活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2017年09月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年11月

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なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?

満足度★★★
付箋数:22

  「この本は、飛行機に何千回乗ったとかいう、
  自慢話の本ではありません。他人と同じことを
  すること、猿真似が何より嫌いな性格で
  生涯天邪鬼な著者が、ホリエモンでも、
  みうらじゅんでも、稲盛和夫でもなく、
  どうしたら人生をよりハッピーに生きられるか、
  そのヒントにして頂きたくこうして記して
  います。」

ハッピーになりたかったら、飛行機に乗れ。
デキる男になりたかったら、飛行機に乗れ。
モテる女になりたかったら、飛行機に乗れ。

バラクーダは名曲(?)「日本全国酒飲み音頭」
では、何かしら理由をつけて「酒が飲めるぞ」と
歌っていました。

本書は、ちょっとそれに近いノリで、
何につけても「飛行機に乗れるぞ」と
語っています。

著者は、年間最多搭乗回数1022回を誇る
ミリオンマイラーのパラダイス山元さんです。

山元さんは、過去の飛行機関連の著書でも
その徹底ぶりから好評を得ていました。

 『パラダイス山元の飛行機の乗り方
 『パラダイス山元の飛行機のある暮らし

今回も、その飛行機「愛」は健在。

飛行機に乗ることが、人生を豊かにする
最も優れた方法であることを語ります。

見方によっては、単なる思い込みや、
ただの屁理屈のように思えるものもありますが、
山元さんは、飛行機に乗ることが、
人生そのものであることを信じて疑いません。

山元さんのその突き抜けた生き方は、
それほど飛行機好きでなかった人でも、
今すぐ飛行機に乗りたいという気持ちに
させてくれることでしょう。

空に浮くことで、新しい発想が生まれます。

  「科学的な根拠はまったく検証していない
  ことを最初にお断りしておきますが、
  会社でのデスクワークや、家に持ち帰っての
  企画書作りで能率が上がらない方に、
   “飛行機に乗る” ほど有効な手段はありません。」

リーダーになるための第一歩は、
航空会社の上級会員資格になることです。

  「空港のカウンターで “ダイヤモンドメンバー
  の◯◯様、いつもご利用ありがとうございます。
  本日あいにくエコノミークラスが満席で、
  通路側でも差し支えなければビジネスクラスへ
  ご移動をお願いしたいのですが・・・” 
  などと1度でも言われてみてください。
  会社内でたとえヒラであっても、早めに
  そういう立場になっておいたほうがトクだと
  思いませんか? いや、リーダー候補として、
  航空会社の上級会員には、なんとしても
  なっておくべきです。誰でも、ただ飛行機に
  乗るだけで取得できてしまうのですから。」

恋愛の面でも、飛行機ファンは鉄道ファンより
少なくとも1000倍はモテるようです。

  「飛行機に乗るのが趣味とまではいかなくても、
  フツーに仕事やプライベートで飛行機を
  乗りこなす術を心得ている人に、
  異性は心惹かれます。(中略)
  鉄道の知識が豊富であるほど、女の子から
  薄気味悪く思われるのに対し、ちょっとおトクな
  マイルの貯め方や、あのエアラインの機内食、
  シャンパンはおいしいなどとチョロっと話題に
  する男性は、常に女性から一目置かれています。
  その逆、男性からもあります。」

本書で山元さんは、仕事、経済、恋愛、健康、
暮らし、人間関係、心理・思考、学術、人生
など、様々な角度から飛行機に乗るメリットを
語ります。

あなたは、本書を読み終わる頃には、
飛行機に乗ることで、どんな問題でも解決できる
と錯覚するようになっているかもしれません。

そう信じることが一番幸せに生きる道です。

この本から何を活かすか?

ミリオンマイラーの山元さんがオススメの
スーツケースメーカーはどこか?

  「筆者がリモワを推す理由は、頑丈な作りと、
  万一壊れた際には、何年も前のモデルで
  あっても、必ず修理してもらえるという点に
  尽きます。壊れても買い替えの必要は
  まったくありません。」

RIMOWA(リモワ)のどのモデルがオススメかは、
明言されていませんが、電子タグ付きモデルが
カッコイイと紹介されています。

まだ電子タグに対応している航空会社は
多くありませんが、日本の航空会社でも
採用されたら、検討の価値はあると思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 旅行・アウトドア | 06:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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御社の商品が売れない本当の理由

満足度★★★★
付箋数:25

マーケティングの教科書を読んだだけでは、
実際の現場では、その通りにうまくいくことは
あまりありません。

なぜなら、マーケティングの教科書は、
「神話」に基づいて組み立てられた理論だから。

それは、次のような神話です。

  「市場は客観的に存在し、科学的に分析できる。
  精緻に分析し、予測すれば、正しい戦略と
  計画ができあがる。その戦略と計画をきちんと
  実行すれば、予測どおりにうまくいく。」

この神話に基づいて、マーケティングの父、
フォリップ・コトラーさんが理論の体系を
まとめたのが、「管理マーケティング」です。

しかし、インターネットやスマートフォンの
時代になり、管理マーケティングが狙いどおり
効果を発揮することは、ほとんどなくなって
しまいました。

逆に管理マーケティングの神話が、
現場での現実を見誤らせているのです。

御社の商品が売れない理由は、
それだけではありません。

  「マーケティングの発想から、計画、実践、
  さらには、それが立脚している人間との
  コミュニケーションについての考え方に
  いたるまで、わたしたちはさまざまな
   “呪縛” の鎖によって、がんじがらめに
  囚われてしまっています。呪縛というのは、
  誤った常識や管理マーケティング、
  それらが立脚している古い理論やモデルを
  信じ込むことによって、わたしたちが
  現場の現実に即した対応をとれなくなって
  しまっていることをさしています。」

本書は、コトラーさんのマーケティング理論を
否定しているわけではありません。

その理論に固執して囚われ過ぎていては、
現場での実践では期待した効果が
得られないということです。

本書では、コトラーさんのマーケティングの
体系内から始め、次にその体系から脱し、
最後には体系を超えることを試みます。

著者は、大阪ガスの社内起業によって、
住宅リフォームの仲介サイト「ホームプロ」
を立ち上げた実績のある、鈴木隆さんです。

本書では、19個のマーケティングの呪縛の
鎖(誤解)を解きながら、実際に現場で売れる
マーケティングについて解説します。

では本書から、マーケティングの呪縛を
2つほど紹介しましよう。

まず1つ目は、「マーケティングは売ること」
という誤解。

マーケティングとは、売らなくても売れる
ようにすること、売ること・売り込むこと
であるセリングを不要にすることです。

セリングでは、「はじめに商品ありき」で
考えますが、マーケティングでは、
「はじめに顧客ありき」で考えます。

2つ目は、「戦略で勝負がつく」という誤解。

一般的には、戦略は戦術より上位の概念です。

しかし現実には、戦術は戦略に従うだけ
でなく、戦略もまた戦術に従うのです。

つまり、戦略がなければ無謀ですが、
戦術がなければ無力であり、この2つは
表裏一体で、両方があってはじめて有効に
機能するのです。

  「あえて戦略と戦術のどちらか一方だけを
  選ばざるをえないとするならば、どちらを
  選ぶべきでしょうか。
  教科書などでは戦略としますが、
  実務では戦術を選ばなくてはなりません。
  どんなによい戦略を立てても、そもそも
  戦術で集客できなければ、手も足も出ません。
  戦略に難があっても、戦術で集客できれば、
  戦略を軌道修正していくこともできます。
  戦略は当初の仮説にすぎません。
  仮説を検証するためには、戦略でまずは
  集客できなければ始まらないのです。」

本書は、マーケティングの実務担当者が
知りたかった、理論と実務の間を埋める本です。

実例もかなり多く紹介されている、
高密度な実践マーケティングの新書です。

この本から何を活かすか?

鈴木さんが本書で最終的に提示するのは、
実践マーケティングの「統合モデル」です。

これまでの管理マーケティングでは、
切り捨てられてきた、戦術・実行・過程が
組み込まれたモデルです。

コトラーさんが示す『マーケティング3.0
や『マーケティング4.0』という新たな段階に
おいても機能するモデルになっています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.



株式会社 内外出版社
関根 真司

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| マーケティング・営業 | 06:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造

満足度★★★★
付箋数:27

世の中には、「こんなもの誰が買うの?」と
思えても、非常に売れているモノがあります。

漢字ドリル、掃除機、軍手、保育園・・・

実は、「こんなもの誰が買うの?」と思える
モノには2種類あります。

1つ目は、「ぱっと見ただけでは、
みなに受け入れられそうにない」商品。

実はそのように見えても、本当に
売れるモノは「共感」を宿しています。

2つ目は、「平凡すぎて、もう、
おいしくないんじゃないの?」という
ありふれた商品。

しかし、ありふれた商品は、実のところ
磨けば光るブランド予備軍なのです。

では、なぜ「こんなもの誰が買うの?」と
思えるモノが売れるのか?

