活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2017年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年03月

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「原因と結果」の経済学

満足度:★★★★
付箋数:28

ダイヤモンド社の上村さんから
献本いただきました。ありがとうございます。

2008年から生活習慣病の早期発見と治療を
目的として、40歳以上の健康保険加入者全員の
受診が義務づけられた特定健康診査、
いわゆる「メタボ診断」が始まりました。

2014年までに、メタボ診断に投じられた税金は、
およそ1200億円にも登ります。

果たして、メタボ診断を受けていれば、
人々は健康になり、長生きできるのでしょうか?

メタボ診断で生活指導を受けた人たちは、
翌年、腹囲が小さくなり、体重が軽くなり、
血糖値や血圧も低くなる傾向が見られます。

しかし、ここで立ち止まって考えなくては
いけないことがあります。

それは、メタボ診断と健康の間には、
「因果関係」があるのか、それとも単に
「相関関係」に過ぎないのかという点です。

因果関係とは、片方が「原因」となって、
もう片方の「結果」が生じる関係。

相関関係とは、片方につられてもう片方も
変化しているように見えるものの、
原因と結果になっていない関係。

実は、メタボ診断と健康の間には
因果関係はありません。

デンマークなどの海外の研究結果では、
メタボ診断と健康の間に、因果関係がない
ことが統計的に証明されています。

因果関係と相関関係を取り違えてしまうと、
無駄な税金が投入されるようなことが
起こり得るのです。

因果関係なのか、相関関係なのかを
正しく見分けるための方法論のことを
「因果推論」と言います。

  「日常生活の中でも、因果関係と
  相関関係の違いを理解し、
   “本当に因果関係があるか” を考える
  トレーニングをしておけば、思い込みや
  根拠のない通説にとらわれることなく、
  正しい判断ができるだろう。
  このため本書は、因果推論の根底にある
  考えかたを徹底的にわかりやすく
  説明するために執筆された。」

著者は、『「学力」の経済学』がベストセラー
になった慶應義塾大学 総合政策学部 准教授の
中室牧子さんと、ハーバード公衆衛生大学院
リサーチアソシエイトの津川友介さんです。

「ビッグデータ」という言葉が流行り、
誰でも簡単にデータ分析ができる時代に
なりました。

しかし、いくらデータ分析したとしても、
その結果を正しく解釈できなければ、
因果関係と相関関係を混同してしまいます。

また、それを見極めるリテラシーがないと、
根拠のない通説に惑わされてしまいます。

本書では、実際にある身近な事例を使って、
データから真実を見抜くための統計的思考を
解説します。

ちなみに、2つの変数が因果関係なのか、
相関関係なのかを見極めるポイントは3つ。

 1. 「まったくの偶然」ではないか
   まったくの偶然にすぎない、見せかけの
   相関は意外に多い

 2. 「第3の変数」は存在しないか
   原因と結果の両方に影響を与える隠れた
   変数(交絡因子)があると、因果関係が
   あるように見えてしまう

 3. 「逆の因果関係」は存在していないか
   原因と結果の方向が逆の場合もある

因果関係を確認するときには、最低限、
この3つは頭に入れておきたいところです。

本書では、これまで統計を学んだことのない
人でもわかるように、ランダム化比較試験、
自然実験、差の差分析、操作変数法、
回帰不連続デザイン、マッチング法、
重回帰分析などが平易に解説されています。

今回は、たまたま献本いただきましたが、
もし、本書がこの内容だと事前に知っていれば、
私は間違いなく買っていました。

本書は、自信を持ってお勧めできる一冊です。

この本から何を活かすか?

経済学では、友人から受ける影響のことを
「ピア効果」と言います。

子どもの友人関係を考えた場合、
「勉強のできる友達と付き合って欲しい」
と考える親も多いようです。

果たして、学力の高い友人と付き合うと、
自分の子の学力も高くなるのか?(因果関係)

それとも、学力の高い子ほど、学力の高い
友人と付き合っているのか?(相関関係)

残念ながら、ここでも親の期待に反して、
学力の高い友人に囲まれても、
自分の子の学力にはほとんど影響がない
という研究結果が出ているようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 数学 | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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AI時代の人生戦略

満足度:★★★
付箋数:20

アメリカ国立科学財団(NSF)によって
使い始められた言葉で、バラク・オバマ大統領
の時代に注目を集めた「STEM」。

STEMとは、
サイエンス(科学)の「S」
テクノロジー(技術)の「T」
エンジニアリング(工学)の「E」
マセマティックス(数学)の「M」
を並べた造語です。

これにアート(美術)の「A」を加えたのが、
成毛眞さんが必須と説明する「STEAM」。

テクノロジーや人工知能の発達によって、
今ある仕事が将来なくなっていくとは、
よく言われることです。

オックスフォード大学のマイケルオ・ズボーン
准教授は、今後10~20年間に現在の約47%の
仕事が機械に代替されると予想しました。

STEAMを知っているかどうかが、
今後、人工知能やロボットを「使う側」と
「使われる側」の分かれ道になると言います。

  「三角関数も二次方程式もわからない人が、
  これから急速に社会に浸透してくる
  人工知能(AI)やロボットを “使う側” に
  回れるとはとても思えない。
  あなたはAIに “使われる側” になりたい
  だろうか?」

これまでの人生、高校以降は理数系を
完全に避けて通ってきた人も多いはず。

しかし、これまで通り理数系を避けたまま、
人生の逃げ切りが許されるのは、
今現在、50代よりも上の世代だけ。

それよりも若い世代は、もう1度STEAMを
学ぶべきと、成毛さんは言います。

では、どのようにして学べばいいのか?

あらためて学校に通う必要はありません。

  「独学だ。独学で十分なのだ。
  基本的にこれからの学びは高等教育でこそ
  自習になると思う。
  といっても、参考書を読んだり、
  通信制大学・大学院の “放送大学” を
  視聴したりする必要などない。
  いきなり難しいことを学ぼうとすると、
  高校時代と同じになってしまう。
  まずは身近なサイエンスやテクノロジーを
  肌で感じることが先決だ。
  それで面白さを実感し、自ら率先して
  詳しくなりたいと思うように、
  自分をしかける。そうすることが、
  遠回りなようで近道である。」

成毛さんは、まず、プレイステーションVRを
体験することを勧めています。

このVRを早く体験するかどうかが、
人生の分かれ道になるとまで言います。

その上で、テレビ、雑誌、本などから
STEAMについて学びます。

テレビでは、ハードディスクに録画した
サイエンス系の番組を1.3倍で再生します。

雑誌は、『ナショナルジオグラフィック』、
『ニュートン』、『日経ものづくり』や
ビジネス誌などがお勧め。

本では、ノンフィクションばかりでなく、
フィクションのSF小説も推奨されています。

本書では「残酷な10年後に備えて
今すぐ読みたい本」として26冊の
STEAMを学ぶ本が紹介されています。

また、文部科学大臣補佐官の鈴木寛さん
との対談と、堀江貴文さんとの対談も
掲載されています。

本書は、興味を引く話題には富んでいますが、
それほどSTEAMについて深く掘り下げた
本ではありません。

文系の方が理数系に興味を持つきっかけに
読むのがいいかもしれません。

この本から何を活かすか?

成毛さんが推薦する、STEAMを学ぶのに
適しているSF小説は以下の6冊です。

  ・『銀河ヒッチハイク・ガイド
  ・『エンダーのゲーム
  ・『異星の客
  ・『順列都市
  ・『しあわせの理由
  ・『星を継ぐもの

この中で、『銀河ヒッチハイク・ガイド』は
イーロン・マスクさんの、『エンダーのゲーム』は
マーク・ザッカーバーグさんの愛読書です。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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会話がはずむ雑談力

満足度:★★★
付箋数:23

2010年4月に刊行されて大ベストセラーになった
齋藤孝さんの『雑談力が上がる話し方』。

これに続いて、2014年4月に刊行された
雑談力が上がる大事典』は実践編という
位置づけでした。

本書は、この「雑談力」シリーズ最新作で、
正統的な続編に当たる本です。

  「前著『雑談力が上がる話し方』で、
   “雑談のベストタイムは30秒” という話を
  書きましたが、雑談はもっと短い時間でも
  十分に成立することに気づきました。
  そこで、この本は、雑談を次のように
  定義したいと考えます。
  雑談のベストタイムは “30秒” 。
  そして、雑談になり得る時間の
  最小単位は “10秒” 。
  10秒あれば、誰もが雑談できる。
  逆に言えば、雑談は10秒で十分なのです。」

本書で齋藤さんが教えるのは、「10秒」で
しっかり成り立つコミュニケーション。

例えば、マンションのエレベーターでの
こんなやり取りです。

 A 「お出かけですか、どちらまで?」
 B 「中学の同窓会に。20年ぶりなんですよ」
 A 「それは楽しみですね。いってらっしゃい」

この10秒というのが、雑談にとっては絶妙で、
ほんのちょっとの「すきま時間」を
「気まずい時間」から「心地よい瞬間」に
変えることができます。

本書の10秒雑談は、次の3ステップから
成り立っています。

 ステップ1 声をかける
  軽い「あいさつ」で相手の警戒心を解きます。

 ステップ2 話す
  「+アルファ」で場の空気をほぐします。

 ステップ3 別れる
  「ではまた」とサッと切り上げます。

ここで雑談が苦手な人が困るのが、
ステップ2の「+アルファ」で何を話せば
いいかです。

ここでは、「今日も寒いですね」などの
「とりとめのない」話しがベストです。

相手との距離を縮める「+アルファ」。

この何気ない会話をするために、
本書では、3つのルールを示しています。

 ルール1 中身がないことに意味がある
    ―だから誰とでも話せる

 ルール2 結論はいらない
    ―「白黒つけない」から傷つけない

 ルール3 サクッと切り上げる
    ―「長引かせない」から後を引かない

「お盆だから、電車は空いてますね」
「選挙が近いから毎日にぎやかですね」
「この踏切なかなか開きませんね」

このように内容だけ見れば、
「だからどうした」というレベルの話が、
雑談には丁度いい。

正確に伝えなければならないことや、
しっかり聞かなければならないことは、
何もありません。

同じ場所、同じ時間の空気を共有できれば
それで十分なのです。

  「いかに中身のない話ができるか。
  世の中の9割を占める中身のない雑談にこそ、
  人と人とのコミュニケーションにおける
  本当に大事なポイントが存在しています。」

私は雑談が苦手ですが、本書を読むと、
これまでは頑張って中身のある話を
しようとしていたのかもしれません。

「雑談は中身がないことに意味がある」
という考えは、私にとって大きな発想の
転換になりました。

この本から何を活かすか?

