活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2015年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2016年02月

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なぜ、あなたのExcelは「パッとしない」のか?

満足度★★
付箋数:10

  「ジグソーパズルを思い浮かべてください。
  ジグソーパズルは、何百個あるいは何千個もある
  ピースを組み合わせて、1つの作品にします。
  最初に “完成した絵” があり、それを細かく裁断
  してパズルにしています。(中略)
  Excelの機能や関数はジグソーパズルのピースと
  同じで、バラバラに存在しています。
  適当に使っていては、資料の完成に途方もない
  時間がかかってしまいます。Excelで大事なことも
   “全体像(完成させる資料)” を具体的に
  イメージし、常にそれを意識しながら作ることです。
  つまり、最終的な形を目指して、機能や関数を
  1つ1つ組み合わせていくことが大事なのです。」

本書は仕組みから学ぶ、大人のためのExcel再入門。
今さら聞けないExcelの基礎を、丁寧に解説します。

著者は、21年間のシステムエンジニアを経て、
現在はPC研修や業務改善コンサルタントとして
活躍する小野眸さん。

小野さんは、社会人向けのExcelセミナーで、
「Excelは基礎が大事」という話をします。

これ聞いて「Excelのプロになるわけじゃない」
とか、「仕事でちょっと使うだけだから」と
あまり基礎を知りたがらない人もいるといいます。

確かに、ネットで調べれば知りたい使い方だけ、
パッと調べられますから、とりあえずはその場を
切り抜けることも可能でしょう。

しかし、ビジネスに必要なExcelの基礎を
理解すれば、今までバラバラだったスキルが
つながり、資料作成がスムーズになります。

スムーズにExcelで資料が作れると、
分析や提案など、もっと大切な業務に
時間を費やすことができるのです。

本書は第1部で、あらゆるExcel業務のベースとなる
基礎知識を解説しています。

あまり学ぶ機会のないExcelの仕組みを理解し、
応用が利くExcel感覚を身につけるのが目的です。

第2部では、9つのケーススタディ(ストーリー)
から、資料作成の考え方と作り方を学びます。

ケーススタディとして掲載されている1つは、
次のような事例です。

化粧品メーカーに勤務する6年目のHさんへの
課長からの指示。

 課長:「新製品の製品ラベルの原稿をExcelで作成
  しておいてください。」

 Hさん:「ラベルで原稿を作るのは初めてですが、
  研究部門から届くリストはどんな形式になって
  いるのでしょうか?」

 課長:「成分が縦1列に入力されたExcelファイルで
  届きます。それを1つにまとめるのが大変な
  作業で、毎回苦労しているんです。特に成分表は
  数が多いから」

 Hさん:「成分は1商品あたり少なくとも数十個、
  多いものだと100個以上ありますよね。
  1つずつコピペしてつなげていくのですか?」

 課長:「そうなんです。別々のセルに入ったものを
  つなげられる関数があればいいけど、
  それがわからなくて。ネットで検索しても
  いい方法が見つからないから、仕方なく1つずつ
  コピペしています。HさんはExcelが得意でしたね。
  ラベルデータを渡すまで2週間ありますから、
  何かうまい方法を考えてくれませんか」

このケーススタディのポイントは、
人が代わってもメンテナンスがしやすいこと。

例えば、研究部門から届くリストに新しい成分が
加わっても、誰でも修正しやすように、
作業用の列を加えて、できるだけシンプルな関数で
製品ラベルを作成します。

このケースで使う関数は、IF、COUNTA、OFFSETなど。

大量のセルに分かれた文字を抜き出して
1つのセルにまとめるために、
計算式を応用して文字をつなげます。

そして、毎回位置が変わるセルを自動で
指定するためにOFFSET関数を使います。

現場で作成するExcelシートには様々なパターンが
あるので、本書の9つのケースで全て網羅されている
わけではありませんが、基本的な使い方は一通り
マスターできるように思えます。

この本から何を活かすか?

  意外と使う人が少ない「ピボットテーブル」

マウス操作だけで、簡単にクロス集計ができる
ピボットテーブル。

一度使ってしまえば、その簡単さと便利さを
実感できますが、なぜか使っている人が
それほど多くありません。

本書はピボットテーブルを使ったことがない人にも
参考になると思います。

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| IT・ネット | 09:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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残念な社員が一流に変わる秘密のルーティン

満足度★★★
付箋数:18

  「毎日、社員同士が雑談することで社員が育つ。
  驚くかもしれませんが、これは事実です。
  といっても、方法を工夫すれば、という前提条件
  付きの話しです。」

なぜ、雑談で社員が育つのでしょか?

本書では、以下の雑談のメリットが挙げられています。

1点目は、仕事と直接関係なくても、
見聞きしたことを自分の言葉で表現すると、
物事を頭の中で整理する訓練になること。

これは、周囲から得た知識を「自分事」として捉え、
後に知恵として生かすことにつながります。

2点目は、雑談で他人から聞いた様々な情報に
関心を持つことによって興味が湧き、
より詳しく調べるきっかけになること。

雑談するには、ネタが必要なので、
ネタを仕入れるために、ちょっとした日常での
出来事を注意深く観察するようになります。

3点目は、他人の話を聞くことで、自分と異なる
価値観を持っている人がいることを、あらためて
認識でき、相手に対する理解が深まること。

どんな人物にも、自分の知らないプラスの面が
あるので、相手の話を聞くことで刺激を受け、
自分の考えの幅を広げることができます。

最近では、業務効率化を目指すばかりで、
職場での雑談は好ましくないという風潮が
ありますが、雑談はコミュニケーションを
円滑にするだけでなく、自分で考えて行動できる
社員を育てるのです。

規模の大小を問わず、企業に共通する悩みは
「人材」についてです。

本書は、「対話」と「ノート」を使って、
自分で知恵を働かせて価値を創造する社員
(自創社員)を育てる方法を解説します。

著者は、経営コンサルタントの東川広伸さん。

東川さんは、これまで中小企業を中心に
300人以上の社長から経営相談を受け、
9000人以上の社員育成に携わってきました。

本書では、東川さんがこれまで培ってきた
コンサルティング経験に基づく
人材育成ノウハウが公開されています。

 第1章 残念な社員を一流に変えるにはコツがある
 第2章 一流に成長するスタートは目標設定と
    計画策定
 第3章 行動が変われば意識が変わる。
    それが一流を生む
 第4章 社長や上司による毎日の対話が一流をつくる

本書で紹介されるのは、お金をかけずに、
人を育てる仕組み。

メインとなるのは、毎日の「対話」の積み重ねです。

最初に紹介した社員同士の雑談もその一つ。

上司から部下へも、毎日10~15分対話を
することで成長を促します。

そのときに必要なのが、「何のためにこの仕事を
すると思うのか」という質問です。

上司と部下が目指す仕事の目的を
最初に一致させておかないと、その後対話を
重ねても見解がズレてしまいます。

ここで上司がしてはいけないのが、
「なぜ~しなかったのか」という質問です。

上司としては、こう聞きたくなる気持ちは
わかりますが、できなかった理由を聞いても
返ってくるのは100%言い訳です。

部下は詰問されていると感じて、
モチベーションが下がってしまいます。

視点は過去から現在と未来へ切り替えて、
「今、どんな状況なのか」、
「今後どうしていくのか」について質問し、
対話を進めていきます。

本書では、このようなコミュニケーションの
方法が具体的に紹介されています。

しかし、本書のもう1つの柱である「ノート」に
ついては、フォーマットは掲載されているものの、
どのように記入し、どう活用しているかなど、
あまり詳しく解説されていませんでした。

個人的には、この「ノート」の部分が、
少し消化不良のように感じました。

この本から何を活かすか?

「信賞必罰」という言葉がある通り、
「褒めるの」反対は「叱る」と考えるのが一般的。

しかし、本書では「褒めるの」の反対は
「がっかりする」と考えます。

例えば、数値目標に届かなかった部下に対して、
叱り飛ばすのではなく、一緒に悔しがる方が、
部下のやる気を引き出せるようです。

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| 組織・社内教育・コーチング | 08:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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エコノミストが実践するどんな相手も納得させるレポート作成術

満足度★★★
付箋数:19

  「私の専門は日本経済を中心とした長期予測、
  経済統計、マクロ経済の実証分析ですが、
  研究所から発信している “Economic Trends”
  というマクロ経済分析レポートをはじめ、
  経済誌などからの依頼による原稿を含めると
  年間150本以上を執筆しています。」

著者の永濱利廣さんは、第一生命経済研究所の
経済調査部・主席エコノミストで、
経済・金融関係者2000人以上が読んでいる
レポートを日々執筆しています。

本書は、レポート作成が生業の永濱さんが、
納得させるレポート作成の極意を公開します。

  「一般の人がプロのエコノミストが使うような
  計量経済学の推計式など覚える必要はまったく
  ありませんが、GDPや経済成長率、人口動態
  などのごく一般的な統計の調べ方、読み方を
  しっておくだけで、レポートのクオリティ、
  読ませる力はかなりアップします。
  特に企画書や提案書、視察報告書などには
  絶大な力を発揮するので、ぜひコツを身につけて
  おきましょう。」

レポートの作成手順は、それほど特殊なものでは
ありません。

  1. レポートのテーマを設定する
  2. レポートの読者を想定する
  3. 締め切りを設定する
  4. 必要な基礎データを集める
  5. 仮説を立てる
  6. 仮説を立証するためのデータを集める
  7. 仮説を立証する
  8. レポートの構成を作る
  9. レポートの執筆を行う
  10. 提出・公開する

この手順を見てもわかるとおり、
実際にレポートを書く工程は最後になりますから、
レポートの良し悪しは、そこまでの「段取り」で
9割が決まります。

特にポイントとなるのは、レポートの根拠となる
データをどこから見つけてくるかという点です。

レポートを書くために独自に調査を行うことも
ありますが、背景説明を行うためのデータは
官公庁が発表するオフィシャルデータが使えます。

例えば、総務省が発表する「家計調査」。

  「これは世帯の収入、支出、貯金や借入金の調査で、
  世帯の構成人員、職業についてもわかるのです。
  調査対象は全国の消費世帯で、168市町村から
  約9000世帯が抽出されます。選ばれた世帯は6ヶ月
  にわたって家計簿を記入し、その後は別の世帯に
  交代するという方法で調査が継続します。」

シンクタンクが発表するレポートはもちろん、
白書、雑誌、新聞などあらゆるところで
この調査のデータが引用されるようです。

誰もが入手可能なデータのどこを見て、
どのように加工するかで、レポートの説得力が
違ってきます。

このときに、自分に都合のいいデータだけを
見せるように過度に演出をしてしまうと、
レポートの信頼性が損なわれるので、要注意です。

本書は、説得力あるレポートの書き方という点では、
実例も多く非常に参考になります。

ただし、一般のビジネパーソンにとって、
レポートを作成する機会は、プレゼン資料を
作る機会ほど多くないような気がします。

会社によっては、報告内容が決まっていたり、
フォーマットが統一されていることも多いので、
自分でテーマを決めて書くエコノミストとは、
ちょっと違うのかもしれません。

しかし、文書を作成するということと、
官公庁が公開するデータを活かすという点に
おいては参考になる本だと思います。

この本から何を活かすか?