その理由は、「マイクロインタレスト」。

今の時代、人々の興味関心、嗜好は
細分化されバラバラになっています。

その極小細分化した、たった1人に届く
価値を提供する。

そのマイクロインタレストまで
価値が届いているから売れるのです。

本書は、共感から始まる顧客価値創造で、
ブランドを構築するノウハウを、
6日間の講義形式でまとめた本です。

講師は、ブランド・クリエイターの
阪本啓一さん。

 はじめに 開講にあたって
 DAY 1 どうすればブランドになりますか?
 DAY 2 ビジョンとミッションを意識しよう
 DAY 3 「異」に出会えば、「新」が生まれる
 DAY 4 古典『大学』に学ぶブランドの「あり方」
 DAY 5 プロジェクトが「熱」を帯びる瞬間
    アフリカ! !
 DAY 6 強いブランドには感染力がある
 おわりに 講義後の雑談

まず、1日目の冒頭はブランドの定義から
始まります。

  「マーケティングとは販売を不要にする
  ものだ。そして、ブランドとはマーケティング
  を不要にするものである。
   “販売を不要にする” というのは、
  わっせわっせと売り込むことなく、
  自然に売れてしまう仕組みを作るということ。
   “マーケティングを不要にする” というのは、
  その仕組みであるマーケティングそのものを
  いらなくしてしまうということである。
  ブランドになると、お客様を探して
  ウロウロする必要がなくなり、
  お客様のほうから寄ってくる。」

実例としては、発売後約2ヶ月で発行部数
227万部を記録したベストセラー
うんこ漢字ドリル』を用いて、ブランドに
なるための8つの要素を解説します。

8つのブランド・エレメントとは、
「世界観」、「エッセンス(価値提供」、
「機能ゾーン、ブランド・ゾーン」、
「カラー」、「ロゴ」、「パッケージ」、
「ネーミング」、「価格」。

この8つの中で、ブランドの幹となるのは、
「世界観」で、他の要素は枝葉です。

ちなみに、『うんこ漢字ドリル』の
世界観は、「義務を楽しく」。

これまで、仕方なく義務でやっていた
漢字の学習を楽しいものへと転換する
世界観を作ったから、売れているのです。

強いブランドは世界観が明確。

他の例では、トレーニングジムのライザップが
提供する世界観は「2ヶ月で人生を変える!」
として紹介されていました。

すでにジムだけでなく「ライザップゴルフ」や
「ライザップイングリッシュ」もありますが、
これも同じ世界観から設計されたもの。

阪本さんは、いずれ2ヶ月でお相手を見つける
「ライザップウェディング」が登場することを
予想しています。

本書は、多くの実例を取り上げながら、
どんなものでもブランドに育てる方法を
ステップ・バイ・ステップで学べます。

ブランディングに関わる人には、外せない
必読の書だと思います。

この本から何を活かすか?

本書の目的はブランドにすることではありません。

その奥にあるものこそが真の目的です。

  「ブランドにすることが目的ではない。
  ブランドに宿る “楽しさ”  “ワクワク”
   “喜び”  “感動”  “愛” こそが大事なのだ。
  そして循環させること。
  これこそが、ブランドを作る目的なのである。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| ブランディング | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人生100年時代のお金の不安がなくなる話

満足度★★★
付箋数:24

  「人生の在り方を考える上で必ずといって
  よいほど引用される名著に、アランの
  『幸福論』があります。彼は言います。
  “悲観は気分である。しかし楽観は意思である”
  と……。本書を出版したいと思ったのは、
  まさにアランの名言に触発されたからです。」

本書の「まえがき」で竹中平蔵さんは、
このように述べています。

つまり、自分次第で世の中は楽観的に
見られるということです。

年金問題など、将来のお金に関する不安も
例外ではありません。

また、出口治明さんは世間で心配されている
高齢化社会について次のように述べています。

  「高齢化社会というと、暗いイメージを
  持つ人が多いのですが、本当は秦の始皇帝が
  不老長寿を望んだように、歴史的には理想の
  社会だと考えるべきです。」

高齢化社会は、日本の不安要素ではなく、
「長寿がキラーコンテンツ」であると
考えることもできるのです。

もちろん、長生きするにはお金がかかるので、
高齢化社会にふさわしい社会のシステムに
変えていかなければなりません。

例えば、日本で一般的な「定年制度」。

定年制度とは、実質上は年齢による差別、
エイジ・ディスクリミネーションの典型です。

先進工業国で主要企業のほとんどが、
確固とした定年制度を導入しているのは
日本だけです。

高齢化社会の不安を払拭するには、
このようなエイジ・ディスクリミネーションを
やめる必要があります。

日本は、年金にせよ、医療にせよ、
年を取った人を優先する「敬老原則」が
行き過ぎているところがあるので、
この考えを捨てる時期が来ているのです。

敬老原則は、若い人口の多いピラミッド型の
社会でこそ成り立つものです。

日本のような超高齢社会に突入した国では、
「年齢フリー原則」に早く転換すべき
というのが、出口さん、竹中さんの
共通した考えです。

本書は、経済財政政策担当大臣などを歴任した
慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵さんと、
ライフネット生命を創業した出口治明さんの
対談本です。

意見が真っ向から対立するこはありませんが、
議論が噛み合って、お互いに教養が深いので、
聞いていて非常に面白い対談です。

お二人の多岐にわたる議論を聞いて、
将来のお金の不安がなくなるかというと、
必ずしもそうではありません。

しかし、自分たちで何とかしなければ、
という気持ちにさせられると思います。

例えば、若い人たが今の社会や世の中に
期待が持てないと文句を言うのに、
選挙に行かないのはおかしな話だと
出口さんは言っています。

選挙に行かないのは服従の証で、税金が
どのように配分されようと、教育にいくら
お金がかかろうと、医療費負担が10割に
なっても、文句は言わないということです。

そして、お金の心配をする前に、
「どう生きるか」、あるいは「何をしたいか」
を考えるほうがいい。

自分とよく相談したうえで、
何をしたいのかを決めてから、
お金や保険の心配をすべきなのです。

この順番が逆になると、生産的ではありません。

ただし、何をしたいかは、誰もが若い頃から
簡単に見つけられるわけではありません。

人生の中で、一生懸命考えて、行動に移す
試行錯誤を重ねるなかで、やりたいことが
見えてくるものなのです。

この本から何を活かすか?

本書の道州制の議論の中で、安倍政権に対する
竹中さんの見解が述べられていました。

  「安倍政権は安定していますが、安定している
  理由のひとつは、まだ抜本改革をやっていない
  からです。
  車でたとえると、政策には、 “今ある曲がり
  くねった道をうまく運転する” という意味での
  政策と、 “新しい道をつくる” という施策の
  2つがあります。
  今の政権は、とても上手に運転していると
  思うのですが、新しい道をつくる政策が
  あまりできていません。」

日本に余力があるうちに、超高齢社会に
対応する新しい道を作りたいものです。

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| マネー一般 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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技術屋の王国

満足度★★★★
付箋数:25

  「ホンダは、じつに不思議な会社である。
  なぜ、二輪、F1レースで世界の頂点に
  のぼりつめたばかりか、 “ASIMO” や
  ホンダジェットなど数々の “奇跡” を
  引き起こすことができたのか。
  トヨタ、フォルクスワーゲン、GMのように
  世界のビッグスリーの一角を占めるわけ
  ではない。年間の世界販売台数はおよそ
  500万台で、1000万台のビッグスリーの
  半分に過ぎない。当然、研究開発費は、
  超巨大企業に比べて潤沢とはいえない。
  であるのに、ホンダには、 “世界初” 
   “世界一”  “日本初” といった技術、
  製品が少なくない。」

ホンダは国内2位の自動車メーカーです。

しかし、自動車販売台数は、1位のトヨタの
約半分に過ぎず、自動車メーカーとしては、
世界7位に留まっています。

ちなみに、トヨタ自動車や日産自動車と
違って、ホンダは「ホンダ自動車」では
ありません。

ホンダの社名は「本田技研工業」で、
英名では「ホンダモーター」です。

つまり、動力を発生するモーターが
載ってさえいれば、何でもアリの会社です。

そんな自由な社風があったからこそ、
「ASIMO」や「ホンダジェット」の開発が
成功したのです。

ホンダジェットは、2015年12月10日に
アメリカ連邦航空局の型式証明を取得。

型式証明とは、政府が航空機の安全性や
環境の基準を満たしているかの審査を行い、
その基準に合格して発行されるものです。

航空機は型式証明がなければ、実用機として
その国の空を飛ぶことはできません。

なかでも米国の型式証明は取得が最も難しく、
事実上の国際標準になっています。

ホンダは、無謀な挑戦と言われながらも、
ゼロから航空機の開発を始め、30年の歳月を
かけて型式証明の取得に成功しました。

  「ホンダは、30年もの間、1円の利益も
  あげない航空機の研究開発を継続した。
  ホンダジェットは、長い助走を経て、
  ようやく離陸したのである。
  世界には数多の自動車メーカーがあるが、
  航空機メーカーを兼ねているのはホンダだけ
  である。そればかりか民間の航空機産業では、
  エンジンメーカーと機体メーカーは
  それぞれ別に存在するのが業界の常識だが、
  後発の航空機メーカーのホンダは両方を
  手掛ける。これも世界に例がない。」

本書は、独自の哲学を持つ技術屋として、
世界を魅了するホンダの物語。

ホンダジェットの開発ストーリーを軸に、
ホンダの持つ「不思議力」に迫ります。

ホンダジェットの開発秘話の本としては、
前間孝則さんの『ホンダジェット』や
杉本貴司さんの『大空に賭けた男たち
などの良本が過去に刊行されています。

本書は、ホンダジェットの開発だけに
限らず、本田技術研究所の体質に注目。

奇人・変人・怪人が集まる基礎技術研究所の
風土にも迫り、ASIMOの開発秘話なども
からめて、話を進めます。

本田技術研究所は創業者の本田宗一郎さんと
参謀の藤沢武夫さんが設立した組織です。

  「研究所を本社から分離することで、
  目先の業績に左右されない自由な研究環境が
  実現できるだけでなく、一般的な企業の
  ピラミッド型組織と異なるフラットな組織の
  実現も容易に行え、研究員に対する待遇も
  改善できる」

このような理念によって設立されました。

基礎研究機関を独立させる企業はありますが、
ホンダのように開発までも含めて別会社で
運営している例は他にありません。

本書は、経済ジャーナリスト片山修さんが、
入念な取材をもとに書いた、技術屋としての
ホンダの魅力を伝えるドキュメンタリーです。

この本から何を活かすか?

