活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2015年04月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年06月

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「あまのじゃく」に考える



満足度★★★★
付箋数:24

  「若い頃は乱読で、どんなものでも読みたいと思っていた。
  ぼくはビジネスセクターにいましたので、ビジネス書なども
  ずいぶん読みました。でもこのごろは、自分が読むべき本と、
  読まなくてよい本がはっきりとわかるようになってきた。
   “あ、この本は自分あてに書かれているな” とか、
  これはあて先が違うということがわかる。
  それに本を読むのにはけっこう時間がかかるから、
  残りの人生で、何千冊も読めないわけです。」

本書の著者、平川克美さんは読書に関してこのように述べています。

では、平川さんはどのような基準で、読む本と読まない本を
振り分けているのでしょうか?

  「ぼくが読まなくていい本というのは、そこに思考の痕跡が
  ないような、ただ “海外ではこうですよ” とか、
   “こうすればうまくいく” というようなことが書かれた本です。」

つまり読むべき本は、作者が考え抜いた思考の過程が
わかるような本です。

  「ぼくにとっていい本というのは、比喩的に言うなら、
  自分が知っていると思っていた町だけれども、その場所に立って
  眺めていたら、全然知らない町の光景が見えてきた、
  というような経験をさせてくれるものです。」

本書は平川さんが長年考えて、積み上げてきた思考の道筋が
書かれていますし、常識を問い直す新たな視点を与えて
くれますから、読むべき本だと言えます。

本書は、平川さんが以前経営していた会社の部下に対して、
「考えるとくこと」について語り下ろしたものを元に
まとめた本です。

平川さんは、本書で「あまのじゃく」に考えることをススメます。

これは、ひねくれ者になることでも、嫌われ者になる
ことでもありません。

「知的なあまのじゃく」になることをススメているのです。

本書では「知的なあまのじゃく」について、かなり噛み砕いた、
野球ファンの例をあげて説明しています。

  「うんと平たく言えば、巨人ファンが集まっている場所で、
   “おれはアンチ巨人だ” と言うのはあまのじゃくでは
  ないということですね。(中略)

  みんなが巨人だと言っているときに、 “そもそも野球って何なの?”
   “ファンであるということは、どういうことなの?” というような、
  異なる次元でもう一度考え直してみるというのが
  あまのじゃくとしてのあり方なのです。
  つまり次元を一個繰り上げるってことなのです。」

確かに本書で平川さんが試みていることは、根本の問い直しです。

そのような考えを常に持っているので、平川さんは時流に流されず、
本質を見極めることができるのでしょう。

  第1章 「自力で考えない人」は、生きていないも同然
  第2章 これからどうなるのか? 「働くこと」と「生きること」
  第3章 頼りになる知性、ならない知性
  第4章 「正義」よりも信ずるに足ることはあるか
  第5章 「人と違うこと」を考えるのではなく、
      「人と違うように」考える

本書は読むことで、即効性が現れるような本ではありませんが、
これからの人生に大きく影響する「考えること」について
ヒントを与えてくれます。

この本から何を活かすか?

本書の中で一部読み飛ばした箇所があります。

それは平川さんが、1992年製作のアメリカのコメディ映画
ヒーロー 靴をなくした天使』を見たというくだり。

ダスティン・ホフマンさんが主人公のコソ泥の常習犯役を
演じているそうですが、少し映画の筋が書いてある部分を読むと、
これがなかなか面白うそう。

本書の私が読み飛ばした箇所には、何となく映画のネタバレが
書いてありそうな気がします。

私はこの映画を見ていないので、見てから飛ばした箇所を
読もうと思います。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 11:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ファインマンさんの流儀



満足度★★★★
付箋数:20

  「体面よりも真実を優先しなければならない。
  自然をごまかすことなどできないのだから。」
      ― リチャード・P・ファインマン、1918-1988年

量子電磁力学の発展に大きく寄与したことにより、
1965年にノーベル物理学賞を受賞した、
物理学者のリチャード・P・ファインマンさん。

朝永振一郎さん、ジュリアン・シュウィンガーさんと
共同の受賞でした。

ファインマンさんには、数々の伝説的なエピソードがあります。

第二次世界大戦中には、ロバート・オッペンハイマーさんが
中心となって原爆開発を進めた、マンハッタン計画に
迷いながらも参加しました。

1986年に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号の
爆発事故に際して、原因究明にあたるNASAの調査委員会
(ロジャース委員会)に参加しました。

テレビ中継された公聴会で、小さなゴムのOリングを
コップに入った氷水に浸ける実験を行い、チャレンジャー号の
継ぎ目を塞ぐために使われたOリングが、低温のもとでは
用をなさなくなることを証明して、世間に衝撃を与えました。

そして、一般にはファインマンさんがが友人などによく語る
エピソードを集めた逸話集が広く読まれています。

  『ご冗談でしょう、ファインマンさん
  『困ります、ファインマンさん
  『聞かせてよ、ファインマンさん

これらの本では、好奇心旺盛で奇想天外に満ちた発想をする
天才科学者の一面が描かれています。

しかし、偉大な「物理学者」としてのファインマンさんの実績を
詳しく綴った本はあまりありませんでした。

  「人間ファインマンは、今後も魅力的であり続けるだろうが、
  彼の科学上の業績を通して、ファインマンの人物像を映し出すような、
  短くて読みやすい本を書いてもらえないかと声をかけられたとき、
  わたしは一も二もなく引き受けた。(中略)

  わたしは、ファインマンの研究の、物理としての内容と、
  その精神の両方を、ファインマン本人も納得するように、
  正当に扱うように努力した。そのためか、本書はなによりもまず、
  現在のわれわれが自然について理解している事柄が、
  この水準に至るまでファインマンがどんな貢献を行ったかを、
  科学者ファインマンの伝記として示すものとなった。」

著者はポピュラー・サイエンスの本も多く執筆する
宇宙物理学者のローレンス・M・クラウスさん。

天才科学者が本当に残した成果と、20世紀の物理学に
およぼした影響が詳しく書かれています。

そこからファインマンさんが、21世紀の謎が解明されるうえで、
どのような刺激を与えたかまでが伝えられています。

ファインマンさんの科学的な実績を、
現役の物理学者の目を通して、客観的に書いていますが、
根底にはファインマンさんに対する大きな尊敬を感じます。

本書は2012年1月に早川書房から刊行された本の文庫化です。

実を言うと、私の手元には単行本版があるので、
最近刊行された文庫化版は読んでいません。

文庫化にあたっては、サイエンスライターの竹内薫さんが
解説を書いているとのことなので、セコイ話ですが、
その部分だけ立ち読みをしようと思っています。

この本から何を活かすか?

訳者の吉田三知世さんは物理系の翻訳を多く手がけているので、
この分野の本は得意なところです。

結構前になりますが、当ブログでも吉田さんの翻訳本では、
世界でもっとも美しい10の物理方程式』を紹介したことがあります。

今後、吉田さんの翻訳本では以下の本を読んでみようと思っています。

  『万物の尺度を求めて
  『量子の海、ディラックの深淵
  『あなたのなかの宇宙

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| 科学・生活 | 07:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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決める――すべてを一瞬で判断できるシンプルな技法



満足度★★★
付箋数:21

あなたは、どのように仕事の優先順位をつけていますか?

毎日、余裕を持って仕事をこなしている人は、
それほど多くないはずです。

ほとんどの人が、1日ではとても終わらない量の仕事を前にして、
「いちばん急がなければヤバイいのはどれか」の基準で
仕事をこなしているのではないでしょうか。

つまり、「締め切り」によってタスクの優先順位を
A、B、Cとつけているということです。

ここで一度仕事から離れて、ゴミ出しをする場合の
優先順位を考えてみましょう。

月曜日の朝がゴミの回収日で、ゴミは前日の夜に出すことが
できる地区に住んでいるとします。

日曜日の晩、家族と一緒に自宅でくつろいでいるときは、
ゴミ出しのタスクは、ほとんどの人にとっては
優先度の低い「C」です。

夜のうちにゴミを出し忘れて、月曜日の朝、まだ回収まで
少し時間の余裕のある時点での優先度は「B」です。

しかし、通りからゴミ収集車がやってくる音が聞こえたら?

その瞬間、ゴミ出しのタスクは「A」に格上げです。
ゴミを持って、回収場所まで走らなければなりません。

この例では、ゴミ出しというタスクそのものは、
何も変わらないのに、締め切りが近づいたことで
優先順位がどんどん上がっていっています。

毎日の仕事を「締め切り」によって優先順位をつけることは、
収集車が迫っている中で、常にゴミ出しをしている状態。

本当はあまり価値を生み出すことのない平凡なタスクが、
緊急性だけで判断され、いかにも重要なタスクのように
こなされているのです。

本書の著者、スティーブ・マクラッチーさんは、
人の動機には2種類しかないと言います。

1つは「何かを得た」いという動機で、そのために行うことを
本書では「ゲイン」タスクと呼びます。

もう1つは「苦痛を回避したい」という動機で、
そのために行うことを「ペイン回避」タスクと呼びます。

ペインの回避タスクは、しなくてはいけないことですから、
放置しておくと、必ず他の誰かに指摘されます。

一方、ゲインタスクは緊急性がありませんし、
ほとんどの場合、今しなくても問題はありません。

ですから、人はペイン回避タスクを優先して行う
傾向があるのです。

しかし、将来的に大きな成果をもたらす、
本当にやるべきことはゲインタスクの中にこそあります。

また、ゲインタスクに向かっている方が、
自分が望んでいることを行うわけですから、
ワクワクしてモチベーションが上がるはずです。

本書は、スケジュールの中に、いかにしてペイン回避タスク
の前にゲインタスクを組み込むかを解説します。

スティーブン・コヴィーさんが『7つの習慣』の中で説いた
重要度と緊急度の2軸による時間管理マトリックスを、
ペインとゲインの2軸に変えたイメージでしょうか。

タイトルからすると、判断力を上げるための本のように
思われますが、優先順位付けのための本です。

ゴミ出しよりも、ゲインタスクを優先して、
将来的に高い成果を得ることを目的としています。

この本から何を活かすか?

