活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2016年09月 | ARCHIVE-SELECT | 2016年11月

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空気を読んではいけない

満足度★★★
付箋数:21

総合格闘家でONE FCライト級王者の青木真也さん。

  「あの試合は、僕が日本中の恥さらしになった
  一方で、格闘技を普段見ない人の間でも
  話題になり、良くも悪くも僕の知名度を上げて
  くれた。世間の人が “あの青木真也” と
  言うときの “あの” は、この敗戦を指している。」

あの敗戦とは、青木さんが2010年の大晦日に
長島☆自演乙☆雄一郎さんと戦った異種格闘技戦
のことです。

1ラウンド目は立ち技ルールで、寝技の攻防は禁止。

2ラウンド目に総合格闘技ルールとなる、
変則的な試合でした。

このルールでは、長島さんはキックボクサー
なので1ラウンド目が有利です。

これに対して、青木さんは2ラウンド目が
有利でした。

そこで青木さんの取った戦略は、1ラウンド目に
できるだけ戦わないことでした。

クリンチを多用したり、ドロップキックを
放ったまま倒れ込んだり、あらゆる手を使って、
とにかく時間稼ぎをしました。

青木さんは、反則負けにギリギリならない
ところで、徹底して逃げ回りました。

それも寝技が解禁される2ラウンド目で、
一気に勝負を賭けられると思ったからです。

当然のように、1ラウンド終了後は、
観客席からブーイングを浴びせられ、
ゲスト解説の魔娑斗さんも青木さんの
戦い方に嫌悪感を示していました。

そして迎えた2ラウンド目。

開始直後、青木さんが寝技に持ち込もうと
タックルを仕掛けたところに、
見事なタイミングで長嶋さんの膝蹴りが
入りました。

結果、青木さんの失神KO負け。

青木さんは世間を敵に回し、完全にヒールに
なっていましたから、魔娑斗さんも含め
この試合を見ていた人は、「青木ざまあ見ろ」
と思ったことでしょう。

ヒーローもので、悪が倒されてスカッとする
漫画のような展開が、強烈に印象に残り、
普段あまり格闘技を見ない人からも、
「あの失神KO負けした青木真也」と認識
されるようになったのです。

大いなる屈辱を味わった青木さんは、
あの試合を自分のベストバウトとして
挙げています。

負けを自分の中で消化するのに1年ぐらい
かかり、それまで苦しい時間を過ごしましたが、
今では、あの試合が青木さんの代表作であり、
財産にもなっているようです。

  「勝負事はどれだけ勝ちに徹しようと、
  負けることがあるものだ。偉そうなことを
  言って負けたときは、世間から叩かれたり、
  バカにされる。それは、正直言って苦しい。
  しかし、大事なのは “負けを勝ちにする” 
  ということだ。(中略)
  大事なことは周りの評価に惑わされることなく、
  信念を持って仕事を続けることだ。
  自分がブレずに仕事を続けていけば、
  過去の失敗は、未来で変えることができる。
  今の地獄も、これからの努力次第で、
  財産に変えることができると思う。」

本書で語られているのは、1つのことに
徹底してこだわり、それ以外のことは
すべて切り捨てて、ストイックに生きる
人生論です。

青木さんは、格闘家としての自分の才能を
「凡人」と評価しています。

だからこそ、友だちも作らず、人間関係も築かず、
富や名声にも目もくれず、ひたすら自分の信じる
道を進みます。

他人の目を気にしない、空気を読まない。

これが「凡人」が成功するための
唯一の方法だと信じるからです。

本書では、実際に空気を読まずに生きている
青木さんの考えが語られています。

魂の叫びが聞こえてくるような本でした。

この本から何を活かすか?

  「僕は、試合が怖い。相手は僕を殺しにくる。
  実際に“ 失神させてやる” と宣言されるわけで、
  動じないそぶりを見せるが、すごく怖い。」

しかし、そんな恐怖に打ち克つ努力をして、
試合に挑むことができれば、勝っても負けても
意味のあるものにできるのです。

  「負けたとき、ダメだったと落ち込むことは
  誰でもできる。しかし、負けを、
   “意味のある負け” にするためには、本当に
  苦しい練習に耐え抜かなければいけない。
  適当にやって出た結果なんかに何の意味もない。
  だから僕は今日も苦しみ続ける。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 06:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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昆虫は最強の生物である

満足度★★★
付箋数:24

  「地球は虫だらけの惑星だ。これまでに発見
  されて命名されたものだけで、昆虫の種類は
  100万種近くに達する。(中略)
  昆虫のほとんどの種には名前さえも
  ついておらず、熱帯雨林に生息する昆虫は
  ひょっとしたら何千万種に及ぶとの推定も
  あるくらいだ。昆虫好きにとっても、
  そうでない人にとっても、昆虫の多様性と
  生態系での繁栄には目を見張るものが
  あるだろう。」

原題『Planet of the Bugs: Evolution and
the Rise of Insects
』。

著者のスコット・リチャード・ショーさんは、
ワイオミング大学教授ならびに同大学
昆虫博物館のキュレーターです。

本書は、虫の視点から見た生物進化史。

進化の歴史において、最初の陸上動物は
一般的にシルル紀に陸に上がった
ハイギョと認識されています。

しかし、この認識は大きな間違いだと
ショーさんは指摘します。

  「 “動物” という言葉を “脊椎動物” と
  同じ意味で使う人があまりに多いことに、
  私は驚いている。(中略)
  ここで一つはっきりさせておきたいのは、
  節足動物も動物だということだ。
  節足動物はどの動物よりも早く、
  遅くともシルル紀前期までに
  その小さな脚で陸地を歩いていた。
  海から陸へ進出するのに最適な装備を
  もっていたのは節足動物である。」

さらに、脊椎動物が進化した人類こそが
地球の支配者で、文明を築いてきたとの
見方に対しても異論を唱えます。

人類は、地球を良くしているというより、
むしろ破壊している。

地球のいたるところで暴挙を振るう
大量の害虫のようであると。

仮に人類が突然滅びたとしたら、
ほとんどの生物の生息環境は大幅に
改善すると考えられます。

一方、もしすべての昆虫が絶滅したら、
陸上の環境は大混乱に陥ることが
予想されます。

生態系の維持に大きな貢献をしている
昆虫こそが、地球の真の支配者なのかも
しれません。

私たち人類は、多くの偶然と奇跡の積み重ねで
現在までの進化を遂げていました。

しかし、昆虫の存在なしでは、ここまでの
進化はありませんでした。

チンパンジーの大好きなシロアリが
大量にいなかったら、霊長類は
木から降りなかった可能性もあるのです。

本書では、カンブリア紀から始まり、
シルル紀、ジュラ紀、白亜紀、新生代と
昆虫中心の生物史が語られています。

そして、その進化の後には、宇宙に目を向け、
「虫だらけの宇宙説」が唱えられています。

地球上で生命が進化するうえで、
人類が存在しない経路や、哺乳類や恐竜が
出現しない経路は簡単に想像できます。

しかし、地球の歴史をひも解いてみると、
昆虫やそれに類似した生物なしで、
陸上の生態系が発達できたとは考えられません。

同様に他の惑星でも生命の進化をたどると、
ほとんど場合、昆虫が存在するはずなのです。

だから、地球外生命体の存在を考えると、
人類のような知的生命体が存在するよりも、
昆虫が存在することの方が圧倒的に
確率が高いのです。

本書は、本当に虫好きの人が書いたとわかる、
虫に対する愛情が溢れた本です。

巻頭の口絵カラー写真も美しく、
虫好きの人にはたまらない本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「本書の執筆を辛抱強くサポートし、
  理解を示してくれた妻のマリリンに捧ぐ。
  昆虫を冷凍庫に入れることを許してくれて
  ありがとう。きみがいなければ本書を
  完成させることはできなかった。」

本書は、生物の歴史的な「縦」のつながりを
感じさせる本です。

しかし、奥さんの寛大な理解があり、
ショーさんが本を書けて、私たちが楽しめる
という、「横」のつながりも感じました。

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| 科学・生活 | 10:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「いい質問」が人を動かす

満足度★★★
付箋数:24

 弁護士  「この商品がなぜ評判がよいのか、
      証人は知っていますか?」

 相手弁護士「異議あり!誤誘導質問です。
      この商品が評判がよいことは証明
      されていません。それ自体が本件裁判
      の争点となっているものです」

最初の弁護士がした質問は、「誤誘導質問」と
言って、裁判では禁止されています。

質問の前提に誤った事実を挿入することに
よって、自分の意図した証言を引き出そうと
するものだからです。

この質問では、商品の評判がよいことが
前提になって質問が組み立てられています。

もし、証人が「はい」と答えれば、
当然商品の評判がよいことになります。

また、「いいえ」と答えても、
「商品の評判はよいが、証人はその理由を
知らないだけだ」という結論になります。

誤誘導質問は、裁判では禁止されていますが、
実生活では禁止されていません。

うまく使えば、知らない間に相手を
肯定させられる禁断のテクニックです。

例えば、弁護士が債権回収を行う場合は、
次のように使っているようです。

  「300万円支払ってもらうことになりますが、
  すぐ払えますか、それとも1週間くらい
  待ちますか?」

  「ちょ、ちょっと無理です。色々相談しないと」

  「しかし、とにかく今すぐいくらかでも
  払ってもらわないといけないんですが、
  10万円にしますか、それとも20万円可能ですか?」

  「では10万円でお願いします」

  「それと、先送りになるからには、ペナルティが
  つきます。保証人をつけますか、それとも何か
  担保がありますか?」

この会話例では、「払うか、払わないか」の
前提を隠しています。

当然払うべき前提で質問を組み立てて
いるので、相手は払わないことを前提とした
回答ができないようになっています。

誤誘導質問のテクニックを営業の場面で使うと
次のようになります。

  「この車はとても燃費がいいんですよ。
  色は、黒と白ではどちらがお好みですか?」

  「黒の方かな」

  「私もその方が好きです。とても落ち着いて
  いますよね。排気量3000CCと3500CCでは、
  どちらがよろしいですか?」

  「うーん。値段次第だなあ」

  「そうですよね。お見積に際して、お支払は
  現金でしょうか、それともローンでしょうか」

  「現金かな」

  「ありがとうございます。ちなみにお届けは
  来週末と再来週末では、どちらがよろしい
  でしょうか?」

売る商品が車だと、さすがにここまで
トントン拍子で進まないと思いますが、
もっと単価の安い商品なら、
押し切ってしまうこともあるでしょう。

購入まで押し切らなくても、少なくとも
お客様のニーズは引き出せます。

質問には、大きな力があります。

質問された側は、反射的に考えてしまい、
その問に答えようとします。

  「人を動かすには、命令してはいけません。
  質問することです。
  人をその気にさせるには質問することです。
  また、人を育てるには質問することです。
  そして、人生で勝利するには、やはり
  質問することなのです。」

「いい質問」は一瞬で相手の心を掴み、
相手を動かすことができます。

本書は、質問力を身につけ、
人生を成功に導くための本。

著者は、質問のプロとも言うべき
弁護士の谷原誠さんです。

よく見かける質問も多く掲載されていますが、
広範囲の質問テクニックを詰め込んだ、
お買い得感のある一冊です。

この本から何を活かすか?

谷原さんは、質問には6つの力があると言います。

  1. 思いのままに情報を得る
  2. 人に好かれる
  3. 人をその気にさせる
  4. 人を育てる
  5. 議論に強くなる
  6. 自分をコントロールする

質問をするときには、この6つの力のうち、
何を目的にするのかを事前に明確にしておく
必要があるようです。

なぜなら、目的によって、
質問の仕方が異なるからです。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 05:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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これ、いったいどうやったら売れるんですか?

満足度★★★
付箋数:20

  「ビジネスの世界には、2種類の人がいます。
  一生懸命頑張っているのに、なかなか商品が
  売れない人。そして、あまり頑張っている
  感じはしないのに、なぜか商品が売れている
  人です。
  なぜか売れている人は、マーケティングの
  考え方を理解して、それを行っています。
  マーケティングとは、 “頑張らなくても
  売れる方法” を整理して、誰もができるように
  した考え方なのです。だからビジネスパーソン
  にとって、必ず役に立ちます。」

本書は、マーケティングを知らないまま、
ムダな努力をしないように、マーケティングの
考え方をわかりやすく解説した本です。

著者は、『100円のコーラを1000円で売る方法
のシリーズが累計60万部を超える大ヒットと
なった、マーケティング戦略アドバイザーの
永井孝尚さんです。

本書では、身近な疑問からはじめて、
楽しみながらマーケティング理論が、
自然とわかるように書かれています。

各章のタイトルだけ見ても非常にキャッチーで
思わず「どうして?」と聞きたくなるような
疑問形の文章が並んでいます。

 第1章 腕時計をする人は少ないのに、
    なぜ腕時計のCMは増えているのか?
 第2章 人はベンツを買った後どうして
    ベンツの広告を見てしまうのか
 第3章 雪の北海道でマンゴーを育てる?
 第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
 第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
 第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
 第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、
    なぜブレイクしたのか?
 第8章 古本屋がふつうの本屋より儲かる理由

では、この中から「北海道のマンゴー」について
紹介します。

真冬のある日のこと。

永井さんは、デパ地下のフルーツ売り場で、
超巨大マンゴーに遭遇しました。

「海外のどこで取れたマンゴーだろう?」と
思って見てみると、なんとそこには
「北海道・十勝産白銀の太陽」と書かれていました。

マンゴーといえば、トロピカルフルーツの代表。

なぜ、真冬の北海道でマンゴーなのか?