ホンダジェットは、主翼の上にエンジンを
配置する、非常にユニークな機体設計です。

これは既存の航空機メーカーではタブーと
されていました。

航空機を知り尽くすボーイングの設計者
からは、「ホンダは何もわかっていない」
と陰口も叩かれていたそうです。

しかし、航空機メーカーでなかったからこそ、
ゼロから発想して、「主翼の上」という
最適なエンジン配置を発見できました。

ホンダの設計者、藤野道格さんは、
この開発で米国航空宇宙学会(AIAA)から
航空機設計賞を受賞しています。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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時間とはなんだろう

満足度★★★
付箋数:24

時間が止まった世界を想像してみてください。

こう言われると、次のような場面をイメージ
する方が多いのではないでしょうか。

水道から流れ出る水は落ちる姿のまま停止し、
人は歩く姿の人形のようになり、
自動車もその場でピタッと止まって動かない。

映画やテレビに出てきそうなワンシーンです。

しかし、この想像は正確ではありません。

  「そもそも時間がなければ、ものが動かない
  ばかりか、光もピタリと止まるために、
  ものを見ることすらできなくなります。
  いや、もっと言うなら、時間がなければ
  神経細胞を流れる電流も止まるので、
  そもそも見たり考えたりできません。
  これは機械を使っても同じで、時間が止まると、
  物体の運動はおろか、観測や記録も原理的に
  できなくなります。当然、時間を認識する
  こともできません。少なくとも私たちが
  感じる範囲では “時間” と “運動” は
  間違いなくセットです。」

「時間」は、実感はあるのに、実体がないもの。

この時間に対する実感はどこから来るのか?

もし、時計もなく、周りに動くものや、
変化するものが一切何もなければ、
時間の流れを感じるのは難しいでしょう。

つまり、私たちの「時間が経過している」
という感覚は、「ものの変化」に依存している
ということです。

そこで本書では、「時間とは何か?」という
問いに、「ものが動く様子」を見ながら答えます。

  「この本では、これまで人類が知り得た
   “時間” の本質を、ものの動きの理解、
  すなわち、運動法則の理解に求めながら、
  時間感の変遷を追体験していこうと思います。
  科学が本当に一歩一歩進歩してきたという
  ことを肌で感じていただくためにも、
  できる限り身の周りの出来事を出発点にして、
  歴史と論理のステップを踏みながら、
  平易な言葉で話しを展開するつもりです。
  読みやすさを優先して、数式による説明も
  できる限り避けます。」

本書は、「時間」という身近なテーマから、
物理学の歴史や主流となる理論について、
わかりやすく説明する本です。

数式を使うと、本当は言葉で語るよりも
シンプルかつ厳密に説明することができます。

その一方で、理解するためのハードルが
ぐんと上がってしまい、数式が出てきただけで、
思考停止になってしまう人もいるでしょう。

本書では「文系」の人でも理解できるように、
多少冗長になっても、数式を使わず、
言葉と図だけで物理学の理論を説明します。

著者は、『宇宙を動かす力は何か』で、
一般向けにわかりやすく説明した実績のある
素粒子物理学者の松浦壮さんです。

 第1章 時を数えるということ
 第2章 古典的時間観
  ガリレオとニュートンが生み出したもの
 第3章 時間の方向を決めるもの
  「時間の矢」の問題
 第4章 光が導く新しい時間観の夜明け
  特殊相対性理論
 第5章 揺れ動く時空と重力の正体
  一般相対性理論
 第6章 時空を満たす「場」の働き
  マクスウェルの理論と量子としての光
 第7章 ミクロ世界の力と物質
  全ては量子場でできている
 第8章 量子重力という名の大統一
  時間とはなんだろう?

もちろん、本書だけですべてを理解することは
不可能ですが、ニュートン力学から始まり、
場の量子論や超弦理論まで、おおよその概念が
つかめるように説明されています。

「時間」という軸を使って、物理学の「統一」
という視座を手に入れることができる、
高い納得感が得られる本だと思います。

この本から何を活かすか?

物理学の理論では時間の逆行を禁止して
いませんが、私たちは普段の生活の中で、
「時間は巻き戻せない」と認識しています。

これは実際に、時間を巻き戻せないから
そう感じるのは当然のことです。

しかし、本書では、そんな当然のことにも、
「なぜそう感じるのか」という部分に
フォーカスを当てて説明しているので、
読後は、かなり腹落ちする印象があります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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英語で説明する全技術

満足度★★★
付箋数:23

著者の齋藤浩史さんは、以前、投資銀行業務を
中心に行う世界有数の国際金融グループ、
ゴールドマン・サックスに勤めていました。

そのときに、上司が使う英語を聞いて驚きました。

その英語は、お世辞にも「綺麗な英語」と
言えるものではありませんでした。

話すスピードも遅く、文法も不正確、
その上、話し方や発音も流暢ではありません。

どちらかと言うと、「たどたどしい英語」と
表現した方が適切でした。

しかし、その上司が使う英語は、とにかく、
「わかりやすい英語」でした。

そう感じたのは、齋藤さんだけでなく、
会議の参加者やプレゼンの相手も同様でした。

その上司が話す英語は、耳を傾けやすく、
何を伝えたいのかがよくわかり、
強い説得力を持っていました。

実は齋藤さんは、英語はかなり得意な方で、
留学経験もあり、英語を話すことに関しては
自信を持っていました。

その上司の英語より、発音も綺麗でなめらか、
語彙も豊富でした。

それでも、英語で仕事をすると、
スムーズに相手に伝わらないこともあり、
苦慮することがあったそうです。

なぜ、自分の流暢な英語よりも、
上司のたどたどしい英語の方が伝わるのか?

このような疑問を持った齋藤さんは、
その謎を解き明かしたいという
強い衝動に駆られるようになりました。

そこで、齋藤さんは、上司の話す英語を
ボイスレコーダーに録音し、繰り返し聴いて、
その秘訣を探ることにしました。

ボイスレコーダーを何度も何度も
繰り返し聴いていると、上司がある1つの
ルールに従って話していることに気づきました。

相手を説得するとき、資料を説明するとき、
スケジュールや自分の状況を報告するとき。

どんなときも、そのルールに沿って
説明していることがわかりました。

その法則に従ってさえいれば、
発音がたどたどしくても、英語のリズムに
乗っていなくても、語彙が豊富でなくても、
しっかりとした説得力を持って伝えることが
できていたのです。

それは、一体、どんな法則なのか?

それは「大中小の法則」。

その名の通り、大きなことがら話し始め、
少しずつ具体的なことに話を進めるという、
非常にシンプルな話し方の法則です。

例えば、ある写真について「日本語」で
説明すると次のようになります。

 大項目:写真は、会議でのワンシーンです。

 中項目:写真には4名いるのですが、
  ホワイトボードが中央にあって、男性が
  その前に立っています。また右側には女性が
  1人立っていて、男性女性の2人が椅子に
  座っています。

 小項目:ホワイトボードの前の男性は何か
  書いており、立っている女性がその彼に
  指示しています。他はホワイトボードに
  目を向けています。

大中小の3つの項目に分けて説明を聞くと、
写真がなくても、その場面のイメージが
湧いたのではないでしょうか。

これを英語にしたのが、本書で伝える
「ゴールドマン・サックス式」の英語です。

ゴールドマン・サックス式の英語と言うより、
齋藤さんの上司の英語と言った方が
正しいかもしれません。

しかし、他の外資系コンサルファームでも
この説明の技術が使われているようです。

非常にシンプルなフレームワークですが、
実際にこれをあらゆる場面で使うのは、
訓練を積まないと、なかなか難しい。

そこで本書では、図やグラフの説明、
写真や3次元空間の説明、動きがあるもの
の説明、時の経過があるストーリーの説明
など多くの場面を使って練習します。

英語の伝え方の技術を解説する本ですが、
日本語だけで読んでも十分にわかる内容に
なっています。

この本から何を活かすか?

本書の「大中小の法則」を身につけるには、
英語学習者が陥りがちな3つの「固執」を
捨てることが勧められています。

  1. 「英語を話す」を捨てる
  2. 「英文法」を捨てる
  3. 「音声学習」を捨てる

これらの学習が必要ないということではなく、
「こだわり過ぎない」ということです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 05:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハーバード×MBA×医師 働く人のための 最強の休息法

満足度★★★
付箋数:22

2016年2月に刊行されて好評だった猪俣武範さんの
目標を次々に達成する人の最強の勉強法』。

医師としてハーバード大学医学部へ留学し、
留学中にボストン大学経営学部でMBAを
取得した経験から、「勉強法」のノウハウが
紹介されていました。

本書では、それとは方向性が逆のように思える
「休息法」について解説しています。

  「大きな成果を出せる人とそうでない人の
  違いは、地頭や能力の有無ではありません。
  パフォーマンスに大きな影響を与えているのは、
  勉強の仕方や時間の使い方、そして仕事や
  勉強に対する考え方の違いです。
  これが、前著でお伝えしたかったことです。
  そして今回の “休息法” についても、大筋は
  同様です。仕事においても勉強においても、
   “戦略的に有効な休息の仕方” を知っているか
  否かということこそが重要です。
  ハイパフォーマンスな人ほど、戦略的な休息を
  とっているものなのです。」

本書の考え方は、目先の成果だけを求めて
馬車馬のように働くのではなく、トータルで見て
パフォーマンスが上がるよう、「戦略的に休息」
を取り入れるというものです。

よくある健康法を羅列した本ではありません。

本書では、「睡眠」、「運動/姿勢」、「食事」、
「アイケア」、「脳/メンタル」、「ITと医療」
の6つのパートに分けて、最先端の休息法を
包括的に紹介しています。

ところで、猪俣さんは眼科の専門医です。

一専門医が、専門外の分野を語る内容は
信用に足るものなのでしょうか?

実は、猪俣さんには多くの協力者がいるので、
その点については心配いりません。

本書は、猪俣さんが各領域の論文を参照して
草稿をまとめ、その後、各分野の専門家に
査読してもらうプロセスでまとめられました。

そうは言っても、個人的に一番参考にしたい
と思ったのは、やはり猪俣さんの専門である
「アイケア」のパートでした。

このパートの執筆に、自然と力が入るのは
当然のことだと思います。

まず、取り上げられていたのは、
オフィスワーカーの3人に1人はなっている
とも言われる「ドライアイ」です。

ドライアイになると、目が不調になることで
仕事の生産性も低下するため、年間で3.5日分
もの作業が無駄になるようです。

自分がドライアイになっているかどうかは、
簡単なテストで判定できます。

それは、10秒間「まばたき」を我慢する
というもの。

我慢できなかった人は、ドライアイに
なっている可能性があるようです。

しかし、ドライアイは意外と簡単な方法で
予防ができます。

  ・伏し目になる位置にディスプレイを置く
  ・1時間に15分休憩する
  ・意識的にまばたきを多くする
  ・冷暖房が直接顔が当たらない位置に座る

また、市販目薬の選び方も参考になりました。

最も安心できるのは「涙液タイプ」。

ただし、涙をさしているようなものなので、
悪くはありませんが、それ以上でも
それ以下でもないようです。

充血を抑える目薬は、根本治療にならないので
使うことが勧められていませんでした。

クールタイプの目薬も眼精疲労そのものの
改善にはならないと書かれていました。

個人的には、本書の「休息法」の方が、
前著の「勉強法」よりも参考になる点が
多かったように思えます。

この本から何を活かすか?