  「目標を実現できない人が大勢いるのは、実現に向けて
  動く時間を確保しようとしないからである。」

マクラッチーさんが推奨しているのは、
カレンダーにゲインタスクを書き込んでおくことです。

今する必要のないゲインタスクを行う時間は、
待っていても永遠にやってこないのです。

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| 時間術 | 06:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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説得は「言い換え」が9割



満足度★★★
付箋数:23

  「人生は “説得” の巧拙で決まる。
  交渉事から恋愛、喧嘩、闘争、組織の統率にいたるまで、
   “説得” は生まれたときから人間関係のすべてについてまわる。
  (中略)
  では、説得のキモとは何か。
  結論から言えば、 “言い換え” である。言葉遊びではない。
   “言い換える能力を磨く” ということだ。
  相手が腑に落ちて納得するのは、あなたの主張を、
  相手が自分の価値観に転じて吟味し、その結果 “なるほど” と
  なるからである。すなわち “言い換え” とは、
  相手の価値観や関心事に置き換えて提示することでもあり、
  人間関係における “実践心理戦術” なのである。」

本書は、相手を説得し、思い通りに動かす「言い換え術」を
紹介する本です。

  第1章 説得のプロが使っている言い換え術
  第2章 相手の心を手玉に取る言い換え術
  第3章 人を動かす言い換え術
  第4章 迫ってくる相手をいなす言い換え術
  第5章 天下無敵! 「逆転」の言い換え術

著者の向谷匡史さんは、週刊誌の記者を経て作家になった方。

記者時代に大物ヤクザへの取材も数多く経験しているので、
ヤクザ式◯◯』というタトルの本を何冊も執筆しています。

その関係もあって、本書でも「ヤクザ式」のトーク例が
掲載されています。

ここでは、その中から「大義名分」で言い換えて説得する
ケースを紹介します。

ヤミ金業者が亭主に内緒で借りている主婦に、
売春を迫る例です。

  「返済でけへんのやったら、旦那はんに掛け合わなあかんな。
  わしらが会社に乗り込んだら、旦那はん、困るやろな。
  ヘタしたらクビやで」
  「やめてください!」
  「せやったら、奥さんがひと肌脱ぐしかないんと違うか?」
  「・・・・・・」
  「何も難しいことするわけやなし」
  「・・・・・・」
  「旦那さんと子供たちのためやないか」

ここでは、最後に「夫と子供のため」という大義名分を
持ち出した言い換えで、主婦が自分を自己正当化して
納得できる理由を与えています。

他のビジネス書と違って、新鮮ですね。

ただし、これをそのまま一般読者が使うわけにはいかないので、
ひと手間かけて、ビジネスや日常の言葉に変換してから
使う必要があります。

本書では一部このような、裏社会で使われる例を掲載していますが、
もちろん、それが全てではありません。

様々なシチュエーションの例をあげつつ、
言い換えとその効果、心理戦術について解説しています。

本書の例を見ると、ほんの少し、言葉の選択を変えるだけで、
相手を納得させて動かせることがよくわかります。

私たちが社会で生き抜いていくために、
身につけておいて損のない言い換え術だと思います。

この本から何を活かすか?

1994年に日本テレビ放送されたドラマ「家なき子」。

当時12歳だった安達祐実さんの「同情するなら金をくれ」
というセリフはあまりにも強烈で、その年の流行語大賞にも
選ばれました。

向谷さんは、「同情するなら金をくれ」は言い換えの金字塔と
絶賛しています。

  「20年たった現在でも “同情” と言えば、 “金をくれ!”
  という言葉が口をついて出てくるほど、このセリフは
  人間の本質を衝いているということなのだろう。
   “同情” を “金をくれ” に言い換えたところが出色で、
  人間の心に潜む欺瞞を見事に衝いている。」

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| コミュニケーション | 06:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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15分でチームワークを高めるゲーム39



満足度★★★
付箋数:17

  「こんにちは、◯◯(自分の名前)です。
  この会社には14年間、現在の部門には3年間勤務しています。
  私が持っている硬貨は1999年です。この年に私は、
  スカイダイビングに一緒に行こうと夫に説得されました。」

これは、本書に紹介されている
「配られた硬貨の発行年に、自分に起こった出来事を話すゲーム」
の解答例です。

ゲームの目的は、お互いについて知り、
今後の会話のきっかけをつくること。

これからチームが始動するときや、チームに新しいメンバーが
加わったとき、あるいはメンバー間のコミュニケーションが
あまりとれていないときに行うゲームです。

硬貨さえあれば、場所を選ばずに始められます。
ゲームを行う手順は以下の通り。

  1. メンバーに1枚ずつ硬貨を配る。
  2. 配られた硬貨が発行された年に、自分に起こった重要な
   出来事、またはおもしろい出来事を思い出す時間を2分間与える。
  3. あなたが最初に例を示す。
  4. メンバーはまず名前を言い、自己紹介した後、
   硬貨が発行された年に起こった出来事について話す。

事前に準備するのは、参加するメンバーの生まれた後に
発行された硬化を人数分用意しておくことだけです。

1人ずつ発表するゲームなので、最適な参加人数は
3~8人が推奨されています。

同じ年代が集まった、学生や新卒社員の研修などには
適さないかもしれませんが、いろいろな世代の人が
集まっているチームでは、お互いのことを知って、
距離を縮められそうです。

時間があれば、硬貨をシャッフルして、何度か行うことも可能。

その年に自分に起こった出来事ではなく、
その年に好きだった歌、映画、テレビ番組などについて
発表する別バージョンもありますから、
数回やるときはバージョンを変えるのも一つの手ですね。

メンバーの発表が全員終わったら、次のような質問をします。

  「お互いの仕事以外の面を知ることは、なぜ重要なのでしょうか?」
  「個人的なことを他の人に話すのは、抵抗がありましたか?」
  「仕事の中でお互いをもっとよく知るにはどうしたらよいでしょうか?」

これらの質問をすることで、その場だけのゲームで終わらせず、
今後のチームワーク向上につなげることができるのです。

本書はこのような15分でできる手軽なゲームを
39個紹介している本です。

著者はリーダーの自信と能力の強化を行う米コンサルタントの
ブライアン・コール・ミラーさん。

ゲームの種類は大きく4つに分かれていますから、
チームをどのように変えたいか、その目的に合ったゲームを
選ぶことができます。

  ・初対面のメンバーが親しくなるゲーム
  ・チームが盛り上がって活性化するゲーム
  ・チームに交渉力/想像力がつくゲーム
  ・変化に負けないチームをつくるゲーム

紙と筆記用具を用意するだけで始められるゲームがほとんどで、
学校の先生や社内の研修担当者にも重宝されそうな一冊です。

本書は2005年にディスカヴァー・トゥエンティワンより刊行された
15分でできるチーム・ビルディング・ゲーム』を改題、再編集
したものです。

この本から何を活かすか?

本書の優れている点は、あらかじめゲームで発生する可能性のある
問題について、その対処法についても書かれていることです。

例えば、「ゲームに参加したくない人がいる」問題や、
「メンバーが感想会で発言しない」問題など。

問題が発生してからこの部分を読むようでは、
せっかくのゲームが台無しになるので、
ゲームを取り仕切る方は、この対処法のパートは
事前に読んで、頭に入れておいた方がいいでしょう。

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| コミュニケーション | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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会話の達人の話し方を真似したら人見知りの僕でも楽しく雑談できました



満足度★★★
付箋数:23

あなたは、初めて会った人と話すことについて、
どのように感じますか?

文化庁で行った調査によると、この質問に対する回答は、
次の通りとなります。

  「苦手である」・・・55.5%
  「得意である」・・・42.9%

初めて会った人と話すことが得意な人より、
苦手意識を持っている人の方が多いですね。

苦手意識を持つ人は、何を話していいかわからず、
特に、「雑談が苦手」と感じているようです。

かく言う私も雑談は苦手で、それは「性格」のせいだと
思っていました。

しかし、本書の著者、コミュニケーション心理の専門家、
松橋良紀さんは、雑談が苦手と感じるのは、
性格ではなく、「ルール」を知らないからだと指摘します。

  「雑談を上達させるために、実はやめてほしいことがあります。
  それは何か?
   “努力すること” です。」

話を変に盛り上げようと頑張ったり、雑談のネタを探すのに
必死になる必要はありません。

例えば、無理に雑談しようとして、次のような会話になると、
かえって話しが盛り下がってしまいます。

  「この前、友人たちと箱根に行ってきたんだよ」
  「へえ、道混んでなかった? 時間はどれくらいかかった?」
  「混んでなかったよ。2時間くらいかかったかな」
  「箱根っていったら、やっぱり箱根神社だけど、神社には寄った?」
  「うん、お参りしてきたよ」
  「よかったね、あそこはパワースポットだから、
  これから運気がきっと上がるよ」
  「あ、そうなんだ」
  「そうそう、あの神社はね、源頼朝や徳川家康など・・・」

聞き手が、勝手に先読みして、相手の話を奪い取ってしまう例です。

最初は会話が成立していますが、次第に相手は、
話す気をなくしてしまうパターンです。

では、雑談を盛り上げるには、どうしたら良いのでしょうか?

  「雑談を盛り上げるのは、相手にしゃべらせること。
  これが、どんな人とも会話に困らない “会話の達人” の基本。
  まずはこれを覚えておきましょう。」

つまり必要なのは、話すことではなく、「聞く」こと。

本書で松橋さんが解説するのは、相手に意識を向けた
「聞き方」を中心とするコミュニケーション術です。

  序章 まずはここから! あなたの雑談、間違った思い込み
  第1章 初対面でも会話がとぎれない「聞き方」
  第2章 相手がどんどん乗ってくる「波長合わせ」の技術
  第3章 もう沈黙は怖くない!
     どんな人とも盛り上がる「質問」のコツ
  第4章 気軽に話せる関係をつくる「リアクション」のコツ
  第5章 相手の心にすんなりとけこむ「話し方」
  第6章 雑談が飛躍的にうまくなる心構えの技術

この本から何を活かすか?

プラス助動詞のオウム返し

  「箱根に行ってきたんだよ」
  「箱根へ?」
  「神社が好きで、開運のお願いをしに行くんですよ」
  「ああ、開運の・・・」
  「そう、開運のために、毎回、祈祷してもらっているです」
  「へえ、祈祷を・・・」
  「そうそう、年4回も祈祷をしてもらっているんですよ」
  「うわー、4回も」

ただのオウム返しではなく、拾った単語の後に、
「て・に・お・は」などの「助詞」を一文字付けて、
そのあと「黙る」というのがポイントのようです。

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| コミュニケーション | 09:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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勝つ投資 負けない投資



満足度★★★
付箋数:23

クロスメディア・パブリッシングの瀧澤さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「よく、相場にはブル(牛:強気派)とベア(熊:弱気派)の
  2匹の動物がいるといわれています。強気派のブルが角で相場を
  押し上げ、弱気派のベアが鋭い爪で相場をなぎ倒していきます。
  しかし、実はもう一匹の動物がいます。
  それがカモ(勝てない投資家)です。
  勝てない投資家は、ブルとベアが激しくぶつかり合う中で
  右往左往する、カモのような存在になってしまっているのです。」

本書は立場の異なる2人の最強投資家がタッグを組んで、
正しい投資との付き合い方を著した本です。

1人は個人投資家代表の片山晃さん。

ハンドルネームの五月(gogatu)さんと言った方が有名な
神憑り的な投資成績を残す個人投資家です。

片山さんは65万円を元手に投資を始め、7年半で12億円まで
資産を増やしました。

その実績を買われてレオス・キャピタルワークスで
機関投資家業務に携わった異色の経歴を持ちます。

もう1人の著者は、大手資産運用会社で巨大ファンドを運用する
現役のファンドマネージャーの小松原周さん。

小松原さんは、長いキャリアの中でもTOPIXなどの指標に対しては、
一度も負けたことがない「不敗の投資家」と呼ばれます。

個人投資家は、プロから見ると単なるカモなのでしょうか?