しかも、通常の2倍はあろうかというほどの
超ビックサイズです。

疑問に思った永井さんは、売り場の人に
質問すると、こんな答えが返ってきました。

  「不思議に思われますよね。実は夏場は、
  冬に降った雪で大型ハウスを冷やし、
  冬場は十勝川温泉の温泉水でハウスを暖める
  ことで、マンゴーに7月が冬で、12月が夏だと
  勘違いさせているんです。十勝は全国でも
  日照時間がトップクラスなので、冬は温泉水と
  太陽の光で完熟になり、最高の糖度と
  とろける味わいのマンゴーに育つんです。」

この十勝産のマンゴーは、宮崎の経験豊富な
マンゴー生産者から強力なサポートを得て
作られているそうです。

ところで、十勝産マンゴーの出現は、
宮崎の生産者にとっては、強力なライバルの
出現にならないのでしょうか?

実は、まったく問題ないといいます。

宮崎のマンゴーは春から夏、一方、
十勝のマンゴーは冬に出荷されるので、
市場では競合しません。

むしろ1年中マンゴーが食べられることで、
新たなお客さんが増え、マンゴーの需要は
拡大します。

十勝産マンゴーは、これまでにいなかった、
冬にマンゴーを食べる新たな消費者を
創り出したことになります。

これは「商品開発」ではなく、
「顧客開発」をした実例です。

この本から何を活かすか?

本書では、「顧客開発」に成功した事例として
他に2つ挙げています。

口臭を予防することで、相手に好印象を
与えたい人を創造した「リステリン」。

自分のニオイを気にする年配者を創り出した
「加齢臭防止グッズ」。

いずれもお客さんが気づかないニーズを
見つけ出し、そのニーズに応える商品を開発して、
新しい市場を創り出しました。

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| マーケティング・営業 | 05:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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プロ・トレーダー

満足度★★★
付箋数:21

  「ティム・ブールキンとニコラス・マンゴーは、
  選りすぐりの成功者を含めて実にさまざまな
  トレーダーたちに取材し、彼らのマーケットでの
  経験にもとづく実話を収録した。
  そのため本書は、マーケットに携わる者に
  とって興味の尽きないアイディアにあふれる
  一冊となった。トレーディングに応用できる
  アイディアが1つでも発見できれば、
  あなたにとって本書の価値は計り知れない
  ものになるだろう。なかには相矛盾する
  ような記述も散見されるが、トレーディングの
  世界には唯一絶対の方法が存在しないのだから、
  それも当然だろう。トレーディングの方法は
  一人ひとり違う。トレーダーはそれぞれに
  独自の方法を探さなければならないのだ。」

これは、本書に寄せられた序文の言葉です。

序文を書いたのは、ジョン・ボリンジャーさん。

有名なトレンド系のテクニカル指標、
ボリンジャーバンドの考案者です。

ボリンジャーバンドのユーザーの中には、
考案者のボリンジャーさんが考えていなかった
使い方をしている方もいるようです。

しかも、そういった独自の使い方のほうが
機能する場合もあります。

だからこそ、本書のような体験記を読む
価値があるとボリンジャーさんは説明します。

本書はマーケットで実績を上げる、
凄腕トレーダーたちへのインタビュー集です。

タイトルには「プロ・トレーダー」と
ありますが、専業トレーダーだけでなく、
兼業トレーダーも登場します。

著者は、トレーダーの一大イベントである
「Traders Expo」を1999年に立ち上げた、
ティム・ブールキンさんと、フリーライターの
ニコラス・マンゴーさんです。

ブールキンさんは、過去15年以上にわたり
多くのトレーダーたちにインタビューを行い、
勝つための秘訣を探ってきました。

本書はその中でも、厳選した16人の
インタビューをまとめたものです。

現在のトレードスタイルにたどり着いた
経緯から、使っているシステムやツール、
テクニカル指標、取引のルールや心構えなどを
レポートします。

実際に使っているテクニカル指標も、
シンプルなチャートから、エリオット波動、
ハーフギャップクローズ、ウィリアムズ%R、
フィボナッチなど、人によってバラバラ。

ボリンジャーさんの言うとおり、
トレードに唯一絶対の正解はないので、
自分に近いスタイルの方を参考にするのが、
本書の適切な使い方です。

個人的に注目したのは、リンダ・ラシュキさん
へのインタビューです。

ラシュキさんは、『新マーケットの魔術師
にも登場するトレーダーです。

ラシュキさんのトレード方法を公開した
魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』も
過去に読んだことがあります。

ラシュキさんは、サポートとレジスタンスを
使った、ごく基本的なトレンドフォロー型の
トレードスタイルです。

扱っているのは、株価指数先物が中心。

ただし、流動性とボラティリティさえあれば、
どんなマーケットでもトレードできると
言います。

大切なのは、「ゴール」ではなく「ルール」。

パーフェクトなエントリーやエクジットを
目指さず、「タイムリー」なエクジットが
マーケットで生き残るコツと語ります。

  「ピークだと思ってエクジットした後に、
  さらに10日続けて相場が上昇して
  みじめな思いをすることになっても、
  悔しがったりしないことです。
  自分なりに常に前進することが
  トレーディングの成功に結びつくのです。
  毎回パーフェクトなトレードを
  追い求めても仕方ありません。」

本書は、トレードの参考になる本であることは
間違いありません。

ただし、ジャック・D シュワッガーさんの定番、
マーケットの魔術師』シリーズと比べると、
若干の物足りなさがありました。

この本から何を活かすか?

本書の最終章には、プロ・トレーダーに学ぶ
「成功するための20の習慣」がまとめられて
います。

しかし、個人的にはボリンジャーさんが序文に
書いた「成功するための8つの心得」の方が
シックリきました。

 1. 身のほどを知ること。
 2. テクニカル分析の歴史を勉強すること。
 3. 数学の基礎を学ぶこと。
 4. 簡単なプログラム言語を学ぶこと。
 5. 規律を重んじること。
 6. ポジションの大きさに細心の注意を払うこと。
 7. レバレッジと友だちにならないこと。
 8. 楽しむこと。

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| トレード | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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統計学が最強の学問である[ビジネス編]

満足度★★★★
付箋数:28

  「多くの日本企業は人材に関してほとんど何の
  分析もしていないし、採用や研修の方法を
  見直したりもしない。
  ただ横並びに、今まで通り、定型的な活動を
  繰り返すのみである。
  だが、経営学者や応用心理学者がこれまでに
  明らかにした研究結果に基づき適切に
  データを分析すれば、どのような人材が
  この仕事でより利益をもたらすのか、
  すぐに明らかになるはずである。」

本書は、43万部を超える大ヒットとなり、
統計学ブームを巻き起こした人気シリーズ、
西内啓さんの『統計学が最強の学問である
の第3弾、「ビジネス編」です。

今回扱うテーマは、経営戦略、人的資源管理、
マーケティング、オペレーションの4つ。

個人のセンスに頼らない「リサーチデザイン」の
考え方に基づき、ビジネスの根幹に関わる分野に
統計学を応用します。

リサーチデザインとは、研究者がどのように
良い研究課題を考え、またその課題に対して
どのような調査や分析を行うべきかを考える
技法のこと。

日本では、あまり知られていませんが、
アメリカでは体系的に教育されている
スキルのようです。

さて、私が本書で最も注目したのは、
「人事」に統計学を活用する方法です。

  「実際のところ、多くの企業は毎年多大な
  労力をかけて採用活動を行っている割に、
  その成果を振り返ることは少ない。
  たとえば、採用した人材がどれだけ社内に
  利益をもたらしたのか、利益をもたらす人間と
  そうでない人間の違いはどこにあり、
  どのような採用プロセスを取り入れば
  良い人材を多数採れるのか、きちんと考えて
  いる企業というのはごく限られている。」

その限られた企業の1つがGoogleです。

Googleの採用は、科学的なエビデンスに
基づいて、募集方法や選考方法が決められて
いるようです。

名門大学を平凡な成績で卒業した人より、
州立大学をトップの成績で卒業した人を
優先して採用します。

なぜなら、実際に採用に関わるデータを
分析した結果、そうしたほうがより少ない
手間で、優秀な人材を採用できると
わかったからです。

また、Googleの面接では「あなたの長所は?」
といった、どうでもいい質問をしません。

その代わりに、技術者の採用であれば、
入社後に担当する仕事の一部をサンプル
としてやってもらうワークサンプルテストを
行ないます。

また、面接の回数は何回あれば十分か、
どのような仕事を担当する人に対して、
どのような質問をするべきか、
社員のうち誰が面接官として最適か
というところまで細かく管理されています。

しかし、多くの企業はGoogleのように
何もしなくても優秀な人材が集まってくる
わけではありません。

Googleとは言わないまでも、一流企業に
優秀な人材は集まります。

では、普通の企業はどのような採用戦略を
採るべきなのでしょうか?

  「状況適合理論という考え方に基づくと、
  必ずしも世界の学者たちが明らかにした
   “どのような人間の生産性が高いか” という
  一般論は必ずしもあなたの会社で当てはまる
  とは限らない。だが、現実に存在する自社の
  データをうまく分析すれば、競合他社が
  まだ気づいていない、成功する人材の秘密を
  発見することができるかもしれないのである。」

本書では、そのための具体的な分析方法までを
提案しています。

正直、上っ面の統計を学ぶ本ではないので、
簡単な本ではありません。

しかし、企業の根幹に関わる、実のある
データ分析を行うには、必読の本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「この世には多数の統計手法が存在して
  いるが、本章のような目的で統計解析を
  行うのであれば、初心者はまず重回帰分析
  という手法だけを使えるようになって
  おけばいい。」

ここで言う「本章のような目的」とは、
統計学的な戦略策定のアプローチです。

重回帰分析の具体的な説明は、前著の
実践編』に詳しく解説されているので、
こちらも併せて読むことをお勧めします。

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| 数学 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビジネスで騙されないための論理思考

満足度★★★
付箋数:20

会議や商談、プレゼンなどで相手の主張を
「おかしい」と感じることはありませんか?

相手の主張のおかしさに瞬時に気づくことが
できれば、商談を有利に進めたり、
会議を生産的なものにすることができます。

しかし、交渉が終わってしまった後に、
「あの相手の発言には疑問があった」と
気づいても手遅れです。

また、会社としての意思決定が決まった後に、
「このポイントについてもっと議論すべき
だったのではないでしょうか」と言っても、
「もう遅いよ」と言われてしまうことでしょう。

大切なのは、瞬時に「これは何かおかしい」
と気づき、適切に相手に切り返す「瞬発力」
を持っていることです。

では、おかしな主張にすぐに気づき適切な
行動が取れる人と、おかしな主張をなかなか
見抜けない人の違いは何なのでしょうか?

それは、おかしな主張の典型的なパターンを
知っているか、知らないかの違い。

実は、おかしな主張の典型的なパターンを
知っておくだけで、すべてとは言いませんが、
かなりの部分を見抜けるようになるのです。

  「本書は、それを一度類型化し、整理して
  読者の皆様の生産性を高めたいという
  思いから執筆した書籍です。
  典型的なおかしな主張のパターンを
  四パターン紹介するとともに、併せて、
  そうした主張に騙されないための
  心構えを紹介しました。」

著者はグロービスとなっていますが、
執筆しているのは、同社出版局長で、
グロービス経営大学院教授の嶋田毅さんです。

本書は、PHP研究所発行の雑誌『衆知』に
連載された「グロービス経営大学院
ロジカルシンキング講座」をベースに加筆し、
まとめられた本です。

では、おかしな主張の典型的な4パターンを
例と共に見てみましょう。

 1. 論点がずれている

  若手男性社員Aさんが、30代女性先輩社員
  Cさんからセクハラまがいのことをされ、
  上司のBさんに相談を持ちかけた時の
  Bさんの発言。

  「まあ、昔はそういうことで悩んでいた
  女性も多かったんだから。我慢しろよ」

 2. 論理展開が間違っている

 ・演繹法のミスパターン
  「日本は地震国だ。ビジネスが止まると
  大きな損害を受ける。平時からBCP
  (事業継続計画)にもっとお金を
  かけるべきである」

 ・帰納法のミスパターン
  「Aさんが癌になった。Aさんのお父さんも
  癌で亡くなった。Aさんはどうも癌家系
  のようだ」

 3. 根拠・前提が間違っている

  「鹿島建設は株式公開企業だ。清水建設は
  株式公開企業だ。竹中工務店は株式公開企業だ。
  大成建設は株式公開企業だ。大手ゼネコン
  としてやっていくには株式公開して市場から
  資金を調達することが不可欠だ」

 4. 根拠が偏っている(バランスが悪い)

  「もう夫に対する愛情はなくて復活する
  見込みもない。夫が浮気したので慰謝料を
  もらえそう。離婚しよう」

これらの4つのパターンを頭の中に入れて、
本書で相手のおかしな主張を見抜く訓練を
行えば、どこがおかしいのかが10秒以内に
わかるようになるようです。

おかしな主張への感度を高めることが、
ビジネスパーソンとしての生産性も高めます。

この本から何を活かすか?