相手に気持ちよく話させる「相づち」

 同意 : 「なるほど」「確かにそうですね」
 共感 : 「すごくわかります」「ですよねぇ」
 驚き : 「え~信じられない」「マジですか」
 称賛 : 「すごい、すごい」「さすがですね」
 促し : 「でどうなりました?」「それから?」

無理して自分から話そうとせず、
相手を否定せずに、いいタイミングで
合いの手を入れるだけでも、
雑談は十分に成立するようです。

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| コミュニケーション | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビジネスエリートの新論語

満足度:★★★
付箋数:18

  「私の本には “ユーモア新論語” という
  副題がふられている。なにも、孔子さまの
  向こうを張って、昭和の論語を編むという
  オソルベキ考えはサラサラない。
  なにぶん、孔子さまとは、天の星と
  地のミミズほどの違いもある薄汚れた
  安サラリーマンなのである。
  気よう気ままに書いた楽書にすぎない。
  アプレサラリーマンらしいフテイさも、
  当然まじっていよう。その点からいえば、
  一種の “悪書” であるかもしれない。」

本書は、昭和30年に産経新聞の記者だった
司馬遼太郎さんが、本名、福田定一の名前で
刊行した本の復刻版です。

司馬さんが、新聞記者のかたわら、
作家デビューしたのが昭和31年。

梟の城』で第42回直木賞を受賞したのが
昭和35年のことでした。

本書は、司馬さんが司馬遼太郎になる前の
サラリーマンを題材にしたエッセイ集。

竜馬がゆく』、『燃えよ剣』、
国盗り物語』、『坂の上の雲』などの
司馬さんのファンにとっては、
思わず手を伸ばしたくなる、気になる一冊。

「へ~、あの司馬さんが、こんなことを
考えていたんだ」と、「人間・司馬遼太郎」
が理解できる本です。

植木等さんが、「サラリーマンどんと節」で、
「サラリーマンは 気楽な稼業と来たもんだ」
と歌ったのが昭和37年。

それよりも少し前の時代の
サラリーマン世相が反映されています。

なぜ、サラリーマンエッセイに「論語」
というタイトルが入っているのか?

それは司馬さんの、次の考えに拠ります。

  「私は、この本で日本のサラリーマンの
  原型をサムライにもとめた。
  サムライも発生から数百年間、
  サラリーマンではなかった。
  戦闘技術者という、レッキとした、
  職業人であったのだ。
  だから当然、イクサの駈けひきや、
  刀槍の使い方、戦陣での心得などの面で、
  彼らの行動や思考のヒントとなる金言が
  山とあった。
  ところが、徳川幕府の平和政策は、
  いちように彼らをサラリーマン化して
  しまったのである。もはや、刀槍を
  ふりまわす殺人家としての金言は要らない。
  が、彼らのブッソウなキバは抜いてしまった
  ものの、平凡な俸禄生活者としての
  公務員に甘んじさせるために何らかの
   “サラリーマン哲学” が要った。
  これが儒教というやつである。」

サラリーマンの原型は江戸時代の武士。
武士の精神的な拠り所は儒教。
儒教といえば、バイブルの「論語」。

だから、当時のサラリーマンが共感する
エッセイを「新論語」としたわけです。

サラリーマンも現在と昭和30年代当時とは、
おかれている状況がまったく異なります。

戦後10年、「モーレツ社員」という言葉が
生まれる前の高度経済成長期真っ只中。

本書は、そんな時代にサラリーマンとして、
がむしゃらに働く人たちに対して、
古今東西の名言を引用して励ます
応援歌でもあります。

ただし、現在の私たちが読むと、
感覚的なズレはあるのは否めません。

ですから、当時のサラリーマンの生活や
空気感を知るために読むのがいいでしょう。

この本から何を活かすか?

日本のサラリーマンの元祖を知っていますか?

司馬さんが、元祖と考えるのは、鎌倉時代の
下級官人だった、大江広元さんです。

大江広元さんは、源頼朝さんに
事務手腕を認められ、鎌倉幕府創設時の
政所初代別当を務めた方です。

武力が圧倒的な力を持っていた時代に、
知力だけで生き抜き、当時としては珍しく、
78歳の天寿を全うした、サラリーマン。

「益なくして厚き禄をうくるは窃むなり」
は大江広元さんの座右訓です。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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まずは、書いてみる

満足度:★★★
付箋数:15

  「はじめまして、藍玉と申します。
  2011年よりブログ “藍玉スタイル” を開設、
  手帳ライフ研究科として、手帳術や日記術、
  文房具の使い勝手などを中心に綴らせて
  いただいています。」

私は、本書ではじめて藍玉(あいだま)さん
のことを知りましたが、手帳マニアとして
テレビやラジオなどにも出演して、
活動している方のようです。

藍玉さんは、ツイッターで広がった
手帳好きな人が集まるSNSコミュニティ、
「手帳ゆる友」を主宰しています。

本書では、藍玉さんが「手帳ゆる友」を中心に、
1000人以上の手帳やノートを見た中から、
「これは!」と思った手帳術を紹介します。

時間管理系・タスク管理系を中心とした、
「手書き手帳」の活用術です。

本書に登場する主な手帳のタイプは次の5つ。

マンスリー手帳、デイリー手帳、バーチカル、
ガントチャート、レフト式

ちなみに藍玉さんは、2016年時点で
「ほぼ日手帳」をはじめ全部で9冊の手帳を
使っているそうです。

本書では、実際に使っている手帳の
カラー写真も豊富に掲載されています。

写真がカラーなのは、手帳を書き込む際に、
藍玉さんが「色」を重視しているから。

ワンポイントで入れる「顔イラスト」で、
手帳を華やかに見せます。

もともと絵に自信がなかった藍玉さんですが、
「ハッピーラクガキライフ」というセミナーに
参加して、絵が苦手な人でも簡単に描ける
顔イラストを習いました。

口を5種類、目を5種類、眉を4種類を
組み合わせるだけで、100通りの表情の
顔イラストを描く方法が紹介されています。

  「イラストというよりアイコンに近く、
  パパッと手軽に描けるのが魅力です。
  忘れたらダメなこと、おもしろそうと思った
  ことを、さまざまな表情の顔イラストを添えて
  手帳に書き残すと、書いていて楽しくなります。
  情報が埋もれにくくなる効果もあります。
  表情によってペンの色を変えたり、
  色を塗ったりしても立たせることもできますし、
  小さなイラスト1つで手帳が華やかになる!
  これはうれしい発見でした。」

本書の手帳術は、目で楽しむ女性向けの
アイディアが豊富です。

男性がやると「キツイ」と思われるものも
結構ありました。

以下、私にはできないと思った手帳術です。

 ・ポイント制タスク管理でがんばりすぎない
  私になる

 ・毎日着る服に迷わない!
  「コーディネートノート」

 ・心と体の記録を残し、女子力をアップする
 
 ・作っておけば安心!
  ツライ時に役立つ「癒やしリスト」

 ・不思議と心が落ち着く「ネガティブ日記」

 ・落ち込んだ時に勇気をくれる
  「サクセスダイアリー」

悩める女子向けに、気持ちを前向きにして、
日々の管理や自己啓発するためのアイディアが
たくさん紹介されています。

誰もがスマホを持ち、デジタルでスケジュール
管理することが主流になる時代に
藍玉さんは、あえてアナログにこだわって
手書き手帳の工夫を重ねています。

だからこそ、手書きの良さを再認識させ、
注目を集めているのでしょう。

個人的には発想術的な手帳の使い方を
期待していましたが、そのような使い方の
紹介はあまりありませんでした。

この本から何を活かすか?

なぜ、藍玉さんは、複数の手帳を使うのか?

スケジュール管理する場合の手帳は
一元管理できた方がいいと思いますが、
藍玉さんは全部で9冊の手帳やノートを
活用しています。

藍玉さんが、複数のノートを使う理由は、
手帳によって頭の切り替えができるから。

そして、手帳の種類が増えることで、
書くことが、どんどん楽しくなっているから。

この発想は、手帳を書くことが生活の中心の
手帳ライフ研究家ならでは。

一般の人が同じように真似するのは、
ちょっと難しいかもしれません。

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| 時間術 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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海駅図鑑 海の見える無人駅

満足度:★★★
付箋数:21

著者の清水浩史さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

清水さんの本は、毎回、旅の虫を刺激します。

最初は、2012年6月に刊行された
海に癒される。 』でした。

次は、2015年7月に刊行されて話題になった
秘島図鑑』です。

そして、今回が海が見える無人駅をテーマ
にした『海駅図鑑』です。

どの本も「海」絡みであるのは、
学生時代に、早大水中クラブに所属していた、
清水さんらしいところでしょうか。

  「海の見える無人駅は、どこか島に似ている。
  海に面して駅舎やホームがポツンと佇む姿は、
  まるで大海原に浮かぶ孤島のよう。
  海と駅の他には何もない。
  そんな無人駅を訪れると、時間が止まって
  いるかのように感じる。
  島と同じく、ゆるやかな時間が流れている。
  海の見える無人駅―。
  いったい、そこにはどんな景色と暮らしが
  あるのだろう。」

清水さんは、2015年から2016年にかけて、
全国の海駅をめぐる旅を重ねました。

本書は、海駅を紹介するガイドというより、
海と駅を中心とした「旅行記」です。

海駅に行くことが旅のゴールではなく、
そこは旅の出発点でもあります。

  「海駅を旅の目的地とすれば、
  そこが旅の “終着駅” になる。
  しかし本書では、目の前の海から
  見えてくるもの、駅の周辺から
  見えてくるものにも、旅を広げていきたい。
  駅がある。海がある。
  でもそこから目を凝らせば、
  もっと多くのものが見えてくる。
  何もない(ように思える)場所が、
  多くのことを語りかけてくる。
  いうなれば、海駅は “終着点” であり、
  新たな旅の “始発点” にもなる。
  そんな “はじまりの海駅” へと、旅立とう。」

本書では、海駅を次のように定義します。

  ・駅のホームから海が見える
  ・ホームからの眺めが優れている
  ・レトロな雰囲気がある
  ・駅員がない
  ・ひっそりとした趣がある
  ・駅周辺に知られざる場所や物語がある

海駅とは、海の眺めが良くて旅情をそそる
無人駅です。

本書では、日本全国9000の駅の中から、
選りすぐりの海駅30箇所をカラー写真付きで
紹介しています。

清水さんが2年間かけて全国の海駅を巡り、
気づいたのは、海岸線を走る路線は
数あれど、ホームから海がバッチリ見える
駅は意外と少ないということでした。

それだけ、海駅は貴重な存在なのです。

そして、何と言っても海駅がいいのは、
思い立ったら気軽に行けることです。

「秘島」もすごく魅力的でしたが、
きちんと計画を立てないと行けない、
ハードルの高さがありました。

しかし、陸続きの海駅は、
急に予定のなくなった休みの日にでも、
ふらっと行くことができます。

しかも、他の人と予定を合わせていくよりも、
1人で行った方が、海駅の持つ魅力や風情を
より感じることができるように思えます。

清水さんから、本書を読んで海駅を
訪れる読者に1点だけ注意があります。

  「ただ一点だけ拘りたいのは、
  やはり海駅は鉄道を使って訪れたい、
  ということ。
  今回の旅は、すべて鉄道を使って、
  ひとりで海駅を訪ねた。」

この本から何を活かすか?

