活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2017年02月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年04月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

目に見える世界は幻想か? 物理学の思考法

満足度★★★
付箋数:23

  「この世を可能な限り理解したい、
  その心が物理学の研究を進めてきた。
  本書で最も伝えたかったことは、
  この世界が人間の常識的な感覚で
  思うようなものにはなっていない、
  という事実だ。
  これまでの思考法が通用しないとなると、
  苛立ちを覚えたり悲しい気持ちになったり
  するが、それは次へ進むために必要な
  スプリングボードだ。逆境から立ち上がると、
  それまでに見えていなかった地平が
  見えてくる。物理学の紆余曲折には、
  そうした要素が満ち溢れていて、
  読者が生きていく上においても、
  なんらかのヒントになってくれるのでは
  なかろうか。」

本書は、主に文系の方向けに書かれた
物理学の入門書です。

物理学とはどのようなものなのか、
数式だけでなく難しい図表も一切使わず、
ひたすら言葉だけで説明しています。

著者は、名古屋大学大学院理学研究科
准教授の松原隆彦さん。

松原さんは、これまで『宇宙に外側はあるか』、
宇宙はどうして始まったのか』など
宇宙関係の本を多く執筆してきました。

しかし、今回、物理学の入門書を書こうと
思ったのは、理学部以外の一般の学生には、
物理学があまりに強い拒否感を
持たれているからです。

学生時代にわけのわからない計算をさせられ、
物理学の本当の面白さを知る前に、
物理学を嫌いになっていく人が多い。

そんな状況を憂えて、本書は執筆されました。

ところで、なぜ、物理学では、非現実的な
状況を設定して、よくわからない計算を
するのでしょうか?

例えば、「空気抵抗を無視して、
ものを投げたら、どこに落ちるか」
などの計算です。

そんな現実的にありもしない場合だけ考えて、
何の役に立つのかと、考えた方も多いはず。

  「物理学の本質は、複雑で予測不可能にも
  思える現実の現象について、そこに秩序を
  見出すことにある。複雑なものを複雑なまま
  理解しようとしても、途方に暮れてしまう。
  そこで、まずは複雑な現象を単純な要素に
  分解することが有効なのだ。(中略)
  空気抵抗を無視するという理想化を行うと、
  放り投げた物体の運動が単純な法則で
  理解できるのである。」

本書では、近代物理学の誕生の経緯、
そして物理学に大きな革命をもたらした
量子論と相対論の成り立ちを見ていきます。

人間の目に見える世界は、本当の世界なのか?
見えない部分には、一体、何があるのか?
人間は、この世界でどのような存在なのか?

現代の物理学の成り立ちを学びながら、
こうした根源的な問にも答えていきます。

  第1章 物理学の目的とは何か
  第2章 天上世界と地上世界は同じもの
  第3章 すべては原子で作られている
  第4章 微小な世界へ分け入る
  第5章 奇妙な量子の世界
  第6章 時間と空間の物理学
  第7章 時空間が生み出す重力
  第8章 物理学の向かう先

目に見えない部分、常識に反する部分の
最たる分野は量子力学です。

本書では、量子力学についても、
平易な言葉で丁寧に説明されていますから、
これまであきらめていた方でも、
概要を理解できると思います。

わかりやす表現で書かれていますが、
内容は深いので、理系の方が読んでも、
十分楽しめる本です。

そして、理系の方が読むと、よく言葉だけで
説明し切ったなと、感心することでしょう。

この本から何を活かすか?

「量子力学」が理解しにくいのは、
実は物理学の素人に限ったことではなく、
専門家の間でも大差はないようです。

  「現代の科学者の多くは、量子力学の
  意味について深く考えることを避けている。
  その努力が有用な結果を生まないことを、
  先人たちは学んでいるからだ。
  こうした問題にはまりそうになると
  科学者によく言われるフレーズがある。
  それは、 “黙って計算しろ!” 
  というものだ。」

このスローガンのもと、量子力学に基づいて
物理学は大きく発展してきたようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 科学・生活 | 06:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |