活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2015年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年07月

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なぜ人類のIQは上がり続けているのか?



満足度★★★
付箋数:18

  「人は賢くなっているのか?  “現代の私たちは祖先に比べて
  考える能力が高いのか” という意味なら、そうではない。
   “私たちは、経済発展にともなって増加する諸問題をはじめ、
  今日の複雑な世界に対処する知的能力を進化させてきたか”
  という意味なら、そうだ。(中略)

  まちがいなく、 “知能指数(IQ)” は時代とともに
  上がりつづけている。この事実はとても重要だ。
  時代ごとのIQの上昇傾向を調べることで、人間を見つめるための
  窓が開き、それまでぼんやりしていたことがわかってくる。」

日本では、一般的にあまり知られていませんが、
人類の知能指数が過去100年にわたって上昇し続けている事実は、
欧米では広く知られています。

特にアメリカでは、IQ70以下の人は凶悪犯罪を起こしても
死刑が免責となることなどから、IQの注目度は高いようです。

1984年に、ニュージーランドのオタゴ大学政治学部の名誉教授、
ジェームズ・フリンさんは、35カ国の知能検査のデータから
多くの国でIQスコアが世代にわたって上昇していることを
発見しました。

後に、IQが時代とともに上昇しているこの現象は、
発見者の名前をとって、「フリン効果」と名付けられました。

本書は、フリンさんご本人による、「フリン効果」の解説本。

  第1章 はじめに
  第2章 知能指数と知能
  第3章 途上国
  第4章 死刑、記憶喪失、政治
  第5章 若さと老い
  第6章 人種と差別
  第7章 社会的想像力
  第8章 進歩と謎

本当に「フリン効果」があるかどうか、多少の議論の余地は
残っているものの、この効果が広く知られていることを前提に
その誤解を解くスタンスで本書は書かれています。

また、「フリン効果」がもたらす影響について、
様々な角度から論じています。

  「本書では、時代や場所が人の知性にどんな影響を
  与えているのかを解き明かしていきたい。先進国や途上国において
  認知能力の傾向はどうなっているのか、今後21世紀が終わるまでに
  その傾向がどう変わっていくのかについて述べたいと思う。」

本書で主なデータとして使われている知能検査は、
レーヴン斬新的マトリックス検査(RPM)や、
ウェクスラー成人知能検査(WAIS、WAIS-Ⅲ)などです。

ちなみに、イギリスの心理学者チャールズ・スピアマンさんは、
知能は、一般因子(g因子)と特殊因子(s因子)の2つの因子から
構成されていると説きました。

g因子は、いわゆる「地頭がいい」ことを示すものです。

語彙の豊かな人が算数や行列推論でも成績が良かったり、
ある楽器の演奏がうまい人はほかの楽器の演奏もうまいなど、
よく見られることです。

このようにg因子は、何かの能力に秀でている人が、
すべての能力に満遍なく秀でているという傾向を示します。

一方、s因子はそれぞれが独立した専門的に働く因子です。

本書では、「なぜ、女子は低いIQで大学に入れるのか?」
といった話題も提供していますが、少し学術的な印象の強い本です。

この本から何を活かすか?

2013年にフリンさんがTEDで行った講演、
「Why our IQ levels are higher than our grandparents'
(なぜ私たちのIQは、祖父母たちよりも高いのか?)」の映像は
こちらです。



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| 科学・生活 | 11:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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論理が伝わる 世界標準の「議論の技術」

満足度★★★★
付箋数:26

A氏とB氏、2人が議論をしています。

 A氏:「当社は国内ソフトウェア開発部門を大幅に縮小し、
    ソフトウェア開発の拠点を中国に移すべきです。
    人件費が日本の4分の1なので、大幅なコスト削減が
    実現できます。
    事実、Q社は来年、中国事業所を稼働開始の予定です。」

 B氏:「なぜ、インドではなく、中国なのですか?
    ソフトウェアの開発なら、インドの方が適切ではありませんか?」

このとき、A氏はどのように返すべきでしょうか?

なぜ、インドより中国が適しているのかと問われると、
「なぜなら、中国のほうが・・・」とその理由を説明がちに
なりますが、決してそのように答えてはいけません。

論理的な議論を行うには、守るべき基本ルールがあります。

その1つは、言い出した側に「立証責任」があること。

裁判でも同じですが、何かを主張をする場合には、
その主張を言い出した側に、根拠を説明する義務があります。

立証責任は非常に重いので、相手が立証すべきときに、
自ら立証責任を負ってはいけません。

もし、相手が立証責任を果たしていなければ、
まず相手に立証するように促します。

負う必要のない相手の立証責任を負ってはいけませんし、
相手が立証する前に、反論してもいけないのです。

例として挙げたA氏とB氏の議論では、
B氏は「インドの方が適切である」ことを立証していません。

ですから、ここでA氏は次のように答えるべきなのです。

  「なぜ、中国よりインドが適切とお考えですか?
  インドが適切な理由をご説明ください」

自分が議論が得意だと勘違いしている人は、
往々にして、自説を説明したがります。

相手を言い負かしたいので、自分の主張を
機関銃のように話し、相手から反論の時間を奪って、
自分が話す時間を増やそうとします。

ですから、議論が得意だと勘違いしている人には、
「なぜ?」と立証責任を負わせます。

説明したくてしかたがないので、「なぜ?」と振られると、
得意になって、なぜかを説明してくれます。

なぜかを答えたら、すぐに反論せず、更にその説明に対し、
「なぜか?」を繰り返し質問して、
相手の論理が、行き詰まって破綻するのを待ちます。

一方、本当に議論の得意な人は、立証責任の重さを知っているので、
自ら説明を買って出たりしません。

自分から話さない代わりに、相手の主張を注意深く聞いて、
主張の矛盾を見つけ出し、論証型の反論を行うのです。

ただし、相手に立証責任を負わせるのは、あくまで健全な
議論をするためです。

議論は勝つために行うものではありません。

自分にとっても相手にとっても、最適な結論を導き出すために
行うのです。

本書はブルーバックスから刊行されている倉島保美さんの
「論理が伝わる」シリーズ第3弾。

このシリーズ、本書も含め、いずれも良作です。

論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』では、ロジック表現を、
論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」』では、ロジック構築を
学びます。

本書では「ロジック論証」を中心に議論の技術を学びます。

練習問題が多く掲載されているので、理解できているか
確かめながら読み進めることができます。

この本から何を活かすか?

  反論には、「主張型反論」と「論証型反論」の2種類がある

主張型反論とは、なぜ「~すべきか/~すべきでないか」を
の述べる反論です。

論証型反論とは、相手の述べる根拠では主張が
成立しないことを述べる反論です。

論理的な議論は、両方の型の反論がなされて、
初めて成立しますが、議論を深めるのは「論証型反論」です。

議論がかみ合わず、平行線をたどる場合は、
双方が「主張型反論」ばかりをしているからのようです。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 09:12 | comments:0 | trackbacks:2 | TOP↑

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シンプルに考える


満足度★★★
付箋数:25

  「社長退任を機に、これまでの人生で経験したこと、
  学んだこと、考えたことを、ひとりでも多くのビジネスパーソンと
  シェアしたいと考えて本書を書きました。」

本書の著者は、2015年3月にLINE株式会社の社長を退任し、
現在はC Channel株式会社の社長を務める森川亮さんです。

本書で明かされるのは、利用者が世界で5億人を超えると言われる
LINEを生み出したチームが、今でも実践している方法論です。

  ライバルと「戦わない」。

なぜなら、戦うことが本質ではないからです。

それよりも、シンプルにユーザーのことだけを考え、
ユーザーが本当に求めているものを生み出すことに集中します。

  社員の「モチベーション」は上げない。

企業はプロフェッショナルを採用しているからです。

会社や上司にモチベーションを上げてもらわなければ
ならない人は、プロとして失格です。

  「統制」はいらない。

フルスピードに走っている現場で必要なのは、
的確かつスピーディーな意思決定です。

そのために必要なのは、自分で決めることと、
「決める人」を決めること。

現場を統制するよりも、権限移譲することが、
意思決定のスピードを格段に上げます。

  会社に「ビジョン」はいらない。

ビジョンとは、会社の未来の姿を示すことです。

しかし、この変化の激しい時代に、誰にも未来のことはわかりません。

森川さんは、わかるはずもない未来を予測することよりも、
目の前のことに集中することが重要だと考えます。

  「事業計画」はいらない。

計画があるから、変化に弱くなります。

変化の速いインタネットの世界では、計画を持つことが、
素早く変化に対応することへの足枷となります。

  社内で「情報共有」はしない。

情報は閲覧可能な状態にしておいて、見たい人は
勝手に見に行けばいい。

情報共有のために集まって、伝達や報告に時間を費やしても、
ユーザーの価値に結びつくものは、何も生み出しません。

  「差別化」は狙わない。

なぜなら、差別化することは本質的ではないからです。

ユーザーが求めているのは、「違い」ではなく「価値」。

差別化を追求すればするほど、ユーザーが求めていることから
遠ざかってしまいます。

本書で示されるのは、これまでビジネスでは「常識」と
考えられてきたことに反するものばかりです。

森川さんの信条は「シンプルに考える」ことです。

常識という表面的な価値に惑わされず、「何が本質か?」を
徹底的に考え尽くし、それ以外のものは全て捨てます。

そして、最も大切なことに、すべての力を集中させます。

それがLINEが短期間で成功した秘訣のようです。

  第1章 ビジネスは「戦い」ではない
  第2章 自分の「感性」で生きる
  第3章 「成功」は捨て続ける
  第4章 「偉い人」はいらない
  第5章 余計なことは全部やめる
  第6章 イノベーションは目指さない

この本から何を活かすか?

森川さんが立ち上げた「C Channel」とはどんな会社なのか?

C Channelは、10代~30代女性をターゲットとした
動画ファッション雑誌。

クリッパーと呼ばれる、契約したモデルやタレントが、
普段通っているカフェや、服のコーディネート、ヘアメイク
などの動画を撮影して、1分以内にまとめた動画を配信する
サービスです。

森川さんは、C Channelで海外進出することも狙っているようです。

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| 経営・戦略 | 06:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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マシュマロ・テスト:成功する子・しない子


満足度★★★
付箋数:22

1960年代に、スタンフォード大学のビング保育園で
ある実験が行われるようになりました。

それは園児たちに厳しいジレンマを突きつけるものでした。

大好きなマシュマロが、1個だけ皿の上に置いてあって、
それと向い合って、園児は1人でテーブルに着きます。

マシュマロの脇には卓上ベルがあって、今すぐ食べたければ、
研究者を呼び戻して、マシュマロを1個だけもらうことができます。

でも1人きりで研究者が戻るまで(最長20分間)待って、
それまで席を離れたりマシュマロを食べ始めたりしなければ、
2個マシュマロをもらうことができます。

このテストの学術名称は、「先延ばしされたものの、
より価値の報酬のために、未就学児が自らに課した、
即時の欲求充足の先延ばしパラダイム」というもの。

その後、このテストがニューヨーク・タイムズ紙で取り上げられ、
一般的に「マシュマロ・テスト」と呼ばれるようになりました。

実は、マシュマロ以外にもクッキーやプレッツェルを
テストで使うこともあったようですが、
「マシュマロ・テスト」の名称が定着したようです。

このテストを考案したのが、本書の著者でパーソナリティ理論と
社会心理学の専門家のウォルター・ ミシェルさんです。

本書はミシェルさんの長年の研究成果を、
初めて一般向けにまとめた本です。

初めは、園児たちが食べたくてしかたのないマシュマロを
ただちに1個だけもらうよりも、しばらく我慢して
2個もらえるだけの克己心を、いつ、どうやって身につけるかを
観察する単純なテストでした。

