活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2016年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2016年07月

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課長の「ほめ方」の教科書

満足度★★★
付箋数:22

左右社の樋口さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、部下や同僚、または上司のことを
よく「ほめ」ていますか?

もし、直して欲しい所はいくらでもあるけれど、
ほめる所があまり見つからないと思ったなら、
それは「相手をよく見ていない」証拠です。

相手を見ている時間も短いですし、
ちょっとした表情や仕草も見逃しているはずです。

そもそも相手に対して、関心が薄のかもしれません。

関心をもたなければ、その人の良さを
見つけることはできず、ほめることはできません。

また、部下をほめると調子にのってしまうので、
ほめることを意識的にセーブしている人も
いるかもしれません。

しかし、部下に直して欲しい所があるなら、
まずは素直に話を聞いてもらえる人間関係を
作らなければなりません。

単に会社の上司と部下という立場だけで、
注意を与えてしまうと、その場では言うことを
聞いたように見えても、本当は納得していないめ、
根本的に直らないことがあります。

こういう場合は、相手の良いところは認めて、
しっかりとほめて、良好な人間関係を作っておくと、
相手も「この人の言うことなら聞こう」という
態勢になるのです。

本書は、心理カウンセラー船見敏子さんによる
「ほめ方」の教科書。

「ほめる」ことの大切さをテーマにした本は、
すでにたくさん出ていますが、それでもあえて
船見さんはこのテーマを選びました。

それは、日々のメンタルヘルス研修や
カウンセリングの中で、「日本の職場には
まだまだほめ方が足りない」と痛感したからです。

  「課長が部下をほめると、部下の自信が高まり、
  自信をもった部下は、やる気になり、ほかの人を
  ほめるよになります。メンバーみんながそのような
  状態になれば、職場がより活性化し、より仕事が
  しやすい環境になります。言いたいことも
  言いやすくなり、ストレスも減っていき、
  不調者が出にくくなります。そして、生産性も
  上がっていく。このような “プラスの連鎖” が
  生まれていくのです。」

タイトルに「課長の」と入っているのは、
日本の職場においては、課長が要だからです。

本書でも、課長が「ほめ」ることを中心に
書かれていますが、実際はどんな立場の人が
読んでも参考になる本だと思います。

個人的に参考になったのは、
初対面の人に対する「ほめ方」です。

私はこれまで、初めて会って言葉を交わす人を、
いきなりほめるのには、少し躊躇がありました。

しかし、初対面だからこそ、
相手から感じた良い印象を素直に伝えた方が、
相手の心にも残るようです。

  「とてもきちっとしていらっしゃいまして、
  誠実そうだなと感じています」

  「笑顔がはつらつとしていて、快活な方だと
  お見受けします。何かスポーツをやって
  いらっしゃすんですか? ラグビーとか?」

このように、感じたことを伝えるのがポイント。

また、名刺は「ほめるネタ」の宝庫なので、
もらったらよく見て、ほめる習慣をつけると
いいようです。

本書には、「すぐに効果が出る18のほめ方」、
「ほめ下手な方向けのほめワーク」、
「50音順 ほめ言葉辞典」など、
かなり充実した「ほめ」ノウハウが満載です。

自分は「ほめるのが苦手だな」という意識が
ある方には、ちょうど良い本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「最初のワークは、自分をほめること!
  まずはこれを徹底的に練習しましょう。
  毎日最低1回、自分をほめることを自分に
  課してください。」

本書の「ほめワーク」では自分をほめて、
ほめ慣れすることから、徐々にステップアップ
していきます。

私も「今日も早起きできたこと」、
そして「ブログ記事をアップしたこと」で
自分をほめたいと思います。

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| コミュニケーション | 06:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ヤバすぎる経済学

満足度★★★
付箋数:22

  「10年ぐらい前、『ヤバい経済学』って本を
  出そうとしていた頃の話だ。ついでにウェブサイト
  も立ち上げることにした。ウェブサイトの名前は、
  なんのヒネリもなく、 “ヤバい経済学ドットコム” 
  にした。このサイトがそのうちブログの役目を
  果たすことになる。」

経済学者のスティーヴン・D・レヴィットさんと
ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーさん
の大ベストセラー『ヤバい経済学』が世に出たのは、
私がこのブログを始める少し前のことでした。

早いもので、あれから10年も経ったんですね。

さて、本書はレヴィットさんとダブナーさんの
コンビによるシリーズ第4弾。

原題は『When to Rob a Bank: ...And 131 More
Warped Suggestions and Well-Intended Rants


日本語にすると、「銀行を襲うならいつがいい?
その他斜め上からの提案と悪気のない暴言131個」

翻訳は、もちろん今回も望月衛さんです。

今回は、お2人が書いている「ブログ記事」を
書籍化した本です。

  「ときどき、ブログを本にしたらどうだろうと
  言ってくれる読者の人がいた。とんでもなく
  頭の悪いアイディアだって思った ―
  で、つい最近のある日、あれ、そうでも
  ないんじゃって思った。(中略)
  で、ポーランド・スプリングだのエヴィアンだの
  みたいな単なる水を商売にしようって
  古式ゆかしき伝統を見習って、ぼくらもタダで
  手に入る材料をボトルに詰めて、あなたから
  お金をふんだくることにしたってわけです。」

元がブログ記事なので、共著というより、
レヴィットさんとダブナーさんそれぞれが書いた
記事をテーマ別に並べて構成しています。

原題タイトルの「銀行を襲うならいつがいい?」
はダブナーさんの記事。

ニュージャージー州で、6回も銀行に押し入った
男が、いつも木曜日に実行していたという
ニュースをネタに書かれたもの。

ダブナーさんは、なぜ男がいつも木曜日に
銀行強盗を決行したかを、想像したうえで、
木曜日が統計的に成功率が高いかどうかを
調べました。

FBIのデータからわかったのは、1年間での曜日別
銀行強盗の発生数。

ダントツに多いのは金曜で1042件、次に火曜で
922件、続いて木曜885件、月曜858件、水曜842件。

しかし、曜日によって成功率に違いが出る証拠は
見つけられませんでした。

ただし、時間帯では差があったようです。

  「銀行に押し込むなら午後より午前のほうがずっと
  たくさん稼げる(5180ドル対3705ドル)なのに、
  銀行が襲われるのは圧倒的に午後だ(ああいう
  人たちって、朝寝が好きなんじゃないか?
  というか、朝、早起きして仕事に出るような人なら、
  銀行を襲ったりしなくてもってこと?)。
  全体としてみると、アメリカの銀行強盗は、
  成功した場合、平均で1回あたり4120ドルを稼いで
  いる。でも、ぼくが思っていたほど成功率は
  高くなかった。100回に35回は捕まっている!
  だから、6回目の木曜日までたどり着いた
  ニュージャージーの彼は、ぬきんでていたと
  言える。」

本書は、1つのテーマについて、あまり深堀り
してはいませんが、経済学テイストを少しだけ
交えた気軽に読める本に仕上がっています。

じっくり読むというよりは、スキマ時間に
ちょっとずつ読むには丁度いい、へそ曲がりの
コラムといった感じでしょうか。

この本から何を活かすか?

イチローさんのヒット世界記録達成に対して、
懐疑的な見方を示していたピート・ローズさん。

彼は経済学の基本がわかっていたようです。

ローズさんは、「野球で賭博してごめんなさい」
とボールにサインして友だちに配ったそうです。

そのうち、このサインボールをもらった誰かが、
30個をオークションに出しました。

このサインボールは話題を呼び、何千ドルもの
値が付きそうだと予想されました。

これを聞いてローズさん本人は、何をしたのか?

彼は経済学の、とても似たモノが手に入るモノなら
値段はあまり高くならないという基本的な理論を
使いました。

ローズさんは、同じ銘をボールに書いて
自分のサイトで299ドルで売り出したのです。

そうしてオークションにかかるボールの
相場を崩しました。

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| 経済・行動経済学 | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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戦力「内」通告

満足度★★★
付箋数:21

フロンティア・エンタープライズの熊谷さんから
献本いただきました。ありがとうございます。

  「キャリアにおける途方もない成功を収めた
  人に会うと、私はこう尋ねることにしている。
   “才能、野心、勤勉さ以外で、あなたの成功の
  秘訣はなんですか?”
  あなたも本書の中に数えきれないほどの
   “極意” を見つけることになるだろう。」

本書は、リストラ先進国のアメリカで人気の
キャリアコーチ、ダン・ラストさんが
「最強の会社員」になるための戦略を伝える本です。

ラストさんは、これまで30年以上に渡り、
職場をリストラされた人と職場で成功した人の
違いを見てきました。

その結果、当人の才能、野心、勤勉さは、
リストラされるかどうか、成功するかどうかに
関係ないことがわかりました。

成否を分けたのは、「考え方・戦略・洞察力」です。

  「本書で紹介するさまざまなスキル、戦略、洞察力
  があれば、あなたも才能、野心、勤勉さの限界を
  超えてキャリアを加速させられるようになる。」

本書で示される、職場で生き残る戦略は9つ。

それぞれの戦略について、各章で実例を挙げて
解説されています。

 第1章 職場で行われている「ゲーム下のゲーム」
  ― 観察するものは救われる
 第2章 地雷原で踊る
  ― 職場のイバラの道、社内政治
 第3章 パンチを食らう
  ― 防御か反撃か、それとも・・・
 第4章 キャリアの炎を燃やす
  ― 感情・肉体・野心・メンタルのエネルギー
 第5章 ネバネバのチョウとツルツルのサイ
  ― ハートは熱く。面の皮は厚く
 第6章 職場のショウを楽しむ
  ― あなたはあなたが取り扱う「商品」である
 第7章 ツイてる人の秘密
  ― 好感度を最大限にあげるべし
 第8章 ブッダ、スポック、パットン、シャーロック
  ― 自分の内に四人の賢人を住まわせる
 第9章 ゴム猫のごとく
  ― 逆境や挫折からすばやく立ち直る

一見すると、日本人には馴染みのない比喩も
登場しますが、それは表現だけで、
日本の職場でも当てはまることばかりです。

例えば、ラストさんが「ゲーム下のゲーム」と
呼ぶものも、その1つです。

そもそも職場で働くことは、ゲームをプレイする
ようなもの。

キャリアで成功している人たちは、このゲームを
うまくプレイしているのです。

実は、職場では自分がプレイしているゲームの下で、
まったく別のゲームが繰り広げられています。

それは人間関係という「ゲーム下のゲーム」です。

この「ゲーム下のゲーム」をうまくプレイするには、
じっくりと人を「観察」しなければなりません。

そして、人の振る舞いを観察するには、
他者に対する自分自身の感情的反応や批判を自覚し、
それらを捨てるよう努力する必要があるのです。

また、私が個人的に興味を持ったのは、
「ホワイトボード」についての言及です。

  「伝えるべき重要な洞察があるなら、
  ホワイトボードを使え。」

事前に準備したパワーポイントで説明するより、、
その場でホワイトボードに書き込む方が、
次のような効果が得られます。

  ・集中してもらえる
  ・信憑性がある
  ・記憶される

会議でホワイトボードを使うだけでなく、
プレゼンでもホワイトボードを使うのは、
勇気がいりますが、面白そうな試みだと思います。

この本から何を活かすか?