  誰でも利用できるデータサイト

本書に掲載されているデータの入手先リストから、
政府の統計を調べる際のデータサイトを紹介します。

  ・総務省統計局
  ・e-Stat(総務省統計局)
  ・白書、年次報告書等(e-Gov)
  ・時事ドットコム・グラフィック図解
  ・気象庁
  ・世界経済のネタ帳

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| 文章術 | 09:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大変化 経済学が教える二〇二〇年の日本と世界

満足度★★★
付箋数:24

  「本書はたんなる “未来予測” の本では
  ありません。重要なのは、いかに自分の
  “コンパス” や “competent” をつくっていくか。
  2020年の世界を知ることは、これからの
  あなた自身のコンパスをつくることに、
  大いに役立ってくれると思います。」

本書は竹中平蔵さんが、今から30年後に向けて、
「どうなるか」ではなく「どうすべきか」を
語った本です。

最初に竹中さんは、未来をもっとも象徴的に
表している言葉として、MITメディアラボが掲げた
「Compass over Maps」というフレーズを
紹介しています。

地図よりもコンパスが重要な時代になる。

変化が激しい時代には、地図はすぐに上書きされて
使えなくなってしまいますが、コンパスがあれば
自分の進むべき道がわかるという意味です。

これとほぼ同じ紹介されているのが、
「competitiveよりもcompetentであれ」という言葉。

「competitive」は「競争力がある」という意味で、
この場合、ステージが限られています。

一方、「competent」は「対応能力がある」
という意味で、状況がどれほど変わっても、
競争力を維持することを指します。

これが冒頭の「コンパスやcompetentをつくる」
の言葉につながっているのです。

竹中さは、未来は決して明るくはないものの、
今、改革をすすめることで、
希望は残されていると考えています。

  「現状の延長線上に、30年後の日本は存在しない。
  手をこまねいていれば、確実に衰退する。
  これが私の偽らざる直感です。」

高齢化、財政問題、エネルギー問題、国際関係など
山積みされている難題を、今の延長線上で対処
しようとしても、明るい見通しはないと言います。

しかし、わたしたちが覚悟を決めて改革を行えば、
まだまだ難題を克服するチャンスはある。

  「とりわけ重要な通過点となるのが、2020年です。
  周知のとおり、この年には東京オリンピック・
  パラリンピックが開催されます。その成功に向けて、
  さまざまな改革のモメンタムの高まりが期待できる。
  つまり日本経済にとって、東京五輪は千載一遇の
  チャンスなのです。」

恐らく、東京五輪が日本経済を立て直す
大きなチャンスであることは、
日本人なら誰もが感じていることでしょう。

しかし、それを本当に実現するには、
具体的な改革のアイディアと、
やり遂げる強靭な意思が必要です。

竹中さんは、その両方を持った稀有な存在。

本書からは、竹中さんの改革への意志が
伝わってきて、私たちの読者のモチベーションを
上げてくれます。

ちなみに、竹中さんが提案する「改革2020」
というプロジェクトパッケージには、
次の6つのプロジェクトが盛り込まれています。

 1. 次世代都市交通システム・自動走行技術の活用
 2. 分散型エネルギー資源の活用による
  エネルギー・都市環境課題の解決
 3. 先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会
  の実現
 4. 高品質な日本式医療サービス・技術の国際展開
 5. 観光立国のショーケース化
 6. 対日直接投資拡大に向けた誘致方策

本書は、これらの6つのプロジェクトを柱にしつつ、
もっと広い範囲のトピックまで扱い、
日本の目指すべき姿と、具体策が語られています。

本書自体が、未来に向けたコンパスの役割を
果たしているのです。

この本から何を活かすか?

なぜ、産業革命は「イギリス」が最初だったのか?

その1つの答えが、イギリスは名誉革命によって、
世界で初めて「rule of low(法の支配)」を
持ったから。

逆の言い方をすると、「rule of low」がなければ、
安心して経済活動ができないので、
一定水準以上には、経済は発展しないということ。

竹中さんはこの観点から、法支配のない中国と、
法のインフラがあるインドでは、将来の経済成長で
大きな差になると指摘しています。

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| 経済・行動経済学 | 09:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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チームのことだけ、考えた。

満足度★★★★
付箋数:23

  「この本は、サイボウズの社内で実験してきた
  多様化のノウハウを、他の組織で再利用できる
  ようにまとめたものだ。
  今まで数多くの成功と失敗を繰り返してきた。
  サイボウズのメンバーは今なおチャレンジを
  続けている。この場を借りて感謝したい。」

サイボウズとは、本書の著者、青野慶久さんが
社長を務めるソフトウェア開発会社。

中小企業シェアNo.1のグループウェア
「サイボウズ Office」などで知られています。

本書は、サイボウズ18年間の奮闘の歴史。

ITベンチャーとして設立して、僅か3年で上場。

ユニークな人事制度などが注目される
サイボウズですが、実は失敗や挫折を繰り返し、
常に変化し続けたからこそ今があります。

  「2005年に28%だった離職率は2013年には4%を
  切るところまで低下した。引き抜きの激しい
  このIT業界では相当低いほうだろう。
  業績が上がっていないのに人が辞めなくなった。
  辞めなさ過ぎて気持ちが悪いほどになった。
  社員が辞めないので、採用コストや教育コストを
  あまりかけなくてよくなった。」

28%もの高い離職率だったサイボウズが、
いったい、どのようにして離職率4%未満の会社に、
生まれ変わったのか?

青野さんは、まず社員が辞める理由を考えました。

  「なぜ社員が辞めるのか。それは、辞めることで
  理想を実現したいからだ。たとえば、もっと残業を
  減らしたい、もっとスキルが上がる仕事がしたい、
  もっと高い給料が欲しいなど。
  その理想を実現するには、サイボウズに残るよりも
   “転職する” という課題を遂行したほうが近いと
  考えたから辞めたのだ。」

青野さんがこの考えに至ったのは、
経営の神さま松下幸之助さんの著書を繰り返し
読んで、ある真理を発見したからです。

  「過去のメモを何度も読み返していく中で、
  ある共通項に気が付いた。それがこちらである。

   “人間は理想に向かって行動する”

  ブルっと身体が震えた。神が降りてきたと思った。
  これは経営の基本法則として使えるのでは
  ないだろうか。」

最も根本的で、最も効果的に使えるシンプルな法則。

「人間は理想に向かって行動する」の発見は、
理系の青野さんにとっては、ニュートン力学以上に
強烈にヒットしたようです。

そこでサイボウズでは、全社員が共有・共感できる
理想をつくり明文化しました。

  「世界で一番使われるグループウェア・メーカー
  になる」

この理想を実現するためにたどり着いたのが、
「多様性をマネジメントする手法」です。

サイボウズは人事制度において、成長でも
長期雇用でもなく、「多様性」を選択しました。

  「グループウェア世界一を目指すサイボウズを
  どんな組織にしたいのか。答えは決まった。
   “多様性” だ。このミッションに共感して
  集まった1人1人が自分らしくあること。
  そのために人事制度が足りないなら増やす。
  100人いれば100通りの人事制度を。
  1千人になれば1千通りの人事制度を。」

この考えから、時間や場所もウルトラ自由に選べる
働き方「ウルトラワーク」を採用しました。

育児・介護休暇は最長6年取得可能。

副業を原則自由にすると、4日はサイボウズで働き、
週1日は他で働く社員も出てきました。

更に、定年制を廃止し、部活動支援、
誕生会の支援などユニークな制度を
次々と採用しました。

その結果として、離職率が4%に下がるだけでなく、
女性社員の割合も4割まで上昇しました。

このように概要だけ書くと、スマートに変革を
遂げたような印象を持つかもしれませんが、
実際はかなりの悪戦苦闘。

苦労の末、現在の姿に辿り着いています。

その変化のドラマがあるからこそ、本書は面白い。

この本から何を活かすか?

  サイボウズは、社会の「キーストーン種」を目指す。

生態系に大きな影響を与える生物種を
「キーストーン種」と呼ぶそうです。

キーストーン種は、生態系において比較的少ない
生物量でありながらも、生態系を維持する鍵と
なります。

北太平洋沿岸のラッコなどが、キーストーン種の
例です。

サイボウズらしい、ユニークなポジションですね。

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| 組織・社内教育・コーチング | 07:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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あなたの1日は27時間になる。

満足度★★★
付箋数:20

  「この本は、忙しい1日の中で、誰にも邪魔
  されない “自分だけの3時間” の作り方を
  お伝えするものです。」

著者の木村聡子さんは税理士さん。

以前は残業続きで、毎日23時の終電で帰る生活を
続けていましたが、現在は15時までに仕事を
終わらせ、18時までの3時間を自分のためだけに
使っているそうです。

本書はこの自己投資の時間が確保できたから、
執筆できたのかもしれません。

1日3時間の自由時間を作るためのポイントは4つ。

 1. 1日の「過ごし方」を見直す
  「残業してでも、いい仕事をしよう」という
  マインドを捨てる

 2. 「仕事の段取り」を徹底する
  仕事を溜めず、「効率的に流す方法」を考える

 3. 「仕事環境」を効率的にする
  「物を探す時間」をゼロにする

 4. 「仕事のスピード」をアップさせる
  1秒でも早く手を動かす工夫をする

この4つのポイントの中で、最も重要なのが、
1番目の残業マインドを捨てること。

ここには大きく分けて2つの精神的障壁があります。

1つ目は、周囲の目。

「みんな残業してるのに、自分だけ先に帰る
なんて・・・」という遠慮です。

この遠慮は、「与えられた仕事はきっちりと
終わらせる」ことと「前業を習慣化し、 “あいつは
朝早くから仕事をしている” という印象を与える」
ことで、定時で帰っても周囲から理解を
得られるようになります。

2つ目は、自分の働き方に対する考え方。

「残業する=真面目、美徳」という考えが
染み付いている人が多くいます。

「今日のうちに終わらせないと」という責任感から、
つい無理して残業してしまいます。

しかし、残業しても、残業しなくても、
「仕事は無限」にあります。

「残業する」と自分で決めているから、
そこまで仕事があり、「残業しない」と決めれば、
やはり仕事はそこまでになるのです。

いずれにせよ、仕事がゼロになることはないので、
今ある仕事の中から、本当に今日の終業時刻までに
終わらせるもので、かつ、その時間内に終わらせる
ことができる仕事の分量だけ、セレクトして
やるように発想を変えるのです。

本書は4週間のプログラムで1日3時間の自由時間を
確保できるようにします。

1週目は、「朝時間の有効活用」と「短時間集中の
習慣化」によって、1日のリズムを少しずつ
変えていきます。

2週目は、仕事量と速さをコントロールできない
「仕事の渋滞」を解消します。

現在の仕事の渋滞度をチェックし、
スケジューリング方法と、仕事の流れをスムーズに
する方法を身につけます。

3週目は、仕事の効率化の土台となる「効率的な
仕事環境の作り方」を学びます。

デスク周りやPCデータフォルダを整理して、
「探す時間」を徹底的になくします。

4週目は、これまでの準備を活かして、
仕事のスピードを上げる具体的な方法を
マスターします。

マニュアルを整備し、メールストレスをゼロにし、
時間の予実を管理して、使える時間を増やします。

紹介されている時短テクニックは、
これ1つだけやれば、大幅に時間短縮できる
というような、魔法の方法はありません。

いずれも10分程度の時間を生み出す
小さな工夫ばかりです。

だからこそ現実的であり、それを1つ1つ
積み重ねて習慣化することで、
大きな時間を作り出すことができるのです。

この本から何を活かすか?

