません。

しかし、この本は、是非とも勧めたい
「傑作」だと思います。

紙で読もうか、Kindleで読もうかなど、
迷っている時間がもったいない。

どちらでもいいので、兎に角、読んでみると、
2500円の最も有効な使い方だったことが
わかるはずです。

500ページ近い厚さがあるにも関わらず、
それほど、日数がかからず読み切れます。

なぜなら、本書を読み始めると、余りにも
江副さんの吸引力が強過ぎて、他のことが
できなくなってしまうからです。

そんなデメリットもないわけではありません。

それでも、本書を読むことに費やした時間は、
江副さんから、それ以上のエネルギーを
受け取れるので、時間の面でも最高の投資に
なることでしょう。

この本から何を活かすか?

  「自ら機会を創り出し、機会によって
  自らを変えよ。

  リクルート創業期に自らが創り出した
  このフレーズを、生涯にわたって実践して
  見せたのが江副浩正、その人であった。」

これは、本書の著者の1人、土屋洋さんの
あとがきの言葉です。

個人的には、リクルートの公式な社訓から、
この言葉が外されているのが残念です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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