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アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々

満足度★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に
ドナルド・トランプさんが就任しました。

当初は、誰もがトランプさんが大統領に
なることを予想せず、ただのジョークとして
語られることさえありました。

なぜ、トランプ大統領は、生まれたのか?

それは、トランプさんが「忘れられた人々」
と呼んだ層からの支持を得たからです。

この「忘れられた人々」が本書で解説される
「ホワイト・ワーキング・クラス」と呼ばれる
層です。

ホワイト・ワーキング・クラスとは、
その名の通り、「白人労働者」層のことです。

白人労働者層は、貧困層でもなければ、
エリート層や富裕層でもありません。

かつてのアメリカの製造業を支えていた
いわゆるブルーワーカーです。

彼らは1つの企業で真面目に勤め上げ、
家族を養うことを美徳としてきましたが、
時代の流れとともに、居場所を失いました。

白人労働者層は、これまでの政府やメディア
からは軽んじられ、大きな怒りと失望を
抱えていました。

彼らの怒りは、ポピュリズム=反権威主義
として政治的に大きな力となって、
トランプ大統領誕生の原動力となりました。

従来の白人至上主義が、アメリカ社会全体
から黒人やユダヤ教徒などの異分子を
排除しようとしたのに対し、トランプさんの
掲げた白人至上主義は異なりました。

トランプさんは、白人労働者こそ社会の
犠牲者であるという被害者意識に立って、
アイデンティティや尊厳の復権を訴えました。

こうした白人労働者の怒りがアメリカ社会の
背景にあったため、トランプ大統領は
生まれるべくして生まれたとも言えます。

ところで、ホワイト・ワーキング・クラス
とは、一体、どのような人々なのか?

実は、トランプ大統領が誕生するまで、
彼らはメディアからも疎外されていたので、
日本に住む私たちは、その実態をよく知らない
というのが本当のところでしょう。

実際、アメリカのエリート層にとっても、
「なぜ、ホワイト・ワーキング・クラスは?」
という疑問がたくさんありました。

本書の著者、ジョーン・C・ウィリアムズさんは
大統領選挙の日の夜から、この「なぜ?」に
答える記事をハーバード・ビジネス・レビュー
誌のウェブ版に発表してきました。

この記事は「アメリカのワーキング・クラス
について多くの人々が知らないこと」という
タイトルで掲載され、同誌の歴史において
最大の読者数を誇る記事となっています。

本書はそれをベースにまとめられた本です。

  ・なぜ、ワーキング・クラスは貧困層に
   反感を抱くのか?

  ・なぜ、ワーキング・クラスは専門職に
   反感を抱き、富裕層を高く評価するのか?

  ・なぜ、ワーキング・クラスは仕事がある
   場所に引っ越さないのか?

  ・なぜ、ワーキング・クラスは大学に
   行こうとしないのか?

  ・なぜ、ワーキング・クラスは子供の教育に
   熱心に取り組まないのか?

  ・ワーキング・クラスは製造業に仕事が
   戻ってこないことを理解していないのか?

私たち日本人は、この「なぜ?」という問い
によって、そもそも白人労働者に
そのような考えがあることを知ります。

本書は、世界に吹き荒れるポピュリズムを
支える「真・中間層」の実態をレポートする
良書です。

なかなか日本のメディアでは伝えられない、
ホワイト・ワーキング・クラスの真の姿と
その政治的影響がよくわかります。

この本から何を活かすか?

ホワイト・ワーキング・クラスの人々は、
自分たちより階層が下の、貧困層に対しては、
怒りを持っています。

それは貧困層に仕事を奪われ、彼らを救済する
医療保険制度によって、自分たちの負担が
増えているからです。

一方、ホワイト・ワーキング・クラスの人々は、
富裕層に対しては反感がないどころか、
逆に高く評価しています。

それは、そもそも富裕層とはあまり接点がなく、
彼らに対しては、手を差し伸べてもらいたい
という欲求があるから。

自分たちのすぐ上の階層の専門職からは、
日常的に差別や侮辱を受ける機会が多いので、
それと対比して富裕層がよく見えるのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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