活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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我々はなぜ我々だけなのか

満足度★★★
付箋数:23

私が習った時代の世界史の教科書には、
アジアにいた古代型人類としては、
ジャワ原人と北京原人が載っていました。

しかし、その後、アジアでは2つの人類が
発見され、世界に衝撃を与えました。

1つ目は、2003年にインドネシアで発見された
「フローレンス原人」。

見つかった化石はホモ属(ヒト属)に分類
される新種で、1万8000年から3万8000年前の
人類とされています。

身長は1メートルあまりで、フローレンス島
という、人類史上どの時期にも、
海を渡らなければ到達できないところで
暮らしてしたことがわかりました。

その小柄な身長から、J・R・R・トールキンさん
の小説『指輪物語』に登場する小人にちなんで、
「ホビット」の愛称で呼ばれています。

2つ目は、2015年に台湾沖の海底から発見され、
アジア第4の原人と報道された「澎湖人」です。

それまで台湾では古い人類の化石が発見されて
いなかったことと、海底から見つかったという
意外性でも大きな話題を呼びました。

化石の年代は古くとも45万年前をさかのぼらず、
おそらく19万年前より新しいとされています。

旧人集団とは別に、原始的な特徴を持った
原人集団がアジア東南部に生き残っていた
ことを示唆する化石となりました。

本書は、人類進化学者の海部陽介さんの研究を
科学ジャーナリストの川端裕人さんが
一般向けにわかりやすくまとめた本です。

そもそも前提としてあるのが、ホモ・サピエンス
の「アフリカ単一起源説」です。

これは、世界中のすべての現代人の共通の
祖先が30万~10万年前のアフリカに
あるとする学説です。

これはDNA分析やそのほかの様々な証拠が
積み重なって、確証の高い学説として
支持されています。

アフリカの旧人から進化して、その後しばらく
してから、アフリカを出て全世界に散らばって、
各地の現代人の集団になったという考えです。

だから現在、アフリカ人、ヨーロッパ人、
アジア人など多くの人種がいるといっても、
DNA上ではかなり均質で、生物学的には
1つの種しかいないとみなされます。

このアフリカ単一起源説が本書のタイトル、
「我々はなぜ我々だけなのか」につながります。

実際に証拠が出ていないので、この問いの
答えが明確に出ているわけではありません。

あくまで、現代の人類学、考古学の知見で、
どれだけのことがわかっていて、そこから
何が言えるのかという推測に過ぎません。

ただし、本書ではアジアの人類史を一通り
振り返った後に、海部さんの大胆な仮説が
紹介さています。

  「ジャワ原人(ホモ・エレクトス)と
  ぼくたち(現生人類)は混血していたかも
  しれない! だ。ネアンデルタールが
  サピエンスと混血し、いくばくかの遺伝子を
  ぼくたちの中に残しているように、
  ジャワ原人の遺伝子もまた、ぼくたちの中に
  あるかもしれないというのだ。
  もちろん証拠が積み重なって定説になった
  という話ではない。追求すべき “問い” が
  設定されて、科学的議論の俎上に載せられた
  段階と考えてほしい。」

多様な人類がいたとすると、一番興味を
持たれるのは、互いに接触はあったのかとか、
戦いがあったのかということでしょう。

海部さんの仮説では、ホモ・サピエンスが
今のインドネシアあたりにやってきた時に、
ジャワ原人と接触していたのでではないかと
考えているのです。

本書は、川端さんの体験した知的興奮が
読者にも伝わってくので、これまで人類学に
あまり興味がなかった方でも、非常に面白く
読むことができる本だと思います。

この本から何を活かすか?

昔から知られているジャワ原人についても、
まだまだ解明すべき謎があるようです。

  ・最古のジャワ原人の渡来時期や多様性
  ・ジャワ原人の系統進化と北京原人との関係
  ・ジャワ原人と現代人との関係
  ・絶滅の理由とその年代
  ・現代人との混血はありえたのか?

部分的に解答を得られた謎もありますが、
まだまだ仮説の域を出ていないものも
多いので、これからの発見が楽しみです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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