  「動線管理」で仕事のスピードを上げる

本書では、最短最少の動きで仕事ができるように、
自分のデスク周りをセッティングすることが、
勧められています。

最初に、右手と左手でそれぞれやること、
やる頻繁などの自分の仕事の仕方を分析します。

それに合わせて、必要なアイテムだけを
手が届く範囲に配置します。

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| 時間術 | 05:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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会うたびに「感じのいい人」と言わせる大人の言葉づかい

満足度★★★
付箋数:20

  「 “人間、見た目がだいじ” という言葉は
  一面の真実を表していますが、見た目のなかには
  言葉づかいも入ると思っています。
  初対面でも、言葉づかいがしっかりしている人に
  好感度が高くなるのはいうまでもありません。
  あなた自身の経験のあることでしょう。
  一人前の大人として、恥をかかない言葉づかいが
  できるのは当たり前。もうワンランク・アップ
  するために、微妙なニュアンスの違いを大事にし
  多様多彩な表現を身につけておきたいものです。」

本書は、齋藤孝さんが、品性ある大人が使う、
知性ただよう言葉づかいを紹介する本です。

意味を知っているか知らないかではなく、
自分の言葉として、使えるか使えないかが問題。

相手の言葉づかいを考えてみても、
全く意味の分からない言葉なら、「ぽかーん」
という感じがしますが、意味は知っていても、
自分が普段使わない言葉なら、
「こういうふうに使うのか」と感心するものです。

本書が狙っているのは、そんな難解過ぎないけれど、
なかなか使えない言葉を使えるようになること。

  第1章 きちんとした大人と感じさせる言葉づかい
  第2章 品性を印象づける「絶妙な言い回し」
  第3章 気分や状況で使い分けたい「微妙な違い」

全部で270の「大人の言葉づかい」が、
用例と共に解説されています。

本書には私が普段使わない言葉が数多く
掲載されていますが、その中からいくつか
ピックアップして紹介します。

 「あだやおろそかにはできない」

  漢字では「徒や疎か」と書き、
  「そまつにすること、いい加減にすること」
  の意味になって、あとに否定語を伴います。

  「いただいたご恩は、どんなときも
  あだやおろそかにできません」などど使います。

私は一度も使ったことのない言葉で、
実際に人が使っているのも多くは聞きません。

ただ、「おろそか」だけで、おおよその意味は
通じるので、さり気なく使うと、
教養を感じさせる言葉だと思います。

 「侃侃諤諤の白熱した議論が繰り広げられた」

  侃侃諤諤(かんかんがくがく)とは、
  正しいと思うことを堂々と主張するさまや、
  盛んに議論すること。

これは日本人の9割が間違える言葉として、
紹介されていました。

意味はわかるし、全く聞くことのない
言葉ではありません。

しかし自分で使うには、一瞬ためらいが生じます。

それは「喧喧囂囂」と混乱してしまうから。

「カンカンガクガク」と「ケンケンゴウゴウ」。

漢字で見ると間違いは少ないと思いますが、
音だけで聞くと音数やリズムが同じです。

両方が混ざって「ケンケンガクガク」と
間違って使っているのも耳にします。

そんな事情もあり、間違ってはいけないと考えて、
使うのを躊躇してしまう言葉です。

これと同様に混乱のリスクを感じて、
使うのをためらってしまうのが「いやがうえにも」。

「いやがおうにも」との混乱です。

「いやがうえにも」は漢字で「弥が上にも」と書き、
「いやがおうにも」は「否が応にも」と書きます。

どちらも「嫌」という漢字は使いません。

「なにがなんでも」というときは、「否が応にも」
を使います。

「弥が上にも」は、なおいっそうという意味で、
「いやがうえにも期待が高まる」などと使います。

こういった言葉は、意味だけなら、
インターネットでいくらでも調べられますが、
勘違いしやすい言葉は、本書などの書籍で
サッと目を通しておいたほうが無難だと思います。

この本から何を活かすか?

  「手伝うのはやぶさかでない」

「やぶさかでない」は「喜んでする」の意味です。

しかし、「場合によってはやってもいい」と
消極的な言葉と、誤解している人が多い言葉。

これは実際に私は使っていましたが、
「嫌々引き受ける」と誤解されることがあったので、
あまり使わなくなりました。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 11:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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脳のコンディションを良くする88 の挑戦

満足度★★★
付箋数:19

本書の著者、内田伸哉さんは、ヤフー株式会社、
クリエイティブ推進部の部長さんです。

内田さんのようなクリエイターの方は、
次から次へと、斬新なアイディアを生み出します。

一体、どのようにして新しい発想を得ているのか?

何か特別なノウハウや方法論があるわけでは
ないようです。

アイディアを得るために、やっているのは、
「脳に刺激を与える」ことです。

  「脳の状態を整えるにはどうすればいいか。
  それは常に “刺激” を与え続けることです。
  脳は基本、サボろうと考えます。
  しかし、そのクセを直すために定期的に
  ショックを与えると、だんだんサボり癖が
  なくなってきます。」

本書は、普段やらないことをやって
脳に刺激を与えて活性化させるための本です。

  第1章 脳の想像力を鍛える
  第2章 脳の未使用部分を使う
  第3章 脳の仕事力を高める
  第4章 脳のキャパを増やす
  第5章 脳の思考力を高める
  第6章 脳をリラックスする
  第7章 脳の集中力を強化する
  第8章 脳をやわらかくする

一応、8つの章に分かれていますが、
これは本の体裁をとるための便宜的な
章分けのような気がします。

  「刺激を与えれば脳は活性化します。
  この本では、そんな “脳が活性化するヒント” を
  とにかく多方面から集めました。
  また、様々な難易度や方向性のカリキュラムを
  用意しました。順番にやっても、バラバラに
  好きなページからやっても大丈夫です。」

紹介されているのは88個の課題。

1週間に1回、あるいは1ヶ月に1回、
適当にページを開いて、そこに書かれている
課題に挑戦するというやり方もアリです。

それでは、本書で私が気になった課題を
挙げてみます。

  ・異性のパンツを履いて過ごす
  ・大きな奇声とともに踊り狂う
  ・普通の言葉をエロく変換する
  ・最も避けていたものに挑戦する
  ・思い切って会社をやめてみる
  ・友人にギリギリの依頼をする
  ・小中学校の教科書を読み返す
  ・基本ルールをひとつ無視する
  ・ネットを使わずに物を調べる
  ・TEDに出るテーマを考える
  ・質疑応答で一番に手をあげる
  ・有名人や女優を口説いてみる

普通の人なら、あまりやらないことばかり。

さすがにこれはできないな、
と思う罰ゲーム的な課題もありますね。

でも、やってやれないことはありません。

軽めの課題から挑戦するのも1つの方法ですし、
最初に思い切った課題に挑戦するのも1つです。

いろいろ考えて、迷った挙句、
結局何もしないのが、一番良くありません。

もし、どの課題をやるか迷ったら、
本書の22番目に紹介されている課題から
挑戦してみてください。

  「本書の中で一番嫌な事をやる」

この本から何を活かすか?

私はあまり思い切れないタイプなので、
最初に選んだ課題は、かなり無難な
「小中学校の教科書を読み返す」でした。

自分の教科書はなかったので、
子どものを借りて何冊か読みました。

新鮮だったのは、5科目以外の教科書です。

その中でも、へーっという感じだったのは、
「中学道徳」の教科書。

道徳なんて、自分が中学生の時には
まったく見向きもしませんでしたが、
大人になって改めて読むと、結構感心する
ストーリーが紹介されていました。

正直、下手な自己啓発書を読むより
面白かったですね。

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| アイディア・発想法・企画 | 08:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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A/Bテストの教科書

満足度★★★★
付箋数:23

  「A/Bテストとは、複数の案のどれが優れて
  いるかを、何度も試行して定量的に決定する
  テスト手法。WebページやWeb広告の
  デザインなどで、よく利用される。」

以上のA/Bテストについての説明は
「IT用語辞典 e-Words」からの引用です。

A/Bテストと言えば、ウェブページまたはアプリに
ついての比較テストを指すことがほとんどです。

本書はタイトルの通り、PCサイト・スマホサイト
両方でA/Bテストをするための教科書。

著者は、世界シェアNo1のA/Bテストツールである
Optimizely(オプティマイズリー)エバンジェリスト
の野口竜司さん。

野口さんは、デジタルマーケティング担当者向けの
講演でA/Bテストについてアンケートを
とったことがあるそうです。

  Q1. A/Bテストをやったことがあるか?
  → 約70%がYesの回答

  Q2. A/Bテストで5%以上効果をアップできたか?
  → 約20%がYesの回答

  Q3. A/Bテストで30%以上効果をアップできたか?
  → 約5%がYesの回答

このアンケート結果からわかることは、
A/Bテストの効果がないということではなく、
間違った方法でA/Bテストを行って、
失敗している人が非常に多いということです。

正しくA/Bテストを行えば、必ず成果は付いてくる。

  「本書を通じてできるだけ多くの人に、
  正しいA/Bテスト手法をマスターしていただき、
  テストを通じた成功体験をしてもらうのが
  本書のミッションです。」

いわゆるサイトの「リニューアル」は、
事前に誰も効果が保証できず、
実際にリリースしないと結果がわからないので、
時代遅れだと、野口さんは指摘します。

お金と時間をかけて開発し、いざサイトを
リニューアルすると、逆に売上が落ちてしまう
こともよくある話です。

勘や経験に頼るリニューアルは、一か八かの
ギャンブルのようなプロセスなのです。

これに対して、A/Bテストは、孫子の兵法にある
必勝パターンに則ったもの。

  「勝利の軍は、まず勝利を得て、それから戦う
  のであるが、敗軍は、まず戦ってみて、
  そのあとで勝利を見いだそうとするのである。」

戦う前に勝ちを確定できるA/Bテストこそが、
勝者の戦い方なのです。

本書では初級者でも分かるように、
正しいA/Bテストのフローに沿って解説します。

 テスト計画
  誰がどこをどれくらいテストするのか? を決める

 テスト作成
  どのようなテストを実施するのか? 具体案を作る

 A/Bテストツールの組み込み
  A/Bテストツールでテストのための設定を行う

 テストの実行
  A/Bテストを実施する

 結果分析
  複数の指標によりテスト結果の評価を行う

 本体サイト反映
  勝ちパターンがわかったら本体サイトへ反映させる

これまでもA/Bテストのやり方を紹介する本は
ありましたが、一冊まるごとA/Bテストに特化して
解説している本は初めて見ました。

300ページ近いオールカラーで、フローだけでなく、
実例を見てわかるように書かれています。

Part3の「すぐに使える実践ワザ」の章では、
実践的なガイドが33個、テスト事例も23個
紹介されていて、具体的にA/Bテストのイメージが
持てる内容になっています。

この本から何を活かすか?