私の住む北海道で紹介されていた海駅は
次の4駅です。

  ・釧網本線 北浜駅(網走市)
  ・室蘭本線 北舟岡駅(伊達市)
  ・室蘭本線 大岸駅(虻田郡豊浦町)
  ・函館本線 石倉駅(茅部郡森町)

北海道の海駅は、夏に訪れるよりも、
雪景色の見られる冬に訪れる方が、
深い趣があってイイかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 旅行・アウトドア | 05:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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生命科学の静かなる革命

満足度:★★★
付箋数:22

  「生命科学とは本来、医学の下僕ではなく、
  新しい産業にシーズを与えるべく推進される
  ものでもない。社会利益に直結する研究は
  科学の意義を問ううえで重要な一側面では
  あるものの、本質ではないのだ。
  生命科学の本質は、生命とはいかなるものか、
  生命とはいかにして生命たりえているのか、
  そのHOWを解き明かす営みにあるはずだ。」

最近の生命科学の研究者たちは、
目先の実益や目に見える結果を
重視し過ぎる傾向にある。

研究者は失われた矜持を取り戻して、
純粋な探求者として、原点に返って欲しい。

本書は、福岡伸一さんのそんな危機意識に
よって書かれた本です。

福岡さんは京都大学で博士課程終了後、
1988年7月から米国ニューヨーク市にある
ロックフェラー大学の分子細胞生物学研究室
にポスドクとして籍を置きました。

ロックフェラー大学は、生命科学分野の
スター研究者が名を連ねる大学院大学です。

これまで在籍したノーベル賞受賞者は
25人います。

その数こそ、ハーバード大学やコロンビア大学
には及ばないものの、生物学・医学分野へは
計り知れないほどの貢献をしています。

AOB式血液型を発見して1930年に
ノーベル生理学・医学賞を受賞した
カール・ラントシュタイナーさん。

ウィルスの正体が核タンパク質であることを
証明し、1946年にノーベル化学賞を受賞した
ジョン・ノースロップさん。

ロックフェラー大学は、このような現代医学の
基礎となる大発見をした研究者も所属した
生命科学の殿堂とも言える研究施設です。

本書では、その偉大な先人たちの偉業を
振り返りながら、生命科学における研究者
としてのあり方を考え直します。

同大学には現在でも5人のノーベル賞
受賞者が現役で所属しています。

本書では、そのノーベル賞受賞者3名を含む、
5名の研究者との対談も収録。

  第1章 生命科学は何を解明してきたのか?
  第2章 ロックフェラー大学の科学者に訊く
  第3章 ささやかな継承者として

ロックフェラーの偉大な先人の中でも、
福岡さんがとりわけ熱く語るのが、
最初の分子生物学者、免疫化学の創始者
とも言われるオズワルド・エイブリーさんです。

エイブリーさんのDNAが遺伝子の実体である
という発見は、ジェームズ・ワトソンさんと
フランシス・クリックさんのDNAの二重らせん
構造の発見へとつながります。

  「ロックフェラー大学に古くから
  所属している研究者に
  エイブリーのことを語らせると、
  そこには不思議な熱がこもる。
  誰もがエイブリーにノーベル賞が
  与えられなかったことを科学史上最も
  不当だと語り、ワトソンとクリックは
  エイブリーの肩に乗った不遜な子どもたち
  にすぎないという意見も少なくない。
  皆がエイブリーを自分に引き寄せて、
  自分だけのヒーローにしたがる。」

福岡さんにとっても、エイブリーさんは、
時代は違えど同じ場所で研究したことを
誇りに思うほどのヒーローなのです。

本書を読むと、理系・文系を問わず、
生命科学が非常にキラキラとしたものに
感じられることでしょう。

本書には、ベストセラーになった
生物と無生物のあいだ』を執筆した後に
判明した新発見についても語られていますが、
同書の続編という位置づけではありません。

この本から何を活かすか?

福岡さんが5名の研究者との対談を通じて
知りたかったことが2つあります。

1つは、「生命とは何か」という問いの答え。

もう1つは、論文や教科書には書かれていない
研究者たちの原体験やパーソナリティーに
関すること。

この2点を意識して、本書の対談を読むと、
福岡さんと同じ気持ちで、5名の研究者の
話を聞くことができそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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自分を劇的に成長させる! PDCAノート

満足度:★★★
付箋数:20

  「PDCAが重要だというのは、誰もがわかって
  いることでしょう。しかし、ここで問題が
  あります。それは、多くの人がPDCAを
  知っているにもかかわらず、PDCAを回せて
  いないことです。PDCAを回さないのではなく、
  回せないのです。
   “PDCAは重要だ”  “PDCAを回そう” と思って
  いても、ほとんど9割の人が回せていないと
  感じています。」

PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)
→Check(評価)→Action(改善)という
サイクルを回すビジネスのフレームワーク。

もともとは製造業で品質管理や生産性向上を
目的にエドワード・デミングさんらによって
考案されたものです。

現在では、製造業に限らず、ビジネスの
あらゆるシーンで「PDCAを回せ」と
言われるようになりました。

実際にこのサイクルをしっかり回すことが
できれば、あらゆる問題を解決・改善する
ことができる強力なツールです。

しかし、本書の著者、岡村拓朗さんは、
ほとんどのビジネスパーソンは、
PDCAが回せていないと指摘します。

なぜ、ほとんどの人はPDCAを回せないのか?

その理由は単純で、「PDCAの回し方」を
知らないからです。

確かに、社会人になってPDCA自体は
教えられていても、その回し方は
あまり教えられていないように思えます。

岡村さんは、PDCAを回すためには、
次の3つの「ルール」が必要と言います。

  ルール1 見える化
   PDCAは視覚化できれば回る

  ルール2 仕組み化
   PDCAは仕組みで回る

  ルール3 習慣化
   PDCAを回すことを習慣化する

この3つのルールを押さえているのが、
本書で紹介される「PDCAノート術」です。

毎日5分、PDCAノートを書くだけで、
自分自身のPDCAも、仕事のプロジェクトの
PDCAも、夢を実現するためのPDCAも、
回せるようになるようです。

用意するものは、A4サイズ以上のノートと
ペンだけです。

ノートは方眼ノートがオススメ。

PDCAノートのフレームは次のように書きます。

 1. ノートを横向きに置く
 2. 上から3~5cmのところに水平線を引く
 3. 水平線の下部分を垂直直線で4分割する
 4. 水平線の上に日付とタイトルをつける
  目標やテーマでもOK
 5. 4分割した枠の上部に「P」「D」「C」「A」
  を書き入れる
 6. 左端のPのフレームに時間軸を縦に記入

このフレームを作ったら、手帳からP欄に
予定を書き入れます。

手帳に書かれていなくても、思いついた
行動があれば、追加で記入します。

次に、その日に実行したことや実績が出たら
D欄に記入します。

そして、C欄には事実を踏まえて、
自分視点で気づきを書きます。

最後に、気づきから、次に計画するための
「よりよくする行動」を書き出します。

PDCAノートには、デイリー用、目標達成用、
プロジェクト用などの、いくつかの種類が
ありますが、基本的な書き方は同じです。

ポイントとなるのは、このPDCAノートを
書くことを習慣化できるかどうかでしょう。

  「PDCAノートが書けなくなる人は、
  計画通りに事が進まなかったことを “失敗” 
  と捉えているのです。逆に、PDCAノートを
  書き続けられる人は、計画通りに
  進まなかったことを “気づきと改善が
  生まれるチャンス” として捉えています。
  PDCAを回している限り、本来的な意味での
  失敗ではなく、すべて成長するための
   “チャンス” なのです。」

この本から何を活かすか?

  PDCAの前に「G」をつけよ

PDCAを回していくためには、何よりも先に、
「ゴール」の設定が必要です。

何のためにPDCAを回すのかという、
具体的なゴールが明確になっていなければ、
方向性を見失ってしまうからです。

本書では、このゴールをつけたフレームを
「G-PDCA」と表現しています。

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| 目標達成本 | 06:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

満足度:★★★★
付箋数:25

ライフネット生命会長の出口治明さんは、
価値観の押しつけることが大嫌いなため、
基本的に「この本を読みなさい」と
人に勧めることはありません。

しかし、同社社長の岩瀬大輔さんには、
唯一「これを読め」と勧めた本があります。

それが本書で紹介される『貞観政要』。

『貞観政要』は、唐の時代に編纂された
第2代皇帝、太宗・李世民さんの言行録です。

ちなみに、太宗とは、創業者に次ぐ功績が
あった皇帝に与えられる廟号。

貞観とは、当時の年号のことで、中国史上、
もっとも国内が治まった時代のひとつと
言われます。

政要とは、読んで字のごとく、政治の要諦
という意味です。

『貞観政要』は、太宗と臣下の政治上の
議論や問答が、全10巻40編の中に
まとめられたもの。

  「『貞観政要』に書かれた治世(マネジメント)
  の方法論は、普遍的です。わが国でも、
  鎌倉時代には北条政子が、江戸時代には
  徳川家康が、そして明治時代には明治天皇が
  愛読したといわれていることからもわかる
  ように、『貞観政要』の中には、時代を
  超えても変わらいリーダーシップのすべてが
  語られているのです。
  本書では『貞観政要』全10巻40編の中から、
  マネジメントの原理原則が語られている
  部分を厳選、抜粋しました。」

李世民さんは、西暦627年に父の譲位を受けて、
唐の第2代皇帝として即位します。

唐の創業は父である高祖・李淵さんでしたが、
挙兵を勧めたのも、軍隊を率いて隋を滅ぼし、
中国全土を統一したのも李世民さんでした。

そこから唐は約300年にわたり中国を支配し、
中央アジアの草原地帯をも支配する
大帝国になりました。

唐は、日本にも政治・文化面で、
多大な影響を与えました。

日本から最初に遣唐使が送られたのも、
李世民さんの時代です。

李世民さんの治世は、「貞観の治」と呼ばれ、
君主政治の理想「盛世」と称えられます。

盛世と呼ばれる時代は、長い中国の歴史の
中でも、わずか4回しかないそうです。

李世民さんは、中国史上有数の名君の名君
として、今も語り継がれているのです。

  「『貞観政要』は、ビジネスにおける最良の
  ケーススタディです。この本を読めば、
  人間と人間がつくる社会はどのようなものか、
  皇帝(リーダー)と臣下(部下、フォロアー)
  の関係はどうあるべきか、理想のリーダーに
  なるためには何をなすべきかを予行演習
  することができます。」

出口さんが、『貞観政要』を読み解いて、
組織のマネジメントを考える上で、大切な
ポイントとして挙げたのが次の5つです。

  1. 組織はリーダーの器以上のことは
   何一つできない。

  2. リーダーは、自分にとって都合の悪い
   ことを言ってくれる部下をそばに置くべき。

  3. 部下は、茶坊主になってはいけない。
   上司におもねってはならない。

  4. リーダーが舟で、部下が水。
   舟は水次第で、安定もすれば転覆もする。

  5. リーダーは常に勉強し続けなければいけない。

並外れた読書家でもある出口さんが、
帝王学の教科書・リーダー論の集大成として、
座右の書としている『貞観政要』。

本来は原典である『貞観政要 新釈漢文大系』を
読むべきなのかもしれません。

しかし、それはかなりハードルが高いので、
現代のビジネスシーンに照らし合わせて
わかりやすく解説された本書で学ぶことが
オススメです。

この本から何を活かすか?