チョコレートは健康に良いと言われますが、
中でもお勧めは「アーモンドチョコレート」。

チョコレートとナッツ類の両方の成分で、
ストレスを解消し、感情のコントロールをする
効果があります。

また、チョコレートには肥満を抑制したり、
糖尿病になりにくい効果もあるので、
適量を間食するには、丁度よいようです。

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| 科学・生活 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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成果を増やす 働く時間は減らす 高密度仕事術

満足度★★★
付箋数:21

著者の古川武士さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「今、働き方改革ブームの関係で、
  いわゆる “時短本” は書店で所狭しと並び、
  雑誌でもたくさんの特集が組まれています。
  しかし、テクニックのみを求めて手法を
  真似するだけでは、対症療法に留まり、
   “働き方” という根深い習慣は変えられません。
  根本的なワークスタイルを変えたいと
  望まれるならば、働き方の習慣を変えることが
  最高の方法だと考えます。」

では、どのようにして「働き方の習慣」を
変えるのか?

古川さんが、働き方の習慣を変える方法
として紹介するのが「仕事の高密度化」です。

これは単に「時短」を目指すテクニックでは
ありません。

仕事を高密度化するには、大きく2つの方向で
仕事の習慣を変えていきます。

1つ目は、「仕事の成果を最大化する」方向。

これには、次の5つのステップで取り組みます。

  ステップ1 価値ある仕事を増やす
  ステップ2 退社時間を死守する
  ステップ3 朝に集中するリズムをつくる
  ステップ4 仕事を断捨離する
  ステップ5 やり方を根本的に見直す

2つ目は、「日常業務を効率化する」方向。

こちらには、次の5つのスキルで取り組みます。

  スキル1 ゴールイメージを決める
  スキル2 優先順位を明確にする
  スキル3 シングルモードで集中する
  スキル4 突発業務をコントロールする
  スキル5 すぐやる

同じ時間仕事をしても、高い成果を得る
ように工夫し、かつ、働く時間も削減する。

この2つに同時に取り組むことで、
本当の意味での「仕事の生産性」を上げる
ことができるのです。

本書では、具体的にイメージしやすように
「生産性が低い人」と「生産性が高い人」の
行動や考え方を対比して説明しています。

そして、「高密度仕事術」で大切なのは、
一度取り組んで終わりにするのではなく、
改善するサイクルを「習慣」として
身につけることです。

改善のサイクルは「高密度PDCA」を回します。

これを回すことが、習慣化の方法であり、
習慣化されることで、継続的な改善が
自動的に続けられるのです。

  Do:シンプル時間簿をつける(毎日5分)
  Check:GPSで振り返る(毎日3分)
  Plan:枠をベースに翌日の予定を立てる
     (毎日7分)
  Act:毎週の退社時間と改善行動を決める
     (毎週15分)

サイクルを回す順番はPDCAではなく、DCPA。

始業前や始業後に僅かな時間を確保して
高密度PDCAを回すことで、成果の最大化と
業務の効率化を進めます。

このサイクルの中の「GPSで振り返る」とは、
次の3つの視点での振り返ることを言います。

  G:Good/Get 良かったことは何か?
  P:Problem 反省点は何か?
  S:Solution 次回への改善行動は何か?

仕事の簡単な時間簿をつけたうえで、
終業時に3分間で振返ります。

たった3分とは言え、これを毎日やるか
やらないかでは、1年もすると大きな違いに
なることでしょう。

本書には「続ける仕組み」が随所に
組み込まれていて、個人的には取り組み
やすい本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「生産性が低い人は、目先の時短や
  効率化に必死になる。
  生産性が高い人は、未来を見据えた
  改善を行う。」

これは本書ので取り上げられていた
対比の一例です。

本書を読んで思ったのは、「高密度仕事術」
に取り組むことこそが、未来を見据えた改善
であるということ。

毎日の業務に忙殺され走り続けていると、
仕事を終えることに必死になり過ぎて、
未来への投資はなかなかできないものです。

そんな悪循環から抜け出すためには、
本書のようなノウハウの助けを借りる
ことが賢明だと思います。

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| ノウハウ本 | 05:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ひとつ上の思考力

満足度★★★★
付箋数:25

世の中には、1を言えば10わかる人と、
1から10まで説明が必要な人がいます。

1を聞いて10わかる人は、少し説明するたけで、
「あ、そういうことですね」と理解します。

出てくる質問も的を射ていて、実際にやらせると
的確に行動して、そつなくこなします。

一方、1から10まで説明が必要な人は、
一見わかっているように見えても、
本当のところは、よくわかっていません。

出てくる質問も的外れで、実際にやらせると、
案の定うまくいきません。

この差は、どこから生まれてくるのでしょうか?

頭のいい人と、そうでない人の違いといった、
単なる分類だけで片づけてしまうと、
その本当の違いが見えてきません。

本書の著者、安澤武郎さんは、1を聞いて
10わかる人は、「ひとつ上の思考力」を
持っていると説明します。

ひとつ上の思考力があると、自分が経験した
ことから学ぶだけでなく、それを応用して、
自分で経験していないことにも活かせます。

だから1説明されただけで、説明されていない
9のことを導き出せるのです。

安澤さんは、この違いを「シングルループ」と
「ダブルループ」という言葉で説明します。

シングルループの人は、何か目標を持つと、
それを達成するために必要な行動を実践して、
何らかの結果を得ます。

この結果を得たところで、止まってしまうため、
その経験を他に活かすことができないのです。

一方、ひとつ上のダブルループ思考を持つ人は、
もう1つ別のサイクルを回します。

行動して得た結果を一度「内省」して、
それを「法則化」して、新たな挑戦に活かす
サイクルです。

内省では、自分の感じ方や考え方を自覚し、
解釈の仕方をコントロールします。

内省することで、思い通りにならないことが
起きても、自分自身のできることに目を向け、
思考を停止させません。

内省をうまくするには、何事も自分の問題
として受け止め、「やらねばならないこと」
を「やりたいようにやる」ように変えて、
前向きに取り組みます。

次の法則化とは、モノゴトの法則を見出し、
それを言語化することです。

このとき、モノゴトの「はたらき」を考えて
成功法則を見つけ、他の事例に具体的に
当てはめます。

モノゴトの「はたらき」に注目するのは、
いわゆる「ドリルを売るなら、穴を売れ」
という考えです。

本書では、グランドハイアット東京の
コンシェルジュ阿部佳さんの具体例を用いて、
説明していました。

阿部さんは、「ツアーで富士山に行きたい」
という相談を外国人観光客から受けましたが、
あいにくツアーは満席でした。

そこで、富士山に行って何がしたいのか
という「はたらき」を深掘りしました。

出てきたのは、「富士山の景色が見たい」
と「温泉卵が食べたい」という回答でした。

そこで阿部さんが提案したのは、
富士山ではなく、箱根の温泉ツアーでした。

箱根なら、富士山を見ることもできますし、
温泉卵を食べることもできます。

それに加えて、温泉や旅館などの日本文化も
体験することができるからです。

本書では法則化する際の成功法則の
見つけ方として、ロジックツリーの使い方を
解説していました。

WHYツリー、HOWツリー、WHATツリーを
組合せ、要素に分解して要因分析を行います。

安澤さんの説明は、非常に腹落ちし、
「ひとつ上の思考力」を身につける具体的な
方法に焦点を当てて書かれているので、
参考になりました。

この本から何を活かすか?

著者の安澤さんは、京都大学在学時代に
アメリカンフットボール部に所属し、
同部が2年連続日本一になることに貢献しました。

また卒業後の鹿島建設に勤務していた時代
も含めると、アメリカンフットボールの
オールジャパンに4度も選出されたそうです。

私は安澤さんの経歴に興味を持ったので、
他の著書も読んでみたくなりました。

京大アメフト部出身、オールジャパン4度選出
の組織変革コンサルタントが見つけた
仕事でもスポーツでも成長し続ける人の
「壁をうち破る方法」


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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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新版 だれも教えなかった レポート・論文書き分け術

満足度★★★
付箋数:20

株式会社SCCの角井さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、文章を書くことに苦手意識は
ありませんか?

文章を書くことは、学生時代にも求めらますし、
社会人になっても引き続き必要です。

ですから、文章を書くのが苦手だと、
一生苦労すると言えるかもしれません。

苦手になる理由は主に2つ。

1つは、活字離れです。

活字離れは、ずい分前から言われていますが、
ここ10年~20年は携帯・スマホの普及で、
より加速したように思えます。

もう1つは、実は文章の書き方を学校では
習っていないこと。

小、中、高校を通じて、あれだけ「国語」の
授業に時間を割いたにも関わらず、
文章の書き方はほとんど教えられていません。

国語の授業で重点が置かれていたのは、
文章を読んで解釈する方でした。

学校で習うのは、「作文」書き方くらいで、
英米で行われているようなレポートや論文の
書き方の授業はありません。

いわゆる「アカデミック・ライティング」の
授業が行われていないのです。

そんな、文章を書くのが苦手と嘆く
学生の声を聞いて、麗澤大学名誉教授の
大竹秀一さんは、文章の書き方を
「書き分け術」としてまとめました。

大竹さんが、『レポート・論文書き分け術』
を最初に書いたのは2005年のことです。

好評を得て版を重ねていましたが、
今回、今の時代に合わせて「新版」として
書き直しました。

メインとなる読者層は、高校を卒業して
大学や短大、専門学校に在籍中の人たちや、
就職して実務経験の少ない社会人です。

本書の肝は「主観的文書」と「客観的文章」
の書き分けです。

主観的文書とは、自分の立場で書いた文章。
物事を主観的に述べた文章のこと。

自分の感性や感情、想像などに依拠していて、
物事について自分なりの判断、認識、見解、
意見、提案などを含みます。

客観的文書とは、第三者の立場で書いた文章。

事実あるいは真実について客観的に述べた
文章のこと。

事実または真実であることをみんなが
認めるだけの根拠や裏付かが必要です。

簡単に言うと、主観的文書と客観的文章は
「意見と事実」の書き分けということですが、
これを意識して書くことが重要です。

もちろん、主観と客観の両方が入った
「主観客観混合文」もあります。

大切なのは、自分が書こうとする文章が、
どの種類に適しているかを知っておく
ことです。

本書では文章を4タイプに分類しています。

A型 小説・詩歌
 最も主観性の強い文章で、客観的事実を
 事実として書くことはあっても、それは
 重要な部分ではありません。

B型 随筆・紀行・手紙
 主観的部分が優勢ですが、客観的事実の
 部分もある程度入ってきます。

C型 評論・ルポルタージュ
 客観的事実に関する部分が基本にあり、
 それに主観による判断や見方が付け加わります。

D型 ニュース記事・研究論文
 客観的事実が問題とされる文章で、客観性が
 最も強く要求されて、主観性はできるだけ
 抑制しなければいけません。

本書では、実例を多く用いて、文章種類別の
型を学んでいきます。

こんな本は学生時代に読みたかったと
思いましたが、そんな私の気持ちを察してか
巻末には「ビジネスマンの文章心得」も
掲載されていました。

この本から何を活かすか?