しかし、後に追跡調査することで、園児たちの将来について、
マシュマロ・テストの結果から、多くのことが予想できるとわかりました。

それは4歳か5歳のときに待てる秒数が長いほど、
大学進学適正試験の点数が良く、青年期の社会的・認知的機能の
評価も高いということです。

就学前にマシュマロ・テストで長く待てた人は、
27歳から32歳にかけて、肥満指数が低く、自尊心が強く、
目標を効果的に追求し、欲求不満やストレスに
うまく対処できました。

また、中年期には、一貫して待つことのできた人と、
できなかった人では、中毒や肥満と結びついた領域の
脳スキャン画像ではっきり違いが見られました。

つまり幼児期に自制心があるか否かが、その後の人生で
成功するかどうかに関わっているということです。

  「マシュマロ・テストの結果は、本当はいったい
  何を示しているのか? 欲求の充足を先延ばしにする能力は、
  あらかじめ組み込まれているのか?
  本書ではこうした疑問を取り上げる。
  その答えには驚かされるものが多い。
  本書『マシュマロ・テスト』の中で私は、 “意思の力” とは
  何であり、何でないかを論じ、その力を無効にする条件や、
  力を揮えるようにする認知的スキルと動機づけ、意志の力を
  持っていたり使ったりしたときの結果について語る。 」

園児がマシュマロを我慢するシチュエーションは、
私たちが大人になっても、毎日にように遭遇します。

今、欲求に負けて目の前にある魅力的な料理を食べてしまうか、
我慢してスリムな肉体を手に入れるか。

いつものようにタバコに手を伸ばして吸ってしまうか、
禁煙して将来の健康を入れるか。

お金がなくてもクレジットカードで欲しいモノを買ってしまうか、
自制して老後の資金を蓄えるか。

自制心と成功の関連性を見るマシュマロ・テストは、
大人にとっても他人ごとではありません。

この本から何を活かすか?

園児たちは、大好きなマシュマロを2個もらうために、
どのようにして、今すぐ食べたい誘惑と戦うのか?

こちらが、マシュマロ・テストの1つの映像です。



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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド

満足度★★★
付箋数:23

今の時代、何のリスクもなく得をすることは難しい。

例えば、そんなおいしい状態が市場に存在すると、
多くの人がその利益を得ようと殺到します。

すると、あっという間に市場の歪みが解消され、
利益が得られない状態になります。

しかし、何のリスクもなく100%得することができるのが、
本書で紹介される「ふるさと納税」制度。

著者は、「ふるさと納税の達人」というキャッチフレーズの
金森重樹さん。

きっと、他の方がふるさと納税の本を書いていたら、
私はスルーしていたと思います。

しかし、私は著者名にある金森さんの名前を見て、
「えっ、今度は金森さん、何やってんの!?」と驚き、
手が止まりました。

よく見ると本書の帯には、ふるさと納税生活で、
心なしかふっくらした金森さんの写真が載っていました。

金森さんの行く所に、金脈あり。

これまで金森さんがやってきたのは、FAXDMに始まり、
インターネットマーケティング、不動産投資、
ホテルチェーン経営、メガソーラー経営などなど。

個人的には、金森さんはマーケティングに長けた人なのだと思います。

その才覚で、25歳のときに背負った1億2千万円の借金を
返済したことは『お金の味』に記されていますね。

さて、最近は「ふるさと納税ブーム」になっていますから、
ムック形式の類書が多く出版されています。

それに対して、金森さんはどのような対策をとっているのか?

  「類書への対抗策はマスコミへの露出度の違いで差をつける
  ということだ。

   ・キー局はすべて港区に集中していること
   ・いつでも自宅で取材が受けられる体制にあること
   ・常時ふるさと納税の特産品が家にあるのは
    我が家の強みであること

  などから、毎週のようにテレビ、雑誌に露出して
  ふるさと納税という椅子取りゲームで常に椅子を
  独占し続けることができた。」

この部分は金森さんのメルマガ「回天の力学」からの引用です。

さて、本書は金森さんが2014年4月に刊行した
『100%得をする ふるさと納税生活』の改訂版。

2015年4月からの新制度に合わせて、大幅に加筆訂正されています。

ところで、ふるさと納税によって、納税する額が少なくなると
思っている方もいますが、それは誤解です。

支払う税額自体は変わりません。

では、何が得なのかというと、支払う税金の一部を
自分の住んでいる自治体から、別の自治体へ移すことによって、
地域特産品などのお礼がもらえる点が得なのです。

あと、本書を読むまで私も誤解していた点がありました。

  「(ふるさと納税は)何百本やろうが最初の2,000円だけ
  適用下限としてそれ以降は一定上限額まで全額控除される
  ようになる。」

ふるさと納税を1本やると、2,000円が控除されません。

例えば、1万円ふるさと納税すると、8,000円しか納税したことに
なりませんから、地域特産品と引き換えに2,000円が
手数料のようにかかります。

しかし、1万円のふるさと納税を100本やっても、
控除されない額が2,000円×100=20万円にならないのです。

控除にならないのは、最初の2,000円だけ。

つまり、1年間で2,000円の会費を払えば、上限額に達するまでは、
全国から無料でお取り寄せグルメができるのです。

この本から何を活かすか?

  株主優待 VS ふるさと納税

いろいろな商品がもらえということで、
株主優待とふるさと納税を比較する方もいます。

もらえる商品、抱えるリスク、スタートできる金額で比較すると、
圧倒的にふるさと納税の方がお得です。

株は値上がりの可能性と同じく暴落のリスクがありますが、
ふるさと納税はそのようなリスクはありません。

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| マネー一般 | 06:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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経済学の95%はただの常識にすぎない

満足度★★★
付箋数:22

  「大半のエコノミストの喧伝とは裏腹に、経済学には唯一の
   “正しい” 理論も学派もない。この数十年間ほど新古典主義派が
  経済学の主流派だが、少なくとも9つの学派があり、
  それぞれ一長一短である。(中略)

  諺に曰く “ハンマーを持つものには何でも釘に見える” 。
  特定の理論的視点から物事を見ようとすると、
  型にはまった問いとそれへの回答に凝り固まってしまう。
  目の前の問題は釘なのだ、だから自分の持つハンマーという
  工具が最適なのだ、と。だがたいていの場合、あなたに必要な物は
  さまざまな工具を収めた道具箱である。」

当ブログでは過去に『世界経済を破綻させる23の嘘』を
紹介したことがある、ケンブリッジ大学の経済学者、
ハジュン・チャンさんが2014年8月に刊行した
Economics: The User's Guide』の邦訳本です。

タイトルを直訳すると、「経済学の取扱説明書」となりますね。

本書で紹介される経済学の学派は次の9つあります。

オーストリア派(A)、行動経済学(B)、古典学派(C)、
デベロップメンタリスト(D)、制度学派(I)、
ケインズ経済学(K)、マルクス経済学(M)、
新古典主義派(N)、シュンペーター派(S)

そして学びたい目的別に、どの学派の経済学を
参照すべきかが示されています。

  ・経済の構成要素よりも経済制度について学びたければ、MDKIを。
  ・各種の自由市場擁護論に興味があれば、CANを。
  ・政府介入が必要なこともある理由を知りたければ、NDKを。
  ・なぜ企業が存在し、どう働いているかを知りたければ、SIBを。
  ・失業と景気後退を取り巻く議論は、CKを。

この9つの経済学をカクテルになぞらえて、
健康上の注意が記されています。

  「一種類ばかり飲んでいると、視野狭窄、傲慢、
  そしておそらく脳死に至る危険性があります。」

また、本書の「はじめに」には、他の経済学入門書との違いが
2点挙げられていました。

  「一つには、読者と真っ向から向き合うことだ。
  本書はいくつかの深遠な真理を概説するものではない。
  何種類かの経済学的分析方法を紹介するが、それは読者にも
  さまざまなアプローチの違いが十分にわかると信じているからだ。
  (中略)
  本書と他の経済学入門書のもう一つの違いは、さまざまな実例を
  収録してあることだ。他書のように一、二国に絞ったり、
  富裕国と貧困国など特定の分類に限ることはしない。」

本書は400ページ超の大作ですが、意外とスイスイ読めます。

それは、豊富なデータに基づく具体例やタイムリーな話題を
ふんだんに使って説明されているからです。

本書では、経済学を正面から捉えたり、裏側から見たり、
斜め上から眺めたりするなど、様々な視点が示されます。

立体的に経済学を映し出すことができたら、
あとはそれを実際にどのように使うかを考えます。

この本から何を活かすか?

ハジュンさんは、ケンブリッジ大学の大先輩である、
モンティ・パイソンのジョン・クリーズさんに敬意を表し、
本書の「はじめに」を次の言葉で締めています。

  「And Now For Something Completely Different....」

ただ、この部分には個人的に2つ不満があります。

1点目は、「空飛ぶモンティ・パイソン」のクリーズさん演じる
アナウンサーの言葉を引用するなら、それを受けるイッツマンの
「It's!」のセリフまで使って欲しかったこと。

2点目は、「And Now For Something Completely Different....」
の日本語訳に違和感があること。

訳者の酒井泰介さんは、モンティ・パイソンの吹き替え版を
見ていないのかもしれませんね。

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| 経済・行動経済学 | 10:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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我が逃走


満足度★★★★
付箋数:8

  「この本は、僕、家入一真の、およそ十年余りのデコボコした日々を
  まとめたものだ。前作『こんな僕でも社長になれた』を読み返すと、
  そこには会社にも家族にも友人にも恵まれた、幸せいっぱいの
  ひとりの社長がいて、なんだか遠い世界の物語のように思える。
   “思えば遠くへ来たもんだ” とはよく言ったものだ。
  あの頃はまだ、知らないことばかりだった。」

本書は家入一真さんが、「ロリポップ!」を立ち上げて、
ペパボの社長になったところから始まります。

以前、当ブログで紹介した『お金が教えてくれること』でも、
ペパボの成功で手に入れた10数億円を、わずか2年で
使い果たしたことが書かれていましたが、本書ではその当時の
家入さんの考えや行動が克明に描かれています。

手に入れた大金を使い果たして転落するところから、
新たな道を模索する家入さんの人間味溢れる半生記。

家入さんが求め続けているのは「居場所」をつくることでした。

カフェを作ったのも、若者たちの駆け込み寺の「リバ邸」を
作ったのも、すべては居場所づくりのためです。

一般の人だと、家庭が居場所になるのかもしれませんが、
そこは家入さんにとって好奇心を刺激する居場所では
なかったようです。

家入さんは、面白いと思ったことは、やらずにはいられない質で、
次から次へと新しいことに興味を持ちます。

その一方で、お金にはとことんルーズで、
お金を管理するという概念がほとんどありません。

だからこそ、普通の人だったら躊躇することでも、
どんどんチャレンジしてけるのでしょう。

シリアルアントレプレナー(連続起業家)と呼ばれるには、
圧倒的な好奇心の強さと、どこか感覚が麻痺した部分を
同時に持ちあわせている必要があるのかもしれません。

家入さんは、都知事だった猪瀬直樹さんの進退が話題になった頃、
いろんな人から、「都知事選出ちゃいなよ」と軽いノリで、
言われることが多くなったそうです。

最初は、「だよねー。公約は何にしようかなー」と、
調子を合わせて返していましたが、次第に本気で都知事選を
意識するようになりました。

そして、2013年12月29日、ツイッターでつぶやきます。

  「都知事選出るか・・・・」

このツイートは大きな反響を呼びます。

ネットでは、政治は変えられないという否定的な意見もあれば、
熱い思いで家入さんを後押しする意見も多く上がりました。

  「僕みたいなダメ人間が政治だなんて、場違いだということも
  自分が一番わかっていた。それでも僕は、自分がこじ開けられる
  かもしれない扉に触れてみたかった。自分が立候補することで、
  次に繋がる何かがあるなら、行動したいと思った。」

家入さんは、再びツイートします。

  「1000RT行ったら立候補」

家入さんがこのメッセージを投稿すると同時にRTが始まり、
わずか30分ほどで1000RTが達成されてしまいました。

そして、家入さんは2014年に東京都知事選挙へ出馬します。

本書に描かれているのは、一般の人が体験できない、
ジェットコースターのような人生ですから、
読み始めると、どんどん引き込まれていきます。

本書は、とにかく面白くて、ちょっと切ない物語です。

この本から何を活かすか?