Optimizely(オプティマイズリー)とは、
手間のかかるA/Bテストを、簡単かつ効率的に
実現させる、コンバージョン率最適化のための
統合プラットフォームです。

バリエーション配信型で、ウェブとモバイルアプリの
両方に対応していて、無償版の提供もあります。

Optimizelyのサイトはこちら。

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| IT・ネット | 08:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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5年先のことなど考えるな

満足度★★★
付箋数:22

  「なぜアップルを辞めたのですか?」

前刀禎明さんは、これまで大学生から企業トップ
まで、会う人会う人に、数えられないくらい、
この質問をされてきたそうです。

質問する人からすると、
「あのアップルを辞めるなんてもったいない」
という思いがあって聞いているのでしょう。

前刀さんがアップルに入社したのは2004年。

当時のアップルは、一世を風靡したiMacの勢いも
衰え始め、iPodは発売されていましたが、
まだまだ「オタク向け」のイメージが強く、
売れ行きも芳しくありませんでした。

前刀さんは、状況の良くないアップルに、
本社マーケティング担当バイスプレジデントとして
入社しました。

前刀さんが、アップルに入って与えられた使命は、
これから発売するiPod miniを大ヒットさせ、
アップルというブランドを復活させることでした。

前刀さんは、スティーブ・ジョブズさんに
「3年で結果を出す」と宣言。

そして、iPodが持っていたオタク的な
イメージを廃し、使っていることを誰かに
自慢したくなるようなファッションアイテムとして、
マーケティングを展開しました。

結果は大成功。

それまでの音楽を聞くスタイルを刷新し、
アップルブランドを見事に復活させました。

前刀さんは、アップル日本法人代表という
ポジションも得て、これからiPhoneの発売準備が
本格的に始まる時期に差し掛かりました。

前刀さんは、そんなタイミングであっさりと
アップルを辞めてしまったのです。

ですから「なぜ辞めたの?」と聞く方が、
普通の感覚なのかもしれません。

  「端的にいえば “飽きてしまった” からなんですね。
  今何をしたいか、何に情熱を注げるか、
  あるいは今何をしたくないか。
  僕は、そこに一番こだわってきました。
  いつでも “そこに心が燃える仕事がある” と
  いうことが最優先。自分の心の声に従って、
  セルフ・イノベーションを起こし続けていく。
  アップルに入社したのも、まさにそんな仕事が
  あったからでした。そしてアップルを辞めたのは、
  その仕事が終わったからでした。」

そのままアップルに残って、ストックオプションを
行使したら、一生働かなくてもいいくらいのお金は
労せずして手に入ったといいます。

しかし、それだけの報酬があっても、心躍るような
仕事がなければ前刀さん満足できなかった。

前刀さんが、本書で書きたかったのは、
多くの人には「もったいない」と言われるけれど、
「こういう生き方もあるんだと」ということです。

 ・悩むより楽しもう。
  将来をいたずらに憂うよりも、その瞬間、心が喜ぶ
  ことをしよう。そのような決断の点と点が、
  いつか繋がるときがやってきます。

 ・考えるより感じよう。
  日本人には素晴らしい感性が備わっています。
  頭で考えて答えが出ないなら、その感性に、
  自分を委ねてみましょう。

 ・溜めずに捨てよう。
  やりたくないことは捨てる。できないことは諦める。
  ストレスフリーな生き方はそこから始まります。

 ・嘆くより変えてしまおう。
  イノベーションを生み出し、世界を変える人間は
  何を考え、どう行動するか。

 ・自分の体感を信じよう。
  デジタルよりもアナログ、データよりも体感。
  心が喜ぶ生き方、あるいはイノベーションを起こす
  ための、キーワードです。

本書では、やりたいことをとことんやって、
仕事も人生も楽しむ、前刀さん流の生き方を
紹介します。

この本から何を活かすか?

  「アホらしい、は言い過ぎにしても、惜しいこと、
  もったいないことをしていると思います。」

これは、サードウェーブコーヒーとして人気の
ブルーボトルコーヒーなどを見た前刀さんの感想。

「Bean to Cup」の謳い文句も、「豆からカップ」
という当たり前のことを言っているだけ。

前刀さんは、日本の喫茶店でやっていることを、
ブランディングがうまい米企業が、パッケージ化
して売り出しているだけと指摘しています。

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| 仕事論 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業

満足度★★★
付箋数:20

  「従来のリーダーシップのトレーニングおよび
  コーチングの目的は、考え方を変えることでした。
  自身を振り返り、なりたい自分について
  考えるのです。内省することは、リーダーシップ
  開発の究極の目標です。(中略)
  このような方法を試してみたことがある人なら、
  その限界もご存知でしょう。たしかに現在の
  強みとリーダーシップスタイルを知るには
  大いに役立ちます。しかし、仕事と自分自身に
  ついての頭の使い方こそが、リーダーとして
  成長する妨げとなっているのです。」

リーダーになる方法は2つあります。

1つは、リーダーとしての考え方を身につけてから、
リーダーとして行動すること。

もう1つはその逆で、リーダーとして行動してから、
リーダーはどうあるべきか考え方を身につけること。

従来型のリーダーシップ論は前者で、
本書で講義される方法は後者です。

著者は、ハーバード・ビジネス・スクールで13年間
教鞭をとったあと、INSEAD(インシアード)でも
キャリア開発、リーダーシップ開発を専門に
講義を担当するハーミニア・イバーラさん。

従来のリーダーシップ論のように、
最初にリーダーはこうあるべきと説かれると、
リーダーの理想像はわかります。

しかし、その理想の姿にどうしたら
なれるのかがわかりません。

行動することでリーダーを目指す本書では、
こうするとリーダーになれるという方法が
直接示されています。

  「アリストテレスは、人は正しいことを
  行うことによって正しい人となる、と言いました。
  つまり、良いことを行えば、良い人になるのです。
  (中略)言い換えると、リーダーとして
  行動することが、リーダーとして考えることを
  可能にするのです。」

本書でイバーラさんは、行動してから考えるという
サイクルを「アウトサイト」と呼びます。

アウトサイトを構成する要素は3つあります。

1つ目は「仕事」。

リーダーとリーダー以外では、仕事の内容や
時間の使い方が違います。

重要なことに対する優先順位と取り組み方を
変えることがリーダーを作ります。

2つ目は「ネットワーク」。

リーダーシップを発揮する大局観を持つためには、
現場で使う時間を減らし、全体を俯瞰できる場所で
より多くの時間を使わなければなりません。

そのためには、ネットワークを再定義し、
人間関係を見直す必要があるのです。

3つ目は「自分自身」。

自分についての認知を変え、他者からの認知も変え、
行動につながる価値観や個人としての目標も
変えなければなりません。

リーダーシップの能力を変化させ続けるには、
これら3つの要素を変化させることが求められます。

  第1章 リーダーとして行動し、考える方法
  第2章 仕事を再定義する
  第3章 チームを超えたネットワーク、
     社外のネットワーク
  第4章 自分自身を楽しむ
  第5章 ステップアップのプロセス
  結論 行動しましょう

本書のアウトサイトの使い方は、
イバーラさんがINSEADで10年以上教えている
「リーダーシップの転機」というエグゼクティブ
コースの内容と同じものです。

実際にINSEADの卒業生にアンケートを行い、
彼らの仕事がどのように変化しているのか、
現在のリーダーはどのようなリーダーシップ能力が
必要だと考えるのかなどを調査した上で、
より実践的なプログラムに改良しているようです。

正直、一読するだけではわかりにくい部分が
あるのは、実際に行動していないから
なのかもしれません。

この本から何を活かすか?

自分自身を再定義するには、悪い盗み方ではなく、
アーティストのような良い盗み方が必要のようです。

  良い盗みは敬意を払い、悪い盗みは作品を汚す。

  良い盗みは本質を学ぶが、
  悪い盗みは上辺だけをすくう。

  良い盗みはいろんな人から盗むが、
  悪い盗みは1人から盗む。

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| リーダーシップ | 06:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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遊ぶ力は生きる力

満足度★★
付箋数:12

  「 “遊ぶ力” こそ生きる力の根源である。
  私はそう考えています。 “遊びたい” という欲求、
   “もっと楽しくなるにはどうしたらいいか”
  という工夫、ワクワク感、祝祭感。
  遊ぶことの中には、人生を豊かにする秘訣が
  詰まっています。子どもの本質は、遊ぶことです。
  遊べない子どもは少々心配です。
   “遊びきったなぁ” と幼少期を思い出すことの
  できる人は幸福です。」

本書は、齋藤孝さんが「おもちゃ」選びのコツを
アドバイスする本です。

なぜ、大学教授の齋藤さんが、「おもちゃ」に
ついて語るのでしょうか?

それは、「おもちゃ」で遊ぶことが、
その後の人生で学んでいくベースを作るからです。

  「 “強く”  “賢く”  “正しく” 生きていける
  ようにするために、その基盤となる感性、
  身体能力、頭脳の使い方を、遊びの中で楽しく育み、
  伸ばしていく ― それがおもちゃの最大の意義
  だと私は考えています。」

大人が遊ばせたいと考えるおもちゃと、
子どもが好むおもちゃは一致するとは限りません。

また、子どもが欲しがるおもちゃを買って
あげればいいというものでもありません。

良いおもちゃを買い与えて、それで終わりではなく、
大人が子どもの遊びに積極的に関わることも
意味を持つと齋藤さんは語ります。

本書はコミュニケーションツールとしても
役割を果たす、おもちゃカタログにもなっています。

むしろ、カタログがメインの本。

紹介されているのは、幼児から小学校低学年向けの
おもちゃ37点と絵本12点です。

それぐらいのお子さんのいるお父さん、お母さん、
おじいちゃん、おばあちゃんが対象読者層。

「レゴ」や「シルバニアファミリー」なども
紹介されていますから、それほど特殊なおもちゃ
ばかりが紹介されているわけではありません。

これから子どもに買うおもちゃに、
親が自分で納得するために読む本です。

  第1章 子どもの基礎は「おもちゃ」が作る
  第2章 子どもがのびのび賢く育つ、家庭のルール
  第3章 子どもが “ぐんぐん伸びる” おもちゃ
     厳選リスト
  第4章 プレゼントに最適!
     おもちゃ感覚の楽しいブックガイド

齋藤さんは以前から、身体感覚を磨くことが
重要であると言っていますから、本書で選ばれる
おもちゃもそういった種類が多くなっています。

  「日本人の身体感覚がこれ以上失われて
  いくことは、大いなる損失です。
  そのことをしっかりと認識し、次代を担う
  子どもたちに “身体感覚とは何か” ということを
  教え、伝えることも、いまの大人たちの重要な
  役割でしょう。」

おもちゃに対する、教育学者としての齋藤さんの
考えはよくわかりますが、どの程度のリサーチを
行い、何種類のおもちゃの中から37点が
選ばれたのかは不明です。

また、紹介されているすべてのおもちゃを
齋藤さんが子どもと一緒に実際に使ってみたとは
思えません。

ですから、使ったリアルな感想ではなく、
そのおもちゃの効用と齋藤さんの知識を
照らしあわせた考察といった内容になっています。

私の子どもが小さかったら、本書を参考に
おもちゃを選ぶかと考えると、微妙な感じです。

この本から何を活かすか?

本書では、小学校低学年までの子どもが遊ぶ
おもちゃの紹介なので、私がそれ以降の年齢で
子どもの教育に役立ったと思えるものを紹介します。

それは、「ボードゲーム/カードゲーム」です。

楽しいだけでなく、コミュニケーション能力や
論理的思考力なども養えると思います。

我が家では、子どもが小学校に入ったころから、
20種類以上のボードゲームやカードゲームで
相当な回数遊びました。

その中で、比較的初心者でも難しくなく、
何年も飽きずに遊べたゲームを紹介します。

1. Rummikub(ラミィキューブ)
 かなり頭の体操になるゲームです。

2. カタン スタンダード版
 戦略系ボードゲームの名作。

3. あやつり人形 完全日本語版
 キャラクターになりきるカードゲーム。

4. ウノ H2Oウノ カードゲーム
 ウノのプラスティック版で耐久性高い。

5. Coloretto コロレット 日本語版
 携帯に便利で気軽にできるカードゲーム。

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| コミュニケーション | 12:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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戦略がすべて

満足度★★★★
付箋数:22

  「本書は、時事評論の形を借りた、
  “戦略思考” を磨くためのケースブックである。」

著者は、『僕は君たちに武器を配りたい』が
ベストセラーになった瀧本哲史さん。

AKB48、鉄道会社、五輪招致、RPG、ネットビジネス、
新聞誤報、デジタルデバイス、地方創生・・・

本書では24のテーマにつて、その成功の方程式を
解説します。

時事ネタを扱っていますが、大前研一さんの
ように、失敗例を取り上げてダメ出しをし、
代案を示す方式ではありません。

瀧本さんは、話題の事例を取り上げて、
そこから戦略的なエッセンスを抽出し、
今度どうなるのか、どうすべきかを示します。

そもそも意思決定のレベルは、上から「戦略」、
「作戦」、「戦術」の3段階に分かれます。

日本人が注力するのは「戦術」レベルであり、
最上位の「戦略」思考を持った意思決定が
欠けていると、瀧本さんは指摘します。

  「日本人の組織は、意思決定のまずさを現場の
  頑張りで何とか解決しようとする。
  ところが残念なことに、 “戦術の失敗は戦略で
  補うことは可能だが、戦略の失敗は戦術で補う
  ことはできない” というのが戦略論の定石だ。
  だから優秀な現場が無能な経営陣をカバーしようと
  しても、単に現場が疲弊するだけなのである。」

それでは、日本人に足りない「戦略」とは、
一体、どのようなものなのか?