  リーダーが持つべき「3つの鏡」

『貞観政要』の中には、正しい意思決定を
するために、次の「三鏡」を持つべき
という教えがあります。

三鏡とは、銅・歴史・人の3つの鏡です。

  銅の鏡で、自分を映し、部下が自然に
  ついてくる「いい表情」をしているかを
  チェックする。

  歴史の鏡で、過去に照らして将来に備える。

  人の鏡で、厳しい直言や諫言をしてくれる
  部下を大切にする。

出口さんのマネジメントでも、常に、
この「三鏡」が意識されているようです。

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| リーダーシップ | 06:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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頭のよさはノートで決まる 超速脳内整理術

満足度:★★★
付箋数:23

齋藤孝さんが東大法学部の学生だったころ、
同級生からノートを借りる機会が多かった
ようです。

「東大生のノートは美しい」と言われますが、
デキる同級生のノートには、美しいだけでなく、
ある共通した特徴があったそうです。

それは、ノートが「構造化」されていること。

本書で齋藤さんが説明するのは、
備忘録のためのノート術ではなく、
思考するためのノート術です。

  「大人こそ、ノートをとるべきだ。
  私は声を大にして、そう主張したい。
  (中略)ノートをとる技術は、
  ビジネスパーソンになっても活かせる。
  いや、ビジネスパーソンになってからこそ、
  本当のパワーを発揮する。(中略)
  ノートは単に情報をメモするための
  ものではない。
  頭をよくし、心を強くするためのものだ。
  利益を生み出す仕事をするのにも、
  生産性を高めるのにも役に立つ。」

齋藤さんは、ノート術には3つのレベルが
あると言います。

第1段階は、「中高生レベル」で、
先生が板書したことをそのまま写すだけの
ノートです。

第2段階は、「東大生レベル」で、
板書+ポイントをしぼった先生の言葉を
メモしているノートで、ひと目で内容が
わかるように構造化されているのが特徴です。

第3段階は、ワザ化された「上級者レベル」で、
本書が目指すのはこのレベルです。

この段階は、受け身でノートをとるのではなく、
主体的かつ攻撃的にノートを書きます。

ポイントが3つにまとめられ、
客観情報と主観情報が図などによって
整理されていています。

思考が整理され、アイディアが生まれる
だけでなく、心もスッキリするノート術です。

  「大人になってからノートをとらなくなった、
  という人は、まずはノートをよる習慣を
  身につけてほしい。
  それだけでも、知的生産性が格段に上がる。
  さらに “ノートをとる技術” を磨いていけば、
   “これほど便利なツールはない” 
   “ノートなしではいられない” と
  実感するだろう。」

本書で紹介される「齋藤式ノート術」の
10のメソッドは次の通りです。

  1. いつもノートをカバンに入れておく
  2. 自分にフィットするノートを見つける
  3. ノートに名前をつける
  4. ページにタイトルをつける
  5. 三色ボールペンを使う
  6. 図を描く
  7. ポイントを3つにまとめる
  8. 日付を入れる
  9. ノートは1冊にする
  10. 本をノート化する

メソッド3に「ノートに名前をつける」
というのがあるので、複数のノートを使う
ように思われますが、使うノートの数は
メソッド9にあるように「1冊」のみです。

「段取りノート」とか「ワザを盗むノート」
のように名前をつけるのは、「課題」を
意識するため。

もちろん、ノートの名前から逸脱している
ことでも、どんどん書いて問題ありません。

私が見ている限りでは、すぐに結論が
出せない人や、考えが浅い人は、
紙やノートに書いて考える習慣が
ないように思えます。

本書は、そういった習慣がない人には
参考になる本だと思います。

ちなみに本書は、2010年4月に刊行された
『大事なことは3つにまとめなさい!』を
改題して、再刊行したものです。

すでに旧版を読んでいる方は、
中身は変わっていないのでご注意ください。

この本から何を活かすか?

メソッド10の「本をノート化する」方法

三色ボールペンを使って、重要なところは赤、
まぁ重要なところは青、面白いと思うところは
緑で線を引きます。

特にひっかかる部分には、矢印を引っ張って、
余白部分に自分のコメントを書き込みます。

この本に直接書き込む方法は、時間は節約
されるものの、読んだ本を保管しておく
「スペースが必要」というデメリットも
あります。

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| ノウハウ本 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2040年全ビジネスモデル消滅

満足度:★★★
付箋数:18

   「本書では、マクドナルドが日本にやってきた
  1971年を起点として、その後の時代を四半世紀
  (25年)ごとに区切り、1996年を日本社会の
  変化の節目ととらえ、83年に日本にやってきた
  ディズニーランドの隆盛とマクドナルドの
  業績低迷を、日本社会における “価値軸の変化” 
  に照らし合わせて検証するものです。
  私は長らく不動産関係の仕事をしてますが、
  実はマクドナルドの低迷とディズニーランドの
  隆盛は不動産に対する人々の価値観の変化にも
  密接に結びついていることがわかってきました。」

本書の著者、牧野知弘さんは、ボストン・
コンサルティング・グループを経て、
三井不動産に勤務していた不動産の専門家。

現在は独立して、ホテルや不動産の開発や
運用をする傍ら、事業顧問や講演活動なども
行っている方です。

著書では、2015年8月に刊行した
2020年マンション大崩壊』が大きな話題を
呼びました。

本書では、不動産に対する価値観の変化から、
マクドナルドやディズニーランドに代表される
ビジネスモデルが時代の変化に対して、
今後どうなっていくかを占います。

マクドナルドは、「量的充足」を目指すことで、
成功したビジネスモデルでした。

日本の高度成長期においては、1億総中流と
均質社会の象徴として発展しました。

また、バブル崩壊後も、デフレをも販売戦略に
積極的に取り込み、隆盛を極めました。

しかし、この成功は一時的なものでした。

日本の生産人口が下り坂になると、
マクドナルドのビジネスモデルは、
急速にコモディティ化して価値が崩壊します。

一方、ディズニーランドは「質的充足」を
目指した時代の先駆者でした。

1983年に日本に上陸したディズニーランドは、
バーチャルな夢の世界を作りあげ、
他では手に入らない、特別なサービスを
提供することで、現在のビジネスシーンを
牽引しています。

ディズニーランドは、客に媚びない価値を
創造し続けることで、デフレ下においても
3年連続で値上げを行いました。

しかし、現在、死角がないように見える
ディズニーランドのビジネスモデルも
やがて限界がやってきます。

  「ディズニーランドで、みんなが酔いしれた
  甘い夢にも “終わり” の時代がやってきます。
  2040年以降の日本に関する、
  いろいろな予測をみる限り、日本は人口も、
  年齢構成も、そして何よりも社会の
  激しい二極化が生じることが避けれれない
  時代に突入していきます。
  バーチャルな世界が織りなす価値観が
  現実世界では何ら富を生み出すものでは
  ないことに多くの人が気づきはじめるのです。」

牧野さんが、ディズニーランドに限界が
やってくると予測するのは、1%の超富裕層と
99%の貧困層で構成される超格差社会では、
「質的充足」のビジネスモデルですら、
存続不能だと考えるからです。

  第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」
     社会の実現
  第2章 ディズニーランドがこだわる
     「質的充足」ビジネスの展開
  第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか
  第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で
     値上げできるのか
  第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る
     今後の価値下落
  第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる
     価値創造
  第7章 ディズニーの夢から醒めたとき

牧野さんが語る、過去の不動産市場の変化や
今後の展望はさすがと思える洞察があります。

しかし、その不動産市場から得られた示唆と
マクドナルドやディズニーランドの
ビジネスモデルの関連は、少し弱いように
感じました。

また、マクドナルドとディズニーランドは、
代表的なビジネスモデルではありますが、
これをもって「全ビジネスモデル消滅」
と言うのは、ちょっと乱暴な気がします。

この本から何を活かすか?

  「一方的に富を手にする、1パーセントの
  人たちがディズニーランド型ビジネスモデル
  においてやろうとしていることは、
  99パーセントの一般庶民に、相変わらず
  ディズニーランドの手法で魔法をかけ続けて、
  何の得にもならない “夢” を追い求めさせ
  続けることにあるからです。」

ずっと魔法にかかったままでいたい、
ディズニーフリークの人は、
本書を読まない方がいいかもしれません。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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夢の叶え方を知っていますか?

満足度:★★★
付箋数:25

  「自分の庭に小さな鉄道を建設することが
  小学生の頃から夢だった」

作家の森博嗣さんはもともと国立大学の
工学部助教授でしたが、38歳のときに
小説『すべてがFになる』でデビューし、
いきなり作家として成功します。

作家になってから印税は年々倍増して、
デビューしてから5年後には年収が1億円を
突破したといいます。

  「1億数千万円の家付きの土地へ引っ越し、
  そこで庭園鉄道の建設を始めることができた。
  これが小説を書き始めて四年後、2000年の
  ことだ。このときの土地は、三百坪ほどだった。
  そこに総延長百メートルほどの路線を敷き、
  機関車を走らせて遊んだ。
  この機関車というのは実物の六分の一の
  大きさで、後ろの貨車に自分が乗って運転する。
  大人を数人乗せて牽引することができるものだ。
  子どものときに思い描いていた夢そのもの
  だった。夢が叶った、と実感できて、
  とても嬉しかった。」

森さんは、40代で自分の夢を実現しました。

大学は2006年に辞め、2008年には小説家も
引退宣言をして、現在の仕事量は1日1時間
以内の執筆と決めて、趣味に影響しない程度に
細々とやっているようです。

庭園鉄道は、何度か広い土地へ引っ越し、
現在は三千坪の土地に、総延長五百メートル
の路線を敷いています。

本書は、そんな森さんが夢について考え、
実現するための方法論について語った本です。

  「夢を実現したい、と思ったときに、
  まず考えなくてはならないことは、
  それは本当に自分の夢か、ということ。
  その次には、そこへ向かう道を、
  自分で見つけること。まずは、この二つが、
  夢を手に入れる最低限必要なことといえる。」

森さんは、夢には2種類あると言います。

1つは、「自分が見たい夢」、
そして、もう1つは、「他人に見せたい夢」。

結婚や就職が夢だったとしても、
それが人からどう見られるかを意識した
「他人に見せたい夢」であることが
多いようです。

他人から認められることに重点を置くと、
見せたい相手が自分のことをまったく
気にもかけないこともあります。

そうすると、次第に夢は歪になっていく。

そもそも人から羨ましがられる状況
そのものが幻想です。

もし、あなたの夢が「他人に見せたい夢」
なら、その願いは永遠に実現しないでしょう。

だからこそ、森さんは「それは本当に
あなたの夢なのか?」を最初に問うのです。

では、あなたの夢が「自分が見たい夢」
だった場合は、どうすればそれを
実現することができるのか?

夢を実現するには、自分で考えて、
工夫しなければなりません。

誰かに言われた方法をそのままやると、
上手くいかないときに疑心暗鬼に陥ります。

他者に責任転嫁できるのです。

これが自分で考えた方法なら、
自分以外の誰にも責任を問えません。

自分で考えた方法が、上手くいきそうに
なければ、早い段階で修正することも
可能です。

自分で工夫した方法だからこそ、
発見があり、驚きがあり、そして楽しみが
あるのです。

  「是非、他者の目を排除して、
  つまり自分をリセットして、ピュアな夢を
  再認識してもらいたい。まずは、誰にも
  報告せず、自分一人の秘密にしても、
  それを成し遂げられるか、と考えてみよう。
  それはできないと感じたら、まだ不充分
  だということ。自分一人で内緒にしてでも
  やりたい、と思うものが本物だ。」

若干回りくどい言い回しもありますが、
本書は、夢の実現に向けて、
興味深い考察を行っている本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「大きな成功への最大の障害は、
  小さな成功である」

これは森さんが、周囲の人たちを
40年ほど観察して得た教訓です。

特に最近のネット社会になってからは、
たまたま小さな成功したことが、そこそこの
反響を得やすくなっています。

そうすると本来はもっと大きな成功に
向かっていたはずの人が、そこで満足して
しまい、結果的に大きな夢への歩みが
止まってしまうことがあるようです。

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| 目標達成本 | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本につけるクスリ

満足度:★★★
付箋数:24

  「今回、一人の勇猛果敢な若者が私のもとを
  訪ねてくれた。彼の名は、安部敏樹。
  1987年生まれ、29歳の社会起業家だ。
  じつは、この “はじめに” の文章は対談が
  すべて終わってから書いているのだが、
  彼との対談はとても刺激的だった。
  団塊の世代同士とも、経済学者同士とも、
  政治家経験者同士ともまったく違う、
  エキサイティングな時間。
  いい議論をするのに年齢や立場は関係ない、
  とあらためて実感した対談でもあった。
  安部さんをご存じの方はまだ少ないかも
  しれない。だが、みなさんが10年後に
   “あいつが20代のころから知っていた” と
  友達に自慢できるような活躍をしている
  ことは間違いないだろうと思う。」