本書を読んでして、感心するのは秘書の内山さんの健気さです。

子どもがそのまま大人になったような家入さんには、
しっかり面倒を見てくれる秘書の存在が必須。

内山さんは、家入さんの足りない所を補い、
秘書として懸命に支えています。

きっと、本書を読んだ男性読者は、
誰もが内山さんに惚れてしまうことでしょう。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 09:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術


満足度★★★
付箋数:23

  「私が、テレビキャスターやコメンテーターの仕事をする中で
  見つけ出した方法です。話が苦手だと思っている人ほど、
  実はうまくいくコミュニケーション術、
   “アクティブ リスニング” です。」

現在は、経済キャスターとして活躍する谷本有香さんも、
もともと人見知りで引っ込み思案、人付き合いが大の苦手
だったそうです。

それでも、キャスターやコメンテーターとして生き抜いて
いくために、試行錯誤を繰り返して見つけ出したのが、
本書で紹介される「アクティブ リスニング」です。

人前に出ると緊張しやすい人、照れ屋な人、話すのが苦手な人こそ
結果を出せるコミュニケーション術です。

「アクティブ リスニング」と言うぐらいですから、
聞くことを重視する受け身の方法に違いまりませんが、
単に「聞き上手」になるコミュニケーション術とは違います。

聞き上手は、相手に共感して、「いい人」で終わってしまいます。

一方、アクティブ リスニングは、相手に気持ちよく話してもらい、
こちらの考えもさり気なく伝え、信頼関係をつくりながら、
自分の目標を実現します。

アクティブ リスニングには、次の3つのステップがあります。

  ステップ1 準備
   目標確認と情報収集、質問づくりで本番に備えます

  ステップ2 本番
   「傾聴」と「問答」で会話を盛りあげ、目標を目指す

  ステップ3 フォロー
   本番後も関係を深め、次につなげる

コミュニケーションが苦手とか、話し下手だという人は、
実は準備を十分にしていないことが多いと谷本さんは指摘します。

話し下手だからこそ、事前に自分の目標と相手のメリットを考え、
目標に合わせた相手に関する情報を集めて、
質問をつくっておく必要があるのです。

そして、本番では、2つの「聞く」の相乗効果を狙います。

2つの「聞く」とは、相手の話に耳を傾ける「傾聴」と、
相手の答えを引き出す「問答」です。

まずは相手の話に耳を傾け、気持よく話してもらってから、
相手の話の合間、合間に適切な質問や感想を投げかけます。

ここでのポイントは、先に「傾聴」を行い、共感を引き出して、
コミュニケーションをの土台を作ってから、
その上で「問答」をタイミングよく織り交ぜることです。

最後のフォローのステップでは、更に相手との関係を深め、
次につなげて、より大きな結果を出すために行います。

ここでは、スピードが大事です。

フォローをすぐに行わないと、せっかく本番で噛み合っても、
その後のコミュニケーションの広がりや発展が、
期待できなくなってしまうからです。

ほんの小さなフォローでも、すぐに入れることが、
アクティブ リスニングの効果をより大きくします。

  第1章 「アクティブ リスニング」は3つのステップで、うまくいく!
  第2章 「準備のスキル」で、本番を最高の状態で迎える!
  第3章 「本番」では、「傾聴」と「問答」の組み合わせで、
     120%の結果を!
  第4章 「フォロー」で関係をつなぎ、より大きな結果を出す
  第5章 「アクティブ リスニング」を磨くトレーニングと応用法

この本から何を活かすか?

  「ここ一番や重要な相手はバックグラウンドまで調べる」

重要な相手なのに、表面的なことしか知らなければ、
なかなかコミュニケーションを深められません。

ここぞというときは、相手が学校を卒業し、就職した当時の
「経済情勢」がどうだったかを調べるのがいいようです。

なぜなら、卒業時の景気の状況が、その人のキャリアや
職業観を大きく左右するという研究の結果もあり、
実際に世代によってかなり違うからです。

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| コミュニケーション | 09:13 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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あなたはどう見られているのか



満足度★★★
付箋数:22

自分としては、ちょっと意外な結果になりました。

  「マエストロってどんな人?
  マエストロは、生まれながらのリーダーです。
   “権力” のアドバンテージから来る “自信” の言語と、
   “威信” のアドバンテージから来る “卓越” の言語を話します。
  決断力があり、結論に達するのが早く、行動力もあります。
  ミーティングでは、自分の考えや目的を自信たっぷりに伝えます。
  会話では、自分の思いをダイレクトに表現します。
  マエストロはエネルギッシュで社交的なタイプと、
  静かに情熱を燃やすタイプがいますが、どちらにしても、
  意志が強く、ものごとを動かす推進力を備えています。
  大きな目標を達成するだけの “馬力” があり、
  それが仕事において強みとなっています。
  常に“報賞”を意識することで、競争の激しいビジネス環境でも
  優れた成績を収められる人です。」

本書の「魅力アドバンテージ診断テスト」をやってみた結果、
私は「マエストロ」タイプと診断されました。

第1アドバンテージは「権力(POWER)」で、
第2アドバンテージは「威信(PRESTIGE)」、
休止アドバンテージは「情熱(PASSION)」でした。

このタイプの人の力を最大限に引出すには、
「自分は会社に大きく貢献している」と感じさせる必要があり、
評価されるとモチベーションが上がるタイプなので、
明確な報酬システムがあるとやる気を出すと説明されています。

著名人では、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグさんが
このタイプの代表です。

マエストロのキャッチフレーズは、「野心的な結果」。

本書は「人から見た自分の最高の魅力」を知り、
それを最大限に生かすための本です。

魅力をもたらす長所(アドバンテージ)を7つに分類します。

1番の長所(第1アドバンテージ)と2番の長所(第1アドバンテージ)
で、7×7=49のタイプに魅力を分類。

著者は『魅きよせるブランドをつくる7つの条件』で知られる、
サリー・ホッグスヘッドさんです。

本書で紹介される「魅力アドバンテージ・システム」は、
ホッグスヘッドさんが数十年かけて行ってきた調査研究で、
開発当初にこのテストに参加した人は25万人にも登るそうです。

本書では、自分の個性を一言で表す「キャッチフレーズ」を
つくります。

自分の魅力を知るだけでは不十分なので、その核となる長所を
周囲に積極的に伝えて、強みを生かすためのキャッチフレーズです。

キャッチフレーズを考えるところが、コピーライターとして
数々の賞を獲ってきたホッグスヘッドさんならではでしょうか。

  パート1 人の目に、あなたはどう映っているのでしょう?
  パート2 魅力アドバンテージ・システム
  パート3 キャッチフレーズ あなたの個性を伝える宣伝コピー

マーカス・バッキンガムさんの『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう
でやった「ストレングスファインダー」テストとは、
そもそもタイプ分けの方法が違いますが、
また違った結果出てきて興味深かったですね。

この本から何を活かすか?

本書で紹介されている「魅力アドバンテージ診断テスト」は、
WEB上の無料テストです。

ストレングスファインダーのように、本を購入してコードを
手に入れなれけば受けられないテストではありません。

ただ、その診断結果を生かすには、本書を読んだ方がよくわかります。

これが私の診断レポートです。

魅力アドバンテージ診断テスト

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 09:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2%のエース思考



満足度★★★
付箋数:26

あなたが、会社でやるべきことは何でしょうか?

会社勤めをしている人なら、この質問に答えられない人は
いないでしょう。

ほとんどのビジネスパーソンは、やらなければならない
「MUST」の仕事を山のように抱えています。

しかし、このMUSTの仕事しかやっていないと、
仕事をこなすのが精一杯で、やらされ感が生じてしまいます。

次に、あなたが、自分の役割を超えて、もし時間があったら
やった方がいいと思うことは何でしょうか?

こちらは、誰かに言われたわけではありませんが、
会社にとって必要だと、あなたが思うこと。

やろうと思えばできる「CAN」の仕事です。

CANの仕事をやるからといって、MUSTの仕事をやらなくて
いいわけではありませんから、生産性を高めて、
時間を捻出しなければなりません。

MUSTだけの仕事をこなしているときより、ハードになりますが、
自主的に仕事をやっているので、充実感を覚えるはずです。

さらに、もし何も制約がなければ、やりたいこと、
やってみたいことは何でしょうか?

これは、あなたが心からやりたいと思っている
「WILL / WANT TO」の仕事です。

こちらはCANの仕事より、高い視点で考えるので、
難易度は更に上がりますが、本当にやりたい仕事ですから、
考えただけでもワクワクすることでしょう。

WILL / WANT TOの仕事ができるんだったら、
辛いMUSTの仕事もうまくやり繰りできるはず。

  「あなたは、仕事をするときに、MUSTの領域に留まっていないか?
  CANやWILL / WANT TOの領域にはとても手が出せないと
  勝手に決めつけていないか?

  同じ会社で同じ仕事をしていても、辛そう、つまらなそうに
  している人と、楽しそうにしている人とはっきり分かれる。

  エースと言われる人たちは間違いなく、CANやWILL / WANT TO
  の領域に踏み出している人たちだ。」

著者の小杉俊哉さんは、本書でトップ2%に入る「エース」と呼ばれる
人たちの考え方や行動の仕方の基準を明らかにします。

それは一流企業の集団でも、中小企業やベンチャー企業でも
共通するエースの基準です。

一流大学を出て、一流企業に入っても、エースとなる人材は、
2%の割合でしか出現しないようようです。

働きアリをどんな集団に分けても、2割が良く働き、6割が普通に働き、
残り2割が全く働かない状態をになる「働きアリの法則」と同じですね。

学歴や才能に関係なく集団の2%に現れるエースには、
共通した思考があるようです。

では、具体的にエースとはどのような人材なのでしょうか?

小杉さんは、エースを「自律した人材」と定義します。

自律した人は、自分の置かれている環境や結果など、
すべて自分で責を負うという自覚を持って行動している人です。

会社に入ったのも、今の仕事をやっているのも、
現在会社にいるのも、すべて自分で選択した結果と考えて、
上司のせい、会社のせい、社会のせいなどとは考えません。

本書は自律した人材になるための思考を身につける本です。

この本から何を活かすか?