無論、株主優待などに釣られてネギを背負ってノコノコと
やって来ては、本当にカモ以外の何者でもありません。

しかし、実際のところ投資の世界において、
素人とプロのスキルには、大きな差はありません。

かつては持っている情報に大きな差がありましたが、
現在は情報格差もずいぶんと小さくなりました。

また、機関投資家は、個人投資家とは比べものにならない、
大きな資金を運用していますが、そこにはメリットだけでなく、
デメリットもあるのです。

  「機関投資家の弱点を知ってさえおけば、個人投資家でも十分、
  機関投資家に太刀打ちできるということです。
  巨砲を持つ戦艦大和が、機動力に勝る駆逐艦に負けるようなことは、
  株式市場では頻繁に起こっています。」

本書では、個人投資家が勝つために、負けないために
知っておくべき内容を、お2人がそれぞれの得意分野を
分担して解説します。

片山さんが「勝つ投資編」を担当し、
小松原さんが「負けない投資編」を担当。

私がお2人とも信用できると思ったのは、
基本はファンダメンタル投資でありながら、
トレードやテクニカル分析を頭ごなしに否定していない点です。

片山さんは、割安株の長期投資に転身する前には、
もともとデイトレードを行っていた経験があります。

小松原さんも、テクニカル分析だけでは勝てないと言及しつつも、
エントリーポイントを見極めるためにいくつかの指標を
利用しています。

ファンダメンタル投資の本で、トレードやテクニカル分析について、
何も知らずに否定している本を見かけることがありますが、
本書のお2人は自らの経験を踏まえたうえで、その有効性の限界に
ついて言及しています。

本書は具体的な投資方法まで細かく書かれていませんが、
これから投資を始める人や、あまり勉強せずに既に投資を
始めた人にはオススメできる一冊です。

この本から何を活かすか?

小松原さんは「伸びない会社の5つのサイン」を紹介していました。

  ・本業と全く関係のない事業を持っている
  ・中期経営計画に数値目標が明記されていない
  ・自社ビルを建設する
  ・本社の受付嬢がやたらと美人
  ・社長が業界紙以外のメディアに出始める

ちなみに、本社の受付嬢が3人以上いて、全員が美人なら
「危ないサイン」と読み取っていいようです。

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| 投資 | 09:41 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう。



満足度★★★
付箋数:20

株式会社アジア・ひと・しくみ研究所さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

誰もが納得するような、理想的な人事システムはありません。

しかし、会社に所属して働く以上、
人事システムは、必ず従わなければならない制度です。

  「人事システムは自社の制度にとどまらず、ビジネスパーソンで
  あれば本来、誰もがその何たるかを教養としておさえて
  おかなければならない必須の知識だと言える。」

しかし、実際はそこまで人事システムを把握している人は
それほど多くありません。

あなたは、人事システムの全体像やカラクリを知っていますか?
人事システムで、自分の将来がどうなるか見通せていますか?
自社の人事システムをうまく活用する方法を知っていますか?

これらの問に「あまり良く知らない」と答える人も多いはず。

なぜなら、人事システムには「本音と建て前」があり、
一般には、建て前の部分しか伝わってこないからです。

  「どこの会社にも本音と建て前、また社内の目標と社外の目標がある。
  会社に入社すれば、多くの場合人事部の担当者が、
  自社の人事システム、人事制度について説明をしてくれるが、
  その制度があなたに投げかける真のメッセージ、個人のキャリアや
  人生設計に与える影響などを教えてくれることはまずない。」

本書は、ビジネスパーソンなら知っておくべき、
人事システムの表と裏について解説する本です。

著者の新井健一さんは、国内外の人事制度に詳しい
経営コンサルタントです。

雇われて給料をもらう身であるならば、自分のキャリアや
人生設計に深く関わる人事システムの裏側の部分まで理解し、
社内を泳ぎ、生き残っていく必要があるのです。

  プロローグ 残念ですが、入社時点であなたのキャリアパスは
       きめられています
  第1章 とどのつまり、人事制度とは何なのか?
  第2章 あなたの会社に“栄光の階段”は何段あるのか?
  第3章 それでも人事部がつく嘘を見抜けないと寂しいことに
  第4章 会社が言うところの“能力”とは、技術ではなく
     感情であり一体感
  第5章 なぜ、あなたはこれからも評価されねばならないのか?
  第6章 成果主義って報酬に差をつけること?
     そうでもあって、そうでもない
  第7章 どこでも成果が出せる人と出せない人、
     出世するのはどっちだ?
  エピローグ 自分戦略を手に入れる

実際に人事部の人に聞いても、人事システムの本音は、
なかなか話してもらえないものです。

人事部にいても人事システムの持つ真のメッセージを
理解していない人もいるように思えます。

また、人事システムというと、各社固有のもので、
自社の制度のことでなければ知っても意味がないと
思っている方もいるかもしれません。

しかし、その裏側にある真のメッセージの部分は、
意外とどこの会社も共通しているものです。

本書は、なかなか聞けなかった人事部の本音がわかり、
自分のキャリア戦略を考える上で参考になる本です。

この本から何を活かすか?

  「あなたはエンプロイアビリティという言葉をご存じだろうか?
  エンプロイアビリティとは、汎用性の高いスキルの習得や
  資格の取得を通じた転職能力のことである。」

新井さんは、エンプロイアビリティを磨くことが、
社内の勝ち残りの足枷になることもあると指摘しています。

あまり汎用性の高いスキルの習得に勤しんでいると、
社内では「コイツはわかっていない」と思われてしまう
可能性もあるようです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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読書で賢く生きる。



満足度★★★
付箋数:21

  山本 ビジネス的に意識の高いサラリーマンがビジネス書を
     読むじゃない? それも毎月のようにビジネス書を買っている
     アホがいるじゃない? で、毎月成功体験や人生訓読んでても、
     いつまでも人生の同じ地点でのろのろしてて、
     何か違うと引っかかり続けている人もいるはず。
     だから、みんな早く、ビジネス書を読んでも成功できないって
     気づけよって思うんですよ。

  漆原 1、2年読んでみて気がつく人は気がつくんです。
     そういう人もいます。

  中川 「ホットドッグプレス」を読み漁って、セックスを妄想する
     童貞じゃあないんだから。

  漆原 構造はそれと同じなんです。

これは2014年11月に阿佐ヶ谷ロフトで行われたトークイベント
「ビジネス書ぶった斬りナイト8」での、中川淳一郎さん、
漆原直行さん、山本一郎さんのやり取りです。

この回の冒頭のテーマは「ビジネス書を読んで成功した人は
どれだけいるか?」でした。

最初に3人が噛みついたのは、読者をカモにする出版社であり、
自己啓発書ビジネスそのものについて。

3人の口から出る出版社名やビジネス書作家は、すべて実名です。

言いたい放題ですから、トークイベントとしては、
かなり盛り上がったのではないでしょうか。

最初から活字ベースなら、さすがにここまで言えないのでは?
と思える会話が頻繁に出てきます。

本書は3人のトークイベント・鼎談、そして各自の読書論を
一冊にまとめた本です。

  第1章 ネット時代こそ本を読むとトクをする。(中川さん)
  第2章 捨てるべきビジネス書、読むべきビジネス書(鼎談)
  第3章 駄本を見極め、古典を読破する技術(漆原さん)
  第4章 ビジネス書業界の呆れた舞台裏(鼎談)
  第5章 人生に役立てるコンテクスト読書法(山本さん)
  第6章 そもそも人はなぜ本を読むのか?(鼎談)

ちなみに、3人ともすべてのビジネス書を読むことを
否定しているわけではありません。

例えば、勝間和代さんの本でも初期の作品、
効率が10倍アップする新・知的生産術』あたりまでは、
思いと実務経験が反映していて良かったと語られています。

それ以降は、実務から離れて講演や著述業にドップリに
なってしまうと劣化は避けられないと指摘されています。

だから、迷ったときは新刊よりも初期の作品を読むのが正解。

勝間さんの初期作品意外の本では、『結局、女はキレイが勝ち
が好評を得ていたのが意外でした。

ツッコミを入れるために読んだら、実はいい本で、
案外まともなビジネスマン向けの本で面白かったと。

あと、成毛眞さんの本に対する考えは、
私も同じように感じることがありました。

  山本 成毛さんがウェブとかで書いていることもよく読んで
     いるんですけど、ちゃんとまとまって成毛さんが考えて
     いることとか、仕事上で経験したこと、読書で得た知識を
     ブレンドして1冊にまとめたなと。

  漆原 バカは本当に伝染る。付き合う人間は厳選せよとか。
     割りと難しいことを要求していますよね。

  山本 実践しようとすると結構大変なんですよ。
     あんたは実践できたかもしれないけどってことも多い。

この本から何を活かすか?

  「先に結論から言ってしまうと『7つの習慣』、
  『思考は現実化する』、『人を動かす』の3冊を押さえてしまえば、
  他の自己啓発系ビジネス書は読まなくて構いません。」

いわゆる定番・源流と呼ばれる3冊です。

確かに、誰もがこの3冊をしっかり読んでいれば、
それ以外の自己啓発書は売れなくなるかもしれません。

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| 読書法・速読術 | 09:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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5/19~5/20 休載のお知らせ

5/19~5/20の2日間は旅行のため、
休載させていただきます。

21日から更新を再開しますので、よろしくお願いします。

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| お知らせ | 07:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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問題解決のジレンマ



満足度★★★★
付箋数:30

あなたは、次に示すAとBのどちらの傾向が強いでしょうか?