ビジネスでは「数字」が説得力を持ちます。

しかし、数字だから正しいと思いこんで安心して、
騙されてしまうこともあります。

むしろ「数字だからこそ疑う」姿勢が大切。

本書では、数字を使った主張で
気をつけるべきポイントを3つ挙げていました。

  ・正しくても古い数字
  ・測定された状況が不適切な数字
  ・前提が恣意的な数字

こういった数字で騙されがちなパターンを
押さえておくと同時に、自分の中に
それが正しいかどうかを判断するための
「参照値」を持っておくことも必要なようです。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 05:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由

満足度★★★
付箋数:25

  「同じ “カエル” を見ても、子どもが見るのと、
  生物学者が見るのと、フレンチのシェフが
  見るのとでは異なるように、 “経営の視点” が
  なければ、会社の出来事、数字、あるいは
  ニュースを見聞きしても本当の理解、
  そして対策にはつながらないと思うのです。
  本書は、そうした問題意識をベースに
  16の論文と12冊の本を選んで、そうした
   “視点” について考えました。」

本書は、16本の論文と12冊の本を
ビジネススクール教授と一緒に読んで、
「気づく力」を鍛える本です。

一緒に読んでくれるのは、慶應義塾大学大学院
経営管理研究科教授の清水勝彦さんです。

本書は、清水さんが日経ビジネスオンラインに
2012年10月から2015年9月まで連載していた
「MBAプラスアルファの読書術」などの記事を
構成を変え、大幅に加筆したものです。

書籍編では、「人間のセオリー」について、
論文編では「経営学のセオリー」について
語られています。

最初の一冊として取り上げられていたのは、
1981年に至誠堂から刊行されている
C.N.パーキンソさんの『パーキンソンの法則』。

清水さんがこの本を手にしたのは、
同書で紹介されている「凡俗の法則」に
注目したからでした。

凡俗の法則(the Low of Triviality)とは、
「議題の1案件の審議に要する時間は、
その案件にかかわる金額に反比例する」
という内容です。

これは、何億、何十億の投資案件よりも、
何万円の話のほうが、会議で長く議論に
なるという法則。

具体的には次のような例が挙げられています。

 (1) 1000万ポンドの原子炉の見積もり
 (2) 350ポンドの事務員の自転車置き場建設
 (3) 21ポンドのミーティングのお茶菓子代

パーキンソンさんによれば、(1)は2分半、
(2)については45分、(3)は1時間15分かかり、
(3)はそれだけで決着せず、資料収集のために
次回持越しになったと指摘しています。

まさに「小銭にはうるさいのに、大銭には寛容」
という話で、実際にもよく聞く話です。

何千円とか何万円かの交通費や接待費は
厳しくチェックされるのに、会社が何億、何十億
単位の投資に失敗しても、責任はうやむやに
なるような事例です。

清水さんは、この凡俗の法則のポイントは
「実感」が湧くかどうかにあると解説します。

1000万ポンドの原子炉には、実感が湧く人は
少なく、お茶菓子代の話なら誰でも実感が
湧くので議論がつい長くなってしまうのです。

ここから逆引きして、清水さんは、
企業のビジョンや戦略を社員に理解させたり、
あるいは危機感を持たせるための提案を
しています。

それは「凡俗にも実感できるようにする」こと。

例えば、会社の業績が大赤字なのに、
社員に全然危機感がなければ、
実感としてわかるようにするのです。

赤字だったら給料を下げ、最高益ならボーナスを
はずむことなどで実感として伝わるでしょう。

清水さんと一緒に、本や論文を読み進めることで
わかるのは、問題の答えではありません。

問題解決するための前提として備えておくべき、
現状の「観察力」と「理解力」です。

正しく現状を認識することで、本当の課題や
目的が見えるようになります。

それこそが問題解決の出発点です。

本書は450ページを超える分厚い本ですが、
清水さんの語り口はとても親しみやすく、
意外と時間がかからずに読める本でした。

この本から何を活かすか?

ほとんどの組織は、構造上、どうしても
「理不尽」になってしまうもの。

しかし、理不尽にも「理由のある理不尽」と
「理由のない理不尽」があると清水さんは
指摘します。

大切なのは、それがどちらの理不尽なのかを
見極めること。

社会経験が長くなると、会社は理不尽なもの
と割り切っている方も多いことでしょう。

しかし、若手社員が会社の理不尽な点について
飲み屋で絡んできたら、煙たがらずに、
「これは本当に理由のある理不尽なのか」を
自らに問うチャンスとするべきなのです。

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| 経営・戦略 | 06:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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重力波とは何か アインシュタインが奏でる宇宙からのメロディー

満足度★★★
付箋数:23

2016年2月11日、米国の研究グループが、
世界で初めて「重力波」の直接検出に成功しました。

成功したのは、カリフォルニア工科大学と
マサチューセッツ工科大学が中心となって建設した
「LIGO(ライゴ)」という観測施設です。

LIGOは、Laser Interferometer Gravitational-
Wave Observatory(レーザー干渉計重力波観測所)
の頭文字を取った略称。

重力波の発見は、「成功すればノーベル物理学賞
は確実」と言われていたほどの研究です。

さて、この重力波の発見は何がそんなに
凄いのでしょうか?

重力波は、アルベルト・アインシュタインさんが
一般相対性理論によってその存在を
予言していたものです。

一般相対性理論からは、光速に近づくと時間が
遅れるなど、さまざまなことが予言されましたが、
その多くは既に証明されたり、実用化されて
います。

そして、証明されずに最後まで残っていたのが、
この「重力波の存在」でした。

アインシュタインさんが、一般相対性理論を
発表したのは1916年のことでしたので、
ちょうど100年をかけて、実際に重力波が
「ある」ことが証明されたのです。

LIGOのプロジェクトがスタートしたのは、
1992年のことでした。

本書の著者、川村静児さんは、以前に
カリフォルニア工科大学に籍を置いたことがあり、
LIGOにも参加して検出器の一部を担当した方です。

日本でも重力波検出器「KAGRA(かぐら)」を
岐阜県の神岡鉱山に建造し、研究している
日本の重力波研究の第一人者です。

では、重力波の発見で一体何ができるのか?

実は「宇宙のはじまり」も見れるようになる
かもしれないのです。

これまで私たちが使っていた望遠鏡は、
「光(電磁波)」を使って宇宙を観測する
ものでした。

光は秒速30万キロメートルという猛烈な速さで
伝わりますが、距離が遠ければ遠いほど
届くまでに時間がかかります。

普段、私たちが見ている太陽の光は、
8分前に太陽から発せられた光です。

100万光年離れた星から届く光は、
100万年年前に発せられた光なのです。

したがって、遠くを見れば見るほど、
「昔の宇宙」を見ていることになり、
望遠鏡の性能をさらに高めていけば、
やがて宇宙の誕生にたどり着くことになります。

しかし、宇宙のはじまりから38万年までは、
光がまっすぐ飛ぶことができませんでした。

つまり、宇宙誕生の光は、現在の地球に
そのまま届かないため、その様子を実際に
観測することはできなかったのです。

これに対して、重力波は宇宙誕生の瞬間から
まっすぐに飛ぶことができました。

重力波を観測できる重力波望遠鏡の
性能を上げていくと、宇宙のはじまりを
見ることができるのです。

重力波の直接検出は、そんな重力波天文学の
幕開けを意味します。

今回LIGOが発見したのは「ブラックホール連星」。

ブラックホールは、強い重力によって、
光さえも吸い込んでしまうため、
従来の電磁波を使った望遠鏡で
観測することは困難でした。

ブラックホール連星は、近接する2つの
ブラックホールがお互いのまわりをぐるぐる
回転する天体現象です。

これまで「そういうものがあるだろう」と
思われていましたが、観測されていませんでした。

本書では、重力波の理論から、観測の技術、
そして各国が競う重力波天文学の最前線までを
わかりやすく解説しています。

この本から何を活かすか?

月の引力によって起きている潮の満ち引き。

これを「月が近づくと満潮になり、
月が離れると干潮になる」と誤解している人が
多いようです。

潮の満ち引きは、重力によって地球のまわりの
「空間が歪む」ことで発生します。

本書では、ロープの切れたエレベータの中に
4つのリンゴを置いた場合の思考実験で
説明されています。

潮汐力のように「空間の歪ませる力」こそが
重力の本質なのです。

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| 科学・生活 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法 ゼロイチ

満足度★★★★
付箋数:24

  「ゼロイチをやりたい―。
  社会に出る以前から、僕はそう思っていました。
  決められたことを延々とこなす仕事ではなく、
  誰かがつくった “1” を “10” にする仕事でも
  なく、自分の手で “0” から “1” を生み出す
  ような仕事がしたい。 “今までになかったモノ”
  をつくり出して、世の中を “アッ” と
  驚かせたい。そんなことを夢見ていたのです。」

本書は、ゼロからイチを生み出す働き方について
語った本です。

  「僕が経験してきたことをベースに、
  会社のなかでゼロイチを成し遂げるうえで、
  意識すべきエッセンスをまとめたのが本書です。」

著者は、ソフトバンクで世界初の感情認識
パーソナルロボット「Pepper」の開発リーダー
として活躍した林要さん。

林さんは、ゼロイチは誰にでもできると言います。

スティーブ・ジョブズさんのような
特別な才能は必要ありません。

林さんも、トヨタ自動車からソフトバンクへ
移った経歴がありますが、いわゆるエリート
ではない方です。

  「数えきれないほどの失敗もしてきました。
  しかし、ただひとつ、僕が胸を張って
  言えるのは、 “それでも、ゼロイチに
  チャレンジし続けた” ということ。
  そして、それこそが、ゼロイチを成し遂げる
  唯一の方法だと思うのです。」

ゼロイチへたどり着く推進力は、
強烈な「情熱」です。

ですから、効率的に働くとか、キレイに働く
のとは真逆の世界。

当然、かなりのハードワークも必要です。

ただし、重要なのは労働時間の長さではなく、
脳内時間の占有率。

その仕事について「脳みそがちぎれるくらい」
考え続けなければゼロイチには到達できません。

トライアンドエラーを繰り返しますから、
かなりの「無駄」も生じます。

林さんは、「無駄」には2種類あると言います。

それは「意味のない無駄」と「意味のある無駄」。

「意味のない無駄」は徹底して排除する
必要がありますが、「意味のある無駄」は
排除してはいけません。

なぜなら、ゼロイチの成否は「意味のある無駄」
を厭わず、いかにそれを積み重ねることが
できるかにかかっているからです。

そして、ゼロイチは膨大な「意味のある無駄」の
果てに生まれます。

ゼロイチは、誰もやったことがないことなので、
あらゆる可能性を試さなければ出てきません。

極端に言うと、最終的な「解」以外の試みは、
すべて無駄。

しかし、99%の無駄を試してこそ、
1%の解が得られるのです。

この1%の解を得るための、膨大な無駄が
「意味のある無駄」であり、それをこなすには、
ハードワークも必要なのです。

本書には、熱いエピソードが詰まっています。

林さんがトヨタに入社して、ドイツで開発を
進めるF1チームに派遣されたのも、
熱さが伝わる行動があったからこそでした。

発想をゼロイチに変える本というよりは、
ゼロイチに向かう気概を伝える本だと思います。

 第1章 「失敗」の向こうにゼロイチはある
 第2章 ゼロイチの主戦場は「無意識」である
 第3章 「アイディア」だけでゼロイチは不可能
 第4章 「物語」がゼロイチのエンジンである
 第5章 「効率化」がゼロイチを殺す

林さんは、「Pepper」が一般発売された後、
独立のためソフトバンクを退社しました。

そして、2015年11月にロボット・ベンチャー
「GROOVE X」を設立して、新たなゼロイチへの
挑戦を始めています。

今後の林さんの動向にも、目が離せません。

この本から何を活かすか?

