活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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時間とはなんだろう

満足度★★★
付箋数:24

時間が止まった世界を想像してみてください。

こう言われると、次のような場面をイメージ
する方が多いのではないでしょうか。

水道から流れ出る水は落ちる姿のまま停止し、
人は歩く姿の人形のようになり、
自動車もその場でピタッと止まって動かない。

映画やテレビに出てきそうなワンシーンです。

しかし、この想像は正確ではありません。

  「そもそも時間がなければ、ものが動かない
  ばかりか、光もピタリと止まるために、
  ものを見ることすらできなくなります。
  いや、もっと言うなら、時間がなければ
  神経細胞を流れる電流も止まるので、
  そもそも見たり考えたりできません。
  これは機械を使っても同じで、時間が止まると、
  物体の運動はおろか、観測や記録も原理的に
  できなくなります。当然、時間を認識する
  こともできません。少なくとも私たちが
  感じる範囲では “時間” と “運動” は
  間違いなくセットです。」

「時間」は、実感はあるのに、実体がないもの。

この時間に対する実感はどこから来るのか?

もし、時計もなく、周りに動くものや、
変化するものが一切何もなければ、
時間の流れを感じるのは難しいでしょう。

つまり、私たちの「時間が経過している」
という感覚は、「ものの変化」に依存している
ということです。

そこで本書では、「時間とは何か?」という
問いに、「ものが動く様子」を見ながら答えます。

  「この本では、これまで人類が知り得た
   “時間” の本質を、ものの動きの理解、
  すなわち、運動法則の理解に求めながら、
  時間感の変遷を追体験していこうと思います。
  科学が本当に一歩一歩進歩してきたという
  ことを肌で感じていただくためにも、
  できる限り身の周りの出来事を出発点にして、
  歴史と論理のステップを踏みながら、
  平易な言葉で話しを展開するつもりです。
  読みやすさを優先して、数式による説明も
  できる限り避けます。」

本書は、「時間」という身近なテーマから、
物理学の歴史や主流となる理論について、
わかりやすく説明する本です。

数式を使うと、本当は言葉で語るよりも
シンプルかつ厳密に説明することができます。

その一方で、理解するためのハードルが
ぐんと上がってしまい、数式が出てきただけで、
思考停止になってしまう人もいるでしょう。

本書では「文系」の人でも理解できるように、
多少冗長になっても、数式を使わず、
言葉と図だけで物理学の理論を説明します。

著者は、『宇宙を動かす力は何か』で、
一般向けにわかりやすく説明した実績のある
素粒子物理学者の松浦壮さんです。

 第1章 時を数えるということ
 第2章 古典的時間観
  ガリレオとニュートンが生み出したもの
 第3章 時間の方向を決めるもの
  「時間の矢」の問題
 第4章 光が導く新しい時間観の夜明け
  特殊相対性理論
 第5章 揺れ動く時空と重力の正体
  一般相対性理論
 第6章 時空を満たす「場」の働き
  マクスウェルの理論と量子としての光
 第7章 ミクロ世界の力と物質
  全ては量子場でできている
 第8章 量子重力という名の大統一
  時間とはなんだろう?

もちろん、本書だけですべてを理解することは
不可能ですが、ニュートン力学から始まり、
場の量子論や超弦理論まで、おおよその概念が
つかめるように説明されています。

「時間」という軸を使って、物理学の「統一」
という視座を手に入れることができる、
高い納得感が得られる本だと思います。

この本から何を活かすか?

物理学の理論では時間の逆行を禁止して
いませんが、私たちは普段の生活の中で、
「時間は巻き戻せない」と認識しています。

これは実際に、時間を巻き戻せないから
そう感じるのは当然のことです。

しかし、本書では、そんな当然のことにも、
「なぜそう感じるのか」という部分に
フォーカスを当てて説明しているので、
読後は、かなり腹落ちする印象があります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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