  1-A チームワークが得意で先輩にもかわいがられる
  1-B 個人の主張が強く仲間や先輩とも衝突する

  2-A 数字に強い
  2-B 数字に無頓着

  3-A 恵まれない環境でも必ずその中で頑張り抜く
  3-B 環境に恵まれなければすぐにほかを探す

  4-A 「その道の専門家」である
  4-B 何でも首を突っ込むが専門性はない

  5-A 法律や規則に詳しい
  5-B 法律や規則に疎い

  6-A 常に与えられた仕事を着実にこなす
  6-B そもそも意味がないと思えば「ちゃぶ台返し」をする

  7-A まずは「目の前の現実」重視である
  7-B 目の前の現実より「高い理想」から入る

  8-A 服装や言葉遣いに厳しい
  8-B 服装や言葉の乱れは気にしない

  9-A 学校でも社会でも常に「本流」を歩いている
  9-B 学校でも社会でも傍流か、「道を外れて」いる

  10-A 常に人一倍の努力を怠らない
  10-B 「いかに楽をするか」を必死で考えている

これまでの社会においては、恐らく「A」の性格を持つ人の方が、
「優秀」と評価される機会が多かったのではないでしょうか。

Aの方が多い方は「アリ型の思考回路」を持つ方で、
Bの方が多い方は「キリギリス型の思考回路」を持つ方です。

アリ型思考は「問題解決」が得意で、
キリギリス型思考は「問題発見」が得意。

2つの思考回路は根本的に発想が異なり、
ここに大きな「問題解決のジレンマ」存在します。

それは「問題解決」が得意な人は「問題発見」ができない
という構造的なジレンマです。

アリ型思考はストックを重視し、閉じた系の中で、
次元を固定して考えて問題を解決します。

一方、キリギリス型思考はフローを重視し、
開いた系の中で次元を可変することで、
今まで見えていなかった問題を見つけます。

これまでは、与えられた問題を解くことが得意なアリ型思考が
重視されていましたが、これからの時代は、
「そもそも何が問題なのか?」と問題そのものを見つける
キリギリス型思考の重要度が増していきます。

ただし、この2つの思考はどちらが良くてどちらが悪いと
言うものではなく、ひとりの人の思考の中でも、
キリギリス型思考で問題発見して、アリ型思考で問題解決する
ように思考の切り替えが必要だと思います。

私たちは、これまでアリ型思考を善しとした学校教育を
受けてきているので、キリギリス型思考へ切り替える方が
難しく感じるはずです。

では、どのようにしたらアリ型思考からキリギリス型思考へ
切り替えることができるのでしょうか?

本書の著者、細谷功さんは「メタの視点」を持つことが
必要であると解説します。

「抽象化・アナロジー」、「思考の軸」、「Why(上位目的)」
の3つを使って次元を上げて問題を発見する。

それは「無知」や「未知」を意識することで、
常識の壁を打ち破る「イグノランスマネジメント」とも
呼ばれているようです。

この本から何を活かすか?

「なぜを5回繰り返せ」とはトヨタの生産現場から生まれた言葉。

実は5W1Hの中で、Whyの「なぜ」だけが、上位概念に遡る疑問詞で、
他のHowなどは下位概念に具体化する疑問詞です。

Whyは関係性を問う疑問詞で、過去に投げかけると「原因」、
未来に投げかけると「目的」を見つけることができます。

また、Whyだけが関係性といった相対的なものを問うので、
「その先」を探ることができ、複数回繰り返せるようです。

ちなみに、キリギリス型の思考は「Why」を使い、
アリ型思考は「How」を使います。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 07:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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メガヒットはたった7つのキーワードで生まれる



満足度★★★
付箋数:23

今や知らない日本人が少なくなった「妖怪ウォッチ」。

マーケティングコンサルタントの新井庸志さんは、
「妖怪ウォッチ」は、たまたま成功したのではなく、
マーケティング戦略によって成功した、必然の結果だと語ります。

  「 “妖怪ウォッチ” は成功すべくして成功した。
  当たるか当たらないか、やってみないとわからない要素が強い
  エンタテインメント業界において、確固たる成功方程式を
  造り上げたレベルファイブ(妖怪ウォッチの制作会社)の
  ビジネス “仕掛け力” には拍手を送りたいと思う。」

では、「妖怪ウォッチ」がメガヒットとなった裏には、
どのような仕掛けがあったのでしょうか?

まず、レベルファイブは「妖怪ウォッチ」の前に、
「イナズマイレブン」や「ダンボール戦機」などのアニメで、
キャラクターの良し悪しに大きく左右されない、
ビジネスとしてヒットさせる成功の方程式を確立していました。

それはアニメの放送に合わせて、プラモデルを発売し、
その後カードゲームなどを発売するなど、消費者との接点を
できるかぎり多くする仕掛けを事前に用意しておくこと。

「妖怪ウォッチ」においても、アニメの放送に合わせて、
テレビで見たシーンを追体験できる「妖怪メダル」を発売。

これはアニメになる前、コロコロコミックで漫画が連載される
1~2年前から戦略を作り、計画されていたことです。

その後のゲーム発売、菓子メーカーとのタイアップ、
カードやシールなどのメダルではない玩具の発売、
コンビニとのタイアップなど、どのように仕掛けていくかを
中長期の視点で事前に準備していたようです。

そして、新井さんは「妖怪ウォッチ」がヒットした
コンテンツとしての要因を次のように分析します。

まずは、万人受けするキャラクターであること。

敵役も含め親しみやすいキャラクターであることは、
老若男女から10年以上に渡って支持される「ポケモン」や
「アンパンマン」などにも共通する特徴です。

次に、単発で終わらせない時間軸が設定されていること。

「ポケモン」同様にキャラクターが進化していく構造と、
映画やゲームでもシリーズ化して、常にアクティブな状態を
キープすることが、コンテンツの成長には欠かせません。

また、新井さんは「妖怪ウォッチ」が、今後「ポケモン」を
超えるコンテンツとなるために欠かせない要素があると
指摘します。

それは、メッセージ性。

ロングヒットを記録するには、親からの支持も欠かせません。

これまでロングヒットしてきた「ポケモン」、「ドラえもん」、
「アンパンマン」などには、親が子どもに見て欲しいと思う
要素が散りばめられていました。

それは、「正義」、「友情」、「信頼」、「勇気」などの要素です。

内容の中心がギャグである「妖怪ウォッチ」が、
今後親からの支持を得るために、これらの要素をどれだけ
取り入れられるかがポイントになるようです。

本書は2014年にヒットした商品やサービスを題材に、
そのヒットの背景を7つのキーワードでまとめ、
2015年のトレンドの予兆についても解説します。

マーケティングの用語解説や、ヒット商品のランキングを発表
することが目的ではなく、「なぜ、その商品はヒットしたのか?」、
「なぜ、そのブームは起きたのか?」をマーケティングの視点から
分析します。

この本から何を活かすか?

2015年トレンドのキーワードとなるのは「ギャップ」

そもそも「ギャップ」は魅力的なものですが、2014年から
このキーワードが注目される予兆はあったそうです。

ファミレスでのフォアグラステーキ、
立ち食いフレンチで食べるオマール海老など。

2015年は平均価格とのギャップ、日常とのギャップ、
住んでいる地域とのギャップ、性のギャップなど、
今まで以上のインパクトのあるケースが注目され、
ブームの火付け役になっていく可能性があるようです。

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| マーケティング・営業 | 11:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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超したたか勉強術



満足度★★★
付箋数:24

  「ビジネスパーソンならば、重要な取引先と親睦を深める意味で
  会食する機会があるはずだ。そういう席では、お互いの日常や
  家族のこと、趣味から人気のテレビドラマまで、あらゆる話題が
  酒の肴になる。しかし、ただ談笑するだけではないはずだ。
  あなたは、他愛もない話に見え隠れする、相手のユーモアのセンス、
  機転、教養など、また自己顕示の程度などから、その人の “力量”
  を推し測っていることだろう。それは相手も同じである。
  あなたの実力がいかほどか、さりげなく測っている。」

本書はそういった会食の席でも、自分なりの視座をもって
話ができるだけの実力を身につけるための本。

もちろん教養を他人に見せつけることが目的ではなく、
一般のビジネスパーソンにとっては、これからの時代を
生き残っていくための思考力を身につけることが目的です。

本書の著者は先日も池上彰さんとの対談本を紹介した、
「知の怪物」とも言われる佐藤優さん。

  「あなたを取り巻く状況は、刻一刻と変化しているのだ。
  その変化を察知し、行方を予想して身の処し方をアップデート
  していく必要がある。(中略、企業に籍を置いていても)
  組織の理論と折り合いをつけつつ、自分なりの仕事の羅針盤をもち、
  そのことが組織にとって有益だと認識させるだけの “したたかさ” 
  がなければ、生き残りは難しい。」

では、自分なりの視座はどのように身につけるのでしょうか?

新聞や雑誌、ネットの情報をただ眺めただけでは身につきません。

佐藤さんは、次の順序で「思考の鋳型」を作ることを勧めます。

  1. 基礎教養力を身につける
  2. 情報収集
  3. 基礎教養と収集した情報の運用
  4. 内在的論理を探る

基礎教養力をつけるためには、『もういちど読む山川日本史』、
もういちど読む山川世界史』や高校の歴史教科書「日本史A」と
「世界史A」が推奨されています。

大学受験に向けて高校で使う網羅的な「日本史B」と「世界史B」
ではなく、主に実業高校などで使われる「A」の方が
ビジネスパーソンが教養を身につけるには適しているようです。

そして、本書では『イギリスの歴史』を教材として、
思考力を身につけるためのケーススタディを掲載します。

このケーススタディが本書の目玉で、多くのページを割きます。

ところで、なぜ『イギリスの歴史』を使うのでしょうか?

これは明石書店が刊行する世界の教科書シリーズの中の1冊で、
イギリスの11歳から14歳までの中等教育を受ける生徒向けに
書かれた150ページ程度の歴史教科書です。

この教科書は網羅的な知識を身につけさせようとするのではなく、
かつての帝国主義政策が、自分の身の回りにおいてどのような
意味をもっているのかを、徹底的に考えさせるように
書かれているそうです。

徹頭徹尾、帝国主義政策の失敗の研究になっていて、
編集者自身もこの教科書のあり方に疑義を投げかけていると
佐藤さんは解説します。

ですから、「日本史A」と「世界史A」などで基礎教養を
習得した後、得た知識をどのように運用するかの訓練として、
イギリスの歴史教科書を使うことが「思考の鋳型」を
鍛えることになるようです。

この本から何を活かすか?

  「ある人物が頑なに主張することに論理整合性を見いだせない
  場合は、その主張が当該人物の内面の問題に起因していることが
  しばしばある。その場合は生育史などを含めた情念面からの
  アプローチをとってみると、意外な発見がある。」

本書ではSTAP細胞論文をめぐる問題の小保方晴子さんの
会見内容について考察しています。

佐藤さんは、会見での小保方さんと記者とのかみ合わなさは、
論理の食い違いではなく、表現形式の食い違いと指摘します。

佐藤さんの説明で、なんとなく会見に違和感があった原因が
わかったような気がします。

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| 勉強法 | 09:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アップル、グーグルが神になる日



満足度★★★
付箋数:21

「IoT」という言葉をご存じでしょうか?