本書は竹中平蔵さんと安部敏樹さんの対談本。

竹中さんについては、ご存じの方も多い
はずですが、対談相手の安部さんについては、
知らない方も多いことでしょう。

私も本書で初めて安部さんの存在を知りました。

安部さんは、東京大学在学中に、社会問題の
現場を学ぶ旅行「スタディツアー」などを
提供する「リディラバ」を立ち上げた方。

その経験から、24歳のときに史上最年少で
東京大学教養学部にて授業を担当しました。

そもそも、なぜ安部さんが若いうちから
社会問題に興味を持ったかというと、
安部さん自身が社会問題だったからです。

中学のときには、母親をバットで殴って、
家を追い出され路上生活していた時期が
あったそうです。

高校に入っても、毎日コンビニの前で
タバコを吸ったりケンカをしていました。

高校3年のときにクラスメイトが立ち上げた
「ドラゴン桜プロジェクト」で猛勉強して、
奇跡的に東京大学に合格。

東大に入学してからは、普通の学生生活が
あまりに退屈だったため、マグロ漁師として、
毎年オーストラリアやギリシャへ行っていた
という変わり種です。

竹中さんと安部さんは、65歳と29歳という
親子ほどの年齢差があります。

また、高度成長もバブルも経験した
「逃げ切り世代」と、そのツケを払わされる
若い世代という立場の違いもあります。

本書は、そんな世代間のギャップを超えて、
「日本を変える具体的な方法」について
議論した本です。

安部さんは、社会問題が解決されない
一番の理由は「社会問題の現場と、
その問題に関わりがない人との距離が
縮まらないこと」と考えています。

この距離を縮めるためには、当事者でない人に
いかに振り向いてもらえるかがポイント。

そのためには越えなければならない
「3つの壁」があると指摘します。

 1. 関心の壁  関心を持つきっかけがない
 2. 情報の壁  関心を持っても情報が手に入らない
 3. 関与の壁  情報を手にしても実際に
       どう関わっていいかわからない

本書では、この3つの壁を越えて、
社会問題に無関心でいられなくなるような
熱い対談が繰り広げられています。

お二人が大事にしているのは、「そもそも論」を
理解したうえで、事実に基づいて議論すること。

「そもそも、税金とは?」を知らずして、
「消費税を増税すべきかどうか」について
議論しても表面的な話しかできません。

税金、格差、政治、地方自治、メディア、教育

本書では、この6つのテーマについて、
何が問題なのかを詳らかにして、
日本を変えるための処方箋を提示します。

お二人の意見は、大筋では一致しているものの、
細かい部分では違いがある点が、対談としては
読み応えを感じるところです。

この本から何を活かすか?

  「最後に、安部さんは非常に独特の
  キャラクターの方で、言いたいことが溢れて
  時折タメ口になることがあった。
  読者のみなさんは目くじらを立てず、
  寛容な心で読み進めていただければと思う。」

数々のバッシングを受けてきた竹中さん
ならではの、安部さんに対する配慮です。

しかし、本当に安部さんのことを思うなら、
文字になる前に指摘してあげた方が
本人のためには、良かったように思えます。

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アリさんとキリギリス ―持たない・非計画・従わない時代

満足度:★★★
付箋数:25

  「本書で描写するのは思考やそのベースとなる
  価値観の対立構造です。人類の歴史において
  数えきれないほど描写されてきた
   “新” と “旧” 、 “保守” と “革新” 、
   “自由” と “規律” 、 “新参者” と
   “エスタブリッシュメント” という対立構造の
  根底に潜む価値観とその要因を、
   “アリとキリギリス” にたとえることで
  探ります。」

イソップの寓話「アリとキリギリス」では、
働き者のアリはその美徳が賞賛され、
怠け者のキリギリスはすっかり
悪者扱いされてきました。

イソップの寓話が書かれたのは紀元前6世紀。

それから2500年以上にわたってキリギリスは、
汚名を被り続けてきました。

しかし、21世紀の現代になると、キリギリスが
汚名を返上できるような世の中に変化して
きています。

  「本書の目的は、 “ついにやってきた”
  キリギリスが活躍できる時代において、
  キリギリスたちの価値観を見直し、
  現代における彼らの市民権を取り戻し、
  来るべき時代の生き方や価値観について
  考え直してみることです。
  ただしそれは、アリの価値観を否定する
  ものではありません。
  アリにもキリギリスにも活躍できる場があり、
  両者の特質を理解すれば、共存共栄が
  図れるのです。」

本書の著者は『地頭力を鍛える』で知られる
ビジネスコンサルタントの細谷功さんです。

本書は、2014年11月刊行の『具体と抽象』、
2016年2月刊行の『「無理」の構造』に続く
シリーズ第3弾。

寓話には擬人化されたキャラクターが
登場して、私たちに教訓を与えてくれます。

しかし、時代が変わり新しい価値観が
生まれたことで、寓話の解釈も変わって
きています。

最近では価値観が見直された例として、
「ウサギとカメ」や「三匹の子ぶた」などが
知られているところです。

そんな中で三谷さんが、「アリとキリギリス」を
題材として選んだのには理由があります。

それは、アリとキリギリスの間には、
他の寓話にはない3つの二項対立の
構図があるからです。

1つ目は、「貯める」アリと「使う」キリギリス。

この違いは「ストック重視」と「フロー重視」と
言い換えることもできます。

貯めたり使ったりするものは、食料やお金に
とどまらず、知識や考え方にまで
広げることができます。

2つ目は、「巣がある」アリと「巣がない」
キリギリス。

アリは「巣の中」のことを優先して考え、
自分の身内とその外という線引を明確に
行っています。

これに対してキリギリスは物事を
2つに分けて明確に線引するという
発想がありません。

これは「閉じた系」と「開いた系」の発想の
違いです。

3つ目は、「二次元」のアリと「三次元」の
キリギリス。

アリの移動手段は主に「歩くこと」ですが、
キリギリスはこれに加え「跳ぶ」ことが
できます。

この違いは行動の自由度の違いで、
考え方や行動パターンに大きな影響を
与えます。

制約を基に考える「固定次元」のアリと、
自由を最優先で考える「可変次元」の
キリギリスと言い換えることができます。

価値観が多様となっている現代では、
私たちがこれまで常識と考えてきたことも、
一度棚卸しをして、本当にそれが正しいか
見直しをした方がいいのかもしれません。

この本から何を活かすか?

具体を好むアリ、抽象を好むキリギリス

アリは具体的な指示や説明を求め、
指示が抽象的だとストレスを抱えます。

これに対して、キリギリスは指示が
あまりにも具体的だとやる気をなくします。

キリギリスは、大きな方向性だけがあれば、
それでいいのです。

「頭がいい」とは、一般的に「抽象度を
上げて考えることができる」とも言えるので、
その意味ではアリよりキリギリスの方が
頭がいいことになりますね。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本人の9割が間違える英語表現100

満足度:★★★
付箋数:21

  「日本に来てから、長い年月が経過しました。
  この間、インターネットの普及などにより、
  日本語のなかに多くのカタカナ英語が入り込み、
  英語に親しみをもつ日本人が増えたようです。
  しかしながら、いまでも変わらないものが
  あります。それは “日本人の英語” です。
  日本人の話す英語のなかに、
  脈々と受け継がれている勘違いが数多く
  存在するのです。」

著者のキャサリン・A. クラフトさんは、
アメリカ・ミシガン州生まれで、オハイオ州で
育った英語のネイティブスピーカー。

1985年に、南山大学交換留学生として来日し、
現在は、オンラインマガジン「ET PEOPLE!」
を発行する傍ら、通訳、翻訳者、英語科講師
として活躍しています。

クラフトさんは、英語を間違えること自体が
悪いと言っているわけではありません。

日本人が英語を習得していく過程で、
数多くの間違えることは、必要な通過点
だからです。

しかし、日本人がよく使う英語の中には、
コミュニケーションに支障をきたすような
勘違いが含まれていると言います。

それは、意図したこととは別の意味で
ネイティブに伝わってしまう英語です。

完全に伝わらないならまだしも、
別の意味で伝わってしまうから、
余計に厄介なのです。

  「本書は、日本人の9割が勘違いしている
  と思われる英語を遡上にのせ、それを
  ネイティブがどのように感じるかを
  論じたものです。また、意味や解釈の
  ズレを指摘して、意図したことがちゃんと
  伝わるように、ネイティブ流の英語に
  修正して提示してあります。」

本書で指摘されている英語の誤用は、
英語を勉強した方なら、さすがに「9割」も
勘違いしていることはないと思います。

しかし、カタカナ英語として日常的に
使われるため、ネイティブにも通じると、
勝手に思い込んでいる表現が多いのです。

代表的な例は「ドンマイ」。

  「日本へやってきたころ “ドンマイ” なる
  言葉をあちこちで聞いて、何度も首を
  かしげたものです。 “気にするな” という
  意味だということはやがてわかったのですが、
  どうしてこの奇妙な英語が日本中に浸透して
  しまったのでしょう。」

そもそも、「Don't mind.」という表現が
英語にはありません。

実際に英語にある表現は「Never mind.」や
「Don't mind me.」です。

しかし、「Never mind=大したことじゃない
から気にとめないで」で、「Don't mind me
=「私のことは気にしないでください」
というニュアンスなので、これも間違いです。

ちなみに「Never mind.」は次のような
シーンで使います。

 A : What did you say?(いま何て言った?)
 B : Never mind.(なんでもない)

日本で「ドンマイ」を使う場面とは
明らかに違うのです。

正しく、ネイティブにも伝わる表現は、
「Don't worry about it.」です。

これ自体は、かなりの日本人が知っている
表現ですが、「ドンマイ」があまりにも
浸透しずぎて、正しい表現を習っていても、
とっさに出てこないのでしょう。

本書は昔からよくある種類の本ですが、
スッキリとまとめられているので、
一度自分の英語をチェックしてみるには
丁度いい本だと思います。

この本から何を活かすか?

