活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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生涯投資家

満足度★★★★★
付箋数:28

  「私のファンドマネージャーとしての人生は、
  2006年にインサイダー容疑で逮捕された時に
  幕を閉じた。 “儲ける” という行為を
  否定されてしまったため、投資に限らず、
  何の事業もできない状態となってしまった。」

ニッポン放送株式のインサイダー取引の
容疑で逮捕されてから、表舞台から姿を消した
村上世彰さん。

事件の後、どんなことをマスコミに語っても、
更にバッシングを受けるだけと考えて、
なるべく露出することを避けてきました。

現在はシンガポールに拠点を移し、
投資活動を行っているようです。

そんな村上さんが、なぜ、本書を執筆したのか?

転機になったのは。2015年11月に村上さんの
事務所に入った強制捜査でした。

証券取引等監視委員会は、相場操縦の容疑で、
村上さんの会社と自宅を捜査しました。

この捜査では、会社に在籍していた長女の、
村上絢さんも捜査対象となりました。

絢さんは、捜査の対象となった期間は、
株の取引に関与しておらず、第1子出産のため、
産休に入っていました。

しかし、度重なる捜査を受けたストレスで
体調を崩し、死産することになります。

  「病室で泣きじゃくる娘を見て、私は心が
  えぐられるような、言葉にはできない
  悲しみと自分の子どもであるがゆえに
  このような経験をさせてしまったのかも
  しれないという申し訳なさが湧き上がってきた。
  そして私自身が表に立って自分の理念や
  信念をきちんと伝えなければならないと
  思い始めたのだった。」

そして、娘さんや奥さんの後押しを受けて、
村上さんが持ちつづけてきた、上場企業の
あるべき姿についての信念を書いたのが
本書です。

上場した会社の株式は誰でも売買できます。

企業は、上場すると株式の流動性を高める
ことができ、資金調達がしやすくなる
メリットを得ます。

一方で、上場にはコストがかかることと、
いつ誰が株主になるかわからないという
デメリットも持ちます。

当然、企業はこのメリットとデメリットを
を踏まえ、上場するか否かの判断を
することになります。

決してステータスや、信用を得るために
上場するものではありません。

  「上場のメリットとデメリットを比較
  すると、資金調達の必要がなく、
  経営においては株主から横やりを
  入れられたくないというなら、
  非上場化してプライベートカンパニーに
  すべきであるというのが、
  私の一貫した持論だ。」

そして、コーポレート・ガバナンスを通じ、
上場企業をあるべき姿にしていくことが、
投資家の使命であると、村上さんは
考えています。

ちなみに、コーポレート・ガバナンスとは、
株主が企業を監視・監督するための制度です。

投資先の企業で健全な経営が行われているか、
企業価値を上げる=株主価値の最大化を
目指す経営がなされているをチェックします。

本書には、これまで公には語られなかった、
村上さんが持っていた投資理念が毅然とした
態度で書かれています。

当時、マスコミの報道でしか村上さんの
ことを知らなかった方は、本書を読むと
意外な印象を持つことでしょう。

そして、何より、村上さんの考えに
賛同するかどうかはさておき、
信念によって一貫した姿勢で語られる
本書の内容は、圧倒的な魅力を持ちます。

村上さんや株式投資に興味がない方にも
オススメできる面白い本です。

個人的には、村上さんが逮捕された当時、
私も積極的に株式市場に関わっていたので、
非常に懐かしい思いで本書を読みました。

この本から何を活かすか?

村上さんは徹底したバリュー投資家です。

  「私は “期待値” とIRRにリスク査定を
  加味した3点から、投資するか否かの
  最終的な判断を行う。」

期待値が0.3の宝くじ、0.75の公営ギャンブル、
0.9強のカジノなど、いずれも期待値は1.0を
下回るので、村上さんは決して手を出しません。

期待値は、私にとっても重要な投資指標です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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