「制約条件」こそアイディアの源。

  「自由でなければ創造性を発揮することは
  できない・・・・。
  ときどき耳にする言葉ですが、僕は、これは
  間違いだと思っています。むしろ、何かを
  生み出すときに大切なのは “制約条件” 。
  これを明確にすることが、創造性を発揮する
  第一歩なのです。」

ヒトの脳は、大きなテーマについて漠然と
考えても、なかなか焦点が定まらないので、
制約条件がある方が考えやすいのです。

ですから、ゼロイチに着手するときは、
制約条件を明らかにすることから始めると
いいようです。

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| 仕事論 | 06:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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爆発的進化論

満足度★★★★
付箋数:27

硬骨魚類に分類される、いわゆる「普通の魚」は
たいてい「うきぶくろ」という器官を持っています。

うきぶくろは、中に気体を入れたり出したりして、
浮力を調節する器官です。

気体はうきぶくろのまわりの細胞から
取り込みますが、中には水面に口を出して、
空気を吸って直接うきぶくろに入れる魚もいます。

金魚が水面で口をパクパクさせているのは、
空気中の酸素を吸って呼吸しているのですが、
うきぶくろに空気を入れるためでもあります。

魚のうきぶくろと私たちの肺は、元は両方とも
消化器官が外側に膨らんでできた、同じ袋でした。

これを生物学的には、「相同」な器官と言います。

進化の順番で見ると、魚類が水中から出て両生類へ、
次いで爬虫類、鳥類、哺乳類といった四肢動物に
進化していきました。

すると、水中の魚が持っていたうきぶくろが、
陸に上がるときに、肺に進化して、
空気呼吸をするようになったのでしょうか?

実は、昔はこのように考えられていましたが、
事実は違います。

進化の順番から考えると不自然に思えますが、
本当は逆で、肺からうきぶくろに進化したのです。

それをどうやって突き止めるのか?

進化学的には、「最節約的」に考えるようです。

これは、いくつかある仮説の中から、
一番簡単な仮説を選ぶのです。

この考え方を「オッカムのかみそり」といい、
科学における原則とされています。

もし、待ち合わせをしていた彼女が遅れてきて、
言い訳をしたとします。

  「あのね、家を出たところで、妊婦さんが
  うずくまって産気づいていたの。
  だから病院まで送り届けたら、今度は交通事故に
  あっちゃって。たいしたことはなかったんだけど、
  その相手が小学生の時の同級生だったのよ。
  20年ぶりよ、もう、びっくりしちゃって。
  というわけで、遅れちゃったの、ごめんなさい。」

このように長々と言い訳をされた場合と、
次のように言い訳された場合、あなたらな
どちらを信じますか?

  「寝坊しちゃったの、ごめんなさい」

前者の言い訳も嘘とは限りませんが、
科学的な方法では、より単純な「寝坊」を選びます。

14世紀の神学者オッカムさんが提唱し、
「ある事柄を説明するのに、必要以上に多くを
仮定するべきではない」とした原則から、
科学の方向性を示すときに用いられる指針と
されています。

うきぶくろから肺へ進化したとすると、
進化の分岐からすると、2つの系統でバラバラに
2度の進化が起きたことになります。

一方、肺からうきぶくろになったと考えると、
1度だけの進化で説明がつくので、
より単純な、こちらの考えを採用するのです。

  「私たちヒトは、過去に起きたたくさんの
  奇跡が積み重なって生まれた生物だ。
  私たちの体をつくったそんな奇跡をたどって
  みようと思って書かせていただいたのが
  本書である。
  サブタイトルには “1%の奇跡” という
  フレーズを使ったが、そんな “1%の奇跡” が
  数えられないっぐらい起きた結果、
  生まれたのが私たちだ。だから私たちが
  生まれたことは、1%よりはるかに確率の低い、
  まさに奇跡的なことなのだ。」

著者は、東京大学総合研究博物館研究事業の
協力者の更科功さん。

本書は、進化の跡を探りながら、
従来の進化論を覆す、最新の生物学講座です。

更科さんは、たとえや日常の例を引き合いに
出すのが非常に上手く、本書の説明は
わかりやすいです。

そして、何より読者を引き込む筆力が凄く、
圧倒的に面白い。

学力的なバックボーンや老若男女を問わず、
楽しむことができる、ポピュラー・サイエンスの
お手本です。

この本から何を活かすか?

  「動物と植物の違いは、前後があるかないかだ。
  植物には前後がないが、動物には前後がある。
  イヌはたいてい前に歩くし、魚もふつう前に泳ぐ。
  でも、考えてみれば “前” ってなんだろうか。
  不思議なことに私たちは、イヌを見ても
  魚を見ても、どちらが前かすぐにわかる。
  いったい私たちはイヌや魚のどこを見て、
  前と判断しているのだろうか。」

こんな書き方をされると、思わず引き込まれて
しまいますね。

実は、私たちは「口のあるほう」を見て、
「前」と判断しています。

つまり、植物には口がないので、
「前」もないのです。

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| 科学・生活 | 05:57 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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グロービスMBAで教えている 交渉術の基本

満足度★★★
付箋数:22

交渉には大きく分けて2種類あります。

1つ目は、「価値分配型交渉」。

これは、一方の要求(得)が、もう一方の
譲歩(損)になる、ゼロサムの交渉です。

ゼロサム中の一定の価値を、それぞれが
どれくらい得られるかを分配しあいます。

2つ目は、「価値創造型交渉」。

こちらは、双方が得られる価値の合計を
最大化する交渉です。

交渉前に見えていた価値に、新たに生まれた
価値を加えた上で、お互いに得られるパイの
大きさ自体を大きくすることを目指します。

本書が目指すのは、この価値創造型交渉です。

交渉というと、特別な立場にある人が行うもの
というイメージがあるかもしれません。

しかし、本書で対象とするのは、営業力や
プレゼンテーション力なども含めた
ビジネスシーンでの広い範囲での交渉です。

本書は、ビジネスパーソンなら知っておきたい
「交渉」の基礎技術を、7つのストーリーで
学ぶ「交渉の教科書」です。

まずは、交渉の3つの基本的概念を押さえます。

<BATNA>
Best Alternative to Negotiated Agreement
の略で、「交渉が合意しない場合の最善の案」
です。

交渉相手から提示されたオプション以外で、
最も望ましい代替案であり、交渉に関する
最も重要な古典的概念です。

もし、交渉が決裂したら自分はどう行動するか、
相手はどう行動するかを見極めておくことが
重要です。

<留保価値>(Reservation Value)
これを下回れば絶対に交渉で妥協しないという
最低条件です。

通常はBATNAを行使した際に得られる価値で、
交渉を撤退する基準となります。

<ZOPA>
Zone of Possible Agreementの略で、
交渉の合意可能領域です。

交渉が妥協する可能性がある範囲のこと。

もし、お互いの留保価値がわかれば、
交渉は連立不等式を解くようなものです。

仮に自社の留保価値が500万円より上で、
相手の留保価値が550万円より下なら、
500万円<ZOPA<550万円となります。

また、自社の留保価値が600万円より上で、
相手の留保価値が550万円より下なら、
ZOPAは存在しません。

しかし、通常自らの留保価値は分かっていても、
交渉相手の留保価値を知ることはできません。

そこで、最初に自社のBATNAをしっかり押さえ、
相手から出る条件と比べ、交渉のテーブルに
つくかどうかを判断します。

実際には、交渉の過程を通じ、相手の
BATNAから可能な限り相手の留保価値を
予測して、ZOPAの中での目標値を決めて
交渉に臨みます。

これが交渉の基本ですが、教科書通りに
いかないのが交渉の難しさです。

本書では、交渉の合理的な判断を妨げる
要素として、「情報の入手の難しさ/非対称性」、
「認知バイアス」、「心理的バイアス」の
3点を挙げています。

そして、互いが利害関係に抱いている
価値の違いを発見して、それを交換することで
妥協の可能性を広げ、新たに価値を創造する
ことを目指します。

こうした交渉の流れはイメージしにくいので、
各章の冒頭にミニストーリーを用意して、
リアルに伝わるように工夫されています。

本書は、非常にコンパクトにまとまった
「交渉の入門書」だと思います。

この本から何を活かすか?

交渉には、文化的な行動規範、いわゆる
国民性が反映する場合があります。

アメリカでは映画「12人の怒れる男」で描かれて
いるように、個人の信条に基づいた自己主張が
大事にされます。

一方、日本では落語の「三方一両損」で描かれた
社会規範と考えられます。

裁定する立場の者も含め、みんなで痛みを
分かち合うことをよしとするのは日本独特です。

グローバルな交渉を行う際は、相手がどのような
社会規範を持つかを知ることも重要です。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?

満足度★★★
付箋数:19

資料提出の期限まであと1時間。

ゴールは80点で仕上げるべき仕事ですが、
残りの時間では50点までしか仕上がりません。

このような状況で、あなたはどうしますか?

ここで絶対にやってはいけないのは、
「すみません、期限に間に合いそうもありません」
と報告して、提出しないことです。

本書の著者、木部智之さんが勤めるのは、
外資系企業の日本IBM。

外資系では、約束した日付に提出物を出せないと、
「0点」とみなされます。

とにかく成果を厳しく問われる文化なので、
それを繰り返すと、どんどん肩身が狭くなって
しまうようです。

ここでの正解は、50点でもいいので、
何が何でも締め切りまでに提出すること。

このときに「クオリティはまだ50点です」などど
報告する必要はありません。

さらに、「明らかに終わっていない」ことが
バレないように工夫しておきます。

そのためには、次の3つのNGを排除して、
「明らかに締切に間に合わなかった」感を
消して、体裁を整えます。

 NG1. 用語や数字の確認が終わっていないため
    「?」がついている

 NG2. まだ確定できていない部分に「××円」
    など、ダミーが入っている

 NG3. 前のほうは仕上がっているが、
    後ろのほうが仕上がっていない

もし、調査が終わっていなかったり、
まだ裏が取れていない資料を出す場合でも、
「まだ調べていない」ことは自分だけが
わかっていればいいことです。

「もう少し数字を確認するところがあるので、
変更があれば3日以内に追記します」と
伝えておくとスマートに見えるようです。

本書は、仕事のスピードをアップさせるための
あらゆるテクニックを紹介した本です。

「誰でも、今すぐできるテクニック」が
集められています。

「仕事のスピードを上げたい」とは、
誰もが思うことですが、意外とそのスキルや
テクニックは共有されていません。

なぜなら、仕事の速い人のやっていることは、
結果は見えても、そのプロセスが見えないから。

仕事が速い人の実践しているテクニックは、
本人にとっては「あたり前」のことが多いため、
共有されず、ブラックボックスとなってしまう
ことが多いのです。

本書では、そのブラックボックスの中身を
公開しています。

木部さんは、仕事を速くするための
「3原則」があると言います。

 原則1. 速くやる
    手そのものの速さであったり、
    マウスを使わずにショートカットで
    操作することなど。

 原則2. ムダを省く
    どんな作業がムダかを見極め、
    そのムダを取り除き、仕事を早くする。

 原則3. 確実にやる
    速くやって間違うよりは、一発で仕留め、
    確実にやるほうが最終的には速くなる。

また、本書では、類書で見られるような、
ショートカットなどのテクニックだけでなく、
チームで仕事をする場合のテクニックや、
「思考」のスピードを上げる方法まで
解説されています。

 第1章 仕事の速さは始める「前」に決まる
 第2章 「作業のスピード」は習慣化で速くなる
 第3章 「チームのスピード」は仕組みで速くなる
 第4章 「ない時間」をひねり出す
 第5章 「思考のスピード」は型で速くなる

この本から何を活かすか?

  「資料作成は、80%を構想に使い、
  20%を作成に使う。そうすると、最小限の時間で
  アウトプットができます。構想は必ずノートや
  紙の上で、手書きで行ないます。」

本書では、「リングの方眼ノート」を横に
使うことが推奨されています。

方眼タイプだと図が書きやすく、横に使うと
そのままパワーポイントの下書きになり、
狭いスペースでも書けるようにリングタイプが
勧められています。

ちなみに私が使っているリングの方眼ノートは
こちらです。

マルマン ノート スパイラルノート

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| ノウハウ本 | 06:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ひとりで学べる電磁気学

満足度★★★
付箋数:24

交通乗車券や電子マネーに広く利用されている
非接触ICカード。
 
最も知られている規格はソニーのFeliCaで、
スイカやパスモ、Edy、ナナコなど、
ほとんどはこの規格を採用しています。

ご存知のように、カードリーダーに直接
触れなくても、近づけるだけで使用できます。

スイカなどは、財布やカードケースに
入れたままでも、改札を通れるのが
非常に便利なところです。

ところで、なぜ、この非接触ICカードは、
財布の中に入れたままでも、使えるのか?