本書の編訳者、里中哲彦さんがオススメする
英語学習法は「海外ドラマを観る」こと。

日本では、アメリカ産のTVドラマを数多く
観られるので、これを英語学習教材として
利用しない手はないと推奨しています。

観るときは、漫然と観るのではなく、
リスニングの勉強に役立てようという
気持ちで、臨むことがポイントのようです。

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| 勉強法 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論

満足度:★★★
付箋数:20

日本のGDPは2010年に中国に抜かれて、
世界第2位から3位へと順位を下げました。

このときに、少し悔しい思いをしながらも、
「中国はあれだけ人口が多い国だから、
抜かれてもしょうがない」と思った方も
多いでしょう。

GDPは経済の「絶対量」を表す数字で、
GDP=人口×生産性という式に分解できます。

もし、同じ生産性の2つの国、
A国とB国があったとします。

A国の人口がB国の2倍だとすると、
GDPもそのままA国はB国の2倍になります。

発展途上国まで入れると、多少相関は
崩れるものの、先進国の中ではGDPと人口には
ハッキリとした相関があります。

ですから、人口の多い中国のGDPが上位に
ランクされるのは当然の結果なのです。

実は、日本も人口による恩恵を受けてきたと、
本書の著者、デービッド・アトキンソンさんは
指摘します。

日本の世界第3位のGDPも人口で割って、
1人当たりに換算すると、「世界第27位」まで
低下します。

この原因は、日本の「生産性」が低いからです。

  「生産性の問題は、国にとってきわめて
  深刻な問題のひとつです。日本は1990年、
  世界第10位の生産性を誇っていましたが、
  今では先進国最下位です。労働者ベースで
  見ても、スペインやイタリアより低く、
  全人口ベースでは世界第27位です。
  1990年には韓国の2.4倍も高かった生産性が、
  今では1.04倍まで低下しています。
  このまま何も手を打たなければ、
  あと2~3年で韓国に抜かれて、アジア
  第4位の生活水準にまで低下するでしょう。」

日本の生産性の低さは、多くの方が指摘して
いることですが、アトキンソンさんは、
本書で、その原因を2つ挙げています。

1つは、日本は世界ランキングに酔いしれて、
実態を見てこなかったこと。

もう1つは、人口減少問題。

個人的には、アトキンソンさんの挙げた
2つ目の原因には違和感を覚えました。

GDPを人口×生産性に分解している中で、
生産性の低さの原因を人口減少にもってくると、
独立変数でなくなるからです。

そして、それ以降の論理展開も、
あまり納得できるものではありませんでした。

  「生産性を上げるのは、労働者ではなく
  経営者の責任です。世界一有能な労働者から
  先進国最低の生産性しか発揮させていない
  という日本の経営の現状は、いかに現行の
  日本型資本主義が破綻しているかを
  意味しています。この経営者の意識改革は、
  喫緊の課題です。」

生産性が低い「犯人」を経営者としていますが、
その解決策として提示しているのが、
「株価を上げさせること」でした。

  「公的年金などを通じて、経営者に対して
   “継続的に時価総額を増やせ” と迫ることが
  必要でしょう。(中略)

  株価を上げさせることで、アメリカだけでなく
  諸外国は日本よりも顕著に実績を上げました。
  同様なことを、日本でも実行してみるしか
  ないと思います。」

株価を上げることが、企業にとって
重要であることは間違いありません。

しかし、生産性が上がる結果として、
株価は上がるものの、株価を上げることで、
生産性が上がるようには思えませんでした。

本書でアトキンソンさんが指摘している
ことには、鋭いなと思うことがいくつも
ありましたが、解決策に至るまでの
論理展開には、ズレや飛躍があるように
感じました。

この本から何を活かすか?

夏季オリンピックで日本人がメダルを
獲得した数は439個で、第11位です。

しかし、これも人口で割って、1人当たりの
メダル獲得ランキングに直すと、
順位がガクンと下がり、第50位になります。

アトキンソンさんは、オリンピックについても、
絶対数に惑わされずに、人口比で考え、
もっと挑戦的な獲得目標を立てるべきと
主張しています。

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| 経済・行動経済学 | 06:27 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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成績アップと合格をかなえるコツとわざ もう悩まない中学受験

満足度:★★★
付箋数:21

著者の小川大介さんより、献本いただきました。
ありがとうございます。

・テレビもゲームも我慢して勉強しているのに、
 なかなか成績が上がらない。

・毎日夜遅くまで、塾から出される宿題を
 こなしているのに、成果が出ない。

・受験の本やネットの合格体験記を読んで、
 真似していても、不安でしょうがない。

・親も子どもと一緒に、色々なことを我慢して
 打ち込んでいるのに、あまり上手くいかない。

中学受験をするご家庭では、悩みは尽きません。

ほとんどのご家庭では、塾に通っていると
思いますが、成果が出ずに焦りを感じている
親御さんも多いことでしょう。

お子さんの成績が思ったように上がらないのは、
努力が足りないからなのでしょうか?

通っている塾の指導にすべて従っていれば、
そのうち成果は出てくるのでしょうか?

中学受験の指導を始めて25年。

個別指導教室SS-1の代表として、灘、筑駒、
開成、桜蔭、麻布などの難関中学に、
これまで8000人以上を合格させてきた
小川大介さんは、次のように指摘します。

  「与えられたものをこなすだけの勉強では、
  結果が出ないのはむしろ当然。
  お子さんは悪くない。」

なぜなら、中学受験の入試問題は、
年々難しくなっているから。

最難関のいくつかの中学校では、毎年、
誰も見たことがないような問題が出題されます。

その翌年以降には、その問題を見た
他の難関校が、形や条件を変えて出題します。

更に数年遅れて、その問題パターンが、
もっと偏差値の低い学校でも採用されます。

塾でも、この時点で標準的な問題として扱われ、
テキストにも掲載されるようになります。

こうして塾のテキストに掲載される問題が増え、
覚えのが不可能な量までに膨れ上がります。

実は、塾のテキストに掲載される頃には
出題傾向も変わり、それを一生懸命解いても
成果が出ないようになっているのです。

そして、小川さんは本書で中学受験における
大切な真実を伝えています。

  「中学受験で成績が上がらないのは、
  お子さんの能力のせいではないのだということ。
  そして親のせいでもないということ。
  誰のせいではなく、中学受験の仕組みを
  誰も教えてくれなかったことが問題なのです。
  何をどうすればいいのか分からないまま、
  手探りで恐るおそる暗闇を歩くような立場に
  追いやられているから、不安にもなるし、
  感情的にもなってしまうのです。」

では、中学受験には、どう挑めばいいのか?

小川さんが、本書で、最も重要なポイントと
して述べているのが、「戦略」を持つことです。

「戦略」は、ビジネスでよく聞く用語です。

目標があって、それをどのように達成するかが
問われているので、中学受験もビジネスも
考え方は一緒なのです。

塾から言われたことを、そのままやるだけでは、
塾に振り回されてしまいます。

そうならないためにも、「戦略」が必要なのです。

 ・戦略がない
  =今まで通り、周りと一緒に、言われたことを
   必死にやり続けていく。

 ・戦略がある
  =今までのやり方を変えることを恐れず、
   目標がなにで、どうやれば、一番成功
   しやすいのかを考えて、行動する。

戦略と聞くと、何か難しい話のように
感じるかもしれませんが、そんなことは
ありません。

本書では、精神論ではなく、中学受験のために
家庭でできることを具体的に解説します。

現在、中学受験で塾に通っている方も、
これから通うことを検討している方も、
本書で塾との上手な付き合い方が
良くわかると思います。

 Chapter1 少子化なのにますます難しくなる
     受験事情

 Chapter2 合格力を高める父母の思考と行動

 Chapter3 悩みと不安を解消。
     子どもの将来が見えてきた!

この本から何を活かすか?

本書では、国語の勉強方法として、
次のような解説がありました。

  国語の物語文で、登場人物の感情を
  読み取る問題は、感受性で解いてはダメ。

  感情も知識だと割り切り、パターン化して、
  暗記することが得点をとる鍵。

私が以前、娘の勉強を見ていた時に、
同じように教えていたことを思い出しました。

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| 勉強法 | 06:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか

満足度:★★★
付箋数:26

多くの企業は、市場で良いポジションを得て、
高い収益を上げるために戦略を立てます。

しかし、実際に高収益を上げられる企業は
ごくわずかしかありません。

成功している企業と、そうでない企業の
決定的な違いはどこにあるのか?

その違いは、「戦略」を「実行」する力に
あります。

つまり、戦略と実行の間に望ましくない
大きなギャップがあると、企業は高い収益を
上げられません。

では、このギャップを埋めている企業は
どのような力があるのか?

それが、企業が全体として持つ組織的な能力、
いわゆる「ケイパビリティ」です。

戦略と実行を結び付けるものが、
ケイパビリティなのです。

それでは、企業はどのようにすると
優れたケイパビリティを持てるようになるのか?

本書では、その要となるのが「コヒーレンス
(一貫性)」であると指摘します。

  「コヒーレンスを有している企業であれば、
  戦略と実行のギャップを埋めることに
  苦労する必要がない。最初からギャップが
  存在しないからだ。(中略)
  一方、コヒーレンスが欠けていると、
  企業の成長力が奪われる。価値創出に向かう
  道がばらばらに存在する状態なのである。」

では、企業はどのようにしたら、
コヒーレンスがある状態を保てるのか?

世界最大級のプロフェッショナルファーム、
プライスウォーターハウスクーパース(Pcw)
の戦略を担うPcw Strategy&では、
その秘密を探るべく、成功した企業の
抽出と調査を行いました。

調査の対象となったのは、アマゾン、アップル、
セメックス、フリトレー、イケア、ファイザー
などの企業です。

その調査の結果、導き出されたのが、
コヒーレンスがある企業には、従来型の通念に
とらわれないリーダーシップの「5つの行動様式」
かあることでした。

その5つの行動様式が、戦略と実行のギャップを
埋める鍵となっているのです。

 1. 自社の独自性を貫く
  勝つ権利のない複数の市場機会を追いかかる
  のではなく、自社の得意な分野を明確にし、
  差別化により成長を達成します。

 2. 戦略を日常業務に落とし込む
  各分野で外部のベンチマークに近づける
  のではなく、複数の機能にまたがって
  ケイパビリティを連携させ、戦略的意図を
  実現させます。

 3. 自社の組織文化を活用する
  組織再編を何度も繰り返し、行動を改革する
  ためにリストラに頼るのではなく、
  組織文化の強みを強調し、活用します。

 4. 成長力を捻出するためにコストを削減する
  一律のコスト削減を行ったりせずに、
  重要性の低い分野は「間引き」して、
  重要分野への投資資金を増やします。

 5. 将来像を自ら作り出す
  市場への変化を受動的に対応するのではなく、
  自社のケイパビリティを再定義して、
  需要を創出し、自社に有利な形で業界構造を
  再編します。

本書では、「5つの行動様式」を導くために、
かなりの時間とコストをかけて調査・分析を
行っています。

  「我々は、5つの行動様式が成功への唯一の
  道だと主張しているわけではない。
  しかし我々が知る限り、これが戦略と実行の
  ギャップを縮める唯一の道であり、
  これに匹敵するような長期的で持続可能な
  成功をもたらす道はほかにないと思われる。」

しかし、この結果を自社で活かせるかどうかも、
結局は、その企業がケイパビリティを有するか
どうかに関わっているように思えました。

この本から何を活かすか?

私が本書で注目した事例は「フリトレー」です。

フリトレーは、ペプシコ傘下の菓子メーカーで、
年間売上高140億ドルを誇り、35年間も市場で
トップの地位を守り続ける企業です。

迅速で成功率の高いフレーバーのイノベーション、
各国での消費者向け/小売店向けマーケティング
プログラムの開発、安定した生産と持続的な改善、
店舗直送などのケイパビリティ体系が、
フリトレーでは作られています。

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| 経営・戦略 | 06:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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イノベーションはなぜ途絶えたか

満足度:★★★★
付箋数:28

近年、日本人の自然科学部門でのノーベル賞
受賞者が毎年のように出ています。

このニュースを聞いて「日本の科学って凄いな」
と思った方も多いかもしれません。

しかし、ノーベル賞受賞が増えてることに反し、
実は、「日本の科学は危機に瀕して」います。

そもそも、ごく少数の例外を除いて、
ノーベル賞受賞は、20年以上前の研究成果に
対するものです。

日本の科学から連なるサイエンス型産業は
衰退の一途をたどり、かつて「科学立国」、
「技術立国」と呼ばれ、世界をリードしてきた
日本は、その存在感を急速に失っています。

特に、今世紀に入ってから日本のお家芸だった
半導体や携帯電話などのエレクトロニクス産業の
競争力は急落し、医薬品産業も2000年初頭に
日本は国際競争から脱落してしまいました。

これは、日本のハイテク産業からイノベーション
が生まれなくなったことを意味しています。

一方、米国では世界を変えるイノベーションを
起こす企業が、次々と生まれています。

このイノベーションを生み出す日米の違いは、
どこにあるのか?