戦略については、様々は定義がありますが、
本書では、次のように解説されています。

  「戦略を考えるということは、今までの競争を
  全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを
  分析して、他の人とは全く違う努力の仕方や
  チップの張り方をすることなのだ。」

戦争では、圧倒的に優位な戦力があれば、
特に戦略を立てなくても、正面から力で
ぶつかって行けば勝てるものです。

その戦力の差を、あるいは不利になった局面を
ひっくり返すのが戦略です。

つまり、戦略とは弱者のためのツールなのです。

もともと戦略は軍事用語ですから、瀧本さんは
名著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』で
指摘されていた、日本軍の例を紹介しています。

日本軍は、初期の成功によって、その状況に
過度に適応してしまい、その後戦況が変化しても、
自己改革と合理性の追求ができなかったことが、
敗戦の一因として挙げられています。

一方、緒戦で手痛い敗北を喫したアメリカは、
その失敗から学び、戦略的に航空戦力を重視し、
資本の差を活かせる兵站を重視した物量作戦に
戦況に合わせて切り替えたことが勝因です。

オリンピックなどでは、日本人が有利になって、
ルールを変えられた競技があります。

しかし、そもそもルールは自分に有利に
変えられるものと考える方が戦略的。

日本人のように、決められたルールは
守るべきものと考えて、その枠内だけで
勝つ方法を考えるのは、戦術思考なのです。

それでは、歴史的に見ても足りない戦略思考を、
私たちはどのように身につけていけば良いのか?

  「多くの問題を解いたり、 “実践” の場に
  出たりして、その成否を検証するプロセスを
  何度も経験することが重要である。」

具体的には、身の回りで起きている出来事や
日々目にするニュースに対して、
戦略的に「勝つ」方法を考える習慣を
身につける必要があるようです。

本書の24ケースの時事評論は、まさにそのお手本。

AKB48を見ていても、ただ応援するのではなく、
戦略的にどのようなシステムで売っているのか、
総選挙にはどんな利点があるのかを考察し、
他のビジネスへの転用を考えるのです。

この本から何を活かすか?

  北海道の地域コンビニチェーン「セイコーマート」

洗練されているとは言い難い、
道民にはお馴染みのローカルコンビニです。

しかし、このセイコーマートの動向が、
大手のコンビニにも注目されていると
本書で紹介されていました。

高齢者が増え、遠くの大きなスーパーよりも
小回りの効くミニスーパー的なセイコーマートが
選ばれる消費者行動が起きていて、日本の未来像を
先取りするモデルとして注目されているようです。

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| 経営・戦略 | 07:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

満足度★★★
付箋数:18

本書は、280万部のベストセラーになり、
映画化され、一大ブームを巻き起こした
もしドラ』の第2弾。

前作は、P.F.ドラッカーさんの『マネジメント』を
下敷きにしましたが、今回は、ドラッカーさんの
イノベーションと企業家精神』をベースに
ストーリーが展開します。

今回は、略して『もしイノ』。

表紙は、引き続きイラストレーターの
ゆきうさぎさんが担当します。

私は、最初に『もしドラ』を手にしたときには、
表紙のイラストに恥ずかしさを感じましたが、
今回はもう馴れてしまったのか、
それほど恥ずかしさを感じませんでした。

著者の岩崎夏海さんは、『もしドラ』が刊行された
すぐ後に、続編の依頼を受けましたが、
そのときは、「もう書かない」と断ったそうです。

なぜなら、処女作の『もしドラ』にアイディアを
すべて注ぎ込んで、当時の岩崎さんの中には、
もう書きたいものが残っていなかったからです。

しかし、それから4年の歳月が流れ、
岩崎さんにも続編として書きたいことが出てきて、
6年目にして、書き上げたのが本書です。

今回は、居場所が見つからない時代に、
居場所を見つけようとする女子高校生の物語。

前作同様、舞台は高校の野球部で、主人公も
女子マネージャーですが、今回は「居場所」を
キーワードに物語が進みます。

岩崎さん自身も、『もしドラ』のヒット以降、
実用書を書いたり、講演会を行ったりしていた
ようですが、やはり続編の本書を執筆することが
岩崎さんの「居場所」だったのかもしれません。

本書の物語の舞台となるのは、私立浅川学園。
主人公は岡野夢という女子高生です。

夢は、児玉真実という友人に勧められ、
『もしドラ』を読み、誘われて野球部の
マネージャーになることを決心します。

そして、浅川学園に赴任してきた先生が、
実は『もしドラ』の作者だったという設定。

夢が女子マネになる前の浅川学園の野球部は、
「幻の野球部」と呼ばれ、休部状態でした。

そんな部員もいない状態から、
イノベーションと企業家精神』を手本に
野球部づくりをしていきます。

  「私たちは、マネージャーとしてこの野球部の
  『企業家』になろうとしています。
  単なる『経営者』ではなく、新しい価値を
  生み出していきます。イノベーションはそのための
  道具です。イノベーションなくして、新しい価値は
  生み出せません。」

ドラッカーさんの著書の「民営化」という
キーワードから、それまで形さえなかった野球部の
「事業」を見つけて、マネジメントしていきます。

正直、ストーリーはあまり自然な流れではなく、
かなり突飛な印象を受けますから、
物語の面白さでは、前作の方が優っている
ように思えます。

しかし最後には、前作の主人公である川島みなみも
登場するので、『もしドラ』ファンには、
好意的に受け取られる作品だと思います。

また、今回は『イノベーションと企業家精神
からの引用がかなり多いので、ドラッカーさんの
考え方を学ぶことにおいては、本書の方が丁寧に
解説されているように思えます。

岩崎さんも、最初は大ヒット作の続編を書く
プレッシャーが相当あったことと想像じますが、
ストーリーが進むにつれ、プレッシャーから開放され、
どんどんアイディアが生まれるようになり、
ノッて本書を書けたのではないでしょうか。

この本から何を活かすか?

なぜ、テーマが「居場所」なのか?

  「ドラッカーは、競争社会が激化することを
  見越して『マネジメント』を書いたところがある。
  特に、イノベーションの必要性を強調したのは、
  多くの人々がそこで競争に負け、居場所を見失う
  だろうことが予見できていたからだ。
  そのため、競争によって居場所を見失った
  登場人物が、ドラッカーの本を足がかりにそれを
  発見していくという物語は、必ずや現代の
  多くの人に必要とされるだろうと確信が持てた。」

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| ビジネス一般・ストーリー | 06:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか?

満足度★★★
付箋数:17

  「これまで20数年間、環境が人に及ぼす影響を
  探求しながら建築をつくってきましたが、
  びっくりするぐらい普段身を置いている環境が
  その人に影響するということを実感しています。
  そんななか “周辺環境が及ぼす影響” が、
  その人の意識していない部分で作用して、物事が
  うまく進まないケースもたくさん見てきました。」

もし、あなたが仕事で行き詰まっているのなら、
それはあなたのせいではなく、住まいやオフィスの
せいなのかもしれません。

本書は、住まいやオフィスなどの周辺環境を整え、
パフォーマンスを上げるための本です。

著者は、一級建築士として4,000人の住まいを
見てきた八納啓創さん。

これまでにも『わが子を天才に育てる家』などを
書かれている方です。

本書でも、家族関係を良くすることも書かれて
いますが、オフィス環境や仕事のパフォーマンスへの
影響についても書かれている点が新しい。

例えば、オフィスで原因不明の体調不良が出た場合、
それは「地磁気」の影響かもしれません。

  「生体磁石を持つ、ミツバチや鳩は、地磁気が
  変化すると、食料収集の行動やスケジュールなどに
  異変が起こると言われています。私のこれまでの
  経験からすると、人間も地磁気が乱れている場所に
  長時間いると、疲れやすく、集中力が落ちてしまう
  と考えられるのです。」

オフィスでは、鉄筋コンクリートの柱の周りなどは
地磁気が乱れていることが多いようです。

体調不良に、思い当たるフシがなければ、
地磁気の影響を疑ってみるといいようです。

また、体調に影響を感じていなくても、
大切な打ち合わせのときは、柱のそばは
避けた方がいいと、八納さんは言います。

地磁気の乱れが、打ち合わせにも影響するのです。

場合によってはオフィスだけでなく、家の中でも、
地磁気が乱れている場所があるかもしれないので、
本書では、コンパスを使ってチェックするこを
勧めています。

チェック方法は簡単。

コンパスの針が正しい方位を指していれば、
地磁気は整っています。

北に向けているはずなのに、針がグラグラ揺れる、
コンパスを動かしていないのに、針が回るなど、
不安定な場所は地磁気が乱れています。

オフィスや部屋の四隅と中央、柱やデスク周りで、
床から1.5メートルの高さまで、コンパスを
上下して調べます。

床の位置では地磁気が乱れていなくても、
垂直に持ち上げると、針が大きく動くことも
あるようです。

  第1章 あなたが知らない間にはまっている
     「環境のワナ」とは?
  第2章 人生を好転させた人の「住まい活用術」
  第3章 一流になればなるほど大切にしている
     「住まいの基本」
  第4章 一流の成功者ほど実践している!
     住まいにまつわる17の習慣
  第5章 今すぐできる!
     「環境のワナ」から脱出する方法
  第6章 ビジネス・家族・人間関係を
     豊かにしてくれる「住まい環境」の極意

仕事のパフォーマンスのすべてが決まる
わけではありませんが、やることをやって、
それでも結果がでなければ、
環境を疑ってみる必要があるかもしれません。

家もオフィスも、長く居る場所ですから、
その環境に足を引っ張られるよりも
後押ししてもらえる方がいいですから。

ビジネスに直結はしませんが、
こういう視点の本があってもいいと思いました。

この本から何を活かすか?

  住む場所は「世界のどこに住みたいか?」
  から考える

このように自分に問いかけてみると、
「身の丈にあった」という枠をなくして、
本当に望んでいる住環境が見つかるようです。

そういえば、ハワイと東京でデュアルライフを送る
本田直之さんも、大学4年の時に始めてハワイを
訪れ、恵まれた気候と素晴らしい海を体感し、
将来ここに住もうと決意した、と言っていましたね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ペンタゴン式 ハードワークでも折れない心のつくり方

満足度★★★
付箋数:20

  「ペンタゴンのミッションには『正解』しか
  あってはならない」

アメリカ国防総省、通称「ペンタゴン」で働く
スタッフは、国防の要として、いかなる失敗も
許されない、強烈なプレッシャーの中で、
厳しいミッションにあたっています。

想像を絶する困難な任務を成し遂げるために、
最も大切なことは、「折れない心」を持つことです。

いったい、ペンタゴンでは、どのようにして、
「折れない心」を作り上げているのか?