読書レポートとは、本を読んで内容を要約
したり、それについての意見や感想などを
述べたりするもの。

本書では、読書レポートの4つの攻略法が
紹介されていました。

  攻略1. 「題名」「目次」を見る
  攻略2. 目次に従って「縮約」を作る
  攻略3. 「縮約」から全体の要約へ
  攻略4. 章や節ごとに自分の意見を文全体へ

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| 文章術 | 06:00 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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科学でわかった正しい健康法

満足度★★★
付箋数:23

あなたは、ジャンクフードは不健康だと
思っていませんか?

ジャンクフードばかり食べると太ってしまうと。

本書の著者、ジェフ・ウィルザーさんは、
実際にジャンクフードを中心とした
食事を1ヶ月続けて検証しました。

口にしたのは、ジャンクフード、
ブラックコーヒー、粉末プロテイン、
ウィスキーの4種類だけ。

果物、野菜、チーズ、豆類、全粒穀物は
いっさい食べませんでした。

朝食にオレオ、昼食にスニッカーズ、
夕食に糖蜜のかかったポップコーン。

こうした食事を33日続けました。

その結果、どうなったか?

体調は良く、体重は5キロ減りました。

血液検査では、悪玉コレステロールが減り、
善玉コレステロールが増えていました。

体脂肪も約2%減っていました。

この実験は、ジャンクフードが身体に良い
ということを言っているわけではありません。

ただし、世間で言われているほど、
ジャンクフードは健康の敵ではない
ということです。

ウィルザーさんの実験で抑えられていた
のは、1日に摂取する「総カロリー」です。

と言っても、極端にカロリーを制限した
わけではなく、1日2000キロカロリー前後に
なるように調整されていました。

ジャンクフードでも、「適量」であれば、
それほど身体に悪影響を及ぼくことは
ないのです。

結局、食べたものの種類で太るのではなく、
消費カロリーより摂取カロリーが少なければ
体重は減るということです。

  「なにを食べるかと同じくらい、
  どのくらい食べるかが重要な鍵を握る ―
  いや、量のほうが重要かもしれない。
  特定の食べ物を悪党扱いしてはならない。
  悪いのは、食べすぎだ。それに、次から次へと
  流される健康情報に踊らされてはならない。
  あんなものはたいていただの騒音だ。(中略)
  アリストテレスが “中庸” を重んじたように、
  肝心なのは “適量” だ。」

本書は、巷で言われるあらゆる健康法を
科学的に検証する本です。

ただし、ウィルザーさんは、
医師でも、科学者でもありません。

脳科学、生理学、栄養学、遺伝学、心臓学、
歯学、心理学、統計学など、さまざまな分野の
専門家から話を聞いて、情報をまとめました。

そして、ときには体を張って実験しました。

日々、テレビで新しく発信される健康法や
健康ブームに、科学的な根拠があるかどうかを
調べたのです。

 ・「脂質が肥満の原因」は大ウソ ― 脂質
 ・「ヘルシーなはず」が体重を増やしていた!
  ― グルテンフリー
 ・摂取量の少ない人ほど死亡率が高い ― 塩分
 ・低農薬な僕らの日常食 ― 遺伝子組換作物
 ・妊婦に朗報? ― 妊娠中のアルコール

食べ物以外でも、身体に良いと言われる行動や
生産性が上がるとされる行為についても
それが本当かどうか情報を集めています。

 ・痛みがなくなる究極の方法! ― ののしり言葉
 ・スッキリするうえに役立つ ― 愚痴
 ・人を倫理的にさせるもっとも効果的な方法
  ― ゴシップ

1つ1つのトピックは、あまり深い内容は
レポートされていませんが、
だからこそ多岐にわたって書くことが
できたのでしょう。

語り口も軽快で、サラサラ読める本です。

米アマゾンのノンフィクション分野で
ベストブックに選ばれたの納得できる
1冊です。

この本から何を活かすか?

あなたは、片付ける派? 片づけない派?

私たちは、整理整頓することが「善」である
と教育されてきましたが、本書では、
ちょっと違う実験結果を紹介しています。

  「散らかった部屋にいた人たちは、
  整理整頓された部屋にいた人たちより
  はるかにクリエイティブな反応を見せた」

乱雑な状態は、人の創造性を刺激する
良い面もあるようです。

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| 科学・生活 | 06:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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教養は児童書で学べ

満足度★★★
付箋数:18

ライフネット生命創業者、出口治明さんは、
以前から人が教養を身につける方法として、
3つのことを勧めていました。

それは「本を読む」こと、「人に会う」こと、
「旅に出る」ことです。

この3つのうち、最も効率がいいのが、
「本を読む」ことです。

それは、アメリカ大統領に会いたいと思って
ワシントンへ行っても会えませんが、
リンカーン演説集』(岩波文庫)を読めば、
リンカーンさんに会うことができるから。

出口さんは、特に本の中でも、これまでは
「古典」と呼ばれるものを読むことを
推奨してきました。

古典には、リアルな人間が描かれているので、
読むと人間に対する洞察力が高まります。

ビジネス書を10冊読むよりも、古典を1冊
読む方がよほど役に立つと推奨していました。

例えば、過去の著書では塩野七生さんの
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
などが薦められていました。

しかし、今回はうって変わって「児童書」が
推薦されています。

まあ、児童書といっても昔からあるものは
「古典」と言ってもいいかもしれませんが、
今回はこれまでとは少し趣が違います。

なぜ、出口さんは「児童書」を薦めるのか?

  「子ども向けに本をつくろうとしたら
  ごまかしがききません。つまらないと
  すぐにそっぽを向いてしまいますから。
  だから、いい児童書は、無駄をすべて
  削ぎ落としたうえで、ていねいに
  つくってあるのです。
  児童書は、子どもの気持ちにならないと
  楽しめない本ではなく、優れたものは、
  子どもが子どもとして楽しめるのと同時に、
  大人も大人として楽しめます。
  この本で紹介する十冊は、すべて、
  子どもに読むためだけの本ではなく、
  大人が純粋におもしろいと思える本
  ばかりを選んでみました。」

本書で紹介される10冊の児童書は、
絵本からファンタジー小説まであります。

大人が読んで完結するのではなく、
読んで面白かったものを子どもに薦めたり、
読んであげることが目的です。

ですから、本書のメインターゲットは
「小学生以下の子どもがいる親」
になるでしょう。

大人が自分の教養を高める目的で
児童書を読むことを優先的に薦めている
わけではありません。

やはり、大人のためだけであれば、
「古典」を読んだ方がいいと思います。

ただし、本書自体は、各児童書の
解説の端々に出口さんの高い教養が
現れているので、興味深い内容です。

読んでいて「なるほど、そうか」と
思える部分がたくさんありました。

個人的には、小学生以下の子どもがいる
親御さんが本書を予め読んでおき、
お子さんと一緒に、図書館に行くことを
お勧めします。

図書館の書架から、本書で紹介されていた
本を数冊持ってきて、子どもの前に並べ、
興味を持って手を伸ばした本を借りると
いいでしょう。

やはり子どもにも好みがありますから、
いくら親がいいと思っても、
それを子どもが読むかどうかは別の話です。

もちろん、子どもが気に入った本なら、
書店で購入しても構いませんが、
子どもと一緒に図書館に行って本を選ぶ
経験も大切だと思います。

この本から何を活かすか?