本書はハーパーコリンズ・ジャパンから
刊行されています。

ハーパーコリンズは辞書で有名な会社で、
日本では、「ハーパーBOOKS」や
「ハーレクイン・シリーズ」などの翻訳本を
リリースしています。

ビジネス書・実用単行本は2016年4月から
出版されるようになった新ラインナップです。

本書は4月30日に刊行された『超チーム力』に
続くシリーズ第2弾。

今後のリリースにも注目したいところです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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カリスマ鈴木敏文、突然の落日

満足度★★
付箋数:17

  「 “価格破壊” のダイエー・中内功さん、
   “生活総合産業” を唱えたセゾングループ・
  堤清二さんをはじめ、日本の流通業界には、
  個性豊かなカリスマ経営者が君臨してきた。
  中でも、日本にコンビニエンスストアを根付かせた
  セブン&アイ・ホールディングスの
  鈴木敏文会長は、業績面でのほころびを
  見せることなく、長期政権を維持してきた。
  経営者としての欠点の目立った中内さん、
  堤さんと比べても、カリスマ性は際立っていた。
  完全無欠の経営者として見られていた鈴木会長が
  なぜ、突然の退任に追い込まれたのか。
  その謎を解き明かすため、毎日新聞の記事と
  ニュースサイト “経済プレミア” の連載
   “カリスマの引き際” を大幅に加筆したのが
  この本である。」

180ページに満たない本ですが、約半分のページが
取締役会当日の描写と鈴木敏文さんの緊急会見の
発言内容で占められています。

新聞的に事実を伝えるという意味では、
詳細にレポートされていると言えます。

しかし、そこから何かが浮き彫りにされている
訳ではないので、書籍として読むには、
少し物足りなさを感じました。

それは、鈴木さんへの個別インタビューが
行われていないのが原因かもしれません。

鈴木さんが、井阪隆一社長の更迭を考えるに
至った経緯について、もっと深堀りして欲しかった。

  第一章 緊迫の取締役会
  第二章 緊急会見 崩れた「鈴木王国」
  第三章 創業家との確執―資本と経営の歴史
  第四章 なぜ社外取締役は役員人事に反対したのか
  第五章 カリスマ無き後
  終章 井阪隆一・セブン&アイHD新社長インタビュー

コンビニの神様と呼ばれた鈴木さんの
暴走にストップをかけたのが、社外取締役の2人。

一橋大学名誉教授の伊藤邦雄さんと、
元警視総監の米村敏朗さんです。

お2人は、セブン&アイHDの役員人事や報酬を
検討する「指名・報酬委員会」のメンバーとなり、
鈴木さんの提案に一貫して反対を唱え、
否決の流れを作りました。

  「セブン&アイHDの関係者によると、伊藤氏らが
  社外取締役に就任する人事案は、鈴木氏自らが
  候補者リストを選んでつくったという。
  鈴木氏は当時、自ら選んだ社外取締役から
   “ノー” を突き詰められることなど、
  予想もしていなかったに違いない。」

ここの部分もコーポレート・ガバナンスが
機能した例と書かれていますが、
もっと周辺部分への取材も行ってレポートして
欲しいところでした。

在任期間が7年間と長いことが、5期連続で最高益を
更新し続けている井阪社長を更迭する主な理由。

しかも、58歳の井阪さんの後任として挙がったのが、
66歳の古屋一樹セブン-イレブン・ジャパン副社長
ですから、経営陣の若返りにもなっていません。

そんな人事案ですから、伊藤さんと米村さんの
お2人でなくても、真っ当な見識を持っていれば、
もっと納得できる理由を示さなければ通らないと
考えることは自然なことだったと思います。

セブン&アイHDの創業者、伊藤雅俊名誉会長は、
著書『伊藤雅俊の商いのこころ』の中で、
鈴木さんについて次のように語っています。

  「驕れる者久しからず。(中略)
  己の力を過信する者の末路は、洋の東西、
  時代の今昔を問いません。鈴木会長ももう70歳
  (当時)です。(中略)使命を果たし終えれば、
  静かに舞台を去っていかなければなりません。」

十数年も前にこのような発言があったので、
伊藤さんは、鈴木さんの権力が肥大化するのを
横目に、ずっと今回のような退任劇を
待ち望んでいたのかもしれません。

この本から何を活かすか?

個人的には、この退任騒動の前に明るみになった、
保有していた株の売却についても詳しく取材を
して欲しかったところです。

鈴木さんは2015年2月までの1年間の間に、
保有していた約30万株、推定10億~13億円分を
売却したとニュースソクラが報じていました。

この辺のところも含め、今ひとつ鈴木さん自身の
考えが見えてこないので、本書を読んでも
モヤモヤした部分が解消されませんでした。

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アリエリー教授の人生相談室

満足度★★★★
付箋数:24

  「2012年にウォールストリート・ジャーナルの
  コラム “アスク・アリエリー(アリエリー先生に
  聞いてみよう)” という場で、一般的な質問に
  対する回答を、質問者の許しを得て公開し始めた。
  君がその手にもっているものが、そのコラムを
  加筆修正したものと、今回のために書き下ろした
  回答を集めた本だ。
  何より、才能豊かなウィリアム・ヘイフェリの
  すばらしい挿絵が、私の回答を深め、広げ、
  よりよいものにしてくれている。」

本書は、行動経済学者のダン・アリエリーさんが
読者から寄せられた人生相談に回答する本です。

アリエリーさんは、これまで『予想どおりに不合理』、
不合理だからうまくいく』、『ずる』などの
ベストセラーを連発してきました。

本書は、これまでの著書のように行動経済学に
特化した本ではありません。

そもそも、読者から寄せられる質問自体が、
「人に頼まれると断れないけど、どうしらいい?」
といった、本当に一般的なお悩みです。

しかし、どうしたいいかの悩みとは、
言い換えると「意思決定」の問題になります。

そこで、アリエリーさんの行動経済学の知見が
活かされるのです。

ただし、質問が質問ですから、
アリエリーさんの回答すべてが、行動経済学を
元にした答えになっているわけではありません。

アリエリーさんのすべての回答に
共通しているのは、ユーモアです。

客観的でありつつも、ウィットに富んだ回答は、
ウォールストリート・ジャーナルで人気を博する
のがよく分かります。

では本書の中から、短めの人生相談と回答を
2つほど紹介しましょう。

  Q : 親愛なるダンへ
  アメリカ人が十分な老後資金を確保できるように
  するには、どうするのが一番いいでしょう?
                  ベンより
  A : 人々が老後の生活を支えるだけの資金を
  確保できるように手助けをする方法は、
  基本的に二つある。一つは貯金額を増やし、
  若いうちから貯金を始めるよう促すこと。
  もう一つは、早く死なせることだ。
  このうち簡単なのは、早死させる方だね。
  具体的にどうするか? 喫煙を勧め、
  糖分や脂肪の高い食品に補助金を与え、
  予防医療を受けにくくするといった方法がある。
  こういう視点から老後資金について考えると、
  この問題に関してはすでにできる限りの
  手が尽くされているようだね。

  Q : 親愛なるダンへ
  今の彼女と結婚すべきかしないべきか、
  どうすれば決められるかな?
                  ニックより
  A : できるだけ実験をすることを勧めるよ。
  そうすれば決定を下す前に、信頼性の高い
  データを手に入れられる。実験を行うとき
  大切なのは、調べたい状況になるべく近い
  状況をつくることだ。(中略)君の場合はどうか?
  君は彼女と何十年も暮らすのがどんな感じなのか
  知りたいんだね。それなら、彼女のお母さんと
  二週間ほど一緒に過ごしてみるといいよ。

当の本人は真剣に悩んでいても、
一歩引いて客観的に見たり、長いスパンで考えると、
思い詰めるほどの問題でないことがよくあります。

そのことに気づくのが、一般的な人生相談の本を
読むメリットです。

しかし、本書はアリエリーさんの
気の利いたコメントを純粋に楽しむために
読みたいところです。

日本語版付録として、成毛眞さんと三谷宏治さん
からも悩み相談が寄せられ、それに対する
アリエリーさんの回答も掲載されています。

この本から何を活かすか?

本書の元になっているコラムは現在(2016/6/25)
もウォールストリート・ジャーナルで連載中です。

それほど長い文ではありませんし、1ヶ月に2本の
連載なので、英語を勉強しようと思っている方にも
手頃なコラムかもしれません。

最新のコラムはWSJのサイトとアリエリーさんの
サイトで読むことができます。

  ・WSJのAsk Ariely
  ・アリエリーさんのサイトのAsk Ariely

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| 経済・行動経済学 | 09:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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最強経営者の思考法

満足度★★★
付箋数:22

飛鳥新社の江川さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「私は、松下幸之助と孫正義という
   “最強経営者” から直接学ぶという、
  稀有な経験を持つ唯一の人間である。」

著者の嶋聡さんは、1980年に松下政経塾の2期生
として入塾し、松下幸之助さんご本人から、
直接、指導を受けました。

同塾卒業後は、指導塾員、研究所長、
東京政経塾代表を務め、1989年に松下さんが
亡くなる直前まで、薫陶を受けています。

嶋さんは、1996年に衆議院議員選挙に立候補し、
3期9年間を衆議院議員として国政を担いました。

政界引退後は、孫正義さんを直接訪ね、
ビジネス界のトップランナーになりたいので
ソフトバンクで働かせて欲しいとお願いします。

これが孫さんに受け入れられ、嶋さんは、
2005年9月にソフトバンク社長室長に就任。

社長室長に就いてからは、「孫正義の懐刀」とも
呼ばれ、ソフトバンクの躍進を支えました。

嶋さんは、このような経歴を持つため、
「松下幸之助さんと孫正義さんとは、
どこが似ていて、どこが違いますか?」
と質問を受けることが多いようです。

そんな質問に、嶋さんは次のように答えます。

  「2人とも天才ゆえに、その戦略・戦術には
  法則性があり、恐ろしいほどよく似ています。
  ただ、私が松下塾長に教えを受けたのは
  86歳からお亡くなりになる94歳までの
  人生の総仕上げのとき。孫社長を支えたのは
  48歳から57歳までのまさに働き盛り。
  だから、人間としての孫社長はこれからまだ
  発展していかれるのだと思います」

本書は、松下幸之助さんと孫正義さんの
共通する考えから、「最強経営者の思考法」として
実践リーダー学をまとめたものです。

 第1章 松下幸之助と孫正義に見る6つの成功法則
 第2章 最強経営者が実践した7つの成長戦略
 第3章 最強経営者が備えている6つの条件
 第4章 最強経営者になるための6つのリーダースキル
 第5章 最強経営者ならではの8つの行動原理

それぞれの章では、松下さんと孫さんの
「言葉」をとりあげ、その言葉を裏付けする
エピソードを紹介し、最後にはリーダーを
目指す方へのアドバイスがまとめられています。

では、本書から、松下さんと孫さんの言葉を
いくつか紹介しましょう。

 松下幸之助さんの言葉
  「志を立てよう。
  本気になって、真剣に志を立てよう。
  生命をかけるほどの思いで志を立てよう。
  志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたと
  いってよい。」

 孫正義さんの言葉
 「一番重要なのは、志です。」

松下さんにしても、孫さんにしても最初から
強固な志を持っていたわけではありません。

初めは、ぼんやりとして持っていた志が、
自らの成長とともに、揺るぎない志として
徐々に固まっていったようです。

 松下幸之助さんの言葉
  「きょうまでの自分を考えてみると、
  やはり、90%が運やな。」

 孫正義さんの言葉
  「成功したければ “運のいい人” と付き合え。」

最大限の努力をしたら、最後の最後に
勝負を決するのは「運」です。

その運を上げるには、普段から運のいい人と
付き合い、「自分は運がいい」と信じることが
大切のようです。

松下さんの言葉も、孫さんの言葉も、
お1人でも十分に説得力があります。

しかし、本書でお2人がほぼ同じことを
言っているのを読むと、腹に落ちる度合いが
何倍にもなる感じがします。

この本から何を活かすか?

ところで、孫さんは、経営者としての松下さんを、
どのように見ていたのでしょうか?

孫さんは松下さんのことを、次のように語っています。

  「われわれは情報ビッグバンという絶妙の
  タイミングに生を受けている。
  人類に20万年の歴史があるなかで、
  情報ビッグバンは100年前はおろか、
  50年前にもなかった。
  だから松下幸之助さんはアンラッキーだった。
  あれほどの才覚と人格を持った人でも、
  情報ビッグバンより早く生まれてしまった。
  もし幸之助さんがわれわれと同世代に生きて
  競合していたら、大変な相手だったと思います」

松下さんのことを尊敬しつつも、
自分の方が運がいいと思っているのが
孫さんらしいところでしょうか。

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| リーダーシップ | 07:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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論理力は小学6年間の国語で強くなる

満足度★★★
付箋数:21

著者の小川大介さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「もしあなたが、 “論理的” という言葉を
  聞いただけでストレスを感じたり、苦手意識を
  持ったり、論理的に話そうとすると肩に力が
  入ったり、 “考える” ことを考えるだけで
  疲れてしまったりすることがあるなら、
  この本はきっとお役に立つと思います。」

小川さんは、灘中学校や開成中学校ををはじめ、
いわゆる難関中学へ3500人以上も合格させてきた
中学受験のプロです。

普段、小学生を指導している小川さんが、
わたしたち「大人」を指導ができるのか?

こんな風に思う方もいるかもしれませんが、
心配は無用です。

なぜなら、大人に論理力をつける指導をするより、
小学生に指導する方が、余程難しいからです。

ビジネスにおいても、説明や指導が上手な人は
「小学生にでもわかるように」説明できる人です。

そもそも、本質的に理解していなければ、
それを噛み砕いて、小学生にでもわかるように
説明することはできません。

本書では、小学校6年間の「国語」のカリキュラム
を利用して、論理力の指導を行います。

 小1  主語、述語を中心に文の基本構造を学ぶ

 小2  時系列の感覚と対比思考を学ぶ

 小3  情報の収集と発表の基礎を練習する

 小4  情報を整理し、根拠をもった意見交換を行う

 小5  相手の気持や考えを理解し、自らの考えを
   論理的かつ円滑に伝える基礎を学ぶ

 小6  自分を客観視する力と効果的な表現手法により、
   論理的コミュニケーション力を高める

こうして小学6年間で学ぶテーマを見てみると、
よく考えられたカリキュラムであることが
わかります。

小学校で習う国語も受験国語も、ビジネスで
求められる論理力も、実は鍛えるべきベースは
同じ力。

しかし、いくら小学校の国語のカリキュラムで
論理力をつけられるからといって、
さすがに、今から小学校の教科書を買ってくる
わけにはいきません。

そこで、本書では、そのエッセンスを抽出して、
論理力を支える3つの力のつけ方を解説します。

  1. 把握する力=情報を収集し整理する力
  2. 思考する力=情報をもとに考える力
  3. 伝達する力=適切に表現する力

ところで、世間では論理的に話す人を
理屈っぽいと感じている人もいるようです。

しかし、論理的に話すことと、単に理屈っぽく
話す人には決定的な違いがあります。

その違いはどこにあるのでしょうか?