本書では、5ステップでペンタゴン式の
「折れない心」の作り方を解説します。

  1. 折れない心のメカニズムを知る
  2. 逆境や困難に強くなる心のキャパシティを
   増やす
  3. 逆境や困難を受け入れ、いかなる場面にも
   準備可能な自分をつくる
  4. 目の前の逆境や困難に対処するための
   スキルを磨く
  5. 起こってしまった辛い出来事から
   回復するための力を培う

著者は、ペンタゴンの現役キャリアで、
空軍少佐のカイゾン・コーテさん。

以前、当ブログでは、コーテさんの、
ペンタゴン式目標達成の技術』を
紹介したことがありますが、今回はメンタルに
絞った内容になっています。

ペンタゴンで行われるすべてのトレーニングで、
必ず最初に行われるのが、何をもって成功と
みなすかという、明確なゴール設定。

ゴールの「定義化」が必要です。

そこで、本書のゴールである「折れない心」は、
次のように定義されています。

  「自分の弱点や弱みを素直に直視することで
  それを受容すること、そしていかなる変化にも
  対応可能な柔軟性を持ち、たとえ困難に陥り
  失敗するようなことがあっても、そこから
  しなやかに回復できるタフさを意味するのです。」

折れない心とは、鋼鉄のような強い心ではなく、
竹のように変化に対応して「しなる」ことができ、
元の状態に戻れる心です。

そんな心を作るには、予め何が起こっても
対応可能になるように、心のキャパシティを
増やしておくことが必要のようです。

そこで本書の中から、心のキャパシティを増やす
「ペンタゴン式マインドフルネス瞑想」を紹介します。

これは修行を積んだ僧侶が無我の境地に入るような
本格的な瞑想ではなく、脳に休息を与えて、
心に余裕を持たすために、誰にでもできる瞑想です。

  1. 基本呼吸を行い、姿勢を正しリラックスする
  2. 肩の力を抜き、ゆっくりと目を閉じ、
   今、この瞬間に起こっている周囲の状況に
   フォーカスする。
   雨音、風の音、自分の呼吸のリズム、何でもいい
  3. その間もゆっくりと呼吸を続ける

3分程度、「今、ここ」という瞬間に集中します。

初心者は、自分の呼吸にフォーカスするのが
一番やりやすいようです。

コーテさんの前著でもそうでしたが、
ペンタゴン式では、「呼吸」を大事にしています。

本書では、心と身体を整えるシンプルな方法が
数多く紹介されていました。

思考の切り替えに関するアドバイスもあるため、
一朝一夕で身につかないものもありますが、
比較的に実践しやすいメソッドが多いと思います。

この本から何を活かすか?

  「恐怖に打ち勝ちたかったら、恐怖に勝とうと
  思わないことだ。自分だって当然いつも怖い。
  その恐怖を受容しない限り、メンタルダメージの
  回復はできないだろう。」

これは、中東の某所で任務についていた、
あるスナイパーの言葉。

真の強さは、自分の弱さを認めつつ、
問題に取り組むときに生まれます。

ペンタゴンの組織では、失敗は許されないからこそ、
自分の中では、「弱さを受容し、失敗を許す」
ことで、心の負担を減らす必要があるようです。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 11:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ぼくらの仮説が世界をつくる

満足度★★★★
付箋数:24

  「 “何かを成し遂げるためには、仮説・検証が
  重要だ” とよく言われます。しかし、日常的に
  それを実行するクセが付いている人は、
  どれほどいるでしょうか。」

本書は、仮説とは何か、仮説はどのように立てる
べきかについて語った本です。

著者の佐渡島庸平さんは、『宇宙兄弟』や
ドラゴン桜』などを大ヒットに育てた編集者で、
現在は独立し、作家エージェント会社「コルク」を
立ち上げました。

本書では、佐渡島がこれまで、どのような
仮説を立ててきたのか、実例を紹介しています。

そもそも、なぜ、仮説が必要なのでしょうか?

  「スマートフォンもインターネットもパソコンも。
  車に電話、飛行機やロケットだって。
  あなたの身のまわりのものは、ほとんどが
  たった一人の “仮説” から生まれたものなのです。」

世界は、誰かの思い描いた仮説で作られてきた。

佐渡島さん自身も、世界をもっと楽しくする仮説を
持っているようです。

そして、仮説を持って世界を変えることは、
誰にでもできると語ります。

仮説を立てる際に、佐度島さんが重要視して
いるのが、「先に仮説を立てる」こと。

情報を集めてから、仮説を立てると、
現在の延長になってしまう。

つまり、「前例主義」に陥ってしまうのです。

それを避けるために、情報を集める前に、
感性に従って仮説を立てます。

「情報→仮説→実行→検証」の順番ではなく、
「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」の
順番で思考するように勧められています。

佐渡島さんが、『宇宙兄弟』の初期の
プロモーションで考えた仮説は
「女性読者が増えると、ヒットし始める」
というものでした。

宇宙ものということもあって、『宇宙兄弟』が
連載開始した直後の読者は、7割が男性でした。

しかし、女性読者をつかめなければ、
大きなヒット作には育ちません。

そこで佐渡島さんは、女性がよく行くところで、
影響力のある場所はどこかを考えました。

そこで思いついたのが、「美容室」。

美容師さんに、お客さんとどんな話をするのか
を聞くと、「最近おすすめの音楽や映画、
本などの話をする」との答えが返ってきました。

そこで、佐度島さんは、ヘアサロンのオシャレな
美容師さんから「このマンガおもしろいよ」と
勧められたら、女性読者を増やすきっかけになる
と考えたのです。

『宇宙兄弟』がヒットする前のことなので、
宣伝費は20万円ぐらいしか使えません。

逆算すると、首都圏の美容室400店に2冊ずつ
郵送できることがわかりました。

そこで、佐度島さんは、思い入れたっぷりの手紙を
添えて『宇宙兄弟』の1・2巻を美容室に送りました。

その後、女性読者から「美容室でススメられた」
というアンケートハガキも届くようになりました。

この美容室へのプロモーションも一役買って、
5巻が出る頃には、読者の男女比率が5:5になり、
大ヒットにつながる基盤を作ることができたのです。

  「このように自分で仮説を立てて、情報を集めて、
  仮説を補強して実行していると、仕事が楽しく
  なっていきます。結果が出るのが楽しみになる。
  楽しいから、もっとやりたくなる。新しいことを
  成功させるときに、こうして楽しむことも、
  実は大切な要素だと思うのです。」

本書は、仮説を立てるノウハウ本の面よりも、
仮説を立てて世界を変えたいという佐度島さんの
熱い思いが伝わってくる本でした。

この本から何を活かすか?

  「おもしろさは、親近感×質の面積」

なぜ、練り込まれたプロの文章よりも、
友だちのくだらない投稿の方が面白いのか?

佐度島さんは、この問いについて考え、
おもしろさには、絶対値があるわけではなく、
関係性の中で決まるという結論に至りました。

つまり同じ質の作品でも、親近感を高めることで、
おもしろさを増すことができるのです。

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| アイディア・発想法・企画 | 09:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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本音で生きる

満足度★★★
付箋数:18

  「でもやっぱり、 “本音を言えない”  “やりたい
  ことができない” と考えている人って “キモッ”
  って思うところもある。言いたいことは言えば
  いいし、やりたかったらやればいい。
  本当にやりたかったり切羽詰まっていたりしたら、
  もう動いているはずなので、こんな本を読んでいる
  場合ではないだろう。この本は言葉が過ぎている
  ところもあるし、余計なお世話と思われるかも
  しれない。まあ、パッと読んで、気づいて、
  この本は捨ててしまう、くらいが、やっぱり一番
  いいと思う。」

これが、本書についての堀江貴文さんの本音。

堀江さんは、「本音で生きる」ためには、
次の3つが大切だと語ります。

1つ目は、「言い訳をやめる」こと。

お金がない、時間がない、やり方がわからない
など言い訳しても無意味。

できない理由を探さずに、本当にやりたいなら、
リスクを考えずに、まずやってみるべきと、
堀江さんは言います。

2つ目は、「バランスをとるのをやめる」こと。

仕事とプライベート、収入と支出といった、
バランスをとろうとし過ぎないこと。

バランスを維持したまま、新しいことができる訳が
ないし、現状を変えずに、イイトコ取りを
しようとするのは虫が良すぎる話しです。

本当にやりたいことをやるなら、極端になったって
いいのです。

3つ目は、「プライドと自意識を捨てる」こと。

プライドがない方がみんなに愛されるし、
自分がバカだと知っているのが一番強い。

成功する確率や失敗する確率を考えて、
小利口になればなるほど、成功から遠ざかって
いくようです。

このように、本書で堀江さんが言っている
「本音」とは、単に発言のことではなく、
生き方そのものについてです。

本音で生きるとは、やりたいことをやって生きる
ことを言います。

では、やりたいことをやるために、
最も大切なことは何なのでしょうか?

  「繰り返すが、この世の中で最も貴重な資源は、
  時間だ。時間さえ有効に使うことができれば、
  自分のやりたいことはどんなことでも叶えられる。
  一方、時間を浪費することは簡単だ。
  言い訳をしたり、誰かの言い訳をしているうちに、
  貴重な時間はあっという間に失われてしまう。
  その時間で新しいチャレンジがいくつもできた
  であろうに。」

自分の時間は自分のものであり、
他人のために無駄な時間は費やしたくないという、
堀江さんの強い意思が本書から伝わってきます。

大前研一さんも『やりたいことは全部やれ!
という本を以前書いていましたが、
堀江さんも基本的な考えは同じなのでしょう。

本書は、本音で生きるための本ですが、
無駄な時間を廃して、時間を有効に使うことに
最もページを割いて説明していました。

  序章 なぜ、本音で生きられないのか
  1章 言い訳をやめる
  2章 バランスを取るな!
  3章 本音で生きられない理由は「自意識」と
   「プライド」である
  4章 すべてを最適化せよ
  5章 本音で生きるために必要なこと

ファンもアンチも多い堀江さんですが、
それは本音で生きている証です。

本書は、ロケット開発など、やりたいことに
打ち込んでいる堀江さんだからこそ書ける本
だと思います。

この本から何を活かすか?