本書で紹介される児童書は、次の10冊です。

 『はらぺこあおむし』偕成社
 『西遊記』岩波少年文庫
 『アラビアン・ナイト』福音館書店
 『アンデルセン童話集』岩波少年文庫
 『さかさ町』岩波書店
 『エルマーのぼうけん』福音館書店
 『せいめいのれきし』岩波書店
 『ギルガメシュ王ものがたり』岩波書店
 『モモ』岩波少年文庫
 『ナルニア国物語』光文社古典新訳文庫

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| 心に効く本 | 05:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビジネスと生活を100%楽しめる! 陰山手帳2018

満足度★★★★

ダイヤモンド社の上村さんから頂きました。
ありがとうございます。

本日紹介するのは、「陰山手帳2018」です。
本ではないので、付箋数は書いていません。

昨年も陰山手帳を頂きましたので、
満足度は2017版を実際に使用しての評価です。

よって、本記事には実際に前年度版を
使用した感想と、新しい2018版を見ての感想が
混在していますので、ご承知おきください。

今年は表紙の色が、ノーマルで安心の「黒」、
昨年大好評だった「茶」、それに新色の
「アイボリー」を加えて3色展開になりました。

中身は信頼できる大定番の陰山手帳で、
表紙が3色から選べるようになったので、
非常にありがたいですね。

さて、そもそも陰山手帳とは、
陰山ラボ代表の陰山英男さんが考案した
縦型・A5サイズの手帳です。

陰山さんは、反復学習で基礎学力の向上を
目指す「陰山メソッド」を確立し、
全国から脚光を浴びた方です。

今でも学校や家庭学習で使われている
「百ます計算」を普及させた教育者と
言った方がわかりやすいでしょうか。

そんな陰山さんが10年ほど前に考案して、
あっという間に「定番」となったのが、
本日紹介している陰山手帳でした。

「スマホの時代に紙の手帳?」と
思うかもしれませんが、やはりスマホの
カレンダー機能とは完全に別物です。

紙の上で手を動かして書いてみた方が、
いろいろなアイディアが発想できます。

特に私の場合は、メモを手書きしないと
アイディアが湧き出てこないので、
何か考えるときに紙のメモ帳は必須。

そういった使い方をする人にとって、
陰山手帳は、左ページに縦型週間予定、
右ページが5ミリ角の方眼メモ欄なので、
これ1冊あれば完結します。

また、私が実際に使い勝手が良かったのは、
左ページ下のToDoメモ欄でした。

今年はこの欄に週単位でToDoを手書きして、
残ったものを翌週に書き写したので、
デジタルでToDoを管理していたときよりも
タスクの実行率が高くなりました。

他にも陰山手帳には、「食事・睡眠管理表」、
「プロジェクト管理ページ」、「1行日記」
などの欄があります。

また「名刺ポケット&ペンホルダー」の
機能もついています。

生活管理・時間管理・目標管理の3点を
マネジメントすることを考えて作られた
手帳ですから、人生そのものをマネジメント
できる手帳と言ってもいいかもしれません。

私は2017年は久しぶりに紙の手帳を使いました。

その結果、まず陰山手帳を開くことから
1日が始まる習慣になって、いつもとは違う
1年が送れているような気がします。

ちなみに、陰山手帳は「1月はじまり版」と
「4月はじまり版」があり、今回紹介したのは、
前者です。

「4月はじまり版」は2019年の1月下旬に
発売されると思われますので、
4月版からの買い替えや切り替えを、
検討される方は、それまでお待ちください。

この本から何を活かすか?

「陰山手帳2018 ライト版」は前年版を
私は使っていないため、見た目だけの
レビューとなります。

改訂内容としては、こちらのライト版の方が
大きく変っています。

180度パタンと開く糸かがり製本に変更され、
メモ欄が大幅に増え、51ページなりました。

ライトなので、ノーマルな陰山手帳より小さい、
19.2 x 13 x 1.4 cmのサイズ。

A5サイズより一回り小さい外寸ですから、
持ち運びにかなり便利なことは言うまでも
ありません。

しかも、これだけ充実したメモ欄があって、
仕事と生活の両方をこれ1冊で管理できるので、
ノーマル版よりこちらを選択する人が、
今年は増えるかもしれません。

表紙の色も爽やかなライトブルーで、
男性が使っても女性が使ってもイイ感じです。

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| その他 | 06:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ

満足度★★★
付箋数:22

  「私の警告に対して、 “ハイパーインフレ
  が来る来ると言うけれど、いまだその
  気配はない。フジマキは、オオカミ少年
  (オオカミ老人?)だ” と言われてきた
  ことも、重々承知しています。
  そのことに関して、私は不愉快に思った
  ことはありません。私が、オオカミ少年で
  い続けることができれば、日本経済は安泰
  ということだからです。永遠のオオカミ少年
  と言われたいぐらいです。
  ところが、最近では、私のことを
   “オオカミ少年だ” と言う人がめっきり
  少なくなってしまいました。」

藤巻健史さんが、著書でハイパーインフレが
来る来ると警告していることに対して、
読者の反応は3種類に分かれます。

1つ目は、声を上げて、ハイパーインフレが
起きることはないと反応する方々。

この種類の方が主にフジマキさんを
「オオカミ中年」と批判します。

2つ目は、フジマキさんが、言っていることが
ずっと当たらないことに呆れてしまい、
何も反応しなくなってしまった人たち。

サイレントマジョリティならぬ、声を上げない
反対者で、ほとんどフジマキさんの言動を
無視している状態です。

3つ目は、フジマキさんの警告に対して、
起こる可能性が少しはあることを想定しつつ、
予想が当たらないことや、フジマキさんの
変わらない様子を暖かく見守る人たち。

フジマキさんが、最近、「オオカミ中年」と
言われなくなったのは、2番目のサイレントな
反対者、無視している人が増えたからでしょう。

声を上げて反対し続けるにはエネルギーが
必要ですから、もともと1番目だった方も、
時間が経つと、2番目へ移行していくものです。

ちなみに、私は3番目で、もう20年くらい
フジマキさんのファンです。

さて、アメリカFRBはリーマンショック以降、
資産規模を9000億ドルから4兆5000億円まで
膨らませいてることで話題になりました。

これはアメリカのGDPの30%弱に相当し、
バランスシートを縮小したくても、
簡単にはできないFRBの様子が窺えます。

では、FRBに対して、日銀はどうなのか?

実は日銀は市場に出回る国債の約80%を
買い取っていますから、その資産規模は
FRBの比ではありません。

対GDP比で言うと、アメリカの3倍以上にまで
膨れ上がったメタボの状態になっています。

これが今のところ日本が破綻しない理由。

日本の財政状態がどんなに悪くても、
困ったときには日銀が無尽蔵にお金を刷る
「打ち出の小槌」を使っているのです。

財政破綻が騒がれたギリシャの公的債務残高が
対名目GDP比で200%であるのに対し、
日本ははるかにその上をいく232.4%。

ギリシャは借金があっても勝手にユーロを
刷ることはできませんが、日銀は単独で
円を刷ることができるので、現在の状態を
維持できているとフジマキさんは言います。

フジマキさんの主張は、そんなことを
続けている日本では、いずれハイパーインフレ
が起こるので、その防衛策として、
「ドルを買え」というも。

誰から何を言われても、ブレはありません。

ですから読まなくても、およそ書いている
内容は予想がつく人も多いでしょう。

本書の目新しいところでは、最近の理論に
対して批判しているところです。

1つは、米プリンストン大のクリストファー・
シムズ教授が提唱する「物価水準の財政理論
(シムズ理論)」に対して。

もう1つは、コロンビア大のジョセフ・E・
スティグリッツ教授が説いた「統合政府論」
について。

いずれも荒唐無稽な理論と、フジマキさんは
言い切っています。

この本から何を活かすか?

日本の財政赤字の削減策の1つとして、
本書でフジマキさんが提案しているのが、
「年金支給開始年齢を80歳」に引き上げる
案です。

80歳までは私的年金や預貯金・保有資産で
生活資金を賄い、80歳以降は死ぬまで
一切心配しなくて良いほどの手厚い年金額を
支給するというもの。

80歳までに資産をすべて使い切っても、
そこから先の生活の不安がまったくなくなれば、
今よりは安心できるのかもしれません。

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| 経済・行動経済学 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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フロックの確率

満足度★★★
付箋数:23

あなたは、米ネバダ州ラスベガスに住む、
ジョーン・ギンザーさんという女性の名前を
聞いたことがあるでしょうか?

彼女は1993年7月14日、テキサス州のビショップ
のあるスーパーで、スクラッチの宝くじを
何枚か買って540万ドルが当たりました。

これは地元のニュースになりました。

数年後、ギンザーさんはテキサス州のコンビニで
ホリディ・ミリオネアというスクラッチの
宝くじを何枚か買い、200万ドルが当たりました。

このときはテキサス州のニュースになりました。

2年が経ち、ビショップの国道77号線沿いの
マーケットでミリオンズ・アンド・ミリオンズ
の宝くじを何枚か買ったら、また300万ドルが
当たりました。

これは全国のニュースになりました。

さらに2年後、前と同じビショップのマーケット
に行ったときに、エクストリーム・ペイアウト
という宝くじを50ドル分買うと、また1000万ドル
が当たりました。

今度は世界中のニュースになりました。

1度でも当たると非常に幸運な宝くじを、
同じ人が4回も当たることがあるのでしょうか?

こんな事が特定の個人に起こる確率は、
18兆兆分の1で、1000兆年に1度くらいという
起きにくさとなります。

彼女はスタンフォードで博士号も取った
元数学教授で、宝くじのシステムを出し抜いて、
何か不正をするか、当たりくじが置かれている
場所を決めるアルゴリズムを解明したという
噂話さえ流れました。

  「このように(宝くじに)複数回当たることは
  めったにないが、めったにないことも偶然で
  必ず起きることを知っている統計学者には
  意外ではない。宝くじに4回当たるのは、
  1人の身の上に起きることとして考えれば
  ほとんどないが、集団全体で考えればまずまず
  よくあることになる。実際にその率は結構
  高く、ギンザーのような当たり方は、
  3億2000万人いるアメリカ人の集団の中では
  相当起きる可能性がある。」

ポイントは、ジョーン・ギンザーさんという
既に当たった人物に起きた出来事として
見ているので、到底起こることのないような
確率と思えることです。

世界中のどこかの誰かが4回の宝くじを当てる
確率を計算すると、実は極めて「1」に近いのです。

ほぼ「1」とは、ほとんど起こる確率という
ことを意味します。

本書は、偶然の巡り合わせを数学的に
解明する読み物です。

2016年に刊行された、「Fluke: The Math
and Myth of Coincidence」の邦訳本。

著者は、米マールボロ大学数学科名誉教授の
ジョセフ・メイザーさん。

メイザーさんの著書は邦訳されている本も多く、
これまでにも『ギャンブラーの数学』、
数学と論理をめぐる不思議な冒険』、
ゼノンのパラドックス』などが日本でも
出版されています。

本書で扱うテーマは「Coincidence」。

これは、偶然の一致と訳される言葉です。

しかし、「それは本当に偶然なのか?」そして、
「めったに起こらない珍しいことなのか?」
という視点で考えるのが本書のテーマです。

この手の問題でよく知られているのが、
「誕生日問題」です。

これは23人の集団があれば、そこには
同じ誕生日の人が2人いる確率の方が、
いない確率より高くなるというものです。

直感では、「珍しい」あるいは「奇遇」と
思えても、実際に起こる確率の計算すると
意外と高い確率となるのです。

本書では、人の感覚とはそぐわない
偶然の一致や巡り合わせを数学的に考察します。

私たちが「何かの運命」と感じていた出来事が、
普通の出来事になってしまうかもしれません。

およそ数学の知識がなくても読める本ですが、
一部数式などが登場する部分もあります。

この本から何を活かすか?