非接触ICカードで使われているのが、
「ファラデーの法則」を用いた、
電磁誘導の仕組みです。

ファラデーの法則とは、イギリスの物理学者
で化学者のマイケル・ファラデーさんが
発見した法則です。

電磁誘導によって回路に生じる起電力は、
その回路を通る磁束の時間的な変化の
割合に比例するという法則。

非接触ICカードの仕組みは、まず、
リーダーから電波が出ていて、その近くに
半径10cmほどの領域に磁場が作られます。

カードの中には、渦巻状のコイルを印刷した
薄いフィルムが入っています。

このコイルを磁場に近づけると、誘導電流に
より電流が流れます。

流れた電流によってIC回路は充電され、
電池は入っていませんが、IC回路が動作して、
記録の読み出しや操作が行われます。

一方、コイルに流れる電流によって、
反磁場が作られます。

この電波がリーダーに到達するまで、約1秒。

そうすると、カードとリーダーが結合された
ことが確認され、リーダーがピピッと鳴ります。

カードとリーダー間のデータ交信があるので、
ちょとだけ反応を待たなければないのです。

さて、私たちの日常生活は、電気や磁気による
様々な恩恵を受けています。

非接触ICカード以外にも、私たちが毎日使う
ものにはスマートフォンがありますね。

スマートフォンの画面を軽く触れただけで、
操作ができるのも、電磁気学のおかげです。

本書は、電磁気学の基本概念をわかりやすく
丹念に説明した本です。

著者は、長年にわたって電磁気学の教科書を
書き、講義をしてきた九州大学名誉教授の
中山正敏さん。

  「まず電場や磁場を、数式よりも電気力線や
  磁力線によって一つのモノとして捉えることが
  大切である。これら力線とその運動法則から、
  電磁波にいたるまで説明してみた。
  また、基本概念や法則が作られる過程を、
  残された記録や実験装置を紹介して、
  それを今の電磁気学の見地から検討する
  ことを試みた。これは、理解を助けると
  ともに、研究の現場の雰囲気を感じて
  もらうことにもなる。」

数式は、ある程度出てきますが、イメージで
直感的に理解できるように書かれています。

出てくる数式は、「絵文字」みたいなもの
と考えて読むことが推奨されています。

私が本書を読んだのは、先日紹介した
小山慶太さんの『光と電磁気』を読んで、
もう少し電磁気学の基本概念を勉強しよう
と思ったことがきっかけ。

本当の電磁気学の教科書を読むのは
かなりハードルが高かったので、
こういったイメージで理解できる本が
ちょうど良かった。

「ひとりで学べた」とも言えますが、
正直、けっこう難しい所もありました。

この本から何を活かすか?

磁石をどこまで分割できるか?

家庭などで使われてるフェライト磁石は
脆いので、金づちで簡単に割ることができます。

割った磁石の破片も、やはり磁石です。

これを更に細かくしていくと、
どこまで磁石の性質を持つのでしょうか?

磁石でなくなる粉粒子の大きさは、
物質によって異なりますが、フェライトでは、
1μm(0.001mm)程度まで細かくすると、
磁区構造がなくなるようです。

粉自体は集まって球状の塊になりますが、
全体として磁化は持たなくなります。

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| 科学・生活 | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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給料戦争

満足度★★★
付箋数:21

本書は、経営コンサルタントの竹内謙礼さんと
公認会計士の青木寿幸さんのコンビによる
大好評「ビジネス戦略ノベル」シリーズの第5弾。

第1弾の『会計天国』では、決算書と会計知識を
学びました。

第2弾の『戦略課長』では、事業計画書や
経営戦略の立て方から、投資のルールまでを
学びました。

第3弾の『猿の部長』では、実践的な
マーケティング戦略を学びました。

第4弾の『貯金兄弟』では、貯金からローン、
保険、老後資金までのマネー戦略を学びました。

そして、第5弾の本書で学ぶのは、
会社員必須のキャリアアップの秘訣です。

税金と社会保険制度、給与体系、人件費削減、
転職、出向、人事評価制度などがトピックです。

このシリーズ、学べる内容もさることながら、
物語の面白さが秀逸。

今回も、笑いながら読めて、思わずホロリと
させられ、最後は笑顔で終わります。

主人公は、辻屋食品で営業課長をつとめる
浅野敬一、34歳。

非常にお人好しで、ちょっと間の抜けた
サラリーマンです。

出世競争に勝つために、上司に媚びを売ったり、
同僚を出し抜いたりできない性格。

上司から無理やり押しつけられて、
東南アジアのラオスに出張していましたが、
休日にレンタルバイクでバローンの滝まで
ツーリングしてた際に、ある男性と遭遇します。

滝壺から浮かび上がってきた衰弱した男性を
浅野が見つけ、助けたのが2人の出会いです。

助けた相手は、1945年の終戦間際から
タイムスリップしてきた日本兵の花沢武でした。

2人は、日本に戻り一緒に暮らすことになります。

この2人に、浅野の恋人で社会保険労務士の
倉田由美子を加えた3人の会話を軸に、
ストーリーは進行します。

会社の仕組みを学ぶ上での先生役が由美子で、
生徒役が浅野と花沢という構図です。

花沢は、熱い性格で天然も入っていますが、
旧日本兵の視点で、現代の会社の制度に
ツッコミを入れるのが、本書の肝になっています。

辻屋食品では、同期入社でエリートの
椿山良介が本部長に昇進し、浅野の上司になります。

この椿山が、性格の悪い敵役です。

 第1章 基本給は25万円なのに、手取り額が
    20万円ちょっとになる理由
    ―税金と社会保険料はどういう計算で
     差し引かれるのか
 第2章 サラリーマンが、給料を上げるために
    絶対にやるべき5つのこと
    ―会社に必要な人材であるとアピール
     しなければ、給料は上がらない
 第3章 会社の業績を回復させるためには、
    人件費の削減も必要
    ―社員のモチベーションが下がらない
     リストラの方法
 第4章 転職する95%の人が失敗してしまう理由
    ―転職に成功して、キャリアアップ
     するためのコツ
 第5章 買収した子会社への転籍は、
    栄転か? 左遷か?
    ―転籍と出向、そのメリットとデメリット
     を冷静に分析する
 第6章 社員が自分の給料の決定プロセスを
    知らない会社は儲からない
    ―社員が納得できる人事の評価基準を
     導入する

34歳の浅野が課長の割には、もの知らなさ過ぎ
という印象を受けますが、ストーリーの面白さは、
折り紙つきの一冊です。

この本から何を活かすか?

由美子は飲み屋の席で、浅野と花沢に
サラリーマンが給料を上げる方法を示します。

  1. 会社に利益をもたらすこと
  2. 組織を作って、その中核になること
  3. 上司に信頼されること
  4. 自分の目標を持つこと
  5. チャレンジすること

ここでは、会社での組織と、旧日本陸軍の組織を
比較しながら、日本が戦争で負けた原因までを
学べるところが興味深い。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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超チーム力

満足度★★★
付箋数:22

100人の開発者からなるソフトウェアの
開発グループが、急にあなたに与えられました。

そして、きわめて重要なプロジェクトが
割り振られました。

あなたは、次のどちらの方法を選択しますか?

 A) 優れた進行管理やリーダーシップなどを
  駆使して、100人全員でプロジェクトに取り組む。

 B) このプロジェクトに取り組むことに前向きで
  最も優秀な7人をグループ内から見つけ出し、
  プロジェクトに取り組んでもらう。
  残り93人を解雇し、節約した金を使って、
  7人が本当に希望・必要とする最高のツールや
  環境を提供する。
  さらに残った金は、7人がより楽しく、
  気持ちよく仕事に取り組めるように使う。

実際にできるかどうかは別にして、
シナリオBは非常にチャレンジングで
魅力的な選択肢です。

  「仕事の量は、完了のために与えられた時間を
  すべて満たすまで膨張する。」

これは、1955年にイギリスの海軍史家
シリル・ノースコート・パーキンソンさんが
提唱した「パーキンソンの法則」です。

時間は人員とも考えられるので、
組織の人数は、なすべき仕事量に関係なく、
増える傾向にあるということです。

果たして、あなたのチームは、割り当てられた
仕事に対し、適切なサイズでしょうか?

  「チームは、人間の私生活と社会生活の
  大部分を構成するものだ。成功と幸福を手に
  するために、人はチームに頼ることになる。
  しかしながら、そのチームについてわれわれが
  深く考えることはめったにない。
  おかしな話ではないだろうか。
  チームは人間の生活の基盤になるものにも
  かかわらず、主に運、偶然の出来事、
  環境によって形成されることが多く、
  意図的に作られることはほとんどないのだ。」

本書は、「勝てるチーム」を作るための本。

これまで経験にたよって行われてきた
チームビルディングを、数多くの事例から、
科学的に検証します。

著者は、フォーブス誌の発行人で
起業家のリッチ・カールガードさんと、
ジャーナリストのマイケル・S・マローンさん。

お二人は、本書で次のようなアイディアを
検証します。

 ・人種やジェンダーの多様性に関する、
 科学的に正しい答えとは?

 ・認知的多様性が最も高いパフォーマンス
 向上につながる理由。

 ・チーム内の関係の至福点を見つけ、
 生産性を三倍向上させる方法。

 ・画期的な成功を遂げる確率が、
 1人の天才よりも、小さなチームのほうが
 40%も高いわけ。

 ・チームにとって魔法のサイズが7(±2)人、
 150人、1500人である理由。

ちなみにチーム150人とは、イギリスの人類学者、
ロビン・ダンバーさんが提唱した「ダンパー数」
として知られる人数です。

人間にとって、150人が、それぞれと安定した
関係を維持できる人数の認知的上限とする考え。

ダンパー数は、この150以外にもあります。

 3~5人 : 最も親密な友人関係を築ける人数
 12~15人 : 誰かが死んだときに、深く嘆き悲しむ
      友人や家族の数。
 50人 : オーストラリアのアボリジニや
    アフリカ南部のサン人が移動するときの
    平均的な規模に相当
 150人 : 最も有名なダンパー数。

本書は、実用性の点では若干微妙ですが、
読み物としては面白く、チームビルディングに
おいて、新たな視点を与えてくれる本です。

この本から何を活かすか?

チームワーク理論の第一人者である
メレディス・ベルビン博士は、
4~6人の小規模のチームこそが、最もうまく
チーム機能する「スィートスポット」だと
主張しています。

そして、チームが発する文化的なメッセージは、
人数が増えるたびに変わるようです。

 4人 : 私たちはバランスの取れたチームであり、
   合意形成を得意とします。

 5人 : メンバーのうち1人が異質な存在である
   傾向があります。

 6人 : 合意形成には時間がかかりますが、
   最後には必ずたどりつきます。

 7人 : たくさんの結果を生み出しますが、
   一貫性がありません。

 8人 : メンバーは自由に話をしますが、
   誰も人の話を聞きません。

 9人 : 誰かが指揮をしてくれれば、
   うまくいくチームです。

 10人 : 1人のリーダーが出現しますが、
    リーダーのアイディアは平凡な
    ものばかりです。

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| 組織・社内教育・コーチング | 06:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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〈わたし〉は脳に操られているのか

満足度★★★
付箋数:23

1991年2月17日の真夜中すぎ、米ジョージア州
オークウッドのドミノ・ピザに強盗が入りました。

強盗はレジから現金を奪った後、
店長にひざまずくように命令しました。

強盗は相手の後ろに回り、汗に濡れた後頭部に
拳銃を当てます。

店長は金を持って出ていってくれと命乞い
しましたが、強盗は容赦なく引き金を引きました。

こんな無慈悲な殺人者にも弁護団がつきます。

どうすればこんな殺人事件でも有利に裁判を
すすめることができるのか、弁護団は考えました。

まず、健康診断から始めることにして、
彼の身体と精神を徹底的に検査しました。

しかし、成果は乏しく、彼には身体的、心理的、
精神的、神経学的な疾患はありませんでした。

また、躁うつ病も、統合失調症も、
アルツハイマー病もありませんでした。

検査で見つかったのは、取るに足りないこと
だけで、いくつかの主要神経伝達物質を
分解するモノアミン酸化酵素Aが、
わずかに不足しているに過ぎませんでした。

これで犯人が正気でなかったと主張するには
まったくもって不十分です。

しかし、ここで弁護団は大胆な作戦に
出ることにしました。

脳内ニューロン間のコミュニケーションが
神経伝達物質の相対的濃度に影響されたせいで、
彼は殺人を犯したと主張しました。

弁護団の陳述は以下の通りです。

 罹患男性におけるMOMA(モノアミン酸化酵素A)
 の活動停滞は、通常MOMAを用いて体内で
 分解される、神経伝達物質のセロトニン、
 ノルアドレナリン、ドーパミン、および
 アドレナリンの過剰分泌につながった。
 ・・・MOMA遺伝子の欠陥により、これらの
 神経伝達物質が過剰に蓄積すると、
 罹患者はストレスの多い状況に対応するのが
 困難になり、その結果、過剰に、
 ときに暴力的に反応する。

この主張は、彼が殺人を犯したのは、
彼の脳によって決定されたことなので、
彼自身は犯罪に対して全責任を負うことは
できないということを意味します。

果たして、人を殺したのは脳のせいと
言うことができるのでしょうか?