小川さんは、その違いは「思いやり」にあると
指摘しています。

  「人に話をする第一の目的は、相手に伝わる
  ことです。ですから、相手に伝わる言葉で
  話さなければなりません。相手に伝わる言葉
  とは、相手のことを考えて、相手がわかる言葉で
  話すこと。つまり、論理的な伝え方には、
   “思いやり” が不可欠なのです。」

論理的であることと、「思いやり」は
ずいぶんかけ離れた印象がありますが、
伝えることの目的を考えると、
確かにその通りだと思います。

では、どうしたら思いやりのある話し方が
できるのでしょうか?

その答えは、「ひらがな言葉で話す」こと。

誰にで伝わりやすい言葉で話すためには、
難しい表現を使わず「ひらがな言葉」を
意識して話すといいようです。

この本から何を活かすか?

小学校や中学校で、本を読むのが好きで
作文が得意でも、国語のテストでは
点数が取れない子どもがいます。

国語のテストで高得点が取れる子と、
とれない子の違いは何なのでしょうか?

小川さんは、「設問が読めているかどうか」
の違いであると指摘します。

国語テストの設問では、客観的な理解に
軸を置いての解答が求められます。

しかし、国語の点数が取れない子どもは、
設問に答えているつもりで、実際には
自分の感じ方をただ語っているだけに
なっているそうです。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 07:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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即効マネジメント

満足度★★★
付箋数:23

営業部で初めて目標を持った部下と上司の会話です。

 上司 「1週間で50万円を売れよ」
 部下 「それってどうしたらいいのでしょうか」
 上司 「まずは、最低でも1日2件は顧客を訪問しろ」
 部下 「そのためには、どうしたらいいんですか」
 上司 「1日30件は電話をかけろ」
 部下 「30件もですか?」
 上司 「そう。だから、電話をかける相手先の
   リストを毎日50件は用意しておけ」

この、一見、よくありがちな上司の指導は、
どこが間違っているのでしょうか?

このように指導された部下は、なんとなく
わかった気になるかもしれません。

しかし、この指導方法では、次のような結果に
なってしまうことがあります。

  「50件リストを作り、30件電話をかけました。
  でも、アポが1つも取れませんでした。
  言う通りやったので、許してください」

こう言われると、結果が出なくても、
上司は怒ることもできないでしょう。

そして、上司は次のような指導をしてしまいます。

  「よし、明日はリストを100件に増やせ!」

冗談のように聞こえますが、多くの職場では、
これに近いやり取りが頻繁に行われています。

この上司に足りないのは、「Why」の説明です。

部下は「自分はやり方(Why)がわからないから、
その上手なやり方を教えてほしい」と聞いています。

これに対して、上司はそれがうまく実現できる
ようなやり方ではなく、次の課題(What)を
与えているのです。

部下を育てるのがうまいと評判のマネジャーは、
こんな風に指導します。

  「たとえば、リストの中に、必ず過去にわが社の
  製品を使っていたのに、今は競合に乗り換えた
  お客さんがいるはずだ。そうしたお客さまへの
  電話こそ、腕を磨くチャンスだ。
  真摯に頭を下げ、なぜ、わが社の製品を使わなく
  なったのか、その理由を聞け。理由を聞きながら、
  それを1つ1つ心に刻んで、感謝を伝えろ。
  ただ、そうしたお客さまが私たちの製品を
  使わなくなってからは、相当な時間がたっている
  はずだ。その間には私たちの製品も進歩している。
  だから現在ではお客さんが指摘した問題の多くが
  なくなっているはずだ。いろいろ勉強させて
  いただいたと改めて感謝を伝え、そのあとに、
   “最近では弊社の製品も改善しておりますので、
  ぜひ1度パンフレットを持参したいのですが” 
  とアポをとってみろ」

これはあくまで一例ですが、マネジメントが
わかっている上司は、部下にわかるように
Whyを示すのです。

本書は人事のプロ、海老原嗣生さんが、
NHKラジオ「文化講演会」や各地の講演会で
講義した内容をもとにまとめたものです。

2015年3月に刊行した『無理・無意味から職場を救う
マネジメントの基礎理論
』の姉妹編。

前著では、「部下にやる気をどう出させるか」と
「組織全体の活気をどう保つか」の2つのテーマが
取り上げられていましたが、本書はそのうちの
前者に的を絞り、より細かく解説を加えました。

本書でマネジメントの基礎理論として解説される
のは、「2W2R」と「三つのギリギリ」です。

「2W2R」とは、WhatとWay、ReasonとRange。

「三つのギリギリ」とは、次の3つのギリギリの
目標を用意することです。

 1. 易しすぎず難しすぎず、できるかできないかの線
 2. 活かし場を用意する
 3. 逃げ場をなくす

本書では、これらのマネジメントの基礎理論を
クイズ形式で学べます。

この本から何を活かすか?

本書の理論は、7人のマネジメントの大家の
研究がもとになっています。

  ・フレデリック・ハーズバーグさん
  ・アブラハム・マズローさん
  ・リチャード・ハックマンさん
  ・グレッグ・オールダムさん
  ・エドウィン・ロックさん
  ・松井賚夫さん
  ・大沢武夫さん

この中でも、本書の中心となっているのが、
海老原さんが出身のリクルートの創始者の1人、
大沢さんです。

リクルートの気風は江副浩正さんが作ったと
考えている方も多いですが、
「勇気、元気、やる気」に溢れた同社の気風は、
組織心理学者として名高かった大沢さんが
作り上げたもののようです。

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| 組織・社内教育・コーチング | 05:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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話すだけで書ける究極の文章法

満足度★★★
付箋数:23

  「本書は、人工知能の助けを借りて書きました。
  といっても、1台数億円もする巨大コンピュータ
  を買ったわけではありません。
  スマートフォンの音声入力機能を用いて
  書いたのです。本書は、私が音声入力機能を
  フルに活用して書いた最初の本です。」

これまで野口悠紀雄さんは、入力が面倒だったので、
スマートフォンは主に閲覧用の端末としてしか、
使っていなかったそうです。

しかし、音声入力を活用するようになって、
入力端末として積極的、能動的な使い方に変化し、
ついには1冊の本を音声入力で書き上げるまでに
なりました。

  「音声入力機能を使い始めた当初、私は、
  文章を “速く” 書けることに驚嘆しました。

  (中略)これは大きな驚きだったのですが、
  暫く使っていると、スピードはそれほど重要で
  ないことが分かりました。なぜなら、音声入力
  しただけでは完成品にならないからです。

  (中略)その半面、文章を書く作業が非常に
   “楽になる” ことが分かりました。」

音声入力しても、直ちに使える文章が出てくる
わけではありません。

かなり誤変換があるので、それを修正する
必要があるのです。

また、文章を書くためには、入力以外に
多くの時間を費やす作業があります。

テーマを決め、そのための材料を集め、
表現や構成がおかしくないかを確認して、
編集と推敲をくり返す。

こういった作業を伴うので、音声入力しても
全体の作業時間が大幅に短縮することは
ないのです。

では、音声入力にどんなメリットがあるのか?

  「文章を書くために最も重要なことは、
   “とにかく書き始める” ことです。
  ところが、スタートさせるのは、容易なこと
  ではありません。書き始めようとしても、
  非常に大きな慣性が働くのです。
  ニュートンの慣性の法則は、 “止まっている
  物体を動かすには力が必要” と言っていますが、
  それと同じことです。
  しかし、音声入力を用いると、
  この関門を突破することができます。
  つまり、 “出発” することが簡単にできます。
  なぜなら、思いついたことをしゃべるだけで
  文章が出てくるからです。」

私は、20年ぐらい前に、思いついたアイディアを
忘れないために、ボイスレコーダーに録音して
いたことがありました。

しかし、再生するのにも時間がかかるので、
いつの間にか、面倒になって止めていました。

それがスマホの音声入力では、
テキスト変換されるので、後から取り出したり、
検索したり、編集したりすることが容易に
できるので、随分、使い勝手がよくなりました。

ちなみに野口さんが、雑誌の記事を音声入力を
用いて書くには以下の手順を踏みます。

 1. テーマを決め、思いついた最初のメモを
  iPhoneのGoogleドキュメントに音声入力

 2. iPadでGoogleドキュメントの文章の順番を
  入れ替えるなど予備的に編集

 3. 追加メモをiPhoneに音声入力

 4. ある程度出来上がったところで、
  PCのテキストエディタを用いて本格的な編集

 5. 全体を一覧として把握するために、
  紙にプリントアウトして編集作業

 6. 雑誌誌面に掲載

一連の作業の中で、野口さんを悩ますのが、
「正本が複数できてしまう事故」が起こること。

野口さんは、この厄介な事故のことを
「ドッペルゲンガ・シンドローム」と呼んでいます。

音声入力も発展途上の技術ですが、
本書を読むと、野口さんが、新しいオモチャを
手に入れた子どものように楽しんでいることが
伝わってきます。

その好奇心こそが、野口さんが知的生産をする
原動力のように思えます。

この本から何を活かすか?

残念ながら、私はこのブログの記事を、
音声入力を使って書きしませんでした。

私は、音声入力を殆ど使っていなかったので、
今回はいつも通り、読書メモを紙に書いて、
そこからテキストエディタを使って書きました。

まずは、本書の補論にある「音声入力機能を
実際に利用するための具体的手引き」に従って、
最初の一歩を踏み出そうと思います。

散歩のときに思いついたアイディアを
メモするのに、音声入力は有用なようなので、
これから使ってみます。

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| 文章術 | 08:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「0から1」の発想術

満足度★★★★
付箋数:25

  「私はビジネスマンが生き抜くために必要な
  最大のスキルは “0から1を創造する力” 、
  すなわち “無から有を生み出すイノベーション力”
  だと考えている。」

本書では、大前研一さんが、イノベーションを
生み出すための11の発想法を紹介します。

内容は、ビジネス・ブレークスルー大学大学院で
教えている「イノベーション講座」を書籍化したもの。

では、本書から「観覧車」の事例を紹介しましょう。

観覧車は営業中は動かしておく必要があるため、
維持、運転にかかる費用は固定費となります。

しかし、実際の利用率は土日祝日の午後や夜は
混雑し、平日の昼間はガラガラ。

では、平日の昼間の稼働率を上げるには、
どうしたらいいのでしょうか?

これは、本書の11の発想法の1つ、
「固定費に対する限界利益の貢献の最大化」
という考えです。

観覧車でなくても、様々な業界・業種で、
繁忙と閑散の差は、常に生じる問題です。

この観覧車の問題で、一番やってはいけないのは、
公に示す価格をいじること。

例えば、週末や夜間は1000円のところを
平日の昼間は400円にするなどです。

多くの人が、単純に料金表に平日の割引料金を
導入する発想をしてしまいます。

いつもの大前さんなら、そんな発想をすると
「思考停止」と厳しく非難しそうですが、
本書では、比較的に穏やかに書かれています。

平日の割引料金を示すことがダメな理由は、
「スピルオーバー効果」が生じるから。

スピルオーバー効果とは、費用を負担した者
(週末の利用者)に提供される便宜が、
負担しない者(平日の利用者)にまで、
及んでしまうこと。

確かに、平日割引を導入すると一時的に
稼働率は上がりますが、週末に訪れた客は
この料金表を見て平日より600円も割高だと
感じます。

その結果、不平等感だけが残り、いずれ
この観覧車は一律1000円の値段に戻すか、
赤字覚悟で400円にことになってしまいます。

では、大前さんだったら、この問題をどのように
解決するのでしょうか?

平日割引の問題点は、その価格が公に示されて
いることでした。

大前さんは、客のグループを「シールド化」して、
割引料金が他の利用客に波及しないような
施策を取ります。

例えば、GPSを利用してLINEなどで観覧車の
近くに来ている人たちのスマートフォン宛に
「3時間以内限定の割引券」を配信する。

このように特定のターゲットを狙って、
効率的に狭い範囲で広告や販売促進活動を行う
「ナローキャスティング」の手法を使います。

また、観覧車の料金を一定にして、その代わりに
同じ施設が運営するカフェの無料券を配布する
方法も示されていました。

いずれにせよ、客をセグメント化して、
他の客が得た利益がわからないように
することがポイントです。

実際にハーツレンタカーやアメックス、
アマゾンなどは、すでにこういった手法を
活用しているようです。

本書は、大前さんの著書の中では、
あまり思想面が出ておらず、ノウハウに特化して
書かれていますから、非常に読みやすい本です。

個人的には、名著『企業参謀』の次に、
人に薦めやすい本だと思いました。

過去の著作で何度も登場する大前さんの
コンサルタント時代の実績も出てきますが、
発想法のフレームで再整理されているので、
わかりやくすなっています。

この本から何を活かすか?