  「僕は、フィットネスにも時間を使っている。
  うまい食事にこだわっていると、どうしても
  カロリーを過剰に摂取することになるから太って
  しまう。体を鍛えたいとまでは思っていないが、
  体型はある程度スリムにキープしておきたいので、
  毎日ランニングやウェイトトレーニングをこなす
  ことにしている。」

やりたいことをやるにも、身体が資本。

私も、今年からジムに通うことに決めました。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 09:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人生を変える南の島々。アジア編

満足度★★★
付箋数:22

  「本書は、アジアに点在する100以上の南の島々を
  高城剛がまわり、そのなかから独断と偏見で
  選んだ島をリストアップしたものです。
  近年、一般的な旅行ガイドブックは、美しい写真を
  どこかから借りてきて、行ったこともない場所を
   “絶景” などという言葉だけで販売する悪しき習慣
  がまかり通っています。映画評論でも音楽評論でも
  見たこともない映画を論じる人や、聴いたことも
  ない音楽を論じる人は皆無ですが、不思議なことに
  日本の旅行ガイドブックは、行ったこともない
  場所を行ったことがない人におすすめすることが
  許されています。」

最初は、いくらカラー写真が多いとはいえ、
250ページ程度の本で税抜き2480円とは、
ちょっと高いなと思いました。

しかし、紹介されている島々を実際に高城剛さんが、
何度も自分の足で周ったと考えると、
それほど高くはないような気もします。

旅行ガイド本には、豊富で正確な情報を売りにする
タイプの本と、旅へのモチベーションを上げる
タイプの本の2種類がありますが、本書は後者です。

今の時代、ネットの情報がありますから、
お金を出して買う価値があるのは後者の方
なのかもしれません。

高城さんも「独断と偏見」と言っている通り、
本書は一般化された旅行情報を得る本とは、
少し違います。

近所の旅行好きの兄ちゃんから、ついこの前まで、
行っていた旅先の話を聞くようなイメージです。

私は、旅については高城さんと趣向が合うので、
かなりその情報を信用しています。

かつて高城さんが愛用していた旅行バック、
karrimorエアポートプロ40」を、
私も真似して使っているほどです。

さて、本書で紹介されているのは、
30余りの美しいアジアの南の島々。

  「本書に記載したアジアの南の島々は、日本からの
  直行便がほとんどありません。しかし、各国の
  主要都市から片道数千円台で行くことが可能な島を
  多く選んでいます。」

人が集まれば集まるほど、海は汚れるもの。

直行便がなくて、簡単に行けないからこそ、
海の美しさが保たれているのでしょう。

本書で、高城さんが一押ししているのが、
タイのリペ島です。

  「世界で最も美しい海だ、といわれたタイのピピ島
  が、今や渋谷スクランブル交差点同様の人混みと、
  それによる環境の悪化で見る影もなくなって
  きているが、そのような “美しかったタイの島” を
  追いかけている人たちが最後にたどり着くのが、
  このリペ島である。」

リペ島は、タイの南端に位置するため、実際は
タイから入るよりも、マレーシアから入る方が
アクセスがいいようです。

  「マレーシアの有名な観光地であるランカウイから
  船で小一時間も行けば、アジアの最後の楽園リペ島
  にたどり着くが、残念ながらほとんどの
  旅行ガイド本には、その記載がない。
  なぜならリペ島はタイで、マレーシアの
  旅行ガイド本の “管轄外” だからだ。」

これは一般的な旅行ガイド本が、国別に刊行されて
いることによって起こる弊害。

こういった点が、実際に現地を自分の足で
周っている高城さんだからこそわかる情報です。

そして、もう1つ本書の大きな特徴は、
「変化」が書かれていることです。

それは1度訪れるだけでなく、何度も訪れて
いないとわからない情報です。

  「訪れるたびに驚くのは、増え続ける人混みである。
  この島は欧州からの学生バックパッカーの入り口で、
  港の人混みは週末の原宿と変わらない。
  近年は、イギリス人が減り、北欧からのゲストが
  増えた。ドイツ人と中国人は変わらず多くいる。」

これは先程、リペ島と比較されていた、
タイのピピ島の紹介文です。

今は、レオナルド・デカプリオさん主演の映画、
ザ・ビーチ』の舞台となった頃のピピ島では、
なくなってしまったようです。

この本から何を活かすか?

本書で唯一日本の島として紹介さていたのが、
「座間味島」です。

  「この島の隣りにある阿嘉島と共に、この15年間
  僕が通い続けているのが座間味島。どちらの島を
  “日本が誇る最高の島” として掲載するか
  迷いに迷った挙句、アクセスが良く、ファミリー
  にも向いている座間味島を取り上げることにした。」

シュノーケリングのシーズンは、4月の海開きから
10月下旬までなので、是非、行ってみたいですね。

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| 旅行・アウトドア | 12:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アドラーに学ぶ職場コミュニケーションの心理学

満足度★★★
付箋数:22

職場の悩みごとの中で、多くの人が抱えるのが、
「人間関係」についての悩みです。

これは、突き詰めるとコミュニケーションに
関する悩みと言うことができます。

しかし、職場を見渡すと、さりげない気遣いで、
モチベーションを上げるのがうまい上司や、
押しつけ感なく、サラリと仕事を頼んでくる先輩、
いつも気持よく話を聞いてくれる同僚など、
コミュニケーションが上手な人もいるものです。

このようなコミュニケーション上手な人と、
コミュニケーションが苦手な人の違いは、
一体、何なのでしょうか?

本書の著者、アドラー派心理カウンセラーの
小倉広さんは、この違いは「距離感」だと
指摘します。

コミュニケーション上手な人は、距離感が絶妙で、
近すぎず、かといって遠すぎない、
ちょうど良い距離を保っているようです。

コミュニケーションが苦手な人は、距離が近すぎて、
「押しつけ」や「世話焼き」になってしまったり、
遠すぎて、「服従」や「回避」になってしまうようです。

本書では、2014年に岸見一郎さんと古賀史健さん
によって書かれた『嫌われる勇気』のヒット以来、
一大ブームとなっているアドラー心理学に基づき、
ほど良い距離感でコミュニケーションをとる秘訣を
伝えます。

小倉さんの著書としては、2014年8月に刊行された
アドラーに学ぶ部下育成の心理学』に続く、
シリーズ第2弾になります。

前作は、部下を持つ管理職向けの内容でしたが、
今回は、管理職以外の中堅・若手ビジネスパーソン
へ向けの内容が中心に書かれています。

それでは、なぜ私たちは、近すぎたり、
遠すぎたりするコミュニケーションを
とってしまうのでしょうか?

本書では、その原因がいくつも挙げられていますが、
その中から、「押しつけ」と「世話焼き」が起こる
理由を見てみましょう。

「押しつけ」が起きる原因は2つあります。

1つは、私たちが、物事を「縦の関係」で捉えて
しまうこと。

「上下」「正誤」などが縦の関係で、
自分が上で相手が下、あるいは自分は正しく、
相手が誤っていると考えるので、
そこに押しつけが発生してしまうのです。

もう1つの原因は、無意識に「一致させよう」と
考えてしまうこと。

そもそも職場には、生まれも育ちも違った人が
集まっていますから、すべてにおいて考え方が
一致することはあり得ません。

それを無理に一致させようとするから、
コミュニケーションがうまくいかないのです。

また、「世話焼き」が起こる原因も2つ
挙げられていました。

1つ目は、相手の能力や価値を信頼していないから、
心配してしまい、つい余計な世話を焼いてしまう。

もう1つの原因は、自己満足のため。

相手は自分がいないと何もできないダメな人と考え、
その何もできない人を助ける自分の優しさに酔って、
世話を焼いてしまうのです。

本書では、こういった「押しつけ」や「世話焼き」
が起こらない具体的なフレーズを数多く紹介します。

フレーズの背景にあるアドラー心理学の
考え方も丁寧に解説しています。

本書は学術的にアドラー心理学を学ぶ本ではなく、
あくまで、職場でいい人間関係をつくるための
実践的な内容の本です。

この本から何を活かすか?

職場で「ノー」と言うのは、難しいことです。

本書では、そんなときに便利な、優れた伝え方の
フォーマット、「DESC法」が紹介されていました。

「無理です、できません」と言う代わりに、
次のフォーマットに沿って伝えます。

 Describe(客観的に描写)
  「私は3日後が納期のA社の仕事をやっていて、」
 Express(主観を表明)
  「手一杯で余裕がないのです。」
 Empathy(共感)
  「お急ぎなのはわかりますが、」
 Specify(具体的に提案)
  「他の方にお願いしてもらえますか。」
 Choose(代替案を提示)
  「もし1週間後でもよろしければお手伝いする
  ことも可能です。」

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| コミュニケーション | 11:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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たった一通の手紙が、人生を変える

満足度★★★★★
付箋数:28

  「本書は、誰もが日常的に扱えるものなのに、
  そこに秘められた大きな可能性にほとんどの人が
  気づいていない、ある分野に関する技術を
  体系化してまとめたものです。
  その分野は、 “手紙” です。」

本書は、『夢をかなえるゾウ』などで知られる
ベストセラー作家、水野敬也さんが手紙を書く
技術を伝える本です。

タイトルにある「人生を変える」という言葉は、
決して大げさなものではありません。

手紙の書き方本は、形式的なルールを伝えるのが
一般的ですが、本書で解説されるのは形ではなく、
中身の部分です。

なぜ、これまでの手紙の書き方本は、
形式の解説だけで、相手の心を掴む文章術が
解説されてこなかったのでしょうか?

それは、手紙というものが、あくまでプライベート
なものと認識されているからです。

  「個人的に受け取った手紙を公表するのは相手に
  失礼ですし、手紙を送る側になったときも、
  受けて以外の人にみてほしいものではありません。
  太宰治が芥川賞の選考委員である佐藤春夫に送った
  “芥川賞が欲しい” と懇願した手紙は有名ですが、
  公表されたのは太宰治の死後であり、
  また太宰自身も決して他の人には見てもらいたく
  なかったはずです。
  しかしこれは、裏を返せば、 “人生を変える手段
  としての手紙” のノウハウは、暗黙知として
  世に伝えられてこなかったことを意味します。」

水野さんが本書で公開するのは、テクニックで
相手の気持ちを操る、表面的なものではありません。

人は誰でも、感謝の気持ちや、人を愛する気持ちを
持っているものですが、伝える技術がないために、
その気持は相手に十分に伝わっていません。

本書では、あなたの中に眠る相手に対する
気持ちを、素直に、そして効果的に伝える技術を
解説します。

本書で最初に説明されるのは、手紙をはじめとする
文章でのコミュニケーションが、他の会話などの
コミュニケーションと決定的に違う点についてです。

  「相手に読ませる前に、どれだけ修正しても良い」

会話によるコミュニケーションは、「失言」という
言葉がある通り、一度言葉として発してしまえば、
どんなに訂正をしても、それが無かったことには
できません。

一方、手紙などの文章は書いても、読ませる前なら、
何度でも修正することができるのです。

あとは、修正する手間を惜しまず、課題を見つけて、
何度でも直せばいいわけです。

そして、本書で手紙を書くための
一番のポイントとして挙げられているのは、
「相手の立場に立ち、相手を喜ばせる」
ことに徹することです。

ただし、これはわかっていても難しく、
簡単にはできないことです。

本書では、全部で14種類の手紙について、
ビフォーアフターを比較し、どの点を改善すれば、
相手の立場に立つことができるのか、
そして、どう書けば相手を喜ばせることが
できるのかを詳しく解説します。

著名人の手紙もいくつか引用されていて、
これらを読んでいると、涙が出てくるほどの
感動を覚え、手紙の持つ絶大な力を
感じさせるるものばかりです。

私は本書を読んで、これまで直筆の手紙を
書かなかったことを、非常にもったいないと
思いました。

また、残りの人生では機会をつくって、
少しでも多くの手紙を書こうと思いました。

手紙の持つ力を改めて認識させられ、
すぐにでも手紙を書きたい衝動に駆られました。

私にとては、本書自体が、「人生を変える」一冊
と言っても、決して言い過ぎではありません。

この本から何を活かすか?

まず私が、本書に習って書こうと思ったのが、
妻への愛情や感謝を伝える手紙です。

本書で紹介されていた、第40代米国大統領の
ロナルド・レーガンさんや、アップルの
スティーブ・ジョブズさんが、奥さんへ送った
手紙を参考にしようと思います。

こういった感謝の手紙は、書いた本人の幸福度も
上がるようです。

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| 文章術 | 09:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「読まなくてもいい本」の読書案内

満足度★★★
付箋数:23

かつて、『買ってはいけない』という
ベストセラー本がありました。

世間で広く流通している食品や日用品について、
その商品に含まれる化学物質などの危険性を
かなりオーバーに指摘し、「買ってはいけない」
と警告する本でした。

具体的な企業名や商品名を挙げていることが
話題となり、1999年に刊行されて以降、
シリーズ化され、社会現象にもなりました。

本書はタイトルに「読まなくてもいい本」と
ありますが、そのような下品な本ではありません。

  「誤解のないようにあらかじめ断っておくと、
  ここでは “読まなくてもいい本” をいちいち
  挙げたりはしていない。
  新しい “知のパラダイム” がわかれば、
   “読まなきゃいけないリスト” をどんどん
  削除してすっきりできるはずだからだ。」

橘玲さんが言う「知のパラダイム(シフト)」とは、
20世紀半ばからの半世紀でいくつかの学問分野で
起こった、従来の考え方を覆す大きな変化です。

この変化を「知のビックバン」とも呼んでいます。

あまりにも大きな変化であるため、ビックバン以前
の知識は、ビックバン以降通用しなくなりました。

地球の周りの天体が地球を中心に回っていると
考えられていた天動説が、コペルニクスさんが
地動説を提唱したことで、大きく世界観が変わり、
以前の知識が通用しなくなったような変化です。

橘さんは、知のコペルニクス的転回があった、
次の5つの分野について、本書で解説します。

複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義

新しい知のパラダイムを知ることができれば、
ビックバン以前の本は、読むべき本のリストから
自然と外すことができるという考えです。

つまり本書は、「読まなくてもいい本」を
列挙する本ではなく、5つの分野における
知のパラダイムシフトの概要を知る本なのです。

各章末に「ブックガイド」は掲載されていますが、
それが本筋ではありません。

ところで、なぜ新しい知のパラダイムについて、
わざわざ解説する必要があるのでしょうか?