現在の脳科学では、脳が人間の思考や行動を
因果的に決めているため、自由な意志は
存在しないと考える「決定論」が主流派の
考えです。

この決定論でいくと、ドミノ・ピザの
強盗殺人事件の弁護団の陳述のように、
「それは脳のせいだ」という主張に
なりかねません。

ちなみに一般的決定論は、19世紀に
ピエール・ラプラスさんが主張した、
いわゆる「ラプラスの悪魔」につながります。

この決定論と対立するのが、人間には
「自由意志」があるという立場です。

こちらは脳による無意識の決定を超えて、
人間には意識的に熟考する能力があると
考えます。

著者のエリエザー・スタンバーグさんは、
イェール大学付属病院の神経科医で、
本書で脳科学の主流派の主張に異を唱えます。

「限りのない問題」があった場合、
決定論的システム(アルゴリズム)では
解けないとし、一方、人間は「限りのない問題」
に対処できることから、人間にはアルゴリズムを
超える自由意志があると主張します。

本書は、脳科学の重要なテーマを論じ、
多数派の主張に切り込んでいく話題作です。

この本から何を活かすか?

  「もしもある瞬間における全ての物質の
  力学的状態と力を知ることができ、
  かつもしもそれらのデータを解析できるだけの
  能力の知性が存在するとすれば、この知性に
  とっては、不確実なことは何もなくなり、
  その目には未来も(過去同様に)全て見えて
  いるであろう。」

これがピエール・ラプラスさんの提案です。

しかし、20世紀になって「ラプラスの悪魔」を
覆したのが、量子力学でした。

全ての粒子の位置と速度を正確に知ることが
できないから、原子の運動は確率的にしか
把握できない。

つまり、ラプラスの悪魔でさえも未来を
完全に計算することはできないのです。

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| | 06:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ワタミの失敗

満足度★★★
付箋数:19

2013年頃、ブラック企業として批判されていた
ユニクロとワタミ。

批判を受けていた当時のトップの発言が、
その後の明暗を大きく分けました。

<ユニクロ・柳井正さんの発言>
  「問題がなかったわけではなかった。
  グローバル化を急いで対応しようとして、
  要求水準が高くなったことは確か。
  店長を育てるにしても急すぎた反省はある。」

  「昔の我々の会社には、ブラック企業のような
  部分はあったと思う。それはなくなってきた」

  「世界中の社員には、何人かブラック企業の
  ようなことをやっている人はいるかも
  知れないが、会社としては容認していない」

<ワタミ・渡邉美樹さん他経営陣の発言>
  「我々はブラックではない。ブラック企業の
  基準もあいまいだ。(批判には)事実を
  積み上げて説明したい」

  「ブラック企業との風評が広がり、居酒屋の
  客足だけでなく介護や食事宅配サービスの
  売上にも影響した」

  「ブラックだなんて全然思っていない、
  過去も今も、将来も」

  「労使の関係は基本的に存在しないと思っている」

ユニクロは、ブラックと言われる問題の
存在を認めたうえで、反省する態度を示し、
実際に改革を行っていきました。

一方、ワタミは一貫して「誹謗中傷の被害者」
というスタンスで、ブラックと呼ばれることを
否定し続けました。

トップが真っ先に非を認めて、改悛の情を
示すのか、追い詰められてからようやく
対応するのか。

その違いが、業績に大きな影響を与えたと、
本書の著者・新田龍さんは指摘しています。

ユニクロの国内事業は、直近期売上高と
営業利益は共に過去最高益を記録しましたが、
ワタミは2期連続の巨額最終赤字を計上し、
廃業・倒産直前まで追い込まれました。

本書では、ワタミだけが突出してブラック企業と
批判を受けた理由とそのメカニズムを探ります。

また、ブラックと呼ばれないための防止策と
万一、呼ばれてしまった場合の対処法を示します。

トヨタ自動車、電通、神戸製鋼所、中部電力、
JR西日本、日立造船、東京海上日動火災保険、
キヤノン、マツダ、富士通、住友電設・・・

これらの名だたる企業も、過去に過労死や
過労自殺が発生し、労災として認定されましたが、
ワタミほど、ブラックとして批判されていません。

2008年4月にワタミフードサービスで
入社2ヶ月目女性社員の過労自殺が発生しました。

この事件をきっかけにワタミのブラック企業批判
が始まりました。

批判が広がるためには、次の3つの条件が、
背景にあったと新田さんは指摘しています。

 背景1. 幅広い世代、地域で話題を共有できる
 背景2. 経営者がよく知られている
 背景3. イメージと実態のミスマッチがある

実際に、こられの条件がそろっていて、
ワタミ以上にひどい条件の会社は他にも多数あり、
明らかな労基法違反を行っている会社もあります。

それでは、なぜワタミだけにブラック企業の
バッシングが集中したのでしょうか?

  「私の見解としては、 “批判されやすい背景”
  に加えて、様々な事象が発生する “タイミング
  が合致した” こと、そして批判対応において
  やるべきことをやらず、 “やってはいけない
  ことをやってしまった” こと、すなわち
   “批判に至るすべての条件がそろった”
  からだと考えている。」

個人的に面白かったのは、ワタミの対応を、
危機管理広報の伝説的な成功事例の
「タイレノール事件」と、伝説的な失敗事例の
「アラスカ沖タンカー座礁事故」と比較して
いたところです。

ワタミの危機管理広報は、まさに失敗事例の
対応をなぞっていたことがよくわかります。

この本から何を活かすか?

ワタミは2016年6月27日付の朝日新聞朝刊に
次のメッセージを全面広告として掲載しました。

  「私たちワタミは、一連のブラック企業批判
  に対して、その理由と要因にしっかりと
  向き合い、働き方や社会との関わり方をはじめ
  アイデンティティーを聖域なく見直しました。
  再生に向けて、私たちはいちばん大切にする
  ものを “心” と明確に定めました。
  働く従業員の心、お客さまへの心、社会への心を
  どこよりも大事にする企業を目指します。」

「ワタミがブラックとは全然思っていない」
との2年前の発言から大きく変わりました。

果たして、ワタミは本当に変われるのか?

今後のワタミの動向に注目したいところです。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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自分の都合を押しつける人

満足度★★★
付箋数:20

あなたの上司には、次のような特徴が
見られませんか?

 ・自分の果たした役割や重要性を過大評価
  している。成功した場合は、部下の貢献を
  過小評価する。

 ・難しい問題が起こったとか、失敗した場合は、
  自分の責任を決して認めない。責任をすべて
  部下に押し付けようとする。

 ・部下がちょっとでも自分の意見に異を唱え
  たり、自分の方針とは違う提案をしたり
  すると、すぐに気を悪くしてイライラする。

 ・自分は特別扱いされて当然だと、
  正当な理由もないのに思い込んでいる。

 ・学歴、資格、人脈、業績・・・とにかく
  何でもひけらかす。また、どれだけ自分が
  慕われているか、どらだけ会社幹部と
  親しいかについても延々と話す。

もし、こういった特徴が見られれば、
それは「ナルシズム上司」です。

ナルシズム上司は、とにかく自己愛が強い。

自分の優位性を常に誇示せずにはいられないし、
それを他人が認めて賞賛してくれることを
期待しています。

その期待通りの反応が周囲から返ってこないと、
不機嫌になり、自分がどれだけすごいかを
認めさせるために自慢話を繰り返します。

こういった上司に遭遇したら、どのように
対処したらよいのでしょうか?

まず、一番やってはいけないのは、
上司の意見に反対したり、批判したりすること。

自分が誰よりも賢く、誰よりもよく知っている
と勝手に思い込んでいるので、こちらの
言うことを聞くどころか、激怒する可能性が高い。

認めてもらいたくてたまらない上司の欲望を
満たすために、「すごいですね」ととりあえず
ほめていい気持ちにさせます。

その上で、どうしても言わなければならない
ことを言うのがベストです。

そして、とにかく礼儀正しく接することが大切。

相手は自分が認められているか、敬意を払われて
いるかに敏感で、常に気にしています。

機嫌を損ねないように、敬語を使い丁寧な
態度を示さなくてはなりません。

また、ナルシズム上司に「ギブアンドテイク」
を期待するのは無駄です。

向こうは「やってもらって当然」と思って
いるので、あなたがいくら頑張っても、
認めてくれることも、感謝を示してくれる
ことも、まずありません。

しかも、ナルシズム上司に頼まれた仕事を、
夜遅くまで残業したり、休日出勤してやるのは、
極力、避けた方がいいようです。

この手の上司は、すぐにそれが当たり前だと思い、
更に余分な仕事を頼んでくる可能性が高いのです。

逆に、残業や休日出勤を断らなくてはならない
場合には、こっぴどく叱られるかもしれません。

もう1つ、ナルシズム上司の前で、決してやっては
いけないのは、あなた自身の成功や人脈などを
自慢することです。

常に自分が1番でないと気がすまないので、
これをやってしまうと、あなたに嫉妬して、
さまざまな嫌がらせを始めるかもしれません。

本書の著者は、人間関係分析の第一人者で
精神科医の片田珠美さんです。

片田さんは、会社にいる厄介な上司として、
ナルシズム上司以外にも、サディズム上司、
パラノイア上司、パッシブ・アグレッシブ上司
などの特徴を挙げ、その対処法を解説します。

また、会社以外で遭遇する迷惑な隣人や
自分の欲望や自分勝手な都合を
押しつけてくる人への対処法を示します。

この本から何を活かすか?

厄介な相手からの、こちらが受ける被害を
できるだけ少なくして、今後の関係をプラスに
するには、どうすればいいのでしょうか?

本書で片田さんが示す、対処法は次の5つです。

  1. すぐには言い返さない
  2. 具体的な説明を求める
  3. 向こうの言い分を確認して、
   こちらの言い分も伝える
  4. 相手の敵意や悪意をなくすのは無理と
   割り切る
  5. 接触や関係をしばらく断つ

いずれにせよ、本書で相手の心理を見極め、
冷静に対処することが求められます。

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| コミュニケーション | 08:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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7つのゼロ思考

満足度★★★★
付箋数:29

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

次のような状況の場合、あなたなら、
どの順番で仕事をしますか?

現在、あなたは3つの仕事を抱えています。
そんなあなたに、新たな仕事の依頼がありました。

その仕事は、他の3つの仕事より難易度は低く、
30分もあればこなせる仕事でした。

 1)新たな仕事を加えた優先順位を考えて、
   最も優先順位の高い仕事から順に終わらせる。
 2)新たな仕事を後回しにする。
 3)新たな仕事を先に終わらせる。

本書の著者、中村一也さんは、金融機関に
勤めていた時に、通常1週間かけて行う仕事を、
たった1日でこなさなければならない
かなり過酷な状況に追い込まれました。

これは一時的な状況ではなく、人員が減った
ことなどで、恒常的にそうなってしまったのです。

そんな圧倒的に時間がない中でも、
結果を出すために生み出されたのが、
本書で紹介される「7つのゼロ思考」です。

  1. ボール=0
  2. 期待値=0
  3. デスク=0
  4. オリジナル=0
  5. 作業=0
  6. モレ=0
  7. モノマネ=0

この内、最も仕事のスピードに関係するのが、
ボール(仕事)を受けたらすぐ離す
「ボール=0」思考です。

最初に質問した、3つの仕事を抱えている時に、
新たに簡単な30分の仕事を依頼された場合の
正解は「3:先に終わらせる」です。

一般的には、「緊急度」と「重要度」の
2軸で優先順位をつけて仕事をすることが
推奨されています。

しかし、現実的にこの方法では
うまくいかないことが多くあります。

なぜなら、緊急度と重要度の高い仕事が
次々と入ってくるからです。

トータルの作業時間を最小化するには、
一見些細な仕事であっても、後回しにせず、
可能な限り早く対応することがポイント。

この仕事を先にやってしまうと、30分後には
仕事は3つに戻りますが、後回しにすると、
しばらく仕事が4つの状態が続きます。

後回しにするデメリットは2つ。

1つ目は、その仕事をすることを常に頭の片隅に
置いておかなければならないこと。

2つ目は、この後も次から次に仕事が来ると、
些細な仕事ほど後回しになってしまうことです。

些細な仕事でも後回しにすることで、
相手の仕事への期待値は上がってしまい、
レスポンスが遅いと、相手の心証も悪くなります。

中村さんが本書で強調しているのは、
「仕事は受ける瞬間が勝負」で、その場で
依頼主に「仮説のある質問」をすることが、
仕事量を大きく左右する点です。

仮説のある質問とは、自分が主導権を握った
先制提案のクローズド・クエスチョンです。

「◯◯はどうしましょうか?」などのオープンな
質問は相手に仕事の方向性を委ねてしまうので、
仕事量が増大してしまう極めて大きなリスクを
抱えています。

一方、「◯◯の件ですが、私は××でいこうと
思っています。それでよろしいでしょうか?」
と「イエスorノー」で答えられる質問をすると、
こちらで仕事のストーリーを作れるので、
仕事量もコントロールできるのす。

仕事を受けた時に自分で考えることをサボって、
ただ「わかりました」と受けてしまったり、
「どうしますか?」と聞いてしまってはダメ。

この瞬間に最大限に脳を回転させ、
想定されることを考えて、シナリオを作り、
先制提案することが仕事量を減らす鍵なのです。

本書では、仕事を効率化するテクニックから、
本当の論理的思考で仕事の「質」を上げること
にも言及していました。

最近私が読んだ実務的な本の中では、
最も大きな影響を受けた本になりました。

若手から中堅までのビジネスパーソンには、
強く推奨したい一冊です。

この本から何を活かすか?