本書の著者、京都大学大学院思修館教授で、
イノベーション理論・物性物理学を専門とする
山口栄一さんは、日米の違いは「制度的要因」
に起因すると指摘します。

その制度とは、米国が1982年に始めた
「SBIR(Small Business Innovation Research)」
と呼ばれるプログラムです。

先端技術の開発をするには、基礎研究の成果と
実用化・製品化の間に、簡単には乗り越え難い
資金面での「死の谷」が横たわっています。

その死の谷を越える資金援助を行い、
無名の科学者を起業家に転じさせる
「スター誕生」システムが米国のSBIR制度です。

この制度は、次の3つの特徴を備えています。

1点目は、米国連邦政府の外部委託研究費の
一定割合をスモール・ビジネスのために
拠出することを法律で義務づけていること。

2点目は、3段階の選抜方式になっていること。

応募に採択されると最大で15万ドルの賞金、
更にチームづくりとモデルつくりを行い、
実現可能と判断されると最大で150万ドルが
与えられ、商業化に挑戦して離陸できれば、
開発製品を政府が買い取るか投資会社を
紹介する制度になっています。

3点目は、科学行政官が「今、この世にない
ものをあらしめるべく挑戦せよ」という
ミッションを持ち、申請者に対して、
極めて具体的な課題をつくり示していること。

この科学行政官は、科学者と同等の知識を持ち、
ビジネスにも精通する「目利き」です。

米国ではSBIR制度によって、毎年2000人を
超える無名の科学者をベンチャー起業家に
仕立て上げ、1983年から2015年までの
33年間で2万6782社の技術ベンチャーが
生まれました。

これに対して、日本版SBIR制度ともいえる
「中小企業技術革新制度」が1999年2月から
施行されました。

しかし、その実態は米国版SBIRとは、
似て非なるもので、既にあった補助金制度に
後から日本版SBIRのレッテルを貼ったに
過ぎないものでした。

日本版は米国版の3つの特徴をちょうど
反転させた、イノベーション起こす理念を
持たない、単なる中小企業支援策でした。

本書では、日本の制度的失敗を指摘する
だけでなく、イノベーションが誕生する
原理を明らかにし、日本が科学復興する
ための具体的な処方箋を示します。

山口さんの指摘は、非常に的を射たもので、
具体策は、まさに国家再生の設計図です。

本書は、科学技術にもビジネスにも通じた
山口さんにしか書けない、非常に優れた
提言書だと思います。

この本から何を活かすか?

日本の企業は「山登りのワナ」に
陥っていると山口さんは指摘しています。

企業の技術者には2つのタイプがいます。

1つは、山に登り始めたら、未知の山には
見向きもせず、頂上に向かって迷いなく
まっしぐらに登る技術者。

もう1つは、いつも登山への疑念を抱き、
他にもっと高い山があるのではないかと、
未知の山ばかりを探す技術者。

この2つのタイプはどちらも企業にとって
必要ですが、「集中と選択」がなされる
時には前者のタイプのみが残ってしまう。

こうして「山登りのワナ」ができあがり、
イノベーションが生まれなくなるようです。

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| 科学・生活 | 06:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「出る杭」は伸ばせ! なぜ日本からグーグルは生れないのか?

満足度:★★★
付箋数:23

  「いつの時代も本物の “出る杭” を見つけて、
  その人達を鍛えたり応援したりすることが
  重要なのは当然だ。インターネットや
  ソーシャルメディアが劇的に発達し、
  まさに今は “Wisdom of Crowds(群衆の叡智)” 
  の時代だ。一人一人の “個” の才能、生き方、
  倫理観などが最大限に尊重されねばならない。
  ましてやこれから未曽有の歴史的大変化の
  時代を迎えるに当たり、必要なのは秀でた
  個人、 “出る杭” 達だ。」

本物の「出る杭」とは、打たれても打たれても
へこたれず、自分の信ずる道を貫いて
必ず結果を出すような知的バイタリティーの
持ち主です。

ただ生意気で傲慢なだけの人とは違います。

個人だけでなく、企業でも「出る杭」はあります。

「出る杭」企業を目指して、邁進している
会社の1つがグーグルです。

グーグルは、2004年にナスダックに上場した
時に、創業者のラリー・ペイジさんと
サーゲイ・ブリンさんが書いた株主宛の
書簡の冒頭で「グーグルは普通の会社ではない」
と宣言しました。

その宣言通り、グーグルは「出る杭」企業
として、数々のイノベーションを生み、
世の中を変えてきました。

本書は、グーグル日本法人代表取締役社長を
務めた辻野晃一郎さんによる、「出る杭」の
個人や企業になるためのコラムです。

辻野さんは、前著『グーグルで必要なことは、
みんなソニーが教えてくれた
』で書いている
通り、ソニーからグーグルへ移籍した方です。

  「私は現在、自分が創業した会社を経営する
  立場だが、もともとはソニーに長く勤めていた。
  そのソニーを2006年3月に退社し、
  翌2007年4月からグーグルに入った。
  その時の第一印象として “なんだ、
  グーグルって、昔のソニーみたいだな” と
  感じたことを今でもよく覚えている。」

本書は、週刊文春に辻野さんが連載した
「出る杭は伸ばせ! 辻野晃一郎の
ビジネス進化論」をベースに再構成したもの。

週刊誌の連載コラムなので、当時起こった
出来事をソニーやグーグルで経験したことを
踏まえて解説しています。

また、書籍化に際しては、新しいコラムを
各章末に書き下ろしています。

 第1章 世界一の「出る杭」企業、グーグルが
    見る未来
 第2章 私が出会った「出る杭」なリーダーたち
 第3章 「出る杭」がいない組織は衰退する
 第4章 次々に登場する「出る杭」ビジネス
 第5章 「出る杭」企業が世界を変える

私が本書の中で印象深く感じたのは、
「アップルとソニーの分かれ道」について。

かつて、ソニーは創造的なものづくりを行い、
世界中の人々を魅了しました。

そして、辻野さんがソニーに在籍した時期は、
アップルとは良きライバル関係にありました。

しかし、現在この2社には、簡単には埋め難い
大きな差がついています。

一体、この差はどこから生まれたのか?

  「同じハードウェア製造業からスタートした
  アップルとソニーの現在の格差は、アップルが
  ジョブズの復帰後、iPodとiTunesの投入を
  起点に、 “プラットフォーマー” への転換に
  成功したことに尽きる。そしてそこには、
  これから本格的なIoTや人工知能や
  ビッグデータの時代を迎えるにあたり、
  多くの日本企業に投げかけられている
  根源的なテーマが含まれているのだ。」

辻野さんは、アップルとソニーに
格差がついた理由を述べるだけでなく、
今後の日本企業の課題にも言及しています。

この本から何を活かすか?

あなたは、自分の手元の業務が忙しい時に、
割り込みで新しい仕事を依頼されたら、
どのように対応しますか?

一般的には、「今取り込んでいるので
後にして欲しい」といった反応がありがち。

しかし、グーグルでは、そのような割り込み
依頼があっても、直ちに手元の業務を中断して、
向き合ってちゃんと話を聞いて、迅速に対応
してくれることが普通だったそうです。

この柔軟性がグーグル社員の特徴。

もちろん、割り込み依頼の話を聞いて、
「やっぱり後にしてもらう」ことも
あるはずです。

しかし、グーグル社員は、忙しい時にも、
まず話を聞いて、全体的な視点から
優先順位をつけて、対処できている
のだと思います。

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わがセブン秘録

満足度:★★★
付箋数:22

  「 “金の食パン” が発売されてから1ヶ月後の
  2013年5月、セブンゴールドの新製品、
  インスタントラーメンの袋麺の
   “金の麺 塩” を発売する当日、わたしは
   “この商品の質は販売できるレベルではない” 
  と、すでに各店舗に納品されている6000万円分を
  すべて回収し、破棄する決断を下しました。」

当時、セブン&アイ・ホールディングスの
CEOだった、鈴木敏文さんは6000万円もの
新商品の廃棄を、発売日当日に指示しました。

なぜ、鈴木さんは全製品の廃棄を即決したのか?

もちろん、この製品に不純物が混入していた
わけでも、不良品が混ざっていたわけでも
ありません。

安全面では、何の問題もない製品でした。

鈴木さんが、廃棄を即決したのは、
「金の麺」を一口食べて、「おいしい」と
すぐに思えなかったからです。

鈴木さんは、経営判断の尺度を「お客様」に
置いて考えていました。

  「お客様の判断は、一口食べて瞬時に
   “おいしい” か “おいしくない” かの
  どちらかです。そのあとに、どこがおいしいか、
  おいしくないかの感想が出てくる。」

評論家は、口当たりや香りなど、1つ1つ細かく
分析しますが、一般のお客様の判断は、
単純に「おいいしい」か「おいしくないか」。

よければ、また買い、ダメなら二度と買わない
というシビアなものです。

この視点を忘れて、6000万円は大きな損失
という経営側の視点だけで判断してしまうと、
結果的にお客様に見放されてしまうのです。

  「販売できるレベルにない商品を販売した場合、
   “セブン&アイグループはお客様が満足
  できない商品を販売する会社であるという
  印象を6000万円もかけて広める” ことになる。
  さらには、その間もセブン&アイグループの
  テレビCMなどの宣伝も流れます。
  レベルに達しない商品を出したうえに
  宣伝を行うということは、お客様から見ると、
  億単位のお金を使って “悪い宣伝” をしている
  のと同じです。」

鈴木さんは、このように述べていますが、
実際にこうした判断ができる経営者は
少ないように思えます。

さて、「コンビニの父」とも呼ばれた
鈴木さんがセブン&アイ・ホールディングスの
会長を辞任したのは、日本の経済界にとって、
2016年最大のニュースの一つでした。

  「わたしは2016年5月26日、セブン&アイ・
  ホールディングス代表取締役会長兼CEO
  (最高経営責任者)の職を辞し、60年にわたる
  現役生活にいったんピリオドを打ちました。
  これは誰から求められたものではなく、
  自らの意志と決断によって、それまでの
  経営者としての自分から、自由な立場としての
  新しい自分へと踏み出したものでした。」

本書は、鈴木さんのこれまでの60年の歴史を
振り返りながら、新しいものを生み出す発想の
根源に迫る本です。

文章としてまとめるのは、これまでにも
鈴木さんの本を何冊も執筆している
ジャーナリストの勝見明さんです。

恐らく、鈴木さんにとって勝見さんは、
自分の考えを的確に文章にしてくれる職人
として非常に信頼している方だと思います。

本書は、これまでの鈴木さんの本で
紹介されていたエピソードと重複する内容は
多いものの、現役時代の本とは異なり、
何のしがらみもなく、総決算として、
これまでの業績や足跡を振り返っています。

この本から何を活かすか?