これは2013年頃から話題になり始めたバズワードです。

「IoT」は、Internet of Thingsの略で、日本語では
「モノのインターネット」と訳される仕組みです。

IoTでは、スマートフォンや携帯電話だけでなく、
世の中に存在する多様なモノがインターネットに接続したり、
相互にデータをやり取りすることで、人間の操作を介さずに、
機器同士が自律的に動作します。

すべてのモノがIoTで繋がる可能性がありますから、
これに関わるのは、モノづくりを行う世界中の
ありとあらゆるメーカーです。

そして、このプラットフォームを主導するのがアップルなのです。

  「本書はiPhone関連の仕事を6年間続けてきた1人のエンジニアの
  目から見た、 “これから5年後” を話したものです。
  ただの妄想にすぎないが面白い、あるいは、経営の知識もなく
  適当で勝手なことを語っていると思われたことでしょう。
  しかし、私の目を通して見ているものが、刺激となり何かしらの
  考えるきっかけになればと思います。」

このように語るのは、ハードウェア、ソフトウェアの両方に通じた
エンジニアの上原昭宏さん。

上原さんと一緒に本書をまとめたのが、IT分野に精通する
ライターの山路達也さんです。

お二人は本書で、IoTによって、私たちの生活が
どのように変わるのか、その将来像を語ります。

ちなみに、人の身の周りの機器同士がネットワークを経由して
連動するホームオートメーションなどの概念は以前からあり、
目新しいものではありません。

しかし、ここ数年で通信環境が急速に整備され、
クラウドコンピューティングが大きく進展しました。

更に、スマートフォンが爆発的に普及したことで、
ネットワークのハブとして機能するようになったのです。

通信環境・クラウド・スマホの3つが揃うことで、
はじめてIoTが使えるものとなったのです。

そして、スマホと多彩な機器が連携するための
「最後の1メートル」を埋めるのが「BLE」という技術です。

これは、Bluetooth Low Energyのことで、
ブルートゥースの新しい4.0という規格です。

iPhoneでは4S以降の機種でBLEに対応可能です。

従来のブルートゥースも消費電力は少なかったのですが、
BLEは更にその1/10程度の電力しか使わないのが1つの特徴です。

これにより、ボタン電池1個で何ヶ月もデバイスを
駆動させることができるようになりました。

また、従来のブルートゥースではペアリングして機器同士を
接続することが必要でしたが、BLEは無数の機器と
接続することが前提なので、ペアリングなしで、
機器が発信するデータを受診することができるのです。

このBLEとアップルの開発した「i Beacon」の技術を使うと、
マーケティングにおいても新しい試みが可能になるようです。

この本から何を活かすか?

その「i Beacon」の使用例を示すのが、こちらの動画です。



クーポンが配布されるところなどは一見すると、
これまでとあまり変わらないように見えます。

しかし、ユーザーが自らアプリを使ってクーポンを取りに
いかなくともBLE機器に近づくと、自動的にクーポンを
受け取れるところが大きな違いです。

マーケティングを仕掛ける側からすると、クーポンや情報が
自動で配信される仕組みは、革命的な違いがあるのです。

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| IT・ネット | 06:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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めんどくさいことの9割は捨てていい



満足度★★★
付箋数:20

あなたは、めんどくさがり屋ですか?

もし、めんどくさがり屋なら、本書を読んでみる価値が
あるかもしれません。

  「あなたが “めんどくさい” と思う気持ちは100%正しい。
  新しいことや未知のこと、普段と異なる想定外のことに触れると、
  人間は条件反射的にめんどくさいと思ってしまいがちです。(中略)
  そんなときに “めんどくさいから考えるのをやめよう” と
  思ってしまうのは、あなたが悪いのではなく、
  身体が無意識に反応しているからです。
  ですから、 “私はめんどくさがり屋で、ダメな人間なんじゃないか” 
  と自分を責める必要なんて一切ありません。」

本書は「めんどくさい」との向き合い方を変えて、
そこから人生の大切なモノを見つけるための本です。

著者の松田元さんは、『時給800円のフリーターが3年で
年収1000万円に変わる仕事術
』を著した若手経営者です。

現在はアズホールディングス株式会社の代表取締役で、
武蔵野大学院大学SMB研究所所長なども務めていますが、
中学や高校ではドロップアウトして、ニートやフリーターの
生活も経験した方です。

松田さんは、「めんどくさい」には2種類あると言います。

1つは自分の人生にとって無意味な「偽物めんどくさい」。

これは「めんどくさい」と思うことの9割を占めます。

そのほとんどは捨ててしまっていいものですが、
取り組んだとしても意外と簡単に対処できる
人生を無駄に迷わせる「悪いめんどくさい」です。

もう1つは、残りのたった1割しかない、あなたが努力したり、
苦労したりしなければ乗り越えられない、めんどくさいことです。

松田さんは、これを「本物めんどくさい」と呼びます。

これを乗り越えると、人生を大きく変える可能性があり、
自らを大きく成長させてくれる「良いめんどくさい」です。

この「本物めんどくさい」は、人生の「たいまつ」になると
松田さんは言います。

本書では、次の4ステップで宝物とも言うべき1割の
「本物めんどくさい」を見つけて、向き合います。

  ステップ1・・・めんどくさいを分ける(因数分解する)
  ステップ2・・・分けためんどくさいをさらに色分けする(見える化)
  ステップ3・・・9割のめんどくさいを捨てる
  ステップ4・・・残った1割のめんどくさいと向き合う

巻末には、「めんどくさいシート」が付録として
ついているので、これに書き込みながら、
本当に必要な「本物めんどくさい」を見つけていきます。

多くの「めんどくさい」に惑わされて思考停止に陥らないように、
9割は捨てて、残り1割に集中して対処するのがポイント。

私たちが普段、何となく「めんどくさい」と思っていることは、
よく考えてみると、実は大したことないものばかりで、
やろうとさえ思えば、できるものがほとんどなんですね。

「めんどくさいシート」に書き込むことは、
それほどめんどくさいことではありません。

たくさんの「偽物めんどくさい」によって頭のなかが
靄がかかっていた状態から「本物めんどくさい」を
見つけることができると、スッキリと思考が整理されて、
集中して取り組むことができるようになります。

この本から何を活かすか?

本書では、「めんどくさい」を正しい、大切な感情と捉えています。

しかし、松田さんは日本人にありがちなある習性が、
その感情にフタをしてしまうことがあると指摘します。

その習性とは、過剰に「空気を読んでしまう」こと。

空気を読んでしまうことが、私たちの「めんどくさい」という
感情を鈍化させてしまうのです。

ですから、「めんどくさい」センサーを働かせるためには、
空気の読み過ぎに注意しなければなりません。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「あるある」で学ぶ忙しい人のためのExcel仕事術



満足度★★★
付箋数:8

他人のエクセルの操作を見ていると、
なんでそんな面倒な操作をするんだろう?
と思うことがよくあります。

逆に、そんな操作方法もあるんだ、
と感心することも、たまにあります。

エクセルの操作は、けっこう奥が深く、
意外と知らない機能やテクニックがあります。

しかし、日常的に仕事でエクセルを使う場合は、
いつも時間との戦いなので、本当は効率のよい方法を調べてから
やればいいのに、力技でやっつけてしまう人も多いはず。

常にエクセルで最短最速の方法を追求している方は、
極稀だと思います。

でも一度、自分のエクセル操作が非効率かどうかを、
チェックしてみた方がいいと思います。

ちょっとしたテクニックを覚えるだけで、
仕事の生産性がグッと上がる可能性がありますから。

  「操作している本人は、自分の操作が非効率なことに気付いて
  いません。これでは、改善する余地もありません。
  そんな非効率なエクセルの操作を “あるある” の例でひも解き、
  読むだけで効率的な方法を学べるようにしたのがこの本です。
   “あるある” と聞くと、カジュアルな印象がありますが、
  実務に則した実践技を数多く紹介しています。
  初歩的な機能も紹介してますが、課題を解決するためのヒントを
  各所に散りばめています。」

著者の植山周志さんは、外資系企業にてインターネットの
マーケティングなどを行っている方。

本業の仕事の傍ら、ビジネスマン向けにExcelの使い方や、
プレゼン資料の作り方などのレクチャーをしているそうです。

  Chapter1 基本技を知りたい人のための「あるある」
  Chapter2 仕事を早く終わらせたい人のための「あるある」
  Chapter3 関数を使いこなしたい人のための「あるある」
  Chapter4 伝える力を上げたい人のための「あるある」
  Chapter5 未来を予測したい人のための「あるある」

エクセル本というと、系統立てて学ぶ教科書的な本や、
わからないことを調べるリファレンスBOOKなどが主流ですが、
本書は「あるある」なので、使うスタイルが少し違います。

まずは、全体を通しで読みます。

全部で60個の「あるある」が掲載されていますが、
それが、自分にとって既に解決済みの「あったあった」なのか、
まだ解決方法を知らない「あるある」なのかに振り分けます。

未解決の「あるある」には、とりあえず付箋でも
貼っておけばいいでしょう。

そして、本書は職場に置いておいて、
実際にその「あるある」に遭遇したときに、
やり方や手順を詳しく読めばいいと思います。

ただし、エクセルを普段からあまり使えてない人は、
この活用の仕方だと、ほとんどのページに付箋がつくので、
Chapter1から順にエクセルを開いて、
確認していった方がいいと思います。

ちなみに、私はそこそこエクセルは使えるので、
貼った付箋の数は8つでした。

本書は、「これ仕事でよく使うよな」といった実践的な
テクニックが多く紹介されているので、
エクセルが苦手な人に知人に薦めたいと思います。

この本から何を活かすか?