  「論理的に考えるとは、より広く選択肢を探り、
  より確かに選択肢を絞り込み、あらゆる批判に
  耐える一本の道を作ること」

本書で説明される、「論理的に考える」は、
私にとっては、目からウロコでした。

ロジックツリーやMECEで広い選択肢から探り、
バーバラ・ミントさんのピラミッド構造で
選択肢を絞り込む。

そうすることで「網羅性」と「事実と論理」
に対する批判に耐えうる、筋の通った主張が
作れるようです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 11:02 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビジネス・フォー・パンクス

満足度★★★★
付箋数:27

  「始めるのはビジネスじゃない。
  革命戦争だ。

  会社は失敗する。会社は死ぬ。
  会社は忘れられる。
  だが、革命は死ぬことはない。
  だったら会社ではなく、革命を始めればいい。」

本書は、イギリスで最も飲まれている
クラフトビール「BrewDog(ブリュードッグ)」
の共同創始者、ジェームズ・ワットさんによる
型破りなマーケティング論。

ブリュードッグは「パンク」の精神と哲学を
持ったマイクロブリュワリーです。

ワットさんは、2007年にブリュードッグを
マーティン・ディッキーさんと犬1匹と共に、
わずか3万ポンドで創業しました。

その後、買収などに頼らず毎年成長を続け、
今では売上が5000万ポンド(約70億円)を
誇るようになりました。

ブリュードッグは、ビールを世界50ヶ国以上に
出荷しながら、世界の人々が持つビールの
イメージを破壊しようとしています。

  「資金がほとんどゼロの状態から野心的で
  小さな事業を始めるというのは、勇気のいる、
  強烈で濃密な体験だ。最高に無邪気で
  未熟だったことは、ぼくらの最高の強みになった。
  物事がどうやって進むことになっているかなんて
  知らなかったから、ただ前に進み、自己流で
  やるしかない。そうするうちに、まったく新しい
  ビジネスのやり方を無意識に生み出していた。」

ブリュードッグは、ビールの世界を変える
ために戦っています。

敵は、ビールをコモディティ化する量産ビール。

まずいビールを心の底から憎み、量産ビールを
粉砕するための終わりなき戦いを続けています。

実際に量産ビールを粉砕する映像を取り、
砕け散る瞬間の動画を公開しています。

  ・工場生産ビールのボトルを
   ゴルフクラブで打って割る。
  ・味気ない安物ラガービールの缶を
   ショットガンで吹っ飛ばす。
  ・量産ビールのボトルで野球をする。
  ・味も素っ気もないビールを
   大量の花火で粉々にする。
  ・低俗ビールのボトルをピンにして
   ボウリングをする。
  ・安物ビールの樽にTNT火薬を仕掛けて
   爆発させる。

しかし、ワットさんは、こうした過激な
行動だけで世界中に熱狂的なファンを
作ったわけではありません。

ブリュードッグの成長のエンジンは、
精神的なもので、それは「パンク哲学」に
あります。

  「人の話は聞くな。アドバイスは無視しろ。

  会社を始めるときは絶対に、知り合いでも、
  知らない人でも、誰もがいきなり訳知り顔で
  あれこれ言い出すものだ。無視していい。
  理想を曲げず、自分のやり方をしっかり
  固めて、その連中を黙らせてやろう。」

もちろん「人のアドバイスを聞くな」という
主張は、本書にも無条件に当てはまります。

つまり、本書全体を無視すべきということ。

本書を参考にするも、しないも好きにして、
自分の考えに従って、楽しんで
行動を起こすのみ。

  「物わかりのいい人間は、
  理想のない腰抜けだ」

物わかりのよさを徹底的に捨て、
強い意志で、自信を持って前に進む。

熱い情熱で、自分を貫き、信じることに
すべてを賭けることが「パンク哲学」なのです。

本書には、ジョニー・ラモーンさんや
マルコム・マクラーレンさんなどの
パンクの先人たちの言葉も散りばめられた
非常に刺激的な本です。

この本から何を活かすか?

本書は、構成も含めて、常識を覆します。

第4章と銘打たれた「新時代の破壊的パンク
のためのセールス論」は、たったの2ページ。

販売活動につて示されているのは、
シンプルな3つのルールだけです。

  1. 商品に集中する
  2. 隠さず、誠実に
  3. 価格競争はしない

  「以上、本書で一番短い章を終わる。
  販売であれこれ悩むことはない。
  ほかのことでいい仕事をすれば、
  勝手についてくる。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| マーケティング・営業 | 05:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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誰が音楽をタダにした?

満足度★★★
付箋数:22

  「数年前のある日、ものすごい数の曲の
  ブラウジングしていた時、急に根本的な疑問が
  浮かんだ。ってか、この音楽ってみんな
  どこから来てるんだ? 僕は答えを知らなかった。
  答えを探すうち、誰もそれを知らないことに
  気づいた。もちろん、mp3やアップルや
  ナップスターやパイレートペイについては
  詳しく報道されていたけれど、その発明者に
  ついてはほとんど語られていないし、
  実際に海賊行為をしているひとたちについては
  まったくなにも明かされていなかった。
  僕はこの疑問に取りつかれ、調べていくうちに
  今まで知らなかった驚きの事実を発見し
  はじめた。」

著者のスティーヴン・ウィットさんは、
1979年生まれの海賊版世代。

ごく当たり前にナップスターなどを使って、
何万曲という音楽をダウンロードして、
ハードディスクを一杯にしていました。

しかし、ある時、このインターネット上に
無数にある音楽をアップロードしているのは
「誰か」に興味を持ちます。

しかも、よくよく調べてみると、発売前の
アルバムさえもインターネット上にあるのです。

  「音楽の海賊行為はクラウドソーシングが
  もたらした現象だと僕は思い込んでいた。
  つまり、僕がダウンロードしたmp3は世界中の
  あちこちに散らばった人たちがそれぞれに
  アップロードしたものだとイメージしていた。
  そうしたバラバラのネットワークが意味のある
  形で組織されているとは思いもしなかった。
  でもそれは間違っていた。ネットの世界に住む
  どこかのだれかが、わからないところから
  持ってきたファイルもあったが、
  海賊版のmp3の大半は、少数の組織された
  グループから発信されていた。」

ウィットさんは、何年もかけて、音楽が
ネットに拡散された第一感染源を追います。

そして辿り着いたのが、米ノースカロライナの
西にあるシェルビーという田舎町。

そんな田舎の工場で働く1人の労働者が、
世界最強の音楽海賊として活躍していたのです。

ウィットさんが入手した音楽ファイルの多くは、
もともとその労働者から出たものでした。

労働者の名前は、デル・グローバーさん。
世界的には、ほとんど知られていない名前です。

ウィットさんは、グローバーさんに聞きました。

  「なんでこのことを今までだれにも
  話さなかったんだ?」

  「あぁ、だって聞かれなかったから」

このグローバーさんが、史上最強のリーク源になり、
ネット上に音楽は拡散されていきます。

そして、音楽はタダになっていった。

以下、関美和さんの訳者あとがきからの引用。

  「この本の縦糸は、3本だ。
  ひとつ目はmp3の生みの親でその後の優位を
  築いたあるドイツ人技術者の物語。
  ふたつ目は、鋭い嗅覚で音楽の新しいジャンルを
  作り、次々とヒット曲を生み出し、
  世界的な音楽市場を独占するようになった
  あるエグゼクティブの物語。
  そして、3つ目が “シーン” と呼ばれる
  インターネットの海賊界を支配した
  音楽リークグループの中で、史上最強の流出源
  となった、ある工場労働者の物語だ。」

様々な人間模様が絡み合ったノンフィクションで、
展開はなかなかスリリングです。

Kindleの【無料拡大お試し版】で73ページまで
読むことができますから、本書に興味をもった方は、
そちらを読んでみると良いでしょう。

この本から何を活かすか?

個人的に音楽の入手方法は、以下の変遷を
辿りました。

 ・レコードを買った時代
 ・ラジオからテープに録音した時代
  (エアチェック)
 ・レコードをレンタルで借りてテープに
  録音した時代
 ・CDを買った時代
 ・CDをレンタルしてMDに録音した時代
 ・iTunesから入手した時代
 ・ネット上からmp3を入手した時代
 ・ストリーミングで音楽を聞く時代

常時接続された時代になってからは、
「録音」という行為自体が完全に過去のものに
なってしまいました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| ビジネス一般・ストーリー | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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光と電磁気 ファラデーとマクスウェルが考えたこと

満足度★★★★
付箋数:25

特殊相対性理論を提唱した20世紀の天才物理学者、
アルベルト・アインシュタインさん。

1955年4月、アメリカの科学史家、
I・B・コーエンさんはプリンストンにある
アインシュタインさんの自宅を訪れ、
科学思想や歴史上の物理学者について
語り合いました。

これが、アインシュタインさんが受けた
最後のインタビューです。

その2週間後にアインシュタインさんは
亡くなりました。

天才の自宅はこじんまりとした木造の家で、
インタビューは大きな窓から外の緑が望める
書斎で行われました。

二方の壁は書棚になっていて、床から天井まで
びっしりと本が並んでいました。

そして、もう一方の壁には、2人の偉大な
物理学者の写真が飾られていました。

その2人のとは、電磁気学を創設した、
マイケル・ファラデーさんと、
ジェームズ・マクスウェルさんでした。

この2人が電磁気学を創ったからこそ、
アインシュタインさんが特殊相対性理論を
提唱することができたのです。

物理学は、実験と理論が相互作用することで
発展した学問です。

とりわけ、その典型的な分野が電磁気学。

電磁気学は、19世紀に稀代の一人の実験家と
稀代の一人の理論家の連携プレーを中心に
体系化されました。

実験家とは、真理を嗅ぎつける天賦の才を
持ったマイケル・ファラデーさん。

理論家とは、数学の練達の士として知られた
ジェームズ・マクスウェルさんです。

ファラデーさんは、実験により直流電流を
流した電気伝導体の周囲の磁場を研究し、
電磁場の基礎理論を確立しました。

マクスウェルさんは、ファラデーさんの
電磁場理論をもとに、マクスウェルの方程式を
導いて古典電磁気学を確立しました。

実は、この2人、実験家と理論家として対象的な
役割を担っただけでなく、出自や生い立ち、
学歴などを見ても、ことごとく対照的な
人生を送っています。

ファラデーさんは、貧しい鍛冶職人の家に生まれ、
満足な学校教育を受けることなく、
13歳でロンドンの製本屋に奉公に出ています。

この製本屋で読んだ本で独学し、実験を行って
いましたが、幸運な偶然から、王立研究所の
ハンフリー・デービーさんに見出され、
科学者としての道を歩むことになります。

ファラデーさんは、数学を習得する機会に
恵まれませんでしたが、それを天性の
実験センスで補い、数々の偉業を成し遂げました。

これに対して、マクスウェルさんは、
スコットランドの大地主の跡取りとして
生まれた有産階級の出です。

10代前半で数学の論文をエジンバラ王立協会で
発表し、ケンブリッジ大学では数学の
優等生試験で名を馳せた天才でした。

1871年には熱力学第二法則に疑問を投げかけ、
「マクスウェルの悪魔」と呼ばれる有名な
思考実験を提唱しました。

本書では、育った環境も、科学へのアプローチも
対照的な2人の科学者を主人公に据えて、
電磁気学が完成される過程をたどります。

著者は、早稲田大学社会科学総合学術院教授の
小山慶太さん。

小山さんは多くのポピュラー・サイエンスの
本を執筆しているだけあって、非常に構成や
文章が上手いです。

冒頭の夏目漱石さんの登場から、最終章の
ゼーマン効果の発見まで、一気に読ませます。

数式はほとんど登場せず、電磁気学の素養が
全くない人でも、どんどん引き込まれていく
ストーリーになっています。

知的好奇心を刺激し、読んで「面白い」と
思える素晴らしい本です。

この本から何を活かすか?