それは、天動説が信じられていたのと同じように、
従来の考え方のほうが、私たちの感情に
馴染みやすく、信じられやすいからです。

  「この本では “知のパラダイム転換 ”への入り口
  として、大小さまざまな驚きを集めてみた。
  ここで紹介した複雑系、進化論、ゲーム理論、
  脳科学、功利主義の考え方は、ときどき話題に
  なったりするけれど、世間的にはあまり評判がいい
  とはいえない。それは素朴な感情を逆なでするから
  だろうけど、ちゃんと考えれば当たり前のこと
  ばかりでもある(そう思ったでしょ)。」

橘さんが言うように、当たり前と思えるかどうかは、
自分の頭で考えるかどうかによります。

難しい理論だからといって、橘さんの解説を
そのまま鵜呑みにしてもいけません。

古いパラダイムを学ぶのと同様、自分の頭で考えず、
単に知るだけでは、価値がないからです。

取り上げられた5つの分野は、これまでも橘さんの
著書の中で、たびたび扱われてきた分野ですから、
橘さんファンの方にとっては、あまり新鮮さは
感じられないかもしれません。

初めて橘さんを本書で知る方にとっては、
選ばれているテーマが少し難しいので、
出だしのハードルが高く感じるかもしれませんが、
それさえ超えてしまえば、知的好奇心を
刺激するには十分な内容だと思います。

読むべき本、または読まなくていい本のリストを
求めて読むと、本書は期待はずれになるかも
しれません。

あくまでも、本書は「知の最前線」を短期間で
探検する本なのです。

この本から何を活かすか?

  ゲーム理論による「新車をもっとも安く買う方法」

  1. 車雑誌やインターネットで調べ、どの車を
   買うかを、装備も含め予めすべて決めておく。

  2. 自分が住んでいる地区のディーラーを
   できるだけたくさんリストアップする。

  3. 順番にディーラーに電話をかけ、購入したい
   車種と装備を伝えた後、次のように言う。

  「この条件でいくらなら売ってくれるのか、
  あなたの最低価格を教えてください。その価格を
  次に電話するディーラーに伝え、すべての
  ディーラーのなかでもっとも安いところから
  購入します。なお、購入する場合はその金額に
  ぴったりの現金しか持って行きません」

これは、自分の手の内を見せず、相手の手の内
だけを知る、ゲール理論での完全な「支配戦略」
になるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:43 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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仕事のエッセンス

満足度★★★
付箋数:22

   「『仕事のエッセンス』と題した本書で、
  “仕事をするとはどういうことなのか”
  “どういう働き方が可能であるか” また
  “仕事をすることが自分を幸福にし、さらには
  社会を豊かにすることにつながる” ということに
  ついて、原点に返って根本的なところから
  述べてみることにしました。」

著者は、カリスマ予備校講師として知られる
西きょうじさん。

代ゼミから東進へ移り、現在も英語講師として
教壇に立ちます。

ロングセラー『ポレポレ英文読解プロセス50』の
お世話になった方も多いのではないでしょうか。

本書は、そんな西さんが働くことの意味について
考えた本です。

冒頭で、西さんは「なぜあなたは働くのか?」と
問います。

この問いに対し、「お金のため」、あるいは
「生活のため」と答える方も多いでしょう。

実際に内閣府の調査でも、お金を得ることを
目的と答えた方が最も多く50%以上を占めています。

しかし、西さんはこの状態を
「思考停止」に陥っていると指摘します。

もし、あなたが「お金のため」と考えているなら、
「お金さえ稼げるならどんな仕事でもいいのか?」
という点を自分に問うてみてください。

一定の収入が得られた先には、必ず、どういう仕事
をするのか、どういう働き方をするのかという
選択があるはずです。

本書では、「労働」と「仕事」の一般的な言葉の
定義を確認するところから始めています。

「労働」とは生きていくために必要なことで、
強迫感を持ち、継続性や選択性がないもの。

これに対して、「仕事」は生きるための必然に
とどまらず、継続性があり社会構築につながるもの。

西さんは、この一般的な区分けをベースに、
更に「隷属的賃金労働」、「積極的賃金労働(仕事)」
「はたらく」の3つの分類を加えています。

「隷属的賃金労働」とは、生存のためにお金が必要
なので、自分の意思に反する金銭獲得の手段を
取らざるをえない賃金労働。

「積極的賃金労働(仕事)」とは、手段を自分の
意思で選択した労働で、持続性があれば「仕事」へ
発展する労働。

最後の「はたらく」は、人類が群れで子育てを
していたことに由来する考えで、賃金的な報酬の
有無に関わらず「はた(周り)」を「らく(楽)」
にする働き方です。

本書では、労働環境の様々な実態を見渡し、
就職や転職などを含め、こらからの時代の
新しい働き方についても論考します。

最終的に目指す仕事は、「はた」を「らく」にして、
喜びを得るようなことを積極的に行うことで、
賃金を得て、自分の生活も幸福にするものです。

決して、自己の金銭的利益のみを追求するものや、
自己実現のために行うものではありません。

  「仕事とは自分と社会を持続的に接続するもの
  であり、積極的に選択できるものです。
  仕事から “はたらく” 喜びを得られるように
  なると、 “はたらく” ことで自他ともに幸福感を
  与えられます。そうして、自分が安心して生活
  できるコミュニティを形成して維持することに
  つながる手段となりうるのです。」

本書は、今の働き方に疑問を感じている人に
とっては、その意義を見直すきっかけになる本です。

今後、どのように仕事と向き合っていけばよいかを、
多角的に考えることができるようになると思います。

難しいテーマの本ですが、文体は読みやすく、
250ページ超でも、比較的スイスイ読めます。

この本から何を活かすか?

本書では、以前、当ブログでも紹介したことのある
伊藤洋志さんの『ナリワイをつくる』についても
言及していました。

  「個人レベルではじめられて、自分の時間と健康を
  マネーと交換するのではなく、やればやるほど
  頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を
  “ナリワイ” (生業)と呼ぶ。」

「ナリワイ」は、自身の生活自給力を上げ、
仲間を増やしていき、楽しい働き方で、
本書の「はたらく」の考え方に近いものがあります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 仕事論 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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作家の収支

満足度★★★★
付箋数:23

すべてがFになる』などで知られる森博嗣さんが、
作家としての収入を公開した本。

実際、人がいくら稼いでいるのかは、
多かれ少なかれ、誰もが興味のあるところです。

公開すること自体、それほど難しいことでは
ありませんが、怖いのは人の「妬み」。

普通は、収入などについては、語らない方が、
不要な誤解を招かないので、賢いのかもしれません。

では、なぜ、森さんは作家の収入について語るのか?

  「僕自身は、金のことを書くのは恥ずかしいこと
  でも汚いことでもない、と考えている。
  しかし、どちらかといえば、格好の良いことでは
  ない。黙っている方が文化的にも美しいだろう、
  と理解している。ただ、誰も書かないのならば、
  知りたい人のために語るのは、職業作家としての
  “仕事” だと思った。 “使命” と書かないのは、
  正直だからである。」

もちろん、森さんぐらいの人気作家になれば、
一般的なサラリーマンに比べると大きな収入を
得ていますから、それを自慢と取る人も
いることでしょう。

事実、森さんは作家になって、国立大学工学部の
助教授として得ていた収入をすぐに超えています。

だから、本書に書くことは自慢ではなく、
客観的事実である点が強調されています。

  「この本に、これから客観的事実を書く。それらを
  僕自身がどう評価しているかは、なるべく書かない
  つもりだが、トータルとして、特に、それで満足
  しているわけでもなく、また不満を持っている
  のでもない。仕事として、その報酬を得たという
  だけのことである。」

本書には、森さんの作品について発行部数と、
それによって得られた収入が詳細に書かれて
いますから、作家志望の人の参考になるのは勿論、
世間一般の、「人の収入を知りたい」という好奇心を
十分に満たしてくれます。

本書によると、森さんのデビュー作である
すべてがFになる』は累計78万部で、
印税だけの収入は、6000万円以上になるそうです。

ゲラ校正を含めた執筆には60時間かかっているので、
換算すると時給100万円。

これとは別に、原稿料としては時給10万円。

ただし、印税については20年の歳月をかけて、
この域まで達したのであり、最初から時給100万円
だった訳ではありません。

また、原稿料についても、森さんは相当な速筆で、
1時間に6000文字、原稿用紙にして20枚を
書き上げるので、あくまでそれをベースにした
時給になっています。

ちなみに、小説などの印税は、1冊も売れなくても
もらえるそうです。

それは印税が発生するのが、売れた時点ではなく、
印刷した時点だからです。

もちろん、出版社は予測を立てて印刷しますし、
売れ残らないように売れてから増刷しますから、
売れた部数と印税収入は、ほぼ比例することに
なります。

印税率は、紙の本で8~14%、電子書籍は
15~30%のようです。

ただし、電子書籍は在庫を持ちませんから、
印刷ベースではなく、売れた部数ベースで印税が
支払われます。

本書は、客観的事実を知らせることを目的と
しているので、支払われる原稿料や印税について、
それが高いか低いかなどの森さんの意見は、
ほとんど述べられていません。

しかし、この電子書籍については、思い入れが
あるようで、珍しく、感想が述べられていました。

  「電子書籍の印税が15%~30%というのは、
  僕は低いと感じている。たとえば、出版社などを
  通さず、自分で直接配信すれば印税は100%だ。」

本書で公開されるのは、原稿料と印税意外にも、
ブログ収入、映像化された場合、講演会、サイン会、
取材を受けた場合から推薦文を書いた場合まで、
かなり細かな具体的な収入額が明かされています。

個人的には、本書は総発行部数1400万部で、
総収入15億円を得たという事実よりも、
どのようにして売れて、どのように収入が
増えたのか、そのドキュメンタリーとしての部分が、
非常に興味深い本でした。

本書は、2010年に刊行された『小説家という職業
の続編的な位置づけなので、併せて読むと、
よりリアルに小説家の実態について知ることが
できます。

この本から何を活かすか?

  「サイン会は、出版社の広報部(営業)と書店が
  企画するものだが、いったい誰が得をするのか
  よくわからないイベントである。
  もちろん、そこにたまたま来ることができた読者は
  得をするが、せいぜい100人だから、もし1万部
  売れる本であれば、僅か1%の客にサービスした
  ことになる。」

実に森さんらしい、非常に理系的な考えですね。

森さんは、サイン会の代わりにファンサービスと
しては、もう少し効率の良い「名刺交換会」を
行っているそうです。

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| 文章術 | 06:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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