本書で示される11の発想法は以下の通りです。

  1. SDF/戦略的自由度
  2. アービトラージ
  3. ニュー・コンビネーション
  4. 固定費に対する貢献
  5. デジタル大陸
  6. 早送りの発想
  7. 空いているものを有効利用する発想
  8. 中間地点の発想
  9. RTOCS/他人の立場に立つ発想
  10. すべてが意味することは何?
  11. 構想

これらは、0から1を生み出すための
「大前流イノベーティブ思考の原点」であると、
大前さんは語っています。

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| 経営・戦略 | 08:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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メタ思考トレーニング

満足度★★★★★
付箋数:31

 【演習問題】
  皆さんは(上司やお客様から)
  「ドローンについて調べて報告して」と
  言われました。

  次に取るべきアクションを1分間でなるべく
  多くあげてください(目安:10項目)。

  例)
  ・インターネットで検索する
  ・(社内でよく知ってそうな)◯◯さんに聞く
  ・関連書籍を買う

これは、本書に掲載されていた、自分の思考回路
(の癖)を確認するための問題です。

あなたは、どのようなアクションを考えましたか?

あなたの考えたアクションが、次の2つのタイプの
どちらに当てはまるかをチェックしてください。

 タイプ1)
  「ドローンについて調べる」ことを前提に、
  どうやって具体的に実行するかについての
  アクション。

  ・アメリカの導入例をネットで調べる
  ・海外の入門書を電子書籍で読む
  ・試しに安いドローンを購入してみる

 タイプ2)
  「なぜドローンについて調べる必要があるのか?」
  と問題そのものを一度疑問視して、そもそもの
  依頼の目的を確認するためのアクション。

  ・調査結果を何に使うかを依頼主に確認する
  ・調査の目的が何かの仮説を立てる

あなたが多く挙げたアクションは、
1と2のどちらのタイプだったでしょうか?

タイプ1は、具体性・実効性重視の「How思考」。
タイプ2は、目的重視の「Why思考」。

本書でトレーニングするのが、タイプ2の、
「なぜ?」を問い、上位の目的を考える思考です。

なぜ、上位の目的を考える必要があるかというと、
真の目的を問うことによって、土俵を変えて、
別の解決策を提示できる可能性があるからです。

また、実際にドローンについて調べるにしても、
その目的によって、何を重点的に調べるかの
優先順位をつけることができるからです。

これが「メタ思考」をするための1つの方法です。

  「本書のテーマは “メタ思考” です。
  メタという言葉はあまり馴染みのない言葉かも
  しれません。文字通りの意味は、あるものを
  一つ上の視点から客観的に見てみると
  いうことです。例えば、 “もう一人の自分の
  視点で自分を客観視してみる” ことが重要だと
  言われることがあります。このように自分自身を
   “幽体離脱して上から見る” ことは “メタ認知”
  と呼ばれ、視野を広げて自分を客観視するために
  必須の姿勢であると言われています。」

著者は、「地頭力」ブームを作った細谷功さん。

細谷さんは、本書で「メタ思考」をするための
2つの方法を取り上げます。

1つは、最初の演習問題で紹介した「なぜ?」
という問いかけで、メタの視点に上がって、
新しい方法を考え出すやり方です。

もう1つは、抽象化で、メタの視点に上がって、
「遠くの世界から借りてくる」方法です。

これは「アナロジー思考」と呼ばれる、
ロジカルシンキングとは正反対の思考方法です。

本書では、この2つの思考を鍛えるために
34問の演習問題を掲載しています。

これらの問題を解き進めると、今まで
できなかった発想ができるようになるでしょう。

これは私の個人的感想になりますが、
本書を最後まで読み終えた(解き終えた)時には、
考える力が大幅にアップした感触がありました。

ただし、意識しないと、今までの思考法に
戻ってしまいますから、定着させるには、
更なるトレーニングは必要ですが。

私にとっては、自分を大きく変えられる本に
久しぶりに出会った印象です。

この本から何を活かすか?

  「なぜ?」を問う「Why思考」の弱点とは?

本書では「Why思考」をトレーニングしますが、
これがどんな場面においても一番優れた思考法
という訳ではありません。

弱点もあるので、それを把握した上での
使い分けが必要です。

弱点の1つ目は、1度立ち止まって考えるので、
「時間がかかって」しまうこと。

もう1つの弱点は、「なぜ?」を問いかけることで、
相手を不快にさせてしまうこと。

特に、日本人同士の会話では、「なぜ?」を
連発すると煙たがられるので要注意です。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 09:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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VRビジネスの衝撃

満足度★★★
付箋数:22

  「いつからか2016年は “VR元年” と呼ばれる
  ようになりました。なぜなら主要な
   “ヘッドマウントディスプレイ(HMD)” が
  2016年にひと通り出そろうからです。
  頭からゴーグル型の端末をかぶる姿をテレビや
  新聞で見たことがある人もいらっしゃるのでは
  ないでしょうか。」

「VR」とは、バーチャルリアリティのことで、
ヘッドマウントディスプレイに映した空間が
現実であるかのように浮かび上がらせる技術です。

2016年に「ひと通り出そろう」のは、
次の3社のヘッドマウントディスプレイです。

まずは、第二次VRブームを起こした立役者、
パルマー・ラッキーさんが率いるオキュラスVR社。

同社の「オキュラスリフト」は2016年3月に
一般向けの販売が開始されました。

次に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント
が同じく3月に発売した「プレイステーションVR」。

3社目は、台湾のスマートフォンメーカーHTC社が
4月に出荷を始めた「HTCバイブ」です。

いずれもハイエンド向けVRで、非常に高い
「没入感」が得られる商品のようです。

「あんなゴーグルを付けて、ゲームをやるような
機械は、きっとオタクしか買わないだろう」

このように思っている方も多いようですが、
本書の著者、新清士さんは、VRの魅力と
ビジネスとしての可能性を本書で詳しく伝えます。

  「私は本書のなかで断言したいと思います。
  ヘッドマウントディスプレイが実現するVRこそ、
  パソコン(PC)、スマートフォンに続く
  IT・インターネット革命の新たな旗手である、と。

  米国の著名な金融機関ゴールドマン・サックスは、
  VR・AR関連機器の市場規模が2025年に最大で
  1100億ドル(約12兆4000億円)にも達すると
  予測しています。この数字はテレビやノートPCの
  市場規模1000億ドル前後とまったくひけを
  取らない規模です。」

新さんが、VRが成功すると確信する理由は2つ。

1つは、体験した人にしかわからない、
その圧倒的な実在感と現実感。

疑似体験であるにも関わらず、ほとんど現実と
区別がつかにほどリアルに感じるようです。

ただし、一度でも体験するとその凄さを
実感できるのですが、未体験の人にはその魅力を
伝えることが難しいという課題もあります。

もう1つの理由は、価格が普及価格帯まで、
下がってきたこと。

これはハードウェアの面でもソフトウェアの面でも
言えることです。

とは言っても、ヘッドマウントディスプレイは
日本円で、まだ10万円近い価格で、
一番安いプレステVRでも5万円近くします。

本格的な普及には、あと一歩でしょうか。

ところで、日本語でVRは「仮想現実」という訳語が
当てられていましたが、実はこれは誤訳です。

「Virtual=仮想」自体が誤訳でした。

本来のVRは「現実世界とは異なるが、ほとんど
実質的には現実世界である」という意味です。

この誤訳によって、欧米と日本でのVRビジネスの
方向性が違ってきているのが面白いところです。

欧米では、「現実世界と実質的には同じ空間を
人間のまわりに作り出す」ことを目指しています。

これに対して、日本では「キャラクターなどが
生き生きと存在する仮想現実を作り出す」ことを
目指してVRが開発されることが多いようです。

本書では入念な取材を重ねた上に、
新さん自身がVRの未来を信じて語っているので、
読むと、すぐにVR体験がしたくなります。

この本から何を活かすか?

個人的にVRビジネスが成功するかどうかは、
「リピート性」だと思っています。

VR体験をしたことがない人が、初めて体験すると、
もの凄い衝撃を受けることは想像に難くありません。

しかし、その衝撃も最初のうちだけで、
回数を重ねる毎に、感動は薄れていくでしょう。

あとは何度もVRをしたくなるようなコンテンツを
作れるかどうかが、ビジネスとして成功するかの
明暗を分けると思います。

本書では、一時期流行った「セカンドライフ」
との比較をしていたので、リピート性のあるVR
を考える上での参考になりそうです。

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| IT・ネット | 08:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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売れる広告

満足度★★★★
付箋数:24

「広告」の本だけあって、読者のターゲットが
明確に絞られている本です。

  「私たちが想定する読者として、
  コミュニケーションの実際の作り手である広告や
  デジタル、PRなどのエージェントで働く方々は
  もちろん、クライアント(取引先の事業会社・
  広告主)でマーケティング、広告宣伝、PRなどを
  担当する方々があります。前者の方々にとっては、
  クライアントへの提案アイディアが、一時的な
  流行や雰囲気をなぞったようなものではなく、
  戦略と創造的飛躍が合致した説得力の高いものに
  なるための、また、後者の方々にとっては、
  エージェンシーから提案されるアイディアを
  判断する際の視点や基準がぶれずに明確になり、
  自らの判断に確信が持てるようになるための
  一助に本書がなれば、たいへん幸いです。」

この想定する読者の方の中で、広告について
マジメに学びたいと思っている方にとっては、
本書は、優れた教科書の役割を果たします。

一方、想定する読者でない方にとっては、
あまり面白い本ではないかもしれません。

ブランドが目指すコミュニケーションの実現には、
「戦略的考察(ロジック)」と
「創造的飛躍(マジック)」の両方が必要です。

まずは、ブランドが目指すもののために、
ロジカルに方向性を見極めます。

次に、その方向が決まったら、
メッセージをアイディアとして昇華させ、
創造的飛躍を取り入れたコンテンツを作ります。

広告コミュニケーションが難しいのは、
この左脳的な戦略的考察と右脳的な創造的跳躍の
両方が必要であることです。

本書は、この2つの分野のエキスパートが
共同で執筆し、戦略的考察から創造的飛躍までを
ワンパッケージで提供しています。

戦略的考察のパートを担当するのは、前田環さん。

前田さんは、長年、外資系の広告エージェントで
ストラテジック・プランナーとして、
P&Gやユニリーバ、フォルクスワーゲンなどの
ブランドを担当してきました。

創造的飛躍のパートを担当するのは、伊東紅一さん。

伊東さんも外資系広告エージェントで、
クリエイティブ・ディレクターとして、
ヴィダルサスーン、マックスファクターなどの
ブランドを担当してきました。

本書では、第1部の戦略パートを前田さんが執筆し、
第2部の創造パートを伊東さんが執筆しています。

この性質も発想も異なるプランナーとクリエイター
が、それぞれの専門性を生かして、
対等な立場で広告コミュニケーションを
開発するのが、外資流のメソッド。

戦略のパートでは、「インサイト」といった言葉を
定義したうえで、「戦略整理比較表」などを使い、
戦略構築を行います。

ちなみに、インサイトとは、一般的には「洞察」と
いった意味で用いられることが多いですが、
本書では、「人に行動を起こさせる、根本的な動機
(モチベーション)に関連する意識や感情、心理」
と定義されています。

創造のパートでは、最初に「クリエイティブ・
アイディア」とは、どういうもので、なぜ必要で
あるかが説明されています。

そして、クリエイティブ・アイディアを
開発する方法が解説されています。

アイディア開発は、一般的には個人の素養に
負うところも大きいですが、本書ではその要素を
抽出して、誰もが使える再現性のある
ノウハウとしてまとめています。

感覚だけで、クリエイティブ・アイディアを
開発していた方にとっても、自らの思考経路を
再確認する上で、本書は有益だと思います。

この本から何を活かすか?