個人的には学生時代に読んだファラデーさんの
ロウソクの科学』の背景が詳細に書かれて
いたことが嬉しかった。

ロウソクの科学とは、ファラデーさんが1860年に
クリスマス講演として英国王立研究所で行った
内容を収録した本です。

この本をきっかけに理系に進んだり、科学者の
道を歩み出した方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、クリスマス講演は現在もBBC放送を
通じて受け継がれています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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老後破産しないために、年金13万円時代でも暮らせるメタボ家計ダイエット

満足度★★★
付箋数:18

年金制度の財政検証の結果から、
将来的に公的年金の支給額は、
減額されることが考えられます。

どれくらいの年金支給額になるかというと、
経済アナリストの森永卓郎さんは、
現在の「6掛け」になると予測。

年金6掛け時代になると、現在注目されている
「老後破産」が更に増えることになります。

森永さんが、「年金がいずれ6掛けになる」
と話をすると、ほとんどの場合、
「いつからですか?」と聞かれるそうです。

それに対して、「いつになるかはわからない」
と答えると、ほとんどの人は、少し安堵し、
「すぐに年金が減るのでなければ、
今から焦る必要はない」と考えるようです。

「いつになるかわからないなら、
先送りしての大丈夫」と考えるのは、
「超デブの発想」と同じであると、
森永さんは指摘します。

以前の森永さんは、体脂肪率が30%を超え、
ウエストは114cmという極度の肥満体でした。

毎日、5食が当たり前で、お菓子を間食しながら、
甘い炭酸飲料を1日5L近くガブ飲みしていました。

当然、健康にも影響が出ていて、糖尿病と診断され、
合併症もいくつか出ていました。

  「瀕死の状態になっても、ライフスタイルを
  変えないし、変えようともしない。
  これがデブのデブたるゆえんです。
  危機感がないわけではありません。
  むしろ、内心ではこのままではマズいと
  わかっているのです。でも、行動に移さない。
  そんな超デブの発想から卒業できる人と
  できない人では、老後の生活も大きく変わって
  いくことでしょう。」

超デブ体質だった森永さんは、TV番組の企画で
ライザップのCMに出演する権利を獲得しました。

そして実際に糖質制限とライザップのジムでの
トレーニングを行った結果、4ヶ月で19.9kgの
減量に成功しました。

やる前はきっと、つらくて苦しく、我慢する
だけの4ヶ月だと思っていたそうです。

しかし、実際にふたをあけてみると、
糖質はオフにするけれども、肉や魚、豆腐、
納豆、葉物野菜はおかわり自由で、
無理なく楽しみながらダイエットを
続けることができたようです。

  「これは非常に画期的なことです。
  経済アナリストの私に言わせると、
  ライザップが提唱するダイエットメソッドが
  もたらすものは、単なるダイエット効果に
  とどまりません。家計管理に応用すれば、
  不必要な支出を重ね、ぶくぶく太ってしまった
   “メタボ家計” を改善でしると確信しています。」

もともと森永さんは「ケチダヌキ」と呼ばれ、
セコくやり繰りすることに関しては、
確かなノウハウを持っていました。

そんな家計費を抑える方法を、ライザップ方式に
なぞらえて解説したのが本書です。

 第1章  “ふつうの人” が老後破産する
    「年金13万円時代」がやってくる
 第2章 「変動費」を制するものは
    「メタボ家計ダイエット」を制する
 第3章 「固定費」を削ぎ落として、
     “メタボ家計” を筋肉質に変える
 第4章 リバウンドを的確に防ぐ「ごほうび」戦略
 第5章 老後破産しないための
    モリタク流「超現実的」投資戦略
 第6章 「年金の繰上げ受給」は賢者の選択か、
    老後破産への片道切符か?
 第7章 老後生活を圧迫する「生命保険」を見直す
 第8章 健康な体も幸せな老後も自分でつくりあげる

ライザップで人生が変わった森永さん。

将来の生活に不安がある方は、先延ばしせずに、
ライザップ式家計ダイエットに取り組むと、
老後の人生が変わるかもしれません。

この本から何を活かすか?

年金の繰上げ受給を選択するか否か?

  「繰上げ受給をすると減額される分、
  将来は不利になるとアドバイスする
  ファイナンシャルプランナーや
  社会保険労務士がたくさんいます。
  しかし、こうしたアドバイスに共通するのは
  目の前の減額率に気を取られ、
  実質的なお金の価値を見落として
  しまっていることです。」

森永さんは、「繰上げ受給」は年金額カットの
現実的な対抗策になると考えます。

年金額は少なくなるものの、受け取る年金額が
既得権として保護され、その後の人生設計が
立てやすくなるからです。

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| マネー一般 | 05:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本はこの先どうなるのか

満足度★★★
付箋数:22

あなたは、日本の借金に関して、次のような
説明を耳にしたことはありますか?

  「日本の借金(公債+借入金+政府短期証券)
  は約1000兆円で、これは国民一人当たりに
  換算すると800万円になります。
  国民のみなさん、このような莫大な借金を
  子や孫の世代に背負わせていいのでしょうか?
  この借金を返さなければ日本の財政は、
  まもなく破綻します。
  破綻を防ぐためには、増税が必要です。」

これは財務省が20世紀末から
繰り返してきた主張です。

多くのマスコミがこの説明を流用しています。

しかし、この「日本の借金1000兆円」
という刷り込みは、実は大ウソで、
「財務省による洗脳」であると
高橋洋一さんは指摘します。

  「さまざまな問題についてデータに基づく
  分析を重視する筆者は、感情や印象で
  ものを語ることが嫌いだ。
  データに基づかなければ、議論する意味は
  まったくないとすら思っている。
  しかしながら日本のマスコミ、そして学者や
  識者のほとんどは、感情や印象ばかりで
  語っているというのが現実だ。
  したがって、一般の人々が “日本や世界で
  本当に起こっていることは何か” を知る
  機会はほとんどないと言っても過言ではない。
  そこで本書では、日本で起きている
  さまざまな問題に焦点を当て、データを
  もとに解説している。」

さて、先程の日本の借金についてですが、
政府の債務が約1000兆円あることは事実です。

しかしこれはバランスシート(貸借対照表)
の右側の負債の部分のみの数字です。

企業の安全性を見るときでも、貸借対照表の
左右のバランスをチェックするのが一般的。

右側の負債だけ見ていても、真の姿は
見えてこないので、同時に左側の資産の部も
同時にチェックする必要があるのです。

実際、日本政府は莫大な負債だけでなく、
膨大な資産も抱えています。

2014年末の時点で、国の資産は680兆円。

国の借金1172兆円から680兆円を差し引くと、
約492兆円になり、巷で言われている
1000兆円の半分以下になります。

これはGDP比では、100%の数字です。

更にこの数字は企業で言うところの、
子会社を含まい単体ベースの数字です。

経済学では、日本銀行は広い意味での
政府と認識されています。

そこで、日本銀行も含めた連結ベースで
国家財政を考えると、日本政府の純負債は
多くても約100兆円でしかないのです。

これはGDP比では、約20%にしかなりません。

この数字は、先進各国と比較しても、
それほど悪い数字ではないようです。

では、なぜ財務省は、日本の借金が実態の
10倍もあるかのように喧伝するのか?

それは「消費税を増税したい」からです。

財務省が消費税を上げたがるのは、
予算における「歳出権」を拡大したいから。

  「財務官僚が予算総額を膨らませて、
  カネを自由に差配できるようにするためだ。
  もっとくだけた言い方で説明すると、要は、
  大盤振る舞いをすることで各方面に恩を売り、
  その見返りとして天下り先を確保したい
  からである。」

本書は2部構成になっています。

第1部は「日本で本当は何が起きているのか」。

第2部の内容はガラッと変わって、
「日本が戦争に巻き込まれない最も確実な方法」
という内容です。

この本から何を活かすか?

エコノミストの予測が外れるのは経済学部が
「文系」だからと高橋さんは考えます。

  「日本では、経済学部は “文系” 学部に
  分類される。これがそもそもの間違いだ。
  経済学は、数字やデータ、グラフを使って
  考えたり分析したり計算したりする
  学問であり、本来なら “理系” に分類されて
  然るべき分野である。」

経済学部を理系に分類して、数学を入試科目に
据えると、受験者数が激減してしまうため
日本では「文系」に分類されているようです。

エコノミストの予想が外れるのは、
文系出身で数学的素養のない人が多いからと
数学科出身の高橋さんは解説します。

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| 経済・行動経済学 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方

満足度★★★
付箋数:24

  「本書を通してわれわれの脳がいかにミスを
  起こしやすいか、そして、意識する、しないに
  かかわらず、常にミスを起こしているかを
  見てきました。いま、あなたは仕事のミスに
  ついてどのような感想をお持ちでしょうか?
   “絶対になくさなければならない” という
  気持ちから、 “なくせないんだ” という
  気持ちになっていれば、本書の目的は
  達成されたと言っていいでしょう。
   “じゃあこの本のタイトルは嘘なの?” と
  思われるかもしれません。
  でも “ミスはなくせない” という事実を
  受け入れることが、仕事のミスをなくす
  ための唯一の道なのです。」

本書は脳の仕組みからミスが起こる原因を探り、
その対策を紹介する本です。

著者は、脳科学や認知科学の知見も取り入れた
学習方法やコミュニケーション方法の
講演や講座を行う宇都出雅巳さん。

その道のプロが解説する専門家サイト
All About(オールアバウト)で「記憶術」の
ガイドを務めている方です。

宇都出さんは、仕事上のミスを4つに分類し、
それぞれのミスが起こるメカニズムを解明し、
対応策を示します。

  1. メモリーミス(忘れた!)
  2. アテンションミス(見落とした!)
  3. コミュニケーションミス
   (伝わっていない! 聞いていない!)
  4. ジャッジメントミス(判断を間違えた!)

この中で私が注目したのは、メモリーミスと
コミュニケーションミスについてです。

その時は「覚えた」つもりになっていても、
すぐに忘れてしまうメモリーミスの原因は、
「ワーキングメモリ」にあります。

ワーキングメモリは、長期記憶とは異なり、
一時的に記憶される脳のメモ帳。

このワーキングメモリの容量はとても小さく
新しい情報が入ってくると、古い情報は
すぐにはじき出されてしまいます。

ワーキングメモリに5本の腕が生えていて、
その腕1本につき1つの情報を一時的に
掴んでいるイメージで解説されていました。

私たちの脳は、新しい情報が入ってくると、
思わず新しい情報を掴んでしまう。

その時に、覚えようとして元々掴んでいた
情報を手放してしまうのです。

このワーキングメモリの腕の本数は、
トレーニングをしても増やせません。

ですから、メモリーミスを減らすには、
ワーキングメモリへの負担を減らすことが
重要になります。

私たちは、忘れないためにメモをとりますが、
これは記録しておいて後で見直すためと、
同時にワーキングメモリを解放する役割が
あるようです。

また、よく言われる「コミュニケーションは
キャッチボールである」という認識は
「間違っている」と宇都出さんは指摘します。

この認識が、実はコミュニケーションミスを
誘発する原因となっている。

私たちは、自分の記憶にある経験を
人に話す時、記憶のすべてを言葉にしている
わけではなく、かなり省略して伝えています。

それでも会話が成り立つのは、省略された
情報を、聞き手が持っている記憶にによって
自動的に補っているからです。

そして、聞き手は自分の解釈を加えて
理解したつもりになっているのです。

コミュニケーションミスが起こるのは、
この自動で補完される情報での
ミスマッチが原因のようです。

本書に紹介されているミス防止対策は、
類書のアイディアと、大きな違いはないかも
しれませんが、脳の仕組みから解説されて
いるので、非常に腹落ちしました。

この本から何を活かすか?

  「事実関係のズレを正したいなら “答え” 
  に注目していればいいですが、
  深いコミュニケーションをするには
   “応え” 注目することが欠かせません。」

「答え」は言葉として発せられた明確なもの。

「応え」は表情や仕草、間合いなどの
言葉にならないものも含めた曖昧なもの。

「答え」よりも「応え」に焦点を当てて、
読み取るようにすると、コミュニケーションの
幅や自由度、可能性は一気に広がるようです。

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| ノウハウ本 | 11:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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