活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論

満足度:★★★
付箋数:20

日本のGDPは2010年に中国に抜かれて、
世界第2位から3位へと順位を下げました。

このときに、少し悔しい思いをしながらも、
「中国はあれだけ人口が多い国だから、
抜かれてもしょうがない」と思った方も
多いでしょう。

GDPは経済の「絶対量」を表す数字で、
GDP=人口×生産性という式に分解できます。

もし、同じ生産性の2つの国、
A国とB国があったとします。

A国の人口がB国の2倍だとすると、
GDPもそのままA国はB国の2倍になります。

発展途上国まで入れると、多少相関は
崩れるものの、先進国の中ではGDPと人口には
ハッキリとした相関があります。

ですから、人口の多い中国のGDPが上位に
ランクされるのは当然の結果なのです。

実は、日本も人口による恩恵を受けてきたと、
本書の著者、デービッド・アトキンソンさんは
指摘します。

日本の世界第3位のGDPも人口で割って、
1人当たりに換算すると、「世界第27位」まで
低下します。

この原因は、日本の「生産性」が低いからです。

  「生産性の問題は、国にとってきわめて
  深刻な問題のひとつです。日本は1990年、
  世界第10位の生産性を誇っていましたが、
  今では先進国最下位です。労働者ベースで
  見ても、スペインやイタリアより低く、
  全人口ベースでは世界第27位です。
  1990年には韓国の2.4倍も高かった生産性が、
  今では1.04倍まで低下しています。
  このまま何も手を打たなければ、
  あと2~3年で韓国に抜かれて、アジア
  第4位の生活水準にまで低下するでしょう。」

日本の生産性の低さは、多くの方が指摘して
いることですが、アトキンソンさんは、
本書で、その原因を2つ挙げています。

1つは、日本は世界ランキングに酔いしれて、
実態を見てこなかったこと。

もう1つは、人口減少問題。

個人的には、アトキンソンさんの挙げた
2つ目の原因には違和感を覚えました。

GDPを人口×生産性に分解している中で、
生産性の低さの原因を人口減少にもってくると、
独立変数でなくなるからです。

そして、それ以降の論理展開も、
あまり納得できるものではありませんでした。

  「生産性を上げるのは、労働者ではなく
  経営者の責任です。世界一有能な労働者から
  先進国最低の生産性しか発揮させていない
  という日本の経営の現状は、いかに現行の
  日本型資本主義が破綻しているかを
  意味しています。この経営者の意識改革は、
  喫緊の課題です。」

生産性が低い「犯人」を経営者としていますが、
その解決策として提示しているのが、
「株価を上げさせること」でした。

  「公的年金などを通じて、経営者に対して
   “継続的に時価総額を増やせ” と迫ることが
  必要でしょう。(中略)

  株価を上げさせることで、アメリカだけでなく
  諸外国は日本よりも顕著に実績を上げました。
  同様なことを、日本でも実行してみるしか
  ないと思います。」

株価を上げることが、企業にとって
重要であることは間違いありません。

しかし、生産性が上がる結果として、
株価は上がるものの、株価を上げることで、
生産性が上がるようには思えませんでした。

本書でアトキンソンさんが指摘している
ことには、鋭いなと思うことがいくつも
ありましたが、解決策に至るまでの
論理展開には、ズレや飛躍があるように
感じました。

この本から何を活かすか?

夏季オリンピックで日本人がメダルを
獲得した数は439個で、第11位です。

しかし、これも人口で割って、1人当たりの
メダル獲得ランキングに直すと、
順位がガクンと下がり、第50位になります。

アトキンソンさんは、オリンピックについても、
絶対数に惑わされずに、人口比で考え、
もっと挑戦的な獲得目標を立てるべきと
主張しています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 06:27 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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