  「ニーズ」と「インサイト」の違い

ニーズは、「こうしたい」などの顕在化した
具体的欲求。

例えば、「歯を白くしたい」などはニーズです。

これに対して、ニーズを喚起させる動機づけに
なる意識や感情、心理などを探るのがインサイト。

「歯が白ければ、思いっきり笑える」などは
インサイトです。

かつて、「芸能人は歯が命」というフレーズの
歯磨きペーストのコマーシャルがありました。

それまで歯を白くしたいなどと、
一度も考えたこともなかった人たちにも、
「歯の白さは、人の魅力を決定づける」
ことを伝えて、顕在化していなかったニーズを
引き出したようです。

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| 広告・PR | 07:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ことばセラピー

満足度★★★
付箋数:20

さくら舎さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「ひとつずつ名言を書いていくにつれ、
  ことばで笑顔になった方々のことが鮮やかに
  よみがえります。つくづく、ことばの力は
  すごいなあと改めて実感させられました。
  診療室にやってきた方に語りかけると、
  私の耳から私の脳に名言が入ってきます。
  もちろん診察にいらした方の助けにはなった
  のでしょうが、この弱い私も幾度となく
  勇気づけられて幸せになりました。」

「ことば」は他人を癒やすだけでなく、
「ことば」を発した本人をも勇気づける
効果がある。

たかが「ことば」、されど「ことば」。

本書は、精神科医である上月英樹さんが、
日々診療に取り入れ、効果をつかんでいる
「ことば」を選んで紹介した本です。

古今東西、有名な方からそうでない方まで、
120以上のことばを集めた名言集。

上月さん自身、これまでの人生は、
挫折、不安、悩みの連続だったといいます。

内向的で過敏だった上月さんは、
小学校低学年のあるころから、
人前で話すことができなくなりました。

無理に人前で話そうとすると、激しい震えを
発したり、吃音になってしまうなどの
社交不安障害を抱えていました。

緊張しないように努力をしようとすれば
するほど、さらに症状は悪化したそうです。

それから上月さんは、心理学や自己啓発書など
ひたすら本を読むようになりました。

医師を志した理由も、心や精神を客観的に究め、
自分の症状を克服したいという気持ちから
だったと振り返っています。

上月さんの人生を支えてきた「ことば」は、
精神科医になってからは、多くの悩める人たちを
救ってきました。

本書では、たったひとことで気持ちが楽になったり、
気持ちを前向きにしてくれる、治療の効果ある
名言を5つのカテゴリーに分けて紹介します。

  深呼吸セラピー、出直しセラピー、逆転セラピー、
  脱力セラピー、よりみちセラピー

では、本書の中から、私に刺さった「ことば」を
いくつか紹介します。(以下、敬称略)

  「最高の名誉とは、失敗しないことではない。
  失敗するたび、何度でも立ち上がることにある」
   ― ラルフ・ワルド・エマーソン

これに類する名言はたくさんあり、
スポーツ選手の多くも、失敗するたびに、
立ち上がることの重要性を説いています。

  「したことの後悔は、日に日に小さくする
  ことが出来る。していないことの後悔は、
  日に日に大きくなる」 ― 林真理子

後悔には、やってしまった後悔と
やらなかった後悔の2種類があります。

同じ後悔するのでも、その後の人生の糧に
なるのは、やったことの後悔です。

  「顔とか、運動神経とか、センスとか、
  才能とか、そういうので負けるのはいい。
  それは自分で選べるものじゃないから。
  でも、行動は、行動することだけは、
  決して、誰にも負けてはならない。
  なぜなら、それを “する” か “しない” かは、
  自分で選べるのだから。
  震えが止まらない足は ― 震えたままでいい。
  一歩、前へ」 ― 水野敬也

これは『「美女と野獣」の野獣になる方法
のラストから。

私も大好きな本の一冊です。

「震えたままでいい」のフレーズは、
診療室にやってきた方の背中を
後押しするパワーがあるようです。

この本から何を活かすか?

私は本書から、次のことばを
実践しようと思いました。

  「日記の初めの一行に、
   “今日もいい一日だった”
  と書いてしまうのだ」 ― 保坂隆

かなり強烈な暗示効果を発揮する日記の書き方。

まず、今日はいい一日だったと最初に書くと、
その日の良かったことを探して、安堵するように
なるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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科学の発見

満足度★★★★
付箋数:25

  「本書の中で私は、現代の基準で過去に裁定を
  下すという、現代の歴史家が最も注意深く
  避けてきた危険地帯に足を踏み入れるつもりでいる。
  本書は不遜な歴史書だ。過去の方法論や理論を、
  現代の観点から批判することに私は吝かでない。
  それどころか、これまで誰も指摘したことのない、
  科学史上のヒーローたちが犯したミスをいくつか
  暴くことに私は若干の喜びさえ覚えた。」

本書の著者、スティーヴン・ワインバーグさんは、
量子論の統一理論への第一歩となる、電磁場と
弱い力を統合する「ワインバーグ・サラム理論」
を1967年に発表して、ノーベル物理学賞を受賞した
著名な物理学者です。

本書は、ワインバーグさんがテキサス大学で、
科学・数学・歴史について特段の予備知識を
持たない学生を対象に行こなった科学史講座を
ベースに書かれたもの。

原題は『To Explain the World』。

「世界を説明する」ことが、科学者たちを動かす
原動力となっているという意味です。

本書でワインバーグさんは、科学史に残る偉人たち、
特に自然哲学者たちの考え方や手法の誤りを
辛辣に批判します。

アリストテレスさんやプラトンさんは、
今日の基準からすると、愚かだったと。

  「現代科学のある重要な特徴が、これまで言及
  してきたタレスからプラトンに至る思想家には
  ほぼ完璧に欠けている。彼らのうちの誰も、
  自分の理論を実際に確かめようとしないのである。
  誰も(おそらくゼノンは別として)、自分の理論
  の正しさを論証することさえ試みていない。」

このように、現在の基準で過去を裁くことは、
ホイッグ史観またはウィッグ史観とも呼ばれ、
歴史家の中では禁じ手になっています。

なぜなら、ホイッグ史観は、勝利者が自己を
正当化するための歴史になってしまうからです。

しかし、ワインバーグさんの目的は、
過去の自然哲学者の愚かさを糾弾することでは
ありません。

こうした知の巨人たちが、いかに現代科学の
概念から隔たっていたかを示すことで、
現代科学の発見がどれだけ困難だったかを
わかってもらうことが目的です。

そして、ワインバーグさんが評価の基準
とするのが、偉人たちがとった方法論が、
科学の基本を満たしているかどうかです。

ですから、偉人たちの中にはワインバーグさんが、
従来よりも高い評価を与えている方もいます。

その1人が、天動説を唱えたプトレマイオスさん。

プトレマイオスさんの「周転円」説は、
よくできたモデルと評価していますし、
数学に基いて立てた仮説を観測結果と比較した
という点でも高い評価を与えています。

これに対して、アリストテレスさんは、
自説の根拠を示したことでは、科学者として
認めていますが、自然科学の研究において
数学を用いなかったことで評価を下げています。

しかも、科学者としてのアリストテレスさんの
影響力が2000年間も続いてしまったたために、
科学から数学が遠ざけられてしまったとも。

とにかくワインバーグさんの批判は手厳しい。

そして、後半では「科学革命」と呼ばれた時代を
取り上げています。

 第四部 科学革命
  第11章 ついに太陽系が解明される
  第12章 科学には実験が必要だ
  第13章 最も過大評価された偉人たち
  第14章 革命者ニュートン
  第15章 エピローグ:大いなる統一をめざして

この時代の、それこそコペルニクス的転回で
進展する科学の描写は、スピード感があって圧巻。

また、本書で取り上げた歴史的発見の科学的・
数学的背景を解説した「テクニカルノート」が
巻末に掲載されいます。

これが55ページもあって、もっと本書の内容を
詳しく学びたいと思う人にもありがたいです。

この本から何を活かすか?

ワインバーグさんが考える、最も過大評価された
偉人とは、フランシス・ベーコンさんと
ルネ・デカルトさんです。

現代の目で見ると、ベーコンさんの考えには
実効性がない。

デカルトさんに至っては、哲学よりも科学で
多くの仕事をしているにも関わらず、
間違いだらけだったと。

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| 科学・生活 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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リストマニアになろう!

満足度★★★
付箋数:21

飛鳥新社の江川さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

「リストマニア」とは、リストづくりに異常なほど
情熱を持っている人のことです。

  「ハイ、みなさん。わたしはポーラ・リッツォ。
   “リストマニア” です。(中略)
  わたしはリストなしにはいられないのです。
  一般の人よりも、わたしはストレスが少ないに
  違いありません。それはもちろんリストのおかげ
  です。リストの項目すべてを消せるだろうかと
  思ったりもしますが、そのためのツールも
  テクニックもあります。わたしがテレビ界の
  アカデミー賞とも称される “エミー賞” を
  過去に受賞できたのも、リストがあったからです」

本書は『Listful Thinking』の邦訳本。

著者のポーラ・リッツォさんはマンハッタン在住の
TVプロデューサーです。

かつてエミー賞を受賞した経験があり、
現在はFOXニュースでシニアプロデューサーを
務めています。

リッツォさんは、リスト好きが高じて、
ListProducer.com」というサイトを開設しました。

本書では、単にToDoリストの作り方だけでなく、
仕事やプライベート、生きていく上での
あらゆる状況でリストを活用する方法を伝えます。

それが原題の「リストフル・シンキング
(リスト活用思考)」です。

まずは、リストを作ることのメリットについて、
リッツォさんは、次の6点を挙げています。

 □不安が減って時間が増える
  思いついたことをさっと書いておくだけで、
  時間の節約になり、あとでイライラすることも
  なくなります。

 □脳のパワーが高まる
  リストを作るときに使う脳の一部は、普段は
  使わない部分なので、脳の力をアップさせる効果が
  あるようです。

 □目的に集中できる
  リストがあれば、邪魔が入る前に自分がやっていた
  作業に戻るのが簡単になります。

 □自信が高まる
  リストから項目を消していくと達成感が生まれ、
  自信もヤル気も、計画性も持続できます。

 □思考を整理できる
  リストを作り、その項目を行う方法考えると、
  混乱状態から解放され、思考が整理されます。

 □心の準備ができる
  何かあったときに、優先事項をチェックできる
  リストが手元にあるだけで、落ち着いて対処
  することができます。

リストは、やり忘れを防ぐ実用面もさることながら、
精神面への影響が大きいように思えます。

また、リストに頼ると、決まったことしか
できないようなイメージがありますが、
実は発想を広げるときにもリストは使えます。

有名な「オズボーンのチェックリスト」や
それを改良した「SCAMPER法」なども、
アイディア出しの時には便利ですね。

リストを作ると、縛られているように見えて、
実は、もっと自由になることができるのです。

本書では定番のToDoリスト以外にも、
次のようなリストが紹介されています。

仕事用リスト、会議用リスト、朝リスト、
死ぬまでにやりたいことリスト、調べ物リスト、
財政管理リスト、話すことリストなどなど。

私も、このブログをアップする前に、
本書を参考にして、今日のToDoリストを
ホワイトボードの書き出してから
1日をスタートしました。

この本から何を活かすか?

リストは、書いたらそれで終わりではありません。
項目を消して、リストをやり遂げることも必要です。

本書では、やり遂げるための方法も、次のように
リスト化されていました。

 1. リストを評価する
  優先順位をつける・現実的になる・絞り込む

 2. リストを強化する
  項目を小さく分ける・課題毎に違うリストを作る

 3. リストを他人に任せる
  アウトソーシングする・必要な時に「ノー」と言う

 4. 締め切りを設定する

 5. 自分へのご褒美を設定する

 6. 自分に思い出させる

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| ノウハウ本 | 10:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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イギリス人の、割り切ってシンプルな働き方

満足度★★★
付箋数:20

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場
となる新国立競技場。

当初、イギリス・ロンドンを拠点として活躍した
イラク出身の建築家ザハ・ハディドさんの
デザイン案が採用されました。

しかし、ハディドさんのデザインでは、
建築費が莫大になることがわかり、
日本政府はデザイン採用を白紙撤回しました。

一方、ハディドさんは、2012年のロンドン五輪では、
競泳場を設計しました。

日本のときと同様に紆余曲折はあったものの、
このときは、競泳場を完成させています。

完成した競泳場はハディドさんの最初の案から、
規模を三分の一に縮小したものになりました。

ここで言いたいのは、ハディドさんのデザインする
建築物があまりにも斬新なため、アンビルト
(実現しない建築)の女王と呼ばれていた
ということではありません。

  「簡単に言えば、日本では “白紙撤回”、
  ロンドンでは “交渉のうえ縮小させる” という
  結論になったわけです。
  イギリスでは、 “世界中の水泳選手がメダルを
  目指して鎬を削る舞台となるプールでも、
  五輪が終わったら市民プールとして使用される。
  それなら大会後の維持管理のことを考え、
  規模は市民プールくらいのものに抑えよう。
  大会中は仮設スタンドを設置することで、
  五輪競泳場にすればいい” ― という考え方を
  とったのです。」

この競泳場は、五輪開催中には
仮設スタンドの鉄骨が無機質な印象を与え、
「醜いアヒルの子」と揶揄されることもありました。

しかし、大会後には仮設スタンドは撤去され、
ハディドさんが本来デザインした、
伸びやかな曲線の外観を持つ建築物となりました。

現在は、ハディドさんの代表作の1つにもなり、
美しい市民プールとしても愛用されています。

なぜ、イギリス人は、世界の注目が集まる
五輪の競泳場が、「醜いアヒルの子」でいいと
判断したのでしょうか?