私は今まで表記を統一する関数は使ったことがありませんでした。

  ・UPPER関数:英字をすべて大文字に変換
  ・LOWER関数:英字をすべて小文字に変換
  ・PROPER関数:英字の先頭を大文字、2番目からは小文字に変換
  ・JIS関数:全角文字に変換
  ・ASC関数:全角英数カナを半角に変換
  ・PHONETIC関数:フリガナを入力

早速、これらの関数を使ってみます。

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| IT・ネット | 11:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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希望の資本論



満足度★★★
付箋数:22

  「私たちは、何のために働くのか。働くという労働こそが、
  社会の富を生み出す。これがマルクスの労働価値説です。
  働くことで富を生み出す。
  ところが、がむしゃらに働くことで、生活が一層貧しくなって
  しまうというのが、資本主義のパラドックスです。
  どうして、そんなことになるのか。それを理解するために
  『資本論』を読もう。これが現代の知の怪物=佐藤優氏の
  主張です。」

これは、本書の「はじめに」に書かれている池上彰さんの言葉。

本書はAERAの2014年11月10日増大号に掲載された対談、
「池上彰×佐藤優 資本主義の限界を生き抜く『資本論』」に
加筆・修正し、新たな対談を加えて再構成したもの。

対談というより、佐藤さんの独演会を池上さんがわかりやくすく、
解説&フォローしている印象が強い本です。

  第1章 ピケティからマルクスへ
  第2章 一冊の本が世界を変えた
  第3章 マルクス主義先進国ニッポン
  第4章 「イスラム国」とコミンテルン
  第5章 女性が資本主義を支える?
  第6章 わたしと『資本論』
  第7章 知性という最大の武器
  第8章 さあ、読んでみよう

フランスの経済学者、トマ・ピケティさんの『21世紀の資本』が
一大ブームになったことから、お二人の対談はピケティさんの
説に対する言及から始まります。

しかし、それはあくまで対談の前振りであり、
本書の主題は、カール・マルクスさんの『資本論』のススメです。

  「ソ連が崩壊し資本主義が勝利したとなって、もう革命が起こる
  心配がなくなった。そこで資本主義のやり方でいいんだと
  言っているうちに、社会主義革命が起こる前の、
  恐慌がひっきりなしに起こり、悲惨な労働状況が蔓延していた、
  まるでマルクスが『資本論』で書いていた当時のような状態に
  戻ってしまった。そこであらためて資本主義はどうなって
  いくんだろうという危機感が出てきて、『資本論』をもう一度
  読んでみようという人が出てきたのではないでしょうか。」

では、難解と言われるマルクスさんの『資本論』を読むと、
どんなことが得られるのでしょうか?

  「それから『資本論』を読んだ結果、どんないいことがあるのか
  というと、資本の論理に巻き込まれないためには直接的な
  人間関係が重要だということがわかるんですよ。
  『資本論』を読んで資本の論理がわかると、お手伝いをしたら
  子どもに今日は500円あげるとか、そういうことをしなくなる。」

資本の論理に絡め取られなくなり、お金以外に大切なものが
あることを理解できるようになるということです。

それ以外にも、『資本論』の強さは論理の強さなので、
これを読み解くと、論理が強くなるとも言われています。

ちなみに、お二人は『資本論』の解説本を出しています。

佐藤さんの著書は『いま生きる「資本論」』で、
池上さんの著書は『高校生からわかる「資本論」』です。

本書で『資本論』に興味をもった方は、本家と格闘する前に、
まずはこのお二人の著書を読んでみるのがいいかもしれません。

『資本論』の翻訳としては、国民文庫の 岡崎次郎さん訳
岩波文庫の向坂逸郎さん訳の本が薦められていました。

この本から何を活かすか?

歴史の年号を暗記するような受験勉強に意味はないのか?

佐藤さんは、早稲田大学と慶応義塾大学で講義した際、
次のような動機付けを生徒に語ったそうです。

  「ウエストファリア条約が1648年だということを知らないと、
  国際政治の専門家への入場券はもらえない。
  外交官になったとしてもダメ。インテリジェンスの世界でも、
  まず雑談がある。中国問題の専門家と言ったら、
  中国の人口を聞かれる。
  そこで間違えると、もう絶対に話を聞いてもらえません。
  そういうチェックがあるんです。将来役に立つことだから、
  さっそくもう1回高校の世界史の教科書を買ってきて、
  山川出版社の問題集でやり直しましょうと言いました。
  そして毎年センター試験の問題はきちんとやって、
  常に9割はキープしておく。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| 経済・行動経済学 | 07:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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男と女は打算が9割



満足度★★
付箋数:16

  「誰かに食事に誘われる。
  それは、あなたが何かを持っているからである。
  あなたを誘ったその人間は、あなたからその何かを得ようとして、
  食事に誘ったのだ。一般的にそれを “打算” と言う。」

本書は、人間関係は打算で成り立っている現実をを認め、
自分が自由に生きるためのヒントを見つける本。

  第1章 そのひと言にはウラがある―これが人間関係の真実だ
  第2章 相手の本音を見抜く方法
  第3章 利用されるくらいなら、利用するのが一流
  第4章 女性の「結婚したい」は何を意味するのか

著者は、仕事論や恋愛論を独自の観点で語る
作家の里中李生(さとなか りしょう)さん。

里中さんは、人間関係の9割は、打算、駆け引き、企みで
占められていると言います。

残り1割が、無償の愛。

だからこそ、その1割の愛に感動するか、
少しは気付かないといけないと述べています。

では、打算で食事に誘われるのは良くないことなのでしょうか?

それは、あなたに「価値」があったからこそ誘われた訳で、
喜ぶべきことです。

むしろ、打算で誘われないことに危機感を持つべきなのです。

  「もしあなたが、誰からも継続して誘われないとしたら、
  その危機感で努力をしないとだめだ。
  大人の世界の場合、誘われない一番の理由は、
   “彼の仕事に魅力がない” である。
  しかし、仕事は容易に変えられない。
  だから、別に特技なりを持っておかないといけない。
  なんでもいいのだ。」

里中さんの根底にあるのは、男と女ではそれぞれ存在価値が
違うという考え方です。

女性の究極の目的は出産することで、
そのために美しくあるべきだと考えます。

女性は「顔」によって人生が大きく変わる。
「女は顔だ」とハッキリ伝えるべきだとも言います。

一方、男性は稼ぐことことが価値で、稼いでいるからこそ、
女性の望むものを与えることができると考えます。

  「男が、仕事を積極的にしないのなら、
  セックスをする権利はないということだ。」

里中さんが本書で持論を展開するのは、
人間関係でも、あくまで男女関係に限った話。

子孫を残すかどうかの動物的な部分で語ったものです。

個人的には、深いことが書いてあるようには感じられず、
それほど考えさせられる部分はありませんでした。

里中さんが人気があるのは、常識的な人は決して
口にしないことを、ズバリと書くからなのだと思います。

俳優の坂上忍さんが、過激な発言をしても、
バラエティ番組などで高い需要があるのに似ていますね。

本音の部分を包み隠さず書いていますから、
読む人によって、自分の言いたいことを言ってもらったと
感じる方がいると思います。

しかし、里中さんの考えを下品だと感じ、
嫌悪感を示す方もけっこう多くいると思います。

この本から何を活かすか?

里中さんのプロフィールには、「累計250万部を超える
ベストセラー作家」と書かれています。

最近の里中さんの著書で売れている本は次の通りです。

  『男はお金が9割』 7万部突破
  『「孤独」が男を変える』 4万部突破
  『男は一生、好きなことをやれ!』 6万5千部突破

本書を読む限り、里中さんは他の本でも同じことを
語っているような印象を私は持ってしまいました。

また、これらの本のアマゾンレビューを見ても、
あまり読みたいとは思えなかったのが、正直なところです。

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 06:55 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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数学の言葉で世界を見たら



満足度★★★★
付箋数:22

殺人事件の裁判が行われていました。
ある女性と友人が自宅前で死んでいるのが発見された事件です。

殺人の疑いをかけられたのは、殺害された女性の元夫。

検察側は、元夫が長年に渡って女性に暴力を振るってきた
証拠を提出しました。

家庭内暴力が殺人につながったという筋書きを
立証しようとしたのです。

これに対し、弁護団の1人が犯罪統計の数字を引用して、
次のような根拠で無罪を主張をしました。

妻を虐待していた夫の中で、実際に妻を殺してしまうのは
2500人に1人しかいない。

確率としては小さすぎる。

この確率から、家庭内暴力が殺人につながったとは
考えにくいので、家庭内暴力の証拠は無視すべきだ。

果たして、弁護側の主張は正しいのでしょうか?

実際の裁判では、検察側はこれにうまく反論できず
陪審員の心証を得ることができませんでした。

しかし、弁護側の主張は詭弁だったのです。

これをきっぱりと論破できるのが「数学」の言葉です。

弁護側の主張で、無視されているのが元妻がすでに死んでいる
という事実です。

一般的に妻を虐待していた夫が、妻を殺してしまう確率は
2500分の1だとしても、単純にこのケースに当てはめて
考えることはできないのです。

今回考えるべきなのは、「家庭内暴力があって、しかも妻が
殺されているときに、夫が妻を殺していた確率」です。

いわゆる条件付き確率ですね。

犯罪統計では、既婚女性が夫以外の人に殺される割合は、
20,000人に1人。

仮に家庭内暴力を受けている妻が100,000人いるとすると、
その中の5人は家庭内暴力に関係なく殺されることになります。

一方、家庭内暴力を受けている妻が夫に殺される確率は
1/2500なので、100,000人の中で40人が夫に殺されることに
なります。

殺された妻は全部で5+40=45人。

その中で夫に殺されたのは40人なので、
家庭内暴力を受けていた妻が殺されていたときに、
夫が犯人である確率は、40/45≒0.9になります。

つまり条件付き確率で考えると、検察側は夫が家庭内暴力を
振るっていたことが立証できれば、元夫が殺した確率を
90%と裏付けることができたのです。

これは、かの有名なO・J・シンプソン事件の裁判です。

弁護側のハーバード大学法科大学院アラン・ダーショビッツ教授
の主張に対し、数学力のなかった検察側は、まともな反論が
できなかったようです。

これは本書の第1話に収められている確率のエピソード。

本書の著者は『重力とは何か』、『強い力と弱い力』なども
執筆している著名な物理学者の大栗博司さんです。

実際に大栗さんには、娘さんがいて、高校生になるその子に、
語りかける形式で、魅力的な数学の世界を紹介します。

  第1話 不確実な情報から判断する
  第2話 基本原理に立ち戻ってみる
  第3話 大きな数だって怖くない
  第4話 素数はふしぎ
  第5話 無限世界と不完全性定理
  第6話 宇宙のかたちを測る
  第7話 微積は積分から
  第8話 本当にあった「空想の数」
  第9話 「難しさ」「美しさ」を測る

数学の楽しさ、美しさ、驚きを伝えるエピソードが満載。

知的好奇心を刺激する良書ですが、
高校生の娘に語りかける設定なので、
少なくとも高校ったぐらいの数学力がないと
十分に楽しむことはできないように思えます。

この本から何を活かすか?

ウチの娘は中学3年生です。

ちょうど先日、素因数分解と因数分解を勉強したときに
「エラトステネスの篩」をやったところです。

もう少し、娘が数学に興味が持てるように
「第4話 素数はふしぎ」の内容を紹介したいと思います。

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| 数学 | 06:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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毒父家族



満足度★★★
付箋数:17

さくら舎さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

「毒親」または「毒母」という言葉を聞いたことがありますか?