若くしても将来経営幹部になれるか見極められる11の特徴

  1. 学習機会を追求する
  2. 誠実に行動する
  3. 文化の違いに適応する
  4. 変化をもたらすことにかかわりあっていく
  5. 広範囲の事業知識を追求する
  6. 人の最も優れた部分を引き出す
  7. 洞察力がある―新しい視点で物事を考える
  8. リスクを冒す勇気を持つ
  9. フィードバックを求めてそれを利用する
  10. 失敗から学習する
  11. 批判に耳を傾ける

これはモーガン・マッコールさんの『ハイ・フライヤー』に
書かれて特徴として、本書で紹介されていました。

高く飛べる人は、「学習」に関する前向きな特徴を
多く持っているようです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 09:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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伝え方が9割 2



満足度★★★★
付箋数:28

   「夕方のファミリーレストラン。
  その日は、子ども連れのお母さんたちと、サラリーマンの
  お客さまが多数いました。

  店員の斉藤のり子さん(仮名)は困っていました。

  子どもたちが騒ぐのはまだしも、座席から離れて、
  フロアーを走りはじめたのです。

  斉藤さんは、子どもたちのお母さんのところへ行き、
  楽しそうに会話するママ友集団にお願いしました。

   “他のお客さまのご迷惑になるので、お子さまを席に
  つかせていただけませんか?”

  話をやめて、一瞬こちらを見ていたママ友集団。
  でもその後は、まったく何もなかったように学校の先生の
  うわさ話に戻っていきました。」

これは本書に掲載されてた「実践ストーリー」です。

こんな状況がいかにもありそうで、斉藤さんの困った様子が
見に浮かびますね。

この後、斉藤さんは店長に相談します。

すると店長は、ママ友集団のところへ行って一言。

店長の言葉を聞いたママ友集団は、あれだけ無視を決めていたのに、
態度を一変させ、子どもたちを席に連れ戻しました。

果たして、店長はどのように注意したのでしょうか?

ここで大切なのは、思ったことをそのままコトバにしないことです。

一旦、あなたのお願いに対して、相手はどう考えるか、
ふだん相手は何を考えているかを想像します。

そして、コトバにするときは、相手のメリットと一致する
お願いをつくります。

店長は、斉藤さんがストレートにお願いした時の
ママ友集団の反応を聞いて、相手の頭の中を想像しました。

  「ファミレスなのだから少々騒いだっていいでしょ」

それと同時に、母親なら当然思っている心理も想像しました。

  「子どもにはケガをさせたくない」

母親なら誰だって、大切な我が子をケガをさせるような
事態を避けたいと思っているはずです。

そこで店側とママ友集団のメリットを一致させた一言。

  「熱々の料理を運んでおります。ぶつかってこぼすと、
  お子さまに大変なやけどをさせてしまいます。
  席に戻るようお伝えいただけませんか?」

この言葉を聞いた、ママ友集団はお互いに目を合わせて、
子どもを席に呼びつけたり、迎えに行きました。

本書は伝え方を少し変えるだけで、イエスをもらう可能性を
大きくアップさせる本です。

著者はコピーライターの佐々木圭一さん。
ベストセラーになった『伝え方が9割』の第2弾です。

前著では「イエスに変える7つの切り口」と
「強いコトバをつくる8つの技術」が公開されていましたが、
本書では新たに3つの技術が加わりました。

内容は、「伝え方のレシピ」を披露するだけでなく、
身につけて即使えるように、次の3つが用意されています。

  1. 記憶に定着する! 「実践ストーリー」
  2. 読むだけで練習になる! 「アウトプット型構成」
  3. 実際の講演を体験できる! 「実況中継」

個人的には、3つ目の「実況中継」のパートが
一緒に考えることができて、よかったですね。

パート1を読んでいない方が、パート2だけを読んでも
理解できるように配慮されていますから、
こちらを先に、あるいは、こちらだけを読んでも大丈夫です。

この本から何を活かすか?

  「好きだ、気がおかしくなるほど惚れている」

これは『花より男子』の道明寺司が、つくしに言ったセリフ。

このように人間味があって、人を惹きつけるコトバを
つくることができるのが「赤裸々法」のレシピです。

心の中から湧いてきたり、天から降ってくるのではありません。

自分のカラダに起こっていることを観察して、
あえてコトバにしてつくるのです。

例えば、おいしいものを食べた時、カラダの変化に注目します。

  頭の中は? → 真っ白になる

だから「頭の中が真っ白になるくらい、おいしい」と表現します。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 06:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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残念なエリート



満足度★★★
付箋数:26

あなたが、4人家族だったとします。

スーパーで売られているアジの開きを買う場合、
次のどちらの買いますか?

  A) 1枚120円で売られているのを4人分、480円で買う
  B) 5枚で500円で売られているセットを買う

家族は4人ですから、本当は4枚あれば足りますが、
1枚あたりの単価がBの方が安いので、セットで買う人が
多いのではないでしょうか。

ここで大切なのは、AとBのどちらの買い方が合理的か?
という話ではありません。

むしろ、その2択思考に陥らないようにしなければなりません。

「4枚しか必要ないのに、なぜ5枚買うんですか!」と
批判する人は残念なビジネスパーソン。

ビジネスで成功する人は、次のように考えます。

家族の誰かが過剰な1枚を多く消費することになっても、
1枚あたりの単価が安ので、5枚セットで買いたくなるのが顧客心理。

だからセット販売したほうが、売上は上がる。

更に、必要な枚数より多く買ってしまった場合、
余った分は冷蔵庫で保存する必要がある。

アジの開きに限らず、こういった購買方法が積み重なっていくと、
どんどん大きな冷蔵庫が必要になってくる。

だから、自分自身は必要な枚数しか買わないけれど、
5枚で500円のアジの開きを買ってしまう人の心理を認め、
大きな冷蔵庫を高い値段で売ることを考える。

本書で山崎将志さんが指摘する、残念なエリートとは、
学力が高いので正しい分析はできるけれども結果が悲観的。

そして人間に対する興味が薄く、心理に関する理解が乏しいので、
それをビジネスに結びつけて考えられない人を指します。

本書では、実際にビジネスで成功した人の考え方として、
家具のニトリ創業者、似鳥昭雄さんのエピソードが
紹介されていました。

似鳥さんが家具のディスカウントストアを立ち上げた当初は、
小さな店でしたが、順調に売上を伸ばしていきました。

しかし、近所に大型家具店がでくると、
急に売れなくなり、資金繰りが一気に悪化したそうです。

金融機関からも融資をストップされ、店は倒産寸前の状態で、
似鳥さんは死ぬことばかりを考えていました。

そんな中、米国の家具店を視察するツアーの話しがありました。

似鳥さんは、藁にもすがる思いで、同業者50人と一緒に視察に行きます。

米国に行ってみると、当時、日本で当たり前のようにあった、
箱物家具がなく、クローゼットに組み込まれていることに
視察団全員が驚きました。

米国での家具は部屋にコーディネートされていて美しい。
しかも、価格は日本の3分の1。

参加者の多くは、家の作りからして違うことで、
「米国と日本は違う世界だね」と言って、
ただ見学するだけで視察を終えました。

似鳥さんは、「同じ人間がやっているんだ。
日本人も便利さや安さをいま以上に求めるはず」と考えて、
気の合った仲間と、米国風に真似することを話し合いました。

しかし、本当にそれを実行に移したのは、
似鳥さんただ一人だったそうです。

冒頭のアジの開きで言うなら、顧客心理を考えて大型冷蔵庫まで
実際に売ったのは、似鳥さん1人だけだったということです。

本書は山崎がテーマとしている「残念な人」シリーズの一冊。

残念な思考を指摘するだけでなく、視点を上げてメタ思考で
考えるためのヒントやエピソードが紹介されています。

この本から何を活かすか?

  GDPが一定なのにホントに賃金が増えるのか

就業年数に伴って、賃金が増えていくのが当然と
考えている人も多くいます。

しかし、経済のパイであるGDPがほぼ一定なので、
賃金が上がっていくのは幻想に過ぎないと
山崎さんは指摘します。

パイの大きさが変わらなければ、誰かが多く取れば、
他の誰かの取り分が少なくなるという構造です。

やはり、GDPから考えても年功序列の賃金モデルは、
既に崩壊しているということですね。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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プレゼンは「目線」で決まる



満足度★★★★★
付箋数:31

とてつもなく実用性の高い本と出会いました。

ダイヤモンド社の藤田さんから献本いただいた本ですが、
この内容なら100%自腹で買っていたと思います。

本書は、マイクロソフト社のエバンジェリスト、
西脇資哲さんが独自の「プレゼン」メソッドを明かす本です。

私は読み終わった本は、置き場所に困るので、
大概は売ってしまうことが多いのですが、
本書は間違いなく手元に置いておきます。

と言うより、お世話になった人には買って配ろうと思います。

さて、プレゼンの「目的」とは、一体、何でしょうか?

それは、分かりやすく伝えることではありません。
プレゼンの目的は、「相手を動かす」こと。

いくらカッコイイ資料を作っても、滑らかに話すことができても、
相手を動かすことができなければ、プレゼンとしては失敗です。

このゴールを見誤ると、いくらテクニックを磨いても、
結果の出ない、残念なプレゼンになってしまいます。

では、どのようにしてプレゼンで、相手の心を動かすのか?

  「実は、相手の “目線” を動かすことこそが、相手の “心” を
  動かすための “最短ルート” でもあるのです。」

本書では冒頭で、小学生のデキる子とデキない子の違いを
例として挙げ、説明しています。

  「授業中によそ見をするな!」

よく私も小学生の時に言われました。

デキる子とデキない子の決定的な違いは、
「よそ見」をするかどうかの違いです。

もちろん、今の時代は小学生でも塾に行って
一生懸命勉強している子はたくさんいますから、
勉強量の差が学力の差になっているのは事実です。

しかし、そういった勉強時間や環境の違いを除くと、
見ているか、見ていないかが、理解度に大きく影響します。

これは「相手の目が見ていないもの」について伝えても、
99.9%理解されないことを意味します。

ですから、西脇さんのプレゼンは「視線誘導」を重視します。

ただし、プレゼンでの視線誘導は、スライドの作り方だけを
工夫すればいいという訳ではありません。

  「プレゼンは “1.スライド”  “2.シナリオ”  “3.トーク” という
  3つの要素から構成されています。これらの3つの歯車が
  うまくかみ合ったとき、相手を動かすプレゼンが成立するのです。
  そして、この3つそれぞれに“視線誘導”を組み込む余地があります。」

本書では、西脇さんに視線誘導の実体験をさせられるところから
スタートして、「スライド」、「シナリオ」、「トーク」の順で
計77のメソッドが解説されます。

本書の目的は「相手を動かす」ことですから、
プロジェクターにスライドを映し出し、大勢の聴衆に向かって
話すようなプレゼンだけを対象としていません。

上司への報告から、会議での発言、お客さんへのセールス、
そしてプライベートまで、相手を動かしたい時、
すべてにおいて使えるテクニックです。

西脇さんの著書では、当ブログで過去に紹介した
エバンジェリストの仕事術』よりも、一般に広く使える
濃い内容の本だと思います。

この本から何を活かすか?