また、ハディドさん自身も「これ “で” いい」と
納得したのでしょうか?

イギリス人の「これ “で” いい」という感覚には、
次の2つの考えが含まれているようです。

1つは、本来の目的に立つことで、不必要なことを
やらないと判断すること。

もう1つは、決まったことをこなす感覚ではなく、
常に目的から逆算して最善の手段をとること。

これらの感覚が、イギリス人が「割りきることで、
ストレスなく、淡々と仕事をする」ことに
つながっているようです。

本書は、渡英12年、ロンドン五輪にも携わった
建築家・山嵜 一也さんが、イギリス人の
「割りきったシンプルな働き方」を伝える本です。

イギリスは、日本にとっては成熟国の先輩です。

そこには日本が学ぶべき、
生き方や働き方があるようです。

成熟国というと、発展性がなく、
活気がなさそうなイメージがありますが、
実際のイギリス人は、日本人ほど先行きに
不安や行き詰まりを感じてはいないようです。

本書では、山嵜さんがイギリスにいた12年間で
見てきた、イギリス人の考え方や働き方を
5つの切り口から紹介しています。

また、「オトナの国・イギリス」の振る舞い方を
紹介するだけでなく、2020年に開催される
東京五輪へ向けての提言も書かれています。

山嵜さんは、ロンドン五輪で使われた
競技会場建築の現場監督を務めましたので、
そうした建築家の視点としても興味深い本です。

この本から何を活かすか?

  「未来を予測する最善の方法は、自らそれを
  創りだすことである」

これは、「パーソナルコンピュータの父」とも
呼ばれるアメリカの計算機科学者、
アラン・ケイさんの言葉です。

ロンドン五輪においては、未来から逆算して考え、
それを実行することが、未来を予測することになる
という考えが徹底されていたようです。

五輪後の未来を見据えて、2012年に求められる
競技場が、割に合うコストで造られました。

しかし、割りきって使えるものは何でも使う
精神があったので、五輪の開会式では、
エリザベス女王を「007」のボンド・ガールとして
起用するという大胆な演出も考えられたのです。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 08:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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相手を変える習慣力

満足度★★★
付箋数:22

2015年11月に刊行した『自分を変える習慣力
が好評だった、メンタルコーチの三浦将さん。

第2弾の本書で、変えるのは「相手」です。

  ・部下にもっと成長して欲しい
  ・自分で考えて行動できるようになって欲しい
  ・何を考えているか、もっと本音を言って欲しい
  ・子どもがもっと勉強するようになって欲しい

仕事でも家庭でも、目の前の人に変わって欲しい
と思う場面はたくさんあります。

しかし、相手を変えようといろいろ試しても、
一向に相手の態度や考え方は変わりません。

むしろ、変えようとすればするほど、
相手は反発して、態度を硬直させてしまいます。

実は、相手を変えたいのであれば、
最も大切なことは、相手を変えようとしない
ことなのです。

なぜなら、相手を変えようとする気持ちは、
相手にダメ出しをする気持ちだからです。

仮に、あなたにそんな気がなくても、
相手はダメ出しされたと受け取ります。

ダメ出しされた部分に自覚があったとしても、
それを他人から指摘されると、
素直に受け取ることはできないものです。

では、どうしたら相手を変えられるのでしょうか?

  「まず、相手を承認するのです。
  相手を変えようと必死になる前に、
  相手の存在そのもの、そして可能性を承認する。
  ここが何よりも大事です。 “君は、今はたまたま
  こういう状態だけど、君の本質は可能性に
  溢れている” というような見方です。」

ここで大切なのは、相手の無意識のうちに
拒否しないよう、つまり潜在意識が抵抗しない
ように働きかけることです。

潜在意識が、あなたのことを「安全な存在」と
認めることによって、はじめてあなたの言っている
ことを受け入れられるようになるのです。

本書では、「潜在意識」を味方につける
「習慣化」によって、無理なく「相手を変える力」
を身につけます。

本書で三浦さんが伝えるポイントは3つあります。

  1. 人は、相手を変えるために何が必要かについて、
   多くの思い違いをしている

  2. 目の前の相手をかえるには、相手の潜在意識に
   どう働きかけるかが重要

  3. 相手を変える習慣を身に付けることは、
   あなた自身の自己肯定感をも高めてくれる

相手を変える力が身に付くと、自分自身にも
望ましい変化がもたらされるということです。

本書では、相手を変えるため、いきなり相手に
働きかけることから始めません。

最初にするのは、自分自身の習慣を変えること。

自分さえ変えることができなければ、
他人である相手を変えることなどできないのです。

自分が変われば、相手の潜在意識に少しずつ
影響を与えることができるようになります。

それが、最終的に相手を望ましい方向に
変化させることにつながります。

本書には、自然と「相手を変えるための」
メンタルコーチングのメカニズムや
アドラー心理学、そして三浦さんのプロとしての
経験が詰め込まれています。

実際の会話例も多く紹介されていますから、
真似して実践しやすい本だと思います。

 プロローグ 相手を変える習慣力
 Chapter1 相手を変える力についての思い込み
 Chapter2 相手の戦時意識に働きかける
 Chapter3 大事なことはスキルではなく承認すること
 Chapter4 相手を変えることができる人
 Chapter5 習慣化の技術
 Chapter6 “できる” から “やっている” に変える対話術

この本から何を活かすか?

本書では、相手を変える前に自分を変えますが、
その中で大切なのが、自分自身を承認することです。

自分自身を承認して、勇気づけることが増えると、
自分の潜在力を発揮することができるのです。

ですから、自分自身へもダメ出しはしない方がいい。

自分へのダメ出しは、自分の夢を打ち砕く
ドリームキラーになってしまうのです。

ここで重要なのが、失敗に対して反省することと、
ダメ出しすることは違うということです。

態度や行動レベルにはしっかりと反省して、
自分の可能性や存在自体を否定するような
ダメ出しはしないように、しっかりと区別する
必要があります。

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| 組織・社内教育・コーチング | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ロケット・ササキ

満足度★★★★
付箋数:23

すぐにでも本書をダウンロードすることを
勧めたいところですが、残念ながら2016年6月現在、
本書のKindle版は出ていません。

書店に足を運ぶことが可能な方は、プロローグだけ
でも本書を手に取って、読んでみてください。

これは本当の話なのか? それとも創作なのか?

疑ってしまうような話から本書は始まります。

プロローグを読んでグッと来たら、
本書を買って損はありません。

怒涛の勢いで進む本編は、プロローグ以上に
ドラマチックで面白いことは私が保証します。

本書は、シャープ元副社長の佐々木正さんの
痛快無比な人生を描いたノンフィクション。

孫正義さんがアメリカに留学中に開発した、
「音声機能付き電子翻訳機」を日本のメーカーに
売り込んで、1億6000万円もの資金を手にした
エピソードは有名です。

孫さんが、松下電器や三洋電機に持ち込んでも
相手にされなかった電子翻訳機を、
人物を見込んて出資を決めたのが、
当時、シャープ中央研究所の所長を務めていた
佐々木さんでした。

孫さんが事業資金を調達できずに、
困っていた時にも、佐々木さんは助けます。

佐々木さんは、第一勧銀の常務に電話をして、
自分の退職金や自宅を担保に入れてまで、
若く何の実績もない孫さんに融資するように
頼んだのです。

孫さんが、佐々木さんを大恩人と仰ぐのは
こういった関係があるからです。

この有名なエピソードも、本書に登場しますが、
佐々木さんのドラマチックな人生の中では、
あくまで1つのエピソードに過ぎません。

佐々木さん自身、ミッションインポッシブルを
次々と実現していきます。

優秀な科学技術者でありながら、圧倒的な人間力で
仕事を進める佐々木さんが、最も大切にしたことは
「共創」です。

佐々木さんが、当時、早川電機という社名だった
シャープに入社して、産業機器事業部長に就くと、
研究員たちは開発の問題に突き当たると、
佐々木さんに相談しました。

  「ああそれなら、三菱電機に頼みなさい。
  僕から電話しておいてあげよう」

  「それは(当時、世界最大の電機メーカー
  だった)RCAに聞くのが早い。
  向こうが朝になったら電話しよう」

研究室の中だけで、問題を解決しようとしていた
技術者たちの考えを超えて、佐々木さんは、
広い見識と人脈で、すぐに解決策を見出しました。

そして、「共創」について次のように語りました。

  「いいかい、君たち。わからなければ聞けばいい。
  持っていなければ借りればいい。逆に聞かれたら
  教えるべきだし、持っているものは与えるべきだ。
  人間、一人でできることなど高が知れている。
  技術の世界はみんなで共に創る『共創』が肝心だ」

この佐々木さんの共創の教えは、孫さんにも、
スティーブ・ジョブズさんにも影響を与えることに
なりました。

また、佐々木さんのチームが開発したMOS-LSI
の技術で、アポロ12号は、月面のカラー中継に
成功しました。

佐々木さんと早川電機は、この功績によって
NASAから「アポロ功労賞」を受けました。

しかし、本書のタイトル「ロケット・ササキ」は、
その開発した技術からついたものではありません。

MOS-LSIを開発していたチームで、
佐々木さんの豊かすぎる発想と、
圧倒的なスピードについたアダ名です。

  「戦闘機のスピードでは、ササキには追いつけない。
  ロケット・ササキだ」

この本から何を活かすか?

電卓戦争が集結した1977年春、松下幸之助さんから、
佐々木さんのもとに、ある依頼が来ました。

それは、「電卓戦争でなぜ松下はシャープに
勝てなかったか」を、松下電器本社で講演して
欲しいという依頼でした。

当然のことながら、これまで松下に、さんざん
煮え湯を飲まされてきたシャープの役員陣は、
この依頼を受けることに大反対します。

しかし、ここでシャープの創業者、
早川徳次さんは反対する役員を一喝します。

  「少しばかり教えたくらいで負けるなら、
  シャープなどその程度の会社だということです。
  そんなことで、負けるシャープじゃない。
  佐々木さん、構いません。
  行って、存分に話しておやりなさい」

講演を依頼する松下さん、それを認める早川さん、
そして、どう戦ったかを存分に話す佐々木さん。

いずれも凄い人たちです。

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| ビジネス一般・ストーリー | 12:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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未来から選ばれる働き方

満足度★★★
付箋数:20

  「2024年には “会社” がなくなる―。
  あなたの勤めている “会社” はもちろんのこと、
  飛ぶ鳥を落とす勢いで成長するあの “会社” も、
  なくなってしまう。」

神田昌典さんは、2012年に刊行した
2022―これから10年、活躍できる人の条件
の中で、こんな大胆な予想をしました。

これは完全に組織としての会社がなくなる、
という意味ではなく、今の会社は一旦死んで、
未来へ飛躍する価値ある組織へ生まれ変わる
ということです。

理由は、インターネットの情報革命により、
会社の内ではなく、会社の外で価値が生まれる
ようになったから。

社内のリソースだけに縛られていては
会社としての動きが遅くなり、
社員の側も会社に縛られていては、
価値を発揮できない状況に追い込まれます。

だから、会社の内から外へ、また外から内へと
柔軟につながっていく組織でなければ、
これからの時代に対応できなくなる。

2024年までに、新たに生まれてくるのは、
社外のリソースを活用する、今までの「会社」の
枠を超えたネットワーク型の組織。

そんな未来から選ばれる人材とは、
環境の変化に対応し、自らを改革し続け、
組織のビジョンの実現に、情熱を注ぎ込める人。

これが神田さんの考える未来像と
そこで求められる人材です。

そして、実際に今までの「会社」の枠を
超えた組織を実現しているのが、
若山陽一さんが創業したUTグループです。

若山さんが創ったのは、「派遣される正社員」
という新しい概念です。

ここ10年位の変化で、製造業に従事する方は、
8~9割がメーカー側の正社員だったものが、
8~9割が派遣社員に置き換えられました。

そんな雇用環境の中で、UTグループが行って
いるのが、正社員として採用して、
クライアント先の工場に派遣する雇用形態です。

勤務する工場は変わるものの、
正社員として雇用は安定し、職能給制度によって、
スキルや賃金のアップも可能となりました。

若くして一気に出世できる「エントリー制度」の
採用により、未来が思い描けるようになり、
半導体工場で時給900円で働いていた派遣社員が、
35歳で本社の上席執行役員にまで登り詰める
ケースも出てきました。

本書は、そんな新しい雇用形態を生み出した、
若山さんと神田さんの共著です。

  「本書は、20年にわたって人材派遣業を経営
  しながら、製造業をはじめとした企業の、
  働く現場に関わってきた若山社長との対論形式で
  進められます。伝えたいことを一気に凝縮して
  話しましたので、薄い本でありながら、
  私たちが経験から学んだ、未来論、起業論、
  そして経営論、人材開発論をはじめとした
  幅広い知見を、あなたと共有します。
  私が “未来” を担当し、若山氏は、その未来に
  備えるための “現在” の改革的な取り組みを
  担当します。」

神田さんと若山さんは、1章ごとに交代で執筆し、
私たちに、未来につながる現在の働き方を
示してくれます。

 第1章 あなたの会社は進化するか、それとも絶滅か
 第2章 目の前から、正社員が消えた十年
 第3章 会社をなくしてわかった可能性と限界
 第4章 才能が自然に磨かれていく「場」を創る
 第5章 コネクティング・インテリジェンスの時代
 第6章 [対談]これから十年、飛躍するための条件

この本から何を活かすか?