ここ数年で耳にするようになった言葉だと思います。

「毒親」とは、子どもに対するネガティブな行動パターンを
執拗に繰り返し、それによって子どもの人生を
支配するようになってしまう親のことです。

毒親でも、母の方が注目されているのは、信田さよ子さんが
2008年に刊行した『母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き
が話題になったからです。

一般的に母と娘の関係が濃い家庭が多いので、
特に「毒母」にスポットが当たったのでしょう。

  「本書は、 “毒母” ならぬ “毒父” にスポットを当て、
  父と息子の関係を中心とした内容になっています。
  私自身、父との関係に、ずっと悩まされてきました。
  本書では、私の実体験をもとに、父と息子との関係性を主軸にして、
  親の価値観が子供に与える影響、そして家族のルール
  (良いことも悪いことも)は確実に連鎖していき、
  自分の代だけでなく次世代にも続いていくという話を、
  心理学的観点から書いています。」

著者は、心理カウンセラーの井上秀人さん。

井上さん自身の体験談で、支配的な父親に苦しめられる家族に
スポットを当てた初の「毒父」本です。

井上さんは子どもの頃から、支配的な父親にビクビクし、
常に父親に何と言われるかを気にしながら生きてきました。

井上さんのお父さんは、学歴至上主義で、頑固で、
自分の考えが通らないと子どものように怒りの感情を露わにし、
モラルハラスメントに近い行動をする方だったと書かれています。

  「父の前では、自分の意見を言わず、とにかく怒らせないように
  生きていこうと決めました。その思いは成長してからも
  変わりませんでした。幼い頃から植え付けられた恐怖心は
  記憶として残り、私という人間の深い部分にこびりついて
  離れなかったのです。」

井上さんは、父親の影響で社会人になってからも、
人間関係やコミュニケーションがうまくいかずに
悩んでいたそうです。

しかし、5年ほど前から心理学を学び始め、トラウマを克服。

本書では、その過程を描きながら、同じ悩みを持つ方へ、
アドバイスを行います。

私自身はこういった悩みを持っていないので、
自分が毒親にならないように、注意するために読みました。

ちなみに、「gooランキング」の記事になっていた、
「ひょっとして毒親?」と思われる人の特徴ランキングは、
以下の通りです。

  1位:子供を恐怖や罪悪感で支配しようとする
  2位:子供のミスを責め続ける
  3位:子供の交友関係をコントロールしたがる
  4位:子供の進路を子供に決めさせない
  5位:家族の悪口を子供に言ったり、同意を強要する

こういった気が少しでもある人は、本書が参考になるかも
しれません。

この本から何を活かすか?

本書では、毒父の乗り越えるために12のワークに取り組みます。

その中の1つが「感情の断捨離」。

特に毒父に支配されていなくても、自分の感情の源泉を
発見するのにいいかもしれません。

  1. あなたが人に向かって一番表現しやすいのはどんな感情ですか?
  2. 一番表現しにくいのはどんな感情でしょうか?
  3. 2であげた一番表現しにくい感情を表現することで、
   どんなことが起こるのを恐れていますか?
  4. ワークに取り組んでみて、あなたがこの時間で発見したこと、
   気付いたことはどんなことでしたか?
  5. 4の気付きを日常生活で活かすために、あなたはどんな行動を
   起こしますか?
  6. その行動を起こすと、どんな結果につながっていきますか?

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| 心に効く本 | 06:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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AIの衝撃



満足度★★★
付箋数:20

マイクロソフトの共同創設者のビル・ゲイツさんは、2001年に

  「これからのAIはベイズ理論によって完全に生まれ変わる」

と予言しました。

この予想は見事に的中し、ゲイツさんの先見性の確かさが証明されました。

そんなゲイツさんは2014年3月に行った講演会で、次のように述べます。

  「AIによる雇用の浸食は “運転手”  “ウエイター”  “看護師” 等々、
  さまざまな職種に広がろうとしている。
  ・・・今から20年後、現在の労働者が持っている各種職能への
  需要は大幅に低下しているだろう。しかし、(現時点で)人々は
  それに全く関心を寄せていないように思われる」

本書の著者、KDDI総研リサーチフェローの小林雅一さんは、
このゲイツさんの「AIが雇用破壊を引き起こす」という予想も
相当に信憑性があると見ています。

本書は、「自ら学んで成長する能力」を身につけた次世代ロボットが、
人間社会をどのように変えるかをレポートする本です。

これまで、私たちの仕事は、単純作業ではコンピュータに
取って代わられても、クリエイティブな仕事は、
人間に敵わないと考えられてきました。

つまり、人間とコンピュータを分ける最大の要素は、
「創造性」あるいは「独創性」にあると思われていたのです。

しかし、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の
デビット・コープ名誉教授は、自身の開発した作曲用ソフトの
「エミー(EMI)」で、ある実験を行いました。

それは3つのバッハ風のピアノ協奏曲による聴き比べ実験でした。

一曲は本物のバッハ、もう一曲は大学で音楽理論を教えている
スティーブ・ラーソンさんが作曲したもの、
そしてもう一曲はエミーが作曲したものでした。

実験では、これら3曲を聴き比べ、どれが誰の作品であるかを
判定しました。

その結果、聴衆の多くはラーソンさんの作品をエミーの作品と、
エミーの作品を本物のバッハの作品と判定しました。

それまでコンピュータが芸術を生み出すことには、
批判的な発言をしていた学者のダグラス・ホフスタッターさんも
聴衆の一人としてこの実験に加わったそうですが、
この結果を受けて次のように発言しました。

  「残念ながら、音楽とは私が思っていたほど大したものでは
  ないようだ」

また、コープさんは、エミーが作った曲をコンサートで演奏する際に、
それがコンピュータよって作曲されたことを聴衆に知らせない場合と、
知らせた場合で、結果に違いがでるかどうかについても実験しました。

その結果、知らせない場合は、聴取は演奏される曲に深く感動した
様子を示し、演奏後には拍手喝采を贈りました。

逆にコンピュータの作品と知らせてから聴いてもらうと、
聴衆は全く感動した素振りを見せず、演奏後も会場は静まり返った
そうです。

これらの実験結果を受けて、コープさんは次のように思うように
なったようです。

  「音楽が持つ意味は、結局、それを聴く者の耳(つまりその人の心理)
  の中に宿っている」

この本から何を活かすか?

  「最終的に、人類はテクノロジーによって絶滅するだろう。(中略)
  今世紀におけるその最大の危機要因はAIだ」

これはディープマインド共同創設者の一人、シェーン・レッグさんの言葉。

また、理論物理学者のスティーブン・ホーキングさんらも、

  「AIは人類が成し遂げた最後の偉業になってしまう恐れがある
  (つまりAIは人類を破滅に導くかもしれない)」

と発言しています。

果たして、ターミネーターに登場するスカイネットのようなAIは
本当に開発されるのでしょうか?

本書では、その可能性についても、各方面から情報を集め
真剣に考察しています。

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| IT・ネット | 08:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人をうごかすふしぎな力



満足度★★★
付箋数:18

サンクチュアリ出版さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

私が最初に本書を手にとって気になったのは、著者名でした。

「こばりひさ」さんと平仮名表記されていますが、
「こばり / ひさ」さんなのか、「こば / りひさ」さんなのか?

実は「こばりひさ」さんとは、対人科学コンサルタントのご夫婦、
小針裕司(こばり ひろし)さんと小針 梨沙(こばり りさ)さん
の名前を合成したネームでした。

  「この人といると、なんだか居心地がいい。
  思っていることを、なんでも話したくなる。
  また会いたいな、と思う。
  そんな人っていますよね。それは、なぜ?
  笑顔がすてきだから? 話しが上手だから? あなたに協力的だから?
  きっとどれも正解でしょう。表面的には。
  本当に “心の人から惹かれる人” というのは、
  お互いに “心の底” で惹かれ合っているのです。」

この「心の底」というのが、いわゆる「潜在意識」のこと。

意識的に人に好かれようと思っても、うまくいくとは限りませんが、
相手の潜在意識に働きかけると、なんとなく安心感を与えたり、
信用できると思わせることができるようです。

大脳と中脳の間に位置する自律神経の中枢のことを
「間脳」と言いますが、本書ではこれを「ひみつの脳」と呼びます。

  「ひみつの脳に、ある “おまじないをかける” ことによって、
  自分が催眠状態、つまり “その気” になり、リラックス状態に
  なります。自分がリラックス状態になると、相手のひみつの脳にも
  共鳴してリラックス状態になる。
  どうもこうして、お互いの潜在意識で惹かれ合うことによって、
  親近感がわくようなのです。」

本書では、ひみつの脳に働きかける「ふしぎな力」が
体験できる実験を紹介しながら、潜在意識を利用した
コミュニケーションの方法を解説します。

最初に紹介されているのが、「ふわっとおじぎ」という技です。

誰かと会っておじぎをする時に、とても美しくて、
さわり心地のいい布をイメージします。

その布をあなたの背後から、相手にふんわりとかぶせて、
すっぽりと包み込むようにして、おじぎをします。

たったこれだけのことで、お互いの緊張が解け、
リラックスした状態で、コミュニケーションがとれるようです。

これが効果があることが、普通におじぎをした後と、
ふわっとおじぎをした後の、体の柔らかさや、
体に入る力の違いを調べるとわかるようです。

言葉で説明しても分かりにくいので、サンクチュアリ出版主催で、
小針さんが山﨑拓巳さんとトークセッションを行ったときの
映像があるので、こちらをご覧くください。



本書では、イラストを使って、ふしぎな力を試す
実験が解説されているので、非常にイメージしやすいです。

いろいろな技が紹介されているので、
本当に効果があるのかどうか、試してみたくなります。

この本から何を活かすか?