  ジャパネットたかた式「驚異の3型ハイブリット」ストーリー

本書では、ジャパネットたかた前社長・高田明さんの
プレゼンシナリオが分析されていました。

再現されていたのは、「手ぶれ補正機能付きのデジカメ」の
セールストーク例。

高田さんのトークには「ほしい!」と思わせる
3つのストーリーが巧みに組み込まれていました。

  ・リスクを伝えてデマンドを生む「ホラーストーリー」
  ・希少性の提案でデマンドを生む「レアストーリー」
  ・提案の魅力でデマンドを生む「サクセスストーリー」

エバンジェリストである西脇さんでも、こういった分析を重ね、
更に向上を目指しているところがスゴイですね。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 06:48 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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人は、誰もが「多重人格」



満足度★★★
付箋数:22

  「人は誰もが、心の中に “いくつもの人格” を持った
   “多重人格” です。しかし、通常は、仕事や生活の状況や
  場面に合わせて、その “多重人格” の中から、ある人格を選び、
  働き、生活しています。しかし、自分の中に隠れている
   “幾つもの人格” に気がづき、それらに光を当て、意識的に育て、
  状況や場面に応じて適切な人格で処することを覚えるならば、
  自然に “幾つもの才能” が開花していきます。
  それゆえ、自分の中に眠る “幾つもの才能” を開花させたいと
  思うならば、自分が意識していなかった “幾つもの人格” に
  気がつき、その “多重人格のマネジメント” を行うことが不可欠です。
   “多重人格のマネジメント” を行うことによって、
   “多彩な才能” が開花していきます。」

本書は田坂広志さんがある講演会でこのように語ったところ、
書籍編集の仕事に携わる田坂塾の塾生の方から、
「多重人格のマネジメントと才能開花」について対話形式で
書籍を上梓したいと提案があったそうです。

それが実現したのが、対話形式で書かれた本書です。

田坂さんは、今まで対話形式で本を執筆したことがないようですが、
いつも自問自答を繰り返し、テーマを深く掘り下げる本を
書いていますから、対話形式になっても、あまり違和感はありません。

自ら問いを発する代わりに、対談相手が質問をしてます。

人を相手に語っているので、冗談や笑いも交え柔らかい雰囲気が
伝わってくるところが、他の著書との違いでしょうか。

田坂さんは、「才能の本質は人格である」と語ります。

例えば、営業の仕事では、顧客の気持ちをその言葉や表情から
感じ取れる細やかな人格が才能を支えます。

企画の仕事では、創造的なアイディアをメンバーから引き出すために、
包容力ある温かい人格が才能を支えます。

ですから、それぞれの仕事において、必要な人格を育てることが、
才能を育てることにつながるのです。

そして、1つの仕事においても必要な才能は1つだけではないので、
自分の中に「何人もの人格」がいて、状況に応じて、
「最も適切な人格」が前に出るようにするのが、
多重人格のマネジメントです。

人は誰しも心の中に幾つもの人格を持っているので、
そのマネジメントを適切に行えば、日常の仕事や生活において、
隠れていた才能を開花させることができるというのが、
田坂さんの考えです。

本書では、隠れた人格には3つのレベルがあると
説明されています。

第1は、「表層人格」で、これはある状況では隠れていますが、
他の状況では、既に表に出ている人格です。

第2は、「深層人格」で、現在は隠れていて表に出てきていない
人格で、これが置かれている状況が変わったり、意識的な努力で
自分の中に育ち、表に出てくる人格です。

第3は、「抑圧人格」で、何かの理由で、強く抑圧されて、
心の奥底に抑え込まれ、なかなか表には出てこない人格です。

これはいわゆるトラウマと言うやつですね。

それぞれのレベルの人格を開花させるには、
幾つかの異なる技法が必要であると説明されています。

例えば、深層人格を開花させるには、「優れたプロフェッショナルを
師匠として、その師匠から人格を学ぶ技法」や、
「自分の中の隠れた人格が開花する仕事を選ぶ技法」や
「日常とは違う場で表れる日常とは違う人格を体験する技法」の
3つが紹介されていました。

この本から何を活かすか?

本書では「豊かな人間像を開花させる」方法として、
「映画」を見ることが勧められていました。

優れた原作や脚本、役者の演技、監督の演出が揃っていて、
登場人物の「人間」をリアルに描いた映画を選ぶ。

そして、名優が演じる登場人物に深く感情移入し、共感し、
「自分がこの状況だったら」、「自分がこの登場人物だったら」と
考えながら見ると、自分の中の別人格を発見できて、
豊かな人間像を育てることができるようです。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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あえて、レールから外れる。逆転の仕事論



満足度★★★
付箋数:18

本書は堀江貴文さんが書いた本ではありません。

そう言うと、ゴーストライターが書いたのかと思われる方が、
いるかもしれませんが、そういう意味ではなく、
純粋に本書の主役は堀江さんではないということです。

本書は堀江さんと親交のある8人のイノベーターが、
それぞれに仕事論を語る本です。

8人のイノベーターとは、書道家の武田双雲さん、
元週刊モーニングの編集者だった佐渡島航平さん、
kawaiiカルチャーの第一人者の増田セバスチャンさん、
芸人ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん、
YouTuber兼ヒューマンビートボクサーのHIKAKINさん、
@ほぉ~むカフェの創業者で実業家の小田吉男さん、
俳優からクリエイティブの場に活動を広げる小橋賢児さん、
オタキングこと評論家の岡田斗司夫さんです。

本書での堀江さんの役割は、ナビゲーターといったところ。

各人のページでは、最初に5~6行のプロフィール、
次にポイントを3点にまとめ、イノベーターが仕事論を語り、
堀江さんが解説を加え、最後にもう一度まとめを掲載する
構成となっています。

  「誰もが “引き受け” てばかりで、自ら “作る” ことを
  軽視したり、疎んじてきたツケが昨今の日本社会の閉塞感の
  遠因のひとつではないかと思う。
  本著では、グローバル社会にいち早く適応して、
  決められたレールから、あえて外れ《仕事を作る人》
  になった方々を取り上げた。仕事を “引き受ける” のではなく、
  自らお金を稼ぎ出す方法論や実践法を見つけ出そうとする、
  グローバル時代のプロフェッショナルだ。
  彼らは自らの活躍するフィールドでイノベーティブな仕事を
  しているので、イノベーターと呼ぶことにする。」

また、8人のイノベーターに共通する働き方を、
堀江さんは以下の「共通のメソッド」としてまとめます。

  ・目標から逆算はせず、今だけに集中する。
  ・常識にとらわれず、まっさらな目で見る。
  ・遊びと仕事の境目をなくす。
  ・皮膚感覚で違和感を感じる仕事は捨てる。
  ・失敗を恐れず、ひとつの場所に固執しない。

本書で、岡田斗司夫さんに仕事論を語ってもらう上で、
避けて通れなかったのが、「愛人80人リスト問題」です。

岡田さんご本人もこの点について、「新しい家族の形」として
語っていますが、ここでは堀江さんの解説文を紹介しましょう。

  「今回の “新しい家族の形” には正直驚いた。
  愛人が複数いてマネージメントしていることは聞いていた。
  今回はそれに失敗して大炎上したわけだが、
  いまいる8人の愛人はみんな自分を支持してくれるのだという。
  私なんかは複数の彼女がいたとしてもわざわざディスクローズ
  することはないんじゃないか、と思うのだが、
  これは彼なりの実験のひとつなのだろうか。」

岡田さんと比べてしまうと、堀江さんもスゴイ常識人に
見えてしまいますね。

本書はイノベーター8人がそれぞれ個性があって興味深い本ですが、
解説は特に堀江さんでなくてもよかったような気がします。

この本から何を活かすか?

堀江さん自身が語る仕事論は、YouTube映像で、
「平成26年度近畿大学卒業式」のメッセージをご覧ください。

堀江さんを卒業式に呼ぶことには、賛否両論あったと思います。

それをやる近畿大学も「あえて、レールから外れる」ことを
実践しているのでしょう。



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| 仕事論 | 06:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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イノベーション・ファシリテーター



満足度★★★
付箋数:24

ファシリテーションやファシリテーターという言葉が、
以前より一般的に使われるようになりました。

グループによる活動が円滑に行われるように支援するのが、
ファシリテーションで、その場の進行役がファシリテーターです。

では、普通のファシリテーターと、本書のタイトルになっている
「イノベーション・ファシリテーター」とは何か違うのでしょうか?

  「ファシリテーターとイノベーション・ファシリテーターの違い。
  それは、 “場の進行をサポートする” のがファシリテーターで、
   “イノベーションの道筋を描く” のが
  イノベーション・ファシリテーターの役割だということです。
  どちらがいいということではなく、両者は似て非なるものなのです。」

ファシリテーターとイノベーション・ファシリテーターは
その目的が違います。

ファシリテーターは、会議の進行を担い、参加者一人ひとりの
意見をホワイトボードに書き出し、場が混乱しないように
調整しながら合意形成に導くことが目的です。

一方、イノベーション・ファシリテーターは、会議の進行役とは
異なるスタンスを持つため、合意形成が目的ではありません。

達成したい社会的な課題に対して、課題の当事者と関係者たちの
関係に変容を生み出していくことが目的です。

イノベーション・ファシリテーターが変容を生み出すために、
大切なのは「実践」よりも「思想」のようです。

また、本書では課題の当事者と関係者のことを
「ステークホルダー」と呼びます。

あともう一つ、本書では聞き慣れない言葉が登場します。

  「イノベーション・ファシリテーターは、イノベーションを
  起こすために、ステークホルダーを集めたフューチャーセッション
  を開きます。」

ここで出てきたフューチャーセッションとは、
「未来に向けた問いかけがあり、それに呼応して集まった
多様な参加者が、対話を通じて相互理解と信頼関係を築き、
新たな関係性と新たなアイディアを同時に生み出し、
協調してアクションを起こしていく場」と定義されています。

平たく言うと、対話によってイノベーションのきっかけを作る、
未来へ向けた会議のことです。

本書の著者、野村恭彦さんは、イノベーション・ファシリテーターと
フューチャーセッションの生みの親です。

1年に80以上のフューチャーセッションの設計とファシリテーション
を行い、社会的問題を解決してきました。

本書では、どのようにしてイノベーション・ファシリテーターに
なるのか、どうやってフューチャーセッションの場をつくるのか、
その前後を詳しく解説します。

ちなみに、フューチャーセッションの事前準備は通常2ヶ月かかり、
フォローは1ヶ月かかるので、1度のセッションは3ヶ月かかる
仕事のようです。

  第1部 イノベーション・ファシリテーターの思想
   第1章 フューチャーセッションを開くまえに
   第2章 問いを立てる
   第3章 ゴールを見つめる
   第4章 関係性を生み出す
   第5章 参加者一人ひとりを主人公にする
   第6章 集まった人たちならではの意見をつくる
   第7章 デザイン思考と未来志向
   第8章 関係性のつなぎ直しで課題解決
  第2部 フューチャーセッションの実践
  第3部 不安、疑問に答えるQ&A

この本から何を活かすか?

本書の「まえがき」は神田昌典さんが書いています。

その中で、フューチャーセッションで商店街を活性化する
ドキュメンタリー映画が作られていると紹介されていました。

その映画が、恐らくこちらです。



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| 会議術・ファシリテーション | 06:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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シゴトタビ 日経ビジネス タイ



満足度★★★★
付箋数:17

日経ビジネス編集部から献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、重要な取引先の接待をセッティングするよう、
命じられました。

接待の成功の鍵を握るのは、店選びです。

先方の好みの料理やアルコールが揃っていて、
望んでいそうな環境の店を選ばなければなりません。

失敗できない接待なら、事前にその店に行って、
本当に大丈夫かチェックしてみる必要もあります。

手土産も用意して、2次会もセッティングしておく
場合もあるでしょう。

しかし、その接待があなたがこれから出張する
「バンコク」で行われるとしたらどうでしょうか?