  「内面と外面のズレをなくし、常に、それらを
  一致(コネクト)させていく知性」

これが未来から選ばれるために必要な
コネクティング・インテリジェンス(CI)です。

CIを持つと、個人は、内へ思考を掘り下げ、
自らの本質を発見し、その本質を外へ
表現・行動していくことで、揺るぎない軸を
持てるようになる。

それが、先の見えない状況でもあきらめずに、
困難に打ち勝つ力の源泉になるようです。

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| 仕事論 | 06:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「好き嫌い」と才能

満足度★★★
付箋数:24

「仕事に自分の好き嫌いを持ち込むな」と
言われることがあります。

好き嫌いに関わらず、やるべきことをやるのが仕事。
好きなことだけやっているのは趣味。

世間では普通、このように認識されていますが、
楠木建さんは、「仕事にこそ好き嫌い」が
最も重要だと考えます。

プロとして良い仕事をしていくには、
絶え間ない努力を続ける必要があります。

一般的に仕事に必要な努力は、
インセンティブと結びついています。

努力すると、何らかの報酬や評価が得られる。

しかし、インセンティブによって努力する人は、
インセンティブが効かなくなると、
努力をしなくなるという問題があります。

しかも、インセンティブの効果は、
時間とともに低減する。

  「これに対する筆者の考えは、 “努力の娯楽化”
  という発想の転換である。考えてみれば、それが
   “努力” かどうかは当事者の主観的認識の問題だ。
   “努力しなきゃ・・・” と思った時点でもう
  先行きは怪しい。だとしたら、 “本人がそれを
  努力だと思っていない” 、これしかないというのが
  筆者の行き着いた結論である。
  客観的に見れば大変な努力投入を続けている。
  しかし、当の本人はそれが理屈抜きに好きなので、
  主観的にはまったく努力だと思っていない。
  むしろ楽しんでいる。すなわち “努力の娯楽化” 、
  これが仕事における最強の理論だというのが
  筆者の考えだ。」

インセンティブは外から与えられる誘因。

これに対して、好きだから仕事をするのは、
自分の内側から湧き上がってくる誘因。

好きだから、報酬を得られなくても、
人から評価されなくても、誰からも強制される
ことなく、努力を続けることができるのです。

傍目には、ものすごい努力をしているように
見えても、それが好きで没頭しているわけですら、
本人にとっては、全くツライことはありません。

それを続けていくうちに、仕事で大きな成果を
発揮する才能へと昇華していくのです。

「好き嫌い」こそが仕事で成果を上げる源泉。

このように考える楠木さんが、各分野の
トップランナーたちに、才能の起点にある
「好き嫌い」に焦点を絞ってインタビュー
したのが本書です。

2014年6月に刊行した『「好き嫌い」と経営』は、
経営者に限ったインタビューでしたが、
本書で対談する19人は、その分野で余人をもって
代えがたい仕事をしている方々です。

  オリックス シニア・チェアマン 宮内義彦さん
  ローソン代表取締役社長 玉塚元一さん
  元プロ陸上選手 為末大さん
  小説家 磯崎憲一郎さん
  東京糸井重里事務所CFO 篠田真貴子さん
  音楽プロデューサー 丸山茂雄さん

そして19人目には、著者の楠木さん自身に対する
インタビューも掲載しています。

  「言うまでもなく、好き嫌いは十人十色である。
  1人ひとりのケースで個別に見なければ、
   “好きこそものの上手なれ” の実際はわからない。
  それぞれの好き嫌いについての対話を通じて、
   “努力の娯楽化” の内実に迫る。
  これが著者のねらいである。
   “努力の娯楽化” というメカニズムについて、
  読者の方々に “なるほど、そういうことか・・・”
  というイメージを持っていただくことができれば、
  本書の意図は達成されたといえる。」

500ページ近い分厚い本ですが、
好きなことに没頭して才能を発揮した人の話は
非常に興味深く、スイスイとページが進みます。

この本から何を活かすか?

  「私は女性の顔の美しさも才能であると
  思っているのです。生まれ持ったもの以上に、
  もっと “盛って” いるんですよ。
  スッピンに比べると、髪とか化粧とか洋服で
  まったく変わるのです。かなり努力しているのです。
  もとが良くても、ズボラだとパッとしません。」

これは、ウォンテッドリー代表取締役CEO
仲暁子さんの対談での発言です。

仲さんの「女性の美しさは才能」との意見に、
怒りそうな人がいっぱいいそうで「最高!」と
楠木さんは、嬉しそうでした。

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| 仕事論 | 06:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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これが「買い」だ:私のキュレーション術

満足度★★★
付箋数:24

  「親愛なる読者におかれましては、いますぐ帯を
  外してシュレッダーにかけていただきたい。
  くれぐれも帯がついたままの書影をSNSなどに
  アップされないよう、ご配慮願いたい。
  もし、どうしてもアップするのであれば、
   “面白かった! これが買いだ!” などと
  感嘆符付きで一言付け加えていただきたい。
  編集者ともども感涙に咽ぶであろう。
  なにとぞよろしくお願いいたします。」

成毛眞さんが、ここまで気にしているのは、
帯に写った自分の姿が「プクプクに太った」
ように見えること。

アマゾンが提供する書影は、「帯なし」でした。

さて、本書は成毛眞さんが週刊新潮に連載する
「逆張りの思考」の2014年1月30日号から
2016年3月31日号までを抜粋して、
加筆修正してまとめたものです。

単行本化にあたり、「キュレーション術」という
サブタイトルが付きました。

キュレーターとは、もともと博物館や美術館の
職員で、展覧会の企画・構成・運営などを
つかさどる専門職のことです。

それが転じて、キュレーションとは情報を集め、
それを分類して、つなぎ合わせて新しい価値を
持たせて共有することを言います。

  「プクプクのおじさんがキュレーションするのは
  ちょっとした日常品であり、なくてはならない
  ものとなったITのヒントであり、
  なによりも生きやすくなるための考え方だ。
  要するに気楽に生きていくためのヒントである。
  当然、気楽に生きていくとプクプクになるのである。
  帯の写真はその証明なのだ。」

やはり、ここまで書かれると、帯付きの書影を
載せないわけにはいきません。

これが「買い」だ書影_convert_20160606060807

成毛さんは、独自の視点を持ったこだわりのある方。
その根源にあるのが「逆張りの思考」です。

逆張りとは、下落しているときに買い、
上昇しているとき売る(空売りする)投資用語。

投資の原則は、安く買って高く売ることなので、
逆張りはそのセオリーには合っているいるものの、
心理的にも資金的にもなかなかできない投資法です。

投資の格言で「落ちてくるナイフはつかむな」と
言われる通り、急落のときに投資するのは、
落ちてくるナイフをつかむようなもの。

どんなに魅力的な銘柄でもナイフが床に落ちて、
底を打ってから投資するのがセオリーです。

それに対して逆張りは、誰もが危ないと思って
避難しているときに、突っ込んで行くので、
余程の信念や確信がないとできません。

しかし、これが当たると大きく儲けられるのが、
逆張りの一番のメリットです。

本書での逆張りは、投資の話ではなく、
考え方や生き方についてです。

時代の流れにあえて逆らって、人が選ばないことに
お金や時間をかける生き方です。

成毛さんは、世の中でこれだけ「英語が必要だ」、
「経営をするならMBAを学ぶべき」と言われている
ときに、「日本人の9割には英語は不要」とか、
「日本人経営者の9割にはMBAは要らない」と
言っているくらいですから、
まさに時代に逆らった主張をしています。

ちなみに、成毛さんが英語やMBAより、ほとんどの
日本人に必要だと考えるのは「簿記」の知識。

簿記2級程度の知識が、経営のための根幹技術と
説明されています。

また、「英語よりも歌舞伎を学べ」というのも、
面白い主張でした。

それでは、書影を載せた以上言っておきましょう。

本書は、「面白かった! これが買いだ!」。

この本から何を活かすか?

火花』の芥川賞フィーバーによって、
純文学ブームが起こりつつありますが、
成毛さんが次に来ると思っているのは「SF」。

  「日本でもそろそろSFのリバイバルブームが
  訪れ、さらには新しい理系出身者の、
  あるいは理系的センスを持った書き手が文壇を
  盛り上げる頃合いではないだろうか。
  『火花』の次はSF。これは私の予言である。」

私も、最近SFを読むことが増えた気がします。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 06:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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会社の中はジレンマだらけ

満足度★★★
付箋数:21

  「こらから本書では、組織に満ちあふれる
  ジレンマをたくさん取り上げ、それぞれについて
  実務家はどう考えるか、アカデミックには
  どう考えるか、ということを論じ合っていきます。
  読者のみなさんには、私たちの議論を参考に
  しつつ、こうしたジレンマに陥ったときに
  自分だったらどうするか、紙上で決断して
  いただければと思います。たとえ紙上の仮想の
  決断であっても、こうした経験をくり返すことが、
  現場マネジャーのトレーニングになると
  筆者たちは考えています。」

実務家の代表は、ヤフーの上級執行役員で、
コーポレート統括部長の本間浩輔さん。

本間さんは、ヤフーにおいて様々な人事制度改革に
取り組んでいる方です。

アカデミック代表は、東大総合教育研究センター
准教授の中原淳さん。

経営学習論、人的資源開発論が専門で、
企業や組織における人々の学習・成長・
コミュニケーション・リーダーシップについて
研究している方です。

中原さんが慶応丸の内シティキャンパスで
主宰していた授業に、本間さんが参加したことが、
お二人が知りあったきっかけ。

以来、本間さんは中原さんをアカデミアの師
と仰ぎ、お付き合いされているようです。

本書は、会社が抱える様々なジレンマについて
お二人が対談した本です。

本書では、「どちらを選んでもメリットも
デメリットもあるような二つの選択肢を前にして、
それでもどちらかを決めなくてはならない状況」
のことをジレンマと呼んでいます。

 第1章 なぜマネジャーに現場の仕事が増えるのか
 第2章 なぜ産休社員への人員補充がないのか
 第3章 なぜ働かないおじさんの給料がたかいのか
 第4章 なぜ新規事業のハシゴはすぐはずされるのか
 第5章 なぜ転職すると給料が下がるのか

いずれのジレンマにつても、発生する原因が
解明されていたり、その解決方法が明示されて
いるわけではありません。

お二人が示すのはあくまで多様な視点です。

例えば、あなたの職場にほとんど働かないのに、
給料をもらい過ぎている人がいたとしても、
それはあくまで、あなたから見てそう思えるだけ。

そもそも誰もが給料分働いているわけでは
ありません。

誰もが納得する仕組みに制度改革しようとすると、
逆にコストがかかってしまって、全員の給料が
下がってしまったり、今まで以上に不満の多い
人事制度になってしまうことさえあります。

お二人は、「そんなこともあるよね~」と
軽いところから入り、そのジレンマが生じる
組織の抱える問題点を様々な角度から見ていきます。

先日記事にした瀧本哲史さんの『読書は格闘技
では、1つのテーマに対して、考え方の異なる
2人の著者の本を紹介していました。

その2人の著者に、瀧本さんと読者も加えて、
お互いの主張をぶつけ合う「知のバトルロイヤル」
をすることが推奨されていました。

その考えを真似て、本書では本間さんと中原さん、
それに読者が加わり、1つのジレンマについて、
バトルロイヤルを繰り広げてもいいかもしれません。

立場が違えば、主張も違う。

そこにコンフリクトやジレンマが生じるのは、
当たり前です。

だからこそ、お互いの立場の人の声を聞く
必要があり、対話することで初めてその組織は
アウフヘーベンの機会が得られるのだと思います。

この本から何を活かすか?

2015年11月に資生堂は、子育てのために時短で
働く美容部員にも接客ノルマや遅番・土日勤務を
こなしてもらうと発表しました。

本書では、いわゆる「資生堂ショック」から
読みとくべき3つのコンテキスト挙げています。

 第1に、資生堂は子育て支援ではトップクラスの
 会社で、常に人事制度のフロントランナーとして、
 女性に関する制度を充実させてきたここと。

 第2に、現在の資生堂を取り巻く経営環境は厳しく、
 美容部員の方々の生産性向上が改革の1つの柱に
 なったこと。

 第3に、時短社員の割合が増えすぎると、
 支え合いが難しくなり、資生堂ではその臨界点を
 超えてしまった可能性があること。

中原さんは、この問題は更に2つのメッセージを
含んでいると指摘しています。

 ・共働き世帯では、なぜ女性だけが子育てを
 担わなくてはならないのか?