本書で再三、鈴木さんが述べているのは、
「未来を起点にした発想」です。

過去の延長線上からは、「無」から「有」を
生み出すことはできません。

鈴木さんは、新しいモノを生み出す時には、
一歩先の未来像を描き、未来の可能性に
目を向けることから始めました。

その未来像を実現させるために、逆算して、
今の世の中にすでにあるものを結びつけて、
新しい価値を生み出していたのです。

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| ビジネス一般・ストーリー | 09:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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頭がよくなる 謎解き 理科ドリル/社会ドリル

満足度:★★★
付箋数:21

小川大介さんが代表を務める
中学受験専門個別指導教室SS-1さんより
献本いただきました。ありがとうございます。

今回紹介するのは、かんき出版から刊行された
「頭がよくなる謎解きドリル」シリーズの
理科編と社会編の2冊です。

理科編を執筆するのは、SS-1副代表として、
さまざまなメディアで教育に関する
情報発信をする辻義夫さん。

  「実は、本書を執筆した理由は2つあります。
  1つは、私がかかわる中学受験の世界に限らず、
   “理科の楽しさがわからない” という
  お子さんが増えていると感じることが
  多くなったからです。(中略)
  もう1つの理由は、 “中学受験の勉強は
  知識偏重の詰め込み型” という考えが、
  あらゆる中学校の入試問題に当てはまるかの
  ように誤解されている風潮があることです。」

社会編を執筆するのは、SS-1社会教科主任で、
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」で
主任相談員も務める馬屋原吉博さん。

  「 “考える”と は、“突飛な発想をする”
  ということではありません。
   “考える” とは、 “複数の知識を正しく
  組み合わせる” ことです。
  この本の、特に後半の60題は、社会に関係する
  様々な謎を、複数のヒントを使って
  解き明かしていく問題です。解き進めていく
  だけで、新しい知識を手に入れつつ、
  それらをつなげていくという貴重な体験を
  重ねていくことができます。」

どちらのドリルもパート1が思考の土台を
身につけるための知識問題編で、
パート2がパート1の知識をベースに
とことん考える思考問題編となっています。

タイトルに「謎解き」と入っている通り、
問題集というよりもクイズを解いている
感覚に近いドリルです。

著者お二人は難関中学に多くの合格者を
輩出する中学受験専門教室の指導者ですが、
本書は、中学受験専用の問題集ではありません。

もちろん、中学受験に必要な力が身につく
ように考えられていますが、受験しない
お子さん、あるいは大人が読んでも
楽しみながら思考力が鍛えられるように
書かれています。

では、各1問ずつドリルに掲載されている
問題を紹介します。

理科-知識問題編-人体 Q25.

  ヒトと他の動物を比べると、骨格に次の
  ような違いがあります。この違いは、ヒトが
  あることをするのに大きく関係があります。
  それは何?

  1. 頭の骨が大きい
  2. 骨ばんが大きい
  3. かかとの骨が大きい

社会-知識問題編-地理 Q5.

  北海道の都市で海に近い札幌市と海から遠い
  旭川市、1月がより寒いのはどちらでしょうか?

  A. 海から近い札幌市
  B. 海から遠い旭川市

(解答は記事の最後に掲載します)

ここではスペースの関係から知識問題の
紹介に留めておきましたが、それでも単に
知っているか、知らないかを問うのではなく、
「なるほど」と思えるような問題と解説が
掲載されています。

子どもにとっては、勉強している感覚が少なく、
ワクワクしながら知識や考える力を
身につけられる本だと思います。

私も全部の問題は解いていませんが、
いくつか解いてみると、つい面白くなって
先に進みたくなりました。

この本から何を活かすか?

理科-知識問題編-人体 Q25.解答

  解答:二足歩行

  背骨が縦になっていることで、四足歩行の動物に
  比べて大きな頭を支えることができるんですね。

社会-知識問題編-地理 Q5.

  解答:B

  一般的に、液体は「温まりにくく、冷めにくい」、
  個体には「温まりやすく、冷めにくい」という
  特徴があります。そのため、冬は海の近くに
  ある札幌市よりも、内陸部にある旭川市の方が
  寒くなります。

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| 勉強法 | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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売れるキャラクター戦略

満足度★★★
付箋数:24

ドラえもん、アンパンマン、ポケモン、
ハローキティ、リラックマ、ふなっしー・・・

日本は、たくさんのキャラクターが活躍する
「キャラクター大国」です。

こうしたキャラクターには、3つの楽しみ方が
あります。

1つ目は、キャラクターの受け手として楽しむ。

キャラクターが登場する作品を見たり、
購入したりする一般的な楽しみ方です。

2つ目は、キャラクターを使って楽しむ。

有名キャラクターを真似てイラストにしたり、
人気キャラクターのコスプレをしたりする
楽しみ方。

3つ目は、キャラクターを生んで楽しむ。

まだ世の中にないオリジナルのキャラクターを
生み出し、育成して、世の中に関わらせて
いく楽しみ方です。

本書では、この3番目の楽しみ方を中心に、
キャラクターをビジネスで使ったり、
キャラクターをコミュニケーションの
ツールとして活用する方法を解説します。

著者は、「コアラのマーチ」CMを約20年
担当するなど、キャラクターを使った広告を
手がけるクリエイティブディレクターとして
活躍する、いとうとしこさんです。

本書ではキャラクターを以下のように定義します。

  キャラクターとは、「企業や個人の経済活動や
  コミュニケーション活動を活性化させる
  目的で開発されたパーソナリティを持つ
  オリジナルの記号」のこと。

世の中には、長く活躍して愛されるキャラクター
がいる一方、生み出されてもあまり活用
されなかったり、そのまま放置されてしまう
「ゾンビ化」したキャラクターも多くあります。

本書では、戦略的なキャラクターの生み出し方
から、ゾンビ化させずに愛されるキャラクター
として育てる方法までを説明します。

発信者が自分で発信・運用するオリジナル
キャラクターのことを本書では
「オウンド・キャラクター」と呼びます。

このオウンド・キャラクターを使うメリットは
次の3点に集約されます。

 ・キャラクターは、加齢や変化や不祥事とは
  無縁であり、長期にわたって統一した
  イメージでメッセージを発信していくことが
  できる。

 ・契約料、出演料など、有名人や
  有名キャラクターを使うようなコストが
  かからず、長いレンジで見た時に、
  うまく運用できればトータルでの
  コストパフォーマンスが良い。

 ・デザインや設定を戦略に沿って作ることが
  できるので、企業やブランドのイメージに
  ぴったりなコミュニケーション記号になる。

利点の多いオウンド・キャラクターですが、
愛されるまでに時間がかかったり、
見え方だけの開発では感情移入しにくい
マークになってしまうなどの留意点もあります。

こうして点に気をつけながら、本書では
4つのステップでキャラクターを生み出します。

 1. キャラクターを生む理由を整理する
 2. キャラクターの魂(エレメント)を抽出する
 3. キャラクターのデザインを完成させる
 4. キャラクターの生き方を考える

キャラクターは生み出して終わりではなく、
そこからのケアが大事です。

本書のキモは、キャラクターとの出会いを
広げたり、絆を深めることを基本とし、
ゾンビ化させない育成プランについても
実例をあげて解説しているところです。

ビジネスにキャラクターを使う方法が
参考になるのはもちろんですが、
いとうさんのキャラクターに対する愛を
感じる本でした。

この本から何を活かすか?

本書では、最後にキャラクターの「十則」を
まとめています。

 ・キャラクターとは、最高のコミュニケーション
  記号である。

 ・キャラクターとは、人と心を通わせることが
  できるものである。

 ・キャラクターとは、目を話すとたちまち
  “ゾンビ化” するものである。

 ・キャラクターとは、生む以上に育てる覚悟が
  いるものである。

 ・キャラクターとは、人の愛情によって
  生き延びるものである。

 ・キャラクターとは、弱肉強食の世界に
  生きる生き物である。

 ・キャラクターとは、顔見知りではなく
  友達になれる存在である。

 ・キャラクターとは、見た目のデザインだけ
  では未完成である。

 ・キャラクターとは、思いや願いを込める
  ことができる存在である。

 ・キャラクターとは、命を吹き込むことが
  できるアイディアである。

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失敗の科学

満足度★★★★
付箋数:30

  「人類は過去2000年余りの間に目覚ましい
  発展を遂げた。とくにここ2、3世紀の進歩は
  驚異的だ。企業やスポーツチームのみならず、
  科学、技術、経済がさまざまな進化を遂げ、
  人々の生活があらゆる面で変わった。
  本書はその過程を覗きながら、人間が失敗から
  学んで進化を遂げるメカニズム、あるいは
  創造力を発揮して革命を起こすメカニズムを
  明らかにしていく。ビジネスや政治の世界でも、
  日常生活でも、基本的な仕組みは同じだ。
  我々が進化を遂げて成功するカギは、
   “失敗とどう向き合うか” にある。」

本書は、オックスフォード大学を首席で
卒業した異才のジャーナリスト、
マシュー・サイドさんが、あらゆる業界を
横断して、失敗の構造を解き明かにした本。

サイドさんが、本書で最初に比較するのが、
安全重視にかかわる2大業界である、
航空業界と医療業界です。

この2つの業界で根本的に異なるのは、
「失敗に対する向き合い方」です。

航空業界の黎明期は、飛行機で飛ぶことは、
かなりの確率で命を落とす危険な行為でした。

米陸軍航空学校が設立された当初、パイロットの
死亡率は約25%にも及んでいたといいます。

しかし、現代では状況が大きく改善され、
2014年のジェット旅客機の事故率は、
100万フライトに0.23回という極めて低い
発生率にとどまっています。

航空機の事故率がここまで改善したのは、
すべての航空機に、2つの粉砕不可能な
ブラックボックスが装備されたためです。

1つは飛行データを記録し、もう1つは
コクピット内の音声を録音するものです。

事故があれば、このブラックボックスが
回収され、データ分析によって原因が
究明されます。

そして、二度と同じ失敗が起こらないように
速やかに対策がとられてきました。

航空業界では、不測の事態やミスは起こるもの
と認識して、失敗にアプローチします。

パイロットはニアミスを起こすと報告書を
提出しますが、10日以内に提出すれば
処罰されない仕組みになっていることも
失敗と向き合うことに貢献してきました。

一方、医療業界では今でも非常に多くの人が
医療過誤で亡くなっています。

ある調査によると、回避可能な医療過誤による
死亡者数は年間40万人以上にものぼると
算出されています。

アメリカでの医療過誤での死亡者数は、
心疾患、がんに次ぐ死因の第3位。

医療過誤が起こる原因は、手順の複雑さ、
資金や人手不足、とっさの判断を迫られること
などいろいろあります。

しかし、医療過誤減らない根本的な原因は、
医療業界が失敗から学ぶ仕組みを
作ってこなかったことにあります。

人は誰でも、自分のミスを認めることが難しく、
失敗を隠す傾向にあります。

医療業界では、調査で事実が明らかに
なることを恐れ、日常的にデータ収集をせず、
過去の失敗事例が共有されてこなかったことが、
進歩を妨げているとサイドさんは指摘します。

本書では、多くの具体的な事例を用い、
失敗から学習する組織と学習できない組織
の違いをあぶり出します。

 第1章 失敗のマネジメント
 第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
 第3章 「単純化の罠」から脱出せよ
 第4章 難問はまず切り刻め
 第5章 「犯人探し」バイアスとの闘い
 第6章 究極の成果をもたらすマインドセット
 第7章 失敗と人類の進化

サイドさんの洞察は非常に深く、22カ国で
刊行された世界的ベストセラーというのも
伊達ではありません。

組織だけでなく、個人としても学ぶことが多い、
読んで損のない、優れた本だと思います。

この本から何を活かすか?

なぜ、専門家の予想は外れるのか?

サイドさんは、過去に実績のある専門家や
頭脳明晰な学者ほど、自分の専門分野での
予測を外しやすいと指摘します。

例えば、経済の専門家なら、有名になれば
なるほど、経済予想は不正確になるといいます。

  「カギは認知的不協和にある。
  自分の発言が世間に広がりやすい
  有名な専門家ほど、生活も自尊心も
  その予測にかかっている。
  おそらく、それまでは失敗しても
  自己正当化ばかりに躍起になって
  何も学べずにいたのだろう。」

この自己正当化の罠から抜け出すには、
「あえて間違って」失敗と向き合う機会を
作ることも必要です。

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| 科学・生活 | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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