本書で、なかなか興味深かったのは、
DNA鑑定についての考察です。

  「血縁関係のない2人の人物が、完全に一致する
  DNAを持っているということはあるろうか。
  可能性は想像を絶するほど小さいが、
  ありえないことはない。可能性は低いと
  いっても、たかが10億分の1ほどだ。」

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| 数学 | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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論理的思考 最高の教科書

満足度★★★★
付箋数:24

次の2人の会話は、あまり噛み合っていません。

噛み合わない原因はどこにあるのでしょうか?

 先生:前回の試験の成績があまり芳しく
    なかったね。努力しないと成績は
    よくなりませんよ。

 学生:よく分っています。自分なりに努力は
    しています。試験前には1日に8時間程度
    勉強しています。ただ、いまのところ
    結果に結びついていないだけです。

 先生:そうかな。努力しているとは思えないな。
    だって、成績が伸びていないじゃないか。

ポイントとなるのは「努力」という言葉の
使い方です。

科学哲学者のノーウッド・ラッセル・ハンソン
さんは、言葉を2つに大別しました。

直接観察できる対象や性質を示す言葉のことを
「観察語」と呼びます。

一方、目で見えない対象や性質を示す言葉
のことを「理論語」と呼びます。

「理論語」というネーミングからすると、
わかりやすい言葉のようなイメージを持つかも
しれませんが、実際はその逆です。

理論語は、目に見えないものを表すので、
使用する「範囲」と「条件」を明示しないと
使えない語のことです。

冒頭の先生と学生の会話では「努力」が、
この理論語に当たります。

「努力」は直接に観察することができない
抽象的な概念です。

つまり、何をもって「努力」とするのか、
その範囲と条件が明示されていないまま
この言葉を使っているため、2人の会話は
噛み合っていないのです。

私たちは、何かの発言をするときに、
気づかずに理論語を使っていることがあります。

それが議論や討論が噛み合わない原因に
なっている場合が多いのです。

さて、本書は「論理的思考」をするための
基礎的なトレーニングを積むための本です。

著者は、早稲田大学文学学術院文学部
心理学コース教授の福澤一吉さんです。

誤解を生まないように「論理的思考」とは、
何を示すのか、本書での基礎的な定義を
確認しましょう。

  1. あることを前提にそこから何か新しいこと、
   結論を導き出す際に、

  2. 語と語、句と句、文と文などの関係に
   注意が払われていること

この定義の前半、1の部分は「思考」の
意味を表しています。

あることを前提に、そこから何か新しいことを
導き出すのが、「論証」の定義でもあります。

前提は、「根拠」とか「経験的事実」とも
呼ばれ、新しいことは、「結論」とか「主張」
とも呼ばれます。

定義の後半、2の部分は、「論理」を
表しています。

論理とは、語と語、句と句、文と文などの
関係性のことを指します。

つまり、論理的であるとは、文と文の
接続関係に注意を払うことに他なりません。

接続表現を正確に使うことが、
論理的思考の根幹にあるのです。

本書では、論理とは何か、論理的に思考する
とは何か、演繹と帰納はどのように違うのか
など、順を追ってわかりやすく解説します。

 第1章 論理的思考についての誤解を解く
 第2章 主張と主張をつなぎ合わせる
 第3章 論証の二大分類:演繹的論証と帰納的論証
 第4章 帰納的論証の詳細
 第5章 仮説演繹法
 第6章 論証を通して推論上の誤りに敏感になる
 第7章 認知スタイルを通して論証上の誤り
    に敏感になる
 第8章 相関と因果と論証

本書は、新書版の190ページ程の本ですが、
非常にわかりやすくまとまっています。

また、多くの練習問題も掲載されていて、
論理的思考のトレーニングを積める
コストパフォーマンスの高い本だと思います。

この本から何を活かすか?

「仮説演繹法」とは、科学的研究で一般的に
使われる手法の1つです。

これは、「帰納」と「演繹」の2つの論証を
組み合わせた強力な手法です。

 ステップ1 帰納法を使ってデータから仮説を作る
 ステップ2 仮説から予測を演繹する
 ステップ3 予測の内容を実験的に検証する
 ステップ4 実験結果から予測が正しいか検討する

仮説演繹法は、最初に帰納的論証で仮説を形成し、
予測を演繹的論証で導出し、実験結果をもとに
仮説の正否を再度、帰納的論証を使って決定する
流れとなります。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 05:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか

満足度★★★
付箋数:25

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

フェイスブック、グーグル、ネットフリックス、
セールスフォース・ドットコム、ウーバー、
イケア、ピクサー。

ここに挙げた7社は、日本でもよく名前を聞く
企業です。

これらの企業の共通点は何でしょうか?

すべてアメリカの企業かというと、
イケアが入っているので違います。

答えは、「カテゴリーキング」であること。

カテゴリーキングとは、ビジネスの新しい
「カテゴリー」を創り出した企業です。

それまでになかった物事を行う新しい方法を
生み出し、発展させ、そのカテゴリーを
長期にわたって支配する企業のことです。

単に新しい製品やサービスをつくったり、
特許に値する発明をしただけでは、
カテゴリーキングとは呼べません。

例えばウーバー(Uber)は、まが歴史が浅い
企業ですが、カテゴリーキングと呼ぶに
ふさわしい企業です。

自動車配車ウェブサイトと配車アプリを
提供することで、それまであったタクシーの
使い勝手の悪さを解決しました。

ウーバーは、サービスと会社を形づくると
同時に、より大きなカテゴリーを創り出し、
それを独自に定義して、支配しているのです。

カテゴリーキングは、自ら創り出した
新しいカテゴリーにおいて、利益と市場価値の
大部分を手中に収めます。

ウーバーの評価額は2015年に510億ドルにも
達していますが、同業企業の2番手である
リフト社の評価額は20億ドルにしか過ぎません。

さて、本書はカテゴリーキングをつくる戦略を
明らかにする本です。

著者はシリコンバレー気鋭のコンサルタント集団
「プレイ・ビガー」の共同設立者である
アル・ラマダンさん、デイブ・ピーターソンさん、
クリストファー・ロックヘッドさん。

それにテクノロジー分野専門のジャーナリストの
ケビン・メイニーさんを加えた4名の共著に
なっています。

プレイ・ビガーを中心とする著者らは、
2000年から2015年に創業した数千の企業を
分析しました。

そこから35のカテゴリーキングを見出し、
共通する特徴や活動を明らかにしました。

本書でカテゴリーキングになるために示される
戦略は、次の3つを同時にデザインすることです。

1つ目は、プロダクトデザイン。

これは、市場が解決して欲しいと願う問題に
フィットした製品や経験を意図的につくり出す
ことです。

2つ目は、企業デザイン。

これは、カテゴリーに合わせた文化や視点を
持つビジネスモデルと組織を意図的に
つくり出すことです。

3つ目は、カテゴリーデザイン。

これは、新たな市場カテゴリーを意図的に
創造し、発展させることです。

その際に、カテゴリーを顧客の頭に浸透させ、
自らをキングと呼ぶに相応しいように仕向けます。

プロダクト、企業、カテゴリーの3要素を
バランス良く、ほぼ同時にデザインするため、
本書では「魔法の正三角形」と呼んでいます。

そして、この戦略で一番難しいのが、
新しく創造したカテゴリーでキングであり
続けることです。

本書では、かなりのページを割いて、
新しく創ったカテゴリーを支配し続ける方法
についても考察しています。

事例として取り上げられているのは、
米国企業が中心です。

日本企業が参考にできるかどうか、
不安に思う方もいるかもしれませんが、
逆に日本でまだ行われていないからこそ、
活用のしがいがあると思います。

この本から何を活かすか?

本書で注目したのは、カテゴリーキングに
なる戦略を「個人」にも応用する方法が
書かれていることです。

自分自身を生かすカテゴリーを見つけ、
人生のカテゴリーデザインを行います。

  「会社がすることすべてを、個人がする必要は
  ないだろう。しかし、さまざまな教えの一部を
  選んで実践するだけでも、自分を際立たせ、
  より効率的に、より求められる人物になる
  ことができる。」

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| 経営・戦略 | 06:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2030年ジャック・アタリの未来予測

満足度★★★
付箋数:26

  「 “起きるわけがない” と決めつけても、
  どんなことだって起こりうる。
  こうした最悪の事態を予測することこそが、
  最悪を回避する最善の手段なのだ。
  だからこそ本書で開示する数々の予測は、
  われわれ個人、家族、国家、人類のサバイバル
  に必要不可欠なものなのである。」

これは日本版を出版するにあたり、
本書の著者、ジャック・アタリさんが、
日本の読者へ向けた言葉です。

本書は2016年にフランスで刊行された
「Jacques Attali, Vivement apres-demain」
の邦訳本です。

タイトルを直訳すると「明後日を生き生きと」
という意味になるようです。

ジャック・アタリさんは、「ヨーロッパの知性」
とも称される経済学者です。

1980年代からフランス大統領特別顧問を務め、
サルコジ政権以降には「アタリ政策委員会」
を作り、大統領に政策提言を行ってきました。

現在のエマニュエル・マクロン大統領を
発掘したのもアタリさんだったといいます。

アタリさんは、これまでもソ連の崩壊、
金融バブル、テロの脅威、トランプ大統領の
誕生などを予測し、的中させてきました。

本書では、今から2030年までに世界中で
起こるであろう、さまざまな重要な出来事
について語ります。

執筆の目的は、誰もが世界の明るい展望と
脅威を知る術をマスターし、それらの機会と
リスクを推し測ることができるように
することです。

シェアリングエコノミー、高齢化する世界、
加速する富の偏在、民主主義の行方、
気候変動と環境問題、報道の自由、教育、
医療、金融システムなどなど。

さまざまな角度から未来に起こりそうな
ことに言及しています。

よく言えば複眼的で考えられるすべての
可能性から未来を検討している。

悪く言えばハズレのない占いのように
イイことも悪いことも一通り羅列している。

どちらと感じるかは読者次第ですが、
本書の目的からすると、それはあまり
重要なことではありません。

未来予測の目的は、最悪の事態にならない
ように今から行動を変えることなので、
まずは最善も最悪も両方のシナリオを
揃えることから始まるのです。

アタリさんの予測する未来は、運命として
受け入れるものではなく、行動を起こして
変えていくことを前提としています。

  「自分と世界とは相互依存していることを
  自覚するのだ。そこで、次のことを理解
  すべきである。自分が不幸になる原因は、
  ほとんどの場合、他者の不幸に対する
  われわれの無分別やあきらめからである。
  他者を喜ばせることができないのなら、
  あるいは他者の役に立てないのなら、
  それは自身の成功とは程遠い。
  そしてとくに、次世代に対して利他的に
  なることは自分自身の利益なのだ。」

本書で、個人がとる行動としてキーワード
として何度も登場するのが「利他的」という
言葉です。

現状で起こりうる問題を直視した上で、
各自が合理的な利他主義者になることが、
明るい未来をつくると述べられています。

この本から何を活かすか?