 ・なぜ女性を多く雇用する企業だけが、
 この問題に取り組まなければならないのか?

単に報道を聞いた一方的な視点だけで、
「資生堂は酷い」という批判はできないようです。

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| 組織・社内教育・コーチング | 09:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本人の知らないHONDA

満足度★★★★
付箋数:25

本田技研工業は、2000年4月にアラバマ州東部の
小村、リンカーンに新しく建設する自動車工場の
鍬入れ式を行いました。

当日は天候にも恵まれ、美しい青空のもと、
気温は27度近くまで上がりました。

地域の住民や州知事、市長、地元出身の議員など
多くの招待客が参加。

ホンダ側からは、社長の吉野浩行さん、
ホンダ・オブ・アメリカの役員、リンカーン工場の
顧問団などのトップクラスの重役が参加しました。

吉野社長はスピーチの中で、ホンダがこれまで、
長持ちするエンジンを徹底して作り続けてきた
技術の会社であることを語りました。

そして、こらから建設されるリンカーン工場は、
自動車とエンジンの両方を作る特別な工場に
なることをアピールしました。

いよいよ鍬入れ式の時間になり、
吉野社長と、ワトソン市長がホンダの耕転機を
使って鍬入れ式を行うと、アナウンスされました。

  「ホンダのアラバマ新工場建設開始の
  カウントダウンです。5、4、3、2、1。
  エンジン点火! スコップもお願い致します!」

ここで驚くべきハプニングが起こりました。

吉野社長は耕転機のスターターの紐を
自信たっぷりにゆっくりと引きましたが、
エンジンは何の反応も示しません。

吉野社長が、何度スターターの紐を引っ張っても
エンジンは咳き込むような音を立てるだけで、
一向にかかる気配はありません。

誇らしい新工場に捧げられた自社製のエンジンが
動かないという皮肉に、参加者たちにも緊張感が
走り、会場は居心地悪い空気になってきました。

みな目をそらしたい気持ちにかられました。

ここで、吉野社長は会場の誰もが予想しなかった
驚きの行動を起こします。

メンテナンス担当者に助けを求めることもなく、
動かない耕転機をみずから調べ始めました。

しゃがみこんでエンジンを見つめ、無造作に
スパークプラグ、キャブレター、ガス管を
次々と調べていきます。

一通り調整すると、チョークレバーを倒して
立ち上がり、もう一度紐を引きました。

今度は見事にエンジンはかかりました。
その間、2分もかからない早業でした。

この珍事を聞いた、ある自動車業界専門の
コンサルタントは、次のような発言をしました。

  「業界はあの話で持ちきりだった。
  リンカーンの出来事を初めて聞いたとき、
  私は笑って、
  『あのバイク会社がまた自動車業界で無理してる』
  と言った。
  でも数日後、車で通勤してる途中で気づいたんだ。
  いや、ホンダは失敗するが回復が早い。
  ネガティブをポジティブに変えてしまう、とね。
  あれ以来、誰もが
  『うちの社長はエンジンを直せるのか?』と
  自問しているだろう。おそらく無理だ。
  直そうとすらしない。ホンダは賢くて機転が利く。
  バスケットボールで言えば、大きく攻めることも、
  小さく守ることも同じくらいうまいんだ」

本書の原題は『Driving Honda: Inside the
World's Most Innovative Car Company


著者のジェフリー・ロスフィーダーさんは、
ジャーナリズム分野で数々の賞に輝いてきた
ベテラン・ジャーナリストです。

本田宗一郎さんが創業してから、一貫して
「独創」を重んじてきたホンダを徹底取材。

アメリカでのホンダ幹部やエンジニア、
現場作業員にもインタビューを重ね、
ホンダのDNAがどのように受け継がれているかを
見事にレポートしています。

本田宗一郎さんと藤沢武夫さんのエピソードは
もちろんですが、それ以外のストーリーも
読んでいて非常に興奮する本です。

この本から何を活かすか?

史上もっとも成功したキャンペーンのひとつ
と言われる「素晴らしい人々、Hondaに乗る」

ホンダは1962年から大手広告代理店の
グレイ・アドバンタイジング社の提案を受け、
『YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA
(素晴らしい人々、Hondaに乗る)』を
キャッチコピーとする広告キャンペーンを展開。

主婦、若いカップル、犬を連れたリッチな女性
などがスーパーカブに乗るイメージ広告です。

それまで、アウトロー的なイメージが強かった
バイクが、一般的な交通手段として
認知されるようになった伝説的な広告です。

このキャンペーンについての記事は、
ホンダの公式サイトでも読むことができます。

ナイセスト・ピープル・キャンペーン
"Nicest People"Campaign Causes a Sensation

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| 経営・戦略 | 14:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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実践版 三国志

満足度★★★
付箋数:21

著者の鈴木博毅さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

鈴木博毅さんは、歴史上の戦略を現代のビジネスに
活かすのが得意な方です。

これまでも、ハンニバル、カエサル、ナポレオン、
孫子などの戦略を、私たちが現代でどのように
応用すべきかを紹介してきました。

君主論』を使ってリーダーを育成する本も
執筆しています。

そんな古今東西の戦略に精通する鈴木さんに、
恐らく最も執筆が期待されていたのが、
本書の「三国志」ではないでしょうか。

少なくとも私は、鈴木さんに「三国志」を
テーマにした本を書いて欲しいと思っていました。

本書は、著名な三国志から、現代の私たちが
何を学べるかを分析した本です。

ところで、なぜ、今、三国志なのか?

  「三国志の始まりは、多くの民衆が抑圧に
  耐えかね、自由を求めたことにありました。
  私たちの生きる現代も、古い社会システムの
  息苦しさを多くの人が感じています。
  古い時代に効率的だったものは、新たな未来では
  非効率かもしれないのです。
  三国の時代と1800年近くを隔てた現代の
  私たちの時代。
  新たな英雄の出現が求められている点は、
  まさに共通している可能性があります。
  三国志と同じく、古い権威が崩れて
  新たな英雄が待望される現代。
  新時代に飛躍して、脱落せずに栄光と幸福を
  手にするために。
  本書で三国志の兵法を知る尽くすことが、
  運命を決めるかもしれません。」

長く続いた政治体制が腐敗して、混乱を極めた
時代に、三国志の勇将や軍師たちは登場しました。

優秀な人物ほど中央から離れ、実力のある者は
各地で自立を目指したのです。

曹操は、治世の能臣、乱世の姦雄と呼ばれ、
魏の基礎を作り、兵法家としても業績を残しました。

むしろ売りだった劉備は、関羽、張飛と共に
乱世に旗揚げして、蜀の皇帝まで登りつめました。

孫家の三代目、孫権は、父と兄の功績を拡大して
呉の初代皇帝となりました。

過去の常識や権威が通用しなくなり、
政治の腐敗が進む現代においては、
三国志の知恵が生かせるかもしれないのです。

本書では三国志の兵法理論としてエッセンス化
するため、5つの軸で分析を進め、現代の仕事と
役立つ示唆を分析から浮かび上がらせます。

 1. なぜ彼らは飛躍の瞬間を掴めたのか?
   曹操、劉備、孫権を飛躍に導いたもの、
   そのきっかけの正体を分析。

 2. なぜ勢力を拡大し続ける英雄が生まれたのか?
   一時的な成功で消えていく人物が多い中で、
   なぜ彼らだけが成功し続けたのかの理由に迫ります。

 3. 勝ち残る者、敗北する者の人間関係の違い
   混沌とした時代にどんな人間関係を築くことが、
   飛躍につながるのかを乱世の人間力に学びます。

 4. なぜ英雄の後半生には、悲哀が漂うのか?
   なぜ英雄の後半生は失速の危険が多いのか、
   誰もが知りたい謎を解明します。

 5. 繁栄を続けた英雄たちの、人生を美しく
  完結させる叡智
   晩節を全うするために、どう生きればといのか、
   有終の美を飾った英雄たちの叡智を明らかにします。

ちなみに三国志には、歴史書である『正史 三国志
と、物語である『三国志演義』の2つがありますが、
本書の分析は史実を基本としています。

この本から何を活かすか?

私がこれまで読んだことがある三国志は、
小説では『吉川英治さん版の三国志』、
漫画では『横山光輝さん版の三国志』と
王欣太さんの『蒼天航路』です。

これから読もうと思って狙っているのが、
北方謙三さん版の三国志』です。

今、『北方さん版の水滸伝』を読んでいて、
これが「さすが北方さん」という面白さ。

水滸伝を読了したら、三国志へ進みます。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 08:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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STAP細胞はなぜ潰されたのか

満足度★★★
付箋数:18

  「STAP細胞は本当に存在するのか?
  『あの日』(講談社)に書かれていることは
  本当のことなのか?
  小保方晴子氏の発見は事実だったのか?
  いまSTAP細胞や小保方晴子氏に興味や関心を
  持つ人が知りたいのは、そのことだろう。
  本書は、その疑問に答えを出すことにしたい。
  そう、STAP細胞は存在する。
  『あの日』に書かれていることは本当のことだ。
  小保方晴子氏のSTAP細胞の発見は事実だった。
  これが本書の結論である。」

本書は、STAP細胞の存在を支持し、
小保方晴子さんを全面的に擁護する本です。

著者は科学ライターの渋谷一郎さん。

STAP細胞の存在を否定するのが世間の大勢なので、
こういった少数派の主張を聞くのは貴重です。

ただし、本書を読んでも、STAP細胞は存在する
という確信も、存在しないという確信も、
どちらも持てなかったというのが、正直な感想です。

それは、小保方さんが『あの日』に記した内容が
すべて事実であることを前提に、本書の主張が
組み立てられているから。

『あの日』の内容に対して、関係者から
反論が出ないから、事実であると結論付けるのは
ちょっと乱暴な気がします。

そもそも、「悪魔の証明」と呼ばれるように、
存在しないことの証明は、存在することを
証明するより、非常に困難です。

賛成派はSTAP細胞が存在する事実を挙げて、
その追試が成功し、再現性が確認できれば、
STAP細胞があることを証明できます。

ですから、STAP細胞の存在が事実であれば、
それを証明することは不可能ではありません。

一方、反対派は小保方さんがSTAP細胞を作る
追試に失敗しても、それで存在しないことの
証明にはなりません。

余談ですが、数学の分野で、ないことを
証明するためには「背理法」を用います。

これは存在すると仮定して、その矛盾を挙げて
存在しないことを証明する方法でした。

そんな訳で、反対派はSTAP細胞がないことを
証明することは不可能に近いので、
小保方さんの発表した論文の瑕疵を探して、
その信頼性を崩す方法を採用しているのです。

もともと小保方さんは、リケジョの星として、
注目されていた反動もあって、瑕疵探しから、
行き過ぎたバッシングの流れが作られた
印象を受けます。

小保方さんの一連の報道を見ていると、
堀江貴文さんがネットの寵児として注目され、
その後、検察に追い詰められ収監されたときの
天国から地獄の状態を思い出します。

世間ではヒーローやヒロインが登場することを
待ちわびていますが、その人が凋落していくのも
好まれるストーリーなのでしょう。

さて、本書は『あの日』に書かれている内容を
取り上げ、丹念に解説しています。

  「『あの日』は冒頭の数章を除いて、
  専門用語や実験の手続きの詳細が頻出して、
  一般の人にとって、書かれていることのすべてを
  理解することは難しい。
  本書はそうした読者、再生医療や細胞生物学は
  もちろん、生物学の知識もほとんどないという
  普通の人に向けて、できるだけわかりやすく
  解説していく。」

ただし、STAP細胞に関する科学的な事実よりも、
人間としての小保方さんや、陰謀論だけに
興味がある方にとっては、本書で解説される
内容でも難しく感じるかもしれません。

この本から何を活かすか?

本書では次の4つの理由によって、STAP細胞が
存在したことは明らかだとしています。

 1. 2014年12月19日理研から発表された
  「STAP現象の検証結果」に「STAP様細胞塊が
  観測された」とはっきり書かれていること。

 2. 理研や若山照彦教授、小保方さんが放棄した
  STAP細胞に関する特許出願が、いまだに
  ハーバード大学の附属病院が保持していること。

 3. STAP細胞論文によく似たiMuSCsの論文が
  発表されたこと。

 4. 内外の研究者による再現実験が成功したことが、
  『あの日』で報告されていること。

私はこの4つの理由を読んでも、STAP細胞が
存在するかどうか判断はつきませんでした。

いずれにせよ、今回の騒動の鍵を握っている
若山教授がもっと口を開かなければ、
真相究明は進まないように思えます。

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| 科学・生活 | 07:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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