日本でセッティングするのとは、勝手が全然違います。

インターネットで調べても、ピンポイントな情報は
なかなか検索で出てきません。

ガイドブックを探しても、旅行者向けの観光情報ばかりで、
本当にビジネスで使えるかどうか判断できません。

これまで海外出張を命じられて、必要な現地情報が
手に入らず、頭を抱えていたビジネスパーソンも多かった。

本書はそんな海外出張者の切実な声から生まれた、
日経ビジネス【シゴトタビ】シリーズ第2弾。

第1弾の「インドネシア編」に続き刊行された「タイ編」です。

バンコク出張者の強い味方となる一冊。

バンコクに出張者だけを読者に想定して、
裏を取った情報が掲載されていますから、
現地でコーディネーターを雇うよりも心強いかもしれません。

私がタイへの出張を命じられたら、
一も二もなく、本書を持っていきますね。

現地情報の収集は、株式会社TNCが運営する海外在住日本人
ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」が担当します。

タイ在住のリサーチャーが足で稼いだ生の情報が満載。

タイは日系企業の進出も多いので、本書を必要としている人は
結構多いことでしょう。

ちなみに、取引先のタイ人への手土産は、
日本のデパ地下の洋菓子がお薦めのようです。

日本のデパ地下の洋菓子は洗練されていて、
タイにはないので、非常に喜ばれるようです。

また、タイ人のスタッフには抹茶味のキットカットやポッキーが定番。

  序章 
   タイの基本情報や統計データ、注目の開発プロジェクトなど
  1章 基本
   バンコク主要エリアの紹介、空港からの賢い移動方法、
   ホテル選び、渋滞を回避する方法など
  2章 知る
   コンビニやショッピングモール情報、昔ながらの市場、
   タイ発のローカルブランド、お薦め視察のポイントなど
  3章 おもてなし
   取引先や上司との食事にうってつけのレストラン、
   部下や同僚と行くカジュアルなレストラン、
   出張の疲れを癒やすリラクゼーションスポットなど
  4章 学ぶ
   食、IT、マネー、交通、健康、教育、旅行、恋愛など
   タイ人のライフスタイルと最新のトレンド

この本から何を活かすか?

私がタイに行ったのは、今から15年以上前のことです。
宿泊したのは、バックパッカーの聖地「カオサン通り」でした。

しかし、本書によると、近年はバックパッカーの姿は減り、
見物客や夜の遊び場として訪れるタイの富裕層の若者たちが
増えているようです。

また、ここ数年は日系コンビニの出店がタイ国内で加速。

至るところにセブン-イレブンがあり、日本に次ぐ世界2位の
店舗数を誇っているようです。

最近は、海外に行ってもコンビニのお世話になる機会が増えましたね。

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| 旅行・アウトドア | 06:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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失敗のしようがない 華僑の起業ノート



満足度★★★
付箋数:21

あなたは、友人や親戚にお金を借りれますか?

親ならともかく、友人や親戚となると、
お金を借りづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。

  「日本人は人からお金借りるのに抵抗あるけど、
  中国の若い人は自分を試したいからどんどんお金を借ります。
  人から借りられることも能力なんです。」

これは本書の著者、大城太さんが師匠から教わった知恵。

実際に大城さんも起業する時には、
親戚に頼んでお金を出してもらったそうです。

また、せっかくの友情にヒビが入るかもしれないので、
友人とはお金の貸し借りをしないと、決めている人も
日本人には多いかもしれません。

しかし、大城さんは一般的な日本人とは違う考えを示します。

  「いざという時に助け合わないのは、お互いに信用していないと
  いうことではないでしょうか。私は身近な人からも
  お金を借りなれない人は絶対に本人に問題があると考えています。
  借りられないのは自分の信用がない、自分が認められていない
  証拠です。」

本書で大城さんが公開するのは「華僑流の成功術」です。

大城さんは起業する前、ある大物の華僑に弟子入りして、
華僑流のビジネス、華僑流のお金儲けのノウハウを学びました。

その時に師匠から教わった極意を「起業ノート」として、
日々綴っていたそうですが、本書はそのメモの抜粋です。

ところで、大城さんが華僑に弟子入りしていたと言うと、
決まって「なぜ華僑なのか?」と聞かれるそうです。

答えは単純で、「お金儲けが上手いから」です。

こう答えると「なぜユダヤ人ではなく華僑なのか?」
と続けて質問されるそうです。

この答えもシンプルで「自分と同じ東洋人だから」です。

世界の経済界における影響力では、ユダヤ人の方が
大きな力を持っているかもしれません。

しかし、ユダヤ人は迫害された歴史があってもなお、
経済界において白人であることのメリットは享受しています。

これに対して、華僑は白人のメリットを享受できない
にもかかわらず、成功をおさめています。

白人でない大城さんは、ユダヤ人の教えを受けて真似しても、
同じ結果が得られないと判断して、華僑に弟子入りした
という訳です。

ところで、華僑とは海外に移住した漢民族とその子孫ですが、
中国人とはどのように違うのでしょうか?

本書では、その違いを示すたとえ話が紹介されてます。

  「学校のクラスで学級委員を選ぶ時、自分がなりたいとしますね。
  日本人は選ばれるのを待つ、韓国人は力で制する、
  中国人は賄賂を使う。まあ極端ですけど、国民性の違いですね。
  じゃあ華僑は? 華僑はどれでもない。
  自分より明らかに能力劣る人を推薦するんです。
  彼は優しいとか能力意外をいっぱい褒めて。
  それで結果的に自分が学級委員に選ばれるんです。」

海外に移住して現地に根づいて商売をする華僑は、
中国人と違って現地の人々とのトラブルを避けます。

お金儲けをするという目的を達することが最優先なので、
自分から攻撃はせず、相手からも攻撃されないように
細心の注意を払って「守り」に徹するようです。

本書では、欧米流のビジネス書とはまた違った
ビジネスで成功するためのノウハウが語られています。

この本から何を活かすか?

  華僑流・大城式「トライアングル経営」

本書で説明される「トライアングル経営」では、
「アイディアを出す人」、「お金を出す人」、「作業をする人」
が兼任せず、役割分担を徹底することが説明されています。

この3つの役割で兼任があると、ビジネスが小さくなったり、
短命で終わったり、成長が遅れるなどの障害が起こるようです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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明日のプランニング



満足度★★★
付箋数:21

あなたは、「ゼダバイト」という単位を聞いたことがありますか?

キロバイトから始まって、メガバイト、ギガバイト、テラバイト、
ペタバイト、エクサバイトと続き、その次がゼダバイトです。

ゼダバイト(ZB)=2の70乗バイト

2010年、世界に流れる情報量はついにゼダバイトの時代に
突入したようです。

更に、2016年には「ひと月」あたりのインターネットの
モバイルトラフィック量が1.3ゼダバイトになると予想されています。

ここまで急激に情報量が増えているのは、
スマートフォンの普及によるものでしょう。

1ゼダバイトとは、「世界中の砂浜の砂の数」と
同じくらいの数のようです。

1つの砂浜にある砂の数だって、気の遠くなるような数ですが、
それが世界中の砂浜の砂の数ですから、
まさに無限とも言える情報量です。

つまり、私たちがが広告や宣伝などで伝えたい情報があっても、
それは生活者にとっては「砂の一粒」程度の情報に過ぎない
ということです。

この情報が過剰な現代を、本書の著者の佐藤尚之さんは、
「情報 “砂の一粒” 時代」と表現しています。

このように書くと、ほとんどの人がネットにつながり、
テレビや新聞などの従来のメディアは過去のものに
なってしまったような感覚に陥ってしまいます。

しかし、佐藤さんは次のような数値を示しています。

  ネットを毎日は利用していない人:約5670万人
  検索を日常的に利用していない人:約6000万~7000万人
  ソーシャルメディアを利用していない人:約7000万人

  「こんなにいるのである。
  世はネット上のマーケティングが全盛になってきているが、
  ネットにあまり触れていない人たちが、
  ざっと国民の半分くらいいるのである。
  国民の半分くらいが “砂一時代『以前』” の情報環境なのだ。」

佐藤さんは、プランニングを「砂一時代の生活者」と
「砂一時代以前の生活者」に切り分ける必要があると説明します。

  「あなたが伝えたい相手が “砂一時代の生活者”
  (主にアーリーアダプター)であれば、そこに最適化したプランを
  作らないといけないし、それが “砂一時代以前の生活者”
  (主にレイトマジョリティ)であれば、そのやり方は通用せず、
  まったく違うやり方をしないといけないだろう。」

本書のゴールは、情報を必要とする生活者に伝えて、
喜んでもらうことです。

言い換えると、「伝えたい相手の笑顔」を目指します。

しかし、スタート地点では、「砂一時代の生活者」と
「砂一時代以前の生活者」に分けてリーチする必要があるのです。

  第1章 「情報 “砂の一粒” 時代」がやってきた
  第2章 忘れちゃいけない!
     情報 “砂の一粒” 時代「以前」を生きる生活者たち
  第3章 友人知人という最強メディア
  第4章 ファンベースとマスベース
  第5章 ファンにアプローチする3つの方法
  第6章 ファンからオーガニックな言葉を引き出す7つの方法

本書は、『明日の広告』、『明日のコミュニケーション』に続く
シリーズ第3弾です。

佐藤さんは本書で、伝わらない時代に、
「伝えたい相手を笑顔」にする方法論を示します。

この本から何を活かすか?

本書では、友人知人からの本音の言葉、自然な言葉、
心からの言葉を「オーガニックリーチ」と呼んでいます。

例えば、競馬に興味のないA君にテレビでタレントさんが
「競馬って楽しいよ!」と訴えても、情報過多の時代には、
スルーされてしまいます。

ところが、友人のZ君が「おい、競馬行かない? 面白いぜ。
一緒に行こうよ。どう、今度の日曜日!」と誘うと、
A君は競馬自体には共感しなくても、
Z君という友人に共感することで、情報が伝わるのです。

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| 広告・PR | 06:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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チームの力



満足度★★★★
付箋数:24

私たちは、この社会で生きていく上で、
様々な「理不尽」なことを経験します。

その「理不尽」をもたらす原因は、一体何なのでしょうか?

特定の個人が、理不尽の起因となることは、
それほど多くありません。

実は私たちが毎日暮らす上で感じる理不尽の9割は、
「組織」がもたらすものなのです。

組織は作られてから時間が経つと大きくなり、複雑怪奇化します。

既得権益が発生し、次第にコントロールできなくなり、
目指していた目的から外れ、保身や延命が目的となります。

  「怪物と化した組織では、人はひとりの人間である前に
   “組織人” という名の僕となり、本質は失われ、誰がどう考えても
  おかしい理不尽がまかり通ることになるのだ。」

本書の著者、西條剛央さんは理不尽の発生源となる組織を
「巨人」になぞらえています。

巨人とは、諫山創さんが別冊少年マガジンに連載している
ダークファンタジー漫画『進撃の巨人』に登場する巨人のこと。

『進撃の巨人』はアニメ化、映画化もされ、コミック累計発行部数
4000万部を超える大ヒットとなりました。

  「すべての組織は人間でできている。
  巨大化し、ときに暴走し、人間を食い物にするようになる。
  巨人は侵攻を阻む壁を壊し、人々の暮らしを脅かすきっかけを
  作った超大型巨人は、さながら日本政府といったところか。
  巨人は圧倒的パワーのみならず、高い再生能力を持っている。
  知能は低く、その表情は、笑顔なら笑顔といったように、
  特定の表情に固定化されたなんとも不気味な顔をしている。」

巨人化しない組織を作るために、本書は構造構成主義の観点から
「チーム」を論じます。

構造構成主義とは、物事の本質からなる原理を把握する学問で、
価値の原理、方法の原理、人間の原理といった
原理群からなる体系のようです。

この構造構成主義を使って、西條さんが東日本大震災のときに
立ち上げたのが、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」です。

西条さんは、ボランティア未経験ながら、「ふんばろう」を
3000人以上からなる日本最大規模の総合支援プロジェクトに発展させ、
既存の組織や団体が果たせなかった大規模支援を実現しました。

本書では「ふんばろう」を1つの題材として、
西條さん独自のメタ理論である構造構成主義を用いて、
「チーム」による新しい組織論を解説します。

  序章 『進撃の巨人』の “巨人” とは何か
  第1章 なぜ未曾有のチームができたのか
  第2章 どんなチームを作るのか ― 「価値の原理」
  第3章 ぶれないチーム運営 ― 「方法の原理」
  第4章 機能するチームとは ― 「人間の原理」

チーム作りから、リーダーシップ論、戦略の立て方、
モチベーションを引き出す極意、トラブル解消法など、
チームの力を最大限に伸ばすための原理が語られています。

具体的なチーム作りの方法というより、
なぜそうすべきかに力点を置いて解説されていますね。

一度作られた組織は、存続するこがその組織のDNAに
組み込まれてしまいます。

西條さんが説くのは、組織を腐敗したゾンビ化させることなく、
いきいきとした「チーム」として存続させる方法論です。

この本から何を活かすか?

