活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たちフラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち
(2014/10/10)
マイケル ルイス

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kindle版 フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

満足度★★★★
付箋数:23

あなたは、今、A社の株1万株の買い注文を入れようとしています。

板を見てみると、ちょうど買いたいと思っていた株価1000円で
売り気配に1万株が表示されていました。

それ以外の売り気配はほとんどありません。

すぐにでもA社の株を買いたかったあなたは、
指値1000円で1万株の「買い」注文ボタンを押しました。

すると、今まであった売り気配に1万株が板から消え、
少し待つと、今度は1003円の売り気配に1万株が戻ってきました。

買おうと思った瞬間に、株価が上がってしまうのは日常的なこと。

資金に余裕があれば、そのまま値を追って1003円で、
注文し直すこともあるでしょう。

しかし、それは売り方が、たまたまあなたと同じタイミングで
売値を修正したのでしょうか?

もしかすると、その裏には「フラッシュ・ボーイズ」の存在が
あるのかもしれません。

フラッシュ・ボーイズとは、HFT(超高速取引)を行うグループ。

彼らが行うHFTとは、取引所のメイン・コンピュータの
すぐ隣に場所を借りて発注サーバーを設置し、マイクロ秒単位で
売買を繰り返して利鞘を稼ぐ取引です。

彼らは、取引プログラムと高速回線を使って、注文が入ると、
それを先回り(フロントラン)して、利鞘を稼ぐのです。

いわば後出しジャンケンなので、負けることはありません。

しかもHFTが行われてるのは、マイクロ秒単位のことなので、
利益をかすめ取られた方は、ほとんど気付かないのです。

超絶技巧のスリ師のように、高速で財布をかすめ取り、
中から数百円だけを抜き取って、財布を戻すようなもの。

それが瞬きする間に行われているのですから、
気が付かないのが普通です。

本書は、カナダロイヤル銀行に勤める日系カナダ人、
ブラッド・カツヤマさんが、HFTの実態を暴くノンフィクション。

カツヤマさんは、自分が買い注文しようとすると、
売り注文が蜃気楼のように消えてしまうことがあることに
疑問を持っていました。

そして、2009年5月チャールズ・シューマー上院議員が、
証券取引所に宛てた書簡によってある事実を知ります。

それは次のような非難をする内容の書簡でした。

  「証券取引所は、高性能アルゴリズムを駆使する
  超高速トレーダーに対して、ほかのトレーダーに先駆けて
  取引情報を入手することを許している。取引所に手数料を支払えば、
  売買注文情報が “瞬時に送られ” 一般に公開されるより、
  ほんの少し情報を早く入手できるようになる」

この書簡によって、カツヤマさんは、初めてフラッシュ取引
なるものが行われていることを知ります。

カツヤマさんは、それまで存在が知られていなかった
フラッシュ・ボーイズについて、仲間を集め調査を進めることで、
その手口を少しずつ暴いていきます。

本書は、謎解きの要素がある、見えない敵に立ち向かう、
手に汗握るストーリーです。

この作品がマイケル・ルイスさんの創作ではなくて、
入念な取材を重ねたノンフィクションですから、
発表されて業界で反響を呼ばないわけはありません。

今回もルイスさんの作品に「外れなし」ということを
確信させる一冊でした。

この本から何を活かすか?

本書の訳者について。

これまで、ルイスさんの作品の多くを翻訳してきた東江一紀さん。

ライアーズ・ポーカー』、『ニュー・ニュー・シング』、
世紀の空売り』、『ブーメラン 』などは東江さんの訳でした。

本書も東江さんがすべて翻訳する予定でしたが、
途中で渡会圭子さんへ交代しました。

東江さんは2014年6月21日、食道がんのため亡くなりになりました。

心より東江さんのご冥福をお祈りします。

ちなみに、本書の翻訳を引き継いだ渡会さんは、
翻訳の手ほどきを東江さんからうけた、教え子だそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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