本書の最後に記載されているアタリさんの
10の提言は以下の通りです。

 1. 学校や法律の教科書など、いたるところに、
  利他主義、寛容な精神、誠実さを養うための
  学習を取り入れろ。

 2. 国連総会のもとに、安全保障理事会、
  次世代会議、世界環境裁判所の3つの機関を
  設立せよ。

 3. 世界的な紛争が勃発するリスクと闘え。

 4. 法の支配と暴力を抑制する合法的な手段を
  強化せよ。とくに、女性や子供に対する
  暴力を撲滅するのだ。

 5. 世界経済の連携を組織せよ。

 6. 世界通貨を導入せよ。

 7. 小規模農家の農地を守るために、
  農地に関する所有権を世界的に強化せよ。

 8. 積極的な経済を推進するための世界的な
  基金を創設せよ。

 9. 新たな技術進歩を世界中の人々が利用
  できるように支援せよ。

 10. 最後に、今までに述べたことに対する
  取り組みの進行状況を、企業、都市、地域、
  国、世界という単位で、客観的な指標を
  用いて計測せよ。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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コトラーのマーケティング4.0

満足度★★★★
付箋数:25

  「現在の移行期には、新しいマーケティング・
  アプローチが必要だ。そこで、われわれは
  『マーケティング3.0』の自然な発展形として
  『マーケティング4.0』をお示しする。
  本書の大前提は、マーケティングは
  デジタル経済におけるカスタマー・ジャーニー
  (製品サービスを知った顧客が購入・推奨に
  至るまでの道筋)の質の変化に適応する
  必要があるということだ。
  マーケターの役割は、認知(awareness)
  から最終的に推奨(advocacy)に至るまで、
  カスタマー・ジャーニーの間中、顧客の
  道案内をすることである。」

マーケティングのSTP理論や7P理論などで
知られるフィリップ・コトラーさんは、
「マーケティングの神様」と呼ばれています。

これまで、時代とともに変わるマーケティング
の概念を的確に表現してきました。

  マーケティング1.0 : 生産主導
  マーケティング2.0 : 顧客中心
  マーケティング3.0 : 人間中心

コトラーのマーケティング3.0』は
ソーシャル・メディア時代の新法則として
2010年に刊行され、英語に加え世界24の
言語に翻訳された、大ベストセラーなりました。

そのマーケティング3.0をさらに推し進めて、
現在のスマートフォン時代に対応したのが、
本書の『コトラーのマーケティング4.0』です。

マーケティングの歴史とともに歩んできた
コトラーさんも、2017年現在で御年86歳。

この年齢で、最先端のデジタル時代の
マーケティングに正面から取り組むのは、
さすが神様といったところでしょうか。

ただし、コトラーさんの仕事は、
IoT、AI、ビッグデータなどの技術革新の中で
使われる、最新のマーケティング手法を
紹介することではありません。

あくまでデジタル時代のマーケティングを
「概念」としてまとめることにあります。

現場寄りのマーケティングと言うよりは、
学問寄りのマーケティング。

ですから、最先端という意味では、
実際に企業でマーケティングを担当している
人の方が先に進んでいるかもしれません。

それでも、本書は十分に読む価値があると
思います。

なぜなら、現在マーケティングの世界で
起こっている大きな潮流を的確に捉えて
いるからです。

本書のメインとなるのは、顧客がどのような
道筋をたどって購入するかを示す
新時代の「カスタマー・ジャーニー」です。

 認知(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)
 →行動(Act)→推奨(Advocate)

顧客との接続性が高まった現代においては、
カスタマー・ジャーニーは従来の「4A」から
「5A」にアップデートされています。

そして、この5Aのジャーニーの中で、
顧客を「認知」から「推奨」まで進める
ために影響力のある要素を「Oゾーン」
という概念でまとめています。

  ・自分自身の影響(Own)
  ・他者の影響(Other's)
  ・外的の影響(Outer)

マーケターは、この3つの主な影響源を評価し、
ブランドの好感度を高め、マーケティング活動
を最適化することが推奨されています。

  第1部 マーケティングを形づくる基本的な
     トレンド
  第2部 デジタル経済におけるマーケティングの
     新しいフレームワーク
  第3部 デジタル経済におけるマーケティングの
     戦術的応用

この本から何を活かすか?

本書でマーケティングの生産性を測る
指標として紹介されているのが、
「PAR」と「BAR」です。

PARは、Purchase Action Ratio(購買行動率)
のことで、企業がブランド認知をどれだけ
ブランド「購買」にコンバートしたかを表します。

BARは、Brand Advocacy Ratio(ブランド推奨率)
のことで、企業がブランド認知をどれだけ
ブランド「推奨」にコンバートしたかを表します。

既にこれらの指標を使っているマーケターも
多いと思いますが、コトラーさんからの
お墨付きがあると、心強いように思えます。

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| マーケティング・営業 | 06:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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童話でわかるプロジェクトマネジメント

満足度★★★★
付箋数:27

著者の飯田剛弘さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの
実施に際して、期限や予算といった制約の中で
プロジェクトを予定通りに完了するための、
計画立案や実行管理の手法のこと。

この手法は、アメリカの非営利団体である
プロジェクトマネジメント協会が、「PMBOK」
(ピンボック :Project Management Body of
Knowledge)というガイドブック出している
ことで知られています。

しかし、プロジェクトマネジメントを
PMBOKで勉強しようと思っても、
抽象化された内容で、また専門用語も多く
なかなか難しい。

その難解さに、途中で挫折してしまった人も
多いのではないでしょうか。

しかし飯田さんは、プロジェクトマネジメント
の本質はそんなに難しいものではないと
言います。

  「プロジェクトマネジメントとは、
   “チームで成果を出す技術” でしかありません。
  あなたも、普段のお仕事で、チームを組んで
  何かに取り組むことがあるでしょう。
  そのような場面で、うまく成果を出すために
  やっているノウハウを体系化したものが、
  国際的に標準とされているプロジェクト
  マネジメントの知的体系 “PMBOK” なのです。
  つまり、プロジェクトマネジメントの本質は、
  あなたが既にチームで仕事をする時に
  やっている工夫のあれこれに過ぎません。」

本書は、難しそうに思えるPMBOKの内容を
私たちが子供の頃から親しんだ「童話」を
通じて、わかりやすく解説した本です。

一般的に童話には、様々な教訓が含まれて
いることが知られています。

その童話をちょっとだけアレンジして、
プロジェクトマネジメントを学べるように
したのが本書です。

  「むかしむかし、あるところに、お母さん
  ブタと、3匹の子ブタが暮らしていました。
  家の長であり、プロジェクトスポンサーの
  お母さんブタ。プロジェクトメンバーである
  3匹の子ブタ。4匹は、仲良くチームを組んで、
  様々な生活プロジェクトに取り組んでいました。」

これは、「3匹の子ブタ」を題材にしたもので、
3匹それぞれが取り組むのは、家を建てる
プロジェクトです。

この童話からは、プロジェクトを成功に
導くための「段取り」の手順を学びます。

他に登場する題材は、「ウサギとカメ」、
「桃太郎」、「ヘンゼルとグレーテル」、
「アリとキリギリス」、「長靴をはいた猫」、
「シンデレラ」の6つの童話です。

かなり平易に書かれていますが、PMBOKで学ぶ
本質的な部分はカバーされてれています。

しかも、童話のパートは、実際に飯田さんの
小学6年生の息子さんにも読んでもらって、
理解できるか検証済みです。

ところで、なぜ、プロジェクトマネジメントを
学ぶ必要があるのでしょうか?

それは、プロジェクトマネジメントは、
大小の規模を問わず、チームで仕事をする人に
とっては、必要な考えであり、技術だからです。

  「プロジェクトマネジメントを知ると、
  いろいろな人との仕事がうまくいきます。
  ひとりぼっちにならず、チームで助け合い
  ながら課題に取り組めます。きちんと計画
  することで、トラブルを未然に防げます。
  プロジェクトの状況を見える化することで、
  問題の発見と対策、改善を可能にします。
  そして、最初に決めた目的を、きちんと達成
  することができます。」

本書は、プロジェクトマネジメントを初めて
学ぶ方や、勉強しようと思って途中で
やめてしまった方には、最適の入門書です。

他の専門書で本格的に学ぶ前に、本書で
プロジェクトマネジメントの概要がわかると、
独習することも可能でしょう。

騙されたと思って、本書を読んでみてください。
後悔はしないと思います。

この本から何を活かすか?

「アリとキリギリス」から学ぶのは、
進捗を加速させる「情報共有」の技術です。

キリギリスは、夏の暑い日に一生懸命に働く
アリの姿を見て、一体、何を考えているのか
全く理解できませんでした。

それは、キリギリスが自分の基準で見て、
アリのことを理解しようとしていたからです。

人は、相手の行動が自分の理解を超えると
「あの人はおかしい」と相手が間違っている
と思い込む傾向にあります。

それを防ぐためには、相手の基準と自分の
基準の違いを考えることが、第一歩であると
本書では解説されています。

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| ノウハウ本 | 05:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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