活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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データ分析の力 因果関係に迫る思考法

満足度★★★★
付箋数:26

あなたは、アイスクリームを売る企業の
マーケティング部に所属しています。

ある年、今まで使っていなかったWEB広告を
掲載してみると、前年に比べてアイスクリーム
の売上が40%上昇しました。

この結果から、WEB広告を出したことにより、
アイスクリームの売上が増えたと言うことが
できるでしょうか?

このように、ある要素(X)が結果(Y)に
影響を与えることを「因果関係」と言います。

ここで聞いているのは、WEB広告と売上に
因果関係があるかどうかです。

もし、WEB広告を出した年の夏が、前年に比べ
猛暑だったとしたらどうでしょうか。

WEB広告の影響ではなく、単に気温が上がった
ために売上が増えたのかもしれません。

また、前年が世界的な金融危機で消費全体が
冷え込み、WEB広告を打った年がたまたま
経済全体が回復傾向にあったとしたら、
その影響を受けているかもしれません。

本当は猛暑や経済回復の影響を大きく
受けているにも関わらず、WEB広告の効果が
あったと結論づけてしまうと、ビジネス上の
判断誤りを招く可能性があります。

因果関係を立証するのは、意外と難しいものです。

それは、他の要因が影響していたり、
逆の因果関係である可能性があるからです。

では、どうしたら因果関係があるかどうかを
見極めることができるのでしょうか?

その最良の方法は、RCT(ランダム化比較試験)
と呼ばれる方法です。

ビジネスの世界ではABテストと呼ばれています。

RCTでは、介入グループと比較グループの
2つに分けて、結果を比較します。

このとき、RCTを行う上では絶対に欠かせない
3つ条件があります。

 鉄則1. 分析で明らかにしたい因果関係を
    測定できるような適切なグループを作る。
    比較グループを設けることは不可欠。

 鉄則2. グループ分けはランダムに行う。

 鉄則3. 各グループに十分なサンプル数を充てる。

これらの鉄則を守ってRCTを実施すると、
分析や結果に透明性があり、分析者以外にも
因果関係があるかどうかについて説得力のある
説明ができるのです。

しかし、このRCTには大きな弱点があります。

それは実施にあたって費用・労力・各機関の
協力がそれなりに必要になることです。

つまり、予算に制約のある実際のビジネスでは、
RCTが実施できない場合も多いのです。

では、RCTが実施できない場合、
どのようにしたら因果関係の有無を
見極められるのでしょうか?

それは、まるで実験が起こったかのような
状況を上手く利用する、「自然実験」と
呼ばれる方法です。

本書で解説されるのは自然実験を代表する
3つの方法、「RDデザイン」、「集積分析」、
「パネル・データ分析」です。

本書では、因果関係を調べるこれらの
データ分析方法について、数式を使わず、
具体例とビジュアルな描写を用いて解説します。

著者はシカゴ大学公共政策大学院ハリススクール
助教授の伊藤公一朗さんです。

新書ながらデータ分析の入門書としては
非常に分かりやすく書かれているので
自信を持ってオススメでできる一冊です。

 第1章 なぜデータから因果関係を導くのは
    難しいのか
 第2章 現実の世界で「実際に実験をしてしまう」
    ―ランダム化比較試験(RCT)
 第3章 「境界線」を賢く使うRDデザイン
 第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析
 第5章 「複数期間のデータ」を生かす
    パネル・データ分析
 第6章 実践編:データ分析をビジネスや
    政策形成に生かすためには?
 第7章 上級編:データ分析の不完全性や
    限界を知る
 第8章 さらに学びたい方のために
    :参考図書の紹介

この本から何を活かすか?

第8章で日本語の入門書として本書の次の
学習書として紹介されていたのがこの4冊です。

 ・『「原因と結果」の経済学
 ・『実証分析のための計量経済学
 ・『計量経済学の第一歩
 ・『実証分析入門

この中でも本書に一番近いレベルの本は、
「原因と結果」の経済学』のようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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