これから『進撃の巨人』を読む方は注意してください。
本書にはネタバレがあります。

本書の冒頭では、組織論的な観点からこの漫画の
ヒットの秘密を分析しています。

詳細に分析されているので、本書を普通に読んでいくと、
物語のキーになるプロットがわかってしまいます。

私は『進撃の巨人』の1巻だけ読んでいて、
そのうち続きを読もうと思っていたので、
本書のこの部分だけは読みとばすべきでしたね。

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| 組織・社内教育・コーチング | 06:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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わたしが神さまから教わった成功するビジネスパーソンの新流儀



満足度:評価せず
付箋数:16

タイトルの「わたしが神さまから教わった」というのは、
「神さまのような人」から教わったという比喩表現かと思いましたが、
どうやら本当に神さまから教わっているようです。

  「わたしが神さまとお話できるようになったのは、
  いまから26年前のことです。最初は、単語だけの会話でしたが、
  子どもがことばを覚えるように、わたしと神さまの会話も、
  時には、冗談も入り、そうかと思えば、哲学的な話に
  なることもあり、ずいぶん高度(笑)になりました。」

私は著者の井内由佳さんのことを何も知らず、注文しましたが、
本書は「ビジネス・スピリチュアル本」でした。

井内さんのプロフィールには、鎌倉で生涯の師と出会い、
25歳で神さまからのお告げが降りるようになったと書かれています。

1991年からいろいろな人の相談に乗るようになり、
現在は福岡と東京を中心に講演を行っているそうです。

インターネットで調べてみると、井内さんが鎌倉で出会ったのは、
富士和教会という新興宗教で、師というのはその会の指導者の
戸村和男さんという方のようです。

井内さんは、神さまと話ができるスピリチュアル能力で、
多くのビジネスパーソンからも相談を受けるようになりました。

本書は、その相談者の中でも、優秀なエグゼクティブや、
成功者に共通する考え方や生き方の流儀を、
井内さんがまとめた本です。

基本的に、井内さんと交流のある成功者の考え方を紹介し、
その間にちょいちょい神さまの教えを挟むという構成です。

  「頭角を現したビジネスパーソンはみんな結果にとことん
  拘るのです。 “結果が出なかった” ことに、反省点や改善点を
  見つけられないまま、次に進むようなことはしないのです。
  (中略)
  神さまも “仕事は、とことん結果に拘りなさい” と
  おっしゃいます。結果に拘るから、その仕事に集中し、
  また集中するからこそ、いいアイディアが浮かび、
  結果が出るということになっていくのです。」

井内さんと話をする神さまは、かなり現実的で、
このような一般的な仕事のアドバイスをするだけでなく、
テレビを見て芸能人の話なんかもするようです。

  「10年くらい前、テレビでは俳優の陣内孝則さんが
  引っぱりだこでした。その年の暮れにテレビを観ていたときに、
  神さまが、 “彼は、人にごちそうしたり、プレゼントしたり
  することが好きなんですよ。だから、こんなにたくさんの仕事が
  あるんですよ” と教えてくれたのです。」

神さまと話ができるというのも、会話の途中で突然出ると
ドン引きしてしまいますが、井内さんのように最初からオープンにし、
その能力を商売にする方がスッキリしますね。

それが嫌いな人は最初から寄ってきませんし、
スピリチュアルが好きだったり、何かにすがりたい人には
良いアイコンになりますから。

本書の流儀は、神さまが途中に出てくるからといって、
突飛なものではなく、一般のビジネス常識で考えても
十分に納得できるものです。

私も最初に神さまが出てきた時には、ちょっと距離を置こうと
思いましたが、意外とちゃんと読める内容でした。

この本から何を活かすか?

本書で、私が驚愕したのは「しおり」でした。

オリジナルの「しおり」挟まっているな~と思って、
引き出してみると、そこには井内さんの全身写真が。

本書の表紙もそうですが、ご自身のビジュアルを
最大限活用しているのでしょう。

また、井内さんのブログを拝見すると、ご自身が「憧れの的」と
なるように意識して書かれています。

単に教義を説くのではなく、私のように考え振る舞うと、
こんな生活ができますよ、という見せ方をしているのが、
井内さんの成功の秘訣なのかもしれません。

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| 成功哲学 | 08:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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グロービス流ビジネス勉強力



満足度★★★
付箋数:22

  「知識労働者たるものは、仕事の中に、継続学習のプロセスを
  組み込んでおかなければならない」

これは経営学の巨人とも呼ばれたP.F.ドラッカーさんの言葉です。

本書ではこの言葉を現代風に言い換えています。

  「21世紀を生きる全てのビジネスパーソンは、自分の人生の中に、
  継続学習のプロセスを組み込んでおかなければならない」

本書は、「学び方を学ぶ」ための本。

著者は、グロービス経営大学院で教鞭をとる、
田久保善彦さん、村尾佳子さん、荒木博行さんの3名です。

  「本書は、 “学ぶ技術” を速読術、記憶術、試験勉強法といった
  即効性のあるスキルを身につけるためのものではなく、
   “ビジネスパーソンとして成長し続けるために、
  日常生活そのものを、学び続けるサイクルにするためのもの” 
  と位置づけて紹介していきます。」

著者の3名は、毎年グロービスで数多くのビジネスパーソンを
指導しているようですが、その中で高い実績や学習効果を
上げている人に共通する方法を本書にまとめています。

本書の学びのサイクルの全体像は次の5つからなります。

  1. キャリアを考える、そして何を学ぶかを決める・見定める
  2. インプットする
  3. 次のために振り返る
  4. アウトプットする
  5. フィードバックを受ける → 1.へ戻る

当ブログは読書ブログですから、このサイクルの2番目、
インプットの中の「本からインプットする」の部分を紹介しましょう。

読書を通じた学びは、次の方程式が示されています。

  [読書を通じた学び]
  = [読む本の量] × [良書比率] × [1冊あたりのインプット量]

学習効果を高めるために、3つの要素に分解されていますね。

1つ目の要素は、目を通す本の量を増やすこと。

そのためには、「合わない本は早めに見切りをつける」、
「本によってかけるべき時間にメリハリをつける」、
「全体像がわかる本から読む」、「本の構造を意識しながら読む」、
「買った直後に読む」などの指針が示されています。

2つ目の要素は、良書の比率を高めること。

ここでは、「その本に求めていることを明確にする」、
「歴史ある本を選ぶ」、「新聞の書評欄などを参考にする」、
「行きつけの書店を作る」、「読書のメンターを作る」などの
アドバイスが書かれています。

3つ目の要素は、1冊あたりのインプット量を高めること。

ここでは、「同じ領域の本をまとめて複数読む」、
「一言でも一節でも記憶に残す意識を持つ」、
「本に向き合う姿勢を意識的にコントロールする」、
「必要な時に引っ張り出しやすい状態を作る」などの
方法が示されています。

私も読書を通じた学びの効果を高めたいと、
常々思っていましたが、このように要素に分解て考えると、
まだやっていないアプローチがあることがわかりました。

この本から何を活かすか?

学びのサイクル3番目、「振り返り力」チェックリスト

  1. 振り返るということを常に意識している
  2. 自分のことについて考える時間を取っている
  3. 自分の価値観や志について問われれば明確に答えられる
  4. 経験から学ぶ方法を自分なりに確立している
  5. 何かあったら相談できる相手が複数いる
  6. 自分が置かれている状況を客観視することができる
  7. 何かについて考える際、できるだけ他の見方がないかを
   意識している
  8. 仕事を含め、自分が取り組んでいることに
   年度単位の目標を作っている

私がこのチェックリストで◯がついたのは、たったの3つ。

やる前から、そのような気はしていましたが、
私の弱点は振り返りが少ないことでした。

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| 勉強法 | 09:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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世界のトップを10秒で納得させる資料の法則



満足度★★★
付箋数:23

あなたは、「群管理」という手法をご存じでしょうか?

初めて聞く言葉という方も多いかもしれません。

群管理とは、主に製造業で使われる手法の1つで、
製品を製造ロットごとに管理し、
工程のボトルネックの発見などに有効な手法です。

ある連続した一連の業務を週や月などの時間の単位で区切り、
その一単位ごとを「群」として管理まします。

ところで資料作成の本で、なぜ製造業で使う管理手法の
用語が出てくるのでしょうか?

本書では、この群管理の手法をサービス業にも転用し、
問題の本質をつかむために活用しています。

解説されているのは、英会話学習塾がチラシを配布しても
売り上げが伸びない事例です。

問い合わせ、モデルレッスン、申し込み、入金の
各工程を「累積グラフ」で表した場合と、
「群管理」の2つのクラフで表した場合を比較します。

すると、累積グラフではつかめなかった問題点が、
群管理のグラフではボトルネックが浮かび上がってきます。

この手法をサービス業などの業務処理報告書で
使うメリットは次の4つです。

  1. 問題の早期発見につながる
  2. ボトルネックの発見によって全体算出量が増大する
  3. プロセスごとの数値化による計画的なリソース配分が可能になる
  4. 数値化で改善が可能になる

著者の三木雄信さんがこの手法をサービス業で使うことを
思いついたのは、2001年にソフトバンクが、Yahoo! BBの
サービスを開始したときのことでした。

当時ADSL接続サービスとしては、価格破壊だったため、
Yahoo! BBに申込が殺到しました。

しかし、サポートが全く追いつかず、コールセンターを開設しても、
電話が繋がらないというクレームが押し寄せていました。

このとき料金センターに寄せられる苦情の中でも、
特に多かったのが誤課金に関するトラブルでした。

三木さんは、このトラブルに対処する際に、群管理で問題点を発見し、
劇的な業務改善を実現したそうです。

三木さんは、ソフトバンク時代、27歳で社長室室長に就き、
孫正義さんの右腕として活躍し、ナスダック・ジャパン市場開設や、
日本債券信用銀行の買収案件、Yahoo! BB事業の立ち上げなどに
携わりました。

本書で公開されるのは、孫さんから直接言われて身につけた
資料作成術です。

  「この本では、10種類の資料を取り上げた。業務処理報告書から
  売上報告書、会議議事録、企画書に至るまで、
  作成頻度の高い資料や、作成ノウハウを知っておくと有益な
  資料を取り上げている。そして、そのほとんどのケースで
  悪い見本とその問題点を挙げた後、ソフトバンク流の資料の見本と
  考え方を紹介した。」

三木さんは、ソフトバンクに入社直後から、
常に孫さんから資料作りを求められてきました。

要求される資料のレベルは高く、正しい数字で予測値が
示されているのはもちろん、見た瞬間に本質が把握できる
資料を求められていました。

孫さんが1つの資料に目を通す時間は、わずか「10秒」。

その短時間でも、資料の中に曖昧さが含まれていると、
容赦なく指摘されます。

本書で解説されるのは、孫さんをも納得させた資料作りの極意です。

この本から何を活かすか?