  「視点移動の術 安心の答え方」

誰かに心配事を打ち明けられたとき、「大丈夫だよ」と言って、
相手を安心させたいことがあります。

このとき、ただ相手の目を見て「大丈夫」というよりも、
少し視点を動かしてから、「大丈夫」と伝えた方が、
安心感を与えられるようです。

  1. まず右を見ます。
  2. それから右上の天井を見て「うん」と軽くうなずく。
  3. 最後に相手の正面から見すえて「大丈夫」と言う。

このちょっとした目線の動きだけで、未来を見て、確認して、
大丈夫と答えているように、相手の潜在意識はとらえるようです。

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| コミュニケーション | 06:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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サルバルサン戦記



満足度★★★★
付箋数:20

  「本作は史実をもとに作られた物語であり、実在しない人物、
  場面、会話が含まれています。」

本書は歴史上で初めて抗生物質を作った細菌学者・秦佐八郎さんの
人生を描いた科学小説です。

伝記、あるいはノンフィクションとは少し趣が違い、
話の骨格となる部分は史実を基にしていますが、
設定や登場人物、エピソードや会話などは創作された物語です。

著者は、現役の医師、神戸大学大学院医学研究科教授の
岩田健太郎さん。

本書の主人公の秦佐八郎さんは、ノーベル生理学・医学賞の
候補に挙がったものの受賞はしていません。

科学的に大きな功績を残しましたが、北里柴三郎さんや
野口英世さん、志賀潔さん、鈴木梅太郎さんらと比べると、
世間ではそれほど知名度は高くないと思われます。

本書のタイトルになっている「サルバルサン」とは、
秦さんが開発した、「梅毒」の特効薬の名前です。

秦さんが師事し、共同で開発を行ったのは、
ドイツ細菌学者パウル・エールリッヒさんです。

エールリッヒさんは、免疫の研究でノーベル生理学・医学賞を
1908年に受賞した、世界的に高名な科学者でした。

そんな有名な科学者であるエールリッヒさんが、
秦さんをドイツの自分の研究所に呼び寄せたのは、
秦さんが8年間のペストの研究に従事する中で、
一度も自分が感染しなかった実績があったからです。

二人が共同開発したのは、感染症に効く「魔弾」。

  「 “結合なくして、作用なし”。魔弾は、病原体に結合せねば
  ならんのだ! それは人体には干渉しない。
  魔弾が故に、狙った獲物だけを、ピンポイントで叩くのだ。
  コルポラーラ・ノン・アグント・ニシ・フィクサータ!」

これは、秦さんの歓迎会のときに、エールリッヒさんが
熱く語った言葉です。

当時、ペスト、コレラ、結核、梅毒などの感染症は、
人類にとって脅威であり、効果的な治療薬が存在しませんした。

また「化学療法」や「特効薬」という概念もエールリッヒさんが
提唱するまで、なかった考えでした。

  「感染症の原因微生物を殺すことは可能である。
  石鹸、水銀、石炭酸。しかしながら、そうした物質を飲ませたり、
  注射したりするのは人体にとって危険である。
  微生物が死んでも、患者が死んでしまっては意味がない。
  感染微生物を殺しつつ、感染した人間を攻撃しない化学的療法薬。
  未だ人類が一度も手に入れたことのない、微生物だけを
  狙い撃ちする魔法の弾丸。この日からエールリッヒと佐八郎の
  静かなる戦いが始まるのだ。死に至る病に魔弾を撃ち込むのだ。
  本書は、その戦いの記録である。
  我々はこれを、 “サルバルサン戦記” と呼ぶ。」

静かなる戦いですが、物語はけっこう熱い。

それは感染症治療に立ち向かう科学者としての
岩田さん自身の想いが込められているからに他なりません。

ストーリーの展開も巧みで、グイグイと引き込まれます。

実際にはありえない人物同士の気の利いた会話もあり、
フィクションならではの楽しみもあります。

この本から何を活かすか?

なぜ、人類で初めて抗生物質を作った秦佐八郎さんは、
一般にはそれほど有名ではないのか?

それは、1928年に「ペニシリン」が発見され、
サルバルサンの治癒率を上回り、
世界初の抗生物質と認識されるようになったから。

イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングさんは、
ブドウ球菌の培養実験中、実験汚染(コンタミ)が原因で、
アオカビが持つ細菌の発育阻止効果を、偶然発見しました。

秦さんとエールリッヒさんが理論に基づき、苦心の末、
魔弾を探し当てたのとは、対照的な発見です。

そんな偶然の発見があるのもまた科学なんですね。

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| 科学・生活 | 10:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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運を支配する



満足度★★★
付箋数:23

  「本書の白眉は、藤田君が丁寧に思考を重ね、ときに身を捩る
  ようにしながら、私の語る運やツキの話を仕事上の事柄に
  翻訳している部分にあると思う。その意味では、この本の8割は
  藤田君の力でできたようなものだ。
  これからも藤田君はさらなる高みを目指して、仕事における
  勝負師として、人として、果敢に前へ進んでいくだろう。
  雀鬼流の遺伝子のいくばくかがこのような形で引き継がれて
  いくことは私にとっては嬉しい限りである。」

このように語るのは、かつて麻雀の代打ちとして、
20年間無敗の雀鬼と呼ばれた桜井章一さん。

桜井さんが「藤田君」と呼ぶのは、サイバーエージェント社長の
藤田晋さんです。

本書はこのお二人の共著で、「運やツキ」について語る本です。

片や伝説の雀士、片やIT企業の経営者。

一見、住む世界が違う桜井さんと藤田さんですが、
お二人はどのような接点があるのでしょうか?

実は藤田さん、2014年の麻雀界の日本一を決める大会
「麻雀最強戦」に出場し、並み居るトップレベルのプロ雀士を
抑えて優勝した凄腕の雀士なのです。

そんな藤田さんが学生の頃、麻雀が強くなりたい一心で通ったのが、
桜井さんが主催する雀鬼会でした。

麻雀において、お二人は師弟関係なのです。

本書は対談ではなく、同じテーマに対し交互に考え方を語る
スタイルで書かれています。

  第1章 ツキを整える
  第2章 運をつかむ人の習慣
  第3章 悪い流れを断つ
  第4章 ツキを持続させる
  第5章 運をまねく作法

ところで、麻雀とビジネスに共通点はあるのでしょうか?

麻雀は個人競技でゼロサムゲームです。
そして、騙し合いで相手に勝たなければなりません。

一方、ビジネスは団体競技で価値を生み出す活動です。
ビジネスを円滑に行うには、人を騙すのではなく、
コミュニケーションが重視されます。

麻雀とビジネスでは、求められる力が違うようにも思えますが、
藤田さんは次の点でよく似ていると指摘します。

  ・どんな牌が配られるかわからない「不平等」なところから
  スタートする。

  ・一定のルールにのっとり、配られた牌をもとに、
  いかに人より早く大きく上がれるかの「相対的な競争」になる。

  ・局の進行、相手との点棒差など刻一刻と状況が激しく
  変化する中で、冷静で素早い「状況判断力」が問われる。

  ・4人に1人しか上がれないため、大半の時間は「忍耐力」を要する。

藤田さんは、ビジネスで必要なことの大半は
麻雀から学んだと語っています。

藤田さんのように起業することは、一種のギャンブルですから、
勝負師としての能力は必要なのかもしれません。

この本から何を活かすか?

なぜ、ビギナーズラックは起こるのか?

桜井さんは本書で、次のように語ります。

  「(ビギナーズラックは)単にツイていたというレベルの
  話では実はない。ビギナーズラックは起こるべくして起こったことで、
  決して偶然ではない。
  ビギナーズラックは麻雀というゲームにおいても、しばしば起こる。
  麻雀の手には難しいものからやさしいものまで多彩な
  バリエーションがある。
  だが、ビギナーにとってはどれが難しい手なのか、
  やさしい手なのかわからない。
  つまり、ビギナーは難しい複雑な手が選択肢の中にないので、
  必然的にシンプルな手をもってくる。
  それが結果的に勝ちへとつながるのだ。」

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| 成功哲学 | 10:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ゆっくり、いそげ



満足度★★★
付箋数:22

本書の著者、影山知明さんは東京大学法学部卒業後、
マッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルの
創業に参画した経歴を持つ方です。

そんな影山さんが2008年に西国分寺の生家の地に、
クルミをテーマにしたカフェ「クルミドコーヒー」を
オープンさせました。

クルミドコーヒーでは、集客のために飲食店でよくやる
ポイントカードやポスティングをやらないといいます。

それは、なぜか?

  「それはひと言で言うならば、お店に来てくださる方の
   “消費者的な人格” を刺激したくないと考えたからだ。
  それとは、 “できるだけ少ないコストで、できるだけ
  多くのものを手にれようとする” 人格。
  つまりは “オトクな買い物” を求める人間の性向だ。」

これは誰しもが少なからず持っている心理です。

オトクな買い物を求める心理は誰もが持つものの、
必ずしも常に優先されるものではありません。

そしてこの消費者的な人格は、お店の姿勢にも影響を与えます。

お客さんがオトクな買い物をしたいのと同様、
店側もコーヒーやケーキを提供するためのコストを
できるだけ小さくして、少しでも高い代金を受け取ろうとする。

実はお客さんとお店の性向は合わせ鏡のようなものなのです。

それぞれが自己の利益を最大化させるべく行動選択する
交換のメカニズムが働きます。

それがホモ・エコノミクスとよばれる合理的経済人。
現在の主流派経済学が前提とする経済主体です。

しかし、一方で人の中にはいい贈り物を受け取った時に、
「いいものを受け取っちゃったな。もらった以上のもので、
なんとかお返ししたいな」と考える人格も秘めています。

これは、自分が手に入れたものより、支払うものの方が
大きくなるので、消費者的な人格とは真逆の性向です。

これを本書では「受贈者的な人格」と呼びます。

  「面白いのは、世に “消費者的な人” と “受贈者的な人” とが
  いるわけではないということだ。事はそれほど単純ではなく、
  きっとあらゆる人の中に両方の人格が存在し、
  時と状況によってそれぞれが発現するのだ。
  だから、問題になるのはお店がお客さんの中に眠るどちらの
  人格のスイッチを押すかということ。
  ポイントカードやポスティングをやるということは、
  ともすればお客さんの中の “消費者的な人格” スイッチを
  押すことになる。そして、そうしたお客さんの姿勢は
  はね返り、お店のありようも変える。」

クルミドコーヒーでは、贈ることを身体的に理解し、
お客さんにも贈り物を受け取る経験をしてもらうため、
期間限定で「くるみ餅」というメニューを出すことがあるそうです。

1つ1つクルミの殻を割り、1つずつ渋皮むきをして作る
手間ひまかけた、コスト度外視しのメニューです。

過剰な負荷がかかりますが、店側の原始的な姿勢が
「贈る」ことだと思い出される貴重な機会のようです。

クルミドコーヒーが目指すのは、ビジネスとスローの
間をいくもの。

それが本書のタイトルにもなっている「ゆっくりいそげ」です。

本書は理想と現実を両立させる新しい経済のカタチを
カフェから考えます。

この本から何を活かすか?

クルミドコーヒーのホームページはこちら
(ページを開くと音が流れます)

食べログのカフェ部門で全国1位になったこともあるそうです。

行ってみたいところですが、私は遠くて行けません。

とりあえず、時間の流れを大切に考えているようなカフェを
地元で探してみたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| 経済・行動経済学 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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