活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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失敗の科学

満足度★★★★
付箋数:30

  「人類は過去2000年余りの間に目覚ましい
  発展を遂げた。とくにここ2、3世紀の進歩は
  驚異的だ。企業やスポーツチームのみならず、
  科学、技術、経済がさまざまな進化を遂げ、
  人々の生活があらゆる面で変わった。
  本書はその過程を覗きながら、人間が失敗から
  学んで進化を遂げるメカニズム、あるいは
  創造力を発揮して革命を起こすメカニズムを
  明らかにしていく。ビジネスや政治の世界でも、
  日常生活でも、基本的な仕組みは同じだ。
  我々が進化を遂げて成功するカギは、
   “失敗とどう向き合うか” にある。」

本書は、オックスフォード大学を首席で
卒業した異才のジャーナリスト、
マシュー・サイドさんが、あらゆる業界を
横断して、失敗の構造を解き明かにした本。

サイドさんが、本書で最初に比較するのが、
安全重視にかかわる2大業界である、
航空業界と医療業界です。

この2つの業界で根本的に異なるのは、
「失敗に対する向き合い方」です。

航空業界の黎明期は、飛行機で飛ぶことは、
かなりの確率で命を落とす危険な行為でした。

米陸軍航空学校が設立された当初、パイロットの
死亡率は約25%にも及んでいたといいます。

しかし、現代では状況が大きく改善され、
2014年のジェット旅客機の事故率は、
100万フライトに0.23回という極めて低い
発生率にとどまっています。

航空機の事故率がここまで改善したのは、
すべての航空機に、2つの粉砕不可能な
ブラックボックスが装備されたためです。

1つは飛行データを記録し、もう1つは
コクピット内の音声を録音するものです。

事故があれば、このブラックボックスが
回収され、データ分析によって原因が
究明されます。

そして、二度と同じ失敗が起こらないように
速やかに対策がとられてきました。

航空業界では、不測の事態やミスは起こるもの
と認識して、失敗にアプローチします。

パイロットはニアミスを起こすと報告書を
提出しますが、10日以内に提出すれば
処罰されない仕組みになっていることも
失敗と向き合うことに貢献してきました。

一方、医療業界では今でも非常に多くの人が
医療過誤で亡くなっています。

ある調査によると、回避可能な医療過誤による
死亡者数は年間40万人以上にものぼると
算出されています。

アメリカでの医療過誤での死亡者数は、
心疾患、がんに次ぐ死因の第3位。

医療過誤が起こる原因は、手順の複雑さ、
資金や人手不足、とっさの判断を迫られること
などいろいろあります。

しかし、医療過誤減らない根本的な原因は、
医療業界が失敗から学ぶ仕組みを
作ってこなかったことにあります。

人は誰でも、自分のミスを認めることが難しく、
失敗を隠す傾向にあります。

医療業界では、調査で事実が明らかに
なることを恐れ、日常的にデータ収集をせず、
過去の失敗事例が共有されてこなかったことが、
進歩を妨げているとサイドさんは指摘します。

本書では、多くの具体的な事例を用い、
失敗から学習する組織と学習できない組織
の違いをあぶり出します。

 第1章 失敗のマネジメント
 第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
 第3章 「単純化の罠」から脱出せよ
 第4章 難問はまず切り刻め
 第5章 「犯人探し」バイアスとの闘い
 第6章 究極の成果をもたらすマインドセット
 第7章 失敗と人類の進化

サイドさんの洞察は非常に深く、22カ国で
刊行された世界的ベストセラーというのも
伊達ではありません。

組織だけでなく、個人としても学ぶことが多い、
読んで損のない、優れた本だと思います。

この本から何を活かすか?

なぜ、専門家の予想は外れるのか?

サイドさんは、過去に実績のある専門家や
頭脳明晰な学者ほど、自分の専門分野での
予測を外しやすいと指摘します。

例えば、経済の専門家なら、有名になれば
なるほど、経済予想は不正確になるといいます。

  「カギは認知的不協和にある。
  自分の発言が世間に広がりやすい
  有名な専門家ほど、生活も自尊心も
  その予測にかかっている。
  おそらく、それまでは失敗しても
  自己正当化ばかりに躍起になって
  何も学べずにいたのだろう。」

この自己正当化の罠から抜け出すには、
「あえて間違って」失敗と向き合う機会を
作ることも必要です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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