  資料作りは「上から目線」で

  「もし会社のフォーマットとしてExcelでの加工を
  求められているなら、プラスαで別のレポートも作ってほしい。
  そのときは、平の社員なら課長の、係長なら部長の、
  というように二段階上のポジションからの視点で
  資料作りに臨むことだ。」

上から目線で資料を作成しないと、曖昧さが残る
逃げの姿勢を含んだ資料になってしまうようです。

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| 文章術 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男



満足度★★★
付箋数:20

2010年4月に設立されたばかりで、急成長を遂げている
中国のスマートフォンメーカー「シャオミ(小米科技)」。

年間で1機種のみ発売する手法で大量生産し、ハイスペックで
低価格のスマホを販売し中国市場では、大きな支持を得ています。

その勢いはとどまるところを知らず、中国国内だけでみると
アップルやサムスンを抜き、創業わずか4年でNo.1に、
世界のシェアでも第3位に躍進しています。

そのシャオミの快進撃を支えるのが、創業者の1人で
会長兼CEOの雷軍(レイ・ジュン)さん。

「中国のジョブズ」と称されるカリスマ経営者です。

シャオミのスマホ「Mi 4」は外観はiPhoneに酷似し、
Androidベースで独自OSである「MIUI 6」についても、
iOSの模倣と言われています。

中国メーカーの常識からすると、この程度の模倣は、
ごく当たり前のことなのでしょう。

しかし、雷軍さんがスゴイのは、「人物」も模倣していることです。

雷軍さんは、スティーブ・ジョブズさんのプレゼンを、
話す内容から話し方、間のとり方やジェスチャー、
そして歩き方まで真似ているのです。

プレゼンのスライドで「One more thing・・・」を表示するなど、
どう見てもジョブズさんのプレゼンにしか見えません。

おまけに、服装のチョイスまでジョブズさんそっくり
という念の入れようです。

そんな雷軍さんですが、2011年8月末に受けたある雑誌の
インタビューで語ったことが大きな批判を浴びることになりました。

  「ジョブズだっていつかは死ぬ。だから僕にもチャンスはある。
  僕らが生きているのは彼が消え去るのを待っているんだ。
  この世界に唯一永遠の神はいない。
  次世代の神は今まさに作られている。」

この発言があったのは、ジョブズさんがアップルのCEOを
辞した直後で、この世を去る1ヶ月余り前のことでした。

そのため、中国のアップル信者から、「雷軍はジョブズの死を
待ち望んでいる」と非難されることになりました。

果たして、雷軍さんとはどのような人物なのでしょうか?

  「これをジョブズの物真似と切り捨てるのはたやすい。
  だが、 “真似て、学ぶ” ことこそ、ジョブズに対する雷軍流の
  敬意の示し方なのである。なぜなら、それを実践することは
  間違いなく “世界中をひっくり返す” 道だからだ。
  優等生だった雷軍には、ジョブズのような強烈な個性やカリスマ性
  は確かにない。しかし、彼の身体には “世界を変えたい” という
  気概が骨の髄まで満ちている。」

本書の著者は湖北省出身のビジネス作家の陳潤さん。

シャオミ大躍進の裏側と、雷軍さんの半生を描いたノンフィクションです。

  第1章 100万ドルの夢想家
  第2章 少年の頃の夢
  第3章 我が青春、我が金山
  第4章 卓越網
  第5章 <毒覇>の実力
  第6章 上場までの8年間
  第7章 百戦錬磨の投資家
  第8章 壮大な夢への再出発
  第9章 20年続く革新の道
  第10章 未来は夢のために

この本から何を活かすか?

ちなみに、シャオミはスマホだけでなくタブレット「Mi Pad」も
「iPad mini激似」と評されていました。

以下、週刊アスキー2014年7月のハード松村さんの記事です。

  「(Mi Padは)7.9インチ(2048×1536ドット)のRetinaクラスの
  パネルを装備し、サイズや重量はiPad mini Retinaに激似…。
  というか、シリコンタイプのmini Retina用ケースならそのまま
  装着できました。さらにUSB端子や背面カメラの位置も同じなので
  そのまま使えるぐらい似てます。背面のプラスチッキーなデザインは
  iPhone5cに近い感じでしょうか。」

いろんな意味でシャオミ恐るべじという感じですね。

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論理思考力をきたえる「読む技術」



満足度★★★
付箋数:22

人間の知的活動は、すべて論理という約束事から成り立っています。

論理力を身につけると、人の話をしっかりと理解でき、
自分でも論理的に話ができるようになります。

コミュニケーション能力全般をアップさせるだけでなく、
発想力、想像力、表現力まで高めることができます。

まさに論理力は、あらゆる場面で役立つ生涯の強力な武器なのです。

ところで、これほど重要な論理力を、人はどうしてもっと必死に
身につけようとしないのでしょうか?

現代国語のカリスマ講師、出口汪さんはその理由を2つ挙げています。

1つ目の理由は、論理力が語学や数学などと異なり、
数値化しにくい能力で、非常に目に見えにくいこと。

もう1つの理由は、論理力が生まれつきの頭の良さだと考えられ
身に付けることを諦めている人が多いこと。

しかし、論理力がその人の生まれつきの気質だというのは、
大きな誤解で、人は誰でも論理力を身につけることができる
というのが出口さんの考えです。

では、一体、どのようにすると論理力を身につけることができるのか?

巷には、論理思考を扱うビジネス書が数多く刊行されています。

そういったロジカル・シンキングの本を読めば、
論理思考が身につくのでしょうか。

出口さんは、ロジカル・シンキング本は机上の理論であって、
1冊のビジネス書だけで急に頭が論理的なるはずがないと指摘します。

なぜなら、論理思考は日々日常的な訓練からしか養成されず、
身に付ける唯一の方法が「ロジカル・リーディング」だからです。

ロジカル・リーディングとは、著者の立てた道筋を
あるがまま追うことで、論理力を身につける読書法です。

また、出口さんは、多くの速読法は斜め読み・飛ばし読みの方法であり、
論理にもとづくものでない限り、文章の理解は難しいと指摘します。

速く読む方法は、筆者の立てた道筋を早く、正確に読み取る
こと以外にあり得ないからです。

  「何となくといった読み方から、文章の道筋を追っていく
  読み方への変換、これがロジカル・リーディングの基本であって、
  そのことであなたの頭の使い方は確実に変わっていくのである。」

本書は、読書を通じて論理力を身につけるための本です。

  第1章 あなたの論理力はどのレベル?
  第2章 論理とは何だろう?
  第3章 まずは言葉の使い方を変えてみよう
  第4章 論理の基礎を学ぼうⅠ
  第5章 論理の基礎を学ぼうⅡ
  第6章 読書テクニックを身につけよう
  第7章 ロジカル・リーディングを実践してみよう
  第8章 1冊のストックノートにまとめてみよう
  第9章 論理力を普段の生活に生かそう

まず、本書では論理力テストが7問出題されます。

出口汪の新日本語トレーニング』シリーズにありそうな問題です。

中学レベルの問題で、決して難しくありませんが、
10分間の制限時間があって、意外と苦戦する方も多いはずです。

論理力を使わないと、制限時間内に終わらないような
問題になっているのです。

本書では、論理力テストを題材に、社会人が身につけるべき
論理力の基礎とロジカル・リーディングの技法が紹介されています。

ちなみに本書は2009年5月にインデックスコミュニケーションズ
から刊行された『出口式ロジカル・リーディング』を改題し、
文庫化した本です。

この本から何を活かすか?

  記憶力をアップしたいなら、覚えようとするな

出口さんは、論理力は記憶力にも大いに関わると解説します。

  「よくものが覚えられないと嘆く人がいる。
  実は覚える必要などない。
  ものの論理的関係を理解すればいいだけである、
  そうすれば、自然と頭に整理された形で入ってくる。」

トーリーで記憶すると覚えやすいと言われるのも、
そこに論理関係があるからなのでしょう。

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| 読書法・速読術 | 06:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子



満足度★★★★
付箋数:24

本書の著者、長沼毅さんは、「科学界のインディ・ジョーンズ」
と呼ばれる極限環境生物学者です。

これまで、研究のために、北極、南極、活火山、深海など
命の危険があるような場所に何度も足を運んできました。

しかし、本当のところ長沼さんは楽に生きたいと思っていて、
インディージョーンズというニックネームとは裏腹に、
毎回毎回「もうこんなのは嫌だ」と思いながら、
僻地への調査に赴いているそうです。

なぜ、長沼さんは嫌だと思いつつも、僻地へ行ってしまうのか?

  「私を僻地へ行くように駆り立てたのは、周囲のせいではありません。
  それは、私の “脳” です。
  これまで誰もができなかった発見や研究をしたいという “欲” 、
  その場所にどんな未知があるのかという “好奇心” 、
  あるいはもしこの依頼を断ってしまったら自分の立場は
  どうなるのかという “恐れ” 。
  これらはすべて脳が生み出したものです。」

自分から好き好んで、自分を辛い状況に追い込む生物は、
人間しかいないようです。

他の動物なら、眠くなったら寝て、疲れたら休み、
腹が減れば食べるといった、身体の欲求に対して
もっと素直に生きています。

しかし、私たち人間は脳を進化させたときに、
「楽をする」ことを忘れてしまいました。

つまり、私たちがこんなにも疲れてしまうのは脳のせいなのです。

  「無理をする。疲れる。見栄を張る。ストレスが溜まる。
  我慢する・・・・。こんな困り事が生まれるのは、
  あまりにも高度に発達した脳があるからです。
  だから “脳に振り回されずに生きる方法” を生物学的な
  視点から考える。それが本書のねらいです。」

長沼さんは、生物として少しでも楽に生きるには、
脳よりも遺伝子のことをまず知ったほうがいいと言います。

人によって、それぞれ得意な部分、不得意な部分があります。

これは遺伝子によって作られた特性で、
長沼さんは、「遺伝子的なランドスケープ(風景)」と呼びます。

脳に振り回されないようにするには、
自分のランドスケープを知って、その上で自分の性質に合った
環境を見つけることが必要だと説明されています。

  第1章 人は悩むようにできている
  第2章 あなたの個性を知る方法
  第3章 しぶとく生きるコツ
  第4章 群れの中で疲れずに働く
  第5章 ルールを作れば楽になる

本書のテーマは「ストレスなく、悩まずに生きる方法」ですが、
さまざまな脳と遺伝子にまつわるエピソードが盛り込まれた
科学エッセイです。

私は長沼さんの本を読んだのは今回が初めて。

いいサイエンス作家(研究者)と出会ったという印象で、
もっと長沼さんの本が読みたくなりました。

以下、私が今後読んでみようと思う長沼さんの本です。

  『Dr.長沼の眠れないほど面白い科学のはなし
  『地球外生命――われわれは孤独か』(共著)
  『死なないやつら
  『深海生物学への招待

この本から何を活かすか?

  「人間は “白目” を手に入れることで、相手の視線が
  どこに向いているかわかるようになりました。
  これを “アイ・ポインティング” と言います。
  この特徴は哺乳類では人間だけで、誰が誰を見ているか、
  視線がお互いにわかるようになったのです。」

人間だけが持つコミュニケーション手段が視線なんですね。

見たり、見られたり、あるいは見られなかったりすることで
様々な感情(妄想)が起こるのも人間だけなのでしょう。

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